JP2018125696A - 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ - Google Patents

圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ Download PDF

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Mamoru Ishida
守 石田
西原 時弘
Tokihiro Nishihara
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Abstract

【課題】電気機械結合係数を向上させること。【解決手段】基板10と、前記基板上に設けられ、窒化アルミニウムを主成分とする圧電膜14と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟んで対向するヤング率がルテニウムのヤング率以上の材料を主成分とする第1電極およびヤング率がルテニウムのヤング率以下の材料を主成分とする第2電極と、を含み、前記圧電膜を挟み前記第1電極と前記第2電極とが対向する共振領域50において前記第2電極側に膨らみ、前記第1電極の膜厚をT1、前記第2電極の膜厚をT2、前記圧電膜の膜厚をT3としたとき、T1/(T2+T3)≧0.9である積層膜と、を具備する圧電薄膜共振器。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサに関し、例えば積層膜が膨らむ圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサに関する。
圧電薄膜共振器を用いた弾性波デバイスは、例えば携帯電話等の無線機器のフィルタおよびデュプレクサとして用いられている。圧電薄膜共振器は、圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する構造を有している。
近年、フィルタの高性能化の要望が大きく、例えばフィルタ特性の広帯域化が求められている。フィルタ広帯域化のためには、圧電膜の電気機械結合係数を大きくすることが有効である。圧電膜に元素をドープした窒化アルミニウム膜を用いることで、圧電薄膜共振器の電気機械結合係数を向上できることが知られている(例えば特許文献1)。圧電膜の残留応力を引張応力とすることで電気機械結合係数を向上できることが知られている(例えば特許文献2)。
特開2013−219743号公報 特開2013−46111号公報
しかしながら、特許文献1のように圧電膜に元素を添加することで電気機械結合係数を向上させようとするとQ値が劣化する。また、特許文献2のように電気機械結合係数を向上させるため圧電膜全体を引張応力とすることは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電気機械結合係数を向上させることを目的とする。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられ、窒化アルミニウムを主成分とする圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟んで対向するヤング率がルテニウムのヤング率以上の材料を主成分とする第1電極およびヤング率がルテニウムのヤング率以下の材料を主成分とする第2電極と、を含み、前記圧電膜を挟み前記第1電極と前記第2電極とが対向する共振領域において前記第2電極側に膨らみ、前記第1電極の膜厚をT1、前記第2電極の膜厚をT2、前記圧電膜の膜厚をT3としたとき、T1/(T2+T3)≧0.9である積層膜と、を具備する圧電薄膜共振器である。
上記構成において、前記第1電極はヤング率がルテニウムのヤング率より大きい材料を主成分とする構成とすることができる。
上記構成において、前記積層膜の膜厚をT4としたとき、T1/(T4−T1)≧0.84である構成とすることができる。
本発明は、基板と、前記基板上に設けられ、窒化アルミニウムを主成分とする圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟んで対向するダイヤモンドライクカーボンを主成分とする第1電極およびヤング率がダイヤモンドライクカーボンのヤング率より小さい材料を主成分とする第2電極と、を含み、前記圧電膜を挟み前記第1電極と前記第2電極とが対向する共振領域において前記第2電極側に膨らむ積層膜と、を具備する圧電薄膜共振器である。
上記構成において、前記第2電極はヤング率がルテニウムのヤング率以下の材料を主成分とし、前記第1電極の膜厚をT1、前記第2電極の膜厚をT2としたとき、T1/T2>1である構成とすることができる。
上記構成において、前記積層膜の膜厚をT4としたとき、T1/(T4−T1)≧0.68である構成とすることができる。
本発明は、前記基板上に設けられ、窒化アルミニウムを主成分とする圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟んで対向する第1電極および第2電極と、を含み、前記圧電膜を挟み前記第1電極と前記第2電極とが対向する共振領域において前記第2電極側に膨らみ、前記圧電膜、第1電極および前記第2電極を含むn個の層(最も前記第1電極側の層から1・・nとする)の各膜厚をtからt、各ヤング率をEからE、およびn個の層のうち最も前記第1電極側の層の下面から各層の上面までの距離をhからhとしたとき、

Figure 2018125696
で求められるλの位置が前記第1電極と前記圧電膜との界面または前記界面より前記第1電極側に位置する積層膜と、を具備する圧電薄膜共振器である。
上記構成において、前記第1電極は前記基板と前記圧電膜との間に設けられ、前記基板と前記第1電極との間にドーム状形状を有する空隙が設けられている構成とすることができる。
本発明は、上記圧電薄膜共振器を含むフィルタである。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、電気機械結合係数を向上させることができる。
図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のA−A断面図である。 図2(a)から図2(c)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。 図3は、実施例1における積層膜の中立面を説明する断面図である。 図4(a)から図4(c)は、積層膜の断面図である。 図5は、圧電膜に加わる応力と電気機械結合係数との関係を示す図である。 図6は、実施例1の変形例3に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。 図7(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図、図7(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。
以下図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
図1(a)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のA−A断面図である。図1(b)は、例えばラダー型フィルタの直列共振器、図1(c)は例えばラダー型フィルタの並列共振器の断面図を示している。
図1(a)および図1(b)を参照し、直列共振器Sの構造について説明する。シリコン(Si)基板である基板10上に、下部電極12が設けられている。基板10の平坦主面と下部電極12との間にドーム状の膨らみを有する空隙30が形成されている。ドーム状の膨らみとは、例えば空隙30の周辺では空隙30の高さが小さく、空隙30の内部ほど空隙30の高さが大きくなるような形状の膨らみである。下部電極12は、例えばRu(ルテニウム)膜またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜である。
下部電極12上に、(002)方向を主軸とする窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする圧電膜14が設けられている。圧電膜14は下部圧電膜14aと上部圧電膜14bを含む。下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間に挿入膜28が設けられている。挿入膜28は、下部電極12と圧電膜14との間または圧電膜14と上部電極16との間に設けられていてもよい。圧電膜14を挟み下部電極12と対向する領域(共振領域50)を有するように圧電膜14上に上部電極16が設けられている。上部電極16は下層16aおよび上層16bを含んでいる。下層16aは例えばRu膜であり、上層16bは例えばCr(クロム)膜である。
上部電極16上には周波数調整膜24として酸化シリコン膜が形成されている。共振領域50内の積層膜18は、下部電極12、圧電膜14、挿入膜28、上部電極16および周波数調整膜24を含む。周波数調整膜24はパッシベーション膜として機能してもよい。共振領域50内の積層膜18は、交流電圧の印加により厚み縦振動モードの弾性波が共振する。
挿入膜28は、共振領域50内の外周領域52に設けられ中央領域54に設けられていない。外周領域52は、共振領域50内の領域であって、共振領域50の外周を含み外周に沿った領域である。外周領域52は、例えば環状および一部がカットされた環状である。中央領域54は、共振領域50内の領域であって、共振領域50の中央を含む領域である。中央は幾何学的な中心でなくてもよい。挿入膜28は、外周領域52に加え共振領域50を囲む領域に設けられている。挿入膜28は、外周領域52から共振領域50外まで連続して設けられている。
図1(a)のように、下部電極12には犠牲層をエッチングするための導入路33が形成されている。犠牲層は空隙30を形成するための層である。導入路33の先端付近は圧電膜14で覆われておらず、下部電極12は導入路33の先端に孔部35を有する。
図1(a)および図1(c)を参照し、並列共振器Pの構造について説明する。並列共振器Pは直列共振器Sと比較し、上部電極16の下層16aと上層16bとの間に質量負荷膜20が設けられている。質量負荷膜20は例えばTi(チタン)膜である。よって、積層膜18は直列共振器Sの積層膜18に加え、共振領域50内の全面に形成された質量負荷膜20を含む。その他の構成は直列共振器Sの図1(b)と同じであり説明を省略する。
直列共振器Sと並列共振器Pとの共振周波数の差は、質量負荷膜20の膜厚を用い調整する。直列共振器Sおよび並列共振器Pが複数ある場合において、直列共振器S同士または並列共振器P同士の共振周波数は、周波数調整膜24の膜厚を異ならせることで調整する。
基板10としては、Si基板以外に、サファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、石英基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。下部電極12および上部電極16としては、RuおよびCr以外にもAl(アルミニウム)、Ti(チタン)、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Pt(白金)、Rh(ロジウム)またはIr(イリジウム)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。下部電極12は、上部電極16よりヤング率が大きいことが好ましい。Ruよりヤング率の大きな材料として、DLC、グラファイト、グラフェン、CNF(カーボンナノファイバー)またはCNT(カーボンナノチューブ)等の炭素材料を下部電極12に用いてもよい。
圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。例えば、添加元素として、Sc(スカンジウム)、2族の元素と4族の元素との2つの元素、または2族と5族との2つの元素を用いることにより、圧電膜14の圧電性が向上する。このため、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。2族の元素は、例えばCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Sr(ストロンチウム)またはZn(亜鉛)である。4族の元素は、例えばTi、Zr(ジルコニウム)またはHf(ハフニウム)である。5族の元素は、例えばTa、Nb(ニオブ)またはV(バナジウム)である。さらに、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、B(ボロン)を含んでもよい。
周波数調整膜24としては、酸化シリコン膜以外にも窒化シリコン膜または窒化アルミニウム等を用いることができる。質量負荷膜20としては、Ti以外にも、Ru、Cr、Al、Cu、Mo、W、Ta、Pt、RhもしくはIr等の単層膜を用いることができる。また、例えば窒化シリコンまたは酸化シリコン等の窒化金属または酸化金属からなる絶縁膜を用いることもできる。質量負荷膜20は、上部電極16の層間(下層16aと上層16bとの間)以外にも、下部電極12の下、下部電極12の層間、上部電極16の上、下部電極12と圧電膜14との間または圧電膜14と上部電極16との間に形成することができる。質量負荷膜20は、共振領域50を含むように形成されていれば、共振領域50より大きくてもよい。
挿入膜28のヤング率は圧電膜14より小さいことが好ましい。密度がほぼ同じであれば、ヤング率は音響インピーダンスと相関することから、挿入膜28の音響インピーダンスは圧電膜14より小さいことが好ましい。これにより、Q値を向上できる。また、挿入膜28を金属膜とすることにより実効的電気機械結合係数を向上できる。さらに、挿入膜28の音響インピーダンスを圧電膜14より小さくするため、圧電膜14が窒化アルミニウムを主成分とする場合、挿入膜28は、Al膜、Au膜、Cu膜、Ti膜、Pt膜、Ta膜、Cr膜または酸化シリコン膜であることが好ましい。特に、ヤング率の観点から挿入膜28は、Al膜または酸化シリコン膜であることが好ましい。
図2(a)から図2(c)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造方法を示す断面図である。図2(a)に示すように、平坦主面を有する基板10上に犠牲層38を、例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い成膜する。犠牲層38の膜厚は、例えば10nmから100nmであり、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛、ゲルマニウム(Ge)または酸化シリコン(SiO)等のエッチング液またはエッチングガスに容易に溶解できる材料から選択される。犠牲層38を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。犠牲層38は、空隙30となるべき領域に形成する。
基板10上に犠牲層38を覆うように下部電極12を例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。下部電極12を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。下部電極12は、リフトオフ法により形成してもよい。下部電極12がDLC膜の場合、下部電極12の成膜にCVD法を用いる。
図2(b)に示すように、下部電極12上に下部圧電膜14aを、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。下部圧電膜14a上に挿入膜28を、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。挿入膜28を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。挿入膜28は、リフトオフ法により形成してもよい。
図2(c)に示すように、下部圧電膜14aおよび挿入膜28上に上部圧電膜14bを、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。圧電膜14上に上部電極16を、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。上部電極16を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い所望の形状にパターニングする。上部電極16は、リフトオフ法により形成してもよい。並列共振器においては、下層16aと上層16bとの間に質量負荷膜を形成する。圧電膜14および上部電極16上に周波数調整膜24を、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い成膜する。
その後、孔部35および導入路33(図1(a)を参照)を介し、犠牲層38のエッチング液を下部電極12の下の犠牲層38に導入する。犠牲層38をエッチングする媒体としては、犠牲層38以外の共振器を構成する材料をエッチングしない媒体であることが好ましい。犠牲層38が除去されると、下部電極12と基板10との間に空隙30が形成される。積層膜18が圧縮応力の場合、空隙30の中央が端より膨れる。これにより、図1(b)に示す実施例1に係る圧電薄膜共振器が製造される。
積層膜18の中立面19について説明する。図3は、実施例1における積層膜の中立面を説明する断面図である。積層膜18において複数の層18から18が積層されている。図3では、複数の層18から18のうち層18から18iを示している。各層18から18の膜厚をtからtおよび各層のヤング率をEからEとする。積層膜18の最下の層18の下面を0としたとき、各層18から18の上面の高さをhからhとする。このとき、中立面19の位置λは数式1により表される。
Figure 2018125696
図4(a)から図4(c)は、積層膜の断面図である。図4(a)示すように、中立面19が圧電膜14内に位置する。このとき、積層膜18が上方に膨らむように湾曲していると、中立面19より上の積層膜18に加わる応力は引張応力60となる。中立面19より下の積層膜18に加わる応力は圧縮応力62となる。つまり、圧電膜14に加わる応力は、引張応力60と圧縮応力62となる。なお、中立面19とは、引張応力および圧縮応力が生じない、伸縮のない面を意味する。
図4(b)に示すように、中立面19が下部電極12と圧電膜14との界面に位置する。このとき、積層膜18が上方に膨らむように湾曲していると、積層膜18に加わる応力は引張応力60となる。図4(c)に示すように、中立面19が下部電極12内に位置すると、積層膜18に加わる応力は引張応力60となる。
図5は、圧電膜に加わる応力と電気機械結合係数との関係を示す図である。図5は特許文献2の結果をまとめている。図5において、内部応力が正のとき圧電膜14に引張応力が加わっている。内部応力が負のとき圧電膜14に圧縮応力が加わっている。図5に示すように、圧電膜14に引張応力が加わると電気機械結合係数kが大きくなる。
実施例1によれば、厚み縦振動モードの弾性波が共振する積層膜18は、共振領域50において上部電極16側に膨らんでいる。積層膜18は圧電膜14、下部電極12(第1電極)および上部電極16(第2電極)を含むi個の層18から18を有する。ここで、i個の層のうち最も下部電極12側から1・・iとする。各層18から18の各膜厚をtからt、各ヤング率をEからE、およびi個の層のうち最も下部電極12側の層18の下面から各層18から18の上面までの距離をhからhとする。このとき、数式1により求められるλの位置が下部電極12と圧電膜14の界面または界面より下部電極12側に位置する。これにより、図4(b)および図4(c)のように、圧電膜14は、引張応力となる。よって、電気機械結合係数kを大きくできる。
窒化アルミニウムを主成分とする圧電膜14に、Sc、B、2族の元素と4族の元素との2つの元素、または2族と5族との2つの元素を添加すると、電気機械結合係数が大きくなる。しかし、Q値が劣化してしまう。実施例1では、圧電膜14におけるこれらの元素の添加量が小さくとも電気機械結合係数を向上できる。よって、Q値の劣化を抑制しかつ電気機械結合係数を向上できる。
積層膜18には、下部電極12、圧電膜14および上部電極16が含まれていればよい。例えば、挿入膜28、周波数調整膜24および質量負荷膜20の少なくとも1つの層は積層膜18に含まれていなくてもよい。また、積層膜18に、他の層が含まれてもよい。例えば積層膜18は、下部電極12と空隙30との間に設けられた絶縁膜または金属膜を含んでもよい。この場合、i個の層のうち最も下部電極12側の層18は下部電極12と空隙30との間に設けられ空隙30に露出する層となる。
[実施例1の変形例1]
実施例1の変形例1は、下部電極12をRu膜とした例である。積層膜18を以下の構成とすると、中立面19が圧電膜14と下部電極12との界面となる。
周波数調整膜24:
材料:SiO、膜厚:70nm、ヤング率:79GPa
上部電極16の上層16b
材料:Cr、膜厚:40nm、ヤング率:279GPa
上部電極16の下層16a
材料:Ru、膜厚:230nm、ヤング率:447GPa
圧電膜14
材料:AlN、膜厚:1260nm、ヤング率:345GPa
下部電極12
材料:Ru、膜厚:1344nm、ヤング率:447GPa
上記の例では、下部電極12の膜厚を1344nm以上とすることで、圧電膜14に加わる応力は全ての箇所で引張応力となる。下部電極12の膜厚をT1、積層膜18の全体の膜厚をT4とする。上記では、T1=1344nmおよびT4−T1=1600nmであり、T1/(T4−T1)=0.84である。また、上部電極16の下層16aの膜厚をT2および圧電膜14の膜厚をT3とすると、T2=230nmおよびT3=1260nmであり、T1/(T2+T3)=0.90である。
実施例1の変形例1によれば、圧電膜14の主成分が窒化アルミニウム、下部電極12の主成分がRu、および下層16aの主成分がRuのとき、T1/(T2+T3)≧0.9とする、またはT1/(T4−T1)≧0.84とする。これにより、圧電膜14に加わる応力は全ての箇所で引張応力となる。よって、電気機械結合係数を大きくできる。
T1/(T2+T3)≧1が好ましく、T1/(T2+T3)≧1.1がより好ましい。T1/(T4−T1)≧0.9が好ましく、T1/(T4−T1)≧1がより好ましい。
圧電薄膜共振器の共振特性を確保するため、積層膜18のうち膜厚の大きい層およびヤング率が大きい層は圧電膜14、下部電極12および下層16aである。よって、圧電膜14、下部電極12および下層16a以外の層の膜厚および材料を変えた場合あっても、T1/(T2+T3)≧0.9またはT1/(T4−T1)≧0.84とすることで、圧電膜14に加わる応力はほとんどの箇所で引張応力とすることができる。
また、中立面19を圧電膜14と下部電極12との界面付近以下とするためには、下部電極12の主成分をヤング率がRuのヤング率以上の材料、および下層16aの主成分をヤング率がRuのヤング率以下の材料とすればよい。
中立面19をより下側とするため、下部電極12の主成分をヤング率がRuのヤング率より大きい材料とすることが好ましい。また、下層16aの主成分をヤング率がRuのヤング率より小さい材料とすることが好ましい。
[実施例1の変形例2]
実施例1の変形例2は、下部電極12をDLC膜とした例である。下部電極12以外の積層膜18の各層の材料および膜厚は実施例1の変形例1と同じとする。
下部電極12
材料:DLC、膜厚:1088nm、ヤング率:760GPa
下部電極12の膜厚を1088nm以上とすることで、圧電膜14に加わる応力は全ての箇所で引張応力となる。上記では、T1=1088nmおよびT4−T1=1600nmであり、T1/(T4−T1)=0.68である。また、T2+T3=1490nmであり、T1/(T2+T3)=0.73である。
実施例1の変形例2によれば、下部電極12はDLCを主成分とし、下層16aはヤング率がDLCのヤング率より小さな材料を主成分とする。これにより、中立面19をより下部電極12側とし、圧電膜14に加わる応力を引張応力とすることができる。よって、機械結合係数を向上できる。
下層16aは、ヤング率がRuのヤング率以下の材料を主成分する。さらに、下部電極12の膜厚T1を下層16aの膜厚T2より大きくする。すなわちT1/T2>1とする。これにより、圧電膜14に加わる応力をより引張応力とすることができる。よって、機械結合係数をより向上できる。T1/T2>2が好ましく、T1/T2>4がより好ましい。
T1/(T2+T3)≧0.73とする、またはT1/(T4−T1)≧0.68とする。これにより、圧電膜14に加わる応力はほぼ全ての箇所で引張応力となる。よって、電気機械結合係数を大きくできる。
T1/(T2+T3)≧0.8が好ましく、T1/(T2+T3)≧1がより好ましい。T1/(T4−T1)≧0.8が好ましく、T1/(T4−T1)≧1がより好ましい。
実施例1およびその変形例1および2のように、基板10と下部電極12との間にドーム状形状を有する空隙30が設けられているとき、下部電極12が第1電極、上部電極16が第2電極となる。
[実施例1の変形例3]
図6は、実施例1の変形例3に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。図6に示すように、基板10の上面に窪みが設けられ、窪み内が空隙30となっている。積層膜18は下に膨らんでいる。下部電極12の下層12aは例えばCr膜、上層12bはRu膜である。上部電極16は、例えばRu膜またはDLC膜である。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
実施例1の変形例3のように、積層膜18が下部電極12側に膨らんでいる場合、中立面は圧電膜14と上部電極16の界面近傍より上側に位置していればよい。すなわち、上部電極16が第1電極となり、下部電極12が第2電極となる。
実施例1およびその変形例において、基板10と積層膜18との間に空隙30が形成される例を説明したが、基板10を貫通する空隙が設けられていてもよい。空隙30の代わりに共振領域50において下部電極12下に圧電膜14を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜を備えてもよい。共振領域50が楕円形状の例を説明したが、他の形状でもよい。例えば、共振領域50は、四角形または五角形等の多角形でもよい。
実施例2は、実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いたフィルタおよびデュプレクサの例である。図7(a)は、実施例2に係るフィルタの回路図である。図7(a)に示すように、入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子T1と出力端子T2との間に、1または複数の並列共振器P1からP4が並列に接続されている。1または複数の直列共振器S1からS4および1または複数の並列共振器P1からP4の少なくとも1つに実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を用いることができる。ラダー型フィルタの共振器の個数等は適宜設定できる。
[実施例2の変形例1]
図7(b)は、実施例2の変形例1に係るデュプレクサの回路図である。図7(b)に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ40が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ42が接続されている。送信フィルタ40は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ42は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例2のフィルタとすることができる。
フィルタは実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を含む。これにより、電気機械結合係数を向上できる。また、送信フィルタ40および受信フィルタ42の少なくとも一方を実施例1およびその変形例の圧電薄膜共振器を含むフィルタとすることができる。マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
14 圧電膜
16 上部電極
18 積層膜
19 中立面
28 挿入膜
30 空隙
40 送信フィルタ
42 受信フィルタ

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられ、窒化アルミニウムを主成分とする圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟んで対向するヤング率がルテニウムのヤング率以上の材料を主成分とする第1電極およびヤング率がルテニウムのヤング率以下の材料を主成分とする第2電極と、を含み、前記圧電膜を挟み前記第1電極と前記第2電極とが対向する共振領域において前記第2電極側に膨らみ、前記第1電極の膜厚をT1、前記第2電極の膜厚をT2、前記圧電膜の膜厚をT3としたとき、T1/(T2+T3)≧0.9である積層膜と、
    を具備する圧電薄膜共振器。
  2. 前記第1電極はヤング率がルテニウムのヤング率より大きい材料を主成分とする請求項1記載の圧電薄膜共振器。
  3. 前記積層膜の膜厚をT4としたとき、T1/(T4−T1)≧0.84である請求項1または2記載の圧電薄膜共振器。
  4. 基板と、
    前記基板上に設けられ、窒化アルミニウムを主成分とする圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟んで対向するダイヤモンドライクカーボンを主成分とする第1電極およびヤング率がダイヤモンドライクカーボンのヤング率より小さい材料を主成分とする第2電極と、を含み、前記圧電膜を挟み前記第1電極と前記第2電極とが対向する共振領域において前記第2電極側に膨らむ積層膜と、
    を具備する圧電薄膜共振器。
  5. 前記第2電極はヤング率がルテニウムのヤング率以下の材料を主成分とし、
    前記第1電極の膜厚をT1、前記第2電極の膜厚をT2としたとき、T1/T2>1である請求項4記載の圧電薄膜共振器。
  6. 前記積層膜の膜厚をT4としたとき、T1/(T4−T1)≧0.68である請求項5記載の圧電薄膜共振器。
  7. 基板と、
    前記基板上に設けられ、窒化アルミニウムを主成分とする圧電膜と、前記圧電膜の少なくとも一部を挟んで対向する第1電極および第2電極と、を含み、前記圧電膜を挟み前記第1電極と前記第2電極とが対向する共振領域において前記第2電極側に膨らみ、前記圧電膜、第1電極および前記第2電極を含むn個の層(最も前記第1電極側の層から1・・nとする)の各膜厚をtからt、各ヤング率をEからE、およびn個の層のうち最も前記第1電極側の層の下面から各層の上面までの距離をhからhとしたとき、
    Figure 2018125696
    で求められるλの位置が前記第1電極と前記圧電膜との界面または前記界面より前記第1電極側に位置する積層膜と、
    を具備する圧電薄膜共振器。
  8. 前記第1電極は前記基板と前記圧電膜との間に設けられ、前記基板と前記第1電極との間にドーム状形状を有する空隙が設けられている請求項1から7のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
  9. 請求項1から8のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器を含むフィルタ。
  10. 請求項9記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
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