JP2018125759A - 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ - Google Patents

圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ Download PDF

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Abstract

【課題】圧電薄膜共振器の性能を向上させかつスプリアスを抑制すること。【解決手段】基板10と、前記基板上に設けられた圧電膜14と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟み対向する下部電極12および上部電極16と、前記圧電膜に挿入され、前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する共振領域50を囲む少なくとも一部において前記共振領域より外側に設けられ、前記共振領域内に設けられておらず、前記共振領域より外側の第1領域52における第1膜厚は、前記第1領域より外側の第2領域54における第2膜厚より小さい挿入膜28と、を具備する圧電薄膜共振器。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサに関し、圧電膜に挿入された挿入膜を有する圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサに関する。
圧電薄膜共振器を用いた弾性波デバイスは、例えば携帯電話等の無線機器のフィルタおよびマルチプレクサとして用いられている。圧電薄膜共振器は、圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する積層膜を有している。圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する領域が共振領域である。
無線システムの急速な普及にともない、多くの周波数帯が使用されている。その結果、フィルタやデュプレクサのスカート特性を急峻化する要求が強まっている。スカート特性を急峻化する対策の一つに圧電薄膜共振器のQ値を高めることがある。
上部電極および下部電極の一方の表面に環帯を設けることが知られている(例えば特許文献1)。共振領域の外周領域に圧電膜に挿入された挿入膜を設けることが知られている(例えば特許文献2)。圧電膜内にブリッジと呼ばれる環帯を設けることが知られている(例えば特許文献3)。ピストンモードで動作させることでスプリアスを抑制できることが知られている(例えば特許文献4)。
特開2006−109472号公報 特開2014−161001号公報 米国特許第9048812号明細書 特表2003−505906号公報
共振領域において厚み縦振動モードの弾性波が共振することで共振器として機能する。厚み縦振動モードに付随して平面方向に伝搬する横モードの弾性波が発生する。横モードの弾性波が共振領域の外に漏洩することで弾性波エネルギーが共振領域外に漏洩する。これにより、Q値が小さくなる。また、横モードの弾性波に起因してスプリアスが発生する。
特許文献1から3の圧電薄膜共振器では、横モードの弾性波が共振領域の外に漏洩することを抑制することにより、Q値を向上させることができる。しかしながら、スプリアスが発生する。特許文献4の圧電薄膜共振器では、スプリアスを抑制できる。しかしながら、Q値が劣化する。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、圧電薄膜共振器の性能を向上させかつスプリアスを抑制することを目的とする。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられた圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟み対向する下部電極および上部電極と、前記圧電膜に挿入され、前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する共振領域を囲む少なくとも一部において前記共振領域より外側に設けられ、前記共振領域内に設けられておらず、前記共振領域より外側の第1領域における第1膜厚は、前記第1領域より外側の第2領域における第2膜厚より小さい挿入膜と、を具備する圧電薄膜共振器である。
上記構成において、前記基板内または上に設けられ、空隙、または音響特性の異なる少なくとも2種類の層が積層された音響反射膜、を含む音響反射層を具備し、平面視において、前記共振領域と前記第1領域と前記第2領域の少なくとも一部とは前記音響反射層に重なる構成とすることができる。
上記構成において、前記共振領域の反共振周波数における前記第2領域の横モードの波数は、前記共振領域の反共振周波数における前記共振領域の横モードの波数より大きい構成とすることができる。
上記構成において、前記第1領域の横モードの波数が0となる周波数は前記第2領域の横モードの波数が0となる周波数より高い構成とすることができる。
上記構成において、前記第1領域の内輪郭は前記共振領域の外輪郭に略一致する構成とすることができる。
上記構成において、前記第1領域の内輪郭は前記共振領域の外輪郭より外側に位置し、前記圧電膜と前記第1領域との間には前記挿入膜は設けられていない構成とすることができる。
上記構成において、前記第1領域の外輪郭と前記第2領域の内輪郭は略一致する構成とすることができる。
上記構成において、前記挿入膜の音響インピーダンスは前記圧電膜より小さい構成とすることができる。
本発明は、上記圧電薄膜共振器を含むフィルタである。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、圧電薄膜共振器の性能を向上させかつスプリアスを抑制することができる。
図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のA−A断面図である。 図2は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の共振領域付近の共振領域、挿入膜および空隙の位置関係を示す平面図である。 図3(a)から図3(d)は、実施例1の直列共振器の製造方法を示す断面図(その1)である。 図4(a)から図4(c)は、実施例1の直列共振器の製造方法を示す断面図(その2)である。 図5(a)から図5(c)は、シミュレーションを行った比較例1、2および実施例1の断面構造を示す図である。 図6は、比較例1、2および実施例1における反共振周波数におけるQ値および電気機械結合係数を示す図である。 図7は、比較例2および実施例1における周波数に対するQ値を示す図である。 図8(a)および図8(b)は、それぞれ比較例1および2における周波数に対する反射係数S11を示す図である。 図9(a)から図9(c)は、それぞれ実施例1のd1=200nm、205nmおよび210nmにおける周波数に対する反射係数S11を示す図である。 図10は、実施例1における横モードの分散特性を示す図である。 図11(a)および図11(b)は、共振領域と挿入膜が挿入された領域の分散特性を示す図である。 図12(a)は、領域54が共振領域50に接する場合の断面図、図12(b)から図12(e)は、横モード弾性波の第1から第4モード定在波の電気信号を示す図である。 図13(a)は、領域52が共振領域50に接する場合の断面図、図13(b)から図13(e)は、横モード弾性波の第1から第4モード定在波の電気信号を示す図である。 図14(a)から図14(d)は、それぞれ実施例1、実施例1の変形例1から3に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図15(a)から図15(c)は、それぞれ実施例1の変形例4から6の断面図である。 図16(a)から図16(d)は、実施例1の変形例7の断面図である。 図17(a)から図17(d)は、実施例1の変形例8の断面図である。 図18(a)は、実施例2の圧電薄膜共振器の断面図、図18(b)は、実施例2の変形例1の圧電薄膜共振器の断面図である。 図19(a)は、実施例3に係るフィルタの回路図であり、図19(b)は、実施例3の変形例に係るデュプレクサの回路図である。
以下図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のA−A断面図である。図1(b)は、例えばラダー型フィルタの直列共振器を、図1(c)は例えばラダー型フィルタの並列共振器を示している。
図1(a)および図1(b)を参照し、直列共振器Sの構造について説明する。シリコン(Si)基板である基板10上に、下部電極12が設けられている。基板10の平坦主面と下部電極12との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成されている。ドーム状の膨らみとは、例えば空隙30の周辺では空隙30の高さが小さく、空隙30の内部ほど空隙30の高さが大きくなるような形状の膨らみである。下部電極12は下層12aと上層12bとを含んでいる。下層12aは例えばCr(クロム)膜であり、上層12bは例えばRu(ルテニウム)膜である。
下部電極12上に、(002)方向を主軸とする窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする圧電膜14が設けられている。圧電膜14は、下部圧電膜14aおよび上部圧電膜14bを備えている。下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間に挿入膜28が設けられている。
圧電膜14を挟み下部電極12と対向する領域(共振領域50)を有するように圧電膜14上に上部電極16が設けられている。共振領域50は、楕円形状を有し、厚み縦振動モードの弾性波が共振する領域である。上部電極16は下層16aおよび上層16bを含んでいる。下層16aは例えばRu膜であり、上層16bは例えばCr膜である。
挿入膜28は、領域52および54に設けられ、共振領域50内には設けられていない。領域52は共振領域50より外側に設けられ、領域54は領域52より外側に設けられている。領域52は、圧電膜14に薄い挿入膜28aが挿入されかつ平面視において空隙30と重なる領域である。領域54は、圧電膜14に厚い挿入膜28bが挿入されかつ平面視において空隙30と重なる領域である。
上部電極16上に酸化シリコン膜等の周波数調整膜および/またはパッシベーション膜が形成されていてもよい。共振領域50内の積層膜は、下部電極12、圧電膜14および上部電極16を含む。
図1(a)のように、下部電極12には犠牲層をエッチングするための導入路33が形成されている。犠牲層は空隙30を形成するための層である。導入路33の先端付近は圧電膜14で覆われておらず、下部電極12は導入路33の先端に孔部35を有する。
図1(c)を参照し、並列共振器Pの構造について説明する。並列共振器Pは直列共振器Sと比較し、上部電極16の下層16aと上層16bとの間に、Ti(チタン)層からなる質量負荷膜20が設けられている。これにより、積層膜は直列共振器Sの積層膜に加え、共振領域50内の全面に形成された質量負荷膜20を含む。直列共振器Sと並列共振器Pとの共振周波数の差は、質量負荷膜20の膜厚を用い調整する。その他の構成は直列共振器Sの図1(b)と同じであり説明を省略する。
2GHzの共振周波数を有する圧電薄膜共振器の場合、下部電極12の下層12aを膜厚が100nmのCr膜、上層12bを膜厚が200nmのRu膜とする。圧電膜14を膜厚が1200nmのAlN膜とする。挿入膜28aおよび28bをそれぞれ膜厚が205nmおよび300nmのSiO(酸化シリコン)膜とする。挿入膜28は、圧電膜14の膜厚方向の中心に設けられている。上部電極16の下層16aを膜厚が230nmのRu膜、上層16bを膜厚が50nmのCr膜とする。周波数調整膜を膜厚が50nmの酸化シリコン膜とする。質量負荷膜20を膜厚が120nmのTi膜とする。各層の膜厚は、所望の共振特性を得るため適宜設定することができる。
特許文献2に記載されているように、挿入膜28のヤング率は圧電膜14より小さいことが好ましい。密度がほぼ同じであれば、ヤング率は音響インピーダンスと相関することから、挿入膜28の音響インピーダンスは圧電膜14より小さいことが好ましい。これにより、Q値を向上できる。さらに、挿入膜28の音響インピーダンスを圧電膜14より小さくするため、圧電膜14が窒化アルミニウムを主成分とする場合、挿入膜28は、Al(アルミニウム)膜、Au(金)膜、Cu(銅)膜、Ti膜、Pt(白金)膜、Ta(タンタル)膜、Cr膜または酸化シリコン膜であることが好ましい。特に、ヤング率の観点から挿入膜28は、Al膜または酸化シリコン膜であることが好ましい。
基板10としては、Si基板以外に、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。下部電極12および上部電極16としては、RuおよびCr以外にもAl、Ti、Cu、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ta、Pt、Rh(ロジウム)またはIr(イリジウム)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。例えば、上部電極16の下層16aをRu、上層16bをMoとしてもよい。
圧電膜14は、窒化アルミニウム以外にも、ZnO(酸化亜鉛)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PbTiO3(チタン酸鉛)等を用いることができる。また、例えば、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。例えば、添加元素として、Sc(スカンジウム)、2価の元素と4価の元素との2つの元素、または2価と5価との2つの元素を用いることにより、圧電膜14の圧電性が向上する。このため、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。2価の元素は、例えばCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Sr(ストロンチウム)またはZn(亜鉛)である。4価の元素は、例えばTi、Zr(ジルコニウム)またはHf(ハフニウム)である。5価の元素は、例えばTa、Nb(ニオブ)またはV(バナジウム)である。さらに、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、B(ボロン)を含んでもよい。
周波数調整膜としては、酸化シリコン膜以外にも窒化シリコン膜または窒化アルミニウム等を用いることができる。質量負荷膜20としては、Ti以外にも、Ru、Cr、Al、Cu、Mo、W、Ta、Pt、RhもしくはIr等の単層膜を用いることができる。また、例えば窒化シリコンまたは酸化シリコン等の窒化金属または酸化金属からなる絶縁膜を用いることもできる。質量負荷膜20は、上部電極16の層間(下層16aと上層16bとの間)以外にも、下部電極12の下、下部電極12の層間、上部電極16の上、下部電極12と圧電膜14との間または圧電膜14と上部電極16との間に形成することができる。質量負荷膜20は、共振領域50を含むように形成されていれば、共振領域50より大きくてもよい。
図2は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の共振領域付近の共振領域、挿入膜および空隙の位置関係を示す平面図である。また、図2では、わかり易くするため長さの比率が必ずしも図1(a)から図1(c)と同じではない。
図1(b)から図2において、共振領域50の外側の輪郭である外輪郭60、圧電膜14に薄い挿入膜28aが挿入されかつ空隙30と重なる領域52の外輪郭62、圧電膜14に厚い挿入膜28bが挿入されかつ空隙30と重なる領域54の外輪郭64、空隙30の外輪郭66を図示している。共振領域50を囲む領域のうち、上部電極16を共振領域50から引き出す引き出し領域70と、共振領域50を囲む領域のうち引き出し領域70以外の領域72を図示している。
なお、各膜において、端面が膜厚方向に傾斜または湾曲している場合、外輪郭は傾斜または湾曲した端面のうち最も外側であり、内輪郭は傾斜または湾曲した端面のうち最も内側である。略一致するとは、例えば製造工程におけるばらつき、製造工程における合わせ精度程度に一致するとのことである。
引き出し領域70においては、下部電極12の外輪郭が共振領域50の外輪郭60となる。領域72においては、上部電極16の外輪郭が共振領域50の外輪郭60となる。
引き出し領域70において、上部電極16の下には厚い挿入膜28bが設けられている。領域54は空隙30と重なるため、領域54の外輪郭64と空隙30の外輪郭66とが略一致する。領域72において、空隙30の外輪郭66は領域54の外輪郭64より外側に位置する。引き出し領域70および領域72において、領域52は共振領域50より外側に共振領域50に接して設けられている。領域54は領域52より外側に領域52に接して設けられている。領域52および54は環状に設けられている。領域52の幅は略同じであり、領域54の幅は略同じである。
図3(a)から図4(c)は、実施例1の直列共振器の製造方法を示す断面図である。図3(a)に示すように、平坦主面を有する基板10上に空隙を形成するための犠牲層38を形成する。犠牲層38の膜厚は、例えば10〜100nmであり、MgO(酸化マグネシウム)、ZnO、Ge(ゲルマニウム)またはSiO(酸化シリコン)等のエッチング液またはエッチングガスに容易に溶解できる材料から選択される。その後、犠牲層38を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。犠牲層38の形状は、空隙30の平面形状に相当する形状であり、例えば共振領域50となる領域を含む。次に、犠牲層38および基板10上に下部電極12として下層12aおよび上層12bを形成する。犠牲層38および下部電極12は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い成膜される。その後、下部電極12を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。下部電極12は、リフトオフ法により形成してもよい。
図3(b)に示すように、下部電極12および基板10上に下部圧電膜14aを、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。図3(c)に示すように、下部圧電膜14a上に挿入膜28cを、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。図3(d)に示すように、挿入膜28cを、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。挿入膜28cは、リフトオフ法により形成してもよい。
図4(a)に示すように、下部圧電膜14aおよび挿入膜28c上に挿入膜28dを、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。挿入膜28dを、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。挿入膜28dは、リフトオフ法により形成してもよい。これにより、挿入膜28dにより薄い挿入膜28aが形成され、挿入膜28cおよび28dにより厚い挿入膜28bが形成される。挿入膜28aおよび28bにより挿入膜28が形成される。
図4(b)に示すように、下部圧電膜14aおよび挿入膜28上に上部圧電膜14b、上部電極16の下層16aおよび上層16bを、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。下部圧電膜14aおよび上部圧電膜14bから圧電膜14が形成される。上部電極16を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。上部電極16は、リフトオフ法により形成してもよい。
なお、図1(c)に示す並列共振器においては、上部電極16の下層16aを形成した後に、質量負荷膜20を、例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。質量負荷膜20をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。その後、上部電極16の上層16bを形成する。
図4(c)に示すように、圧電膜14をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。エッチング技術として、ウェットエッチング法を用いてもよいし、ドライエッチング法を用いてもよい。
孔部35および導入路33(図1(a)参照)を介し、犠牲層38のエッチング液を下部電極12の下の犠牲層38に導入する。これにより、犠牲層38が除去される。犠牲層38をエッチングする媒体としては、犠牲層38以外の共振器を構成する材料をエッチングしない媒体であることが好ましい。特に、エッチング媒体は、エッチング媒体が接触する下部電極12がエッチングされない媒体であることが好ましい。下部電極12から周波数調整膜までの積層膜の応力を圧縮応力となるように設定しておく。これにより、犠牲層38が除去されると、積層膜が基板10の反対側に基板10から離れるように膨れる。下部電極12と基板10との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成される。以上により、図1(a)および図1(b)に示した直列共振器S、および図1(a)および図1(c)に示した並列共振器Pが作製される。
次に、実施例1に係る圧電薄膜共振器のQ値およびスプリアスを2次元有限要素法を用いシミュレーションした。図5(a)から図5(c)は、シミュレーションを行った比較例1、2および実施例1の断面構造を示す図である。図5(a)から図5(c)に示すように、共振領域50の中心をミラー界面59とした。共振領域50の半分の幅をW5、共振領域50の外側の空隙30の幅をW6、共振領域50の外側の下部圧電膜14aの幅をW7とした。
図5(a)に示すように、比較例1では共振領域50の外周領域において圧電膜14に挿入膜28が挿入されている。共振領域50内の挿入膜28の幅および膜厚をそれぞれW0およびd0とした。図5(b)に示すように、比較例2では共振領域50より外側の圧電膜14に挿入膜28が挿入されている。圧電膜14に挿入膜28が挿入された幅をW0、挿入膜28の膜厚をd0とした。図5(c)に示すように、実施例1では領域52の幅をW1、挿入膜28aの膜厚をd1とした。領域54の幅をW2、挿入膜28bの膜厚をd2とした。
シミュレーションに用いた各材料および膜厚は以下である。
下部電極12の下層12a:膜厚が100nmのCr膜
下部電極12の上層12b:膜厚が200nmのRu膜
圧電膜14:膜厚が1260nmのAlN膜
下部圧電膜14a:膜厚が630nmのAlN膜
上部圧電膜14b:膜厚が630nmのAlN膜
挿入膜28:酸化シリコン膜
上部電極16:膜厚が230nmのRu膜
共振領域50の幅W5:42μm
共振領域50より外側の空隙30の幅W6:13μm
共振領域50より外側の下部圧電膜14aの幅W7:8μm
比較例1
挿入膜28の膜厚d0:150nm
挿入膜28の挿入幅W0:2200nm
比較例2
挿入膜28の膜厚d0:300nm
挿入膜28の挿入幅W0:2800nm
実施例1
サンプルd1=200nm
挿入膜28aの膜厚d1:200nm
挿入膜28aの挿入幅W1:3400nm
挿入膜28bの膜厚d2:300nm
挿入膜28bの挿入幅W2:4000nm
サンプルd1=205nm
挿入膜28aの膜厚d1:205nm
挿入膜28aの挿入幅W1:3400nm
挿入膜28bの膜厚d2:300nm
挿入膜28bの挿入幅W2:3800nm
サンプルd1=210nm
挿入膜28aの膜厚d1:210nm
挿入膜28aの挿入幅W1:4400nm
挿入膜28bの膜厚d2:300nm
挿入膜28bの挿入幅W2:2800nm
図6は、比較例1、2および実施例1における反共振周波数におけるQ値および電気機械結合係数を示す図である。図6に示すように、比較例1、2および実施例1において、反共振周波数におけるQ値、電気機械結合係数kはほぼ同程度である。詳細にみると、比較例2は電気機械結合係数が少し小さい。
図7は、比較例2および実施例1における周波数に対するQ値を示す図である。図7に示すように、比較例2ではQ値は共振周波数frが最大で、共振周波数frから周波数が大きくなるとQ値が小さくなる。実施例1のd1=205nmでは、共振周波数frから周波数が大きくなるとQ値は大きくなる。2.15GHz付近でQ値は最大となる。反共振周波数faにおいては比較例2と実施例1とでQ値はほぼ同じであるが、Q値の最大値は実施例1が大きい。実施例1はQ値の大きい範囲が比較例2より大きい。
図8(a)および図8(b)は、それぞれ比較例1および2における周波数に対する反射係数S11を示す図である。図8(a)および図8(b)に示すように、比較例1および2においては大きなスプリアス74が観測される。
図9(a)から図9(c)は、それぞれ実施例1のd1=200nm、205nmおよび210nmにおける周波数に対する反射係数S11を示す図である。図9(a)から図9(c)に示すように、比較例1および2に比べスプリアスが非常に小さい。
比較例1、2では、挿入膜28を設けることで横モードの弾性波が挿入膜28の内輪郭で反射される。これにより、横モードの弾性波が共振領域50の外に漏洩すること(すなわち弾性波エネルギーが共振領域50外に漏れること)を抑制できる。しかし、図7(a)および図7(b)のように、横モードの弾性波に起因したスプリアスが発生する。
実施例1では、Q値および電気機械結合係数kを比較例1および2と同程度以上とし、かつ図8(a)および図8(b)のようにスプリアスを抑制できる。
実施例1において、Q値を向上させ、かつスプリアスを抑制できる理由を説明する。実施例1における横モードの弾性波(横方向に伝搬する弾性波)の分散特性をシミュレーションした。シミュレーション条件は上記条件と同じである。シミュレーションした弾性波のモードは、圧電薄膜共振器において用いる主モードである。
図10は、実施例1における横モードの分散特性を示す図である。図10において、横軸は横方向の波数であり、縦軸は周波数である。波数が0のとき、弾性波は横方向に伝搬せず、厚み縦モードの応答が生じる。波数が0より大きい場合、横方向に弾性波が伝搬し、横モードの弾性波となる。共振領域50の分散特性の波数が0の周波数が圧電薄膜共振器の共振周波数frとなる。共振領域50において、波数が0から大きくなると周波数が低くなる。周波数がf0を越えると、周波数は波数にともない高くなる。周波数がf0とfrとの間の周波数帯域においてスプリアスが発生しやすくなる。
反共振周波数faにおける共振領域50の波数をβ50、領域54の波数をβ54とする。波数β54はβ50より大きい。これは、領域54における横モードの弾性波は共振領域50における横モードの弾性波より遅いことを示している。これにより、共振領域50を伝搬した横モードの弾性波は、領域54において反射される。よって、共振領域50から横モードの弾性波が漏洩することを抑制できる。よって、Q値が向上する。
次に、実施例1において、スプリアスが抑制できる理由を説明する。図11(a)および図11(b)は、共振領域と挿入膜が挿入された領域の分散特性を示す図である。図11(a)に示すように、圧電膜14に厚い挿入膜が挿入された領域54では、遮断周波数f2は共振周波数frより小さくなる。図11(b)に示すように、圧電膜14に薄い挿入膜が挿入された領域52では、遮断周波数f1は共振周波数fr付近となる。
図12(a)は、領域54が共振領域50に接する場合の断面図、図12(b)から図12(e)は、横モード弾性波の第1から第4モード定在波の電気信号を示す図である。図12(a)に示すように、共振領域50の両側に領域54が接して設けられている。この構成は比較例2に対応する。このとき、図11(a)のように、領域54の遮断周波数f2が共振周波数frより低い。このため、共振周波数frより周波数の低い横モード弾性波は領域54を伝搬できない。よって、共振領域50と領域54との境界56aは固定端となる。
図12(b)から図12(e)のように、境界56aは定在波の節となる。第1モードおよび第3モードでは、共振領域50内における定在波の正の電気信号の面積80aの合計と負側の電気信号の面積80bの合計とは同じとなる。このため、スプリアスは生じない。第2モードおよび第4モードでは、共振領域50内における定在波の正の電気信号の面積80aの合計と負側の電気信号の面積80bの合計とが異なる。このため、スプリアスが生じる。
図13(a)は、領域52が共振領域50に接する場合の断面図、図13(b)から図13(e)は、横モード弾性波の第1から第4モード定在波の電気信号を示す図である。図13(a)に示すように、共振領域50の両側に領域52が接して設けられている。この構成は実施例1の共振領域50および領域52に対応する。このとき、図11(b)のように、領域52の遮断周波数f1が共振周波数fr近傍にある。このため、共振周波数frより周波数の低い横モード弾性波は領域52を伝搬でききる。よって、共振領域50と領域52との境界56bは自由端となる。
図13(b)から図13(e)のように、境界56bは定在波の腹となり、領域52の外端が定在波の節となる。第1モードから第4モードのいずれにおいても、共振領域50内における定在波の正の電気信号の面積80aの合計と負側の電気信号の面積80bの合計とは同じとなる。このため、スプリアスは生じない。
比較例2では、図10のように、領域54における反共振周波数fa付近の波数β54を共振領域50における反共振周波数fa付近の波数β50より大きくする。これにより、反共振周波数fa付近の横モード弾性波の共振領域50外への漏洩を抑制できる。よって、Q値を向上できる。しかし、領域54における波数が0の遮断周波数f2が共振周波数frより小さくなる。これにより、共振領域50と領域54との境界56aが固定端となってしまい、スプリアスが発生する。
実施例1では、領域52の外側に領域54を設けることで、反共振周波数fa付近の横モード弾性波の共振領域50外への漏洩を抑制できる。よって、Q値を向上できる。また、領域52における遮断周波数f1が共振周波数fr付近のため、共振領域50と領域52との境界56bが自由端となる。よって、スプリアスが発生しない。このように、Q値の向上とスプリアスの抑制を行うことができる。
実施例1によれば、挿入膜28は、共振領域50を囲む少なくとも一部において共振領域50より外側に設けられ、共振領域50内に設けられていない。共振領域50より外側の領域52(第1領域)における膜厚d1(第1膜厚)は、領域52より外側の領域54(第2領域)における膜厚d2(第2膜厚)より小さい。これにより、Q値を向上しかつスプリアスを抑制することができる。
平面視において、共振領域50と領域52と領域54の少なくとも一部とは空隙30に重なる。これにより、共振領域50、領域52、および領域54の少なくとも一部内の圧電膜14を横モードの弾性波が伝搬する。このため、共振領域50と領域52との界面が自由端となる。よって、図14のように、スプリアスを抑制できる。
図10のように、共振領域50の反共振周波数faにおける領域54の横モードの波数β54、反共振周波数faにおける共振領域50の横モードの波数β50より大きい。これにより、横モードの弾性波が共振領域50外に漏洩することが抑制される。よって、Q値がより向上する。
また、領域52の横モードの波数が0となる周波数f1は領域54の横モードの波数が0となる周波数f2数より高い。これにより、共振領域50と領域52との界面が自由端となり、スプリアスを抑制できる。
図14(a)から図14(d)は、それぞれ実施例1、実施例1の変形例1から3に係る圧電薄膜共振器の断面図である。図14(a)に示すように、実施例1の圧電薄膜共振器において、簡略化のため空隙30を基板10内に図示する。その他の構成は、図1(a)から図1(c)と同じである。
[実施例1の変形例1]
図14(b)に示すように、下部電極12上において下部圧電膜14aおよび挿入膜28bが空隙30の外側まで延伸している。上部圧電膜14bの外輪郭が空隙30の外輪郭66の内側に位置するため、領域54の外輪郭64は空隙30の外輪郭66より内側に位置する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
[実施例1の変形例2]
図14(c)に示すように、下部圧電膜14aおよび挿入膜28bが空隙30の外側まで延伸している。上部圧電膜14bの外輪郭は空隙30の外輪郭66に略一致している。このため、領域54の外輪郭64は空隙30の外輪郭66と略一致する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
[実施例1の変形例3]
図14(d)に示すように、下部圧電膜14a、挿入膜28bおよび上部圧電膜14bが空隙30の外側まで延伸している。このため、領域54の外輪郭64は空隙30の外輪郭66と略一致する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例1から3のように、下部圧電膜14a、挿入膜28bおよび上部圧電膜14bのそれぞれの外輪郭は、空隙30の外輪郭66の内側に位置、外側に位置、または略一致してもよい。
[実施例1の変形例4]
図15(a)から図15(c)は、それぞれ実施例1の変形例4から6の断面図である。図15(a)に示すように、挿入膜28bの外輪郭は空隙30の外輪郭66より外側に位置する。このため、領域54の外輪郭64は空隙30の外輪郭66と略一致する。その他の構成は実施例1の変形例3と同じであり説明を省略する。
[実施例1の変形例5]
図15(b)に示すように、領域52および54における上部圧電膜14b上に空隙32を介し上部電極16が設けられている。上部圧電膜14bの外輪郭は空隙30の外輪郭66の外側に位置する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
[実施例1の変形例6]
図15(c)に示すように、領域52および54における下部圧電膜14a下に空隙32を介し下部電極12が設けられている。上部圧電膜14bの外輪郭は空隙30の外輪郭66の外側に位置する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例5および6のように、領域52および54において、圧電膜14と下部電極12との間と、圧電膜14と上部電極16との間と、の少なくとも一方に空隙32が設けられていてもよい。この場合、共振領域50は例えば空隙32が設けられていない領域となる。
[実施例1の変形例7]
図16(a)から図16(d)は、実施例1の変形例7の断面図である。図16(a)から図16(d)に示すように、領域52の内輪郭61は共振領域50の外輪郭60より外側に位置する。共振領域50と領域52との間には挿入膜は設けられてない。その他の構成は、それぞれ実施例1、実施例1の変形例5、6および3と同じであり説明を省略する。
実施例1およびその変形例1から6では、領域52の内輪郭は共振領域50の外輪郭60に略一致しているが、実施例1の変形例7のように、領域52の内輪郭61は共振領域50の外輪郭60より外側に位置してもよい。これにより、製造工程における共振領域50と挿入膜28aとの位置合わせマージンを確保することができる。領域52の内輪郭61と共振領域50の外輪郭60との距離は横モード弾性波の波長以下が好ましい。
[実施例1の変形例8]
図17(a)から図17(d)は、実施例1の変形例8の断面図である。図17(a)から図17(d)に示すように、領域54の内輪郭63は領域52の外輪郭62より外側に位置する。領域52と領域54との間には挿入膜は設けられてない。その他の構成は、それぞれ実施例1およびその変形例1から3と同じであり説明を省略する。
実施例1およびその変形例1から7では、領域54の内輪郭は領域52の外輪郭62に略一致しているが、実施例1の変形例8のように、領域54の内輪郭63は領域52の外輪郭62より外側に位置してもよい。領域54の内輪郭63と領域52の外輪郭62との距離は横モード弾性波の波長以下が好ましい。
実施例2およびその変形例1は、空隙の構成を変えた例である。図18(a)は、実施例2の圧電薄膜共振器の断面図、図18(b)は、実施例2の変形例1の圧電薄膜共振器の断面図である。図18(a)に示すように、基板10の上面に窪みが形成されている。下部電極12は、基板10上に平坦に形成されている。これにより、空隙30が、基板10の窪みに形成されている。空隙30は共振領域50を含むように形成されている。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。空隙30は、基板10を貫通するように形成されていてもよい。なお、下部電極12の下面に絶縁膜が接して形成されていてもよい。すなわち、空隙30は、基板10と下部電極12に接する絶縁膜との間に形成されていてもよい。絶縁膜としては、例えば窒化アルミニウム膜を用いることができる。
図18(b)に示すように、共振領域50の下部電極12下に音響反射膜31が形成されている。音響反射膜31は、音響インピーダンスの低い膜30aと音響インピーダンスの高い膜30bとが交互に設けられている。膜30aおよび30bの膜厚は例えばそれぞれλ/4(λは弾性波の波長)である。膜30aと膜30bの積層数は任意に設定できる。音響反射膜31は、音響特性の異なる少なくとも2種類の層が間隔をあけて積層されていればよい。また、基板10が音響反射膜31の音響特性の異なる少なくとも2種類の層のうちの1層であってもよい。例えば、音響反射膜31は、基板10中に音響インピーダンスの異なる膜が一層設けられている構成でもよい。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1およびその変形例において、実施例2と同様に空隙30を形成してもよく、実施例2の変形例1と同様に空隙30の代わりに音響反射膜31を形成してもよい。
実施例1およびその変形例並びに実施例2のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において空隙30が基板10と下部電極12との間に形成されているFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)でもよい。また、実施例2の変形例1のように、圧電薄膜共振器は、共振領域50において下部電極12下に圧電膜14を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜31を備えるSMR(Solidly Mounted Resonator)でもよい。
実施例1から実施例2およびその変形例において、挿入膜28が共振領域50を全て囲むように設けられているが、挿入膜28は共振領域50の少なくとも一部において共振領域50より外側に設けられていればよい。例えば領域52および54は一部がカットされた環状でもよい。共振領域50が楕円形状の例を説明したが、他の形状でもよい。例えば、共振領域50は、四角形または五角形等の多角形でもよい。
実施例3は、実施例1、2およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いたフィルタおよびデュプレクサの例である。図19(a)は、実施例3に係るフィルタの回路図である。図19(a)に示すように、入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の並列共振器P1からP4が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP4の少なくとも1に実施例1から2およびその変形例の弾性波共振器を用いることができる。ラダー型フィルタの共振器の個数等は適宜設定できる。
図19(b)は、実施例3の変形例に係るデュプレクサの回路図である。図19(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ40が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ42が接続されている。送信フィルタ40は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ42は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例3のフィルタとすることができる。
フィルタが実施例1から2およびその変形例の圧電薄膜共振器を含む。これにより、共振器のQ値が向上し、フィルタのスカート特性を向上できる。また、スプリアスを抑制し、例えば通過帯域内のリップルを抑制できる。
また、送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例1から2およびその変形例の圧電薄膜共振器を含むフィルタとすることができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
14 圧電膜
14a 下部圧電膜
14b 上部圧電膜
16 上部電極
28、28a、28b 挿入膜
30 空隙
31 音響反射膜
40 送信フィルタ
42 受信フィルタ
50 共振領域
52、54 領域

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた圧電膜と、
    前記圧電膜の少なくとも一部を挟み対向する下部電極および上部電極と、
    前記圧電膜に挿入され、前記圧電膜を挟み前記下部電極と前記上部電極とが対向する共振領域を囲む少なくとも一部において前記共振領域より外側に設けられ、前記共振領域内に設けられておらず、前記共振領域より外側の第1領域における第1膜厚は、前記第1領域より外側の第2領域における第2膜厚より小さい挿入膜と、
    を具備する圧電薄膜共振器。
  2. 前記基板内または上に設けられ、空隙、または音響特性の異なる少なくとも2種類の層が積層された音響反射膜、を含む音響反射層を具備し、
    平面視において、前記共振領域と前記第1領域と前記第2領域の少なくとも一部とは前記音響反射層に重なる請求項1記載の圧電薄膜共振器。
  3. 前記共振領域の反共振周波数における前記第2領域の横モードの波数は、前記共振領域の反共振周波数における前記共振領域の横モードの波数より大きい請求項1または2記載の圧電薄膜共振器。
  4. 前記第1領域の横モードの波数が0となる周波数は前記第2領域の横モードの波数が0となる周波数より高い請求項1から3のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
  5. 前記第1領域の内輪郭は前記共振領域の外輪郭に略一致する請求項1から4のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
  6. 前記第1領域の内輪郭は前記共振領域の外輪郭より外側に位置し、前記圧電膜と前記第1領域との間には前記挿入膜は設けられていない請求項1から4のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
  7. 前記第1領域の外輪郭と前記第2領域の内輪郭は略一致する請求項1から6のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
  8. 前記挿入膜の音響インピーダンスは前記圧電膜より小さい請求項1から7のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
  9. 請求項1から8のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器を含むフィルタ。
  10. 請求項9記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
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