JP2018118576A - 乗員保護装置 - Google Patents

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鈴木 裕之
Hiroyuki Suzuki
裕之 鈴木
藤澤 直樹
Naoki Fujisawa
直樹 藤澤
孝彰 二井
Takaaki Nii
孝彰 二井
大輝 金本
Daiki Kanemoto
大輝 金本
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Abstract

【課題】
乗員の保護性をより高める。
【解決手段】
乗員保護装置には、コンソールボックスの上部に設けられた蓋の開閉動作に連動する開閉連動機構1と、車両衝突時に発生する衝撃の作用方向へ変位する車載装備品によって、開閉連動機構1に連動して往復動する往復部材17を蓋の閉じ方向へ移動させる蓋閉部60とが設けられる。
【選択図】図3

Description

本件は、車両の乗員を保護する装置に関する。
乗員保護装置として、車両の衝突時に膨張して展開されるエアバッグが知られている。このエアバッグは、車両衝突時に乗員が移動しうる空間へ展開されることにより乗員を保護するための衝撃吸収体である。
たとえば、車幅方向に並んで設けられたセパレートシートどうしの間に展開されるエアバッグ(「フロントセンターエアバッグ」や「ファーサイドエアバッグ」とも称される)が開発されている。このエアバッグは、乗員を補助的に拘束することによって乗員保護性の向上を図る(特許文献1,2参照)。
特開2015-131586号公報 特開2016-74336号公報
しかしながら、セパレートシートどうしの間にコンソールボックスが配置されている場合には、コンソールボックスの蓋が上方に開かれているときに上述したエアバッグが展開されると、そのエアバッグと蓋が干渉する可能性がある。
また、上述したエアバッグを装備していない車両では、セパレートシートの乗員が車両衝突時にコンソールボックス側へ姿勢変化することで、コンソールボックスで開いた状態の蓋に乗員が接触する可能性がある。
よって、乗員の保護性を高めるうえで改善の余地がある。
本件の乗員保護装置は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、乗員の保護性をより高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示する乗員保護装置には、コンソールボックスの上部に設けられた蓋の開閉動作に連動する開閉連動機構と、車両衝突時に前記蓋の閉じ方向へ前記開閉連動機構を作動させる蓋閉部とが設けられる。
前記蓋閉部は、車両衝突時に発生する衝撃の作用方向へ変位する車載装備品によって、前記開閉連動機構に連動して往復動する往復部材を前記蓋の閉じ方向へ移動させる。
(2)前記蓋閉部には、前記往復部材を往復動自在に支持する支持軸が一体的に結合されるとともに車両衝突時に前記車載装備品が突き当てられて変位する被当接部が設けられることが好ましい。
(3)さらに、前記往復部材および前記支持軸ならびに前記被当接部の高さ位置が重畳して配置されることが好ましい。
(4)また、前記蓋閉部は、前記コンソールボックスに隣接するシートを前記車載装備品として用いることが好ましい。この場合の前記被当接部は、前記シートの位置調節にともなう移動領域に亘って延設されることが好ましい。
(5)そのうえ、前記開閉連動機構は、前記蓋の枢軸が延在する方向の端部のそれぞれに設けられた両持ち構造であることが好ましい。この場合の前記被当接部は、前記開閉連動機構どうしの間に延設されることが好ましい。
本件の乗員保護装置によれば、車両衝突時にコンソールボックスの蓋が閉鎖され、この蓋に対するエアバッグや乗員の干渉が抑えられる。よって、乗員の保護性をより高めることができる。
乗員保護装置の前提となる構成の概要を示す斜視図である。 乗員保護装置の前提となる構成の要部を模式的に示す正面図である。 一実施形態の乗員保護装置のうち要部を示す拡大斜視図である。
本件を実施するための形態を説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
下記の実施形態では、車両の乗員を保護する装置を説明する。この乗員保護装置は、コンソールボックスが設けられた車両に搭載され、コンソールボックスに隣接するシートに着座する乗員を保護対象とする。以下の説明では、保護対象の乗員が着座するシートとして、車幅方向に並んで設けられたセパレートシートを例示する。
なお、本実施形態では、車両の前進方向を前方(図面では矢印「F」で示す)とし、前方の反対方向を後方(図面では矢印「B」で示す)とする。また、重力の作用方向を下方(図面では矢印「D」で示す)とし、下方の反対方向を上方(図面では矢印「U」で示す)とする。さらに、前後方向および上下方向に直交する方向を車幅方向とする。この車幅方向については、前方を基準として左方(図面では矢印「L」で示す)および右方(図面では矢印「R」で示す)に細別する。たとえば、車幅方向の中央側は、車室の右側では左側であり、反対に、車室の左側では右側である。
まず、本件の乗員保護装置の前提構成を述べる。
〔A.前提構成〕
以下、図1および図2を参照して、乗員保護装置の前提となる構成のコンソールボックス2およびその周辺構成を説明する。
〈コンソールボックス〉
図1に示すように、コンソールボックス2は、セパレートシート30どうしの間でフロアパネル9と一体的に結合された箱状の内装品である。ここでは、車幅方向中央に配置されたコンソールボックス2を例示する。
このコンソールボックス2には、フロアパネル9に対して立設された壁部3と、壁部3の上端縁で囲まれる開口(上部開口)4を開閉するフラップ式の蓋5とが設けられている。開いた状態の蓋5は、壁部3から更に上方へ突出するように鉛直方向に延在する。閉じた状態の蓋5は、開口4を覆って水平方向に延在する。
この蓋5は、その開閉動作に応じて回動する枢軸6(図2参照)によって枢支される。なお、枢軸6は、蓋5が前後方向に延在する領域に亘って延設されていてもよいし、蓋5の前端部および後端部の各領域にだけ設けられていてもよい。
ここでは、両開き構造の蓋5を例示する。具体的には、一対の蓋5が車幅方向に並設され、回動する蓋5のそれぞれに車幅方向外側で前後に延びる軸心が設定される。すなわち、一対の蓋5が観音開き構造をなしている。以下、蓋5の左右を区別する場合には、左方の蓋5を「左蓋5L」と称するとともに、右方の蓋5を「右蓋5R」と称する。
さらに、コンソールボックス2には、蓋5の開閉動作と連動する開閉連動機構1が内蔵されている。開閉連動機構1は、後述する乗員保護装置を構成する一要素であり、車両の衝突時に蓋5が開いている場合に、後述する蓋閉部50,60とともに蓋5を閉鎖させる機能を持つ。言い換えると、開閉連動機構1は、車両衝突時以外の通常時にはその機能を発揮せず、乗員の手動操作によりコンソールボックス2の蓋5が開閉されると、この開閉動作を妨げないように連動する。
図2に示すように、開閉連動機構1にはギヤ機構が用いられている。ただし、開閉連動機構1の一部あるいは全部にリンク機構を用いてもよい。
本実施形態の蓋5は両開き構造であることから、開閉連動機構1には、左蓋5Lの開閉動作に連動する第一連動機構10と、右蓋5Rの開閉動作に連動する第二連動機構20とが設けられる。ここでは、第一連動機構10と第二連動機構20とが左右対称に配置されるとともに互いに同期して連動するように設けられている。つまり、開閉連動機構1は、左蓋5Lおよび右蓋5Rを同期して開閉させる開閉同期機構ともいえる。
第一連動機構10および第二連動機構20のそれぞれには、蓋5の枢軸6と一体に結合された回動ギヤ11,21と、各回動ギヤ11,21と噛合して反対方向に回転する反転ギヤ12,22と、二つの連動機構10,20を同期して連動させる同期ギヤ13,23とが設けられている。
これら六つのギヤ11,12,13,21,22,23(以下「ギヤ11等」という)は、コンソールボックス2の壁部3(図1参照)に固定された回転軸に対して双方向へ回転(回動)可能に軸支されている。なお、ここで例示するギヤ11等には、平歯車が用いられている。
各連動機構10,20では、各回動ギヤ11,21および各反転ギヤ12,22が互いに噛み合うように配置され、各反転ギヤ12,22および各同期ギヤ13,23も互いに噛み合うように配置されている。さらに、第一連動機構10の同期ギヤ13と第二連動機構20の同期ギヤ23とも互いに噛み合うように配置されている。ただし、連動機構10,20のそれぞれにおいて、各回動ギヤ11,21と各同期ギヤ13,23とは噛み合わないように配置される。
乗員の操作により蓋5が閉じられるときには、ギヤ11等のそれぞれが所定の方向に回転(作動)する。たとえば、前面視で、第一連動機構10の回動ギヤ11および同期ギヤ13は反時計回りに回転し、反転ギヤ12は時計回りに回転する。これと左右対称に配置された第二連動機構20は、回動ギヤ21および同期ギヤ23が時計回りに回転し、反転ギヤ22が反時計回りに回転する。このように、蓋5が閉じるときのギヤ11等のそれぞれの回転方向は予め決まっている。以下、「ギヤ11等のそれぞれの回転方向」を「開閉連動機構1の方向」といい、蓋5が閉じるときの開閉連動機構1の方向を「閉鎖方向」という。つまり、開閉連動機構1の閉鎖方向(所定方向)は、蓋5が閉じる方向(蓋5の閉じ方向)である。なお、蓋5が開けられるときには、開閉連動機構1の方向は、閉鎖方向とは反対方向となる。
ここでは、蓋5の枢軸6が前後方向に延びることから、枢軸6と一体に回転する回動ギヤ11,21が前後方向に延びる軸心まわりに回転する。同様に、反転ギヤ12,22および同期ギヤ13,23も前後方向に延びる軸心まわりに回転する。ギヤ11等は、車幅方向かつ上下方向に沿って配置されるとともに、同じ前後方向領域にそれぞれが配置されている。そのため、ギヤ11等を用いる開閉連動機構1は、図1中に破線で示すように、コンソールボックス2において車幅方向に沿って立設された壁部3(前壁部または後壁部)に内蔵される。
さらに、回動ギヤ11,21よりも反転ギヤ12,22が車幅方向中央側かつ下側に配置され、同様に、反転ギヤ12,22よりも同期ギヤ13,23が車幅方向中央側であって下側に配置されている。言い換えると、各蓋5からの開閉動力が伝達される方向の下流にむかうほど、車幅方向中央側であって下側へシフトしてギヤ11等が配置される。
このような開閉連動機構1が内蔵されるコンソールボックス2に対して左方および右方のそれぞれには、つぎに説明するセパレートシート30が設けられている。
〈セパレートシート〉
セパレートシート30とは、間隔をあけて並設された座席である。ここでいうセパレートシート30には、運転席や助手席のほか、後部座席のうちコンソールボックス2を挟んで隣り合う座席といったコンソールボックス2に隣接する座席が含まれる。
また、セパレートシート30は、位置調節可能に構成される。たとえば、乗員の操作によってセパレートシート30が前後にスライド移動される。
このセパレートシート30には、シートベルト34やこれを係脱するバックル35,シートベルト34のリトラクタ(巻取装置,図示省略)といった基本的な安全装置が設けられていることがある。
そのうえ、二種の安全装置がセパレートシート30に配備されている。一方の安全装置は、セパレートシート30において乗員の背部を支持するシートバック31に内蔵されたエアバッグ装置36である。他方の安全装置は、シートベルト34を引き込むプリテンショナー(作動装置)37である。
エアバッグ装置36には、袋状のエアバッグ36aと、このエアバッグ36aにガスを供給して膨張展開させるインフレーター36bとが設けられている。インフレーター36bは、車両衝突時に入力される制御信号に応じて作動し、その作動時には火薬の燃焼などによって発生させたガスをエアバッグ36aに供給する。ガスが供給されたエアバッグ36aは、コンソールボックス2に対して上方の空間(セパレートシート30どうしの間)に膨張展開される。
たとえば、セパレートシート30が車室前方に設けられた座席(運転席や助手席)の場合には、車室の前方空間のうち車幅方向中央にエアバッグ36aが膨張展開される。このことから、本エアバッグ36aは「フロントセンターエアバッグ」とも称される。
また、車両の側面衝突時に発生する衝撃が入力される側に他のエアバッグ(いわゆる「サイドエアバッグ」)が展開される場合には、セパレートシート30の乗員に対して他のエアバッグが膨張展開される側とは反対側(衝撃が入力される側ではない遠い側)に本エアバッグ36aが膨張展開される。このことから、本エアバッグ36aは「ファーサイドエアバッグ」とも称される。
プリテンショナー37は、インフレーター36bと同様に、車両衝突時に入力される制御信号に応じて作動し、その作動時には火薬の燃焼などによってガスを発生させる。そのガスの動力でシートベルト34が引き込まれる。ただし、プリテンショナー37の動力に電力を用いてもよい。この場合には、シートベルト34を引き込むための電動モーターがプリテンショナー37に設けられる。
ここでは、プリテンショナー37としてシートベルト34のバックル35を引き込むバックルプリテンショナーを例示する。このプリテンショナー37は、シートベルト34のバックル35に対して一体的に接続されており、セパレートシート30の位置調節にともなってその前後位置が変動する。また、プリテンショナー37は、シートベルト34のバックル35よりも下方に配置されている。ただし、プリテンショナー37として、シートベルト34のリトラクタを引き込むリトラクタプリテンショナーを用いてもよい。
上述したエアバッグ装置36やプリテンショナー37といった安全装置は、CAN(Controller Area Network)やFlexRayといった車載ネットワークの通信ライン39に接続されている。この通信ライン39には、安全装置を制御する電子制御装置(Electronic Control Unit,ECU)40や各種のセンサー41といったさまざまな車載機器が情報伝達可能に接続されている。
なお、電子制御装置40は、マイクロプロセッサやROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などを集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
この電子制御装置40は、車両の衝突を検知する加速度センサー(Gセンサー)などのセンサー41からの情報に基づいて、各種の安全装置を制御する。たとえば、センサー41から車両衝突の検知信号が送信された電子制御装置40は、エアバッグ装置36のインフレーター36bを作動させる制御信号やプリテンショナー37を作動させる制御信号を出力する。そして、制御信号に応じてインフレーター36bやプリテンショナー37が作動することで、エアバッグ36aが膨張展開し、シートベルト34が引き込まれる。
〔B.一実施形態〕
つぎに、図3を参照して、一実施形態の乗員保護装置を詳述する。
[B−1.構成]
本実施形態の乗員保護装置には、上述した開閉連動機構1と、車両側突時に発生する衝撃の作用方向(白抜きの矢印で示す)へ変位する車載装備品の移動エネルギーを用いて開閉連動機構1を閉鎖方向(黒塗りの矢印で示す)へ作動させる蓋閉部60とが設けられる。蓋閉部60は、車両衝突時に蓋5が開いている場合に、開閉連動機構1とともに蓋5を閉鎖させる機能を持つ。
ここでは、車載装備品として上述したセパレートシート30(図1および図2参照)を例示する。このセパレートシート30は、車両側突時に発生する衝撃が車幅方向内側へ向けて作用し、この衝撃作用方向に変位する。
なお、衝撃作用方向は、車両に入力される衝撃の方向であり、具体的に言えば、車両左側からの側突の場合には右方であり、車両右側からの側突の場合には左方である。
蓋閉部60は、開閉連動機構1の各連動機構10,20に連動して往復動する左右一対のラックギヤ(往復部材)17,27と、車両側突時にセパレートシート30が突き当てられて変位する二つの被当接部61とを有する。被当接部61のそれぞれには、一対のラックギヤ17,27を往復動自在に支持する支持軸17a,27aが一体的に結合されている。
本実施形態では、一対のラックギヤ17,27が互いに左右対称であって同様の構成を有するとともに、二つの被当接部61も互いに左右対称であって同様の構成を有する。そこで、下記の説明では、蓋閉部60の第一連動機構10側に着目して説明する。
この蓋閉部60は、車両側突時におけるセパレートシート30の衝撃(移動エネルギー)を被当接部61が受け、その移動エネルギーによりラックギヤ17が押し込まれることで、開閉連動機構1を閉鎖方向へ作動させてコンソールボックス2の蓋5を閉鎖させる。
本実施形態の乗員保護装置は、コンソールボックス2の壁部3における前部および後部(図1参照)のそれぞれに内蔵された開閉連動機構1を有する。すなわち、本実施形態では、コンソールボックス2において蓋5の枢軸6が延びる方向の端部(前端部および後端部)のそれぞれに開閉連動機構1が設けられている。このようにして、コンソールボックス2の蓋5を前後に配置された二つの開閉連動機構1のそれぞれで支持する両持ち構造が用いられている。
また、ラックギヤ17およびその支持軸17aは、前後に内蔵された開閉連動機構1の双方で第一連動機構10に付設されている。同様に、ラックギヤ27およびその支持軸27aは、前後に内蔵された開閉連動機構1の双方で第二連動機構20に付設されている。
さらに、前後に設けられた開閉連動機構1どうしの間には被当接部61が延設されている。具体的には、前方の第一連動機構10と後方の第一連動機構10との間に被当接部61が設けられている。同様に、前方の第二連動機構20と後方の第二連動機構20との間に被当接部61が設けられる。
〈ラックギヤ〉
ラックギヤ17は、開閉連動機構1の第一連動機構10においてコンソールボックス2の蓋5の開閉動作に連動するギヤ11,120,13の少なくとも一つと噛み合うように配置される。
ここでのラックギヤ17は、回動ギヤ11および同期ギヤ13とは異なる前後方向領域に配置され、上述した前提構成の反転ギヤ12の前後方向寸法をやや延ばした反転ギヤ120の下方に噛み合って配置される。このように前後方向寸法の長い反転ギヤ120は、この反転ギヤ120と同じ前後方向領域に配置された回動ギヤ11および同期ギヤ13に加えて、これらのギヤ11,13とは異なる前後方向領域に配置されたラックギヤ17と噛み合うことが可能となる。
なお、第二連動機構20にも、第一連動機構10と同様に、上述した前提構成の反転ギヤ22よりも前後方向寸法の長い反転ギヤ220が設けられている。この反転ギヤ220は、回動ギヤ21および同期ギヤ23と噛み合うとともに、ラックギヤ27とも噛み合っている。
このラックギヤ17は、車幅方向に延在するように配置される。コンソールボックス2の蓋5が閉じるときのラックギヤ17は、開閉連動機構1の閉鎖方向への作動に連動し、車幅方向内側(所定方向,黒塗りの矢印で示す)へ移動する。
上記したラックギヤ17を往復動自在に支持する支持軸17aは、ラックギヤ17と同様に車幅方向(左右方向)に延在して配置され、つぎに説明する被当接部61と一体的に結合されている。
〈被当接部〉
被当接部61は、車両側突時にセパレートシート30が突き当てられるように、セパレートシート30に対して車幅方向内側に対向し、コンソールボックス2において最も車幅方向外側に配置されている。具体的には、セパレートシート30のシートクッション32におけるフレーム33(図2参照)に対して車幅方向内側に、被当接部61が対向して配置される。
すなわち、セパレートシート30のフレーム33,被当接部61ならびにラックギヤ17,27およびその支持軸17a,27aは、高さ位置が重畳(水平方向視で重畳〈ラップ〉)して設けられている。そのため、ここでいう高さ位置よりも上方には、開閉連動機構1の反転ギヤ120,220および回動ギヤ11,21とコンソールボックス2の蓋5とが設けられている。
さらに、セパレートシート30が前後に位置調節されることから、セパレートシート30の前後位置が何れの位置であったとしてもそのフレーム33を被当接部61に突き当てるために、この被当接部61は、フレーム33が前後に移動しうる領域に亘って前後に延設される。
上記した被当接部61には、セパレートシート30のフレーム33が突き当てられた際に、コンソールボックス2の壁部3を変形させつつラックギヤ17,27を車幅方向内側へ押し込むために、壁部3よりも高強度に設定される。
[B−2.作用および効果]
本実施形態の乗員保護装置は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
(1)車両側突した際にセパレートシート30が車幅方向内側へ変位すると、セパレートシート30の移動エネルギーによって蓋閉部60のラックギヤ17,27が移動し、開閉連動機構1を閉鎖方向に作動させることから、コンソールボックス2の蓋5が閉じる。したがって、車両側突時に変位するセパレートシート30の移動エネルギーを利用してコンソールボックス2の蓋5を閉鎖させることができる。そのため、コンソールボックス2の蓋5に対するエアバッグ36aや乗員の干渉を抑えることができる。よって、乗員の保護性をより高めることができる。
(2)具体的には、車幅方向内側に変位するセパレートシート30のフレーム33は、蓋閉部60の一方の被当接部61に対して突き当たる。これにより、一方の被当接部61にはセパレートシート30の移動エネルギーが入力される。この被当接部61は、コンソールボックス2の壁部3を車幅方向内側に凹ませるように変形させる。このとき、一方の被当接部61と一体的に結合された支持軸17aまたは27aがラックギヤ17または27に対して摺動し、被当接部61がラックギヤ17または27に接近する。そして、被当接部61がラックギヤ17または27に突き当たることで、ラックギヤ17または27が車幅方向内側に押し込まれる。
このようにして、セパレートシート30の移動エネルギーを受ける被当接部61の車幅方向内側に向かう変位がラックギヤ17または27に伝達されることで、開閉連動機構1を閉鎖方向に作動させて、コンソールボックス2の蓋5を閉鎖させることができる。
(3)さらに、セパレートシート30のフレーム33,被当接部61ならびにラックギヤ17,27およびその支持軸17a,27aの高さ位置が重畳して設けられるため、セパレートシート30の移動エネルギーをラックギヤ17,27に効率よく伝達することができる。よって、車両側突時にコンソールボックス2の蓋5を閉鎖させることができる。
また、セパレートシート30のフレーム33,被当接部61ならびにラックギヤ17,27およびその支持軸17a,27aの高さ位置よりも上方には、開閉連動機構1の反転ギヤ12,22および回動ギヤ11,12とコンソールボックス2の蓋5とが設けられるため、開閉連動機構1のうちコンソールボックス2の蓋5を直接的に閉鎖するギヤ11,12,21,22が車両側突時に破損するのを抑えることができる。この点からも、車両側突時にコンソールボックス2の蓋5を閉鎖させることができる。
(4)そのほか、被当接部61が延設されるため、セパレートシート30のフレーム33が突き当たる被当接部61の領域を確保することができる。具体的には、前後に位置調節されたセパレートシート30のフレーム33を前後に延設された被当接部61の何れかの箇所に突き当てることができる。この点からも、車両側突時にコンソールボックス2の蓋5を閉鎖させることができる。
(5)また、コンソールボックス2の蓋5を前後のそれぞれで支持する両持ち構造の開閉連動機構1が用いられるうえに、前後に設けられた開閉連動機構1どうしの間に被当接部61が延設される。このことから、セパレートシート30の移動エネルギーを前後それぞれの開閉連動機構1やラックギヤ17,27に分散して伝達させることができる。そのため、開閉連動機構1やラックギヤ17,27の損傷を抑えることができる。この点からも、車両側突時にコンソールボックス2の蓋5を閉鎖させることができる。
〔C.変形例〕
最後に、上述した実施形態のその他の変形例について述べる。
セパレートシートのフレームが突き当てられる被当接部に替えてまたは加えて、フレーム側にラックギヤを突き押すための突押部を設けてもよい。この場合にも、セパレートシートの移動エネルギーでコンソールボックスの蓋を閉鎖させることができる。
そのほか、コンソールボックスの蓋は、左右に並設されるものに限られず、前後に並設されてもよい。一方、コンソールボックスの蓋は、両開き構造に限られず、片開き構造(すなわち一つの蓋)であってもよい。この場合には、開閉連動機構の構造を簡素化することができる。
コンソールボックスの蓋が前後に並設される場合には、ベベルギヤあるいはウォームギヤといった動力の伝達方向を変換する機構(変換機構)を開閉連動機構や蓋閉部に用いることが好ましい。このような変換機構を用いることで、作動装置の動力や車載装備品の移動エネルギーが伝達される方向を任意の箇所で変換することができる。よって、コンソールボックスの配向によらずに蓋を閉鎖させることができる。さらに、開閉連動機構や蓋閉部における各ギヤの設計自由度を向上させることができる。
なお、上述した乗員保護装置は、車両の側突時のほか、前面衝突時や後面衝突時といった他の形態の衝突時にコンソールボックスの蓋を閉鎖させてもよい。
1 開閉連動機構(開閉同期機構)
2 コンソールボックス
3 壁部
4 開口
5 蓋
6 枢軸
10 第一連動機構
11 回動ギヤ
12 反転ギヤ
120 反転ギヤ
13 同期ギヤ
14 ラックアンドピニオン機構
15 ラックギヤ
16 ピニオンギヤ(被噛合ギヤ,第二作動部)
17 ラックギヤ(往復部材)
17a 支持軸
30 セパレートシート(車載装備品)
33 フレーム
34 シートベルト
35 バックル
36 エアバッグ装置
36a エアバッグ
37 プリテンショナー(作動装置)
40 電子制御装置
41 センサー
60 蓋閉部
61 被当接部

Claims (5)

  1. コンソールボックスの上部に設けられた蓋の開閉動作に連動する開閉連動機構と、
    車両衝突時に発生する衝撃の作用方向へ変位する車載装備品によって、前記開閉連動機構に連動して往復動する往復部材を前記蓋の閉じ方向へ移動させる蓋閉部と
    を備えたことを特徴とする乗員保護装置。
  2. 前記蓋閉部は、前記往復部材を往復動自在に支持する支持軸が一体的に結合されるとともに車両衝突時に前記車載装備品が突き当てられて変位する被当接部を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載された乗員保護装置。
  3. 前記往復部材および前記支持軸ならびに前記被当接部の高さ位置が重畳して配置された
    ことを特徴とする請求項2に記載された乗員保護装置。
  4. 前記蓋閉部は、前記コンソールボックスに隣接するシートを前記車載装備品として用い、
    前記被当接部は、前記シートの位置調節にともなう移動領域に亘って延設された
    ことを特徴とする請求項2または3に記載された乗員保護装置。
  5. 前記開閉連動機構は、前記蓋の枢軸が延在する方向の端部のそれぞれに設けられた両持ち構造であり、
    前記被当接部は、前記開閉連動機構どうしの間に延設された
    ことを特徴とする請求項4に記載された乗員保護装置。
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