JP2007295307A - バルク弾性波共振器、フィルタ回路、及びバルク弾性波共振器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁膜の膜厚を薄くして寄生容量を増大させなくとも、上部電極の抵抗値の増大を抑制できるBAW共振器を提供する。
【解決手段】基板10と、基板10の上面11に設けられたミラー多層膜20と、ミラー多層膜20の上面21に設けられた下部電極30と、下部電極30の上面31に設けられた圧電膜40と、上面51が圧電膜40の上面41と面一になるように下部電極30の上面31に設けられた絶縁膜50と、絶縁膜50の上面51及び圧電膜40の上面41に設けられた上部電極60とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】基板10と、基板10の上面11に設けられたミラー多層膜20と、ミラー多層膜20の上面21に設けられた下部電極30と、下部電極30の上面31に設けられた圧電膜40と、上面51が圧電膜40の上面41と面一になるように下部電極30の上面31に設けられた絶縁膜50と、絶縁膜50の上面51及び圧電膜40の上面41に設けられた上部電極60とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、バルク弾性波共振器、フィルタ回路、及びバルク弾性波共振器の製造方法に関するものである。
図10は、従来のバルク弾性波共振器(以下「BAW(Bulk Acoustic Wave)共振器」と呼ぶ)の構造を示し、(a)は断面図を示し、(b)は上面図を示している。図10(a),(b)に示すように従来のバルク弾性波共振器は、基板601と、基板601上に形成されたミラー多層膜602と、ミラー多層膜602上に形成された下部電極603と、下部電極603上に形成された圧電膜604と、圧電膜604上に形成された絶縁膜606と、絶縁膜606上に形成された上部電極609とを備える。
図11は、図10に示すバルク弾性波共振器の製造工程を示す図である。まず、図11(a)に示すように、基板601上にミラー多層膜602をスパッタ等により形成する。次に、図11(b)に示すように、ミラー多層膜602の上に下部電極603をスパッタ等により形成する。なお、下部電極603は、プラチナ(Pt)やチタニウム(Ti)等からなる多層膜が用いられる。そして、下部電極603上に圧電膜604をスパッタやゾルゲル法等により形成する。次に、図11(c)に示すように、下部電極603をパタニングして、下部電極603の左右の部分を除去すると共に、圧電膜604の底面の面積が下部電極603の上面の面積より小さくなるように、圧電膜604をパタニングする。
次に、図11(d)に示すように、ミラー多層膜602、下部電極603、及び圧電膜604の上面にレジスト607をスピンコート等により形成しフォトリソグラフィーにより、レジスト607をパタニングする。次に、図11(e)に示すように、BAW共振器の上側に二酸化硅素(SiO2)などの絶縁膜606をスパッタ等により形成し、パタニングされたレジスト607を剥離することで同時に絶縁膜606をパタニングするリフトオフ法を用いて、絶縁膜606をパタニングする。なお、リフトオフ法を採用することで圧電膜604が損傷されないように絶縁膜開口608を形成することができる。この際の絶縁膜開口608の大きさはインピーダンスマッチングのために所望の値に設定されている。例えば、高周波フィルタを構成する場合は全体のインピーダンスを所望の値(例えば、35〜90Ω)に整合するのが一般的であり、このためには数μm角の寸法にする。次に、図11(f)に示すように上部電極609を真空蒸着やスパッタ等により、ミラー多層膜602、下部電極603、圧電膜604、及び絶縁膜606上に形成し、その上部電極609をパタニングする。これにより、上部電極609と下部電極603とが圧電膜604を直接挟む領域が共振領域610となる。
ところで、PZTの誘電率はガリウムナイトライド等の圧電材料に比べて約5倍と非常に高く、BAW共振器のインピーダンス特性を高周波回路で標準の値(例えば35〜90Ω)にするためには、共振領域610の断面積を数μm2程度の大きさにする必要がある。また、本出願に関連する技術として特許文献1が知られている。
特開2001−185985号公報
しかしながら、図11に示す従来のBAW共振器では、絶縁膜606に、上部電極609と圧電膜604とをコンタクトさせるための絶縁膜開口608を形成し、この絶縁膜開口608によって上部電極609と圧電膜604とを接触させているため、絶縁膜606の上面と圧電膜604の上面との間に大きな段差ができ、これによって上部電極609にも段差ができ、上部電極609の膜厚が局所的に薄くなり、上部電極609の抵抗値が上がるという問題があった。
ここで、絶縁膜606の膜厚を薄くして上部電極609の段差をなくすことも考えられるが、そうとすると、上部電極609と下部電極603との間の寄生容量が大きくなるという問題があった。
本発明の目的は、絶縁膜の膜厚を薄くして寄生容量を増大させなくとも、上部電極の抵抗値の増大を抑制することができるBAW共振器の提供することでる。
本発明によるバルク弾性波共振器は、基板と、前記基板上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた圧電膜と、前記下部電極上又は前記圧電膜上に、上面が前記圧電膜の上面と面一となるように設けられた絶縁膜と、前記圧電膜及び絶縁膜上に設けられた上部電極とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、絶縁膜の上面が圧電膜の上面と面一にされているため、圧電膜と絶縁膜との段差がなくなる。そして、絶縁膜と圧電膜との上面に上部電極が設けられているため、上部電極を段差のない平らな面上に形成することができる。このため、背景技術のように上部電極の膜厚が局所的に薄くなることがないため、上部電極の膜厚を絶縁膜の形状に依存しなくなる。従って、寄生容量を増大させることなく上部電極の抵抗値の増大抑制することができる。なお、上部電極と下部電極との間の寄生容量は絶縁膜の膜厚が大きくなるほど低くなる。
また、上記構成において、前記圧電膜は、側壁に上面より一段低い段部が形成されたことが好ましい。
この構成によれば、強度が弱いために共振特性が悪い圧電膜の上面の縁の領域が切り欠かれるため、かかる縁の部分が共振領域として使用されることを防止することができ、共振特性の高いバルク弾性波共振器を提供することができる。
また、上記構成において、前記圧電膜は、前記下部電極上であって、前記圧電膜の側壁に設けられたことが好ましい。
この構成によれば、下部電極上であって、圧電膜の側壁に絶縁膜が設けられているため、製造工程を簡略化することができる。
また、上記構成において、前記圧電膜は、前記段部を鍔部として中心部を取り囲むフランジ形状を有し、前記絶縁部は前記中心部を取り囲むように設けられたことが好ましい。
この構成によれば、圧電膜の中心部の周囲が絶縁膜によって覆われるため、強度の弱い圧電膜を保護することができる。
また、上記構成において、前記上部電極は、前記中心部の上面の全域と接することが好ましい。
この構成によれば、中心部の断面によって共振領域の断面を定めることができるため、中心部の断面が所望の共振周波数を得ることができるように精度良く加工すれば、中心部の上面に上部電極を高精度に位置決めしなくとも、所望する共振周波数を有するバルク弾性波共振器を提供することができる。
また、上記構成において、前記上部電極は、前記中心部の上面の一部と接することが好ましい。
この構成によれば、共振領域の断面積を小さくすることができ、PZTのような高誘電率の圧電材料を圧電膜として採用した場合であっても、所望のインピーダンス特性を有するバルク弾性波共振器を提供することができる。
また、上記構成において、前記圧電膜は、上面が前記絶縁膜の上面と面一である細長形状の帯部を有し、前記帯部の長手方向の両側壁に前記段部が形成され、前記絶縁膜は、前記圧電膜の長手方向の両側壁に設けられ、前記上部電極は前記圧電膜の上面の一部と接することが好ましい。
この構成によれば、上部電極と圧電膜との接触面積が小さくなるため共振領域の断面積が小さくなり、PZTのような高誘電率の圧電材料を圧電膜として採用した場合であっても、所望のインピーダンス特性を有するバルク弾性波共振器を提供することができる。
また、本発明によるフィルタ回路は、請求項1〜6のいずれかに記載のバルク弾性波共振器を備えることを特徴とする。
この構成によれば、寄生容量が小さく、上部電極の抵抗が小さいバルク弾性波共振器を備えるフィルタ回路を提供することができる。
また、本発明によるバルク弾性波共振器の製造方法は、基板上に下部電極を設けるステップと、前記下部電極上に圧電膜を設けるステップと、前記下部電極上又は前記圧電膜上に、上面が前記圧電膜の上面と面一に絶縁膜を設けるステップと、前記圧電膜及び絶縁膜の上面に上部電極を設けるステップとを備えることを特徴とする。
この構成によれば、寄生容量が小さく、かつ、上部電極の抵抗が小さなBAW共振器を製造することができる。
本発明によれば、絶縁膜の上面が圧電膜の上面と面一にされているため、圧電膜と絶縁膜との段差がなくなる。そして、絶縁膜と圧電膜との上面に上部電極が設けられているため、上部電極を段差のない平らな面上に形成することができる。このため、背景技術のように上部電極の膜厚が局所的に薄くなることがないため、上部電極の膜厚が絶縁膜の形状に依存しなくなる。従って、寄生容量を増大させることなく上部電極の抵抗値の増大抑制することができる。なお、上部電極と下部電極との間の寄生容量は絶縁膜の膜厚が大きくなるほど低くなる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるバルク弾性波共振器(以下、「BAW共振器」と呼ぶ)1の構造図であり、(a)は(b)における1a−1a断面図を示し、(b)は上面図を示している。BAW共振器1は、基板10と、基板10の上面11に設けられたミラー多層膜20と、ミラー多層膜20の上面21に設けられた下部電極30と、下部電極30の上面31に設けられた圧電膜40と、上面51が圧電膜40の上面41と面一になるように下部電極30の上面31に設けられた絶縁膜50と、絶縁膜50の上面51及び圧電膜40の上面41に設けられた上部電極60とを備える。
図1は、本発明の実施の形態1によるバルク弾性波共振器(以下、「BAW共振器」と呼ぶ)1の構造図であり、(a)は(b)における1a−1a断面図を示し、(b)は上面図を示している。BAW共振器1は、基板10と、基板10の上面11に設けられたミラー多層膜20と、ミラー多層膜20の上面21に設けられた下部電極30と、下部電極30の上面31に設けられた圧電膜40と、上面51が圧電膜40の上面41と面一になるように下部電極30の上面31に設けられた絶縁膜50と、絶縁膜50の上面51及び圧電膜40の上面41に設けられた上部電極60とを備える。
基板10は、平板状でありシリコン基板により構成される。ミラー多層膜20は、左右方向を長手方向とする短冊形状を有し、基板10の上面11の前後方向の中央部分に配設されている。そして、ミラー多層膜20は、酸化亜鉛(ZnO)、モリブテン(Mo)又はタングステン(W)等の音響インピーダンスの高い材料で形成された層と、二酸化硅素(SiO2)等の音響インピーダンスが低い材料で形成された層とが交互に積層された音響ミラーである。但し、圧電膜40の共振エネルギーを損失しないような材料であれば、F−BARのように共振領域の底面部分が空隙になるような材料を基板10として用いてもよい。
下部電極30は、前後方向の長さがミラー多層膜20の長さと同一であり、左右方向を長手方向とし、ミラー多層膜20の左端から左右方向の中央よりもやや右側の位置まで延びるように、ミラー多層膜20の上面21に設けられている。ここで、下部電極30は、最上層をプラチナ(Pt)とする多層膜から構成されている。プラチナ(Pt)を用いるのは、Ptは、圧電膜40を構成するPZTの結晶化に適した材料だからである。但し、PZTの結晶化に適した材料であるイリジウム(Ir)、酸化ランタンニッケル(LaNiO3)、酸化ストロンチウムルテニウム(SrRuO3)等の材料を下部電極30の最上層の材料として採用してもよい。
圧電膜40は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)から構成され、基板10の中心部において、下部電極30の上面31に設けられた角柱形状を有している。絶縁膜50は、圧電膜40の左側壁43と右側壁44とに接し、上面51が圧電膜40の上面41と面一になるように、下部電極30の上面31に設けられている。なお、絶縁膜50の右端の一部はミラー多層膜20の上面21と接している。
上部電極60は、アルミニウム等の金属から構成され、右端がミラー多層膜20の右端よりもやや左側に位置し、下面がミラー多層膜20、絶縁膜50の右側壁、絶縁膜50の上面51、圧電膜40の上面41、及び絶縁膜50の上面51と接するように右端から左方向に延びる短冊形状を有している。
これにより、上部電極60と下部電極30とが圧電膜40に直接接する領域が共振領域70となる。なお、共振領域70の断面は10μm×10μm程度の寸法を有している。
図2は、図1に示すBAW共振器1の製造方法を示した図である。まず、図2(a)に示すように基板10を用意する。次に、図2(b)に示すように、基板10の上面11に、CVD(Chemical vapor deposition)法やスパッタ法によりミラー多層膜20を形成する。
次に、図2(c)に示すように、スパッタ法や、真空蒸着法により、ミラー多層膜20の上面21に下部電極30を形成する。次に、図2(d)に示すように、ゾルゲル法、スパッタ法、或いはCVD法を用いて、下部電極30の上面31に圧電膜40としてのPZT膜を形成する。次に、図2(e)に示すように、フォトリソグラフィーとエッチングとによって下部電極30の右側の部分を取り除き、圧電膜40の左側の部分と右側の部分とを取り除き、下部電極30及び圧電膜40をパタニングする。
次に、図2(f)に示すように、レジスト80をBAW共振器1の上側に載せ、パタニングして、絶縁膜50が形成される以外の領域をマスクする。次に、図2(g)に示すように、BAW共振器1の上側にスパッタ等により絶縁膜50としてのSiO2を形成する。次に、図2(h)に示すように、リフトオフによりレジスト80を除去して、圧電膜40の左側壁43と右側壁44とに接するように絶縁膜50を形成する。次に、図2(i)に示すように、フォトリソグラフィーとエッチングとにより上部電極60を形成する。
このように製造されたBAW共振器1は、圧電膜40の上面41と絶縁膜50の上面51とが面一になっているため、圧電膜と絶縁膜との段差がなくなる。そして、絶縁膜50と圧電膜40との上面51,41に上部電極60が設けられているため、上部電極60を段差のない平らな面上に形成することができる。このため、背景技術のように上部電極60の膜厚が局所的に薄くなることがないため、上部電極60の膜厚が絶縁膜50の形状に依存しなくなる。従って、寄生容量を増大させることなく上部電極の抵抗値の増大抑制することができる。なお、上部電極60と下部電極30との間の寄生容量は絶縁膜50の膜厚が大きくなるほど低くなる。すなわち、背景技術で示したBAW共振器では、絶縁膜開口608の段差によって上部電極60の段切れによる断線や段差肩角部で上部電極60が薄膜化するため、上部電極60の抵抗が増加するという問題があったが、本実施の形態のBAW共振器1では、上部電極60の抵抗を低くすることができるという効果がある。
更に、誘電率の高いPZTからなる圧電膜40とPZTより誘電率の低いSiO2からなる絶縁膜50とを面一に設けたため、絶縁膜50を薄くする必要がなくなる結果、上部電極60と下部電極30間の寄生容量を低下させることができるという効果も奏することができる。
なお、実施の形態1では、圧電膜の左側壁43側にも絶縁膜50を設けたが、これに限定されず、左側壁43側の絶縁膜50を省いても良い。
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2によるBAW共振器1aを示し、(a)は(b)における3a−3a断面図を示し、(b)は上面図を示している。実施の形態2によるBAW共振器1aは、圧電膜40の左側壁43側の絶縁膜50を省くとともに、圧電膜40の下面に段部45を設けたことを特徴とする。
図3は、実施の形態2によるBAW共振器1aを示し、(a)は(b)における3a−3a断面図を示し、(b)は上面図を示している。実施の形態2によるBAW共振器1aは、圧電膜40の左側壁43側の絶縁膜50を省くとともに、圧電膜40の下面に段部45を設けたことを特徴とする。
段部45は、圧電膜40の右側壁44を構成し、下面がミラー多層膜20と接するように右方向に突出して設けられ、前後方向を長手方向とする角柱形状を有している。この段部45は、圧電膜40の右側壁44の右上側の縁を切り欠くことによって形成されている。
圧電膜40の右上側の縁を切り欠かない場合、上部電極60が圧電膜40の右上側の縁と接するため、この右上側の縁の部分が共振領域とされてしまう。一般に、圧電膜40の縁の部分は共振特性が悪い。そのため、この縁の部分を共振領域とすると、BAW共振器1aの共振特性が低下してしまう。しかしながら、このように、右上側の縁を切りか欠いて段部45を形成すると、右上側の縁の部分に絶縁膜50が存在し、右上側の縁の部分が共振領域とはならず、共振特性の高い圧電膜40の中心部が共振領域70とされるため、BAW共振器1aの共振特性を高めることができる。
図4は、図3に示すBAW共振器1aの製造方法を示す図である。図4(a)〜(e)は、図2(a)〜(e)と同一であるため、説明を省略する。図4(f)に示すように、BAW共振器1aの上側からレジスト80を塗布し、段部45を形成する以外の領域をレジスト80によりマスクする。次に、図4(g)に示すように、RIE(反応性イオンエッチング)等を用いて圧電膜40の右上の縁をエッチングし、段部45を形成する。
次に、図4(h)に示すように、レジスト80及び圧電膜40の上面に、スパッタ等によりSIO2からなる絶縁膜50を形成する。次に、図4(i)に示すように、リフトオフによりレジスト80を除去する。これにより、段部45の上側に、絶縁膜50の上面51と面一になるように圧電膜40が形成される。
次に、図4(j)に示すように、BAW共振器1aの上面にレジスト80を塗布し、絶縁膜50を形成する以外の領域をマスクする。次に、図4(k)に示すように、上側に絶縁膜形成する。次に、図4(l)に示すように、レジスト80を除去する。これにより、絶縁膜50が右側壁44側に形成される。次に、図4(m)に示すように、絶縁膜50の上面に上部電極60をフォトリソグラフィーとエッチングとによりパタニングして形成する。
このように形成されたBAW共振器1aでは、実施の形態1のBAW共振器1と同様の作用効果を奏することに加えて、図4(g)に示すように圧電膜40の右上の縁の部分を切り欠き、図4(h)に示すように段部45を形成しているため、図4(m)に示すように、共振領域を、共振特性の高い圧電膜40の中央部分に形成することができ、BAW共振器1aの共振特性を高めることができる。
(実施の形態3)
図5は実施の形態3によるBAW共振器1bの構成図を示し、(a)は(b)における5a−5a断面図を示し、(b)は上面図を示す。実施の形態3によるBAW共振器1bは、実施の形態2によるBAW共振器1aに対して圧電膜40bの段部45bの形状が異なることを特徴とする。
図5は実施の形態3によるBAW共振器1bの構成図を示し、(a)は(b)における5a−5a断面図を示し、(b)は上面図を示す。実施の形態3によるBAW共振器1bは、実施の形態2によるBAW共振器1aに対して圧電膜40bの段部45bの形状が異なることを特徴とする。
すなわち、圧電膜40bは円柱形状の中心部42bと、中心部42bの下部に下部電極30と接する径方向に突出した鍔状の段部45bとを備えるフランジ形状を有している。段部45bは上面視において、円状又は四角形状を有している。絶縁膜50は、中心部42bを取り囲むと共に、段部45bを取り囲む直方体形状を有している。そして、絶縁膜50の上面51と圧電膜40bの上面41bとは面一となっている。
上部電極60は、左端が圧電膜40の上面の途中に位置している。そのため、上部電極60が圧電膜40bの上面41bと接する領域が、共振領域70の断面となる。
このようなBAW共振器1bによれば、実施の形態1,2のBAW共振器1,1aと同様の作用効果を奏することができると共に、上部電極60と圧電膜40とが接する領域によって共振領域の断面を定めることができるため、中心部42bの断面を共振領域70の断面より大きく加工することができ、中心部42bの加工の容易化を図ることができる。
(実施の形態4)
図6は実施の形態4のBAW共振器1cの構造図であり、(a)は(b)における6a−6a断面図を示し、(b)は上面図を示している。実施の形態4によるBAW共振器1cは、上部電極60が圧電膜40cの上面41の全域と接することを特徴とする。
図6は実施の形態4のBAW共振器1cの構造図であり、(a)は(b)における6a−6a断面図を示し、(b)は上面図を示している。実施の形態4によるBAW共振器1cは、上部電極60が圧電膜40cの上面41の全域と接することを特徴とする。
圧電膜40cは、実施の形態3の圧電膜40bと同様のフランジ形状を有しているが、中心部42cの断面積が共振領域70の断面積となるように加工されている。上部電極60は、左端が、圧電膜40cに対して左側の絶縁膜50まで延び、圧電膜40cの上面41cの全域と接している。そのため、中心部42cの断面が共振領域の断面となる。
このようなBAW共振器1cによれば、実施の形態1,2と同様の作用効果を奏することができることに加え、上部電極60が圧電膜40cの上面41cの全域と接しているため、上部電極60の位置決めが容易となる。そして、中心部42cの断面を共振領域70の断面となるように加工すれば、所望の共振周波数を有するBAW共振器1cを得ることができる。
(実施の形態5)
図7は、実施の形態5によるBAW共振器1dの構造図を示し、(a)は(b)における7a−7a断面図を示し、(b)は上面図を示している。実施の形態5によるBAW共振器1dは、実施の形態3によるBAW共振器1dに対し、上部電極60dの形状が相違することを特徴とする。上部電極60dは、図7(b)に示すように、絶縁膜50及び圧電膜40dの上面41dに接する上辺61dが左端63dに向かうにつれて幅寸法が小さくなるテーパー形状を有し、左端63dが圧電膜40dの上面41dの一部と接している。圧電膜40dの中心部42dは円柱形状を有している。
図7は、実施の形態5によるBAW共振器1dの構造図を示し、(a)は(b)における7a−7a断面図を示し、(b)は上面図を示している。実施の形態5によるBAW共振器1dは、実施の形態3によるBAW共振器1dに対し、上部電極60dの形状が相違することを特徴とする。上部電極60dは、図7(b)に示すように、絶縁膜50及び圧電膜40dの上面41dに接する上辺61dが左端63dに向かうにつれて幅寸法が小さくなるテーパー形状を有し、左端63dが圧電膜40dの上面41dの一部と接している。圧電膜40dの中心部42dは円柱形状を有している。
このようなBAW共振器1dによれば、上部電極60dの上辺61dをテーパー形状としているため、上部電極60dと圧電膜41dとの接する領域の面積を小さくすることができ、圧電膜40dとしてPZTのような高誘電率の材料を用いても、所望のインピーダンス(例えば35〜90Ω)のBAW共振器1dを得ることができる。また、上部電極60dを構成するアルミニウムを角形状に加工すると、割れを起こしてしまい、加工精度が低くなってしまうが、本BAW共振器1dは、左端63dは角が取られ、丸みを帯びた形状にされているため、上部電極60dの左端63dに割れが生じることが防止され、上部電極60dを精度よく加工することができる。その結果、共振領域70の断面積を所望のインピーダンス特性を得ることができるような小さな面積に加工することができる。
(実施の形態6)
図8は、実施の形態6によるBAW共振器1eの構造図を示し、(a)は(b)における8a−8a断面図を示し、(b)は上面図を示している。実施の形態6によるBAW共振器1eは、実施の形態2〜5のBAW共振器1a〜1dに対し、圧電膜40eの構造が異なることを特徴とする。
図8は、実施の形態6によるBAW共振器1eの構造図を示し、(a)は(b)における8a−8a断面図を示し、(b)は上面図を示している。実施の形態6によるBAW共振器1eは、実施の形態2〜5のBAW共振器1a〜1dに対し、圧電膜40eの構造が異なることを特徴とする。
圧電膜40eは、前後方向に細長く延びた直方体状の帯部42eと、帯部42eの下側の側壁から左右方向に突出して設けられた段部45eとを備えている。すなわち、圧電膜40eは、断面が逆Tの字状を有し、前後方向を長手方向とする部材によって構成されている。
絶縁膜50eは、圧電膜40eの左側壁43e側に設けられた左絶縁膜52eと右側壁44e側に設けられた右絶縁膜53eとを備えている絶縁膜50eの上面51eは圧電膜40eの上面41eと面一であり、圧電膜40eの前側及び後側の側壁と絶縁膜50eの前側及び後側の側壁とは面一である。上部電極60は、幅w6が圧電膜40eの幅w4より短くなっており、上部電極60は、圧電膜40eの上面41eの一部と接している。従って、上部電極60が直接接する圧電膜40の面積が共振領域70の断面積となる。
このようなBAW共振器1eによれば、実施の形態2のBAW共振器1aと同様の作用効果を奏することに加え、圧電膜40eが前後方向に細長く延びた帯部42eを有しているため、上部電極60の幅w6と、帯部42eの幅w42とによって共振領域70の断面積を定めることができる。そのため、上部電極60の幅w6の寸法を小さくし、かつ、圧電膜40eの上面41eに上部電極60を高精度に位置決めしなくとも、共振領域70の断面積を小さくすることができ、所望のインピーダンスを有するBAW共振器1eを製造することができる。
図9は、実施の形態1〜6のいずれかのBAW共振器1〜1eを用いて構成されたフィルタ回路2の回路図を示している。図6(a)は、1段のフィルタ回路を示し、図6(b)は、3段のフィルタ回路を示している。
図9(a)に示すように、フィルタ回路2は、一対の入力端子T1,T2、2個のBAW共振器C1,C2、及び一対の出力端子T3,T4を備えている。
BAW共振器C1,C2は、各々実施の形態1〜6のBAW共振器1〜1eのいずれかにより構成されている。BAW共振器C1は、一端が入力端子T1に接続され、他端が出力端子T3及びBAW共振器C2に接続されている。BAW共振器C2は、一端が入力端子T2及び出力端子T4に接続されている。
また、図9(b)に示すフィルタ回路3は、縦続接続された3個のフィルタ回路201〜203を備える。フィルタ回路201〜203は、各々図9(a)に示すフィルタ回路2により構成されている。そして、フィルタ回路3は、フィルタ回路201の出力端子T3,T4が、各々フィルタ回路202の入力端子T1,T2に接続され、フィルタ回路202の出力端子T3,T4が、各々フィルタ回路203の入力端子T1,T2に接続されている。
このような構成のフィルタ回路2、3によれば、実施の形態1〜6のいずれかのBAW共振器1〜1eが採用されているため、共振特性の高いフィルタ回路を提供することができる。
1〜1e BAW共振器
2,3 フィルタ回路
10 基板
11 上面
20 ミラー多層膜
21 上面
30 下部電極
31 上面
40,40b,40c,40d,40e 圧電膜
41,41b,41c,41d,41e 上面
42e 帯部
42b,42c,42d 中心部
43,43e 左側壁
44,44e 右側壁
45,45b,45e 段部
50,50e 絶縁膜
51,51e 上面
52e 左絶縁膜
53e 右絶縁膜
60,60d 上部電極
61d 上辺
63d 左端
70 共振領域
80 レジスト
201,202,203 フィルタ回路
2,3 フィルタ回路
10 基板
11 上面
20 ミラー多層膜
21 上面
30 下部電極
31 上面
40,40b,40c,40d,40e 圧電膜
41,41b,41c,41d,41e 上面
42e 帯部
42b,42c,42d 中心部
43,43e 左側壁
44,44e 右側壁
45,45b,45e 段部
50,50e 絶縁膜
51,51e 上面
52e 左絶縁膜
53e 右絶縁膜
60,60d 上部電極
61d 上辺
63d 左端
70 共振領域
80 レジスト
201,202,203 フィルタ回路
Claims (9)
- 基板と、
前記基板上に設けられた下部電極と、
前記下部電極上に設けられた圧電膜と、
前記下部電極上又は前記圧電膜上に、上面が前記圧電膜の上面と面一となるように設けられた絶縁膜と、
前記圧電膜及び絶縁膜の上面に設けられた上部電極とを備えることを特徴とするバルク弾性波共振器。 - 前記圧電膜は、側壁に上面より一段低い段部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のバルク弾性波共振器。
- 前記圧電膜は、前記下部電極上であって、前記圧電膜の側壁に設けられたことを特徴とする請求項1記載のバルク弾性波共振器。
- 前記圧電膜は、前記段部を鍔部として中心部を取り囲むフランジ形状を有し、
前記絶縁部は前記中心部を取り囲むように設けられたことを特徴とする請求項3記載のバルク弾性波共振器。 - 前記上部電極は、前記中心部の上面の全域と接することを特徴とする請求項4記載のバルク弾性波共振器。
- 前記上部電極は、前記中心部の上面の一部と接することを特徴とする請求項4記載のバルク弾性波共振器。
- 前記圧電膜は、上面が前記絶縁膜の上面と面一である細長形状の帯部を有し、前記帯部の長手方向の両側壁に前記段部が形成され、
前記絶縁膜は、前記圧電膜の長手方向の両側壁に設けられ、
前記上部電極は前記圧電膜の上面の一部と接することを特徴とする請求項3記載のバルク弾性波共振器。 - 請求項1〜7のいずれかに記載のバルク弾性波共振器を備えることを特徴とするフィルタ回路。
- 基板上に下部電極を設けるステップと、
前記下部電極上に圧電膜を設けるステップと、
前記下部電極上又は前記圧電膜上に、上面が前記圧電膜の上面と面一に絶縁膜を設けるステップと、
前記圧電膜及び絶縁膜の上面に上部電極を設けるステップとを備えることを特徴とするバルク弾性波共振器の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2006
- 2006-04-25 JP JP2006121300A patent/JP2007295307A/ja active Pending
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