JP7190313B2 - 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ - Google Patents

圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ Download PDF

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Description

本発明は、圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサに関する。
圧電薄膜共振器を用いた弾性波デバイスは、例えば携帯電話等の無線機器のフィルタおよびデュプレクサとして用いられている。圧電薄膜共振器は、圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する積層体を有している。積層体を圧縮応力とすることにより、基板と下部電極との間にドーム状の空隙を形成することが知られている(例えば特許文献1)。共振器本体の周縁端部における空隙に臨む部分のない壁面を基板の厚み方向位置表面とのなす角を鋭角とすることが知られている(例えば特許文献2)。
特開2005-347898号公報 特開2010-154233号公報
空隙の端に応力が集中すると、空隙と圧電膜とが接する領域において圧電膜にクラック等が生じる。このように、圧電膜に応力が集中し圧電膜が劣化する。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、圧電膜に加わる応力を抑制することを目的とする。
本発明は、基板と、前記基板上に空隙を介し設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた圧電膜と、前記圧電膜上に、前記下部電極とで前記圧電膜の少なくとも一部を挟み前記下部電極と対向するように設けられた上部電極と、平面視において前記下部電極側の端が前記空隙の内に位置しかつ前記下部電極と反対側の端が前記空隙の外に位置するように、前記基板と前記圧電膜との間に設けられ、前記下部電極と離間する付加膜と、を備え、前記下部電極の前記付加膜側の第1端面および前記付加膜の前記下部電極側の第2端面は前記圧電膜に覆われている圧電薄膜共振器である。
上記構成において、前記付加膜は、平面視において上部電極と重なる構成とすることができる。
上記構成において、前記付加膜と前記下部電極とは電気的に絶縁されている構成とすることができる。
上記構成において、前記付加膜と前記上部電極とは電気的に接続される構成とすることができる。
上記構成において、前記付加膜は金属膜または樹脂膜である構成とすることができる。
上記構成において、前記付加膜の材料は前記下部電極の材料と同じである構成とすることができる。
上記構成において、前記空隙はドーム状の形状を有する構成とすることができる。
上記構成において、前記付加膜は前記空隙の外側において前記基板と接する構成とすることができる。
上記構成において、前記第1端面において前記第1端面の下端と前記圧電膜の下端とは一致し、前記第2端面において前記第2端面の下端と前記圧電膜の下端とは一致する構成とすることができる。
本発明は、上記圧電薄膜共振器を含むフィルタである。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、圧電膜に加わる応力を抑制することができる。
図1(a)および図1(b)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(c)は、図1(a)および図1(b)のA-A断面図である。 図2は、図1(a)および図1(b)のB-B断面図である。 図3(a)から図3(e)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。 図4(a)は、比較例1に係る圧電薄膜共振器の断面図、図4(b)は、図4(a)の空隙の端付近の拡大図である。 図5(a)は、比較例2に係る圧電薄膜共振器の断面図、図5(b)は、図5(a)の空隙の端付近の拡大図である。 図6(a)は、比較例3に係る圧電薄膜共振器の断面図、図6(b)は、図6(a)の空隙の端付近の拡大図である。 図7(a)は、比較例4に係る圧電薄膜共振器の断面図、図7(b)は、図7(a)の空隙の端付近の拡大図である。 図8は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の拡大断面図である。 図9(a)および図9(b)は、実施例1の変形例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図9(c)は、図9(a)および図9(b)のA-A断面図である。 図10(a)および図10(b)は、実施例1の変形例1の効果を説明するための圧電薄膜共振器の断面図である。 図11(a)および図11(b)は、それぞれ実施例1の変形例2および3に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図12(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図、図12(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。
以下図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
図1(a)および図1(b)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(c)は、図1(a)および図1(b)のA-A断面図である。図2は、図1(a)および図1(b)のB-B断面図である。図1(a)は、下部電極12、上部電極16および空隙30を示す平面図であり、図1(b)は、下部電極12、付加膜20および空隙30を示す平面図である。基板10の面方向をX方向およびY方向とし、積層膜18の積層方向をZ方向とする。
図1(a)から図2に示すように、基板10上に、下部電極12が設けられている。基板10の平坦主面と下部電極12との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成されている。ドーム状の膨らみとは、例えば空隙30の周辺では空隙30の高さが小さく、空隙30の内部ほど空隙30の高さが大きくなるような形状の膨らみである。基板10は例えばシリコン(Si)基板である。下部電極12は、例えば基板側からクロム(Cr)膜およびルテニウム(Ru)膜である。
下部電極12上に、圧電膜14が設けられている。圧電膜14は、例えば(0001)方向を主軸とする(すなわちC軸配向性を有する)窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする窒化アルミニウム膜である。
圧電膜14上に上部電極16が設けられている。上部電極16は、例えば圧電膜側からルテニウム膜およびクロム膜である。積層膜18は、下部電極12、圧電膜14および上部電極16を含む。圧電膜14の少なくとも一部を挟み下部電極12と上部電極16とが対向する領域は共振領域50である。共振領域50の平面形状は例えば楕円形状である。共振領域50内の積層膜18は厚み縦振動モードの弾性波が共振する領域である。
共振領域50内の上部電極16上に周波数調整膜および/または保護膜として酸化シリコン膜等の絶縁膜が形成されていてもよい。共振領域50の積層膜18内に周波数調整膜が設けられていてもよい。
共振領域50から上部電極16が引き出される領域は引き出し領域52である。引き出し領域52は共振領域の-X方向に設けられている。圧電膜14の平面形状は、上部電極16とほぼ同じまたは上部電極16よりやや大きい。圧電膜14は、共振領域50および引き出し領域52に設けられている。
引き出し領域52において、下部電極12の端は空隙30上に設けられている。引き出し領域52における空隙30の周縁部から空隙30の外側の基板10上にかけて、付加膜20が設けられている。付加膜20は、空隙30の外周に沿って設けられている。付加膜20は下部電極12と離間している。付加膜20と下部電極12との間において、圧電膜14が空隙30に露出している。付加膜20は、例えば基板10側からクロム膜およびルテニウム膜である。
基板10としては、シリコン基板以外に、サファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。
下部電極12、上部電極16および付加膜20としては、ルテニウムおよびクロム以外にもアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはイリジウム(Ir)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。
付加膜20は、下部電極12および上部電極16と異なる材料からなる膜でもよい。付加膜20は、金属膜であり、下部電極12および上部電極16として例示した金属元素に加え、例えば金(Au)等の単層膜またはこれらの積層膜でもよい。付加膜20は、導電性樹脂(導電性高分子材料)またはポリイミド樹脂等の絶縁性樹脂(絶縁性高分子材料)でもよい。
圧電膜14としては、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)等を用いることができる。また、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。圧電性の向上のための元素は、例えば、スカンジウム(Sc)、2族元素もしくは12族元素と4族元素との2つの元素、または2族元素もしくは12族元素と5族元素との2つの元素である。これにより、圧電薄膜共振器の電気機械結合係数を向上できる。2族元素は、例えばカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)またはストロンチウム(Sr)である。12族元素は例えば亜鉛(Zn)である。4族元素は、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。5族元素は、例えばタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)またはバナジウム(V)である。さらに、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、ボロン(B)を含んでもよい。
2GHzの共振周波数を有する圧電薄膜共振器の場合の各層の材料および厚さを以下に例示する。下部電極12は膜厚が100nmのクロム膜および膜厚が200nmのルテニウム膜である。圧電膜14は膜厚が1200nmの窒化アルミニウム膜である。上部電極16は膜厚が230nmのルテニウム膜および膜厚が50nmのクロム膜である。圧電膜14に膜厚が150nmの酸化シリコン膜を挿入膜として挿入してもよい。
[実施例1の製造方法]
図3(a)から図3(e)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。図3(a)に示すように、平坦主面を有する基板10上に空隙を形成するための犠牲層38を形成する。犠牲層38の膜厚は、例えば10~100nmであり、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛、ゲルマニウム(Ge)または酸化シリコン等のエッチング液またはエッチングガスに容易に溶解できる材料から選択される。犠牲層38は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い成膜される。犠牲層38を、例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。犠牲層38は、リフトオフ法により形成してもよい。犠牲層38の形状は、空隙30の平面形状に相当する形状であり、例えば共振領域50となる領域を含む。
図3(b)に示すように、犠牲層38および基板10上に下部電極12を例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い形成する。下部電極12を、例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。下部電極12は、リフトオフ法により形成してもよい。
図3(c)に示すように、犠牲層38および基板10上に付加膜20を例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い形成する。付加膜20を、例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。付加膜20は、リフトオフ法により形成してもよい。付加膜20が樹脂膜の場合、付加膜20を印刷法を用い形成してもよい。また、付加膜20を感光性樹脂として、塗布、露光および現像により付加膜20を形成してもよい。付加膜20は下部電極12と同時に形成してもよい。この場合、付加膜20の膜厚および材料は下部電極12の膜厚および材料と同じとなる。
図3(d)に示すように、下部電極12および基板10上に圧電膜14を、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。このとき、圧電膜14内に挿入膜を形成してもよい。挿入膜は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い形成される。挿入膜は、例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングされる。挿入膜は、リフトオフ法により形成してもよい。圧電膜14を、例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。
図3(e)に示すように、上部電極16を、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。上部電極16を例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。上部電極16は、リフトオフ法により形成してもよい。図3(d)において圧電膜14をパターニングせず、上部電極16をマスクに圧電膜14をエッチングしてもよい。下部電極12、圧電膜14および上部電極16により積層膜18が形成される。
その後、犠牲層38を例えばエッチング法を用い除去する。積層膜18の応力を圧縮応力となるように設定しておく。これにより、犠牲層38が除去されると、積層膜18が基板10の反対側に基板10から離れるように膨れる。下部電極12と基板10との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成される。以上により、図1(a)から図2の圧電薄膜共振器が形成される。
[比較例1]
図4(a)は、比較例1に係る圧電薄膜共振器の断面図、図4(b)は、図4(a)の空隙の端付近の拡大図である。図4(a)に示すように、付加膜20が設けられていない。引き出し領域52において、下部電極12と空隙30の端が略一致する。空隙30の端と基板10とが接する箇所が箇所54である。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
図4(b)に示すように、箇所54では、基板10と空隙30の端とが接している。さらに、箇所54において下部電極12および圧電膜14が接している。箇所54においては応力が集中しやすくなる。例えばドーム状の空隙30を形成するため積層膜18を圧縮応力とすると、箇所54に応力が集中する。また、温度が変化すると熱膨張係数の差に起因する応力が箇所54に集中する。このため、箇所54の外側の基板10上の領域56および箇所54の内側の空隙30上の領域57に大きい応力が加わる。なお、基板10は、積層膜18を支持するため強固な材料からなるため、箇所54付近の基板10に応力が加わってもクラック等は生じにくい。
基板10上にスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法等により形成された圧電膜14は脆い。例えば、基板10上にスパッタリング法を用い窒化アルミニウム膜を形成すると、窒化アルミニウム膜は基板10の表面に垂直方向に伸びる柱状の結晶構造を有する。このため、窒化アルミニウム膜は垂直方向に劈開しやすく割れやすい。このように、基板10上に形成された圧電膜14は脆いため、領域56の圧電膜14に箇所54を起点とするクラック(ひび割れ)等が生じる。
下部電極12は金属膜である。金属膜は延性および展性が大きいため応力が加わってもクラック等は生じにくい。これにより領域57にはクラック等は生じにくい。
[比較例2]
図5(a)は、比較例2に係る圧電薄膜共振器の断面図、図5(b)は、図5(a)の空隙の端付近の拡大図である。図5(a)および図5(b)に示すように、比較例2では、付加膜20は設けられていない。下部電極12の端は空隙30の端の内側に位置する。このため、領域56および57はともに圧電膜14である。よって、領域56に加え領域57においても箇所54に集中する応力によりクラック等が生じやすくなる。
[比較例3]
図6(a)は、比較例3に係る圧電薄膜共振器の断面図、図6(b)は、図6(a)の空隙の端付近の拡大図である。図6(a)および図6(b)に示すように、比較例3では、付加膜20は設けられていない。下部電極12の端は空隙30の端より外側に位置する。このため、領域56および57はともに下部電極12である。よって、領域56および57に応力が加わってもクラック等が生じにくい。
しかしながら、共振領域50が空隙30より大きくなる。空隙30より外側の共振領域50では、弾性波は共振しにくいため共振特性への寄与は小さいものの下部電極12と上部電極16との間の静電容量は生じる。このため、比較例3では、電気機械結合係数が小さくなる。
[比較例4]
図7(a)は、比較例4に係る圧電薄膜共振器の断面図、図7(b)は、図7(a)の空隙の端付近の拡大図である。図7(a)および図7(b)に示すように、比較例4では、付加膜20が設けられている。付加膜20の外側の端は空隙30の端と一致する。このため、領域56は圧電膜14であり、領域57は付加膜20である。領域56の圧電膜14に応力が加わるためクラック等が生じやすい。
[実施例1の効果]
図8は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の空隙の端付近の拡大断面図である。図8に示すように、付加膜20の外側の端は空隙30の端より外側に位置し、付加膜20の内側の端は空隙30の端より内側に位置する。これにより、領域56および57はともに付加膜20である。付加膜20は圧電膜14よりクラック等が生じにくい。よって、圧電膜14の劣化が生じにくい。また、付加膜20は下部電極12から離間しているため、比較例3のような電気機械結合係数の劣化は生じない。
付加膜20の外側の端と空隙30の端との距離をL1、付加膜20の内側の端と空隙30との距離をL2、付加膜20と下部電極12との距離をL3とする。付加膜20の外側の基板10上の領域58、付加膜20と下部電極12と間の空隙30上の領域60、および付加膜20上の領域59は圧電膜14である。このため、大きい応力が加わらないことが好ましい。よって、領域58から60は箇所54から離れることが好ましい。
領域59を箇所54から離すため、付加膜20の膜厚は、下部電極12の膜厚以上が好ましく、下部電極12の膜厚の2倍以上がより好ましく、3倍以上がさらに好ましい。領域58および60を箇所54から離すため、距離L1およびL2は、下部電極12の膜厚以上が好ましく、付加膜20の膜厚の2倍以上がより好ましく、3倍以上がさらに好ましい。製造時の合わせ精度等を考慮すると、距離L1およびL2は1μm以上が好ましく、例えば1.5μmである。距離L3は、付加膜20と下部電極12とが絶縁されかつ大きすぎない程度であればよく、例えば距離L3は0.1μmから1μmである。
[実施例1の変形例1]
図9(a)および図9(b)は、実施例1の変形例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図9(c)は、図9(a)および図9(b)のA-A断面図である。図9(a)は、下部電極12、上部電極16、接続配線22および空隙30を示す平面図であり、図9(b)は、下部電極12、付加膜20、接続配線22および空隙30を示す平面図である。
図9(a)から図9(c)に示すように、付加膜20は、引き出し領域52全体に設けられている。圧電膜14の端面に接続配線22が設けられている。接続配線22は付加膜20と上部電極16とを電気的に接続する。接続配線22には、例えば下部電極12および上部電極16で例示した材料を用いることができる。接続配線22は、例えば上部電極16を形成するときに上部電極16と同時に同じ材料を用い形成してもよい。接続配線22は、例えば上部電極16を形成した後に形成してもよい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
Piezoelectric Stiffening現象について説明する。図10(a)および図10(b)は、実施例1の変形例1の効果を説明するための圧電薄膜共振器の断面図である。図10(a)のように、下部電極12および上部電極16が接続される端子44および46間を開放すると、下部電極12および上部電極16に蓄積された電荷により圧電膜14内に電界62が発生する。圧電膜14内のC軸方向の応力Tと歪Sの関係は以下の式1により表される
=c33-e33 (式1)
ここで、c33は弾性定数、e33は圧電定数およびEは電界である。
端子44と46との間が開放の場合は、E≠0であるため、式1を弾性定数C33について解くと式2となる。
33=(T+e33)/S (式2)
図10(b)のように、端子44と46とを短絡すると、圧電膜14内に電界が生じないためE=0となる。式1を弾性定数C33について解くと式3となる。
33=T/S (式3)
式2と式3とを比較すると、e33は一般的に正のため、端子44と46との間が開放のときは短絡のときより弾性定数C33が大きくなる。この現象はPiezoelectric Stiffening現象と呼ばれる。
弾性定数C33が大きいと、応力が加わったときにクラックが発生しやすい。実施例1では、付加膜20が浮遊状態のため、比較的応力が大きい付加膜20の周囲において圧電膜14の弾性定数が大きくなる。このため、付加膜20周辺の圧電膜14にクラック等が生成されやすくなる。
実施例1の変形例1では、付加膜20と上部電極16とが電気的に接続されている。これにより、付加膜20の周囲の圧電膜14の弾性定数が小さくなる。よって、応力が大きくてもクラック等の発生を抑制できる。
[実施例1の変形例2]
図11(a)は、実施例1の変形例2に係る圧電薄膜共振器の断面図である。図11(a)に示すように、圧電膜14に挿入膜28が挿入されている。挿入膜28は、共振領域50の外周領域に設けられ、共振領域50の中央領域に設けられていない。挿入膜28は、リング状であり、共振領域50の外周に沿って共振領域50の中央領域を囲むように設けられている。
挿入膜28は、圧電膜14よりヤング率および/または音響インピーダンスが小さい材料である。挿入膜28は、酸化シリコン以外に、アルミニウム(Al)、金、Cu、Ti、Pt、TaまたはCr等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。挿入膜28を設けることで、弾性波の共振料以外への漏洩を抑制できる。これにより、Q値等の特性を向上できる。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。実施例1の変形例1に挿入膜28を設けてもよい。
[実施例1の変形例3]
図11(b)は、実施例1の変形例3に係る圧電薄膜共振器の断面図である。図11(b)に示すように、基板10の上面に窪みが形成されている。下部電極12は、基板10上に平坦に形成されている。これにより、空隙30が、基板10の窪みに形成されている。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。実施例1の変形例1および2において、空隙30が基板10の上面の窪みに設けられていてもよい。
共振領域50が楕円形状の例を説明したが、他の形状でもよい。例えば、共振領域50は、四角形または五角形等の多角形でもよい。
実施例1およびその変形例によれば、下部電極12は基板10上に空隙30を介し設けられる。上部電極16は、圧電膜14上に、下部電極12とで圧電膜14の少なくとも一部を挟み下部電極12と対向するように設けられる。付加膜20は、平面視において下部電極12側の端が空隙30の内に位置しかつ下部電極12と反対側の端が空隙30の外に位置するように、基板10と圧電膜14との間に設けられ、下部電極12と離間する。これにより、大きい応力が加わる領域56および57に圧電膜14が設けられない。このため、圧電膜14に加わる応力を抑制することができる。よって、圧電膜14のクラック等の劣化を抑制できる。
付加膜20は、平面視において上部電極16と重なる。上部電極16と空隙30の端とが重なる領域では、下部電極12を空隙30の外側まで設けると、比較例3のように、圧電薄膜共振器の電気機械結合係数が低下する。よって、付加膜20を設けることが好ましい。
実施例1のように、付加膜20と下部電極12とは電気的に絶縁されていてもよいし、実施例1の変形例1のように、付加膜20と上部電極16とは電気的に接続されてもよい。付加膜20と上部電極16とは電気的に接続されることにより、Piezoelectric Stiffening現象が抑制される。これにより、圧電膜14の弾性定数が小さくなり、圧電膜14におけるクラック等の発生を抑制できる。
付加膜20は金属膜または樹脂膜である。金属膜は圧電膜に比べ延性および展性が大きく、クラック等が形成されにくい。樹脂膜は柔らかくクラック等が形成されにくい。よって、付加膜20をこれらの材料膜とすることでクラック等の発生を抑制できる。
付加膜20の材料は下部電極12の材料と同じである。これにより、付加膜20を下部電極12と同時に形成でき、製造工程を簡略化できる。付加膜20の膜厚は下部電極12の膜厚と略同じである。付加膜20および下部電極12が複数の積層された膜を有する場合、各膜の材料および膜厚は、付加膜20と下部電極12とで同じであることが好ましい。
空隙30がドーム状の形状を有するとき、積層膜18は圧縮応力である。このため、箇所54に応力が集中する。よって、付加膜20を設けることが好ましい。
付加膜20は空隙30の外側において基板10と接する。圧電膜14と基板10とが接していると、圧電膜14の応力が加わりやすい。よって、付加膜20を設けることが好ましい。付加膜20を設けると、付加膜20は基板10に接する。
実施例2は、実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いたフィルタおよびデュプレクサの例である。図12(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図である。図12(a)に示すように、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子Tinと出力端子Toutとの間に、1または複数の並列共振器P1からP3が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP3の少なくとも1つの共振器に実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いることができる。ラダー型フィルタの共振器の個数等は適宜設定できる。
図12(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。図12(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ40が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ42が接続されている。送信フィルタ40は、送信端子Txから入力された高周波信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ42は、共通端子Antから入力された高周波信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例2のフィルタとすることができる。
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
14 圧電膜
16 上部電極
18 積層膜
20 付加膜
22 接続配線
28 挿入膜
40 送信フィルタ
42 受信フィルタ
50 共振領域
52 引き出し領域

Claims (11)

  1. 基板と、
    前記基板上に空隙を介し設けられた下部電極と、
    前記下部電極上に設けられた圧電膜と、
    前記圧電膜上に、前記下部電極とで前記圧電膜の少なくとも一部を挟み前記下部電極と対向するように設けられた上部電極と、
    平面視において前記下部電極側の端が前記空隙の内に位置しかつ前記下部電極と反対側の端が前記空隙の外に位置するように、前記基板と前記圧電膜との間に設けられ、前記下部電極と離間する付加膜と、
    を備え
    前記下部電極の前記付加膜側の第1端面および前記付加膜の前記下部電極側の第2端面は前記圧電膜に覆われている圧電薄膜共振器。
  2. 前記付加膜は、平面視において上部電極と重なる請求項1に記載の圧電薄膜共振器。
  3. 前記付加膜と前記下部電極とは電気的に絶縁されている請求項1または2に記載の圧電薄膜共振器。
  4. 前記付加膜と前記上部電極とは電気的に接続される請求項1または2に記載の圧電薄膜共振器。
  5. 前記付加膜は金属膜または樹脂膜である請求項1から4のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
  6. 前記付加膜の材料は前記下部電極の材料と同じである請求項1から4のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
  7. 前記空隙はドーム状の形状を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
  8. 前記付加膜は前記空隙の外側において前記基板と接する請求項1から7のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
  9. 前記第1端面において前記第1端面の下端と前記圧電膜の下端とは一致し、前記第2端面において前記第2端面の下端と前記圧電膜の下端とは一致する請求項1から8のいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器。
  10. 請求項1からのいずれか一項に記載の圧電薄膜共振器を含むフィルタ。
  11. 請求項10記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
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