JP2015078942A - 漏洩磁束探傷装置 - Google Patents

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夏樹 小倉
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Abstract

【課題】漏洩磁束探傷を行うに当たり、磁性材料の検査対象物の表面上に形成された傷の、長手方向の傾き角を、0°から±90°までの範囲に亘って検出可能とする。
【解決手段】
演算部14は、測定器12を検査対象物24表面上に二次元的に走査させる。走査の際に、測定器12の磁気センサ22によって検出された漏洩磁束の振幅成分及び位相成分の少なくとも一方から、漏洩磁束のそれぞれ異なる特性を反映させた複数の二次元分布を求める。さらに、演算部14は、これらの二次元分布に基づいて、検査対象物24表面上に形成された傷34の長手方向の傾き角θを算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、漏洩磁束探傷装置に関する。
従来から、磁性材料の検査対象物表面上の傷を検出する手段として、漏洩磁束探傷装置が知られている。
図26に示すように、検査対象物100上に傷102が形成されている場合、検査対象物100を磁化すると、検査対象物100を流れる磁束は、傷102を跨ぐように空気中に漏洩する。検査対象物100の表面上に磁気センサ104を設け、この漏洩磁束106を検出することで、検査対象物100の傷の位置が特定できる。
さらに、検出した漏洩磁束106の各特性に基づいて、傷102の各特性が算出できる。例えば非特許文献1では、検知軸が直交する2つの磁気センサを、検査対象物上に走査して、それぞれ漏洩磁束の振幅成分を求める。さらにこれらの振幅成分に基づいて、傷の長手方向の傾き角を求める。
また、特許文献1では、検査対象物上に磁気センサを走査させるとともに、磁気センサの受信信号を同期検波して、参照信号と同位相の成分と、参照信号とは90°遅らせた位相成分を求める。さらに両成分をXY平面上にプロットし、その軌跡から、傷の長手方向の傾き角を求めている。
特開2008−128733号公報
植竹、「漏洩磁束探傷試験における表面きずの定量的評価システムについて」、非破壊検査、一般社団法人日本非破壊検査協会、平成4年11月、第41巻、第11号、p.657−664
ところで、従来の漏洩磁束探傷装置では、傷の角度を0°(走査方向と平行)から±90°までの全範囲に亘る検出が困難であった。例えば非特許文献1では、当該文献に記載されているが、走査方向に対する角度が15°以下の傷の角度評価は困難となる。また、特許文献1では、実施例等から明らかに、走査方向に対する角度が75°以上の傷の角度評価は困難となる。そこで、本発明は、傷の角度を0°から±90°までの範囲に亘って検出可能な、漏洩磁束探傷装置を提供することを目的とする。
本発明は、漏洩磁束探傷装置に関する。当該装置は、磁性材料の検査対象物に対して交流磁界を印加する磁化手段と、前記磁化手段に対して位置固定されるとともに、前記検査対象物表面からの漏洩磁束を検出する磁気センサと、を備える測定器を備える。また、前記測定器を前記検査対象物表面上に二次元的に走査させた際の、前記磁気センサによって検出された漏洩磁束の振幅成分及び位相成分の少なくとも一方から、漏洩磁束のそれぞれ異なる特性を反映させた複数の二次元分布を求めるとともに、前記二次元分布に基づいて、前記検査対象物表面上に形成された傷の長手方向の傾き角を算出する演算部を備える。
また、上記発明において、前記演算部は、漏洩磁束の振幅成分及び位相成分の二次元分布を求めることが好適である。
また、上記発明において、前記演算部は、前記位相成分の二次元分布上の、隣り合う位相成分の変化率に基づいて、前記傷の傾き角を算出することが好適である。
また、上記発明において、前記演算部は、前記位相成分の変化率の最大値と最小値とを結んだ線分の傾き角に基づいて、前記傷の傾き角を算出することが好適である。
また、上記発明において、前記演算部は、前記振幅成分の二次元分布上の等値線形状に基づいて、前記傷の傾き角を算出することが好適である。
また、上記発明において、前記磁気センサは、前記磁気センサの検知軸に沿った、漏洩磁束の検知軸方向成分を検出し、前記演算部は、前記振幅成分の二次元分布を用いて、前記検知軸に対する角度が第1の角度範囲内にある前記傷の傾き角を算出し、前記位相成分の二次元分布を用いて、前記検知軸に対する角度が前記第1の角度範囲とは異なる第2の角度範囲内にある前記傷の傾き角を算出することが好適である。
また、上記発明において、前記第1の角度範囲は45°以上90°以下であって、前記第2の角度範囲は0°以上45°以下であることが好適である。
本発明によれば、検査対象物の表面上の傷の傾き角を、0°から±90°までの範囲に亘って検出可能となる。
本実施形態に係る漏洩磁束探傷装置を例示する図である。 本実施形態に係る測定プローブを例示する図である。 漏洩磁束探傷の原理を説明する模式図である。 漏洩磁束探傷の原理を説明する模式図である。 漏洩磁束探傷の原理を説明する模式図である。 漏洩磁束探傷の原理を説明する模式図である。 漏洩磁束探傷を行うサンプルについて説明する図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 傷の傾き角の算出方法を説明する図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 漏洩磁束探傷の結果を示す図である。 傷の傾き角の算出方法を説明する図である。 漏洩磁束探傷の算出精度を示す図である。 漏洩磁束探傷の原理を説明する図である。
図1に、本実施形態に係る漏洩磁束探傷装置10を例示する。漏洩磁束探傷装置10は、測定器12及び演算部14を備える。
測定器12は、測定プローブ15、移動ステージ16、及びステージコントローラ18を備える。移動ステージ16は、検査対象物24を固定するとともに、測定プローブ15を移動させる。移動ステージ16は、3軸ステージであってよい。例えば、鉛直方向であるZ軸、Z軸に直交する(水平面内の)X軸、及び、X軸及びZ軸に直交するY軸の3軸方向に、測定プローブ15を移動させるものであってよい。
なお、後述するように、検査対象物24に関する二次元分布を得る上で、検査対象物24と測定プローブ15を相対移動させればよいのであるから、移動ステージ16は、測定プローブ15を固定させて検査対象物24を移動させるものであってもよい。このことから、「測定プローブ15を検査対象物24表面上に走査させる」との態様は、検査対象物24を固定して測定プローブ15を移動させる場合、測定プローブ15を固定させて検査対象物24を移動させる場合、更には、両者を移動させる場合のいずれも含むものとしてもよい。なお、検査対象物24に関する二次元分布を取得する際には、検査対象物24よりも測定プローブ15の方が小型、軽量である場合が多いことから、上記3つの態様のうち、検査対象物24を固定して測定プローブ15を移動させる態様を採ることが好適である。
ステージコントローラ18は、移動ステージ16に対して操作指令を与える操作手段である。ステージコントローラ18は、演算部14から指令を受けて、移動ステージ16を操作するものであってよい。また、ステージコントローラ18と移動ステージ16とは、一体化されていてもよい。
図2に示すように、測定プローブ15は、磁化器20及び磁気センサ22を備える。測定プローブ15は、磁化器20及び磁気センサ22を保持する非磁性体のホルダを備えていてもよい。また、磁化器20に交流定電流を供給するための定電流回路を備えていてもよい。
磁化器20は、磁性材料の検査対象物24に対して交流磁界を印加する磁化手段である。交流磁界は、1周期中に極が切り替わる交番磁界であってもよく、また、極が切り替わらずに大きさが変化する磁界であってもよい。
磁化器20は、図2に示すように、コア26及びコイル28を備える。コア26は、2つの腕部30A,30Bと腕部30A,30Bを繋ぐブリッジ部32を備えた、コ字形状であってよい。コア26は、高透磁率磁性材料から構成され、例えば、45NiFe、積層珪素鋼板、またはフェライト等から構成される。腕部30A,30Bの末端面は、検査対象物24表面の形状に適合したものであることが好適である。例えば、検査対象物24表面が平面である場合、腕部30A,30Bの末端面も平面であることが好適である。例えば、末端面の平面度は、0.05mm以下であってよい。
また、磁化器20の重量や大きさは、移動ステージ16による走査が容易に行えるものである、つまり小型であることが好適であり、例えば、その重量は150g以上200gであって、その長手方向長さLは30mm以上40mm以下、短手方向幅Wは15mm以上25mm以下、高さHは15mm以上25mm以下である。腕部30A,30Bの間隔Dは、磁気センサ22が配置可能なものであればよく、例えば、11mm以上12mm以下とする。
コイル28は、コア26に巻き付けられる励磁部材である。交流磁界を発生させるために、コイル28には、交流定電流が供給される。コイル28は、例えばコア26の腕部30A,30B,及びブリッジ部32に巻き付けられてよい。コイル28の線径は、例えば0.15mmであって、その巻き数は、例えば165ターンである。
磁気センサ22は、検査対象物表面からの漏洩磁束を検出する。磁気センサ22は、例えば磁気インピーダンス(MI)センサ、磁気抵抗効果(MR)センサ、またはホール素子であってよい。例えば磁気センサ22を磁気インピーダンスセンサから構成する場合、磁気センサ22は、漏洩磁束の強さに応じた電圧信号を出力する。
また、磁気センサ22は特定方向の磁気成分のみを検出するように構成されており、この検出方向に沿った軸を以下では検知軸と呼ぶ。磁気センサ22は、例えば、検知軸Aを、ブリッジ部32の長手方向と平行に(図2下段ではX軸と平行に)するようにして、腕部30A,30Bの中間位置に固定される。このようにすることで、磁気センサ22の周辺では、磁化器20による磁化方向と、磁気センサ22の検知軸とが一致する(平行になる)。
磁気センサ22の磁化器20への固定は、例えば、磁気センサ22を基板に組み付け、その基板を樹脂ねじ等でコア26に固定することで行う。このように、磁化器20に対して磁気センサ22を位置固定することで、計測中に両者が相対移動することを防止することができる。また、磁気センサ22は、その底面が、磁化器20の腕部30A,30Bの末端面と略同一平面状に配置されることが好適である。例えば、末端面と磁気センサ22の底面の、Z軸方向(鉛直方向)の位置交差は0.02mmであってよい。
図3には、磁気センサ22による漏洩磁束の検出の模式図が記載されている。磁化器20によって検査対象物24に交流磁界が印加されると、ハッチングで示すように検査対象物24内に磁束が流れる。このとき、検査対象物24の表面に傷34が形成されている場合、傷34の端面は磁界中に極を作り、その磁極間で空気中に磁束を漏洩する。この漏洩磁束Bを磁気センサ22が検出する。
図4上段に示すように、漏洩磁束Bは、傷34を中心にして、放射線状に空気中に発生するようになる。このことから、磁気センサ22と傷34との相対位置によって、検出される漏洩磁束Bの向きや大きさが異なる。この検出される漏洩磁束Bの向きや大きさの変化を利用して、傷34の位置を特定することができる。例えば、本実施形態では、磁気センサ22の検知軸Aは、検査対象物24の表面に平行となるように設定されている。このことから、磁気センサ22は、漏洩磁束Bの水平成分Bxを検出する。
図4下段には、傷34と磁気センサ22との相対位置ごとの、磁気センサ22が検出した磁束の強さの変化を示している。漏洩磁束の水平成分Bxは、上に凸の2次曲線的な軌跡を示し、磁気センサ22が傷34の真上に位置するときに、極大値を取る。したがって、測定プローブ15の走査に応じた磁気センサ22の値をモニタリングし、極大値を取った箇所に、傷34が形成されていることがわかる。なお、図4下段の実線の曲線は、漏洩磁束Bの鉛直成分BZの軌跡を示している。
図1に戻り、演算部14は、検波器36及び演算処理器38を備える。検波器36と演算処理器38とを統合して一台の装置としてもよい。
検波器36は、磁気センサ22が検出した信号(電圧信号)から、所望の信号を取り出す。例えば、検波器36は、磁気センサ22が検出した信号から、振幅成分と位相成分の少なくとも一方を取得する。ここで、位相成分とは、参照信号(例えばSin(ωt))に対する受信信号(例えばSin(ωt+α))の位相差成分(α)を示す。検波器36は、例えばロックインアンプであってよい。ロックインアンプの参照信号は、コイル28に供給する交流電流(励磁電流)であってよい。
演算処理器38は、検波器36が取得した信号を演算処理して、傷34の傾き角θを求める。また、演算処理器38は、ステージコントローラ18に対して測定プローブ15の操作指令を送信する。演算処理器38は、演算回路を備えたものであってよく、例えばコンピュータであってよい。
演算処理器38は、ステージコントローラ18を介して、測定プローブ15を検査対象物24の表面上に二次元的に走査させる。例えば、検査対象物24のX軸方向の一端から他端まで測定プローブ15を走査させ、他端に到達するとY軸方向に所定幅測定プローブ15をシフトさせ、再び一端側に測定プローブ15を走査させる。なお、この走査の際に、磁化方向や、磁化方向に対する磁気センサ22の検知軸の向きが、検査対象物24に対して一定となっていることが好適である。例えば、X軸方向及びY軸方向の走査の際に、測定プローブ15がZ軸周りに回転しないようにする。
さらに演算処理器38は、以下に説明するように、磁気センサ22から取得した、漏洩磁束の振幅成分及び位相成分の少なくとも一方の二次元分布を求めるとともに、この二次元分布から、検査対象物24上の傷34の傾き角θを求める。
図5には、検査対象物24の平面図が例示されている。また、この図には、磁化方向を示すために、磁化器20の腕部30A,30Bも示されている。腕部30A,30Bの中心部分に着目すると、その磁化方向は、一方の腕部30Aから他方の腕部30Bに、直線的に延びたものとなっている。
検査対象物24の表面上には傷34が形成されている。傷34は、磁気センサ22の検知軸A(及び磁化方向)に対して角度θで傾斜している。この角度θ(傷34の長手方向の、検知軸に対する角度)を以下では傾き角と呼ぶ。傷34を跨ぐ漏洩磁束Bの水平成分Bx(磁化方向及び磁気センサ22の検知軸と平行な成分)は、傷34の傾き角θに応じて変化する。
図6には、傷34の傾き角θに応じた、漏洩磁束Bの水平成分Bxの変化の様子が示されている。横軸は傾き角θ、縦軸は、傾き角θ=90°(磁化方向と直交)のときの水平成分Bxに対する、所定の傾き角θのときの漏洩磁束の水平成分Bxの割合Bx(θ)/Bx(90 ° )が示されている。これによると、傾き角θの減少に伴い、漏洩磁束の水平成分Bxが減少する。つまり、同一幅、深さの傷34であるにも関わらず、その傾き角θが異なると、漏洩磁束の水平成分Bxが異なる。したがって、漏洩磁束の水平成分Bxのみから傷34の状態を把握しようとすると、実際の傷34よりも狭い幅や浅い傷であるとの誤った演算結果が導かれるおそれがある。
ここで、水平成分Bxの減少過程を示すカーブは、Sin2θによって表されることが知られている。したがって、傷34の傾き角θが分かれば、磁気センサ22が検出した漏洩磁束の水平成分Bxの値を補正することができる。そこで、演算部14は、以下のようにして、傷34の傾き角θを求める。
まず、演算処理器38は、磁気センサ22が検出した漏洩磁束の水平成分Bxの、振幅成分及び位相成分の少なくとも一方の二次元分布を求める。例えば、演算処理器38は、検波器36を通じて、漏洩磁束の水平成分Bxの振幅成分及び位相成分を取得する。これと併せて、演算処理器38は、ステージコントローラ18への操作指令に基づいて、測定プローブ15の現在位置座標を取得する。さらに演算処理器38は、これらの位置座標と、振幅成分及び位相成分を関連付けて図示しない記憶部に記憶する。
さらに演算処理器38は、記憶部に記憶された位置座標と振幅成分のデータを用いて、任意の平面座標上に、振幅成分の二次元分布図を生成する。同様にして、演算処理器38は、任意の平面座標上に、位相成分の二次元分布図を生成する。なお、この平面座標について、横軸方向(X方向)を検知軸と平行として、縦軸方向(Y方向)を検知軸とは直交するように定めることが好適である。
図8から図14には、振幅成分の二次元分布が例示されている。なお、これらの二次元分布取得に当たって、図7に示す検査対象物24のサンプルを用いた。この検査対象物24は、SS400鋼板から構成され、板厚5mm、幅100mm、奥行き120mmとした。また、検査対象物24の表面中心部分に、人工的な傷34を形成した。傷34は、幅0.15mm、長さ5.0mm、深さ1.0mmとした。なお、傷34は、SS400鋼板の幅方向を長手方向とするように形成した。
さらに、測定に当たり、磁化器20の腕部30A,30Bの末端面と検査対象物24の表面との距離を0mm(接触)とした。コイル28に供給する交流電流は、100Hz、20mAの正弦波とした。なお、図8から図24について、二次元分布の中心を傷34の中心に一致させている。
磁気センサ22の検知軸(磁化方向と平行)に対する上記傷34の傾き角θを、0°から90°の間に設定して、それぞれの角度にて測定プローブ15を検査対象物24上にて走査させる。これにより得られた角度ごとの振幅成分を二次元分布化させたものが、図8から図14に示されている。
図8は、傾き角θ=0°、つまり傷34の長手方向が検知軸(及び磁化方向)と平行であるときの、漏洩磁束の水平成分Bxの振幅成分の二次元分布を示している。同様にして、図9、10、11、12、13、及び14は、それぞれ、傾き角θが、15°、30°、45°、60°、75°、及び90°(つまり傷34の長手方向が検知軸と直交する状態)であるときの、振幅成分の二次元分布を示している。なお、いずれの図も、ハッチングの密な領域は、振幅成分の値が相対的に大きいことを示しており、またハッチングの疎らな領域は、振幅成分の値が相対的に小さいことを示している。
図11から図14、つまり傾き角θ=45°〜90°のときの二次元分布を参照すると、相対的に値の大きい領域を囲む等値線の形状が、略細長い楕円形状となっている。しかもその楕円の長軸は、それぞれの傾き角とよい一致を示している。このことから、演算処理器38は、等値線の形状に基づいて、傷34の長手方向の傾き角θを算出する。
図15に示すように、二次元分布の等値線で囲まれた任意の楕円形状を指定して、その長軸を取得する。指定する楕円形状は、二次元分布の振幅成分の、最大値の70%以上100以下の値を示す任意の等値線によって形成された楕円形状であってよい。また、等値線によって囲まれた形状は、正確な楕円形状でない場合が多いため、楕円形状に近似した上でその長軸を求めるようにしてもよい。
楕円の長軸を求めた後に、演算処理器38は、その傾き角θを求める。具体的には、図15に示すように、長軸L0のX方向の長さ成分xL0とY方向の長さ成分yL0を求めるとともに、θ=tan-1(yL0/xL0)によって傾き角θを求める。
次に、位相成分の二次元分布によって傾き角θを求めるプロセスについて説明する。演算処理器38は、振幅成分と同様にして、位相成分についても二次元分布を作成する。図16から図22には、図8から図14と同様にして、傷34の長手方向の傾き角θを、0°、15°、30°、45°、60°、75°、及び90°としたときの、それぞれの位相成分の二次元分布図が示されている。なお、検査対象については振幅成分と同様に、図7に示す検査対象物24を用いた。また、いずれの図も、図8から図14と同様に、ハッチングの密な領域は、位相成分の値が相対的に大きい(参照信号との位相差が大きい)ことを示しており、またハッチングの疎らな領域は、位相成分の値が相対的に小さいことを示している。
ここで、図23に、図19の二次元分布を加工した分布図を示す。この図は、二次元分布上の、隣り合う位相成分の変化率を求めたものである。具体的には、図のX方向の微分値を求めてこれを平面座標上にプロットしたものである。言い換えると、図19の二次元分布を、X方向に空間1次微分したものが図23となる。
さらに、図24のように、最大値(X方向の上り勾配が最大の値)を囲む等値線と、最小値(X方向の下り勾配が最大の値)を囲む等値線との中心を直線L1で結ぶ。この直線L1の傾きは、図24における傷34の傾き角(=45°)とよい一致を示していることが理解される。このことから、直線L1のX方向の長さ成分xL1とY方向の長さ成分yL1を求めるとともに、θ=tan-1(yL1/xL1)によって傾き角θを求める。
以上のように、振幅成分及び位相成分の二次元分布から、傷34の傾き角θを求めることができる。図25には、上記算出によって求められた傾き角θの精度を示すグラフが示されている。このグラフでは、横軸には傷34の実際の傾き角θが示され、縦軸には算出によって求めた傾き角と実際の傾き角との誤差が示されている。また、塗り潰し菱形プロット(◆)は、振幅成分の二次元分布による算出結果を示し、白抜き丸プロット(○)は、位相成分の二次元分布による算出結果を示す。
このグラフに示されているように、位相成分を用いた算出については傾き角θが0°以上45°以下の範囲で高精度の結果が得られ、また振幅成分を用いた算出については傾き角が45°以上90°以下の範囲で高精度の結果が得られている。このようにして、位相成分による二次元分布と、振幅成分による二次元分布を用いることで、傷34の長手方向の傾き角θが、0°から±90°の範囲に亘って、±0.4°の高精度で求めることが可能となる。なお、上記実施形態では、0°から+90°の範囲しか示していないが、対象性によって、0°から−90°の範囲も同様にして算出可能である。
なお、上記実施形態では、位相成分と振幅成分の二次元分布を用いることで、傾き角θを求めていたが、この形態に限られない。例えば、位相成分のみ、または振幅成分のみにて、傾き角θを、0°から90°の範囲に亘って、求めることができる。
この場合、磁気センサ22を、互いに検知軸が直交する第1の磁気センサ22A及び第2の磁気センサ22Bから構成し、磁化器20を、磁気センサ22A,22Bの検知軸と磁化方向(磁気センサが挟まれる腕部30A,30Bの対向方向)がそれぞれ等しい2つの磁化器20A,20Bから構成する。
上記実施形態にて示したように、例えば位相成分であれば、0°から90°の範囲のうち、45°までは高精度に傾き角θを求めることができる。このことから、検知軸を90°違えた2つの磁気センサ22A,22Bを用いて、それぞれの位相成分の二次元分布を求めることで、傾き角θを、0°から90°の範囲で検出することができる。
具体的には、磁化器20Aによって検査対象物24を磁化し、このときの漏洩磁束を磁気センサ22Aで測定するとともに、測定された信号の位相成分の二次元分布を用いて、第1の角度範囲(例えば、0°以上45°以下)にある傾き角θを求める。さらに、磁化器20Bによって検査対象物24を磁化し、このときの漏洩磁束を磁気センサ22Bで測定するとともに、測定された信号の位相成分の二次元分布を用いて、第1の角度範囲とは異なる第2の角度範囲(例えば、45°以上90°以下)にある傾き角θを求める。このようにして、傾き角θを0°から±90°の範囲に亘って求めることが可能となる。同様にして、磁気センサ22A,22Bを用いて、それぞれの振幅成分の二次元分布から、傾き角θを0°から±90°の範囲に亘って求めることが可能となる。
このようにして、本実施形態では、演算処理器38が、磁気センサ22によって検出された漏洩磁束の振幅成分及び位相成分の少なくとも一方から、漏洩磁束のそれぞれ異なる特性(振幅成分及び位相成分、検知軸が直交する2つの磁気センサからそれぞれ求めた振幅成分、及び、検知軸が直交する2つの磁気センサからそれぞれ求めた位相成分)を反映させた複数の二次元分布を求める。さらに、これら二次元分布に基づいて、検査対象物24の表面上に形成された傷34の長手方向の傾き角θを、0°から±90°の範囲に亘り、算出する。
なお、上記した実施形態のうち、一つの磁気センサ22から振幅成分及び位相成分を取り出して二次元分布を用いる実施形態では、検査対象物24への磁化方向が一方向のみで済む。このため、例えば検査対象物24に回転磁界を加えるなどの複雑な磁化器を必要とせずに、比較的簡素な構成の磁化器20によって傷34の傾き角θを求めることが可能となる。さらに、二つの磁気センサ22A,22Bを用いる場合と比較して、それぞれの磁気センサの出力や感度のキャリブレーションが不要になることから、より簡便に探傷試験が行えるという利点がある。
また、本実施形態において、傷34の傾き角θを求める際に、特性の異なる2種類の二次元分布(例えば、振幅成分と位相成分)が得られることになるが、どちらの二次元分布を選択するかについては、例えば以下のような方法を用いる。
例えば振幅成分であれば、図8から図10に示すように、最大値の等値線領域が複数個所に分散されている場合、傾き角θは、算出誤差の大きい0°<θ<45°の範囲である可能性が高い。そこで、演算処理器38は、振幅成分の二次元分布について、その最大値の等値線形状の個数をカウントして、これが2以上である場合に、この二次元分布を傾き角θの算出には用いずに、もう一方の二次元分布を選択する。
また同様にして、位相成分であれば、図20から図22に示すように、最大値の等値線形状が円形から崩れていくにつれて、傾き角θは、算出誤差の大きい45°<θ<90°の範囲である可能性が高い。そこで、演算処理器38は、位相成分の二次元分布について、その最大値の等値線形状の円形度を求めて、これが所定の上限閾値(例えば1.5)を超えるか、下限閾値(例えば0.5)未満である場合に、この二次元分布を傾き角θの算出には用いずに、もう一方の二次元分布を選択する。
10 漏洩磁束探傷装置、12 測定器、14 演算部、15 測定プローブ、16 移動ステージ、18 ステージコントローラ、20 磁化器、22 磁気センサ、24 検査対象物、26 コア、28 コイル、30A,30B 腕部、32 ブリッジ部、34 傷、36 検波器、38 演算処理器。

Claims (7)

  1. 磁性材料の検査対象物に対して交流磁界を印加する磁化手段と、前記磁化手段に対して位置固定されるとともに、前記検査対象物表面からの漏洩磁束を検出する磁気センサと、を備える測定器と、
    前記測定器を前記検査対象物表面上に二次元的に走査させた際の、前記磁気センサによって検出された漏洩磁束の振幅成分及び位相成分の少なくとも一方から、漏洩磁束のそれぞれ異なる特性を反映させた複数の二次元分布を求めるとともに、前記二次元分布に基づいて、前記検査対象物表面上に形成された傷の長手方向の傾き角を算出する演算部と、
    を備えることを特徴とする、漏洩磁束探傷装置。
  2. 請求項1に記載の漏洩磁束探傷装置であって、
    前記演算部は、漏洩磁束の振幅成分及び位相成分の二次元分布を求めることを特徴とする、漏洩磁束探傷装置。
  3. 請求項2に記載の漏洩磁束探傷装置であって、
    前記演算部は、前記位相成分の二次元分布上の、隣り合う位相成分の変化率に基づいて、前記傷の傾き角を算出することを特徴とする、漏洩磁束探傷装置。
  4. 請求項3に記載の漏洩磁束探傷装置であって、
    前記演算部は、前記位相成分の変化率の最大値と最小値とを結んだ線分の傾き角に基づいて、前記傷の傾き角を算出することを特徴とする、漏洩磁束探傷装置。
  5. 請求項2から4のいずれかに記載の漏洩磁束探傷装置であって、
    前記演算部は、前記振幅成分の二次元分布上の等値線形状に基づいて、前記傷の傾き角を算出することを特徴とする、漏洩磁束探傷装置。
  6. 請求項2から5のいずれかに記載の漏洩磁束探傷装置であって、
    前記磁気センサは、前記磁気センサの検知軸に沿った、漏洩磁束の検知軸方向成分を検出し、
    前記演算部は、
    前記振幅成分の二次元分布を用いて、前記検知軸に対する角度が第1の角度範囲内にある前記傷の傾き角を算出し、
    前記位相成分の二次元分布を用いて、前記検知軸に対する角度が前記第1の角度範囲とは異なる第2の角度範囲内にある前記傷の傾き角を算出することを特徴とする、漏洩磁束探傷装置。
  7. 請求項6に記載の漏洩磁束探傷装置であって、
    前記第1の角度範囲は45°以上90°以下であって、
    前記第2の角度範囲は0°以上45°以下であることを特徴とする、漏洩磁束探傷装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106168601A (zh) * 2016-09-18 2016-11-30 中国石油大学(华东) 一种多探头兼容的通用交流电磁场检测仪
JP2018071983A (ja) * 2016-10-24 2018-05-10 国立大学法人 岡山大学 磁気的非破壊検査方法及び磁気的非破壊検査装置

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