JP2017038505A - 積層鉄心の樹脂封止方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、固定子鉄心全体を樹脂成形金型で覆い、磁極部のみならず固定子鉄心の全表面に、樹脂からなる絶縁層を形成する技術が開示されている。しかし、固定子鉄心全体に絶縁層を形成する場合、樹脂の使用量が多くなって不経済である。
そこで、特許文献2のように、固定子鉄心を成形金型内に配置し、この成形金型内に樹脂を射出して、磁極部の周囲のみに部分的に絶縁層(ボビン)を形成する技術が提案されている。
このため、絶縁層を部分的に形成する場合、絶縁層を形成するために使用する金型と固定子鉄心の寸法精度の違いにより、固定子鉄心の外周に樹脂漏れが発生して、製品品質の低下を招くおそれがあった。特にスロットは、積層方向と半径方向に開口しているため、この開口した部分からの樹脂漏れが顕著であった。
前記積層鉄心の積層方向両端面にプレートをそれぞれ当接させ、前記積層鉄心の半径方向一端面に該積層鉄心の半径方向に拡縮可能となった閉塞部材を当接させて、前記スロットに樹脂を注入する。
なお、前記プレートの開口部の内面と前記中子部材の側面との隙間を10μm以下にするのがよい。
また、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部の開口部が、除去可能な連結部で閉じられた、前記鉄心片を積層して、前記積層鉄心を形成することもできる。
また、前記位置決め部材を、前記積層鉄心の半径方向他端面に当接可能な当接面を備えた複数の位置決めブロックで構成し、該位置決めブロックを前記積層鉄心の周方向に間隔を有して配置することもできる。
なお、前記各位置決めブロックを前記積層鉄心側へ押圧するのがよい。
特に、閉塞部材が積層鉄心の半径方向に拡縮可能であるため、積層鉄心の寸法精度に影響されることなく、スロットに注入する樹脂の漏れ出しを防止できる。
なお、プレートの開口部の内面と中子部材の側面との隙間を10μm以下にする場合、この隙間に樹脂が入り込むことがなくなるため、積層鉄心のスロットに樹脂を確実に注入できる。
樹脂の注入を行う金型に残存する樹脂と、プレートの開口部に残存する(即ち、磁極部に付着した)樹脂とは、一体となって硬化するため、樹脂の硬化後に金型を積層鉄心から離型する際、プレートの開口部で硬化した樹脂(即ち、絶縁層)に割れが発生し易い。このため、プレートの開口部に設けた切欠き部から、プレートの開口部へ樹脂を注入することで、切欠き部で硬化した樹脂に積極的に割れを発生させ、絶縁層の形成範囲で硬化した樹脂の割れを抑制、更には防止することで、良好な品質の(絶縁性の良好な)積層鉄心を製造できる。
更に、上記した連結部を用いる場合、スロットに注入した樹脂を硬化させた後、鉄心片から連結部を除去することで、全てのスロット部の半径方向端部を開口できるため、モータ特性の低下を防止できる。
スロットに樹脂を注入する際、積層鉄心は、閉塞部材によって半径方向の内側から外側(又は、外側から内側)に向けて応力の影響を受け、変形し易くなる。このため、積層鉄心の半径方向他端面側に位置決め部材を配置することで、積層鉄心が閉塞部材によって応力の影響を受けても、対抗力を働かせることができる。これにより、積層鉄心の変形を抑制、更には防止できるので、例えば、磁極部(隣り合う磁極片部の間)の先側からの樹脂の漏れ出しを抑制、更には防止できる。
まず、図1〜図3を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の樹脂封止方法を用いて製造した積層鉄心10について説明する。
この積層鉄心10は、環状の複数の鉄心片11、12を積層して形成されている。
図1(A)、(B)に示すように、鉄心片11は、積層鉄心10の積層方向両端部に位置するものであり、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部(内側端部)が閉じている。また、この鉄心片11以外の(その他の)鉄心片12は、積層鉄心10の積層方向両端部を除く領域(積層方向中央部)に位置するものであり、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部(内側端部)が開口部となっている(開口している)。
また、積層鉄心は、それぞれ環状の複数の鉄心片を積層して形成した複数のブロック鉄心を、順次転積することで形成したものでもよい(図2〜図4においては、この形態の積層鉄心を図示している)。なお、複数のブロック鉄心は、全て同一形状であるが、例えば、一部のブロック鉄心が異なる形状でもよい。
ここで、鉄心片11は、スロット部の半径方向端部が打抜かれることなく、隣り合う磁極片部の半径方向端部(先端部)を連結する連結部13が形成されたものである。この連結部13の半径方向の幅は、積層鉄心10の種類や大きさにもよるが、例えば、0.5〜5mm程度である。
また、鉄心片12は、スロット部の半径方向端部が打抜かれ、隣り合う磁極片部の半径方向端部(先端部)に隙間が形成されたものである。
なお、上記した鉄心片11の枚数は、積層方向の片側で、例えば、1枚が好ましいが、複数枚(例えば、2枚又は3枚程度)でもよい。
ヨーク部14と磁極部15は、ヨーク片部と磁極片部を有する鉄心片11、12を複数積層することで、それぞれ形成されている。この磁極片部は、条材に対してスロット部を打抜くことで形成され、この磁極片部を積層することでスロット16が形成される。
また、磁極部15の周囲(即ち、上面、下面、両側面、及び、基端面(スロット16の基端面))には絶縁層が形成されている。この絶縁層は、スロット16の周壁部に、上記した樹脂(積層方向に隣り合う鉄心片同士を連結するために用いられる樹脂)と同成分又は異なる成分の樹脂19を充填し硬化させることで形成される。
なお、図2、図3に示す符号20は、積層鉄心10をボルト締めする際に使用するボルト孔であって、ヨーク部14の半径方向外側に突出して、周方向に間隔を有して設けられたボルト耳20aに形成されている。このボルト孔20の個数は3個であるが、積層鉄心10の種類等によって種々変更でき、例えば、0個でもよく、また、2個以上の複数個でもよい。
この場合、積層鉄心の半径方向端部が、積層方向に渡って開口する。
積層鉄心10aは、固定子鉄心(ステータ)であり、複数の環状の鉄心片11aを積層して形成されたものである。
各鉄心片11aは、環状に配置した複数の磁極片部の先端(半径方向内側)に形成された環状(リング状)のスクラップ部(連結部の一例)13aにより、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部の開口部が閉じられている。
これにより、スロット16aは、半径方向に開口する半径方向開口部18aが、積層スクラップ体21により閉じられる。
このため、鉄心片11aを前記した条材から打抜く際に、スクラップ部13aをプッシュバックにより形成し、各磁極片部の先端とは分離された状態にしておくのがよい。つまり、スクラップ部13aを鉄心片11aの各磁極片部の先端から一旦分離した後、再度嵌め込む。
積層鉄心の樹脂封止方法は、金型(図示しない)を用いて条材から打抜いた複数の鉄心片11、12を積層して積層鉄心10を形成した後、複数のスロット16の周壁部に樹脂19を充填し硬化させて、磁極部15の周囲(ここでは、磁極部15の上面、下面、両側面、及び、基端面(スロット16の基端面))に絶縁層を形成する方法であり、積層鉄心製造工程、積層方向閉塞工程、半径方向閉塞工程、及び、樹脂充填工程、を有している。以下、詳しく説明する。
金型を用いて条材から打抜いた複数の鉄心片11、12を順次積層して、積層鉄心10を製造する。
この積層鉄心10は、環状のヨーク部14と、このヨーク部14の内周側に一体的に連接した複数の磁極部15とを有し、この磁極部15は、周方向に隣り合うスロット16で形成される。この時点では、磁極部15の周囲に、前記した絶縁層は形成されていない。
なお、連結部13の形成は、プッシュバックにより形成してもよい。つまり、連結部13の両端が鉄心片11から一旦分離された後、鉄心片11に嵌め込まれた形態としてもよい。
これにより、スロット16は、図1(A)に示すように、積層鉄心10の積層方向両端部の先端部が連結部13で閉じられ、前記した積層方向開口部17と半径方向開口部18を有する形状となる。
図1(A)、図2に示すように、積層鉄心10の積層方向両端面である上面22と下面23にそれぞれ、上プレート24と下プレート25を当接させて、スロット16の積層方向開口部17(ここでは、後述する中子部材28との接触領域を除く部分)を閉じる。なお、図2は、説明の便宜上、積層鉄心10の上面22に上プレート24の一部が部分的に当接した状態を示しているが、実際は、上プレート24は環状となって、積層鉄心10の上面22を覆った状態となっている(図3も同様)。また、下プレート25も上プレート24と同様、環状となっているが、説明の便宜上、図2においては図示していない(図3も同様)。
なお、上プレート24(下プレート25も同様)の内周面は、図1(B)においては真円形状となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、図1(C)に示す上プレート26のように、波打った形状とすることも、また、多角形状とすることもできる。
ベースプレート27には、図1(A)、図2、図3、図4(B)に示すように、各スロット16内に配置する中子部材28が、周方向に渡って複数立設配置されている。図2、図3においては、説明の便宜上、一部のスロット16についてのみ、中子部材28を配置した状態を図示しているが、実際は、全てのスロット16内に中子部材28が配置される。
また、ベースプレート27には、図2、図3に示すように、複数のボルト孔20にそれぞれ挿通可能な位置決めロッド28aが、周方向に渡って間隔を有して複数(ここでは3本)立設配置されている。
また、中子部材は、長手方向(積層方向)に幅狭又は幅広となったテーパ形状(傾斜角度:例えば、1度以下、更には0.5度以下)としてもよい。これにより、スロット内への中子部材の挿入や、後述する樹脂充填工程後に行う中子部材の取外しが容易となる。このとき、磁極部の両側面に形成される絶縁層(樹脂)の厚みは、中子部材に倣って積層鉄心の積層方向に徐々に薄く又は厚くなる。このため、磁極部にコイルを巻くに際し、絶縁層の厚みが薄い側(スロットの開口幅が広い方)からスロット内にコイルを挿入することで、コイルが挿入し易くなるという利点も得られる。
このため、上下プレート24、25で拘束した積層鉄心10を、ベースプレート27上に載置することで、図4(B)に示すように、中子部材28は、上プレート24に形成された開口部29と、下プレート25に形成された開口部30を介して、積層鉄心10を積層方向に貫通し、その先部(上部)は、上プレート24の上方に突出する。
モールド型31は、図1(A)、図4(B)に示すように、樹脂19を収容する樹脂溜めポット32と、この樹脂溜めポット32内の樹脂19をスロット16に注入するプランジャー33とを有するものである。
また、モールド型31には、図4(B)に示すように、中子部材28の先部が嵌入可能な位置決め凹部34が、中子部材28(スロット16)の数に対応して、複数形成されている(位置決めロッド28aについても同様)。
上下プレート24、25に形成した開口部29、30の大きさは、平面視してスロット16の大きさより小さく、中子部材28が挿通可能で、かつ、スロット16への樹脂19の注入時に、中子部材28の側面と開口部28、29の内面との隙間から、樹脂19が漏れ出すことを抑制、更には防止可能な範囲で設定できる。この隙間の大きさは、樹脂19のフィラー径にもよるが、例えば、10μm以下(更には5μm以下)にすることが好ましい。
図4(A)に示すように、樹脂流路35の樹脂流入口を、平面視して中子部材28を中心としてその周囲に複数(ここでは5箇所)設けることで、中子部材28の側面と開口部29、30の内面との隙間から、樹脂19を満遍なく(均等に)注入できる。なお、上記した上下プレート24、25は、スロット16の積層方向開口部17(ここでは、中子部材28を除く領域)を閉塞可能な構成であれば、特に限定されるものではなく、例えば、鉄心片11、12を打抜く条材から打抜かれたダミー板を用いることもできる。
この上プレート24a、24bには開口部29a、29bがそれぞれ形成され、この開口部29a、29bの大きさを、図7(B)に示す磁極部15の上面22に形成する絶縁層36a、36bの形成範囲に対応して、図7(A)に示すように、平面視してスロット16(磁極部15の輪郭)よりも大きくしている(下プレートも同様)。
このとき、モールド型の樹脂注入口31a、31bに残存する樹脂と、上プレート24a、24bの開口部29a、29bに残存する樹脂とは、一体となって硬化するため、図7(A)、(B)の左側に示す比較例では、以下の問題がある。
樹脂の硬化後にモールド型を積層鉄心から離型する際、形成した絶縁層36b(特に、尖った角部)に、欠けや割れが発生し易くなる(図7(B)の左側の部分拡大図の斜線部)。このため、絶縁層36bの厚みが減少し、磁極部15と、これに巻いたコイルとの間で、必要な絶縁距離を確保できなくなり、絶縁不良を招くおそれがある。
なお、ここでは、切欠き部30aの形成位置を、開口部29aの半径方向中央部としているが、開口部に樹脂を注入できれば特に限定されるものではなく、例えば、半径方向端部でもよい。また、切欠き部30aの形状を、凹状にしているが、これに限定されるものではなく、例えば、その内側の輪郭形状を、円弧状、楕円弧状、U字状、V字状等にすることもできる。
なお、図7(B)の右側に示すように、絶縁層36aの角部をR形状にしたり、また、面取りすることで、樹脂の割れの発生を抑制することもできる。この場合、形成する絶縁層の形状に対応して、モールド型等に加工を施すのがよい。
図1(A)、(B)、図3に示すように、磁極部15の先端面で形成される積層鉄心10の内周面(半径方向一端面の一例)37に閉塞部材38を当接させて、スロット16の半径方向開口部18を閉じる。
閉塞部材38は、図1(A)、図3に示すように、逆円錐台状の昇降手段39と、この昇降手段39の周囲に複数設けられた拡縮部40とを有している。この昇降手段39は、軸心を中心として周方向に複数(ここでは6個)に分割されたガイド部41を有し、各ガイド部41の外側(先側)に拡縮部40が設けられている。
なお、各拡縮部40の下面は、自由状態(閉塞部材38が積層鉄心10の上方に位置する状態)では、昇降手段39(ガイド部41)の下面より下方に位置した状態となっている。
このように、閉塞部材38は、積層鉄心10の半径方向に拡縮可能になっている。
なお、閉塞部材38の積層鉄心10との当接部(当接面44)は、弾性部材(例えば、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂等)で構成されていることが好ましい。
このとき、積層鉄心10は、図2、図3、図8(A)に示すように、ボルト孔20に位置決めロッド28aが挿通され、ベースプレート27上に位置決めされているため、位置決めロッド28aが配置された領域(位相)では、上記した閉塞部材38による応力に対する対抗力が働き、積層鉄心10の変形は抑制、更には防止される。
しかしながら、位置決めロッド28aによる対抗力の影響が小さい領域(位相)では、閉塞部材38による応力によって積層鉄心10が変形し、磁極部15(隣り合う磁極片部の間)の先側から、樹脂が漏れ出し易くなる。
図8(B)は、閉塞部材38とは反対側に位置する積層鉄心10の外周面(半径方向他端面の一例)45側に、積層鉄心10の位置決め部材46を配置し、位置決め部材46と閉塞部材38の各拡縮部40とで、積層鉄心10を半径方向両側から挟み込んでいる。
具体的には、位置決め部材46を、円柱状の複数(ここでは、3本)の位置決めピン47で構成し、この位置決めピン47を積層鉄心10の周方向に等間隔で、ベースプレート(ベースプレート27と略同様の構成)に立設配置している。
これにより、位置決めロッド28aによる対抗力の影響が小さい領域を、位置決めピン47で補完できるため、積層鉄心10の変形を抑制、更には防止できる。
従って、磁極部15(隣り合う磁極片部の間)の先側(内径側)からの樹脂の漏れ出しを抑制、更には防止できる。
このように、積層鉄心10の形状を変更することで、位置決めピン47による対抗力を更に高めることができる。また、積層鉄心10の位置決め精度が高められるというメリットも生じる。
なお、新たに配置された位置決めピン47(図8(B)で配置されていない位置決めピン47)は、隣り合う拡縮部40の間と対抗する位置に配置されている。
なお、各位置決めブロック51は、積層鉄心10側(積層鉄心10の軸心側)へ押圧(加圧)することもできる。
この位置決め部材53を、複数(ここでは、6本)の位置決めピン47で構成し、この位置決めピン47を積層鉄心10bの周方向に等間隔で、ベースプレートに立設配置している。なお、6本の位置決めピン47は、積層鉄心10bの軸心を中心として等角度に配置されている。
図1(A)、図4(A)、(B)に示すように、上下プレート24、25、中子部材28、及び、閉塞部材38によって閉空間としたスロット16に樹脂19を注入する。
樹脂19は、モールド型31のプランジャー33を押し下げることで、樹脂溜めポット32内から樹脂流路35を介して、中子部材28とスロット周壁との間に注入される。次に、スロット16に注入された樹脂19を硬化させることで、磁極部15の上面、下面、両側面、及び、基端面に、絶縁層を形成できる。
そして、各拡縮部40の当接面44を積層鉄心10の内周面37から離した後、積層鉄心10から上下プレート24、25、及び、中子部材28を取外すことで、各磁極部15の周囲に絶縁層が形成された積層鉄心10が得られる。
ここで、荷重が5kN未満の場合、積層鉄心は積厚偏差の影響を受けるため、荷重不足によって積層鉄心の積層方向端部で隙間が生じ、樹脂の漏れ出しや未充填が発生するおそれがある。一方、荷重が100kN超の場合、加えられた荷重の解放時(モールド型の除去時)に、各鉄心片が元の状態に戻ろうとするため(スプリングバックにより)、硬化させた樹脂に割れが発生するおそれがある。
ここで、さぐりの深さ形態は、任意で設定してよい。
樹脂密封性を向上させたい場合は、ざぐりの深さを深く形成することが好ましく、樹脂量を削減したい場合は、ざぐりの深さを浅く形成することが好ましい。
また、磁極部15の上面と下面に絶縁層を形成しない場合であっても、磁極部15の両側面に連通するよう、上面と下面の一部の位置にざぐりを設定することが好ましい。この場合、樹脂量の削減に加え、鉄心片11が積層鉄心10から剥がれることを防止することができる。
しかし、前記した鉄心片12のみを複数積層した積層鉄心でも、上下プレート24、25と閉塞部材38を用いた樹脂封止を行うことによって、積層鉄心10よりも漏れ出しの防止効果は劣るものの、従来と比較して漏れ出しの防止効果を向上できる。
従って、上記した半径方向閉塞工程では、閉塞部材38の拡縮部40の当接面44を、積層スクラップ体21の内周面37aに当接させることで、閉塞部材38を、樹脂19の注入圧で積層スクラップ体21が変形しない程度に、予備的に使用することができる。
なお、積層鉄心10aの各磁極部15aの周囲に絶縁層を形成し、この積層鉄心10aから、閉塞部材38、上下プレート24、25、及び、中子部材(図示しない)を取外した後は、積層スクラップ体21を磁極部15aに対して積層方向にずらすことで、積層スクラップ体21を除去する。これにより、スロット16aの半径方向開口部18aが開口する。
例えば、前記実施の形態においては、積層鉄心の積層方向両端面にプレートを当接させる積層方向閉塞工程を行った後、積層鉄心の半径方向一端面に閉塞部材を当接させる半径方向閉塞工程を行った場合について説明したが、半径方向閉塞工程を行った後に積層方向閉塞工程を行ってもよく、また、積層方向閉塞工程と半径方向閉塞工程を同時に行ってもよい。なお、半径方向閉塞工程で使用する閉塞部材は、前記実施の形態においては、複数の拡縮部が同期して半径方向に拡縮する構成となっていたが、各拡縮部が個別に半径方向に拡縮可能な構成でもよい。
そして、前記実施の形態においては、スロットのみに樹脂を注入した場合について説明したが、積層鉄心の構成に応じて、例えば、磁石挿入孔が形成されている場合や、複数の鉄心片を連結するための連結用孔が形成されている場合には、スロットへ樹脂を注入すると共に、磁石挿入孔や連結用孔にも樹脂を注入(同時注入)することができる。
なお、スロットへの樹脂の注入は、1つのプランジャー(樹脂溜めポット)から1つのスロットへ行うことができるが、樹脂流路の形成位置を種々変更することにより、1つのプランジャーから複数のスロットへ行うこともできる。
また、樹脂の注入は、積層鉄心の上方から行うことに限定されるものではなく、下方から行うこともできる。
Claims (13)
- 複数の鉄心片を積層した積層鉄心のスロットの周壁部に樹脂充填を行い、隣り合う前記スロットで形成される磁極部の周囲に絶縁層を形成する積層鉄心の樹脂封止方法において、
前記積層鉄心の積層方向両端面にプレートをそれぞれ当接させ、前記積層鉄心の半径方向一端面に該積層鉄心の半径方向に拡縮可能となった閉塞部材を当接させて、前記スロットに樹脂を注入することを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。 - 請求項1記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、中子部材を、前記プレートに形成された開口部を介して前記スロット内に配置し、前記中子部材と前記スロットの周壁部との間に樹脂を注入することを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項2記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記プレートの開口部の内面と前記中子部材の側面との隙間を10μm以下にすることを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記プレートの一方には、プランジャーで供給された樹脂を前記スロットに案内する樹脂流路が形成されていることを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項2又は3記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記プレートの開口部は、前記絶縁層の形成範囲に対応して、平面視して前記スロットよりも大きく形成され、しかも、前記プレートの開口部の一部には切欠き部が設けられ、該切欠き部を基点として前記プレートの開口部へ樹脂を注入することを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記積層鉄心の積層方向両端部の鉄心片は、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部が閉じ、その他の鉄心片は、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部が開口部となって、前記鉄心片を積層して、前記積層鉄心を形成していることを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、隣り合う磁極片部を形成するスロット部の半径方向端部の開口部が、除去可能な連結部で閉じられた、前記鉄心片を積層して、前記積層鉄心を形成していることを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項6又は7記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記プレートのスロット先端側に位置する端面は、平面視して前記鉄心片の前記スロットの先端側の端面より基側に位置することを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記閉塞部材の前記積層鉄心との当接部は、弾性部材で構成されていることを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記スロットに樹脂を注入する前に、前記積層鉄心の半径方向他端面側に、該積層鉄心の位置決め部材を配置し、該位置決め部材と前記閉塞部材とで、前記積層鉄心を半径方向両側から挟み込むことを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項10記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記位置決め部材は、複数の位置決めピンで構成され、該位置決めピンを前記積層鉄心の周方向に間隔を有して配置することを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項10記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記位置決め部材は、前記積層鉄心の半径方向他端面に当接可能な当接面を備えた複数の位置決めブロックで構成され、該位置決めブロックを前記積層鉄心の周方向に間隔を有して配置することを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
- 請求項12記載の積層鉄心の樹脂封止方法において、前記各位置決めブロックを前記積層鉄心側へ押圧することを特徴とする積層鉄心の樹脂封止方法。
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