JP2018127565A - 樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】100℃以上の高温下であっても弾性が低い硬化物を製造することが可能な樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)下記一般式(1)で表される化合物、(B)ビスフェノールA骨格を有するとともに重量平均分子量がポリスチレン換算で10,000〜100,000である化合物、(C)硬化剤、及び(D)フィラーを含有し、前記(A)成分と前記(B)成分は異なる化合物であり、前記(A)成分及び前記(B)成分の総量に対する、前記(A)成分の含有量が50〜90質量%、前記(B)成分の含有量が10〜50質量%であり、前記(A)成分及び前記(B)成分の総量100質量部に対する、前記(C)成分の含有量が0.1〜30質量部、前記(D)成分の含有量が300〜2000質量部である樹脂組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び硬化物に関する。
SMDチップ及びCOBチップ等に代表される電子部材、LED照明に代表される照明部材、並びに車載用等に用いられるパワーモジュール部材には、部材内部で生じた熱を外部へ逃すためにシート状の放熱体が用いられている。その放熱体としては、絶縁性が高く、コストが低く、加工が容易である点等から、樹脂シートを用いることが検討されている。
例えば、特許文献1には、反応型エラストマーと、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤と、極性基を有する架橋型スチレンブタジエンゴムとを含有する絶縁材料が開示されている。また、特許文献2には、所定粘度を有するスチレンブタジエンゴム等のエラストマー、ラジカル反応性樹脂、及び有機過酸化物をそれぞれ所定の割合で含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。
特開2007−056255号公報 特開2003−176327号公報
放熱性絶縁硬化物に求められる性質は、放熱性が高く、絶縁性が高く、弾性が低いことである。例えば、放熱性絶縁硬化物を、電子部材、照明部材、及びパワーモジュール部材等の用途に用いた場合、その使用中に温度が上がることで反りが発生する場合や、ひびが入る等の劣化が発生する場合が多い。そのため、100℃以上の高温下であっても反りの発生が少なく、弾性が低い放熱性絶縁硬化物を製造することができる樹脂組成物が望まれている。
そこで、本発明は、100℃以上の高温下であっても弾性が低い硬化物を製造することが可能な樹脂組成物を提供しようとするものである。また、本発明は、その樹脂組成物を硬化させた硬化物を提供しようとするものである。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の成分を特定範囲の量で含有する樹脂組成物によって、100℃以上の高温下であっても適度に弾性の低い硬化物が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、(A)下記一般式(1)で表される化合物、(B)ビスフェノールA骨格を有するとともに重量平均分子量がポリスチレン換算で10,000〜100,000である化合物、(C)硬化剤、及び(D)フィラーを含有し、前記(A)成分と前記(B)成分は異なる化合物であり、前記(A)成分及び前記(B)成分の総量に対する、前記(A)成分の含有量が50〜90質量%、前記(B)成分の含有量が10〜50質量%であり、前記(A)成分及び前記(B)成分の総量100質量部に対する、前記(C)成分の含有量が0.1〜30質量部、前記(D)成分の含有量が300〜2000質量部である樹脂組成物を提供する。
Figure 2018127565
(前記一般式(1)中、R1は水素原子、又は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜10の数を表す。)
また、本発明は、上記樹脂組成物を硬化させた硬化物を提供する。
本発明によれば、100℃以上の高温下であっても弾性が低い硬化物を製造することが可能な樹脂組成物を提供することができる。また、本発明は、その樹脂組成物を硬化させた硬化物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本明細書における重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲル浸透クロマトグラフィー分析によって測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。本明細書における「重量平均分子量」は、本発明が属する技術分野において「質量平均分子量」と呼ばれる場合もある。
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、(A)下記一般式(1)で表される化合物、(B)ビスフェノールA骨格を有するとともに重量平均分子量がポリスチレン換算で10,000〜100,000である化合物、(C)硬化剤、及び(D)フィラーを含有する。これらの成分については、本明細書において、「(A)成分」、「(B)成分」、「(C)成分」、及び「D成分」と略記することがある。
Figure 2018127565
一般式(1)中、R1は水素原子、又は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜10の数を表す。
樹脂組成物に用いられる(A)成分は、上記一般式(1)で表される化合物である。上記一般式(1)中のR1は、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基であることがより好ましい。R1で表される炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、及び第三ブチル基を挙げることができる。これらのなかでも、メチル基がさらに好ましい。一般式(1)中のR1がメチル基である(A)成分を後述する(B)〜(D)成分と組み合わせた場合、高温下であっても弾性が低い硬化物を形成可能な樹脂組成物を得ることができる効果が高い。
上記一般式(1)中のR2は、メチル基であることがより好ましい。一般式(1)中のR2がメチル基である(A)成分を後述する(B)〜(D)成分と組み合わせた場合、高温下であっても弾性が低い硬化物を形成可能な樹脂組成物を得ることができる効果が高い。
上記一般式(1)中のnは、1〜5の数であることがより好ましい。一般式(1)中のnが1〜5の数である(A)成分を後述する(B)〜(D)成分と組み合わせた場合、高温下であっても弾性が低い硬化物を形成可能な樹脂組成物を得ることができる効果が高い。
(A)成分のエポキシ当量は、特に限定されないが、100〜2,000g/eq.の範囲であることが好ましく、150〜1,000g/eq.の範囲であることがより好ましい。また、(A)成分の重量平均分子量は、特に限定されないが、ポリスチレン換算で、1,000〜10,000であることが好ましく、1,000〜8,000であることがより好ましく、1,000〜5,000であることがより好ましい。
(A)成分の製造方法は特に限定されない。例えば、周知なジグリシジルエーテル化合物へのビスフェノールAの付加反応を用いた合成方法により、(A)成分を製造することができる。例えば、R1がメチル基である場合は下記反応式(2)のように、所定量の対応する構造のジグリシジルエーテル化合物と、ビスフェノールAと、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを用いて100〜150℃程度に加熱して反応させることで(A)成分を製造することができる。
Figure 2018127565
(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して50〜90質量%である。この(A)成分の含有量は、55〜85質量%が好ましく、60〜80質量%がさらに好ましい。上記(A)成分の含有量が50質量%未満であると、樹脂組成物に(A)成分を含有させたことによる効果が現れ難い。一方、上記(A)成分の含有量が90質量%よりも多いと、樹脂組成物が硬化し難くなる。
樹脂組成物に用いられる(B)成分は、ビスフェノールA骨格を有するとともに重量平均分子量がポリスチレン換算で10,000〜100,000である化合物である。この化合物であれば、(B)成分は、特に限定されないが、前述の(A)成分とは異なる化合物を用いる。(B)成分の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,000〜80,000であることが好ましく、10,000〜50,000であることがさらに好ましい。
(B)成分としては、ビスフェノールA骨格及びビスフェノールF骨格を有する化合物を好ましく用いることができる。この場合は、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂とビスフェノールF型フェノキシ樹脂との共重合体を用いることが好ましい。ビスフェノールA骨格及びビスフェノールF骨格を有する化合物を用いる場合は、重量平均分子量が30,000〜50,000であるものを用いることがより好ましい。ビスフェノールA骨格及びビスフェノールF骨格を有する化合物の市販品としては、例えば、商品名「フェノトートYP−70」(新日鉄住金化学社製)等を挙げることができる。
(B)成分として、さらにヒドロキシ基を有するものを(A)成分、(C)成分及び(D)成分と組み合わせた場合、高温下であっても弾性が低い硬化物を形成可能な樹脂組成物を得ることができる効果が高いことから好ましい。ヒドロキシ基を有する(B)成分の水酸基当量は200〜350g/eq.の範囲であることが好ましい。
(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して10〜50質量%である。この(B)成分の含有量は、15〜45質量%が好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。上記(B)成分の含有量が10質量%未満であると、樹脂組成物に(B)成分を含有させたことによる効果が現れ難い。一方、樹脂組成物に(B)成分を50質量%よりも多く含有させても、樹脂組成物に(B)成分を含有させたことによる効果が向上し難い。
樹脂組成物は、上述の(A)成分及び(B)成分以外に他の樹脂分を含有してもよいが、(A)成分及び(B)成分は、樹脂組成物中の樹脂分の主成分であることが好ましい。樹脂組成物中の(A)成分及び(B)成分の総量は、樹脂組成物中の全樹脂分の質量を基準として、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。なお、上記樹脂分とは、硬化物を形成し得る樹脂原料をいい、他の樹脂分には、モノマー、オリゴマー、及びポリマー等が含まれる。
樹脂組成物に用いられる(C)成分(硬化剤)としては、エポキシ化合物を硬化させるために用いることができる硬化剤であればよく、特に限定されるものではない。例えば、潜在性硬化剤、酸無水物、ポリアミン化合物、ポリフェノール化合物、及びカチオン系光開始剤等を挙げることができる。
潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、ヒドラジド、イミダゾール化合物、アミンアダクト、スルホニウム塩、オニウム塩、ケチミン、酸無水物、及び三級アミン等を挙げることができる。これらの潜在性硬化剤を使用した場合には、樹脂組成物を、取り扱いが容易な一液型の硬化性樹脂組成物とすることができるので好ましい。
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、及び2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物等を挙げることができる。
ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の脂環族ポリアミン;m−キシレンジアミン等の芳香環を有する脂肪族アミン;m−フェニレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、及び2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ポリアミンを挙げることができる。
ポリフェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、テルペンジフェノール、テルペンジカテコール、1,1,3−トリス(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン、ブチリデンビス(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)、及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。
イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、及び1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等の各種イミダゾール類;これらの各種イミダゾール類と、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、及び蓚酸等の多価カルボン酸との塩類を挙げることができる。なかでも、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが、硬化性及び保存安定性の面から好ましい。市販品としては、例えば、商品名「2P4MHZ−PW」(四国化成工業社製)等を挙げることができる。
(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜30質量部である。この(C)成分の含有量は、0.5〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがさらに好ましい。上記(C)成分の含有量が0.1質量部未満であると、樹脂組成物を十分に硬化させることができない場合がある。一方、樹脂組成物に(C)成分を、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して30質量部よりも多く含有させても、樹脂組成物に(C)成分を含有させたことによる効果が向上し難い。
樹脂組成物に用いられる(D)成分(フィラー)は、特に限定されるものではなく、公知なフィラーを用いることができる。フィラーとしては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、窒化ボロン、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、及びカーボン等を挙げることができる。無機フィラーを用いた場合には、耐熱性が高い硬化物を得ることができることから、無機フィラーを好適に使用することができる。無機フィラーのなかでも、窒化ボロン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、及び窒化アルミニウムは、樹脂組成物の硬化物に絶縁性及び放熱性をもたらす効果が高く、かつ、100℃以上の高温下であっても弾性が低い放熱性硬化物を得ることができる効果が高いことから好ましい。
(D)成分の粒径は特に限定されるものではなく、所望の大きさの硬化物を得るために必要な大きさの粒径を選択すればよい。例えば、平均粒径が数nm〜数百μm程度のフィラーを用いることができ、平均粒径が数nm〜数十μmのフィラーを用いることが好ましい。フィラーの平均粒径は、レーザー光回折法による粒子径分布測定装置を用いて、体積基準の粒度分布における累積50%となる粒子径(D50)として求めることができる。樹脂組成物には、複数の種類のフィラーや、異なる平均粒径をもつフィラーを組み合わせて含有させることができる。
(D)成分の形状は、特に限定されるものではなく、球状、破砕状、角状、鱗片状、及び板状等のフィラーを使用することができる。なかでも、球状のフィラーを用いた場合はフィラーの充填率を高くすることができ、硬化物の放熱性を高くすることができることから好ましい。なお、本願明細書における「球状」とは、真球状、円粒状、及び楕円状等の形状を含む概念であり、より具体的には、個々のフィラーの短径と長径との比が150%以下、好ましくは120%以下、より好ましくは110%以下の形状である。(D)成分は、(D)成分の総量中、90質量%以上が球状フィラー及び楕円状のフィラーであることが好ましく、95質量%以上が球状フィラー及び楕円状のフィラーであるとシリコンウェハーやアルミウェハー等に代表される基体へ転写した際の密着性に優れることから好ましい。
(D)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対し、300〜2000質量部であり、500〜1000質量部であることが好ましい。この(D)成分の含有量が300質量部未満であると、樹脂組成物に(D)成分を含有させたことによる効果が現れ難い。一方、上記(D)成分の含有量が2000質量部よりも多いと、樹脂組成物を用いた硬化物を製造することが困難になる。
樹脂組成物は、前述の(A)〜(D)成分以外に、必要に応じて、他の添加物を含有することができる。添加物としては、例えば、天然ワックス類、合成ワックス類及び長鎖脂肪族酸の金属塩類等の可塑剤;酸アミド類、エステル類、及びパラフィン類等の離型剤;ニトリルゴム、及びブタジエンゴム等の応力緩和剤;三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化モリブデン、硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、赤燐、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びアルミン酸カルシウム等の無機難燃剤;テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモベンゼン、及びブロム化フェノールノボラック等の臭素系難燃剤;リン系難燃剤;シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、及びアルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤;染料及び顔料等の着色剤を挙げることができる。また、添加剤としては、例えば、酸化安定剤、光安定剤、耐湿性向上剤、チキソトロピー付与剤、希釈剤、消泡剤、他の各種樹脂、粘着付与剤、帯電防止剤、滑剤、及び紫外線吸収剤等を挙げることができる。
さらに、樹脂組成物には、アルコール類、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、エステルエーテル類、及び芳香族系溶剤等の有機溶剤等を配合することもできる。
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、プリント配線基板、半導体封止絶縁材、パワー半導体、LED照明、LEDバックライト、パワーLED、及び太陽電池等の電気・電子分野の種々の部材における樹脂材料として広く利用することが可能である。具体的には、プリプレグ、封止剤、積層基板、塗布性の接着剤、接着シート等、これらの硬化性成分又は各種塗料の硬化性成分として有用である。
上述の樹脂組成物を硬化させることで、硬化物を形成することができる。すなわち、本発明の一実施形態の硬化物は、上述の樹脂組成物を硬化させたものである。例えば、上述の樹脂組成物を加熱して硬化させることで、硬化物を得ることができる。硬化物の形状は特に限定されないが、例えば、シート、フィルム、及び板(以下、これらを「シート状」と総称する。)等の形状を挙げることができる。なお、有機溶剤を含有する樹脂組成物を硬化させると、有機溶剤が残留している状態の硬化物が得られる場合と、有機溶剤が揮発して実質的に残留していない硬化物が得られる場合とがある。本発明の一実施形態の硬化物には、有機溶剤を含有する硬化物と、有機溶剤を実質的に含有しない硬化物の両方が含まれる。
硬化物の製造方法は、特に限定されず、周知の方法を適用することができる。例えば、シート状の硬化物を製造する方法としては、キャリアフィルムや金属箔等の支持体上に前述の樹脂組成物を塗布して形成した塗布層を硬化させることによって、シート状の硬化物を製造することができる。また、前述の樹脂組成物で形成された塗布層を支持体から基体に転写した後に硬化させることでも、シート状の硬化物を製造することができる。基体としては、シリコンウェハーやアルミウェハー等が挙げられる。基体の形状としては、シート、フィルム、及び板等が挙げられる。
シート状の硬化物を製造する場合には、各種塗工装置を用いて、前述の樹脂組成物を支持体上に塗工してもよく、スプレー装置により、前述の樹脂組成物を支持体に噴霧して塗工してもよい。塗工装置としては、例えば、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、コンマコーター、カーテンコーター、及びスクリーン印刷装置等を用いることができる。また、刷毛塗りによって、樹脂組成物を支持体上に塗工してもよい。これらの方法によって樹脂組成物を塗工した後、常圧〜10MPaの圧力下で、10〜300℃の温度範囲で0.5〜10時間硬化させることによって、シート状の硬化物を製造することができる。
支持体としては、シート状の硬化物を形成するため、取扱いが容易であるものを選択することが好ましい。また、シート状の硬化物を使用する際は、支持体から剥離して使用することから、剥離が容易であるものであることが好ましい。支持体としては、キャリアフィルムがよく用いられる。キャリアフィルムの材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性を有する熱可塑性樹脂フィルムが好適に選択される。
支持体に金属箔を使用する場合は、硬化物を形成した後に金属箔を剥離して用いてもよいし、また、金属箔をエッチングして用いてもよい。金属箔としては、例えば、銅、銅系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金、鉄、鉄系合金、銀、銀系合金、金、金系合金、亜鉛、亜鉛系合金、ニッケル、ニッケル系合金、錫、錫系合金等の金属箔が好適に選択される。また、キャリア箔付き極薄金属箔を支持体として用いてもよい。
硬化物の形状がシート状である場合、シート状の硬化物の厚さは、用途により適宜設定すればよく、例えば、20〜150μmの範囲とすることができる。
本発明の一実施形態の硬化物は、良好な熱伝導性を有することができる。プリント配線基板、半導体封止絶縁材、パワー半導体、LED照明、LEDバックライト、パワーLED、太陽電池等の電気・電子分野の種々の部材の樹脂基材として広く応用が可能であり、より具体的にはプリプレグ、封止剤、積層基板、塗布性の接着剤、接着シート等に用いることができる。
以下実施例及び比較例を示して本発明の一実施形態の樹脂組成物をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<(A)成分>
(製造例1)化合物A−1の合成
下記式(3)に示す化合物A 78.2g及びビスフェノールA 21.8gをキシレン25gに溶解させた後、トリフェニルホスフィン0.2%を加え、135℃で4時間加熱撹拌を行った。得られた化合物(以下、「A−1」と称する。)のエポキシ当量は900g/eq.、重量平均分子量は3500であった。また、得られたA−1は、一般式(1)中のR1及びR2がいずれもメチル基で、nが1〜10の範囲内で表される化合物である。
Figure 2018127565
(製造例2)化合物A−2の合成
製造例1における化合物A及びビスフェノールAの使用量を、それぞれ82.0g及び18.0gに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法により、合成を行った。得られた化合物(以下、「A−2」と称する。)のエポキシ当量は580g/eq.、重量平均分子量は2400であった。また、得られたA−2は、一般式(1)中のR1及びR2がいずれもメチル基で、nが1〜10の範囲内で表される化合物である。
(製造例3)化合物A−3の合成
製造例1における化合物A及びビスフェノールAの使用量を、それぞれ85.4g及び14.6gに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法により、合成を行った。得られた化合物(以下、「A−3」と称する。)のエポキシ当量は470g/eq.、重量平均分子量は1800であった。また、得られたA−3は、一般式(1)中のR1及びR2がいずれもメチル基で、nが1〜10の範囲内で表される化合物である。
(製造例4)化合物A−4の合成
製造例1で使用された「化合物A 78.2g及びビスフェノールA 21.8g」を、化合物A 86.7g及びビスフェノールF 13.3gに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法により、合成を行った。得られた化合物(以下、「A−4」と称する。)のエポキシ当量は490g/eq.、重量平均分子量は1800であった。また、得られたA−4は、一般式(1)中のR1がメチル基、R2が水素原子で、nが1〜10の範囲内で表される化合物である。
<(B)成分>
ビスフェノールA骨格を有する(B)成分として、以下に示すB−1及びB−2を用意した。
B−1:フェノキシ樹脂(商品名「フェノトートYP−70」、新日鉄住金化学社製;重量平均分子量41,000、ビスフェノールA・ビスフェノールF共重合タイプ)
B−2:フェノキシ樹脂(商品名「PKHH」、InChem社製;重量平均分子量52,000)
<(C)成分>
(C)成分(硬化剤)として、以下に示すC−1を用意した。
C−1:イミダゾール化合物(商品名「2P4MHZ−PW」、四国化成工業社製)
<(D)成分>
(D)成分(フィラー)として、以下に示すD−1〜D−4を用意した。
D−1:球状アルミナ(商品名「DAW-20」、デンカ社製;平均粒径約20μm)
D−2:球状アルミナ(商品名「DAW-3」、デンカ社製;平均粒径約4μm)
D−3:アルミナ(商品名「LS210B」、日本軽金属社製;平均粒径約3μm)
D−4:微粒アルミナ(商品名「AL−47−1」、昭和電工社製;平均粒径(中心径)約0.9μm)
<樹脂組成物>
(実施例1〜10)
表1に示す配合で(A)〜(D)成分を混合し、実施例樹脂組成物1〜10を製造した。
Figure 2018127565
(比較例1)
表2に示す各成分を混合し、比較樹脂組成物1を製造した。比較樹脂組成物1では、(A)成分の代わりに、下記式(4)に示す化合物α−1を用いた。
Figure 2018127565
Figure 2018127565
<硬化物>
(実施例11)
上記実施例1で得られた実施例樹脂組成物1を、PETフィルム上に厚み110μmになるように塗布した後、真空熱プレス装置にて圧力3MPa、温度190℃で1時間硬化させた。このようにして、PETフィルム上に、実施例樹脂組成物1を硬化させた硬化物(実施例硬化物1)を備えた硬化物シート(実施例硬化物シート1)を製造した。
(実施例12〜20)
実施例12〜20では、実施例11で使用された実施例樹脂組成物1を、それぞれ実施例樹脂組成物2〜10に変更したこと以外は、実施例11と同様の方法により、実施例硬化物シート2〜10を製造した。
(比較例2)
比較例2では、実施例11で使用された実施例樹脂組成物1を、比較例1で得られた比較樹脂組成物1に変更したこと以外は、実施例11と同様の方法により、比較硬化物シート1を製造した。
<硬化物の評価>
上記実施例11〜20で得られた各実施例硬化物シート1〜10、及び比較例2で得られた比較硬化物シート1のそれぞれについて、PETフィルムを剥離し、シート状の硬化物(実施例硬化物1〜10及び比較硬化物1)を得た。得られた各硬化物を、縦5mm×横50mmの寸法に切り出し、動的粘弾性測定装置(商品名「DMS−6100」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、室温(23℃)から150℃までの動的粘弾性を周波数1Hzの条件で測定した。表3には、各硬化物について測定された120℃における動的貯蔵弾性率を示し、その値で評価した。
Figure 2018127565
表3に示す通り、実施例11〜20で得られた実施例硬化物1〜10は、120℃の条件下であっても非常に低い動的貯蔵弾性率を示していたことに対して、比較例2で得られた比較硬化物1の動的貯蔵弾性率は高いことがわかった。実施例11〜20のなかでも、実施例11〜19で得られた実施例硬化物1〜9は、120℃における動的貯蔵弾性率が1.0GPa未満であることから好ましく、実施例硬化物1〜4及び実施例硬化物6〜9は特に動的貯蔵弾性率が低いことからより好ましいことがわかった。

Claims (2)

  1. (A)下記一般式(1)で表される化合物、
    (B)ビスフェノールA骨格を有するとともに重量平均分子量がポリスチレン換算で10,000〜100,000である化合物、
    (C)硬化剤、及び
    (D)フィラーを含有し、
    前記(A)成分と前記(B)成分は異なる化合物であり、
    前記(A)成分及び前記(B)成分の総量に対する、前記(A)成分の含有量が50〜90質量%、前記(B)成分の含有量が10〜50質量%であり、
    前記(A)成分及び前記(B)成分の総量100質量部に対する、前記(C)成分の含有量が0.1〜30質量部、前記(D)成分の含有量が300〜2000質量部である樹脂組成物。
    Figure 2018127565
    (前記一般式(1)中、R1は水素原子、又は炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜10の数を表す。)
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物を硬化させた硬化物。
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