JP2018115261A - プロピレン系樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物及び成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP2018115261A
JP2018115261A JP2017006803A JP2017006803A JP2018115261A JP 2018115261 A JP2018115261 A JP 2018115261A JP 2017006803 A JP2017006803 A JP 2017006803A JP 2017006803 A JP2017006803 A JP 2017006803A JP 2018115261 A JP2018115261 A JP 2018115261A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propylene
temperature
resin composition
nucleating agent
based resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017006803A
Other languages
English (en)
Inventor
西村 淳一
Junichi Nishimura
淳一 西村
智樹 内田
Tomoki Uchida
智樹 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polypropylene Corp
Original Assignee
Japan Polypropylene Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Polypropylene Corp filed Critical Japan Polypropylene Corp
Priority to JP2017006803A priority Critical patent/JP2018115261A/ja
Publication of JP2018115261A publication Critical patent/JP2018115261A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

【課題】透明性、低温成形性及び耐衝撃性に優れたプロピレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物から成形されてなる成形品の提供。
【解決手段】融解終了温度が100℃以上133℃未満であるプロピレン系重合体100重量部に対し、下記式(1)で表される透明化核剤(A)を0.01〜2.0重量部含有してなるプロピレン系樹脂組成物。
Figure 2018115261

(nは0〜2の整数、R〜Rは、それぞれ独立にH、ハロゲン原子、C1〜20のアルキル基、C2〜20のアルケニル基、C1〜20のアルコキシ基、カルボニル基又はフェニル基、Rは、C1〜20のアルキル基。)
【選択図】なし

Description

本発明は、低温での成形が可能であり、かつ、透明性や臭気、耐衝撃性に優れたプロピレン系樹脂組成物及び成形品に関する。
プロピレン系樹脂は、成形加工性、剛性に優れ、またリサイクル性や耐熱性、経済性にも優れていることから、各種の方法で成形加工され、幅広い用途に用いられている。これらの特徴の中でも、近年は、成形時の消費エネルギーの削減による環境負荷の低減、成形サイクルの短縮による生産性の向上、熱劣化により発生する分解物の削減による臭気等の改良といった観点から、他の樹脂よりも比較的低温で成形できるというプロピレン系樹脂の特徴に対して期待が高まっている。プロピレン系樹脂の成形温度は、現在、200℃から280℃程度が一般的であるが、環境問題や生産性が非常に重視される昨今は、さらに低い温度で成形できるプロピレン系樹脂組成物の開発が強く求められるようになっている。
さらに、上記の特徴を活かすべく、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートに代表される他の透明樹脂からポリプロピレン系樹脂への置き換えも活発である。その場合にはポリプロピレン系樹脂への透明性の付与が非常に大きな課題となる。
プロピレン系重合体には、単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体があるが、剛性や耐熱性、ガスバリヤー性の点ではプロピレン単独重合体が、透明性や耐衝撃性の点ではエチレン、1−ブテン等とプロピレンとのランダム共重合体が、耐熱性、耐衝撃性ではエチレン、1−ブテン等とプロピレンとのブロック共重合体が好適であり、状況に応じて適宜選択的に用いられている。
これらの中で、ランダム共重合体は、単独重合体やブロック共重合体に比べて、融点を下げやすいため、低温成形性を志向する材料としては好適である。しかし、従来の方法でランダム共重合体の融点を下げようとしても、低結晶成分が付随して発生するため、製造が著しく困難になる上、成形品のべたつきに代表される品質上の問題が生じてしまい、十分には融点を下げることができないという問題があった。
さらには、従来の方法では、ランダム共重合体の融点を下げても、組成分布が存在するため、高融点成分を完全に除去することは難しい。その結果、見かけ上の融点は低下したにもかかわらず、成形温度を十分には下げられないという問題もあった。
このようにランダム共重合体を用いても、成形温度の低下には限界があった。
一方、ランダム共重合体は、透明成形品を得るためにも好適である。しかし、ランダム共重合体を用い、さらにその各種パラメータの最適化を行っても、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の高透明樹脂には透明性の点ではるかに及ばないのが実情である。
このため、プロピレン系(共)重合体の改質だけではなく、プロピレン系(共)重合体への透明化核剤の添加による透明性の改良が幅広く試みられてきた。透明化核剤としては、ジメチルベンジリデンソルビトール系透明化核剤(例えば、特許文献1参照。)が最も一般的に使用されている。
しかしながら、これらの既存の透明化核剤を使用しても、透明性の改良幅は必ずしも十分ではなく、ポリスチレン等の他の樹脂の透明性にはまだ及ばない。また、ジベンジリデンソルビトール系透明化核剤に代表される溶解型核剤には、成形温度に対する制約があるが、これはその作用機構に起因する本質的なものである。ジベンジリデンソルビトール系透明化核剤の作用機構は、成形時の加熱工程で、透明化核剤のネットワーク状の結晶構造が一旦崩壊する過程(ゲル−ゾル転移)を経て、プロピレン系樹脂組成物の中に透明化核剤の分子が均一に溶解した後に、冷却工程において、プロピレン系樹脂組成物中で新たに透明化核剤のネットワーク構造が再形成されて(ゾルからゲルへの再転移)、それが結晶核として機能することにより透明化効果を発現するというものである。このような作用機構をもつ透明化核剤を使用して透明化を行う際には、成形過程において、ゲル−ゾル転移温度以上に加熱することが不可欠である。しかし、ジベンジリデンソルビトール系透明化核剤のゲル−ゾル転移温度は通常約190℃であるため、この温度よりも低温で成形しても透明化効果は発現せず、これが低温成形を行う上での制約となっていた。そのため、200℃以上の温度で成形することが一般的であったが、その結果、透明化核剤が熱分解して芳香族アルデヒド等の物質が発生し、臭気が大幅に悪化するという問題もあった。
このように、低温成形性と透明性と低臭気性とを同時に満たすプロピレン系樹脂組成物は存在しなかった。そのため、これらを同時に満たすプロピレン系樹脂組成物とそれを用いた成形品の開発が強く望まれていた。そこで特許文献2に透明性、低温成形性及び臭気に優れたプロピレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物から成形されてなる成形品が示されている。しかし、開示された実施例の材料では透明性が不十分であると共に、耐衝撃性も低く、低温成形性以外の実用性能バランスが十分に取れていない材料であった。
特開昭53−117044号公報 特開2010−242046号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、低温成形性と透明性と耐衝撃性とに優れたプロピレン系樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン系重合体に対し、特定の透明化核剤を含有させることにより、透明性、耐衝撃性及び低温成形性に優れたプロピレン系樹脂組成物と成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、融解終了温度が100℃以上133℃未満であるプロピレン系重合体100重量部に対し、下記式(1)で表される透明化核剤(A)を0.01〜2.0重量部含有してなるプロピレン系樹脂組成物が提供される。
Figure 2018115261
(式中、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立に、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、カルボニル基又はフェニル基であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基である。)
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、透明化核剤(A)が下記式(2)で表される化合物であるプロピレン系樹脂組成物が提供される。
Figure 2018115261
本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、プロピレン系重合体がメタロセン系プロピレン系重合体であるプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1から第3のいずれかの発明において、JIS K7136に準拠して測定される肉厚2mmのHAZE値が7%以下であるプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1から第4のいずれかの発明におけるプロピレン系樹脂組成物を用いて得られた成形品が提供される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物により、従来のプロピレン系樹脂組成物では実現し得なかった優れた透明性、耐衝撃性及び低温成形性を実現することができる。また、本発明のプロピレン系樹脂組成物を低温で射出成形することにより、少ないエネルギー消費量による低環境負荷と、短い成形サイクルに起因する高生産性をもって実現することができる。
本発明は、特定のプロピレン系重合体100重量部に対し、特定の構造を有する透明化核剤(A)を0.01〜2.0重量部含有してなるプロピレン系樹脂組成物である。以下、このようなプロピレン系樹脂組成物を構成する成分、プロピレン系樹脂組成物の製造方法について詳細に説明する。
[1]プロピレン系樹脂組成物を構成する成分
(1)プロピレン系重合体
本発明のプロピレン系樹脂組成物で用いられるプロピレン系重合体は、融解終了温度が100℃以上133℃未満であることを特徴とするプロピレン系重合体である。プロピレン系重合体の融解挙動の指標としては主に融点が用いられ、特に、示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度が用いられることが一般的であるが、この指標は融解挙動の平均的な値を示すものである。成形温度をどこまで下げ得るかを示す指標としては、融解挙動の中でも、より高温域を表す融解終了温度、すなわち、樹脂が完全に融解する温度を用いるのがより適切である。この融解終了温度が低ければ低いほど低温での成形が容易となる。通常のプロピレン系重合体の融解終了温度は、おおよそ150℃から170℃が一般的であるため、融解終了温度が133℃未満になると、通常のプロピレン系樹脂に比べて成形性が大幅に向上する。
一方、融解終了温度が100℃未満になると、成形時の固化が著しく遅くなるため、成形サイクルがかえって長くなり生産性が悪化する上、ポリプロピレンの特徴である耐熱性が損なわれてしまうため、望ましくない。
基本的には、融解終了温度が100℃以上133℃未満であれば、すべてのプロピレン系重合体が対象になる。具体的な例を挙げると、最も代表的なプロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体である。同様に、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の一種又は二種以上のα−オレフィンを好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜8重量%程度含む、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体、すなわちランダム共重合体又はブロック共重合体が挙げられる。具体的には、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体のような二元共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体のような三元共重合体からなる、ランダム共重合体又はブロック共重合体が挙げられる。特にプロピレン系ブロック共重合体の場合には、前段工程と後段工程の多段工程で重合する方法で製造される多段重合体が好ましい。
プロピレン系重合体としては、メルトフローレート(MFR)(JIS K7210、230℃、2.16kg荷重で測定)が比較的高いことが好ましい。MFRが高くなれば、融解終了温度も下がる傾向にある上、低温成形性も向上する傾向があるためである。このようにMFRからの配慮も必要である。例えば、MFRが、1〜500g/10分、好ましくは、MFRが5〜300g/10分と比較的高い場合には、融解終了温度が230℃よりかなり低い100℃以上133℃未満の範囲においても、比較的加工性のよい傾向を示すので、より好ましい。
本発明で用いられるプロピレン系重合体を得るために用いられる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)が使用できる。
中でも、メタロセン触媒を用いた場合には、組成分布が狭く融解温度幅の狭いメタロセン系プロピレン系重合体が得られる。この結果、低温成形時に悪影響を及ぼす融解温度の高い成分をほとんど生成しないため、効果的に融解終了温度を下げることができるので、非常に好ましい。さらに、メタロセン触媒を用いた場合には、融解終了温度が低いメタロセン系プロピレン系重合体を製造しても、製造プロセス内での閉塞トラブルを誘発するような低結晶成分をほとんど生成しない。その結果、従来のチーグラー・ナッタ触媒では製造できなかったような低い融解終了温度のメタロセン系プロピレン系重合体を安定的に生産することができるため、非常に好ましい。
本発明で用いられるプロピレン系重合体を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、これらの重合法の1種又は2種以上を組み合わせて多段重合を行って重合することもできる。さらには、2種以上のプロピレン系重合体を機械的に溶融混練することによっても製造することができる。
(2)透明化核剤(A)
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられる透明化核剤(A)は、下記式(1)で表される透明化核剤である。
Figure 2018115261
式(1)において、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立に、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、カルボニル基又はフェニル基であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基である。このような構造の透明化核剤(A)であれば本発明においては制限なく使用することができる。
式(1)で表される透明化核剤(A)は、加熱時のゲル−ゾル転移温度が180℃以下であることを特徴とする透明化核剤である。このような透明化核剤を使用することにより、200℃未満の温度で成形しても、成形過程で核剤ネットワークの崩壊が生じて、透明化核剤がプロピレン系樹脂中に均一分散することができるため、良好な透明性を発現することができる。ここで、ゲル−ゾル転移温度とは、前記特許文献2(特開2010−242046号公報)に詳細に記載されているとおりのものである。
透明化核剤(A)のゲル−ゾル転移温度(℃)として、好ましくは約160℃以上180℃以下のもの、より好ましくは、165〜175℃、さらに好ましくは168〜174℃程度のものを選定すれば、融点終了温度が100℃以上133℃未満のプロピレン系重合体と組み合わせると、両者の関係が密接に関連して、透明性(ヘーズ)、耐衝撃性及び臭気発生の点で、非常に優れた作用効果を奏する。ゾル−ゲル温度が、185℃以上、190℃、195℃の透明化核剤を選定し、融解終了温度100℃以上133℃未満の範囲のプロピレン系重合体を成形加工すれば、臭気こそ抑制されるが、透明性(ヘーズ)は悪化する傾向を示す。このように、透明化核剤のゲル−ゾル転移温度とプロピレン系重合体の融点終了温度との密接な関係にある挙動を究明することにより、透明性及び耐衝撃性が向上した低温成形を可能にしたということは、本発明者らの知見に基づくものである。
また、このような透明化核剤(A)のうち、市販品として入手できる代表的なものは、ミラッドNX8000J(商品名、ミリケン・アンド・カンパニー社製)などが挙げられる。その化学構造式は、下記式(2)のとおりである。この透明化核剤のゲル−ゾル転移温度は170℃であり、融解終了温度100℃以上133℃未満の範囲のプロピレン系重合体と組み合わせることにより、きわめて良好な透明性、臭気、耐衝撃性及び低温成形性を実現することができる。
Figure 2018115261
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられる透明化核剤(A)の含有量は、プロピレン系重合体100重量部に対し、0.01〜2.0重量部であり、好ましくは0.2〜0.6重量部である。0.01重量部以上であれば十分な効果が得られる。2.0重量部以下であれば透明化核剤の凝集の発生が抑制され透明性が低下することがなく、また費用対前記効果(コスト・パフォーマンス)の点からも有利なため望ましい。
本発明に用いられる透明化核剤(A)の製造方法としては、特表2007−534827号公報等に記載の方法を挙げることができる。市販品としても、容易に入手することができ、例えば、前記ミラッドNX8000J(商品名、ミリケン・アンド・カンパニー社製)を挙げることができる。
(3)その他の添加剤
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、プロピレン系重合体及び透明化核剤(A)に加えて、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、ハイドロタルサイト(商品名:DHT4A、協和化学工業(株)製及び商品名:DHT4C、協和化学工業(株)製の下記式(3)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(商品名、水澤化学工業(株)製、下記式(4)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO …(3)
[式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。]
[AlLi(OH)X・mHO …(4)
[式中、Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。]
滑剤の具体例としては、既知の滑剤が挙げられるが、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイル等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、下記式(5)や下記式(6)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等のラクトン系酸化防止剤、下記式(7)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
Figure 2018115261
Figure 2018115261
(式中、RとRは、独立して炭素数14〜22のアルキル基である。)
Figure 2018115261
さらに、その他に、透明化核剤の機能、プロピレン系重合体の融解終了温度の変化に悪影響を与えない範囲で、帯電防止剤、脂肪酸金属塩等の分散剤、有機過酸化物、顔料や染料などの着色剤、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、オレフィン系エラストマー、非オレフィン系エラストマー等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
[2]プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体、透明化核剤(A)及び必要に応じて用いるその他の添加剤を、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で150〜280℃程度の温度範囲で溶融混練することにより得ることができる。
[3]成形品
本発明の成形品は、上記のプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形機、押出成形機、フィルム成形機、ブロー成形機、繊維成形機等各種の成形機により成形することにより得られるものである。特に、本発明のプロピレン系樹脂組成物が低温でも成形可能であることを活かして、低温で射出成形することが望ましい。具体的には、通常の成形温度よりも低い、150℃以上200℃未満で成形することにより、成形時の消費エネルギーの削減による環境負荷の低減、成形サイクルの短縮による生産性の向上、熱劣化により発生する酸化物の削減による臭気等の改良などの効果を得ることができる。
本発明の成形品としては、射出成形品、押出成形品、真空成形品、圧縮成形品、カレンダー成形品、積層成形品、流動浸漬成形品、吹込み成形品、スラッシュ成形品、回転成形品、熱成形品、CCM成形品などがある。中でも射出成形品が最も好ましい。
具体的には、食品容器(プリン容器、ゼリー容器、ヨーグルト容器、その他のデザート容器、惣菜容器、茶碗蒸し容器、インスタントラーメン容器、米飯容器、レトルト容器、弁当容器等)、飲料容器(飲料ボトル、チルドコーヒー容器、ワンハンドカップ容器、その他の飲料容器等)、キャップ(ペットボトルキャップ、1ピースキャップ、2ピースキャップ、インスタントコーヒーのキャップ、調味料キャップ、化粧品容器キャップ等)、医薬品容器(輸液バッグ、血液バッグ、プレフィルドシリンジ、キット製剤、目薬容器、薬液容器、薬剤容器、液体の長期保存容器、プレススルーパッケージ、ストリップパッケージ、分包、プラスチックバイアル等)、その他各種容器(インク容器、化粧品容器、シャンプー容器、洗剤容器等)、医療用器具(ディスポーザブルシリンジ及びその部品、カテーテル・チューブ、真空採血管、手術用不織布、血液用フィルター、血液回路などのディスポーザブル器具、人工肺、人工肛門などの人工臓器類の部品、ダイアライザー、試験管、縫合糸、湿布基材、歯科用材料の部品、整形外科用材料の部品、コンタクトレンズのケース等)、日用品(衣装ケース、バケツ、洗面器、筆記用具、コンテナ、玩具、調理器具、その他各種ケース等)、自動車部品(インパネ、バンパー、灯体等)、電気・電子部品(各種電気機器の部材・筐体、半導体搬送容器、光学部品、各種情報メディアケース、太陽電池封止材等)、フィルム、繊維、シート、などが挙げられる。中でも、透明性、低臭気性及び耐衝撃性を活かすことができる食品、飲料、医薬品、化粧品等の容器やキャップ類、食器、医療用器具、日用品などに特に好適である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において、用いた物性測定は以下の方法で行い、プロピレン系重合体、透明化核剤及びその他の添加剤(酸化防止剤、中和剤など)としては以下のものを使用した。
1.試験方法
(1)融解終了温度
JIS K7121:1987に準拠して示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製DSC6200)を用いて、補外融解終了温度を求め、融解終了温度とし、これを成形性の指標とした。この温度以上に加熱しなければ樹脂が完全には溶融しないため、この温度が低ければ低いほど、低温でも成形可能であることを表す。補外融解終了温度の測定方法は以下のとおりである。
示差走査熱量測定法(DSC)による融解ピークの補外融解終了温度(Tem):熱プレスによって成形した100μmのフィルムから5mgの試料を秤量し、それをセイコーインスツル(株)製DSC6200示差走査熱量測定装置にセットし、180℃に昇温してその温度で5分間保持した後、降温速度10℃/分で−10℃まで冷却した。次に1分間保持した後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温して測定を行った。その結果、−10℃から180℃に昇温してDSC曲線を得た。JIS K7121に準拠し、DSC曲線の高温側のベースラインを低温側に延長した線と、融解ピークの高温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度を補外融解終了温度(Tem)とした。
(2)エチレン含有量、1−ブテン含有量
13C−NMRにより、エチレン含有量及び1−ブテン含有量を測定した。その測定条件は以下のとおりである。
機種:日本電子(株)製GSX−400
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
(3)メルトフローレート(MFR)
JIS K7120:1999、230℃ 2.16kg荷重に準拠して測定した。
(4)成形性
東芝機械(株)製IS100GN射出成形機を用いて、金型温度40℃で、成形温度を可変して、100mm×100mm×2mmのシート状試験片を作成した。設定した成形温度で正規の形状が得られた場合は「○」、正規の形状が得られない場合は「×」と記載した。
(5)ヘーズ
東芝機械(株)製IS100GN射出成形機を用いて、金型温度40℃で、成形温度を可変して、100mm×100mm×2mmのシート状試験片を作成し、JIS K7136に準拠して測定した。この値が小さいほど透明であることを意味する。
(6)曲げ弾性率
射出成形法により試験片を成形し、成形後に室温23℃、相対湿度50%に調節された恒温室に24時間放置した後、JIS K−7171(ISO178)に準拠して求めた。
(7)シャルピー衝撃強度
射出成形法により試験片を成形し、成形後に室温23℃、相対湿度50%に調節された恒温室に24時間放置した後、JIS K7111に準拠して求めた。
2.プロピレン系重合体、透明化核剤及びその他の添加剤
(1)プロピレン系重合体
(i)プロピレン系重合体−1(PP−1):製造例1で得られた重合体を用いた。
<製造例1>
(i−1)予備重合触媒の製造
珪酸塩の化学処理:10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学工業(株)製、商品名:ベンクレイSL;平均粒径=50μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。
(i−2)触媒の調製
内容積3リットルの撹拌翼の付いたガラス製反応器に上記で得た乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で撹拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調整した。次に、調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。並行して、〔(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕(特開平10−226712号公報実施例に従って合成した。)2180mg(3mmol)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間撹拌した。
(i−3)予備重合
続いて、窒素で十分置換を行った内容積10リットルの撹拌式オートクレーブに、ノルマルヘプタン2.1リットルを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄み約3リットルをデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5.6リットル添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5.6リットル除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23ミリモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液を17.0ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンを2.16g含む予備重合触媒が得られた。
(i−4)プロピレン系重合体−1の製造
1台の縦型気相流動床よりなる反応器を用いる気相重合反応装置を用いた。反応器(内容積2.19m)に上記予備重合触媒を、重合体の生産量が20kg/hrとなるよう連続的に供給した。またトリイソブチルアルミニウムを6.0g/hrで連続的に供給した。反応器内の温度60℃、圧力3.0MPa、空塔速度0.35m/s、ベッド重量60kgを維持しながら、反応器内に水素及びエチレンを、それぞれ水素/プロピレン=2.4×10−4モル比、エチレン/プロピレン=0.18モル比となるように連続的に供給をし、プロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。
尚、反応熱の除去は、主に冷却した循環ガスの顕熱を利用した。
得られたプロピレン系重合体−1は、MFRが7.5g/10min、エチレン含有量が4.9重量%であった。
(ii)プロピレン系重合体−2(PP−2):製造例2で得られた重合体を用いた。
<製造例2>
(ii−1)予備重合触媒の製造
珪酸塩の化学処理:10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学工業(株)製、商品名:ベンクレイSL;平均粒径=50μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。
(ii−2)触媒の調製
内容積3リットルの撹拌翼の付いたガラス製反応器に上記で得た乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で撹拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調整した。次に、調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。並行して、〔(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕(特開平10−226712号公報実施例に従って合成した。)2180mg(3mmol)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間撹拌した。
(ii−3)予備重合
続いて、窒素で十分置換を行った内容積10リットルの撹拌式オートクレーブに、ノルマルヘプタン2.1リットルを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄み約3リットルをデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5.6リットル添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5.6リットル除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23ミリモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液を17.0ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンを2.16g含む予備重合触媒が得られた。
(ii−4)プロピレン系重合体−2の製造
1台の縦型気相流動床よりなる反応器を用いる気相重合反応装置を用いた。反応器(内容積2.19m)に上記予備重合触媒を、重合体の生産量が20kg/hrとなるよう連続的に供給した。またトリイソブチルアルミニウムを6.0g/hrで連続的に供給した。反応器内の温度60℃、圧力3.0MPa、空塔速度0.35m/s、ベッド重量60kgを維持しながら、反応器内に水素及びエチレンを、それぞれ水素/プロピレン=1.8×10−4モル比、エチレン/プロピレン=0.14モル比となるように連続的に供給をし、プロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。
尚、反応熱の除去は、主に冷却した循環ガスの顕熱を利用した。
得られたプロピレン系重合体−2は、MFRが6.2g/10min、エチレン含有量が4.4重量%であった。
(iii)プロピレン系重合体−3(PP−3):ウィンテックWSX02P(商品名:日本ポリプロ(株)製)。メタロセン触媒、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン含有量3.2重量%、MFR25g/10分
(iv)プロピレン系重合体−4(PP−4):ウィンテックWMG03P(商品名:日本ポリプロ(株)製)。メタロセン触媒、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン含有量0.9重量%、MFR30g/10分
(v)プロピレン系重合体−5(PP−5):ノバテックMX03Q(商品名:日本ポリプロ(株)製)。チーグラー・ナッタ触媒、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン含有量3.8重量%、MFR30g/10分
(vi)プロピレン系重合体−6(PP−6):ノバテックFX4EQ(商品名:日本ポリプロ(株)製)。チーグラー・ナッタ触媒、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン含有量3.1重量%、1−ブテン含有量2.7重量%、MFR5.7g/10分
(2)透明化核剤
(i)ミラッドNX8000J(商品名:ミリケン・アンド・カンパニー社製):透明化核剤(A)相当品で、下記式(2)で表される化合物
Figure 2018115261
(3)酸化防止剤
(i)フェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010(商品名:IR1010;BASF社製);テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン
(ii)リン系酸化防止剤:イルガフォス168(商品名:IF168;BASF社製);トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
(4)中和剤
(i)ステアリン酸カルシウム(商品名:CAST;日油(株)製)
(実施例1〜2、比較例1〜6)
プロピレン系重合体、透明化核剤及びその他の添加剤(酸化防止剤、中和剤)を表1に記載の含有割合(重量部)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、東芝機械(株)製二軸押出機TEM35を用いて溶融混練した。ダイ出口部温度200℃でダイから押し出してペレット化し、ペレット状のプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたペレットを用いて物性を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2018115261
実施例1〜2は、本発明範囲内のプロピレン系重合体−1〜2の100重量部に対して、透明化核剤(A)を0.4重量部含有したものである。融解終了温度が本発明範囲外にあるプロピレン系重合体を用いた公知の組成物である比較例4〜6に比べて、実施例1〜2は低温での成形性に優れることがわかる。また、実施例1〜2と同じプロピレン系重合体を用いているが、透明化核剤を含まないもの(比較例1〜2)に比べると、実施例1〜2は透明性が著しく優れることがわかる。さらに、実施例1〜2と比較して、融解終了温度が本発明範囲外にある比較例3は低温成形性には優れるが、融解終了温度が133℃以上であるために十分な透明性を発現しておらず、比較例3〜4は耐衝撃性も低いことがわかる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、従来公知の組成物である透明化核剤が配合されてなるプロピレン系樹脂組成物では達成できなかった優れた透明性、耐衝撃性及び低温成形加工性を有しているため、公知の成形方法によって、透明性及び耐衝撃性の優れる成形品を容易に提供することができるが、特に射出成形においてその効果を十分に発現させることができる。本発明のプロピレン系樹脂組成物を低温で射出成形することにより、エネルギー消費量を大幅に削減できるため、環境負荷を大きく下げることが可能となる。また、成形サイクルが大幅に短縮できるため、成形品の生産性を大幅に改良することも可能となる。さらに、本発明のプロピレン系樹脂組成物を用いて低温で成形された成形品は、臭気、透明性及び耐衝撃性がきわめて優れており、これらの特徴から、食品、飲料、医薬品、化粧品等の容器やキャップ類、食器、医療用器具、日用品等の用途にきわめて有用である。

Claims (5)

  1. 融解終了温度が100℃以上133℃未満であるプロピレン系重合体100重量部に対し、下記式(1)で表される透明化核剤(A)を0.01〜2.0重量部含有してなるプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2018115261
    (式中、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立に、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、カルボニル基又はフェニル基であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基である。)
  2. 透明化核剤(A)が下記式(2)で表される化合物である請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2018115261
  3. プロピレン系重合体がメタロセン系プロピレン系重合体である請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. JIS K7136に準拠して測定される肉厚2mmのHAZE値が7%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いて得られた成形品。
JP2017006803A 2017-01-18 2017-01-18 プロピレン系樹脂組成物及び成形品 Pending JP2018115261A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017006803A JP2018115261A (ja) 2017-01-18 2017-01-18 プロピレン系樹脂組成物及び成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017006803A JP2018115261A (ja) 2017-01-18 2017-01-18 プロピレン系樹脂組成物及び成形品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018115261A true JP2018115261A (ja) 2018-07-26

Family

ID=62983842

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017006803A Pending JP2018115261A (ja) 2017-01-18 2017-01-18 プロピレン系樹脂組成物及び成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018115261A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022509992A (ja) * 2018-12-21 2022-01-25 ミリケン・アンド・カンパニー 添加剤組成物およびそれを含む熱可塑性ポリマー組成物

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11302470A (ja) * 1998-04-21 1999-11-02 Japan Polychem Corp プロピレン系樹脂フィルム
JP2000229391A (ja) * 1999-02-12 2000-08-22 Japan Polychem Corp 二軸延伸複層フィルム
JP2004249568A (ja) * 2003-02-20 2004-09-09 Tohcello Co Ltd 熱融着性プロピレン系重合体フィルム、積層フィルム及びその用途
JP2007224280A (ja) * 2007-01-09 2007-09-06 Japan Polypropylene Corp プロピレン系樹脂未延伸フィルム
JP2010024428A (ja) * 2007-10-24 2010-02-04 Japan Polypropylene Corp ポリプロピレン系包装用フィルム
JP2010242046A (ja) * 2009-04-10 2010-10-28 Japan Polypropylene Corp プロピレン系樹脂組成物および成形品
JP2016010925A (ja) * 2014-06-30 2016-01-21 日本ポリプロ株式会社 低温ヒートシール性と高剛性に優れた多層フィルム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11302470A (ja) * 1998-04-21 1999-11-02 Japan Polychem Corp プロピレン系樹脂フィルム
JP2000229391A (ja) * 1999-02-12 2000-08-22 Japan Polychem Corp 二軸延伸複層フィルム
JP2004249568A (ja) * 2003-02-20 2004-09-09 Tohcello Co Ltd 熱融着性プロピレン系重合体フィルム、積層フィルム及びその用途
JP2007224280A (ja) * 2007-01-09 2007-09-06 Japan Polypropylene Corp プロピレン系樹脂未延伸フィルム
JP2010024428A (ja) * 2007-10-24 2010-02-04 Japan Polypropylene Corp ポリプロピレン系包装用フィルム
JP2010242046A (ja) * 2009-04-10 2010-10-28 Japan Polypropylene Corp プロピレン系樹脂組成物および成形品
JP2016010925A (ja) * 2014-06-30 2016-01-21 日本ポリプロ株式会社 低温ヒートシール性と高剛性に優れた多層フィルム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022509992A (ja) * 2018-12-21 2022-01-25 ミリケン・アンド・カンパニー 添加剤組成物およびそれを含む熱可塑性ポリマー組成物
JP7339340B2 (ja) 2018-12-21 2023-09-05 ミリケン・アンド・カンパニー 添加剤組成物およびそれを含む熱可塑性ポリマー組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5175682B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形品
JP5995927B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物およびブロー容器
JP5667015B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物
JP2009209342A (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形品
JP5487024B2 (ja) プロピレン系樹脂多層シートおよびそれを用いた加熱処理用包装体
US11084920B2 (en) Heterophasic polypropylene composition
JP5183561B2 (ja) プロピレン系成形品
JP5183556B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物および成形品
JP5509008B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形品
JP5097745B2 (ja) プロピレン系成形品
JP4928742B2 (ja) ポリプロピレン系二軸延伸ブロー成形体
JP7375165B2 (ja) 医療用途向け射出成形品
JP2013216814A (ja) プロピレン系樹脂組成物および成形品
JP2018115261A (ja) プロピレン系樹脂組成物及び成形品
JP6236897B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形品
JP6488916B2 (ja) 二軸延伸ブロー成形用プロピレン系樹脂組成物及びその成形体
JP5487023B2 (ja) プロピレン系樹脂多層シートおよびそれを用いた加熱処理用包装体
JP7014819B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物、成形体および容器
WO2008024154A1 (en) High clarity polymer compositions, methods and articles made therefrom
JP5858803B2 (ja) インフレーションフィルム、インフレーションフィルムの製造方法、ブロー成形体、ブロー成形体の製造方法、熱成形体及び熱成形体の製造方法
JP7474624B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物、およびそれを用いた射出成型品
US20240101805A1 (en) Clarified random ethylene polypropylene copolymer
JP2023150350A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物および成形体
JP6289191B2 (ja) 射出ブロー成形体
JP2010254882A (ja) プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた透明厚肉容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191011

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210316

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210706