JP2018123427A - 銀合金粉末およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結温度が適度に低く且つ安価な銀合金粉末およびその製造方法を提供する。
【解決手段】錫と銀を(好ましくは窒素雰囲気中において)溶解した溶湯を落下させながら、大気中または窒素雰囲気中において(好ましくは、純水またはアルカリ水である)高圧水を吹き付けて急冷凝固させて得られた粉末を、(好ましくは大気雰囲気中で加熱して)酸化処理することにより、錫と銀とからなり、平均粒径が0.5〜20μmであり、酸素含有量が2.0〜6.0質量%である銀合金粉末を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、銀合金粉末およびその製造方法に関し、特に、焼成型導電性ペーストの材料として使用するのに適した銀合金粉末およびその製造方法に関する。
従来、太陽電池の電極、低温焼成セラミック(LTCC)を使用した電子部品や積層セラミックインダクタ(MLCI)などの積層セラミック電子部品の内部電極、積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタなどの外部電極などを形成する焼成型導電性ペーストの材料として、銀粉などの金属粉末が使用されている。
しかし、銀の融点は961℃と高く、銀粉を比較的低温で焼結する焼成型導電性ペーストに使用する場合には、十分に焼結が進まず、所望の電気特性が得られないおそれがある。また、銀粉は高価であり、さらに安価な金属粉末を使用することが望まれている。
銀よりも焼結温度が低く且つ安価な金属として、銀およびSn、Sb、Zn、Biよりなる群から選ばれた1種または2種以上を主成分とし、かつ600℃以下の融点を有する、薄板状の溶湯急冷材、細線材、微粒材からなるろう材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭58−6793号公報(第2頁)
しかし、特許文献1のろう材では、粒子径が小さい金属粉末でないため、焼結温度を十分に低下させることができず、良好な導電性を得ることができない。
一方、金属粉末を焼成型導電性ペーストに使用する場合に、金属粉末の焼結温度が低過ぎると、焼成型導電性ペーストを焼成して形成される導電膜内にクラックが生じる可能性がある。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、焼結温度が適度に低く且つ安価な銀合金粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、錫と銀との合金粉末において、平均粒径を0.5〜20μmとし、酸素含有量を2.0〜6.0質量%にすることにより、焼結温度が適度に低く且つ安価な銀合金粉末を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による銀合金粉末は、錫と銀との合金粉末において、平均粒径が0.5〜20μmであり、酸素含有量が2.0〜6.0質量%であることを特徴とする。
この銀合金粉末は、熱機械的分析において、収縮率0.5%のときの温度が170〜300℃であるのが好ましく、収縮率1.0%のときの温度が220〜400℃であるのが好ましく、収縮率1.5%のときの温度が250〜450℃であるのが好ましい。また、銀合金粉末中の銀含有量が23〜85質量%、錫含有量が13〜75質量%であり、銀と錫の合計の含有量が93.5〜98質量%であるのが好ましい。また、銀合金粉末中の炭素含有量が0.5質量%以下であるのが好ましい。また、銀合金粉末のBET比表面積が0.1〜3.5m/gであるのが好ましく、タップ密度が2.5g/cm以上であるのが好ましい。
また、本発明による銀合金粉末の製造方法は、錫と銀を溶解した溶湯を落下させながら、高圧水を吹き付けて急冷凝固させて得られた粉末を、酸化処理することを特徴とする。
この銀合金粉末の製造方法において、溶解を窒素雰囲気中において行うのが好ましい。また、高圧水が純水またはアルカリ水であるのが好ましく、高圧水が大気中または窒素雰囲気中において吹き付けられるのが好ましい。また、急冷凝固させて得られた粉末を大気雰囲気中で加熱することによって酸化処理を行うのが好ましい。
また、本発明による導電性ペーストは、上記の銀合金粉末が有機成分中に分散していることを特徴とする。この導電性ペーストは、焼成型導電性ペーストであるのが好ましい。
さらに、本発明による導電膜の製造方法は、上記の焼成型導電性ペーストを基板上に塗布した後に焼成して導電膜を製造することを特徴とする。
なお、本明細書中において、「平均粒径」とは、(ヘロス法によって)レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)をいう。
本発明によれば、焼結温度が適度に低く且つ安価な銀合金粉末およびその製造方法を提供することができる。
実施例1〜2と比較例2〜3の銀合金粉末および比較例1の銀粉の熱機械的分析(TMA)における温度に対する膨張率の関係を示す図である。
本発明による銀合金粉末の実施の形態では、錫と銀との合金の粉末において、平均粒径が0.5〜20μm(銀合金粉末の焼結温度をさらに低くするために、好ましくは0.5〜15μm、さらに好ましくは0.5〜10μm)であり、酸素含有量は、2.0〜6.0質量%(好ましくは2.3〜5.0質量%)である。この銀合金粉末は、銀粉よりも焼結温度が低くなるが、焼結温度が低過ぎないので、焼成型導電性ペーストに使用する場合に、焼成型導電性ペーストを焼成する際に急激な焼結が起こり難く、焼成により形成される導電膜内にクラックが生じ難くなると考えられる。
この銀合金粉末は、熱機械的分析において、収縮率0.5%のときの温度が好ましくは170〜300℃(好ましくは180〜290℃)であり、収縮率1.0%のときの温度が好ましくは220〜400℃(さらに好ましくは240〜390℃)であり、収縮率1.5%のときの温度が好ましくは250〜450℃(さらに好ましくは270〜430℃)である。また、この銀合金粉末を導電性ペーストの材料に使用して導電膜を製造する場合に、焼結温度を(導電膜の抵抗に悪影響を与えない程度に)適度に低くしながら導電膜の導電性を向上させるために、銀合金粉末中の銀含有量は、好ましくは23〜85質量%、さらに好ましくは33〜74.7質量%であり、錫含有量は、好ましくは13〜75質量%、さらに好ましくは23〜64.7質量%であり、銀と錫の合計の含有量は、好ましくは93.5〜98質量%、さらに好ましくは94.8〜97.7質量%である。また、銀合金粉末中の炭素含有量は、銀合金粉末を焼成型導電性ペーストに使用する場合に、焼成時のガスの発生を抑制して、焼成により基板上に形成される導電膜と基板との密着性を向上させるために、0.5質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以下であるのがさらに好ましい。銀合金粉末のBET比表面積は、0.1〜3.5m/gであるのが好ましく、1〜3.5m/gであるのがさらに好ましい。銀合金粉末のタップ密度は、銀合金粉末を導電性ペーストに使用する場合に、銀合金粉末の充填性を高めて、焼成により形成される導電膜の導電性を向上させるために、2.5g/cm以上であるのが好ましく、3〜5g/cmであるのがさらに好ましい。銀合金粉末の形状は、球状やフレーク状などのいずれの形状でもよく、形状が揃っていない不定形状でもよい。
上述した銀合金粉末の実施の形態は、本発明による銀合金粉末の製造方法の実施の形態により製造することができる。
本発明による銀合金粉末の製造方法の実施の形態では、錫と銀を(好ましくは窒素雰囲気中において)溶解した溶湯を落下させながら、(好ましくは、大気中または窒素雰囲気中において水圧30〜200MPaで純水またはアルカリ水である)高圧水を吹き付けて急冷凝固させて得られた粉末を、(好ましくは、大気雰囲気などの酸化性雰囲気中において150〜250℃の温度で5〜15時間加熱することにより)酸化処理する。
高圧水を吹き付ける、所謂水アトマイズ法により銀合金粉末を製造すると、粒子径が小さい銀合金粉末を得ることができるので、銀合金粉末を(焼成型導電性ペーストなどの)導電性ペーストの材料に使用した場合に、焼結温度が低くなり、例えば500℃程度の低温でも十分に焼結して、良好な導電性を得ることができる。なお、窒素雰囲気中において錫と銀を溶解したり、窒素雰囲気中において高圧水を吹き付けると、急冷凝固後に得られる銀合金粉末の内部の酸素量が少なくなり、このような銀合金粉末を導電性ペーストの材料に使用して導電膜を製造した場合に、導電膜の抵抗が低くなることが期待される。一方、急冷凝固後に得られる銀合金粉末を酸化処理すると、銀合金粉末の表面の酸素量が増加し、このような銀合金粉末を導電性ペーストの材料に使用して導電膜を製造した場合に、焼結温度が(導電膜の抵抗に悪影響を与えない程度に)適度に低くなると考えられる。
本発明による銀合金粉末の実施の形態は、(銀合金粉末を有機成分中に分散させた)導電性ペーストの材料などに使用することができる。特に、本発明による銀合金粉末の実施の形態は、焼結温度が低いことから、焼成温度が低い(好ましくは300〜800℃程度、さらに好ましくは400〜700℃程度の低温で焼成する)焼成型導電性ペーストの材料として使用するのが好ましい。なお、本発明による銀合金粉末の実施の形態は、焼成温度が低い焼成型導電性ペーストの材料として使用することができるので、(従来の焼成型導電性ペーストの焼成温度より低温で加熱して導電膜を形成する)樹脂硬化型導電性ペーストの材料として使用してもよい。
本発明による銀合金粉末の実施の形態を(焼成型導電性ペーストなどの)導電性ペーストの材料として使用する場合、導電性ペーストの構成要素として、銀合金粉末と、(飽和脂肪族炭化水素類、不飽和脂肪族炭化水素類、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、エステル類、アルコール類などの)有機溶剤が含まれ、必要に応じて、(エチルセルロースやアクリル樹脂などの)バインダ樹脂を有機溶剤に溶解したビヒクル、ガラスフリット、無機酸化物、分散剤などを含んでもよい。
導電性ペースト中の銀合金粉末の含有量は、導電性ペーストの製造コストおよび導電膜の導電性の観点から、5〜98質量%であるのが好ましく、70〜95質量%であるのがさらに好ましい。また、導電性ペースト中の銀合金粉末は、1種以上の他の金属粉末(銀粉、銀と錫の合金粉末、錫粉などの金属粉末)と混合して使用してもよい。この金属粉末は、本発明による銀合金粉末の実施の形態と形状や粒径が異なる金属粉末でもよい。この金属粉末の平均粒径は、導電性ペーストを低温で焼成するために、0.5〜20μmであるのが好ましい。また、この金属粉末の導電性ペースト中の含有量は、1〜94質量%であるのが好ましく、4〜29質量%であるのがさらに好ましい。なお、導電性ペースト中の銀合金粉末と金属粉末の含有量の合計は、60〜99質量%であるのが好ましい。また、導電性ペースト中のバインダ樹脂の含有量は、導電性ペースト中の銀合金粉末の分散性や導電性ペーストの導電性の観点から、0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.1〜6質量%であるのがさらに好ましい。このバインダ樹脂を有機溶剤に溶解したビヒクルは、2種以上を混合して使用してもよい。また、導電性ペースト中のガラスフリットの含有量は、導電性ペーストの焼結性の観点から、0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.1〜10質量%であるのがさらに好ましい。このガラスフリットは、2種以上を混合して使用してもよい。また、導電性ペースト中の有機溶剤の含有量(導電性ペースト中にビヒクルが含まれる場合は、ビヒクルの有機溶剤を含む合計の有機溶剤の含有量)は、導電性ペースト中の銀合金粉末の分散性や導電性ペーストの適切な粘度を考慮して、0.8〜20質量%であるのが好ましく、0.8〜15質量%であるのがさらに好ましい。この有機溶剤は、2種以上を混合して使用してもよい。
このような導電性ペーストは、例えば、各構成要素を計量して所定の容器に入れ、らいかい機、万能攪拌機、ニーダーなどを用いて予備混練した後、3本ロールで本混練することによって作製することができる。また、必要に応じて、その後、有機溶剤を添加して、粘度調整を行ってもよい。また、ガラスフリットや無機酸化物とビヒクルのみを混練して粒度を下げた後、最後に銀合金粉末を追加して本混練してもよい。
この導電性ペーストをディッピングや(メタルマスク印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの)印刷などにより基板上に所定パターン形状に塗布した後に焼成して導電膜を形成することができる。導電性ペーストをディッピングにより塗布する場合には、導電性ペースト中に基板をディッピングして塗膜を形成し、レジストを利用したフォトリソグラフィなどにより塗膜の不要な部分を除去することによって、基板上に所定パターン形状の塗膜を形成した後、基板上に所定パターン形状の導電膜を形成することができる。なお、塗膜の不要な部分を除去する代わりに、導電膜の不要な部分を除去して、基板上に所定パターン形状の導電膜を形成してもよい。
基板上に塗布した導電性ペーストの焼成は、大気雰囲気下で行ってもよいし、窒素、アルゴン、水素、一酸化炭素などの非酸化性雰囲気下で行ってもよい。なお、本発明による銀合金粉末の実施の形態は、熱機械的分析において所定の収縮率のときの温度が低く、焼結温度が低いため、導電性ペーストの焼成温度を低く(好ましくは300〜700℃程度、さらに好ましくは400〜600℃程度の低温に)することができる。一方、本発明による銀合金粉末の実施の形態は、熱機械的分析において所定の収縮率のときの温度が低過ぎず、焼結温度が低過ぎないので、導電性ペーストを焼成する際に急激な焼結が起こり難く、焼成により形成される導電膜内にクラックが生じ難くなると考えられる。なお、導電性ペーストの焼成温度を一般的な焼成温度(700〜900℃程度)にしてもよい。また、導電性ペーストの焼成の前に、真空乾燥などにより予備乾燥を行うことにより、導電性ペースト中の有機溶剤などの揮発成分を除去してもよい。
以下、本発明による銀合金粉末およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
ショット銀1.35kgとショット錫1.65kgを窒素雰囲気中において1100℃に加熱して溶解した溶湯をタンディッシュ下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中において水圧150MPa、水量160L/分で高圧水を吹き付けて急冷凝固させ、得られたスラリーを固液分離し、固形物を水洗し、乾燥し、解砕し、風力分級し、得られた粉末を大気雰囲気中において180℃で10時間加熱して酸化処理することにより、銀合金粉末(Ag−Sn合金粉末)を得た。なお、高圧水として、純水21.6mに対して苛性ソーダ157.55gを添加したアルカリ水溶液(pH10.26)を使用した。
このようにして得られた銀合金粉末について、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量および粒度分布を求め、合金組成分析を行うとともに、熱機械的分析(TMA)を行った。
BET比表面積は、BET比表面積測定器(ユアサアイオニクス株式会社製の4ソーブUS)を使用して、測定器内に105℃で20分間窒素ガスを流して脱気した後、窒素とヘリウムの混合ガス(N:30体積%、He:70体積%)を流しながら、BET1点法により測定した。その結果、BET比表面積は1.19m/gであった。
タップ密度(TAP)は、特開2007−263860号公報に記載された方法と同様に、内径6mm×高さ11.9mmの有底円筒形のダイにその容積の80%まで銀合金粉末を充填して銀合金粉末層を形成し、この銀合金粉末層の上面に0.160N/mの圧力を均一に加えてこれ以上銀合金粉末が密に充填されなくなるまで圧縮した後、銀合金粉末層の高さを測定し、この銀合金粉末層の高さの測定値と、充填された銀合金粉末の重量とから、銀合金粉末の密度を求めて、この密度を銀合金粉末のタップ密度とした。その結果、タップ密度は3.2g/cmであった。
酸素含有量は、酸素・窒素・水素分析装置(株式会社堀場製作所製のEMGA−920)により測定した。その結果、酸素含有量は2.52質量%であった。
炭素含有量は、炭素・硫黄分析装置(堀場製作所製のEMIA−220V)により測定した。その結果、炭素含有量は0.01質量%であった。
粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の乾燥モジュール)))を使用して、分散圧5barで測定した。その結果、累積10%粒子径(D10)は0.8μm、累積50%粒子径(D50)は1.8μm、累積90%粒子径(D90)は4.0μmであった。
合金組成分析は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製のSPS3520V)によって行った。その結果、合金粉末中のAg含有量は44質量%、Sn含有量は53質量%であった。
銀合金粉末の熱機械的分析(TMA)は、銀合金粉末を直径5mm、高さ3mmのアルミナパンに詰めて、熱機械的分析(TMA)装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製のTMA/SS6200)の試料ホルダ(シリンダ)にセットし、測定プローブにより荷重0.147Nで1分間押し固めて作製した測定試料について、200mL/分の流量で窒素ガスを流入しながら、測定荷重980mNで荷重を付与して、常温から昇温速度10℃/分で500℃まで昇温し、測定試料の収縮率(常温のときの測定試料の長さに対する収縮率)を測定した。その結果、収縮率0.5%(膨張率−0.5%)のときの温度は211℃、収縮率1.0%(膨張率−1.0%)のときの温度は255℃、収縮率1.5%(膨張率−1.5%)のときの温度は281℃であった。
[実施例2]
酸化処理の加熱温度を200℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀合金粉末(Ag−Sn合金粉末)を得た。
このようにして得られた銀合金粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量および粒度分布を求め、合金組成分析を行うとともに、熱機械的分析(TMA)を行った。
その結果、合金粉末のBET比表面積は1.39m/g、タップ密度は4.3g/cm、酸素含有量は3.62質量%、炭素含有量は0.01質量%であり、累積10%粒子径(D10)は0.8μm、累積50%粒子径(D50)は2.1μm、累積90%粒子径(D90)は4.9μmであった。合金粉末中のAg含有量は44質量%、Sn含有量は53質量%であった。また、収縮率0.5%のときの温度は203℃、収縮率1.0%のときの温度は389℃、収縮率1.5%のときの温度は411℃であった。
[比較例1]
ショット銀13kgを窒素雰囲気中において1600℃に加熱して溶解した溶湯をタンディッシュ下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中において水圧150MPa、水量160L/分で高圧水(pH5.8の純水)を吹き付けて急冷凝固させ、得られたスラリーを固液分離し、固形物を水洗し、乾燥し、解砕し、風力分級して、銀粉を得た。
このようにして得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量および粒度分布を求め、合金組成分析を行うとともに、熱機械的分析(TMA)を行った。
その結果、銀粉のBET比表面積は0.47m/g、タップ密度は5.1g/cm、酸素含有量は0.07質量%、炭素含有量は0.01質量%であり、累積10%粒子径(D10)は0.7μm、累積50%粒子径(D50)は2.1μm、累積90%粒子径(D90)は4.1μmであった。銀粉中のAg含有量は100質量%であった。また、収縮率0.5%のときの温度は479℃、収縮率1.0%のときの温度は490℃、収縮率1.5%のときの温度は500℃であった。
[比較例2]
酸化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法により、銀合金粉末(Ag−Sn合金粉末)を得た。
このようにして得られた銀合金粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量および粒度分布を求め、合金組成分析を行うとともに、熱機械的分析(TMA)を行った。
その結果、合金粉末のBET比表面積は1.63m/g、タップ密度は3.3g/cm、酸素含有量は0.76質量%、炭素含有量は0.01質量%であり、累積10%粒子径(D10)は0.7μm、累積50%粒子径(D50)は1.8μm、累積90%粒子径(D90)は4.0μmであった。合金粉末中のAg含有量は45質量%、Sn含有量は55質量%であった。また、収縮率0.5%のときの温度は164℃、収縮率1.0%のときの温度は202℃、収縮率1.5%のときの温度は210℃であった。
[比較例3]
ショット銀およびショット錫の量をそれぞれ1.95kgおよび1.05kgとし、大気雰囲気中において溶解した以外は、比較例2と同様の方法により、銀合金粉末(Ag−Sn合金粉末)を得た。
このようにして得られた銀合金粉末について、実施例1と同様の方法により、BET比表面積、タップ密度、酸素含有量、炭素含有量および粒度分布を求め、合金組成分析を行うとともに、熱機械的分析(TMA)を行った。
その結果、合金粉末のBET比表面積は1.05m/g、タップ密度は3.7g/cm、酸素含有量は0.53質量%、炭素含有量は0.01質量%であり、累積10%粒子径(D10)は0.8μm、累積50%粒子径(D50)は1.8μm、累積90%粒子径(D90)は3.3μmであった。合金粉末中のAg含有量は65質量%、Sn含有量は34質量%であった。また、収縮率0.5%のときの温度は118℃、収縮率1.0%のときの温度は181℃、収縮率1.5%のときの温度は212℃であった。
これらの実施例1〜2と比較例2〜3の銀合金粉末および比較例1の銀粉の製造条件および特性を表1〜表3に示す。また、実施例1〜2と比較例2〜3の銀合金粉末および比較例1の銀粉の熱機械的分析(TMA)における温度に対する膨張率の関係を図1に示す。
Figure 2018123427
Figure 2018123427
Figure 2018123427
表1〜表3および図1からわかるように、実施例1および2では、比較例1の銀粉と比べて低い温度で焼結する銀合金粉末を製造することができる。また、表1〜表3および図1からわかるように、実施例1および2では、比較例1の銀粉と比べて低い温度で焼結し、比較例2および3と比べて焼結速度が遅い銀合金粉末を製造することができる。なお、銀合金粉末を焼成型導電性ペーストの材料として使用する場合、銀合金粉末の焼結速度が遅いと、導電膜にクラックが生じる可能性が低くなる。
本発明による銀合金粉末は、太陽電池の電極、低温焼成セラミック(LTCC)を使用した電子部品や積層セラミックインダクタなどの積層セラミック電子部品の内部電極、積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタなどの外部電極などを形成するために、低温で焼結する焼成型導電性ペーストの材料として利用することができる。

Claims (16)

  1. 錫と銀との合金粉末において、平均粒径が0.5〜20μmであり、酸素含有量が2.0〜6.0質量%であることを特徴とする、銀合金粉末。
  2. 熱機械的分析において、収縮率0.5%のときの温度が170〜300℃であることを特徴とする、請求項1に記載の銀合金粉末。
  3. 前記熱機械的分析において、収縮率1.0%のときの温度が220〜400℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載の銀合金粉末。
  4. 前記熱機械的分析において、収縮率1.5%のときの温度が250〜450℃であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の銀合金粉末。
  5. 前記銀合金粉末中の銀含有量が23〜85質量%、錫含有量が13〜75質量%であり、銀と錫の合計の含有量が93.5〜98質量%であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の銀合金粉末。
  6. 炭素含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の銀合金粉末。
  7. BET比表面積が0.1〜3.5m/gであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の銀合金粉末。
  8. タップ密度が2.5g/cm以上であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の銀合金粉末。
  9. 錫と銀を溶解した溶湯を落下させながら、高圧水を吹き付けて急冷凝固させて得られた粉末を、酸化処理することを特徴とする、銀合金粉末の製造方法。
  10. 前記溶解を窒素雰囲気中において行うことを特徴とする、請求項9に記載の銀合金粉末の製造方法。
  11. 前記高圧水が純水またはアルカリ水であることを特徴とする、請求項9または10に記載の銀合金粉末の製造方法。
  12. 前記高圧水が大気中または窒素雰囲気中において吹き付けられることを特徴とする、請求項9乃至11のいずれかに記載の銀合金粉末の製造方法。
  13. 前記急冷凝固させて得られた粉末を大気雰囲気中で加熱することによって前記酸化処理を行うことを特徴とする、請求項9乃至12のいずれかに記載の銀合金粉末の製造方法。
  14. 請求項1乃至8のいずれかに記載の銀合金粉末が有機成分中に分散していることを特徴とする、導電性ペースト。
  15. 前記導電性ペーストが焼成型導電性ペーストであることを特徴とする、請求項14に記載の導電性ペースト。
  16. 請求項15の焼成型導電性ペーストを基板上に塗布した後に焼成して導電膜を製造することを特徴とする、導電膜の製造方法。
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