JP2018124154A - 鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のc−スコープ画像化システム - Google Patents
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そして、例えば、被検査体に存在する欠陥の方向を容易に検知する目的で、励磁コイルの内部に互いに直交する一対の検出コイル(第1検出コイルおよび第2検出コイル)を設けた発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、検知された信号の表示は、複素電圧平面(フェザー図)に示される電圧信号であり、電圧振幅と位相との複合的な変化によって、欠陥の有無およびその方向を判断するものである。このため、判断には熟練が必要で、判断者によって評価が異なる場合があるという問題があった。すなわち、フェザー図においては、どのタイミングでどのような電圧信号の変化が生じているのか把握することができないことから、渦流探傷試験は、渦流探傷結果の記録性および客観性に乏しいため、溶接部の疲労き裂の探傷には適さず、検知能力が高い磁粉探傷試験の代替手法に至っていない。
前記C−スコープ図は、前記探触子の移動経路に相似する曲線と、前記曲線上の検知位置に対応した位置に描かれた垂線とを具備し、前記垂線の長さが前記検知位置における電圧を換算した長さであり、前記垂線の線種が前記検知位置における位相を換算した線種であることを特徴とする。
(2)また、前記線種は、色分けされた実線であることを特徴とする。
(3)さらに、前記スキャナーは、前記探触子を保持する探触子ホルダと、吸着用磁石を具備する架台とを有し、
前記エンコーダは、前記架台に間隔を空けて設置された第1エンコーダおよび第2エンコーダであって、前記第1エンコーダは前記探触子ホルダに接続された第1ワイヤに接続され、前記第2エンコーダは前記探触子ホルダに接続された第2ワイヤに接続され、
前記第1エンコーダおよび前記第2エンコーダそれぞれの伸縮距離と、前記第1エンコーダと前記第2エンコーダとの設置距離とから、前記探触子の位置が算出されることを特徴とする。
(4)さらに、前記スキャナーは、前記探触子を保持する探触子ホルダと、吸着用磁石を具備する架台と、前記探触子ホルダと前記架台とを連結する多関節アームとを有し、
前記エンコーダは前記多関節アームの関節部に設置され、前記エンコーダが計測した前記関節部の回転量により前記探触子の位置が算出されることを特徴とする。
たとえば、経年後の探傷結果との比較が容易になり、また、従来手法では困難であった溶接ビードにおける疲労き裂の位置や形状(大きさ)の推定が可能になる。
すなわち、円弧状に形成された溶接ビードの廻し部においては探傷位置により位相角が変化すると共に、ビード形状の変化による信号がノイズとして発生する。このため、これらノイズにより、従来の探傷検査では疲労き裂による位相変化を見逃し易かったのに対し、本発明では、疲労き裂に特有の大きな位相の変化とノイズによる緩慢な変化とを、C−スコープ図の画像上で区別することが出来るため、見逃しが少なくなる。
次に、本発明に係る実施の形態1を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の図面は模式的に描かれたものであり、本発明は描かれた形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
図1は、本発明の実施の形態1に係る鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のC−スコープ画像化システムを説明する装置構成を示すブロック図である。
図1において鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のC−スコープ画像化システム(以下「C−スコープ画像化システム」と称す)100の装置構成は、探傷ユニット10と処理部20と表示器7とを有している。
探傷ユニット10は、渦流探傷探触子1と溶接部用スキャナー2と位置エンコーダ3とを有している。
渦流探傷探触子1は磁界(図示しない)を発生すると共に、前記磁界によって誘起される渦電流(図示しない)を検知するものである。溶接部用スキャナー2は渦流探傷探触子1を保持して移動経路を移動可能にする探触子ホルダを具備し、渦流探傷探触子1の移動位置を検知する位置エンコーダ3が設置されている(これについては別途詳細に説明する)。
処理部20は、渦流探傷探触子1が移動経路上の検知位置において検知した渦流探傷結果である検知位置における電圧および位相を、それぞれ長さおよび線種に換算する渦流探傷処理部4と、複数の検知位置における渦流探傷結果である電圧情報および位相情報に基づいて疲労き裂の発生の有無を判定する判定処理部5とを有している。さらに、位置エンコーダ3から受け取った複数の検査位置に対する位置情報と、渦流探傷処理部4から受け取った複数の検査位置に対する電圧を換算した長さ情報および複数の検査位置に対する位相を換算した線種情報とから、C−スコープ図情報を作成する画像化処理部6を有している。なお、判定処理部5はC−スコープ図情報の作成に必須ではないため、これを省略することができる。
表示器7は、画像化処理部6から受け取ったC−スコープ図情報に基づいてC−スコープ図を表示するものであって、液晶等の画面を具備するものであるが、二次元プリンタであってもよい。なお、C−スコープ図については以下の実施例において詳細に説明する。
図2および図3は、本発明の実施の形態1に係る鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のC−スコープ画像化システムを説明するための実施例であって、図2は探傷対象部位における比較のための磁粉探傷試験結果を示す写真、図3は探傷対象部位におけるC−スコープ図である。
図2において、供試材は鋼板に鋼製リブを溶接したものであって、略円弧状の溶接ビード(溶接止端部を「A−B−C−D−E」にて示す)が形成されている。そして、かかる供試材に繰り返し荷重を付与した後、比較のために磁粉探傷試験をしたところ、溶接止端部「A−B−C−D」に沿った輝線と、検知位置Bおよび検知位置Dから溶接ビードから離れる方向の直線状の輝線が視認された。すなわち、輝線は漏洩磁束に吸引された磁粉(強磁性微粉)に付着している発光体が発光したものであるから、輝線の位置に疲労き裂が発生していることが分かる。
図3において、渦流探傷探触子1は溶接止端部に沿って移動されているため、C−スコープ図には、かかる移動経路を示す曲線8、すなわち、溶接止端部A−B−C−D−Eの形状に相似する曲線8が表示されている。そして、曲線8には複数の垂線9が表示されている。このとき、溶接止端部に沿った移動経路は略円弧状であるため、曲線8は略円弧状を呈し、垂線9は略放射状を呈している。
このとき、垂線9は、検知位置に対応した曲線8の位置における法線方向に伸びる実線であって、垂線9の長さは検知位置毎の電圧の大きさに対応し、垂線9の線種は検知位置毎の位相に対応している。
また、別試験片において計測した疲労き裂の深さとC−スコープ図に表示した垂線の長さとの関係を略円弧状の点線にて示している。すなわち、検知位置Bと検知位置Cとの間に深さ0.5mmを示す点線(d=0.5mm)を超えた深い疲労き裂が発生している。
なお、渦流探傷探触子1は、溶接部の疲労き裂の探傷に好適なクロスポイントプローブを使用しているが、プローブの型式を限定するものではない。
そうすると、検知位置Aおよび検知位置Eでは、垂線9は短い黄色であるため、当該位置における探傷結果はノイズであると推定される。
一方、溶接止端部に対応した「検知位置Bから検知位置D」の範囲では、垂線9の長さは長く、また、色(線種)も不規則に変動していることから、疲労き裂が発生していると判断することができる。すなわち、前記比較のための磁粉探傷試験結果(図2参照)とも一致する。
以上のように、C−スコープ画像化システム100は探傷結果を「C−スコープ図」として画像化表示するから、渦流探傷探触子1の移動経路に相似する曲線8上に表示された垂線9の長さおよび線種(色分け)を見るだけで、疲労き裂の有無や大きさを容易に視認することが可能になる。よって、渦流探傷結果の客観性や再現性が改善され、疲労き裂に対するより正確な評価が可能になる。
特に、鋼橋等について従来手法では困難であった溶接止端部における疲労き裂の位置や形状(大きさ)の高精度な推定が可能になり、疲労き裂の発生を見落とすことがなくなる。このとき、渦流探傷探触子1の溶接止端部に沿った移動を公転とすると、かかる公転に際して渦流探傷探触子1が回転(自転)する場合であっても、前記のように位相の変動が線種(色分け)によって表示されることによって、かかる自転の影響を容易に把握することができるため、検出精度が担保される。
図4の(a)および(b)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係る鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のC−スコープ画像化システムを説明するものであって、装置構成の一部(溶接部用スキャナー)を示す平面図および側面図である。
図4の(a)および(b)において、ワイヤ式スキャナー2aは、渦流探傷探触子1を保持する探触子ホルダ21と、架台22と、架台22に設置された吸着用磁石24とを有している。架台22には、所定の距離(以下「設置距離」と称す。例えば200mm)離して、第1エンコーダ3aと第2エンコーダ3bとが設置されている。
以上のように、ワイヤ式スキャナー2aは構造が簡素で、持ち運びや設置が容易であるから、鋼橋等の溶接部に対する疲労き裂の欠陥の渦流探傷に好適である。
図5の(a)および(b)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係る鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のC−スコープ画像化システムを説明するものであって、装置構成の一部(溶接部用スキャナー)を示す平面図および側面図である。
図5の(a)および(b)において、多関節式スキャナー2bは、渦流探傷探触子1を保持する探触子ホルダ25と、マグネットホルダ26と、マグネットホルダ26に設置された連結ベース27と、探触子ホルダ25と連結ベース27とを連結する多関節アーム40とを有している。
以上のように、多関節式スキャナー2bは構造が簡素で、持ち運びや設置が容易であるから、鋼橋等の溶接部に対する疲労き裂の欠陥の渦流探傷に好適である。
2 :溶接部用スキャナー
2a:ワイヤ式スキャナー
2b:多関節式スキャナー
3 :位置エンコーダ
3a:第1エンコーダ
3b:第2エンコーダ
3c:第1ロータリエンコーダ
3d:第2ロータリエンコーダ
4 :渦流探傷処理部
5 :判定処理部
6 :画像化処理部
7 :表示器
8 :曲線
9 :垂線
10 :探傷ユニット
20 :処理部
21 :探触子ホルダ
22 :架台
23a:第1ワイヤ
23b:第2ワイヤ
24 :吸着用磁石
25 :探触子ホルダ
26 :マグネットホルダ
27 :連結ベース
27a:回転支点
40 :多関節アーム
41 :回転ベース
41a:回転支点
41b:傾動支点
42 :傾動アーム
42a:傾動支点
43 :中間アーム
43a:回転支点
44 :リンクアーム
44a:回転支点
45 :樹脂アーム
100:C−スコープ画像化システム
Claims (4)
- 磁界を発生すると共に、前記磁界によって誘起される渦電流を検知する探触子と、
前記探触子を移動可能に保持するスキャナーと、
前記探触子の位置を検知するエンコーダと、
前記探触子が移動経路上の検知位置において検知した渦流探傷結果である検知位置における電圧および位相を、それぞれ長さおよび線種に換算する渦流探傷処理部と、
前記エンコーダから受け取った複数の検査位置に対する位置情報と、前記渦流探傷処理部から受け取った複数の検査位置に対する電圧を換算した長さ情報および位相を換算した線種情報とから、C−スコープ図情報を作成する画像化処理部と、
前記画像化処理部から受け取ったC−スコープ図情報に基づいてC−スコープ図を表示する表示器とを有し、
前記C−スコープ図は、前記探触子の移動経路に相似する曲線と、前記曲線上の検知位置に対応した位置に描かれた垂線とを具備し、前記垂線の長さが前記検知位置における電圧を換算した長さであり、前記垂線の線種が前記検知位置における位相を換算した線種であることを特徴とする鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のC−スコープ画像化システム。 - 前記線種は、色分けされた実線であることを特徴とする請求項1記載の鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のC−スコープ画像化システム。
- 前記スキャナーは、前記探触子を保持する探触子ホルダと、吸着用磁石を具備する架台とを有し、
前記エンコーダは、前記架台に間隔を空けて設置された第1エンコーダおよび第2エンコーダであって、前記第1エンコーダは前記探触子ホルダに接続された第1ワイヤに接続され、前記第2エンコーダは前記探触子ホルダに接続された第2ワイヤに接続され、
前記第1エンコーダおよび前記第2エンコーダそれぞれの伸縮距離と、前記第1エンコーダと前記第2エンコーダとの設置距離とから、前記探触子の位置が算出されることを特徴とする請求項1または2記載の鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のC−スコープ画像化システム。 - 前記スキャナーは、前記探触子を保持する探触子ホルダと、吸着用磁石を具備する架台と、前記探触子ホルダと前記架台とを連結する多関節アームとを有し、
前記エンコーダは前記多関節アームの関節部に設置され、前記エンコーダが計測した前記関節部の回転量により前記探触子の位置が算出されることを特徴とする請求項1または2記載の鋼橋溶接止端部の疲労き裂に対する渦流探傷結果のC−スコープ画像化システム。
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