JP2018116367A - ペン入力装置用ガラス基板、及びペン入力装置 - Google Patents
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このようなペン入力装置においては、液晶ディスプレイ等のディスプレイ素子の前面側にガラス基板等で構成される透明なカバー部材が配置されており、このカバー部材に対して入力ペンを接触及び移動させることで、様々な入力操作を行うことが可能となっている。ペン入力装置のカバー部材としてガラス基板を用いた場合、一般的にガラス基板の表面は凹凸が小さく滑らかに形成されているため、ガラス基板の表面に入力ペンを接触させて移動させた場合にペン先が滑ってしまい、書き心地が悪いという問題が生じていた。
また、特許文献1のようにカバー部材の表面に凹凸を有する樹脂層を形成した場合、スパークリングと呼ばれるギラつきが発生する。
すなわち、防眩層の材質の検討では、入力ペンにより書き味を良くするとともに、ディスプレイ装置の解像度を保持することは困難であった。
即ち、本発明に係るペン入力装置用ガラス基板は、ペン入力装置におけるディスプレイ素子の前面側に配置されるペン入力装置用ガラス基板であって、少なくとも一方の主面に凹凸を有し、前記凹凸を有する主面における、クルトシスRkuが3より大きく、かつ算術平均粗さRaが1nm以上かつ300nm以下である。
このような構成により、ペン入力装置におけるディスプレイ素子の高解像度を保持し、ペン入力装置に対する入力を行う入力ペンの書き味を優れたものとすることができる。
これにより、ペン入力装置に対する入力を行う入力ペンの書き味をより優れたものとすることができる。
これにより、ガラス基板の透明度を保持することができ、ディスプレイ素子の高解像度を保持することができる。
これにより、ペン入力装置におけるディスプレイ素子の高解像度を保持することができ、ペン入力装置に対する入力を行う入力ペンの書き味を優れたものとすることができる。
このような構成により、ペン入力装置におけるディスプレイ素子の高解像度を保持することができ、入力ペンの書き味を優れたものとすることができる。
ペン入力装置10は、映像を表示するディスプレイ素子30と、ディスプレイ素子30の前面側に配置されるカバーガラスとしてのガラス基板20と、ディスプレイ素子30の背面側に配置されるデジタイザ回路40と、入力ペン50とを備える。ガラス基板20は、本発明に係るペン入力装置用ガラス基板の一例であり、デジタイザ回路40は、本発明に係るペン入力を検出する検出回路の一例である。
なお、ディスプレイ素子30の「前面側」とは、映像が表示される側をいい、ディスプレイ素子30の「背面側」とは、映像が表示される側の反対側をいう。図1において、ディスプレイ素子30の「前面側」は、紙面上方、「背面側」は、紙面下方となる。
ペン入力装置10は、例えばタブレット端末である。このタブレット端末は、表示機能とペン入力機能とを備えたペン入力用表示装置を広く意味する。タブレット端末は、タブレットPC、モバイルPC、スマートフォン、及びゲーム機などの機器を含む。
入力ペン50は、鉛筆やボールペンなどの筆記具に似た形状の入力具であり、ガラス基板20と接触するペン先51は、エラストマー、ポリアセタール樹脂などの合成樹脂材、又はフェルトなどで構成されている。これらの部材により構成されたペン先51は、凹凸に対して引っかかりやすい。従って、入力ペン50のペン先51を、凹凸が形成されたガラス基板20の主面20aに接触させて移動させた場合の書き味が特に優れる。
ガラス基板20の主面20aには、凹凸が形成されており、クルトシスRkuが3より大きく、かつ算術平均粗さRaが1nm以上かつ300nm以下となっている。
また、算術平均粗さRaの上限値は300nmに設定されているが、200nmに設定することが好ましく、100nmに設定することがより好ましく、50nmに設定することがさらに好ましい。
また、最大高さ粗さRzの上限値は500nmに設定されているが、400nmに設定することが好ましく、300nmに設定することがさらに好ましい。
ガラス基板20のヘイズを10%未満とすることで、ガラス基板20の透明度を保持することができ、ディスプレイ素子30の高解像度を保持することができる。
反射防止膜としては、例えばガラス基板20よりも屈折率が低い低屈折率膜、又は相対的に屈折率が低い低屈折率膜と相対的に屈折率が高い高屈折率膜とが交互に積層された誘電体多層膜が用いられる。反射防止膜は、スパッタリング法、又はCVD法などにより形成することができる。
また、ガラス基板20の主面20aに反射防止膜を有する場合、反射防止膜を有するガラス基板20のヘイズが上述の範囲となるように、ガラス基板20の主面20aの凹凸が形成される。
防汚膜は、主鎖中にケイ素を含む含フッ素重合体を含むことが好ましい。含フッ素重合体としては、例えば、主鎖中に、−Si−O−Si−ユニットを有し、かつ、フッ素を含む撥水性の官能基を側鎖に有する重合体を用いることができる。含フッ素重合体は、例えばシラノールを脱水縮合することにより合成することができる。
ガラス基板20の表側の主面20aに反射防止膜と防汚膜とを有する場合には、ガラス基板20の主面20a上に反射防止膜を形成し、反射防止膜上に防汚膜が形成される。
また、ガラス基板20の主面20aに防汚膜を有する場合、又はガラス基板20の主面20aに反射防止膜と防汚膜とを有する場合、防汚膜を形成した後のガラス基板20のヘイズ、又は反射防止膜と防汚膜とを形成した後のガラス基板20のヘイズが上述の範囲となるように、ガラス基板20の主面20aの凹凸が形成される。
ガラス基板20の少なくとも一方の主面20aに形成される凹凸は、当該主面20aにウェットブラスト処理、化学エッチング処理、シリカコーティング処理などを施すことにより形成される。
ウェットブラスト処理は、アルミナなどの個体粒子にて構成される砥粒と、水などの液体とを均一に攪拌してスラリーとしたものを、圧縮エアを用いて噴射ノズルからガラスからなるワークに対して高速で噴射することにより、前記ワークに凹凸を形成する処理である。
本実施例においては、ガラス基板20の実施例として試料1〜4を作製し、比較例として試料5〜7を作製した。
試料1〜7に用いたガラス基板20としては、厚さが1.1mmのアルカリ含有アルミノシリケートガラスを使用した。
具体的には、試料1〜4のガラス基板20に対し、粒度が♯4000のアルミナにて構成される砥粒と水とを均一に攪拌することにより調製したスラリーを、ガラス基板20を載置した処理台を10mm/sの速度で移動させながら、所定の処理圧力のエアを用いてガラス基板20の一方の主面20aの全体に対して噴射するウェットブラストを2回繰り返した。前記砥粒としては、多角形状を有する砥粒を用いた。
比較例となる試料6〜7のガラス基板20に対しては、一方の主面20aに上部に多数設けたスリットからHFガスを噴射することにより、ドライエッチング処理を施した。HFガスの濃度を一定に保つため、ガラス両側からHFガスを排気した。HFガスは、フッ化水素ガスと窒素ガスを混合し、HFガスの濃度が2.5vol%になるようにした。
試料6のガラス基板20に対してHFガスを噴射した際の処理時間は約15秒であり、試料7のガラス基板20に対してHFガスを噴射した際の処理時間は約6秒であった。
試料1〜7のガラス基板20における主面20aの表面粗さを測定した。表面粗さの測定は、試料1〜4についてはウェットブラスト処理を施した主面に対して行い、試料5については一方の主面20aに対して行い、試料6〜7についてはHFガスによるドライエッチング処理を施した主面20aに対して行った。
[表面粗さの測定結果]
試料1〜7について行った表面粗さの測定結果について説明する。
表1に測定結果を示す。
試料1〜4についてヘイズの測定を行った。ヘイズの測定は、島津製作所社製紫外可視近赤外分析光度計(UV−3100PC)を用い、JIS K7361−1-1997に基づいて測定した。
表1に示すように、ヘイズは、実施例となる試料1〜4については0.38%〜3.5%の範囲にあり、ウェットブラスト処理の処理圧力が大きくなるに従ってヘイズの値も大きくなる傾向にある。
ペン入力装置10におけるディスプレイ素子30の前面側に試料1〜7のガラス基板20を載置した場合の、ディスプレイ素子30に表示される映像の解像度について評価を行った。評価方法としては、ディスプレイ素子30に表示される映像に滲みが見られるか否かを以下に示す3段階で評価を行った。◎:鮮明な映像が見え、像に滲みが見られない、○:映像が十分に視認できるが、僅かに像の滲みが見られる、×:映像が不鮮明であり、かつ像の滲みが目立つ。
表1に示すように、映像の解像度は、実施例となる試料1〜3については◎となり、試料4については〇となった。未処理の比較例である試料5及びドライエッチング処理を施した比較例である試料6〜7については◎となった。
ガラス基板20に対して入力ペン50により文字及び図形等の入力を行った際の書き味を官能試験により評価した。評価方法としては、入力ペン50としてワコム社製プロペン(KP−503E)を使用し、ガラス基板20上での書き味が、紙上でのHBのシャープペンシルの書き味と感覚的に近い場合を〇とし、当該書き味よりも滑りやすい、滑りにくいなど感覚的に異なる場合を×として、書き味の判定を行った。
表1に示すように、書き味は、実施例となる試料1〜4については〇となり、未処理の比較例である試料5及びドライエッチング処理を施した比較例である試料6〜7については×となった。
表1に示すように、実施例となる試料1〜4については、入力ペン50が接する主面20aの凹凸の大きさが適切であるため、書き味が良好であり、かつ解像度も◎及び○といったように良好な評価結果が得られた。
一方、未処理の比較例である試料5及びドライエッチング処理を施した比較例である試料6〜7については、入力ペン50が接する主面20aの凹凸が小さく、クルトシスRkuが小さいため滑りやすく、書き味が悪かった。
20 ガラス基板
20a 主面
30 ディスプレイ素子
40 デジタイザ回路
50 入力ペン
Claims (5)
- ペン入力装置におけるディスプレイ素子の前面側に配置されるペン入力装置用ガラス基板であって、
少なくとも一方の主面に凹凸を有し、
前記凹凸を有する主面における、クルトシスRkuが3より大きく、かつ算術平均粗さRaが1nm以上かつ300nm以下である、
ことを特徴とするペン入力装置用ガラス基板。 - 前記凹凸を有する主面における、最大高さ粗さRzが30nm以上かつ500nm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載のペン入力装置用ガラス基板。 - ヘイズが、可視光の波長域において10%未満である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペン入力装置用ガラス基板。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載されるペン入力装置用ガラス基板、ディスプレイ素子、及びペン入力を検出する検出回路を備える、
ことを特徴とするペン入力装置。 - 前記ペン入力装置用ガラス基板の主面に接触しながら移動することにより、ペン入力装置に対するペン入力を行う入力ペンを備える、
ことを特徴とする請求項4に記載のペン入力装置。
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