以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
(第1実施形態)
(全体構成)
図1は、第1実施形態に係る生産システムを示す模式図である。第1実施形態に係る生産システム1は、工場に設けられ、部品を加工し、加工した部品を組み立てることで製品を生産する生産システムである。本実施形態においては、生産システム1は、自動車部品、さらに詳しくはターボチャージャーを生産する。ただし、生産システム1は、ターボチャージャーを生産することに限られず、任意の製品を生産するシステムであってよい。
図1に示すように、生産システム1は、生産ライン2A、2B、2Cと、ライン制御部3と、作業ロボット4とを有する。生産ライン2A、2B、2Cは、それぞれ部品Wを加工するラインである。本実施形態において、生産ライン2A、2B、2Cは、それぞれ別の加工作業を行うものであるが、同じ加工作業を行うものであってもよい。また、本実施形態において、生産システム1は、生産ラインを3つ有しているが、生産ラインの数は任意であり、1つであってもよいし、2つ以上の複数であってもよい。以下、生産ライン2A、2B、2Cを互いに区別しない場合は、生産ライン2と記載する。生産ライン2は、本実施形態では部品Wに加工を施すラインであったが、製品を生産するための生産ラインであればよい。生産ライン2は、例えば、複数の部品同士を組み立てる組立ラインであってもよく、部品や完成した製品の寸法などを計測する計測ラインであってもよい。また、以下、生産ライン2が延在する方向であって、部品Wが搬送される方向をX方向とし、X方向に直交する方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する鉛直方向をZ方向とする。本実施形態では、生産ライン2はY方向に沿って並列に並んでいるが、X方向に沿って直列に並んでいてもよい。
生産ライン2は、コンベヤ部6と、生産装置7と、入口ステーション8Aと、出口ステーション8Bとを有する。コンベヤ部6は、部品Wを搬送するコンベヤである。コンベヤ部6は、X方向に沿って延在しており、部品WをX方向に向かって搬送する。生産装置7は、コンベヤ部6に対し、Y方向側に隣接して設けられている。また、生産装置7は、部品Wの搬送方向(X方向)に沿って複数設けられている。生産装置7は、コンベヤ部6に搬送されてきた部品Wに対し、予め定められた加工を行う。生産装置7は、自動で加工を行う装置であり、作業者による作業を不要としているが、作業者の操作により部品Wを加工する装置であってもよい。また、生産装置7は、製品を生産するための装置であればよく、例えば、複数の部品Wを組み立てる組み立て装置であってもよいし、部品Wや製品の寸法や性能などを測定する測定装置であってもよい。
入口ステーション8Aは、コンベヤ部6の部品Wの搬送方向の上流側、すなわちコンベヤ部6のX方向と反対側の端部に設けられている固定設備(領域)である。すなわち、入口ステーション8Aは、生産装置7よりも部品Wの搬送方向の上流側に設けられている。入口ステーション8Aは、加工前の部品Wをコンベヤ部6に投入して、加工を開始させるための設備である。出口ステーション8Bは、コンベヤ部6の部品Wの搬送方向の下流側、すなわちコンベヤ部6のX方向側の端部に設けられている固定設備(領域)である。すなわち、出口ステーション8Bは、生産装置7よりも部品Wの搬送方向の下流側に設けられている。出口ステーション8Bは、生産装置7により加工が終了した部品Wをコンベヤ部6から取り出すための設備である。以下、入口ステーション8Aと出口ステーション8Bとを区別しない場合は、ステーション8と記載する。ステーション8は、言い換えれば、生産ライン2に設けられる固定設備であり、生産ライン2に部品Wを供給したり、生産ライン2から部品を取り出したりするための固定設備である。ステーション8の詳細な構成については後述する。
ライン制御部3は、各生産ライン2からの情報を取得して、製品の生産工程を統括管理する制御装置である。ライン制御部3は、各生産ライン2からの情報に基づき、後述する作業ロボット4の移動先のステーション8を決定し、そのステーション8へ移動する旨の指令を作業ロボット4に伝達する。なお、各生産ライン2からの情報とは、生産ライン2が生産(加工)している部品Wの情報であり、例えば現在加工中の部品Wの数、加工が完了した部品Wの数などの情報である。
(作業ロボット)
作業ロボット4は、ステーション8で作業を行う作業ロボットである。また、作業ロボット4は、各生産ライン2のステーション8間を移動可能である。図2及び図3は、第1実施形態に係る作業ロボットの模式図である。図2は、作業ロボット4の側面図であり、図3は、作業ロボット4の正面図である。図2に示すように、作業ロボット4は、移動部10と、作業部12と、コネクタ部14と、被固定部16と、ハンド保持部18と、を有する。
移動部10は、作業部12を搭載して移動が可能な車両である。本実施形態において、移動部10は、自動走行が可能な無人搬送車(AGV;Automated Guided Vehicle)である。
図2に示すように、移動部10は、本体部20と、車輪部22と、電源部24と、移動制御部26と、ロック部28とを有する。本体部20は、車両である移動部10の本体であり、作業部12などを上面に搭載している。車輪部22は、本体部20の底面に設けられる車輪である。電源部24は、移動部10を駆動するための電源、ここではバッテリーである。電源部24は、移動部10の走行用の電力を供給する電源であり、作業部12に対しては作動用の電力を供給しない。すなわち、移動部10と作業部12とは、作動するための電力の供給源が異なる。
移動制御部26は、本体部20に設けられており、移動部10の走行を制御する制御装置である。移動制御部26は、ライン制御部3からの指令を受け取り、その指令に基づき車輪部22を駆動して、移動部10をステーション8間で移動させる。例えば、ライン制御部3は、各生産ライン2からの情報に基づき、次に作業ロボット4が作業を行うべきステーション8を決定して、移動制御部26に対しそのステーション8へ移動する旨の指令を出す。ここでの指令は無線で伝達されるが、例えば移動部10がライン制御部3と有線で接続されている場合は、この有線を用いて伝達されてもよい。移動制御部26は、その指令されたステーション8へ移動部10を移動させる。ただし、移動制御部26は、必ずしもライン制御部3の指令に基づき移動部10を移動させなくてもよく、例えば予め定められた移動ルートに基づき、各ステーション8を順番に巡るように移動部10を移動させてもよい。
ロック部28は、移動部10の走行時には地面から離間しており、停止時に地面と接触することが可能となっている。ロック部28は、停止時に地面と接触することで、移動部10が意図せず動いてしまうことを抑制するストッパーとして機能する。ロック部28は、移動制御部26の制御により地面と接触するように動作する。
以下、移動部10の前方側の端部を前方部10Aとし、後方側の端部(前方部10Aと反対側の端部)を後方部10Bとする。また、前方部10Aと後方部10Bとを結んだ方向をA方向とする。A方向のうち、後方部10Bから前方部10Aに向けた方向をA1方向とし、前方部10Aから後方部10Bに向けた方向(A1方向と反対方向)を、A2方向とする。また、A方向及びZ方向(鉛直方向)と直交する方向をB方向とする。A方向は、移動部10の移動方向に沿った方向(ロール軸)であり、B方向は横方向(ピッチ軸)であるということもできる。
移動部10は、このような構成であり、ステーション8間を自動走行する車両である。ただし、移動部10は、自動走行する無人搬送車でなくてもよく、作業者の操作によって移動する車両(例えばカートや台車など)であってもよい。この場合、移動部10は、ライン制御部3から伝達された次に移動すべきステーション8の情報を通知する通知部を有していてもよい。この通知部は、ライン制御部3から伝達されたステーション8の情報を表示する表示部であってもよく、この情報を音声で通知する音声部であってもよい。これにより、作業者は、作業ロボット4を次のステーション8に適切に移動させることができる。ただし、移動部10は、作業者の操作によって移動する場合であっても、必ずしも通知部を有していなくてもよい。作業者は、自身の判断やライン制御部3から受けた指令の基づき、作業ロボット4を移動させてもよい。
作業部12は、移動部10に搭載される装置であり、上述のように移動部10とは作動用の電力源が異なっている。作業部12は、移動部10(本体部20)の上面の前方部10A側に取付けられている。作業部12は、生産ライン2で作業を行うための作業用装置である。より詳しくは、作業部12は、ステーション8内で作業を行うものであり、入口ステーション8A内では生産ライン2に部品Wを供給し、出口ステーション8B内では生産ライン2から部品を取り出すための作業を行う。
図2に示すように、作業部12は、ロボットアーム30と、ハンド部32と、撮像部34と、作業制御部36とを有する。ロボットアーム30は、例えば6軸に変位(移動)可能なロボットアームである。ロボットアーム30は、コネクタ部14を介してステーション8から電力供給を受け、その電力によって変位する。ハンド部32は、ロボットアーム30の先端に取付けられるツールであり、部品Wを保持(把持)する機能を有する。ロボットアーム30は、コネクタ部14を介してステーション8から気体(エアー)の供給を受け、この気体を動力源としてハンド部32を先端に固定(チャック)する。すなわち、ロボットアーム30は、この気体による圧力でハンド部32を先端に固定する。撮像部34は、ロボットアーム30に設けられた撮像装置である。撮像部34は、ステーション8内で部品Wなどを撮像する。本実施形態では、撮像部34は、CCD(Charge Coupled Device)カメラである。
作業制御部36は、作業部12の動作を制御する。作業制御部36は、撮像部34が撮像した画像に基づき部品Wの位置を検出し、ロボットアーム30の先端を部品Wの位置まで移動させ、ハンド部32に部品Wを把持させる。そして、作業制御部36は、部品Wを把持した状態で、ロボットアーム30の先端をステーション8内の所定の位置まで移動させ、部品Wの把持を解除することで、部品Wを所定の位置まで移動させる。
作業部12は、このようにステーション8内で作業を行う作業用装置である。作業部12は、コネクタ部14が後述するステーションコネクタ部67に接続されている場合に、電力E1、信号E2、及び気体E3が供給される。電力E1は、作業部12の作動用の電力であり、作業部12は、電力E1が供給されていない場合、作動が不可能となる。信号E2は、作業部12が作業を行うための信号であり、作業制御部36に入力される。作業制御部36は、この信号E2に基づき作業部12を駆動させる。気体E3は、作業部12が作業を行うための気体であり、本実施形態では、上述のようにハンド部32をロボットアーム30の先端に固定させるためのエアーである。ロボットアーム30は、先端に気体E3が供給されることで、ハンド部32を先端で固定し、この気体E3の供給を抑制することで、ハンド部32の固定を解除してハンド部32を先端から取り外す。
図2に示すように、コネクタ部14は、移動部10の本体部20に設けられるカプラである。より詳しくは、コネクタ部14は、移動部10の前方部10Aに設けられており、前方部10Aから方向A1に向けて突出している。
図3に示すように、コネクタ部14は、方向A1側の先端40に、電力端子部42、信号端子部44、気体導通接続部46を有している。電力端子部42は、作業部12に電力E1を供給するための端子である。電力端子部42は、雌端子、すなわち穴形状となっている。さらに言えば、電力端子部42は、図2に示す導電線42Aの端子である。導電線42Aは、作業部12に接続されている。導電線42Aは、電力端子部42に後述するステーションコネクタ部67が接続されて電力E1が供給された場合に、作業部12まで電力E1を導通する。
信号端子部44は、作業部12に信号E2を供給するための端子である。信号端子部44は、電力端子部42に隣接して設けられており、雌端子、すなわち穴形状となっている。さらに言えば、信号端子部44は、図2に示す信号線44Aの端子である。信号線44Aは、作業部12に接続されている。信号線44Aは、信号端子部44に後述するステーションコネクタ部67が接続されて信号E2が送信された場合に、作業部12(作業制御部36)まで信号E2を伝送する。
気体導通接続部46は、作業部12に気体E3を供給するための開口である。気体導通接続部46は、信号端子部44に隣接して設けられた穴である。さらに言えば、気体導通接続部46は、図2に示す気体導通経路46Aに設けられた開口である。気体導通経路46Aは、作業部12のロボットアーム30の先端に接続され、内部に気体E3を導通する管路である。気体導通経路46Aは、気体導通接続部46に後述するステーションコネクタ部67が接続されて気体E3が供給された場合に、ロボットアーム30まで気体E3を供給する。
以上説明したコネクタ部14は、作業部12がステーション8内で作業を行う際に、後述するステーションコネクタ部67に接続される。コネクタ部14は、これにより、ステーションコネクタ部67から作業部12に電力E1、信号E2、及び気体E3を供給して、作業部12を作動可能な状態とする。また、コネクタ部14は、移動部10がステーション8間を移動している際には、ステーションコネクタ部67との接続が解除される。コネクタ部14は、これにより、移動中には、ステーションコネクタ部67から作業部12への電力E1、信号E2、及び気体E3の供給を停止することで、作業部12を作動停止した状態とする。コネクタ部14とステーションコネクタ部67との接続方法については、後述する。
また、本実施形態において、コネクタ部14は、1つのコネクタ(カプラ)であり、先端40に電力端子部42、信号端子部44、気体導通接続部46を有している。言い換えれば、コネクタ部14は、電力端子部42、信号端子部44、及び気体導通接続部46が分岐した複数の先端に設けられているものでなく、1つの共通する先端40に、電力端子部42、信号端子部44、及び気体導通接続部46が設けられている。なお、図3に示す電力端子部42、信号端子部44、気体導通接続部46の形状は一例であり、電力E1、信号E2、気体E3を導通可能であれば、任意の形状であってよい。
図2及び図3に示すように、被固定部16は、移動部10の前方部10Aに設けられた部材である。図3に示すように、被固定部16は、コの字状又はU字状の部材である。具体的には、被固定部16は、前方部10AからA1方向に突出する2つの柱状部材の先端同士を、1つの柱状部材で連結した形状となっている。被固定部16は、後述するステーション8内のクランプ部64にクランプされることにより、ステーション8内に固定されるが、固定方法については後述する。本実施形態では、被固定部16は、コネクタ部14を挟んで2つ設けられている。ただし、被固定部16は、クランプ部64に固定されるものであれば、形状及び数は任意である。また、作業ロボット4は、必ずしも被固定部16を有していなくてもよい。
ハンド保持部18は、移動部10(本体部20)の上面の後方部10B側に設けられている。すなわち、ハンド保持部18は、作業部12よりもA2方向側に設けられている。ハンド保持部18は、ハンド部32A、ハンド部32B、ハンド部32Cを保持している。ハンド部32A、32B、32Cは、互いに形状の異なるハンド部32である。以下、ハンド部32A、32B、32Cを区別しない場合は、ハンド部32と記載する。作業制御部36は、部品Wの形状に合わせてどのハンド部32を用いるかを選択し、ロボットアーム30の先端をハンド保持部18の位置まで移動させ、ハンド保持部18から選択したハンド部32をロボットアーム30に取出させて、取出したハンド部32を気体E3でチャックさせる。
作業ロボット4は、以上説明した構造となっている。
(ステーション)
次に、ステーション8についてより詳細に説明する。図4は、第1実施形態に係るステーションの模式図である。図4は、入口ステーション8Aの模式図である。図4に示すように、入口ステーション8Aには、ステーションユニット50が備えられている。ステーションユニット50は、ライン側テーブル52と、部品側テーブル54と、安全柵57、58、59と、ガイド部62と、クランプ部64と、センサ部66と、ステーションコネクタ部67と、ステーション制御部68と、基準点部90とを有する。ステーション制御部68は、ステーションユニット50の動作を制御する制御装置である。
ライン側テーブル52は、コンベヤ部6に隣接して設けられたテーブルである。ライン側テーブル52は、コンベヤ部6のY方向側に設けられている。ライン側テーブル52上には、設置部WAが設けられている。設置部WAには、部品Wが設置される。設置部WAは、設置された部品Wをコンベヤ部6に供給して、部品Wの加工を開始させる。すなわち、ライン側テーブル52は、生産ライン2に供給する部品Wを配置するためのテーブルである。
部品側テーブル54は、ライン側テーブル52に隣接して設けられたテーブルである。部品側テーブル54は、ライン側テーブル52のY方向側に設けられおり、出口ステーション8B内においてX方向側に位置している。部品側テーブル54上には、バスケットBsが設けられている。バスケットBsには、加工前の部品Wが収納されている。作業ロボット4は、このバスケットBsに収納された部品Wをライン側テーブル52上の設置部WAに移動させる。すなわち、部品側テーブル54は、ライン側テーブル52に配置する部品Wが配置されているテーブルである。
部品側テーブル54は、X方向とは反対側に作業空間Sを設けるように、ステーション8内に設けられている。作業空間Sは、作業ロボット4が作業を行うための空間である。本実施形態では、作業空間Sは、ライン側テーブル52のY方向側であって、部品側テーブル54のX方向とは反対側に設けられた空間である。
安全柵57は、部品側テーブル54のY方向側の端部から作業空間SのY方向側の端部にわたって、X方向に沿って延在する壁状部材である。安全柵57は、部品側テーブル54よりも、Z方向(鉛直方向)の上方まで延在している。安全柵58は、部品側テーブル54のX方向側の端部に設けられ、Y方向に沿って延在する壁状部材である。安全柵58は、部品側テーブル54よりも、Z方向(鉛直方向)の上方まで延在している。安全柵58は、例えば作業者が部品側テーブル54にバスケットBsを出し入れできるように、開閉可能となっている。安全柵59は、部品側テーブル54のZ方向(鉛直方向)の上方に設けられた壁状部材(屋根)である。安全柵59は、部品側テーブル54の上部を覆うように設けられている。安全柵59は、作業空間Sにまで延在していてもよい。
このように、安全柵57、58、59は、ステーション8の周囲を覆う。以下、安全柵57、58、59を区別しない場合は、安全柵56と記載する。作業空間Sは、Y方向と反対側に隣接するライン側テーブル52、X方向側に隣接する部品側テーブル54、及びY方向側に隣接する安全柵56(安全柵57)で囲われた空間であるということができる。作業空間Sは、Y方向と反対側が解放されており、作業ロボット4が進入可能な進入口SAを形成している。
図4に示すように、作業ロボット4は、方向A1を進行方向として、前方部10Aから進入口SAを通って作業空間S内に進入する。作業空間S内に進入した作業ロボット4は、前方部10Aが、部品側テーブル54に対向する。また、作業ロボット4は、作業空間Sから退出する際は、方向A2を進行方向として、後方部10Bから進入口SAを通って作業空間Sから外部に退出する。
図5は、第1実施形態に係るガイド部、クランプ部、及びステーションコネクタ部の模式図である。図5に示すように、ガイド部62は、土台部55の表面55Aに設けられている。土台部55は、部品側テーブル54のZ方向(鉛直方向)の下側に設けられており、表面55Aは、土台部55のX方向とは反対側の表面である。ガイド部62は、X方向の反対方向に向けて延在している。本実施形態では、ガイド部62は、土台部55の表面55Aに2つ設けられており、X方向の反対方向に向かうに従って、互いの間の距離が広がるように湾曲している。ガイド部62は、作業空間Sに進入してきた作業ロボット4を挟むことでガイドし、作業ロボット4が初期位置Pまで移動することを補助する。初期位置Pは、予め定められた作業空間S内の領域である。
図5に示すように、クランプ部64は、土台部55の表面55Aに設けられている。クランプ部64は、可動部70と回転部72とを有する。可動部70は、土台部55の表面55AからX方向と反対方向に突出した部材であり、X方向に沿って可動する。回転部72は、可動部70のX方向と反対側の表面70Aに設けられている。回転部72は、回転軸72Aと延在部72Bとを有している。回転軸72Aは、可動部70の表面70AからX方向と反対方向に突出する軸状部材である。延在部72Bは、末端が回転軸72Aに取付けられ、先端に向けて表面70Aに平行な方向に延在する部材である。回転部72は、回転軸72Aを中心に回転することで、延在部72Bの延在方向をZ方向からY方向へ変化させる。本実施形態では、クランプ部64は、ステーションコネクタ部67を隔てて2つ設けられている。クランプ部64は、初期位置P内で停止した作業ロボット4を、ステーション8(ステーションユニット50)に対して固定(クランプ)する。この固定方法については後述する。
センサ部66は、土台部55の表面55Aに設けられたセンサであり、初期位置Pに作業ロボット4が位置しているかを検出する。
ステーションコネクタ部67は、部品側テーブル54のZ方向(鉛直方向)の下側に設けられている。図5に示すように、ステーションコネクタ部67は、土台部55の表面55Aに設けられている。ステーションコネクタ部67は、可動部80と、ステーションカプラ部81とを有する。可動部80は、土台部55の表面55AからX方向と反対方向に突出した部材であり、X方向に沿って可動する。ステーションカプラ部81は、可動部80の先端に設けられたカプラ(コネクタ)である。ステーションカプラ部81は、可動部80の移動に伴いX方向に沿って移動する。ステーションカプラ部81は、先端に、電力端子部82、信号端子部84、及び気体導通接続部86を有している。
図5に示す電力端子部82は、図4に示す導電線82Aに接続された端子である。導電線82Aは、生産ライン2に設けられている図示しない電源から電力E1が供給される。電力端子部82は、作業ロボット4の電力端子部42に接続可能な形状となっており、ここでは雄端子すなわち凸形状となっている。電力端子部82が電力端子部42に接続されると、導電線82Aを流れる電力E1は、作業ロボット4の電力端子部42及び導電線42Aを介して、作業部12に供給される。
図5に示す信号端子部84は、図4に示す信号線84Aに接続された端子である。信号線84Aは、ステーション制御部68に接続されており、ステーション制御部68からの信号E2が入力される。信号端子部84は、作業ロボット4の信号端子部44に接続可能な形状となっており、ここでは雄端子すなわち凸形状となっている。信号端子部84が信号端子部44に接続されると、信号線84Aに入力された信号E2は、作業ロボット4の信号端子部44及び信号線44Aを介して、作業部12(作業制御部36)に伝達される。また、作業部12(作業制御部36)が信号を出力した場合は、その信号が信号線84Aを介してステーション制御部68に入力される。
図5に示す気体導通接続部86は、図4に示す気体導通経路86Aの一端に設けられた開口である。気体導通経路86Aは、生産ライン2に設けられている図示しない気体供給源から気体E3が供給される。気体導通接続部86は、作業ロボット4の気体導通接続部46に接続可能な形状となっている。気体導通接続部86が気体導通接続部46に接続されると、気体導通経路86Aに供給されている気体E3が、作業ロボット4の気体導通接続部46及び気体導通経路46Aを介して、ロボットアーム30に供給される。
ステーションカプラ部81は、1つのコネクタ(カプラ)であり、先端に電力端子部82、信号端子部84、及び気体導通接続部86を有している。言い換えれば、ステーションカプラ部81は、電力端子部82、信号端子部84、及び気体導通接続部86が分岐した複数の先端に設けられているものでなく、1つの共通する先端に電力端子部82、信号端子部84、及び気体導通接続部86が設けられている。なお、図5に示す電力端子部82、信号端子部84、及び気体導通接続部86の形状は一例であり、電力E1、信号E2、気体E3を導通可能であれば、任意の形状であってよい。
図4及び図5に示す基準点部90は、部品側テーブル54上に設けられており、部品側テーブル54からZ方向(鉛直方向)の上側に向けて延在した軸状の部材である。本実施形態において、基準点部90は3つ設けられており、部品側テーブル54上であって、バスケットBsが配置されている領域の外側に位置している。各基準点部90は、Z方向に沿った高さが共通しているが、互いに異なる高さであってもよい。なお、基準点部90は、3つ以上設けられていることが好ましい。これにより、より精度よく位置情報を取得することが可能となる。ただし、基準点部90の数は任意である。
(コネクタの接続)
以下、クランプ部64による作業ロボット4の固定方法と、ステーションコネクタ部67のコネクタ部14への接続方法について説明する。図6は、ステーションユニットによる作業ロボットの固定及びコネクタ部の接続方法を説明する図である。図6のステップS1に示すように、ステーション制御部68は、作業ロボット4が初期位置Pに停止していることを確認したら(ステップS1)、クランプ部64に作業ロボット4を作業空間S内で固定させる。具体的には、ステーション制御部68は、クランプ部64の延在部72Bを、Y方向に沿わせる向きに回転させる(ステップS3)。これにより、延在部72Bは、作業ロボット4の被固定部16と前方部10Aの間に入り込む。そして、ステーション制御部68は、可動部70をX方向に移動させることで、被固定部16を介して作業ロボット4をX方向側に引っ張る(ステップS5)。これにより、クランプ部64は、作業ロボット4の被固定部16を延在部72Bと土台部55の表面55Aとで挟み込み、作業ロボット4を、土台部55(ステーションユニット50)に対して固定する。作業ロボット4は、クランプ部64にクランプされることで、移動することが不可能な状態となる。
クランプ部64によってクランプされた作業ロボット4は、コネクタ部14の先端40が、土台部55の表面55A、すなわちステーションカプラ部81の先端と対向した状態で停止している。この状態において、ステーションカプラ部81は、コネクタ部14から離間している。ステーション制御部68は、作業ロボット4をクランプした後、ステーションコネクタ部67の可動部80をX方向と反対方向、すなわちコネクタ部14側に向けて移動させる(ステップS7)。これにより、ステーションカプラ部81がコネクタ部14に向かって突出し、ステーションカプラ部81の先端がコネクタ部14の先端に接続される。これにより、ステーションコネクタ部67のコネクタ部14への接続が完了する。このように、本実施形態では、作業ロボット4を固定する際、ステーションユニット50側のクランプ部64を移動させるが、作業ロボット4側の被固定部16は作業ロボット4に対し移動させず、作業ロボット4に固定したままとする。同様に、ステーションコネクタ部67をコネクタ部14に接続する際、ステーションユニット50側のステーションコネクタ部67を移動させるが、作業ロボット4側のコネクタ部14は作業ロボット4に対し移動させず、作業ロボット4に固定したままとする。
このようにステーションコネクタ部67をコネクタ部14へ接続することで、ステーションカプラ部81の電力端子部82が、コネクタ部14の電力端子部42に接続されて、作業部12への電力E1の供給が可能となる。同様に、ステーションカプラ部81の信号端子部84が、コネクタ部14の信号端子部44に接続されて、作業部12への信号E2の供給が可能となる。また、ステーションカプラ部81の気体導通接続部86が、コネクタ部14の気体導通接続部46に接続されて、作業部12への気体E3の供給が可能となる。このように、作業ロボット4は、ステーションカプラ部81(ステーションコネクタ部67)がコネクタ部14と接続することにより、作動可能状態となる。作動可能状態とは、コネクタ部14がステーションコネクタ部67と接続されることで、ステーションコネクタ部67から作業部12に電力E1、信号E2、及び気体E3が供給可能となっている状態を指す。さらに言えば、作動可能状態は、作業部12が電力E1により作動することができる状態を指す。
作業ロボット4の作業が終わると、ステーション制御部68は、ステーションコネクタ部67の可動部80をX方向に移動させて、ステーションカプラ部81をコネクタ部14から離間させることで、ステーションカプラ部81とコネクタ部14との接続を解除する。これにより、作業ロボット4は、作動不可能状態となる。作動不可能状態とは、コネクタ部14がステーションコネクタ部67との接続が遮断されることで、作業部12への電力E1、信号E2、及び気体E3の供給が不可能となっている状態を指す。さらに言えば、作動不可能状態は、作業部12が電力E1の供給を受けることができないため、作動を行うことができなくなっている状態を指す。
ステーション制御部68は、ステーションカプラ部81とコネクタ部14との接続を解除した後、クランプ部64の可動部70をX方向と反対側に向かって移動させて、延在部72BをZ方向に沿わせる向きに戻るように回転させる。これにより、ステーション制御部68は、クランプ部64による作業ロボット4のクランプ(固定)を解除する。これにより、作業ロボット4は、移動することが可能な状態となる。
ステーションユニット50は、以上説明した構成となっている。なお、以上の例では、入口ステーション8Aに設けられたステーションユニット50について説明した。出口ステーション8Bに設けられたステーションユニット50は、以下説明する点以外は、入口ステーション8Aに設けられたステーションユニット50と同じ構造となっている。図7は、第1実施形態に係るステーションの模式図である。図7は、出口ステーション8Bの模式図である。図7に示すように、出口ステーション8Bの部品側テーブル54は、出口ステーション8B内のX方向と反対側に位置している。そして、作業空間Sは、進入口SAが、X方向側に設けられている。生産ライン2で加工が終了した部品Wは、コンベヤ部6により、ライン側テーブル52上の設置部WB上に置かれる。作業ロボット4は、出口ステーション8B内では、ライン側テーブル52上の設置部WB上に設置された部品Wをロボットアーム30及びハンド部32により移動させて、部品側テーブル54上のバスケットBsに収納する。すなわち、出口ステーション8B内でのライン側テーブル52は、生産ライン2での加工(作業)が完了した部品Wが配置されるテーブルであり、部品側テーブル54は、ライン側テーブル52から取り出した部品Wが配置されるテーブルである。
(生産システムの動作)
次に、生産システム1、すなわち作業ロボット4とステーションユニット50の動作工程を、フローチャートに基づき説明する。図8は、第1実施形態に係る生産システムの動作を示すフローチャートである。図8に示すように、最初に、作業ロボット4は、移動部10が、行先ステーションの情報をライン制御部3から受信する(ステップS10)。行先ステーションとは、次に作業ロボット4が作業を行うべきステーション8を指す。ライン制御部3は、各生産ライン2からの情報に基づき、複数のステーション8のうちから行先ステーションを決定して、決定した行先ステーションに向かう旨の指令(情報)を、無線通信で移動部10の移動制御部26に伝達する。移動制御部26は、その行先ステーションの情報を受信する。
行先ステーションの情報を取得したら、作業ロボット4は、移動制御部26で移動部10を駆動して、行先ステーション内の初期位置Pまで移動する(ステップS12)。作業ロボット4は、上述のように、方向A1を進行方向として、前方部10Aから行先ステーションの進入口SAを通って、作業空間S内に進入する。作業ロボット4は、ガイド部62にガイドされつつ、初期位置Pまで移動し、初期位置Pで停止する。このステップS12、すなわち作業ロボット4の移動中においては、コネクタ部14がステーションコネクタ部67に接続されていないため、作業部12は、作動不可能状態となっており、電力E1の供給を受けておらず作動が停止している。
作業ロボット4が初期位置Pまで移動すると、ステーションユニット50は、センサ部66により、作業ロボット4が初期位置Pで停止していることを検出する(ステップS13)。ステーションユニット50は、作業ロボット4が初期位置Pで停止していることを検出すると、クランプ部64により作業ロボット4をクランプ(固定)する(ステップS14)。すなわち、ステーションユニット50が有するステーション制御部68は、作業ロボット4が初期位置Pで停止していることをセンサ部66によって確認した場合に、クランプ部64により初期位置Pの作業ロボット4を固定する。より詳しくは、ステーション制御部68は、延在部72BをY方向に沿わせる向きに回転させて、延在部72Bで作業ロボット4の被固定部16を掴んだ後、可動部70を移動させることで、作業ロボット4をステーションユニット50に対して固定する。なお、作業ロボット4は、初期位置Pで停止した後に、ロック部28を地面と接触させてもよい。この場合、作業ロボット4は、より好適にステーションユニット50に固定される。
作業ロボット4をクランプした後、ステーションユニット50は、ステーションコネクタ部67を作業ロボット4のコネクタ部14に接続する(ステップS16)。すなわち、ステーション制御部68は、クランプされた作業ロボット4のコネクタ部14に向かってステーションコネクタ部67を突出させることで、ステーションコネクタ部67をコネクタ部14に接続する。ステーションコネクタ部67をコネクタ部14に接続したら、ステーションユニット50は、ステーションコネクタ部67及びコネクタ部14を介して、作業部12に電力E1、信号E2、気体E3を供給して、作業部12を作業可能状態とする(ステップS18)。ステーション制御部68が作業部12に出力する信号E2としては、例えば、そのステーション8の情報(ステーションに割り当てられた番号など)、安全柵56の情報(安全柵58が閉じているかの情報)、コンベヤ部6の情報(コンベヤ部6の運転状態、コンベヤ部6に搭載されている部品Wの数、コンベヤ部6に新たに部品Wを搬入してよいかの情報)等が挙げられる。
作業ロボット4は、作業部12が作業可能状態となったら、作業準備処理を実行する(ステップS20)。作業準備処理とは、作業部12が作業を行うための準備動作である。作業準備処理としては、例えばロボットアーム30の原点復帰などである。
作業準備処理を実行したら、作業部12は、位置調整処理を実行する(ステップS22)。位置調整処理とは、ロボットアーム30のステーションユニット50(ここでは部品側テーブル54)に対するアラインメントを調整する処理である。作業制御部36は、撮像部34に部品側テーブル54上の基準点部90を1つずつ撮像させ、その撮像した画像に基づき、ロボットアーム30の部品側テーブル54に対する位置を調整する。具体的には、作業制御部36は、撮像部34が撮像した基準点部90の撮像画像から、各基準点部90の位置情報、すなわち各基準点の先端の座標(X方向、Y方向の二次元座標)を算出する。作業制御部36は、この基準点部90の位置情報に基づき、各基準点部90に対するロボットアーム30の位置の誤差を検出する。作業制御部36は、その誤差から補正量を算出し、その補正量に基づき、ロボットアーム30を動かす。例えば、作業制御部36は、この補正量の分だけ補正を加えて、ロボットアーム30を動かす。これにより、作業制御部36は、作業部12の部品Wに対する位置ずれを補正する。
位置調整処理を終了したら、作業部12は、作業を実行する(ステップS24)。作業制御部36は、信号E2に基づきステーション8内の部品Wの種類を特定し、その部品Wを保持するのに必要なハンド部32を選定する。作業制御部36は、ロボットアーム30をハンド保持部18まで動かして、選定したハンド部32をハンド保持部18から取り出し、取り出したハンド部32を気体E3でロボットアーム30の先端に固定する。そして、作業制御部36は、撮像部34にバスケットBs内の部品Wを撮像させて、その撮像画像に基づき、部品Wの有無、及び部品Wの位置を検出する。作業制御部36は、検出した部品Wをハンド部32で把持させ、ライン側テーブル52上の設置部WA上に配置する。なお、出口ステーション8Bでの作業の際は、作業制御部36は、検出したライン側テーブル52の設置部WB上の部品Wをハンド部32で把持させ、部品側テーブル54上のバスケットBsに収納する。
その後、作業部12は、作業が終了したかを判断する(ステップS26)。作業制御部36は、バスケットBs内の部品Wを取り出して設置部WAに設置する作業の際は、バスケットBs内の部品Wが無くなった場合に、作業が終了したと判断する。ただし、作業が終了したとの判断はこれに限られない。例えば、作業制御部36は、予め定められた個数だけ部品Wを設置した場合に、作業が終了したと判断してもよい。また、作業制御部36は、設置部WA上に新たに部品Wを設置する箇所が無い、すなわち設置部WAが一杯になった場合に、作業が終了したと判断してもよい。また、作業制御部36は、設置部WB上の部品Wを取り出してバスケットBsに収納する作業の際は、設置部WB上に部品Wが無くなった場合に、作業が終了したと判断する。ただし、この場合での作業が終了したとの判断もこれに限られず、例えば、予め定められた個数だけ部品Wを収納した場合に作業が終了したと判断してもよく、バスケットBsに新たに部品Wを収納する箇所が無い、すなわちバスケットBsが一杯になった場合に、作業が終了したと判断してもよい。
作業部12は、作業が終了していないと判断した場合(ステップS26;No)、ステップS24に戻り作業を続ける。作業部12は、作業が終了したと判断した場合(ステップS26;Yes)、作業終了処理を実行する(ステップS28)。作業終了処理は、作業を終了するための処理であり、例えば、ハンド部32をロボットアーム30から取り外してハンド保持部18に戻す処理であったり、ロボットアーム30を原点位置に戻す処理であったりする。作業制御部36は、作業終了処理が完了した旨、すなわち作業が終了した旨の信号を、コネクタ部14及びステーションコネクタ部67を介して、ステーション制御部68に伝達する。
ステーションユニット50は、作業終了処理が完了した旨の信号を受けたら、コネクタの接続とクランプとを解除して、作業部12を作動停止状態とする(ステップS30)。具体的には、ステーション制御部68は、ステーションコネクタ部67とコネクタ部14との接続を解除して、作業部12への電力E1、信号E2、及び気体E3の供給を停止して、作業部12を作動停止状態とする。そして、ステーション制御部68は、クランプ部64による作業ロボット4のクランプ(固定)を解除する。これにより、作業ロボット4は、移動することが可能な状態となる。
これにより、本処理は終了する。なお、その後、作業ロボット4は、ステップS10に戻り、別の行先ステーションの情報を受信して、別のステーション8での作業を行うために移動してもよい。ステーションコネクタ部67とコネクタ部14との接続が解除されると、作業部12への電力E1供給が停止するため、作業ロボット4の移動部10は、移動することが可能な状態となっていることを認識することができる。すなわち、移動部10は、ステーションコネクタ部67とコネクタ部14との接続が解除されている場合には移動するが、ステーションコネクタ部67とコネクタ部14とが接続されている場合には、移動せず停止状態を維持する。
以上説明したように、本実施形態に係る作業ロボット4は、生産ライン2で作業を行う。作業ロボット4は、移動部10と、作業部12と、コネクタ部14とを有する。移動部10は、生産ライン2に設けられたステーション8間を移動可能である。作業部12は、ステーション8で作業を行う。コネクタ部14は、作業部12に作動用の電力E1を供給するための電力端子部42と、作業部12に作業用の信号E2を送信するための信号端子部44と、作業部12に作業用の気体E3を供給するための気体導通接続部46とを有する。コネクタ部14は、作業部12がステーション8で作業を行う際に、ステーション8に設けられたステーションコネクタ部67に接続され、ステーションコネクタ部67から作業部12に電力E1、信号E2、及び気体E3を供給して、作業部12を作動可能な状態(作動可能状態)とする。また、コネクタ部14は、移動部10がステーション間を移動している際、すなわち作業部12がステーション8で作業を行わない際には、ステーションコネクタ部67との接続が解除され、ステーションコネクタ部67から作業部12への電力E1、信号E2、及び気体E3の供給を停止することで、作業部12を作動停止した状態(作動停止状態)とする。
本実施形態に係る作業ロボット4は、作業部12が作業を行う場合、ステーション8に設けられたステーションコネクタ部67とコネクタ部14とを接続することで、作業部12にステーション8から電力E1、信号E2、気体E3の供給を受ける。作業ロボット4は、作動用の電力E1に加え、ステーション8からの信号E2を受信することで、ステーション8の状況に応じて作業を適切に行うことができる。特にステーション8が複数ある場合は、ステーション8毎に生産状態や作業内容などが異なるため、ステーション8から信号E2を受けることで、ステーション8に応じた作業が可能となる。また、作業ロボット4は、ステーション8から作業用の気体E3の供給を受ける。作業ロボット4は、供給された気体E3を用いて作業を行うことで、例えば気体E3を動力源としたアクチュエータを用いることが可能となり、アクチュエータのサイズを小型化したり、作業をより適切に行ったりすることができる。さらに、作業ロボット4は、ステーション8から気体E3の供給を受けるため、気体供給源を自身に搭載する必要がなくなり、さらにサイズを小さくすることができる。また、本実施形態に係る作業ロボット4は、例えばステーション8間の移動中など、作業部12が作業を行わない際にはコネクタ部の接続を解除することで、電力E1等の供給を停止して、作業部12の誤作動を抑制して安全性を向上させている。このように、本実施形態に係る作業ロボット4は、安全性を向上させつつ、作業を適切に行うことができる。
また、コネクタ部14は、電力端子部42、信号端子部44、及び気体導通接続部46を有する1つのコネクタである。作業ロボット4は、コネクタ部14を電力E1、信号E2、及び気体E3の複数の供給端子を有する1つのコネクタとすることで、コネクタ部14とステーションコネクタ部67との接続を容易に行うことができる。
また、作業部12は、生産ライン2内の部品Wを保持可能なハンド部32を備えるロボットアーム30を有する。作業部12は、気体E3によりハンド部32をロボットアーム30にチャックし、信号E2に基づき、電力E1でロボットアーム30を作動させる。この作業部12は、気体E3でハンド部32をチャックすることで、チャック用のアクチュエータを小型にすることができる。また、作業部12は、信号E2に基づき、電力E1でロボットアーム30を駆動することで、作業を適切に行うことが可能となる。
また、作業ロボット4は、異なる形状の複数のハンド部32を保持するハンド保持部18を更に有する。そして、作業部12は、どのハンド部32を用いるかを示す信号E2を、ステーションコネクタ部67を介して取得し、その信号E2が示すハンド部32をハンド保持部18から取り出してチャックする。この作業ロボット4は、ハンド保持部18が保持している複数のハンド部32に取り換えることで、異なる形状の部品Wに対して作業を行うことが可能となる。また、ステーション8側でなく作業ロボット4側にハンド保持部18を搭載することで、ステーション8毎にハンド部32を配置する必要がなくなり、効率的となる。このように、この作業ロボット4は、ハンド保持部18を有することで、作業をより適切に行うことが可能となる。
また、移動部10は、無人搬送車である。この移動部10は、自動で移動することが可能となるため、移動するために作業者の操作が必要なくなり、作業効率が向上する。
また、本実施形態に係る生産システム1は、作業ロボット4と、ステーションユニット50とを有する。ステーションユニット50は、ステーション8に設けられ、ステーションコネクタ部67を有する。この生産システム1は、作業ロボット4とステーションユニット50とを有するため、作業ロボット4に作業を適切に行わせることが可能となる。
また、ステーションユニット50は、作業ロボット4をステーションユニット50に対して固定するクランプ部64と、ステーション制御部68とを更に有する。ステーション制御部68は、作業ロボット4がステーション8内の所定の初期位置Pに位置していることを確認した場合に、クランプ部64により作業ロボット4を固定する。そして、ステーション制御部68は、固定した作業ロボット4のコネクタ部14に対してステーションコネクタ部67を突出させることにより、ステーションコネクタ部67をコネクタ部14に接続させる。この生産システム1は、クランプ部64により作業ロボット4を固定した状態で、ステーションコネクタ部67を動かしてコネクタ部14に接続させる。これにより、この生産システム1は、コネクタ部14とステーションコネクタ部67とを適切に接続することが可能となる。
また、生産ライン2は、ターボチャージャーを生産するラインである。本実施形態に係る生産システム1及び作業ロボット4は、適切にターボチャージャーを生産することができる。
なお、本実施形態の作業ロボット4は、ステーション8内で部品Wの供給及び取り出し作業を行うが、部品Wや製品を自身に搭載して別のステーション8などに搬送する機能を有していてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る生産システム1aは、作業ロボット4aが計測部35を有する点で、第1実施形態と異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図9は、第2実施形態に係るステーションの模式図である。図9に示すように、第2実施形態に係るステーション8a(ここでは入口ステーション8Aa)は、ステーションユニット50aを有する。ステーションユニット50aは、基準点部90を有する。
図9に示すように、第2実施形態に係る作業ロボット4aは、撮像部34に加え、計測部35を有している。計測部35は、作業部12aのロボットアーム30に設けられている。計測部35は、基準点部90のZ方向の位置情報、すなわち先端のZ方向の座標(ロボットアーム30の原点位置に対する基準点部90の先端のZ方向の座標)を計測する。計測部35は、レーザ変位計であるが、基準点部90の先端の座標を計測可能であればレーザ変位計以外の装置であってもよい。
作業制御部36は、位置調整処理(図8のステップS22を参照)の際に、撮像部34が基準点部90の画像を撮像することに加え、計測部35が計測した基準点部90のZ方向の位置情報を取得する。作業制御部36は、撮像部34の撮像画像から各基準点部90のX方向、Y方向の位置情報(座標)を検出し、計測部35が計測した基準点部90のZ方向の位置情報から、各基準点部90のZ方向の位置情報(座標)を検出する。これにより、作業制御部36は、各基準点部90に対するロボットアーム30の位置の誤差を検出する。作業制御部36は、その誤差から補正量を算出し、その補正量に基づき、ロボットアーム30を動かす。例えば、作業制御部36は、この補正量の分だけ補正を加えて、ロボットアーム30を動かす。これにより、作業制御部36は、作業部12の部品Wに対する位置ずれを補正する。第2実施形態においては、作業制御部36は、撮像部34の撮像画像から取得したX方向、Y方向の2次元データに加えて、基準点部90の先端の座標、すなわちZ方向のデータを取得することで、3次元の位置情報を検出する。作業制御部36は、この3次元の位置情報の情報を用いて位置ずれを補正することにより、例えばステーション8毎の床面のZ方向の傾きが異なっていた場合でも、適切に位置調整を行い、作業効率を向上させることができる。なお、作業制御部36は、撮像部34の撮像画像を用いず、基準点部90の先端の座標の情報のみから位置情報を検出して、位置調整を行ってもよい。この場合、計測部35は、基準点部90の先端のX方向、Y方向、及びZ方向の3つの座標を計測することが好ましい。
以上説明したように、第2実施形態に係る作業部12aは、ステーション8aに設けられた基準点部90の座標を計測する計測部35を有する。作業部12aは、計測部35が計測した基準点部90の座標に基づき、作業部12aの生産ライン2内の部品Wに対する位置ずれを補正する。この作業部12aは、基準点部90の座標に基づき位置ずれを補正するため、作業精度を向上させることができる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態において、基準点部90の高さ及び位置は、ステーション8毎に共通するが、基準点部90の高さ及び位置をステーション8毎に異ならせてもよい。この場合、作業ロボット4は、基準点部90の高さ及び位置の情報を、ステーション8毎に記憶していることが好ましい。作業ロボット4は、記憶した情報と、計測部35が計測した基準点部90の高さ及び位置の情報とを照合することで、自身がどのステーション8で作業を行うかを認識することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る生産システム1bは、作業ロボット4bが近接センサ92を有する点で、第1実施形態と異なる。第3実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図10は、第3実施形態に係るステーションの模式図である。図10に示すように、第2実施形態に係る作業ロボット4bは、後方部10Bに近接センサ92が設けられている。近接センサ92は、移動部10が用いるセンサであり、移動部10が有する電源部24からの電力で作動する。近接センサ92は、作業ロボット4bの後方部10Bへの近接物(作業者や他の装置など)を検出するセンサである。すなわち、近接センサ92は、後方部10Bから所定距離以内に位置する物や人を検出する。また、図10に示すように、ステーションユニット50は、第1実施形態と同様に、安全柵56(安全柵57、58、59)を有する。安全柵56は、ステーション8、すなわち作業空間Sの周囲を覆う(遮蔽している)が、進入口SAについては遮蔽することなく開放している。
作業ロボット4bは、ステーション8内で作業を行う場合、方向A1を進行方向として、前方部10Aから進入口SAを通って作業空間S内に進入する。また、作業ロボット4bは、作業が終了したら、方向A2を進行方向として、後方部10Bから進入口SAを通って作業空間Sの外部に退出する。作業ロボット4bが有する移動制御部26は、移動部10の移動を制御する。移動制御部26は、ステーション8(作業空間S)から退出する際に、近接センサ92に、後方部10Bへの近接物を検出させる。移動制御部26は、退出するために移動している際に近接センサ92が近接物を検出すると、移動部10の移動を停止させる。また、移動制御部26は、この場合に移動部10の移動速度を低下させてもよい。例えば、移動制御部26は、近接物と後方部10Bの距離が、所定距離以内であり、かつ設定距離より大きい場合は、移動部10の移動速度を低下させてよい。ここでの設定距離は、近接物であると判断するための閾値である所定距離より短い距離である。また、移動制御部26は、近接物と後方部10Bの距離が、設定距離以内である場合は、移動部10の移動を停止させてよい。なお、移動制御部26は、退出しようとしているがまだ移動を開始せず停止している際に近接センサ92が近接物を検出すると、移動部10を停止させたままとする。
以上説明したように、第3実施形態に係る生産システム1bは、ステーションユニット50が、安全柵56を有する。安全柵56は、作業ロボット4bが進入してくる進入口SAを開放しつつステーション8の周囲を覆う。作業ロボット4bは、前方部10Aからステーション8内に進入し、前方部10Aとは反対側の後方部10Bからステーション8内から退出する。作業ロボット4bは、さらに、後方部10Bへの近接物を検出する近接センサ92を更に有する。作業ロボット4bは、ステーション8内からの退出中に近接センサ92が近接物を検出した場合に、移動部10の移動を停止、又は移動速度を低下させる。
第3実施形態において、ステーションユニット50は、進入口SA以外の作業空間Sの周囲を、安全柵56で覆っている。従って、ステーションユニット50は、例えば、ロボットアーム30が進入口SA以外の箇所からステーション8の外部に突出して、他の装置や作業者に衝突することを抑制する。また、第3実施形態において、作業ロボット4bは、近接センサ92により、後方部10B、すなわち進入口SA側の近接物を検出して、退出時に他の装置や作業者に衝突することを抑制する。このように、第3実施形態においては、進入口SAを開放しつつ安全柵56を設け、かつ進入口SA側の近接物を作業ロボット4bが検出することで、安全性を向上させることができる。なお、近接センサ92は、移動部10の退出中だけでなく、移動部10がステーション8に進入する際、ステーション8内で停止している際、及びステーション8内で停止していて作業部12が作業を行っている際にも、近接センサ92で近接物を検出してもよい。作業ロボット4bは、移動部10がステーション8に進入する際に近接物を検出したら、退出時と同様に、移動部10の移動を停止、又は移動速度を低下させる。また、作業ロボット4bは、作業部12が作業を行っている際に近接センサ92が近接物を検出したら、作業制御部36が、作業部12の作業(ロボットアーム30の作動)を停止させる。これにより、安全性をさらに向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。