JP2018113861A - 積層鉄心 - Google Patents

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Abstract

【課題】環状のヨーク部の内側に設けられた複数の磁極部の周囲に絶縁層を形成した積層鉄心を提供する。【解決手段】環状のヨーク部14と、ヨーク部14の内周側に連接した複数の磁極部15と、周方向に隣り合う磁極部15間に配設されるスロット16とを備える積層鉄心10において、スロット16における基端面、半径方向開口部18、及び、磁極部15の側面に絶縁層を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、スロットに絶縁層を形成した積層鉄心に関する。
固定子鉄心(積層鉄心)は、スロットに樹脂を充填し、隣り合うスロットで形成される磁極部の周囲に絶縁層を形成することで、磁極部に巻線したコイルを絶縁している。
例えば、特許文献1には、固定子鉄心全体を樹脂成形金型で覆い、磁極部のみならず固定子鉄心の全表面に、樹脂からなる絶縁層を形成する技術が開示されている。しかし、固定子鉄心全体に絶縁層を形成する場合、樹脂の使用量が多くなって不経済である。
そこで、特許文献2のように、固定子鉄心を成形金型内に配置し、この成形金型内に樹脂を射出して、磁極部の周囲のみに部分的に絶縁層(ボビン)を形成する技術が提案されている。
特開昭61−293136号公報 特開2006−211822号公報
一般的に、固定子鉄心を構成する複数の鉄心片は、プレス金型で打抜き形成されるが、打抜かれた鉄心片は、真円ではなく楕円になろうとする傾向(楕円化傾向)があることが知られている。
このため、絶縁層を部分的に形成する場合、絶縁層を形成するために使用する金型と固定子鉄心の寸法精度の違いにより、固定子鉄心の外周に樹脂漏れが発生して、製品品質の低下を招くおそれがあった。特にスロットは、積層方向と半径方向に開口しているため、この開口した部分からの樹脂漏れが顕著であった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、積層鉄心の寸法精度に影響されることなく、スロットに樹脂を充填する際の樹脂漏れを防止可能な積層鉄心の樹脂封止方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る積層鉄心の樹脂封止方法は、複数の鉄心片を積層した積層鉄心のスロットの周壁部に樹脂充填を行い、隣り合う前記スロットで形成される磁極部の周囲に絶縁層を形成する積層鉄心の樹脂封止方法において、
平面視して前記スロット内のみに中子部材を配置し、前記スロットに樹脂を案内する樹脂流路が形成されているプレートを前記積層鉄心の積層方向端面に当接させ、前記スロットの周壁部と前記中子部材との間に樹脂を注入する。
なお、前記プレートに形成された開口部を介して前記スロット内に前記中子部材を配置し、前記プレートの開口部の内面と前記中子部材の側面との隙間を10μm以下にするのがよい。
前記目的に沿う第2の発明に係る積層鉄心の樹脂封止方法は、複数の鉄心片を積層した積層鉄心のスロットの周壁部に樹脂充填を行い、隣り合う前記スロットで形成される磁極部の周囲に絶縁層を形成する積層鉄心の樹脂封止方法において、
平面視して前記スロット内のみに中子部材を配置し、前記スロットの周壁部と前記中子部材との間に樹脂を注入し、しかも、
前記積層鉄心の積層方向端面にプレートを当接させ、前記プレートに形成された開口部を介して前記スロット内に前記中子部材を配置し、
前記プレートの開口部は、前記絶縁層の形成範囲に対応して、平面視して前記スロットよりも大きく形成され、更に、前記プレートの開口部の一部には切欠き部が設けられ、該切欠き部を基点として前記プレートの開口部へ樹脂を注入する。
第1、第2の発明に係る積層鉄心の樹脂封止方法において、前記積層鉄心の半径方向一端面に該積層鉄心の半径方向に拡縮可能となった閉塞部材を当接させて、前記スロットに樹脂を注入することができる。
また、前記中子部材と前記閉塞部材とが離間して配置されるのが好ましい。
そして、前記積層鉄心の積層方向上端面側に上型を当接させ、前記上型に形成された位置決め凹部に前記中子部材の先部を嵌入することができる。
第1、第2の発明に係る積層鉄心の樹脂封止方法において、前記積層鉄心の積層方向両端部の鉄心片は、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部が閉じ、その他の鉄心片は、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部が開口部となって、前記鉄心片を積層して、前記積層鉄心を形成することができる。
また、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部の開口部が、除去可能な連結部で閉じられた、前記鉄心片を積層して、前記積層鉄心を形成することもできる。
第1、第2の発明に係る積層鉄心の樹脂封止方法において、前記プレートのスロット先端側に位置する端面は、平面視して前記鉄心片の前記スロットの先端側の端面より基側に位置することが好ましい。
第1、第2の発明に係る積層鉄心の樹脂封止方法において、前記閉塞部材の前記積層鉄心との当接部は、弾性部材で構成されているのがよい。
第1、第2の発明に係る積層鉄心の樹脂封止方法において、前記スロットに樹脂を注入する前に、前記積層鉄心の半径方向他端面側に、該積層鉄心の位置決め部材を配置し、該位置決め部材と前記閉塞部材とで、前記積層鉄心を半径方向両側から挟み込むことが好ましい。
ここで、前記位置決め部材を、複数の位置決めピンで構成し、該位置決めピンを前記積層鉄心の周方向に間隔を有して配置することができる。
また、前記位置決め部材を、前記積層鉄心の半径方向他端面に当接可能な当接面を備えた複数の位置決めブロックで構成し、該位置決めブロックを前記積層鉄心の周方向に間隔を有して配置することもできる。
なお、前記各位置決めブロックを前記積層鉄心側へ押圧するのがよい。
本発明に係る積層鉄心の樹脂封止方法において、積層鉄心の積層方向両端面にプレートをそれぞれ当接させ、積層鉄心の半径方向一端面に閉塞部材を当接させて、スロットの開口した部分を閉塞する場合、スロットに注入する樹脂の漏れ出しを防止できる。
特に、閉塞部材が積層鉄心の半径方向に拡縮可能である場合、積層鉄心の寸法精度に影響されることなく、スロットに注入する樹脂の漏れ出しを防止できる。
ここで、中子部材をスロット内に配置するので、スロットに注入する樹脂の使用量を削減でき、また、巻線の領域を確保するために、機械加工によって樹脂を除去する必要がなくなる。更に、中子部材により、スロットの開口した部分への樹脂の流れ出しを抑制できるため、樹脂の漏れ出しを防止できる。
なお、プレートの開口部の内面と中子部材の側面との隙間を10μm以下にする場合、この隙間に樹脂が入り込むことがなくなるため、積層鉄心のスロットに樹脂を確実に注入できる。
また、プレートに樹脂流路を形成する場合、例えば、中子部材と磁極部の間に確実に樹脂を注入できる。
なお、プレートの開口部が、絶縁層の形成範囲に対応して、平面視してスロットよりも大きく形成された場合、プレートの開口部への樹脂の注入を、プレートの開口部の一部に設けた切欠き部を基点にして行う。
樹脂の注入を行う金型に残存する樹脂と、プレートの開口部に残存する(即ち、磁極部に付着した)樹脂とは、一体となって硬化するため、樹脂の硬化後に金型を積層鉄心から離型する際、プレートの開口部で硬化した樹脂(即ち、絶縁層)に割れが発生し易い。このため、プレートの開口部に設けた切欠き部から、プレートの開口部へ樹脂を注入することで、切欠き部で硬化した樹脂に積極的に割れを発生させ、絶縁層の形成範囲で硬化した樹脂の割れを抑制、更には防止することで、良好な品質の(絶縁性の良好な)積層鉄心を製造できる。
そして、積層鉄心の積層方向両端部の鉄心片について、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部が閉じている場合、この閉じた部分とプレートを、平面視して重ねることができ、また、積層鉄心の鉄心片について、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部の開口部が、除去可能な連結部で閉じられている場合、この連結部とプレートを、平面視して重ねることができる。これにより、積層鉄心の寸法精度に影響されることなく、スロットに注入する樹脂の漏れ出しを確実に防止できる(特に、スロットの積層方向の開口した部分からの樹脂の漏れ出しを防止できる)。
更に、上記した連結部を用いる場合、スロットに注入した樹脂を硬化させた後、鉄心片から連結部を除去することで、全てのスロット部の半径方向端部を開口できるため、モータ特性の低下を防止できる。
そして、プレートのスロット先端側に位置する端面が、平面視して鉄心片のスロットの先端側の端面より基側に位置する場合、閉塞部材を積層鉄心の半径方向一端面に当接させる際に、閉塞部材がプレートの端面に接触することを防止できる。このため、積層鉄心の半径方向一端面に閉塞部材を確実に当接させることができるので、スロットの半径方向の開口した部分からの樹脂の漏れ出しを確実に防止できる。
更に、閉塞部材の積層鉄心との当接部を弾性部材で構成する場合、例えば、積層鉄心の寸法にバラツキが生じても、弾性部材の変形によってバラツキを吸収できるため、樹脂の漏れ出しを確実に防止できる。
また、スロットに樹脂を注入する前に、積層鉄心の半径方向他端面側に位置決め部材を配置する場合、この位置決め部材と閉塞部材とで、積層鉄心を半径方向両側から挟み込むことができる。
スロットに樹脂を注入する際、積層鉄心は、閉塞部材によって半径方向の内側から外側(又は、外側から内側)に向けて応力の影響を受け、変形し易くなる。このため、積層鉄心の半径方向他端面側に位置決め部材を配置することで、積層鉄心が閉塞部材によって応力の影響を受けても、対抗力を働かせることができる。これにより、積層鉄心の変形を抑制、更には防止できるので、例えば、磁極部(隣り合う磁極片部の間)の先側からの樹脂の漏れ出しを抑制、更には防止できる。
(A)は本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の樹脂封止方法の説明図、(B)は同積層鉄心の樹脂封止方法を示す部分拡大平面図、(C)は変形例1に係る積層方向閉塞工程を示す部分拡大平面図である。 同積層鉄心の樹脂封止方法の積層方向閉塞工程を示す部分斜視図である。 同積層鉄心の樹脂封止方法の半径方向閉塞工程を示す部分平面図である。 (A)は図3の部分拡大平面図、(B)は図3のa−a矢視断面図である。 変形例2に係る積層鉄心の説明図である。 同積層鉄心の平面図である。 (A)は変形例3に係る積層方向閉塞工程を示す部分拡大平面図、(B)は(A)のb−b矢視断面図である。 (A)は本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の樹脂封止方法の半径方向閉塞工程を示す説明図、(B)、(C)はそれぞれ変形例4、5に係る半径方向閉塞工程を示す説明図である。 (A)〜(C)はそれぞれ変形例6〜8に係る半径方向閉塞工程を示す説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、図1〜図3を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の樹脂封止方法を用いて製造した積層鉄心10について説明する。
積層鉄心10は、固定子鉄心(ステータ)である。
この積層鉄心10は、環状の複数の鉄心片11、12を積層して形成されている。
図1(A)、(B)に示すように、鉄心片11は、積層鉄心10の積層方向両端部に位置するものであり、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部(内側端部)が閉じている。また、この鉄心片11以外の(その他の)鉄心片12は、積層鉄心10の積層方向両端部を除く領域(積層方向中央部)に位置するものであり、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部(内側端部)が開口部となっている(開口している)。
上記した鉄心片11、12は、環状の一体構造のものであるが、複数の円弧状の鉄心片部を環状に連結できる分割構造のものであってもよい。なお、鉄心片12については、複数の円弧状の鉄心片部の周方向の一部が連結部で繋がり、この連結部を折曲げて環状にできる構造のものでもよい。
また、積層鉄心は、それぞれ環状の複数の鉄心片を積層して形成した複数のブロック鉄心を、順次転積することで形成したものでもよい(図2〜図4においては、この形態の積層鉄心を図示している)。なお、複数のブロック鉄心は、全て同一形状であるが、例えば、一部のブロック鉄心が異なる形状でもよい。
鉄心片11、12は、厚みが、例えば、0.10〜0.5mm程度の電磁鋼板やアモルファス等からなる条材(薄板条材)から打抜き形成されるものである。なお、鉄心片11、12は、1枚の条材から打抜いたものや、条材を複数枚(例えば、2枚、更には3枚以上)重ねた状態で打抜いたものでもよい。
ここで、鉄心片11は、スロット部の半径方向端部が打抜かれることなく、隣り合う磁極片部の半径方向端部(先端部)を連結する連結部13が形成されたものである。この連結部13の半径方向の幅は、積層鉄心10の種類や大きさにもよるが、例えば、0.5〜5mm程度である。
また、鉄心片12は、スロット部の半径方向端部が打抜かれ、隣り合う磁極片部の半径方向端部(先端部)に隙間が形成されたものである。
積層鉄心10は、積層方向に隣り合う鉄心片11、12同士、鉄心片12、12同士が、かしめで連結されているが、かしめ、樹脂(熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)や熱可塑性樹脂)、接着剤、及び、溶接のいずれか1又は2以上を用いて、連結することもできる。
なお、上記した鉄心片11の枚数は、積層方向の片側で、例えば、1枚が好ましいが、複数枚(例えば、2枚又は3枚程度)でもよい。
積層鉄心10は、環状のヨーク部14と、このヨーク部14の内周側に一体的に連接した複数の磁極部15とを有している。この周方向に隣り合う磁極部15は、周方向に隣り合うスロット16によって形成されている。
ヨーク部14と磁極部15は、ヨーク片部と磁極片部を有する鉄心片11、12を複数積層することで、それぞれ形成されている。この磁極片部は、条材に対してスロット部を打抜くことで形成され、この磁極片部を積層することでスロット16が形成される。
従って、スロット16は、積層鉄心10の積層方向両端部の半径方向端部が連結部13で閉じられ、積層鉄心10の積層方向両端部を除く領域の半径方向端部が、積層方向に渡って開口している。これにより、スロット16は、積層方向両側に開口した積層方向開口部17と、半径方向に開口した半径方向開口部18とを有する。
また、磁極部15の周囲(即ち、上面、下面、両側面、及び、基端面(スロット16の基端面))には絶縁層が形成されている。この絶縁層は、スロット16の周壁部に、上記した樹脂(積層方向に隣り合う鉄心片同士を連結するために用いられる樹脂)と同成分又は異なる成分の樹脂19を充填し硬化させることで形成される。
なお、図2、図3に示す符号20は、積層鉄心10をボルト締めする際に使用するボルト孔であって、ヨーク部14の半径方向外側に突出して、周方向に間隔を有して設けられたボルト耳20aに形成されている。このボルト孔20の個数は3個であるが、積層鉄心10の種類等によって種々変更でき、例えば、0個でもよく、また、2個以上の複数個でもよい。
上記したように、積層鉄心10は、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部が閉じた鉄心片11と、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部が開口部となった鉄心片12とを積層して形成したものであるが、積層鉄心は、鉄心片12のみを複数積層して形成したものでもよい。
この場合、積層鉄心の半径方向端部が、積層方向に渡って開口する。
また、図5、図6を参照しながら、変形例2に係る積層鉄心10aについて説明するが、この積層鉄心10aは、上記した積層鉄心10と略同様の構成であるため、符号に「a」を付し、詳しい説明を省略する。
積層鉄心10aは、固定子鉄心(ステータ)であり、複数の環状の鉄心片11aを積層して形成されたものである。
各鉄心片11aは、環状に配置した複数の磁極片部の先端(半径方向内側)に形成された環状(リング状)のスクラップ部(連結部の一例)13aにより、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部の開口部が閉じられている。
このスクラップ部13aは、複数の鉄心片11aを積層することで、積層スクラップ体21となる。なお、各スクラップ部にかしめを形成し、複数のスクラップ部を連結して積層スクラップ体を形成することもでき、また、各スクラップ部を周方向に複数に分割して、積層スクラップ体を周方向に分割することもできる。
これにより、スロット16aは、半径方向に開口する半径方向開口部18aが、積層スクラップ体21により閉じられる。
積層スクラップ体21は、磁極部15aの周囲に絶縁層を形成した後、スロット16aの半径方向端部(半径方向開口部18a)を開口させるため、磁極部の先端から除去される(除去可能となっている)。
このため、鉄心片11aを前記した条材から打抜く際に、スクラップ部13aをプッシュバックにより形成し、各磁極片部の先端とは分離された状態にしておくのがよい。つまり、スクラップ部13aを鉄心片11aの各磁極片部の先端から一旦分離した後、再度嵌め込む。
続いて、本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の樹脂封止方法について、図1〜図4を参照しながら説明する。
積層鉄心の樹脂封止方法は、金型(図示しない)を用いて条材から打抜いた複数の鉄心片11、12を積層して積層鉄心10を形成した後、複数のスロット16の周壁部に樹脂19を充填し硬化させて、磁極部15の周囲(ここでは、磁極部15の上面、下面、両側面、及び、基端面(スロット16の基端面))に絶縁層を形成する方法であり、積層鉄心製造工程、積層方向閉塞工程、半径方向閉塞工程、及び、樹脂充填工程、を有している。以下、詳しく説明する。
(積層鉄心製造工程)
金型を用いて条材から打抜いた複数の鉄心片11、12を順次積層して、積層鉄心10を製造する。
この積層鉄心10は、環状のヨーク部14と、このヨーク部14の内周側に一体的に連接した複数の磁極部15とを有し、この磁極部15は、周方向に隣り合うスロット16で形成される。この時点では、磁極部15の周囲に、前記した絶縁層は形成されていない。
なお、条材から鉄心片11、12を打抜くに際しては、積層鉄心10の積層方向両端部に位置する鉄心片11の場合、隣り合う磁極片部の先端部を連結させておき(連結部13を形成してスロット部の先端部を閉じ)、これ以外の鉄心片12の場合、隣り合う磁極片部の先端部に隙間を形成する(スロット部の先端部を開口させる)。
なお、連結部13の形成は、プッシュバックにより形成してもよい。つまり、連結部13の両端が鉄心片11から一旦分離された後、鉄心片11に嵌め込まれた形態としてもよい。
これにより、スロット16は、図1(A)に示すように、積層鉄心10の積層方向両端部の先端部が連結部13で閉じられ、前記した積層方向開口部17と半径方向開口部18を有する形状となる。
(積層方向閉塞工程)
図1(A)、図2に示すように、積層鉄心10の積層方向両端面である上面22と下面23にそれぞれ、上プレート24と下プレート25を当接させて、スロット16の積層方向開口部17(ここでは、後述する中子部材28との接触領域を除く部分)を閉じる。なお、図2は、説明の便宜上、積層鉄心10の上面22に上プレート24の一部が部分的に当接した状態を示しているが、実際は、上プレート24は環状となって、積層鉄心10の上面22を覆った状態となっている(図3も同様)。また、下プレート25も上プレート24と同様、環状となっているが、説明の便宜上、図2においては図示していない(図3も同様)。
上下プレート24、25は、平面視して積層方向開口部17と重複する範囲に設置されている。具体的には、図1(A)、(B)に示すように、環状となった上プレート24は、その内周面(スロット先端側に位置する端面)が、平面視して磁極部15(スロット16)の先端より磁極部15の基側に位置し、かつ、連結部13上に位置するように、設置されている(下プレート25も同様)。また、上プレート24は、少なくとも積層方向開口部17を覆えばよく、ここではヨーク部14も覆っている。
なお、上プレート24(下プレート25も同様)の内周面は、図1(B)においては真円形状となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、図1(C)に示す上プレート26のように、波打った形状とすることも、また、多角形状とすることもできる。
このように、上下プレート24、25で積層方向に拘束された積層鉄心10を、ベースプレート27上に配置する。
ベースプレート27には、図1(A)、図2、図3、図4(B)に示すように、各スロット16内に配置する中子部材28が、周方向に渡って複数立設配置されている。図2、図3においては、説明の便宜上、一部のスロット16についてのみ、中子部材28を配置した状態を図示しているが、実際は、全てのスロット16内に中子部材28が配置される。
また、ベースプレート27には、図2、図3に示すように、複数のボルト孔20にそれぞれ挿通可能な位置決めロッド28aが、周方向に渡って間隔を有して複数(ここでは3本)立設配置されている。
なお、中子部材と位置決めロッドは、ベースプレートに設けることなく、上下プレートのいずれか一方に設けることもできる。
また、中子部材は、長手方向(積層方向)に幅狭又は幅広となったテーパ形状(傾斜角度:例えば、1度以下、更には0.5度以下)としてもよい。これにより、スロット内への中子部材の挿入や、後述する樹脂充填工程後に行う中子部材の取外しが容易となる。このとき、磁極部の両側面に形成される絶縁層(樹脂)の厚みは、中子部材に倣って積層鉄心の積層方向に徐々に薄く又は厚くなる。このため、磁極部にコイルを巻くに際し、絶縁層の厚みが薄い側(スロットの開口幅が広い方)からスロット内にコイルを挿入することで、コイルが挿入し易くなるという利点も得られる。
この中子部材28は、その上端が、上下プレート24、25と積層鉄心10の合計高さより高い位置にあり(位置決めロッド28aも同様)、その周囲側面が、スロット16の内周面(スロット周壁)とは僅少の隙間を有するものである。なお、この隙間の幅は、形成する絶縁層の厚みに応じて種々変更できる。また、中子部材28の配置位置を、スロット16の半径方向開口部18側へ寄せることで、後述する樹脂充填工程における樹脂漏れの更なる抑制が可能になる。
このため、上下プレート24、25で拘束した積層鉄心10を、ベースプレート27上に載置することで、図4(B)に示すように、中子部材28は、上プレート24に形成された開口部29と、下プレート25に形成された開口部30を介して、積層鉄心10を積層方向に貫通し、その先部(上部)は、上プレート24の上方に突出する。
次に、ベースプレート27上に配置した積層鉄心10の上プレート24の上面に、モールド型31(上型)を載置する。
モールド型31は、図1(A)、図4(B)に示すように、樹脂19を収容する樹脂溜めポット32と、この樹脂溜めポット32内の樹脂19をスロット16に注入するプランジャー33とを有するものである。
また、モールド型31には、図4(B)に示すように、中子部材28の先部が嵌入可能な位置決め凹部34が、中子部材28(スロット16)の数に対応して、複数形成されている(位置決めロッド28aについても同様)。
これにより、スロット16内での中子部材28の位置決めができるため、樹脂溜めポット32内の樹脂19を、上プレート24(一方のプレート)に形成された樹脂流路35を介してスロット16に注入する際、注入時の圧力で中子部材28の位置がずれることを防止できる。なお、下プレートにも樹脂流路を形成することが好ましい。
上下プレート24、25に形成した開口部29、30の大きさは、平面視してスロット16の大きさより小さく、中子部材28が挿通可能で、かつ、スロット16への樹脂19の注入時に、中子部材28の側面と開口部29、30の内面との隙間から、樹脂19が漏れ出すことを抑制、更には防止可能な範囲で設定できる。この隙間の大きさは、樹脂19のフィラー径にもよるが、例えば、10μm以下(更には5μm以下)にすることが好ましい。
また、上プレート24には凹部(彫り込み)36が形成され、この上プレート24上にモールド型31を載置することで、樹脂19をスロット16に案内するための樹脂流路35が形成される。なお、図2、図3、図4(A)においては、説明の便宜上、樹脂流路35を大きく図示しているが、樹脂流路35は各スロット16にそれぞれ対応するため、実際は小さい。
図4(A)に示すように、樹脂流路35の樹脂流入口を、平面視して中子部材28を中心としてその周囲に複数(ここでは5箇所)設けることで、中子部材28の側面と開口部29、30の内面との隙間から、樹脂19を満遍なく(均等に)注入できる。なお、上記した上下プレート24、25は、スロット16の積層方向開口部17(ここでは、中子部材28を除く領域)を閉塞可能な構成であれば、特に限定されるものではなく、例えば、鉄心片11、12を打抜く条材から打抜かれたダミー板を用いることもできる。
また、上記した上プレート24の代わりに、図7(A)の中心線(一点鎖線)の右側に示す上プレート24aを用いて、スロット16の積層方向開口部17を閉じることもできる(下プレートも同様)。なお、図7(A)の中心線の左側には、比較例である上プレート24bを示している(図7(B)も同様)。
この上プレート24a、24bには開口部29a、29bがそれぞれ形成され、この開口部29a、29bの大きさを、図7(B)に示す磁極部15の上面22に形成する絶縁層36a、36bの形成範囲に対応して、図7(A)に示すように、平面視してスロット16(磁極部15の輪郭)よりも大きくしている(下プレートも同様)。
この場合、樹脂の注入を行うモールド型(モールド型31と略同様の構成)に形成された樹脂注入口31a、31bは、その一部が、平面視して開口部29a、29bにそれぞれ重複するように配置される(図7(A)の斜線部)。
このとき、モールド型の樹脂注入口31a、31bに残存する樹脂と、上プレート24a、24bの開口部29a、29bに残存する樹脂とは、一体となって硬化するため、図7(A)、(B)の左側に示す比較例では、以下の問題がある。
樹脂の硬化後にモールド型を積層鉄心から離型する際、形成した絶縁層36b(特に、尖った角部)に、欠けや割れが発生し易くなる(図7(B)の左側の部分拡大図の斜線部)。このため、絶縁層36bの厚みが減少し、磁極部15と、これに巻いたコイルとの間で、必要な絶縁距離を確保できなくなり、絶縁不良を招くおそれがある。
そこで、上記した問題の対策として、図7(A)、(B)の右側に示すように、上プレート24aの開口部29aの内周側の一部に凹状の切欠き部30aを設け、この切欠き部30aを基点として(樹脂注入口31aと切欠き部30aの重複部分から)、上プレート24aの開口部29aへ樹脂を注入する。
なお、ここでは、切欠き部30aの形成位置を、開口部29aの半径方向中央部としているが、開口部に樹脂を注入できれば特に限定されるものではなく、例えば、半径方向端部でもよい。また、切欠き部30aの形状を、凹状にしているが、これに限定されるものではなく、例えば、その内側の輪郭形状を、円弧状、楕円弧状、U字状、V字状等にすることもできる。
これにより、磁極部15の上面22に形成される絶縁層36aの周方向の長さを、比較例である絶縁層36bの長さより長くできる。従って、絶縁性への影響が少ない部分、即ち、切欠き部30aで硬化させた樹脂に積極的に割れを発生させ、絶縁が必要となる領域(絶縁層36bの形成範囲に相当)で硬化させた樹脂の割れ(図7(B)の左側の部分拡大図の斜線部)を抑制、更には防止できるため、絶縁性の良好な積層鉄心を製造できる。
なお、図7(B)の右側に示すように、絶縁層36aの角部をR形状にしたり、また、面取りすることで、樹脂の割れの発生を抑制することもできる。この場合、形成する絶縁層の形状に対応して、モールド型等に加工を施すのがよい。
(半径方向閉塞工程)
図1(A)、(B)、図3に示すように、磁極部15の先端面で形成される積層鉄心10の内周面(半径方向一端面の一例)37に閉塞部材38を当接させて、スロット16の半径方向開口部18を閉じる。
閉塞部材38は、図1(A)、図3に示すように、逆円錐台状の昇降手段39と、この昇降手段39の周囲に複数設けられた拡縮部40とを有している。この昇降手段39は、軸心を中心として周方向に複数(ここでは6個)に分割されたガイド部41を有し、各ガイド部41の外側(先側)に拡縮部40が設けられている。
拡縮部40の基端には、ガイド部41の傾斜した外周面42に沿って摺動可能な斜面43が形成され、拡縮部40の先端には、積層鉄心10の内周面37に当接してスロット16の半径方向開口部18を閉じる垂直な当接面44が形成されている。また、各拡縮部40の基側にはスライド凸部(図示しない)が上下方向に設けられ、このスライド凸部がガイド部41の上下方向に形成されたスライド溝部に摺動可能に取付けられている(スライド凸部とスライド溝部の取付け箇所は逆でもよい)。
なお、各拡縮部40の下面は、自由状態(閉塞部材38が積層鉄心10の上方に位置する状態)では、昇降手段39(ガイド部41)の下面より下方に位置した状態となっている。
これにより、昇降手段39を下降させることで、各拡縮部40の下面がベースプレート27の上面に接触し、各拡縮部40はガイド部41の外周面42に沿って上方へ移動すると共に、平面視して半径方向に拡がる方向に移動するため、各拡縮部40の当接面44を積層鉄心10の内周面37に当接させることができる。また、昇降手段39を上昇させることで、各拡縮部40はガイド部41の外周面42に沿って下方へ移動すると共に、平面視して半径方向に縮まる方向に移動するため、各拡縮部40の当接面44を積層鉄心10の内周面37から離すことができる。
このように、閉塞部材38は、積層鉄心10の半径方向に拡縮可能になっている。
なお、閉塞部材38の積層鉄心10との当接部(当接面44)は、弾性部材(例えば、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂等)で構成されていることが好ましい。
上記したように、閉塞部材38の各拡縮部40を、平面視して半径方向に拡がる方向に移動させて、積層鉄心10の内周面37に当接させた場合、積層鉄心10は、閉塞部材38によって、半径方向の内側から外側に向けて応力の影響を受けることになる。
このとき、積層鉄心10は、図2、図3、図8(A)に示すように、ボルト孔20に位置決めロッド28aが挿通され、ベースプレート27上に位置決めされているため、位置決めロッド28aが配置された領域(位相)では、上記した閉塞部材38による応力に対する対抗力が働き、積層鉄心10の変形は抑制、更には防止される。
しかしながら、位置決めロッド28aによる対抗力の影響が小さい領域(位相)では、閉塞部材38による応力によって積層鉄心10が変形し、磁極部15(隣り合う磁極片部の間)の先側から、樹脂が漏れ出し易くなる。
そこで、スロット16に樹脂19を注入する前に、図8(B)、(C)、図9(A)〜(C)の形態にすることが好ましい。
図8(B)は、閉塞部材38とは反対側に位置する積層鉄心10の外周面(半径方向他端面の一例)45側に、積層鉄心10の位置決め部材46を配置し、位置決め部材46と閉塞部材38の各拡縮部40とで、積層鉄心10を半径方向両側から挟み込んでいる。
具体的には、位置決め部材46を、円柱状の複数(ここでは、3本)の位置決めピン47で構成し、この位置決めピン47を積層鉄心10の周方向に等間隔で、ベースプレート(ベースプレート27と略同様の構成)に立設配置している。
この位置決めピン47は、積層鉄心10の周方向に隣り合う位置決めロッド28aの間に位置し、しかも、3本の位置決めピン47と3本の位置決めロッド28aを、積層鉄心10の軸心を中心として等角度に配置している。なお、ここでは、閉塞部材38の各拡縮部40に対抗する位置に、位置決めピン47と位置決めロッド28aを配置している。
これにより、位置決めロッド28aによる対抗力の影響が小さい領域を、位置決めピン47で補完できるため、積層鉄心10の変形を抑制、更には防止できる。
従って、磁極部15(隣り合う磁極片部の間)の先側(内径側)からの樹脂の漏れ出しを抑制、更には防止できる。
図8(C)は、上記した図8(B)において、積層鉄心10の外周面45に、平面視してV字状の切欠き溝48を形成し、この切欠き溝48内に位置決めピン47の一部を嵌入させた状態で当接させている。
このように、積層鉄心10の形状を変更することで、位置決めピン47による対抗力を更に高めることができる。また、積層鉄心10の位置決め精度が高められるというメリットも生じる。
図9(A)は、上記した図8(B)に示した積層鉄心10の周方向に隣り合う位置決めロッド28aと位置決めピン47の間に、更に位置決めピン47を配置している。即ち、積層鉄心10の周方向に隣り合う位置決めロッド28aの間に、3本(複数)の位置決めピン47を配置し、しかも、9本の位置決めピン47と3本の位置決めロッド28aを、積層鉄心10の軸心を中心として等角度に配置している。
なお、新たに配置された位置決めピン47(図8(B)で配置されていない位置決めピン47)は、隣り合う拡縮部40の間と対抗する位置に配置されている。
図9(B)は、積層鉄心10の外周面45側に配置する位置決め部材49を、積層鉄心10の外周面45に当接可能な当接面50を備えた、平面視して円弧状の複数(ここでは、3個)の位置決めブロック51で構成したものである。この位置決めブロック51は、積層鉄心10の周方向に等間隔で、積層鉄心10の周方向に隣り合うボルト耳20aの間に位置するように、ベースプレート(ベースプレート27と略同様の構成)に立設配置しているが、ベースプレートとは独立して配置してもよい。
なお、各位置決めブロック51は、積層鉄心10側(積層鉄心10の軸心側)へ押圧(加圧)することもできる。
また、上記した積層鉄心10は、ボルト耳20aが形成されたものであるが、図9(C)に示すボルト耳20aのない積層鉄心10bでも、積層鉄心10bの外周面(半径方向他端面の一例)52側に、積層鉄心10bの位置決め部材53を配置して、位置決め部材53と閉塞部材38とで、積層鉄心10bを半径方向両側から挟み込むことができる。
この位置決め部材53を、複数(ここでは、6本)の位置決めピン47で構成し、この位置決めピン47を積層鉄心10bの周方向に等間隔で、ベースプレートに立設配置している。なお、6本の位置決めピン47は、積層鉄心10bの軸心を中心として等角度に配置されている。
(樹脂充填工程)
図1(A)、図4(A)、(B)に示すように、上下プレート24、25、中子部材28、及び、閉塞部材38によって閉空間としたスロット16に樹脂19を注入する。
樹脂19は、モールド型31のプランジャー33を押し下げることで、樹脂溜めポット32内から樹脂流路35を介して、中子部材28とスロット周壁との間に注入される。次に、スロット16に注入された樹脂19を硬化させることで、磁極部15の上面、下面、両側面、及び、基端面に、絶縁層を形成できる。
そして、各拡縮部40の当接面44を積層鉄心10の内周面37から離した後、積層鉄心10から上下プレート24、25、及び、中子部材28を取外すことで、各磁極部15の周囲に絶縁層が形成された積層鉄心10が得られる。
上記した閉空間としたスロット16への樹脂19の注入は、モールド型31により積層鉄心10に対し、積層方向に一定荷重を加えた状態で行う。なお、一定荷重とは、例えば、1つの積層鉄心10あたり5〜100kN程度である。
ここで、荷重が5kN未満の場合、積層鉄心は積厚偏差の影響を受けるため、荷重不足によって積層鉄心の積層方向端部で隙間が生じ、樹脂の漏れ出しや未充填が発生するおそれがある。一方、荷重が100kN超の場合、加えられた荷重の解放時(モールド型の除去時)に、各鉄心片が元の状態に戻ろうとするため(スプリングバックにより)、硬化させた樹脂に割れが発生するおそれがある。
なお、磁極部15の上面と下面を覆う樹脂19は、積層鉄心10と当接する上下プレート24、25の面に、図示しないざぐり(彫り込み)を形成することで、磁極部15の両側面を覆う樹脂19と一体形成され、その結果、磁極部15の周囲に絶縁層が形成される。
ここで、さぐりの深さ形態は、任意で設定してよい。
樹脂密封性を向上させたい場合は、ざぐりの深さを深く形成することが好ましく、樹脂量を削減したい場合は、ざぐりの深さを浅く形成することが好ましい。
また、磁極部15の上面と下面に絶縁層を形成しない場合であっても、磁極部15の両側面に連通するよう、上面と下面の一部の位置にざぐりを設定することが好ましい。この場合、樹脂量の削減に加え、鉄心片11が積層鉄心10から剥がれることを防止することができる。
上記したように、上下プレート24、25と閉塞部材38を用いて樹脂封止を行うに際し、積層鉄心10(鉄心片11)を用いることが、スロット16に注入する樹脂19の漏れ出しを防止する観点から望ましい。なお、樹脂封止後に、連結部13を機械加工で除去してもよく、これにより、電気的特性を向上させることができる。
しかし、前記した鉄心片12のみを複数積層した積層鉄心でも、上下プレート24、25と閉塞部材38を用いた樹脂封止を行うことによって、積層鉄心10よりも漏れ出しの防止効果は劣るものの、従来と比較して漏れ出しの防止効果を向上できる。
なお、前記した積層鉄心10aについては、図5、図6に示すように、半径方向開口部18aが積層スクラップ体21により閉じられている。このため、上記した樹脂充填工程でスロット16aに樹脂19を注入する場合、注入する樹脂19の半径方向開口部18aからの流出は、積層スクラップ体21によって塞き止められる。
従って、上記した半径方向閉塞工程では、閉塞部材38の拡縮部40の当接面44を、積層スクラップ体21の内周面37aに当接させることで、閉塞部材38を、樹脂19の注入圧で積層スクラップ体21が変形しない程度に、予備的に使用することができる。
なお、積層鉄心10aの各磁極部15aの周囲に絶縁層を形成し、この積層鉄心10aから、閉塞部材38、上下プレート24、25、及び、中子部材(図示しない)を取外した後は、積層スクラップ体21を磁極部15aに対して積層方向にずらすことで、積層スクラップ体21を除去する。これにより、スロット16aの半径方向開口部18aが開口する。
以上のように、本発明の積層鉄心の樹脂封止方法を適用することで、積層鉄心の寸法精度に影響されることなく、スロットに樹脂を充填する際の樹脂漏れを防止できる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の積層鉄心の樹脂封止方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態においては、積層鉄心の積層方向両端面にプレートを当接させる積層方向閉塞工程を行った後、積層鉄心の半径方向一端面に閉塞部材を当接させる半径方向閉塞工程を行った場合について説明したが、半径方向閉塞工程を行った後に積層方向閉塞工程を行ってもよく、また、積層方向閉塞工程と半径方向閉塞工程を同時に行ってもよい。なお、半径方向閉塞工程で使用する閉塞部材は、前記実施の形態においては、複数の拡縮部が同期して半径方向に拡縮する構成となっていたが、各拡縮部が個別に半径方向に拡縮可能な構成でもよい。
また、前記実施の形態においては、樹脂封止の対象である積層鉄心が固定子鉄心の場合について説明したが、スロットが設けられた回転子鉄心でもよい。なお、積層鉄心としては、スロットが、半径方向の内側端部に開口したものに限定されるものではなく、半径方向の外側端部に開口したものでもよい。
そして、前記実施の形態においては、スロットのみに樹脂を注入した場合について説明したが、積層鉄心の構成に応じて、例えば、磁石挿入孔が形成されている場合や、複数の鉄心片を連結するための連結用孔が形成されている場合には、スロットへ樹脂を注入すると共に、磁石挿入孔や連結用孔にも樹脂を注入(同時注入)することができる。
更に、前記実施の形態においては、スロットへの樹脂の注入を、積層鉄心全体に対して一度に行った場合について説明したが、例えば、積層鉄心を予め設定した角度回動させながら、各スロットに順次樹脂の注入を行うこともできる。
なお、スロットへの樹脂の注入は、1つのプランジャー(樹脂溜めポット)から1つのスロットへ行うことができるが、樹脂流路の形成位置を種々変更することにより、1つのプランジャーから複数のスロットへ行うこともできる。
また、樹脂の注入は、積層鉄心の上方から行うことに限定されるものではなく、下方から行うこともできる。
10、10a、10b:積層鉄心、11、11a、12:鉄心片、13:連結部、13a:スクラップ部(連結部)、14、14a:ヨーク部、15、15a:磁極部、16、16a:スロット、17、17a:積層方向開口部、18、18a:半径方向開口部、19:樹脂、20:ボルト孔、20a:ボルト耳、21:積層スクラップ体、22、22a:上面(端面)、23、23a:下面(端面)、24、24a、24b:上プレート、25:下プレート、26:上プレート、27:ベースプレート、28:中子部材、28a:位置決めロッド、29、29a、29b、30:開口部、30a:切欠き部、31:モールド型、31a、31b:樹脂注入口、32:樹脂溜めポット、33:プランジャー、34:位置決め凹部、35:樹脂流路、36:凹部、36a、36b:絶縁層、37、37a:内周面(半径方向一端面)、38:閉塞部材、39:昇降手段、40:拡縮部、41:ガイド部、42:外周面、43:斜面、44:当接面、45:外周面(半径方向他端面)、46:位置決め部材、47:位置決めピン、48:切欠き溝、49:位置決め部材、50:当接面、51:位置決めブロック、52:外周面(半径方向他端面)、53:位置決め部材

Claims (1)

  1. 環状のヨーク部と、該ヨーク部の内周側に連接した複数の磁極部と、周方向に隣り合う前記磁極部間に配設されるスロットと、を備える積層鉄心において、
    前記スロットにおける基端面、半径方向開口部、及び、前記磁極部の側面に絶縁層を備えることを特徴とする積層鉄心。
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