JP2014173867A - 腐食診断装置および腐食診断方法 - Google Patents

腐食診断装置および腐食診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
機器の内面側の腐食による劣化を超音波を用いて診断する装置および方法において、経時変化を正確に求めるために長期間経た後も測定点を容易に再現するとともに、測定における省力化をも実現する。
【解決手段】
診断対象1の腐食を診断する装置90は、診断対象に対して超音波を送信し、この診断対象からの超音波の反射波の強度に応じて診断対象の腐食を診断する。超音波を発生する超音波探傷器7と、超音波探傷器で発生した超音波を診断対象に送信するとともに反射波を検出する接触子14と、接触子の位置を三次元で検出する三次元座標検出装置80と、接触子の位置及びこの接触子が検出した超音波波形を表示可能な可搬式の制御手段8とを備える。三次元座標検出装置は接触子の近傍であって相対位置が不変な位置に接触子の位置を検出する手段16を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は超音波を用いた腐食診断装置および腐食診断方法に係り、特に鋳鉄製の下水ポンプや雨水ポンプ等のポンプケーシングに好適な腐食診断装置および腐食診断方法に関する。
日常生活に欠くことのできない下水道ラインの心臓部である下水ポンプや雨水ポンプなどは、事故や故障を起こさないように定期的に腐食等の劣化を検査・診断し、劣化の程度に応じて、改修や交換などの対策を行っている。上記下水ポンプや雨水ポンプの主要構成部品であるケーシングや揚水管は、鋳鉄や炭素鋼などから製造されており、長年の使用により腐食による劣化を生起し易い。腐食の進行を放置しておくと、次第にケーシングや揚水管の構造強度が低下し、最悪の場合には破損事故に進展するおそれがある。したがって、ケーシングや揚水管を定期的に検査・診断して、劣化の進行状態を把握する必要がある。
鋳鉄製ポンプ部品における腐食を、非破壊検査で検査・診断する従来の例が、本発明者らによる非特許文献1に記載されている。この非特許文献1に記載の超音波診断法を用いた劣化診断では、被診断物であるポンプのケーシング表面に超音波探触子を当接させ、ケーシング内部の流路面側の腐食あるいは劣化具合を診断している。
この非特許文献1に記載の超音波診断法によれば、ケーシングに探触子を直接接触させるので正確に流路面である裏面の腐食の進行度合いを判定することができる。また、予め検査対象部位に貼付しておいた格子状フィルムの桝目交点を測定点として腐食の進行度合いを検出し、コンピュータによる計算処理結果を等高線表示して劣化状態が可視化しているので、裏面であって直接目視できない部分の劣化状態の把握が容易になる。
一方、ポンプケーシングのように3次元曲面から構成される対象上の座標を、正確に把握する方法が種々提案されている。例えば特許文献1には、計測値同士の三次元的な位置関係を確認するために、デジタイザによって各々の超音波断層像の位置関係を把握し、三次元像を再構築している。
また、特許文献2では、姿勢及び位置を三次元的に調整可能な複数の関節を有するロボットアームを用いて、スポット溶接部の仮中心位置の周辺から得られた複数の探傷情報に基づいて、実中心位置を特定している。これにより、スポット溶接部の良否を判定している。
特開平11−128224号公報 特開2006−220608号公報
橋本義之 他2名、「鋳鉄製ポンプ部品に生ずる黒鉛化腐食の超音波診断」、ターボ機械、社団法人ターボ機械協会、2010年1月、第38巻、第1号、p.54−63
ところで、ポンプのケーシングの流水部等の劣化は、内部を流体、主に水が流通することにより水に含まれる不純物等が、ケーシング壁と作用することにより徐々に進行する。したがって、劣化が顕著になるのは早くて数年後、劣化の進行が遅い場合には数10年たってもほとんど変化が見られない。そのため、定期的な検査も年1回〜数年に1回の間隔となる。その間、ポンプのケーシングの設置状況は変化しないが、外面は塗装をし直したりして正常性を保つようにするので、容易に数年前の測定位置を再現できない。
このように測定点を再現できないと、ケーシング等が鋳物製であれば製作時の鋳物厚さのばらつきと腐食による減肉との違いを判断するのが困難になる。また、上記下水ポンプや雨水ポンプのケーシング部や揚水管部の外径は、1000mmを超える場合がほとんどであり、人手による位置再現では多大な工数を要する。
上記非特許文献1ではポンプのケーシングに格子状フィルムをあてがい、複数の測定点を設定しているが、上述した通り数年および数10年後に同一の測定点を探して腐食による劣化を検出することについては、十分には考慮されていない。その結果、劣化診断において重要な経時変化を正確に求めることは困難である。特に、ポンプ表面を数度も塗装した場合にはマーキング等を利用できず、また外観上の面から特別なマーキング用部品を取り付けることもできない。
上記特許文献1に記載の装置では、各々の超音波断層像の位置関係を把握し、三次元像を再構築しているし、特許文献2に記載の装置では、スポット溶接部の仮中心位置の周辺から得られた複数の探傷情報に基づき実中心位置を特定している。しかしながら、これら特許文献1、2のいずれに記載の装置においても、計測対象点を数年後または数10年後に再現することについては、全く考慮されていない。
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、ポンプケーシング等の鋳鉄製部品を有する機器の内面側の腐食による劣化を超音波を用いて診断する装置および方法において、経時変化を正確に求めて腐食の検査・診断に供することにある。また、経時変化を正確に求めるために長期間経た後も測定点を容易に再現するとともに、測定における省力化をも実現することにある。
上記目的を達成する本発明の特徴は、診断対象に対して超音波を送信し、この診断対象からの超音波の反射波の強度に応じて診断対象の腐食を診断する装置が、超音波を発生する超音波探傷器と、この超音波探傷器で発生した超音波を前記診断対象に送信するとともに反射波を検出する接触子と、前記接触子の位置を三次元で検出する三次元座標検出装置と、前記接触子の位置及びこの接触子が検出した超音波波形を表示可能な可搬式の制御手段とを備え、前記三次元座標検出装置は前記接触子の近傍であって相対位置が不変な位置に前記接触子の位置を検出する手段を有することにある。
そしてこの特徴において、前記制御装置には、診断対象の厚さに対する前記反射波の一次成分と二次成分の比から定まる腐食の関係式と、前記三次元座標検出装置が検出した診断対象の初期の計測位置情報とが格納されており、前記三次元座標検出装置は前記診断対象に貼付する透明または半透明のフィルムを有し、前記初期の計測位置情報は前記フィルムを前記診断対象に貼付したときの前記フィルムに記載された計測点の座標情報であり、前記制御装置は、前記フィルムを再貼付したときに前記三次元座標検出装置が検出する計測点の座標が前記初期の計測位置情報の座標に実質的に合致するときに前記腐食の診断結果を表示する表示手段を有することが望ましく、前記制御装置は、前記接触子の空間での移動経路に応じて前記三次元座標検出装置の検出動作を制御するものがよい。
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、超音波探傷器で発生した超音波を診断対象に送信するとともに反射波を検出する接触子と可搬式の制御手段とを用いて前記診断対象に対して超音波を送信し、この診断対象からの超音波の反射波の強度に応じて診断対象の腐食を診断する腐食診断方法であって、前記診断対象に設定した基準位置に基づいて求めた前記診断対象の初期の計測位置における前記診断対象の厚さを前記制御手段に記憶させ、それ以後の腐食の診断において、前記基準位置に基づいて新たな計測位置を前記制御手段に格納されている初期の計測位置に合致させ、合致した計測位置において診断対象の厚さに対する一次反射波と二次反射波の比を求め、この比から腐食のランクを決定して前記制御装置に表示することにある。
そしてこの特徴において、前記診断対象に設定した基準位置に基づいて前記診断対象の初期の計測位置を得る際に、複数の測定点が記載されたフィルムを前記診断対象に貼付して三次元座標検出装置で検出して前記制御手段に入力し、それ以後の腐食の診断においては前記フィルムを診断対象に再貼付して前記三次元座標検出装置が検出した前記フィルムの再貼付位置を前記制御手段に格納されている初期の計測位置に合致させるものであってもよい。
また上記特徴において、前記接触子の空間の移動経路に応じて前記制御手段が、少なくとも前記三次元座標の位置検出および前記反射波の検出のいずれかが適または不適であると判断するのがよく、前記制御手段はタブレット型の表示手段を有し、この表示手段に初期の計測位置と現在の接触子の位置、および検出した超音波波形とを表示し、接触子の移動と検出波形の確認とを1人の作業者で行えるようにすることが好ましい。
本発明によれば、フランジ等の変形がない部分を基準位置として3次元座標で測定点を記憶させ、この記憶させた座標値を測定現場で作業者が保持する探傷子位置の移動で参照可能にしたので、経時変化を正確に求めるために必要な固定測定点を長期間経た後も再現でき、経時変化を正確に求めて腐食の検査・診断に供することが可能になる。また、測定位置を作業者が保持する探傷子を利用して作業者に提示可能にしたので、測定一の再現が容易になるとともに腐食検査および診断作業の省力化を実現できる。
本発明に係る腐食診断装置の一実施例を用いた腐食診断方法を説明する図。 図1に示した腐食診断装置が有する三次元座標検出装置の斜視図。 三次元座標を説明するためのポンプの斜視図。 図1に示した腐食診断装置で用いるフィルムを説明する図。 図1に示した制御装置に表示される表示画面の一例を示す図。 超音波を用いた腐食診断を説明する図。 本発明に係る腐食診断装置の他の実施例の斜視図。 図7に示した腐食診断装置が備える接触子の一例を示す図。
以下、本発明に係る腐食診断装置および腐食診断装置を用いた診断方法のいくつかの実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
図1ないし図6は本発明に係る腐食診断装置90の一実施例に関する図であり、図1は腐食診断装置90を用いて両吸込型渦巻きポンプ100のケーシング1における腐食を診断する例の模式図である。図2は、図1に示した腐食診断装置90が備えるアーム型の三次元座標検出装置80の斜視図である。
診断対象のポンプ100は、羽根車を内蔵するケーシング1を備えている。ケーシング1は水平分割型であり、上ケーシング2と下ケーシング3とを有している。上ケーシング1の下端部には上ケーシングフランジ4が、下ケーシング3の上端部には下ケーシングフランジ5が設けられている。
上ケーシングフランジ4と下ケーシングフランジ5の間にOリングやガスケット等のシール手段を介在させて、両フランジ4、5間をボルト等で締結することにより、密閉容器を形成する。下ケーシング3の吸込み側には吸込フランジ6が、吐出側には吐出フランジ9が設けられており、上流側の吸込配管6d及び下流側の吐出配管9aとそれぞれフランジ6、9で接続されている。下ケーシング3の下面には脚部1a、1bが取り付けられており、ポンプ100の設置位置の床面10に、図示しないアンカー手段等で固定される。図1中の矢印は、水の流れ方向を示す。
詳細を後述するアーム型の三次元座標検出装置80は、2本のアーム12、13と3個の関節を有しており、上ケーシング2のケーシングフランジ4の上表面4aにその基部11が磁力等で固定されている。三次元座標検出装置80の先端部には、超音波を送受信する接触子14が取り付けられている。接触し経超音波を送信し、また接触氏が受信した信号を送信するためにアーム12、13内部を信号ケーブルが這っており、この信号ケーブルの端部は三次元座標検出装置80の基部11からケーブル8aとなって、作業者19が保持する制御装置8に接続されている。制御装置8には、可搬性を考慮して、表示部および演算部とデータ記憶部と各機器とのインターフェースを有するタブレット型PCを用いている。
タブレット型の制御装置8には、超音波探傷器7が、ケーブル7aで接続されている。超音波探傷器7には、例えばParametrics社製のEpochIV(商品名称)を用いている。三次元座標検出装置80および接触子14、タブレット型の制御装置8、超音波探傷器7は、腐食診断装置90を構成する。
図2に、三次元座標検出装置80の詳細を示す。マグネット式の基部11には、第1関節81が設けられており、第1のアーム12の一端部が取り付けられている。第1のアーム12の他端部は、第2の関節82に取り付けられている。第2の関節82には第2のアーム13の一端部も取り付けられており、第2のアーム13の他端部は第3の関節83に取り付けられている。第3の関節には、接触子15と1個または複数の計測球16が取り付けられている。
基部11に設けた第1の関節81は、回転2自由度を有している。第1のアーム12を基部11に対し垂直方向に延びる軸周りに回転可能とするθ1軸と、第1のアーム12がθ1軸に対し直角な方向に延びる軸周りに回転可能とするθ2軸である。基部11が水平に配置されていれば、θ1軸は鉛直軸となる。
第2の関節82も回転2自由度を有しており、第1のアーム12側の自由度であるθ3軸及び第2のアーム側であるθ4軸を構成する。接触子14が接続される先端部では、第2のアームの回転自由度であるθ5軸と、接触子14の回転自由度でθ6軸が構成される。接触子14と1個または複数個設ける計測球16との相対位置関係は不変である。つまり、接触子14をケーシング1の表面に接触面15で接触させたときに、計測球16はケーシング1表面近傍に位置してその位置座標を検出し制御装置8に送信する。その際、計測球16と接触子14の相対位置関係が不変であるから、計測球16の測定結果から、接触子14の位置を幾何学的関係で求めることができる。
上述したように、三次元座標検出装置80の先端に固定された接触子14は、ケーブル8a,7aにより超音波探傷器7に電気的に接続されており、超音波探傷器7は制御装置8に電気的に接続されているので、制御装置8により超音波探傷器7の動作を制御できる。また、接触子14から得られた超音波波形データ等の情報も制御装置8は得ることができる。
各自由度θ1〜θ6は、添え字が奇数であれば、すなわちθ1、θ3、θ5では回転の自由度であり、添え字が偶数であれば、すなわちθ2、θ4、θ6ではが揺動の自由度である。第1のアーム12の長さL1、第2のアーム13の長さL2、揺動の自由度θ6の中心軸から接触面15までの最短の長さL3、揺動の自由度θ6の中心軸から計測球16中心までの長さL4は既知である。また、接触面15と計測球16の中心との相対位置関係も既知である。
本実施例で使用している接触子14は円筒形であるので、揺動の自由度θ6の中心軸から接触面15までの最短の長さL3は、揺動の自由度θ6の中心軸から接触面15を構成する円の中心まで距離となる。三次元座標検出装置80の第1〜第3の関節81〜83には、各回転または揺動の自由度θ1〜θ6ごとにエンコーダ(図示せず)が配されており、エンコーダが検出した各自由度θ1〜θ6の回転角度は、制御装置8に電気的に送信される。
なお、制御装置8では、エンコーダの情報や長さの情報から接触面15と計測球16中心の位置を常に演算しており、制御装置8の表示画面(図5の座標欄24参照)に現在の値を表示する。このときの座標値は、後述する計測座標が設定されていない状態では、第1の関節81の自由度θ1とθ2に関係する回転中心の交点を、暫定的に原点O(0,0,0)とした値である。各関節81〜83に配されているエンコーダは、アブソリュート型であるので、一旦電源を切っても再電源投入後の指示値は同じである。
次に、このように配置した三次元座標検出装置80を用いた三次元座標の計測について、図3を用いて説明する。図3は、ポンプ100のケーシング1だけを取り出して示した斜視図である。計測球16の中心座標17を基準座標、すなわち原点とする場合である。接触子14の座標はこの計測球16の中心座標17に、接触子14と計測球16の相対位置関係を適用して求めることができる。
計測球16の中心座標17を求めるために、基準となる2つの平面と基準円とを用いる。本実施例では、基準となる2つの平面を、吸込フランジ6のポンプ側表面6aと、上ケーシングフランジ4の上表面4aに設定している。基準となる円は、吸込フランジ6のポンプ側表面6a上であって、吸込フランジ6の外周面6bに設定する。この基準平面と基準円とから定まる座標系で、接触子14が接触するケーシング1上の任意の点を記述する詳細を、以下に示す。
初めに、制御装置8の電源をオンした状態で暫定的に指示されている3次元デカルト座標系を用いて、吸込フランジ6のポンプ側表面6aに計測球16を接触させ、この状態で少なくとも3箇所、可能であれば20箇所以上の座標値を取得する。このとき取得する座標値は、吸込フランジ6のポンプ側の面6aのなるべく広い範囲から取得することが望ましい。
これにより、暫定的に平面が決定される。この暫定的な平面から浮かせて計測球16を移動させる。つまり、ポンプ100のケーシング1と接触しない空中の点の座標値を取得する。空中の点の座標を求めるのは、平面に計測球16を接触させて得られる座標値は、計測球16の半径分だけオフセットした値であるからである。このオフセット値を補正する方向を確定するために、空中の点を取得している。計測球14をケーシング1の表面に接触させて求めた3〜20数個の座標値から決定された暫定的な平面を、計測球16の半径分だけ、上記空中の点と反対方向にオフセットして、基準となるXY面42を得る。そして、上記空中の点の方向を、法線方向の正方向とする。
吸込フランジ6の外周面である円筒面6bの異なる3箇所以上の点、できれば20箇所以上の点に、三次元座標検出装置80の第3の関節83に取り付けた計測球16を接触させて座標値を求める。このとき座標値を求める点を、吸込フランジ6の外周面6bのなるべく広い範囲に分布させることが望ましい。求めた座標値をXY面に投影する。そして、投影された吸込フランジ6の外周面6bを円で近似することにより、基準円43が得られる。得られた基準円43から、その中心点50の座標を求める。基準円43の半径は、計測球16の半径分だけ吸込フランジ6の半径よりも大きな値になっているが、中心点50を求めるときには障害とはならない。
上記吸込フランジ6のポンプ側の外周面6aで計測球16を移動させて3〜20数点計測したのと同様に、上ケーシングフランジ4の上部表面4aについて、計測球16を移動させて3〜20数点の座標を求め、基準平面を求める。その際、上記手順と同様に、計測球16のオフセット分を補正して、基準となる上平面41を得る。
基準円43の中心点50を新たに原点Oに設定し、その座標値をO(0,0,0)とする。原点Oを通り、上平面41とXY面42の交線43に垂直に交わる線をY軸とする。Y軸の方向は、原点Oから上平面41に向かう方向を正方向とする。XY面42が規定されているので、右手系の計測座標40が決定される。以下の計測における座標値は、すべて計測座標40での値である。
上記実施例では、計測球16を用いた計測から基準面41,42及び基準円43を求めているが、超音波探傷器7の接触子14を用いて基準面及び基準円を求めることも可能である。制御装置8は、接触子14の接触面15の中心点の座標を常時求めているので、その数値を用いる。
ただし、接触時のゴミなどによる浮きや吸込フランジ6の外周面の計測時に接触面15の中心が接触しているか否かは、測定精度に影響するので注意を要する。また基準面の計測においては、接触部とのオフセットがないので得られる座標値を補正する必要はないが、XY面42の正方向を決めるために、空中の点の座標値を求める手順は必要である。
本実施例では、アーム型三次元座標検出装置80を計測対象物であるケーシング1の上ケーシングフランジ4の上表面4aに固定している。しかし、計測対象物以外でも計測対象物とアーム型三次元座標検出装置80の相対位置関係が変わらない、作業者が計測球16または接触子14を移動させながら計測するのに妨げにならない、という条件を満足するのであれば、アーム型三次元座標検出装置80をいかなる場所に固定してもよい。
次に、図4及び図5により、超音波探傷器7を用いた腐食診断方法について説明する。図4は、腐食診断装置100が超音波波形データを取得する際に用いるフィルム20の一例を示す図、図5は腐食診断装置100が備える制御装置(タブレット)8の表示画面の一例を示す図である。
超音波探傷器7を用いてケーシング1の腐食を判断するためには、上述した通り、以前のケーシング1の状態からのケーシング1の変化した肉厚を求めることが必要になる。そして、基準となる以前の状態と同一点で計測すれば、計測精度が向上する。そこで、フィルム20等を用いて、測定点を同一点とすることが試みられている。これは、ケーシング表面の経時変化により、予めマークした点が不明になる等の不具合を解消する場合に有効な方法である。
ケーシング1の内壁の経時変化を確認するために、ポンプ100の設置時等に、初期状態としてのケーシング1の肉厚を測定する。これを初回の計測とする。本実施例では、10行×10列の計100箇所の計測点21を設定し、計測点1から計測点100までの番号が付された透明なフィルム20を使用している。このフィルム20は、接触子14を接触させる位置の目標にも使用する。
ケーシング1の計測を実施する部位を、濡れたウエス等で掃除して埃等を取り除き、使用するフィルム20よりも幾分広い範囲にグリセリンペーストを塗り膜状に広める。グリセリンペーストの膜上であって、計測対象範囲内にフィルム20を貼り付ける。このとき、フィルム20とケーシング1の間には気泡が形成されないように注意し、気泡が形成されている場合には、気泡をフィルム20下から外側へ押し出す。さらに、三次元座標検出装置80の接触子14の接触面15と接する面であって、ケーシング1に接する面と反対側のフィルム20面にも、グリセリンペーストを塗り広める。
図5に示した表示画面50において、モード切換えタブ欄24の最下部の「キーボード表示・非表示」タブ24dを押し下げることにより、図示しないキーボード表示画面が現れる。そこで、計測対象および計測部位名称やフィルム20の情報を、制御装置8に入力する。計測対象は、対象機器(本実施例ではポンプ100のケーシング1)が設置されている場所、対象機器の型式や製造番号等の対象機器の情報で、後日、データ整理時に対象機器の同定に用いる。計測部位名称は、吐出側上ケーシング等の部位の名称である。フィルム20の情報は、計測点数および計測点間のピッチや計測点の配列等である。これらの情報は制御装置8内に保存される。
次に、フィルム20を貼り付けた位置の三次元座標データを取得する。モード切換えタブ24の「キーボード表示・非表示」タブ24dを押し下げ、図5に示すような表示画面50を得る。モード切換えタブ24の計測関連タブ24cの中から、データ呼出タブ24c3を選択する。なお、計測関連タブ24cには、複数ページにわたってタブが設定されており、他のタブとしては、計測モード24c1、表示モード24c2、データ保存タブ24c4等が設定されている。これらタブを作業者は適宜切換え、計測を実行する。
データ呼出タブ24c3を選択したので、フィルム20の位置が取得される。フィルム20の位置は事前に制御装置8に登録されており、フィルム20の対角線上の2点の位置を指定することにより、フィルム20の情報から、各計測点(計測点1〜計測点100)がどの位置にどのように配置されているのかを、制御装置8が認識する。
例えば、フィルム20上に記載された測定点1を表す丸囲み数字1の円の中心に、接触面15の中心が一致するように接触子14をフィルム20上で接触させて、3秒間静止させる。図5に示した制御装置8の計測表示画面50では、左上に示したデータ入力タイマ欄22に初め「3」が表示され、次いでカウントダウンする。データ入力タイマ欄22の表示が「0」になると、この測定点1の座標値が取得される。
次いで、フィルム20に記された測定点100の丸囲み数字100の円の中心と接触子14の中心が一致するようにして接触面15をフィルム20に接触させ3秒間静止させる。これにより、測定点100の座標値が得られる。
以上の測定点1及び測定点100についての位置座標の取得において、問題が無ければ接触子14を空中で移動させて○を描く。制御装置8の計測表示画面50の最下段に設けたステータスウインドウ28に「終了しますか? OK:○、キャンセル:×」が表示される。そこで、接触子14を空中で移動させて再度○を描く。これで、フィルム20の位置計測が終了する。キャンセルの場合には、空中で×を描き、再度位置を求める。フィルム20の位置が判明したので、フィルム20上の計測点1〜計測点100が、どの位置にどのように配されているのかを、予め入力してあるフィルム20の情報に基づいて制御装置8が演算で求める。
次に、計測点1〜計測点100について、超音波波形データを取得する。制御装置8を、超音波波形データを取得するモードに設定する。超音波波形取得モードは、事前に制御装置8に登録されている。フィルム20の計測点1〜計測点100の位置を、演算により制御装置8が求めた後の状態で、超音波波形取得モードに移行する。計測点位置情報がすでに得られているので、接触子14の位置情報から超音波波形データがどの計測点のものかが判明する。これにより、制御装置8の表示画面50の計測ポイント欄26における表示や腐食状態表示欄27が作成され、腐食レベルが算出される。
図5に示した制御装置8の表示画面50では、計測ポイント欄26における灰色部26aは測定が完了した部分を示し、白色部分26bは測定が未完了な部分であり、黒丸に白色の数字で強調表示した部分26cは、現在の測定点を示す。つまり、図5ではフィルム20上の測定点1から順番に超音波波形データを取得して測定点57までを測定し終え、測定点58の測定準備をしていることを示している。測定点58が強調表示される。
その際、現在の接触子14の接触面15の中心座標位置23aを表示画面50の中央上部の座標欄23に、また制御装置8が演算して予め求めている測定点58として定めた座標位置と現在の接触子14との位置誤差23bをその隣に表示する。本実施例では、接触子14の現在位置は(1181.8,256.3,−775.2)であり、測定点58との位置誤差は、(0.3,1.1、−1.8)である。測定点58を示す丸囲み数字58の円の中心と接触面15の中心が一致するように、接触子14をフィルム20に接触させながら、移動させていることが分かる。
計測点58の計測までに既に計測し終えた超音波による腐食測定データは、表示画面50の計測ポイント欄26の隣に、腐食状態表示欄27として示されている。そして腐食状態表示欄27の右隣には、腐食状態表示欄27で使用される区分の凡例が凡例欄27bとして表示されている。腐食状態表示欄27では、格子の交点が計測点を示している。また、既にデータを取得した部分は腐食状態を等高線で表示されており、まだデータを取得していない部分は白色で示されている。なお、腐食状態表示欄27では、計測点58に対応する部分である格子の交点に、丸を付して強調表示している。
測定点座標欄23に表示される、予め制御装置8が演算して求めた測定点58の座標と、接触子座標欄24に表示される接触子14の現在の座標とが、許容範囲内の誤差しかなくなったときに、接触子14を静止させる。表示画面50のデータ入力タイマ欄22の表示が「3」からカウントダウンし、表示が「0」になったら、超音波探傷器7から接触子14を介してケーシング1に向けて発信され、接触子14を介して超音波探傷器7で受信した超音波エコーの波形データを取得する。
超音波探傷器7の発信データと、接触子14を介して取得した超音波波形のエコーデータは、表示画面50の右上の超音波波形データ表示欄25に、フリーズした状態表示される。この発信データとエコーデータとに基づいて、上記腐食状態表示欄27に腐食レベルが示されると共に、表示画面の最下部のステータスウインドウ28に、腐食状態が数値で表示される。
このとき、波形や数値に問題があれば、再計測も可能である。再計測の方法としては、一度接触子14を移動させ、再度計測点58に対応するフィルム20上の丸囲み数字58の円の中心に接触面15の中心が一致するように接触面15を接触させる。計測ポイント欄26の計測点58のマス上に黒丸に白字で「58」が強調表示される。それとともに、データ入力タイマ欄22の数字が「3」からカウントダウンされる。接触子14をそのまま静止させ続けると、データ入力タイマ欄22のカウントダウン表示が「0」になり、超音波波形データの取得が完了し、データが上書き保存される。
超音波波形データは、既にデータを取得した計測点1〜計測点57や、まだデータを取得していない計測点59〜計測点100のいずれについても取得可能である。したがって、計測点1から順番通りにデータを取得する必要はなく、任意の計測点の順番でデータを取得してもよい。
表示画面50の計測ポイント欄26の全てのマスが灰色になり計測が終了した場合には、接触子14を空中で移動させて○を描く。ステータスウインドウ28に「終了しますか? OK:○、キャンセル:×」が表示されるので、接触子14を空中で移動させて再度○を描く。これにより一連の計測が終了する。
ここで、表示画面50の腐食状態表示欄27の作成原理について、図6を用いて説明する。図6(a)は図5に示した表示画面50中の超音波波形表示欄25に対応するグラフであり、図6(b)は図5に示した表示画面50中の腐食状態表示欄27を作成するためのレベル分けを示すグラフである。
図6(a)は模式的に示した図であり、縦軸は信号強度Aで、横軸は経過時間tである。信号61は超音波探傷器7の接触子14から発信される超音波信号であり、信号62、63はケーシング1で反射され接触子14で検出されたエコー信号である。最初の反射信号62を一次エコーと呼び、2番目の反射信号63を二次エコーと呼ぶ。非特許文献1に記載のように、ケーシングの腐食状態は、一次エコー62と二次エコー63の比に相関する。
そこで、一次エコーと二次エコーとの比Rを縦軸に、ケーシングの肉厚Tを横軸にして、腐食状態をパラメータにして示したのが図6(b)に示すグラフである。このときの肉厚Tは、一次エコー62と二次エコー63のピーク間の時間差に、計測対象を超音波が伝わるときの音速を乗じて算出する。レベル0は腐食の進展がほとんど見られない状態であり、レベル5は腐食が進展して、交換もしくは補修が必要な状態である。レベル0からレベル5までの間を4等分して、腐食による補修もしくは交換が必要か否か、近々の補修または交換が必要か否か等の状態を決定する。この図6(a)は、これまでの腐食に関するデータに基づく実験的に求めた図である。ねずみ鋳鋼のケーシング1で肉厚Tが薄い場合には、エコー比Rが大きくても補修が必要な場合があるし、肉厚Tが厚い場合にはエコー比Rが小さくても補修が必要のない場合もあることが分かる。これは、肉厚Tが厚くなるほど超音波の原水が大きくなるためである。この図5(b)の関係を予め制御装置に入力しておき、腐食の診断に利用する。
次に、ケーシング1の腐食を経時的に診断するために、初期状態の測定から数年ないし数十年経過した後のケーシング1の腐食診断方法について、詳細に説明する。ケーシングの肉厚変化を測定するためには、初期の測定位置とできるだけ同一位置で測定する必要がある。なぜなら、ケーシング1は鋳物で製作されており、鋳物の場合、肉厚が場所ごとに変化することは製作上やむを得ないためである。特に大型のポンプのケーシングの場合には、コスト面から精密鋳造等を用いることができず、設計段階において肉厚の許容誤差をかなりの程度認めている。また、形状が複雑になる場合には、形状各部で肉厚が変化している。そのため、初期の測定状態を再現しないと、減肉状態が不明となる。
初期状態の再現方法には、いくつかの方法がある。第1番目は、初期状態に使用した同じフィルム20もしくは同じ形状のフィルム20を用いて、所定時間経過した後に腐食診断する場合である。この場合、ポンプケーシング1の表面が変化しないことを条件とする。
初期状態を計測し終えたら、ウエス等でグリセリンペーストを除去する。制御装置8の表示画面50の接触子14の座標欄24を確認しながら、座標欄23に示される計測点1の座標値に一致するように接触子14を動かす。接触子14を許容範囲内に移動させたら、接触子14の位置を計測対象であるケーシング1に油性マーカーでマーキングする。
マーキングの方法は接触子14を計測対象1に接触させ、接触子14の円筒状の外周を油性マーカーでなぞってマーキングし、マーキング円内に1を記入する。同様に計測点100でも接触子14の外周をマーキングし、円内に100を記入する。腐食診断をする場合には、初期状態を測定する場合に使用したフィルム20またはそれと同系のフィルムを用いて、マーキングの円1をフィルム20上の計測点1に、マーキングの円100をフィルム20上の計測点100に位置合わせする。これにより、初期状態と同一位置での計測が可能となり、初期状態を再現できる。なお、フィルム20の情報については、初期状態のデータを参照すればよい。
次に、ケーシング1の表面の汚れ防止や美観の点からケーシングの1表面を再塗装する場合がある。この場合、初期状態を再現するためには、第2の方法を用いる。この方法でもフィルム20を使用する。初期状態で作成したマーキングをもはや使用できないので、新たにマーキング位置を作成する。その場合、初期状態で実施した2つの基準平面と1つの基準円を再度作成し、同一の計測座標17を再現する。同一の計測座標が得られたら、すでに記憶されている初期状態の計測点1と計測点100座標を用いて、接触子14をこれら座標に一致するように移動させ、マーキングを再度実行する。これにより、再塗装前と同じ位置にマーキングが可能となる。
ここで、再塗装等により、初期状態と同じ場所にフィルム20を固定できなくなり、フィルム20の固定状態を変えざるを得なくなる場合がある。フィルム20の固定位置を変えると、同じ座標系を使用できない場合もあり、初期状態での計測点と経年後の計測点の相対位置関係の把握が困難となる。そこで、共通の計測座標で座標値を取得する必要が生じる。この場合、第3の方法を用いる。つまり、経年後に新たにフィルム20を固定し、この状態で2つの基準平面と1つの基準円とを計測し座標系を設定すると、変更前後で共通の計測座標となる
換言すると、例えば経年後の座標が初期状態の座標より丁度100mm右にずれていた場合に、経年後の計測点1は初期状態の計測点6と同じ位置になるので、この状態で初期状態の計測点1と経年後の計測点1を比較しても正しい値は得られない。この場合には、初期状態の計測点6と経年後の計測点1を比較することにより正しい腐食状態が得られるので、共通の座標値になるようにフィルム20を設定する。
ところで上記実施例では、接触子14を動かしてマウスやキーボードの操作の代替としている。これは、接触子14が発信した超音波を被計測物に伝えるために、通常、接触面15に接触媒体としてグリセリンペースト等を用いるからである。計測作業中の作業者は、グリセリンペースト等が手に付着している可能性が高く、制御装置8への入力作業時に、このグリセリンペーストが誤作動を起こす原因になるおそれがある。
そこで本実施例では、OKの場合は○、キャンセルの場合は×のような記号を、接触子14を空中で移動させて図形を描くことにより、制御装置8に入力している。計測手順は予め制御装置8に登録してあるので、超音波探傷器7を用いた計測動作に入ると、「OK」と「キャンセル」だけで大半の入力を実施できる。
また、従来、超音波波形データと三次元座標データを取得するタイミングは、マウスのクリックや任意のキーボードのキーの押下、音声による指示であった。本実施例では前述の理由からマウスやキーボードを使用しないで、接触子14を所定設定時間だけ静止させることにより、データ取得を実現している。具体的には、所定設定時間を3秒とした場合、接触子14を静止させてから3秒経過後にデータを取得するようにし、制御装置8の表示画面50に経過時間が「3」からカウントダウンされるように表示する。そして、表示時間が「0」になった時点で、データを取得している。表示時間が「0」になる前に接触子14を移動させた場合には、表示時間は「3」にリセットされる。そして、接触子14が静止したら再び「3」からカウントダウンが始まる。データ取得後は、接触子14を移動させるまで、次のカウントダウンを実行しない。
次に、本発明に係る腐食診断の他の実施例を、図7および図8を用いて説明する。図7は、腐食診断装置90Aの他の実施例の模式図である。この図7では、作業者等の図示を省略している。また、制御装置8は可搬式のコンピュータであり、ベルトを介して作業者19により保持される。図8は、図7の腐食診断装置90Aが備える接触子14Aの斜視図である。
本実施例が実施例1の記載と異なるのは、アーム型三次元座標検出装置の代わりに複数台のカメラ30a、30bを用いたことと、第3関節部の代わりに接触子14とその周りに設けた複数の認識球32とで超音波探傷器7のセンサ部を構成したことにある。
計測対象は、実施例1と同様に、ポンプ100のケーシング1である。接触子14の接触面15の反対側にはホルダ31が形成されており、ホルダ31には認識球32が3個取り付けられている。認識球32と接触子14はその相対位置関係が変わらないように固定されている。認識球32および接触子14と接触面15の位置関係は既知である。
接触子14は電気的に超音波探傷器7と接続されており、さらに超音波探傷器7は制御装置8と電気的に接続されている。これにより、制御装置8から超音波探傷器7の動作が制御可能となり、さらに接触子14から得られた超音波波形データ等の情報も制御装置8は取得可能になっている。
ケーシング1に近接させた認識球32を撮像可能な位置に、左カメラ30aと右カメラ30bを配置している。左カメラ30aと右カメラ30bは、制御装置8と電気的に接続されている。作業者19は、自己の体の位置を含めて左右のカメラの撮像範囲に認識球32があるように、接触子14の計測位置を定める。撮像範囲に認識球32があることが確認されたら、左カメラ30aと右カメラ30bが撮像した映像は、制御装置8に画像入力される。制御装置8に入力された映像から、制御装置8は画像処理ソフト(図示せず)を用いて、各認識球32の中心位置を演算する。さらに、左カメラ30aと右カメラ30bの間の視差と、認識球32の相互間の寸法から、各認識球32の三次元座標値を演算する。
さらに、3個の認識球32の直径は同一であるが、各認識球32の中心点間を結んで形成される三角形が不等辺3角形となるように、認識球32を位置決めしている。これは、二等辺三角形や正三角形状態で認識球32を位置決めすると、任意の線で線対称になり、三角形の頂点の座標が分かっても表裏で同一の三角形が存在し、接触面15と認識球32との位置関係が不定になるためである。3辺が互いに異なる寸法とすることで、不定の問題は発生せず、3個の認識球32の三次元座標値から、接触面15の中心点の座標を演算することが可能となる
ここで、認識球32は接触子14とともに動くので、この認識球32による具体的な三次元座標取得について以下に説明する。(1)認識球32を2台のカメラ30a、30bで観察して、3個の認識球32の中心点の三次元座標を求める。(2)3個の認識球323の中心点を線分で結んで三角形を作る。(3)作成された三角形は不等辺三角形なので、表と裏を区別可能となる。(4)形成される三角形を用いて、例えば、三角形の重心を通る法線上で表面方向に所定距離だけ離れたところを接触面の中心と定義する。これにより、上記実施例に記載したアーム型三次元座標検出装置と同じように三次元計測器として機能する。
計測座標17の設定方法は、図1に示した実施例の接触子14で直接計測する方法と同様であり、超音波波形データの取得方法やデータ処理方法等も、実施例1と同様である。
本実施例においても計測座標17の設定に使用する部位と手順を、実施例1と同じくすれば、同じ座標系を使用しているので、実施例1で示した三次元座標検出装置を用いて測定した結果を、本実施例で得られたデータと直接的に比較したり、置き換え・結合するのに利用できる。本実施例において狭隘部を測定する場合には、カメラの死角が生じる恐れがある。そのような場合には、カメラ台数を増やすことで対応可能となる。
上記各実施例によれば、タブレットPCの画面に、初期状態での測定範囲または前回の測定範囲の枠や測定結果から得られた厚さ分布における等高線、および接触子の位置をリアルタイムで表示することが可能になる。これにより、接触子の位置が範囲内にあるか否か、測定漏れの計測位置はあるか否か、の確認が可能になる。
また上記各実施例においては、フィルムを使用して計測しているが、これは測定対象の表面領域に格子状の計測範囲を設定し、その計測範囲内のデータを取得することを容易にするためである。その上、接触子を接触させる位置の目標とすることができ、PCの画面上に測定目標位置とリアルタイムの接触子の位置の双方が表示されて、作業効率を向上させる効果もある。これにより、複雑な配置のゆえに作業の制限を受ける現地での腐食測定を効率化できる。
なお上記各実施例においては、計測位置の再現性を向上させるために、座標の設定精度の向上を図っている。すなわち、基準となる面や円を高精度で選定及び測定可能としている。特に、基準面は精度に与える影響が大きいので、大きなエリアから基準面を設定するようにし、測定対象の中で最大限の基準面を構成可能なフランジを基準面としている。これにより、計測位置の再現性が向上する。
1…ケーシング、1a、1b…脚部、2…上ケーシング、3…下ケーシング、4…上ケーシングフランジ、4a…上表面、5…下ケーシングフランジ、6…吸込フランジ、6a…ポンプ側表面、6b…フランジ周面(円筒面)、6c…中心点、6d…吸込配管、7…超音波探傷器、7a…ケーブル、8…制御装置、8a…ケーブル、9…吐出フランジ、9a…吐出配管、10…床面、11…基部、12…第1のアーム、13…第2のアーム、14…接触子、15…接触面、16…計測球、19…作業者、20…フィルム、21…計測点、22…データ入力タイマ欄、23…センサ位置座標欄、24…モード切換タブ欄、25…超音波波形データ表示欄、26…計測ポイント欄、27…腐食状態表示欄、28…ステータスウインドウ、30a、30b…カメラ、31…ホルダ、32…認識球、40…計測座標、41…上平面、42…XY面、43…基準円、44…交線、50…表示画面、61…送信波(信号)、62…一次エコー(信号)、63…二次エコー(信号)、80…(アーム型)三次元座標検出装置、81…第1関節、82…第2関節、83…第2関節、90、90A…腐食診断装置、100…診断対象(両吸込ポンプ)。

Claims (7)

  1. 診断対象に対して超音波を送信し、この診断対象からの超音波の反射波の強度に応じて診断対象の腐食を診断する装置であって、超音波を発生する超音波探傷器と、この超音波探傷器で発生した超音波を前記診断対象に送信するとともに反射波を検出する接触子と、前記接触子の位置を三次元で検出する三次元座標検出装置と、前記接触子の位置及びこの接触子が検出した超音波波形を表示可能な可搬式の制御手段とを備え、前記三次元座標検出装置は前記接触子の近傍であって相対位置が不変な位置に前記接触子の位置を検出する手段を有することを特徴とする超音波を用いた腐食診断装置。
  2. 前記制御装置には、診断対象の厚さに対する前記反射波の一次成分と二次成分の比から定まる腐食の関係式と、前記三次元座標検出装置が検出した診断対象の初期の計測位置情報とが格納されており、前記三次元座標検出装置は前記診断対象に貼付する透明または半透明のフィルムを有し、前記初期の計測位置情報は前記フィルムを前記診断対象に貼付したときの前記フィルムに記載された計測点の座標情報であり、前記制御装置は、前記フィルムを再貼付したときに前記三次元座標検出装置が検出する計測点の座標が前記初期の計測位置情報の座標に実質的に合致するときに前記腐食の診断結果を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の腐食診断装置。
  3. 前記制御装置は、前記接触子の空間での移動経路に応じて前記三次元座標検出装置の検出動作を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の腐食診断装置。
  4. 超音波探傷器で発生した超音波を診断対象に送信するとともに反射波を検出する接触子と可搬式の制御手段とを用いて前記診断対象に対して超音波を送信し、この診断対象からの超音波の反射波の強度に応じて診断対象の腐食を診断する腐食診断方法であって、前記診断対象に設定した基準位置に基づいて求めた前記診断対象の初期の計測位置における前記診断対象の厚さを前記制御手段に記憶させ、それ以後の腐食の診断において、前記基準位置に基づいて新たな計測位置を前記制御手段に格納されている初期の計測位置に合致させ、合致した計測位置において診断対象の厚さに対する一次反射波と二次反射波の比を求め、この比から腐食のランクを決定して前記制御装置に表示することを特徴とする腐食診断方法。
  5. 前記診断対象に設定した基準位置に基づいて前記診断対象の初期の計測位置を得る際に、複数の測定点が記載されたフィルムを前記診断対象に貼付して三次元座標検出装置で検出して前記制御手段に入力し、それ以後の腐食の診断においては前記フィルムを診断対象に再貼付して前記三次元座標検出装置が検出した前記フィルムの再貼付位置を前記制御手段に格納されている初期の計測位置に合致させることを特徴とする請求項4に記載の腐食診断方法。
  6. 前記接触子の空間の移動経路に応じて前記制御手段が、少なくとも前記三次元座標の位置検出および前記反射波の検出のいずれかが適または不適であると判断することを特徴とする請求項5に記載の腐食診断方法。
  7. 前記制御手段はタブレット型の表示手段を有し、この表示手段に初期の計測位置と現在の接触子の位置、および検出した超音波波形とを表示し、接触子の移動と検出波形の確認とを1人の作業者で行えるようにしたことを特徴とする請求項5または6に記載の腐食診断方法。
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