JP2018104717A - 硬化体、積層体、プリント配線板及び半導体装置 - Google Patents

硬化体、積層体、プリント配線板及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】無機充填材の含有量が高く、かつ、導体層に対して優れた剥離強度を呈する硬化体を提供する。【解決手段】無機充填材含有量が50質量%以上である樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体であって、硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0-1と、深さ1μmから深さ2μmまでの領域における樹脂面積A1-2とが、A0-1/A1-2>1.1を満たす、硬化体。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化体、積層体、プリント配線板及び半導体装置に関する。
プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層は樹脂組成物を熱硬化させて形成される。例えば、特許文献1には、シリカ粒子を含有する樹脂組成物を熱硬化させて得た硬化体を粗化処理して絶縁層を形成する技術が開示されている。
配線密度の更なる向上が求められる中で、プリント配線板のビルドアップによる積層数は増加する傾向にあるが、積層数の増加に伴って絶縁層と導体層との熱膨張の差によるクラックや回路歪みの発生が問題となる。斯かるクラックや回路歪みの問題を抑制する技術として、例えば、特許文献2には、樹脂組成物におけるシリカ粒子等の無機充填材の含有量を高めることによって、形成される絶縁層の熱膨張率を低く抑える技術が開示されている。
国際公開第2010/35451号 特開2010−202865号公報
特許文献1記載の技術では、粗化処理において硬化体表面のシリカ粒子が脱離することによって、導体層に対して十分な剥離強度を呈する絶縁層が実現される。しかしながら、熱膨張率の低い絶縁層を形成すべく、シリカ粒子等の無機充填材の含有量の高い樹脂組成物を用いると、斯かる技術においても、形成される絶縁層と導体層との剥離強度の低下は避けられない場合があった。
本発明は、無機充填材の含有量が高いというバルク(bulk)の特性は保持しつつ、粗化処理後に導体層に対して優れた剥離強度を呈する硬化体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題につき鋭意検討した結果、表面近傍の領域において無機充填材と樹脂成分との量比(無機充填材/樹脂成分)に勾配(すなわち、硬化体表面から深さ方向に向かって一定値以上の正の勾配)を有する硬化体が、無機充填材の含有量が高いというバルクの特性は保持しつつ、粗化処理後に導体層に対して優れた剥離強度を呈することを見出した。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 無機充填材含有量が50質量%以上である樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体であって、
硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0-1と、深さ1μmから深さ2μmまでの領域における樹脂面積A1-2とが、A0-1/A1-2>1.1を満たす、硬化体。
[2] 無機充填材含有量が50質量%以上である樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体であって、
硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ0.5μmまでの領域における樹脂面積A0-0.5と、深さ0.5μmから深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0.5-1とが、A0-0.5/A0.5-1>1.1を満たす、硬化体。
[3] 硬化体表面に垂直な断面において、深さ0.5μmから深さdμmまでの領域における樹脂面積A0.5-dと、深さdμmから深さ0.5Dμmまでの領域における樹脂面積Ad-0.5Dとが、0.9≦kA0.5-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、kはk=|d−0.5D|/|0.5−d|を満たす係数であり、dは0.5<d<0.5Dを満たす数であり、Dは硬化体の厚みである。)を満たす、[1]又は[2]に記載の硬化体。
[4] X線光電子分光法により測定した、硬化体の表面における[(無機充填材由来の金属元素の数)/(硬化体表面の全元素の数)]が0.01未満である、[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化体。
[5] 無機充填材含有量が50質量%以上である樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体であって、
硬化体表面について、1)下記条件でのArによるスパッタ処理、及び2)スパッタ処理後のX線光電子分光法による表面組成分析を繰り返して行うとき、[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(スパッタ処理後の硬化体表面の全元素の原子数)]の値が初めて0.01以上となるまでに要するスパッタ処理の回数が4回以上である、硬化体。
〔条件:Arイオン、加速電圧;5kV、照射範囲;2mm×2mm、1回あたりのスパッタリング時間;30秒間〕
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の硬化体を粗化処理して得られる、表面の二乗平均平方根粗さRqが350nm以下である粗化硬化体。
[7] [6]に記載の粗化硬化体と、該粗化硬化体の表面に形成された金属層とを備える積層体。
[8] 粗化硬化体と金属層との剥離強度が0.5kgf/cm以上である、[7]に記載の積層体。
[9] [1]〜[5]のいずれかに記載の硬化体により絶縁層が形成されたプリント配線板。
[10] [9]に記載のプリント配線板を含む半導体装置。
本発明によれば、無機充填材の含有量が高いというバルクの特性は保持しつつ、粗化処理後に導体層に対して優れた剥離強度を呈する硬化体を提供することができる。
さらに本発明の硬化体は、粗化処理後の表面粗さが小さいにもかかわらず、導体層(金属層)に対して優れた剥離強度を呈する。
図1は、従来技術の硬化体の断面SEM写真を示す。 図2は、本発明の一実施形態による硬化体の断面SEM写真を示す。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[硬化体]
本発明の硬化体は、無機充填材含有量の高い樹脂組成物を硬化させて得られたものであり、表面近傍の領域において無機充填材と樹脂成分との量比(無機充填材/樹脂成分)に勾配(すなわち、硬化体表面から深さ方向に向かって一定値以上の正の勾配)を有することを特徴とする。
プリント配線板の絶縁層となる硬化体に関しては、強度や耐熱性等の観点から、硬化体全体にわたって均一な組成を実現すべく研究開発が行われている。これに対し、本発明の硬化体は、バルクの特性として均一な組成を保持しつつ、その表面近傍の領域において急激な組成勾配を有することを特徴とする。
図1に、従来の設計思想に基づき作製された「均一」な組成を有する硬化体の断面SEM写真を示す。斯かる硬化体においては、無機充填材の粒子は樹脂成分中に均一に分散しており、硬化体の表面においても無機充填材の粒子が他の領域と同じ割合にて存在する。断面SEM写真から把握されるように、斯かる「均一」な組成を有する硬化体においては、無機充填材の粒子の一部は硬化体表面において外部環境に露出している。
図2に、本発明の設計思想に基づき作製された硬化体の断面SEM写真を示す。本発明の硬化体においては、表面近傍の領域において無機充填材と樹脂成分との量比(無機充填材/樹脂成分)に急激な勾配を有する。詳細には、硬化体表面には無機充填材の粒子はほとんど存在せず実質的に樹脂成分からなる相が存在するが、硬化体表面から一定の深さ位置において、急激に無機充填材の粒子の割合が上昇する。好ましくは硬化体表面から深さ0.05μm〜2μmの位置において、より好ましくは硬化体表面から深さ0.05μm〜1.5μmの位置において、さらに好ましくは硬化体表面から深さ0.05μm〜1μmの位置において、特に好ましくは硬化体表面から深さ0.05μm〜0.5μmの位置において、急激に無機充填材の粒子の割合が上昇する。
さらに深さ方向に進むと、無機充填材と樹脂成分との量比に勾配はなくなり、均一な組成を有する相となる。表面近傍の限られた領域においてのみ急激な組成勾配を有する本発明の硬化体においては、バルクの特性として均一な組成を保持しているため、強度や耐熱性等に優れると共に、硬化体表面においては粗化処理後に導体層に対して優れた剥離強度を呈するという顕著な効果を奏する。詳細は後述するが、本発明の硬化体は、粗化処理後の表面粗さが小さいにもかかわらず、導体層(金属層)に対して優れた剥離強度を呈することが確認されており、本発明の硬化体は、プリント配線板の微細配線化に著しく寄与するものである。
なお、本発明において、硬化体表面近傍の領域における無機充填材と樹脂成分との量比の勾配を表すにあたり、硬化体表面に垂直な断面における、所定の深さd1(μm)から所定の深さd2(μm)までの領域の樹脂面積Ad1−d2と、所定の深さd2(μm)から所定の深さd3(μm)までの領域の樹脂面積Ad2−d3との比(kAd1−d2/Ad2−d3)を用いることとする。ここで、d1、d2及びd3は、0≦d1<d2<d3を満たす数であり、kは、k=|d2−d3|/|d1−d2|を満たす係数である。
上記樹脂面積比は、硬化体表面に垂直な断面についてSEM観察し、深さd1(μm)から深さd2(μm)までの領域における樹脂面積Ad1−d2と、深さd2(μm)から深さd3(μm)までの領域における樹脂面積Ad2−d3とを測定し、得られたAd1−d2値及びAd2−d3値から算出することができる。Ad1−d2値及びAd2−d3値の測定にあたっては、測定領域の幅(硬化体表面に平行な方向における測定距離)を等しく設定する。
なお本発明において、「樹脂面積」とは、樹脂成分が占める面積をいう。樹脂面積についていう「樹脂成分」とは、樹脂組成物を構成する成分のうち、無機充填材を除いた成分をいう。
従来の設計思想に基づき作製された「均一」な組成を有する硬化体に関しては、上記kAd1−d2/Ad2−d3比は、d1、d2及びd3の値によらず、理論的に1であり、実測しても0.9〜1.1の範囲に収まるものである。
一方、本発明の硬化体は、表面近傍の領域において無機充填材と樹脂成分との量比に急激な勾配を有し、上記kAd1−d2/Ad2−d3比はd1、d2及びd3の値によって大きく変化する。
即ち、本発明の硬化体は、硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0-1と、深さ1μmから深さ2μmまでの領域における樹脂面積A1-2とが、A0-1/A1-2>1.1を満たすことを特徴とする。無機充填材の含有量が高いというバルクの特性は保持しつつ、粗化処理後に導体層に対する剥離強度を高める観点から、本発明の硬化体は、好ましくはA0-1/A1-2≧1.15、より好ましくはA0-1/A1-2≧1.2を満たす。
0-1/A1-2比の上限は特に限定されないが、通常、20以下であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
均一な組成並びに高い無機充填材含有量といったバルクの特性を保持しつつ、粗化処理後に導体層に対する剥離強度を高める観点から、本発明の硬化体では、硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ0.5μmまでの領域における樹脂面積A0-0.5と、深さ0.5μmから深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0.5-1とが、A0-0.5/A0.5-1>1.1を満たすことが好ましい。粗化処理後に導体層に対してより高い剥離強度を呈する硬化体表面を実現する観点から、本発明の硬化体は、より好ましくはA0-0.5/A0.5-1≧1.2、さらに好ましくはA0-0.5/A0.5-1≧1.4、さらにより好ましくはA0-0.5/A0.5-1≧1.6、特に好ましくはA0-0.5/A0.5-1≧1.8、A0-0.5/A0.5-1≧1.9、A0-0.5/A0.5-1≧2.0、A0-0.5/A0.5-1≧2.1、又はA0-0.5/A0.5-1≧2.2を満たす。
0-0.5/A0.5-1比の上限は特に限定されないが、通常、20以下であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
上述のとおり、本発明の硬化体は、表面近傍の限られた領域においてのみ組成勾配を有し、バルクの特性としては均一な組成を保持している。
好適な実施形態において、本発明の硬化体は、硬化体表面に垂直な断面において、深さ2μmから深さdμmまでの領域における樹脂面積A2-dと、深さdμmから深さ0.5Dμmまでの領域における樹脂面積Ad-0.5Dとが、0.9≦kA2-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、kはk=|d−0.5D|/|2−d|を満たす係数であり、dは2<d<0.5Dを満たす数であり、Dは硬化体の厚みである。)を満たすように構成される。これは、本発明の硬化体が、硬化体表面から深さ2μm以上の領域において均一な組成を有することを表す。
より好適な実施形態において、本発明の硬化体は、硬化体表面に垂直な断面において、深さ1.5μmから深さdμmまでの領域における樹脂面積A1.5-dと、深さdμmから深さ0.5Dμmまでの領域における樹脂面積Ad-0.5Dとが、0.9≦kA1.5-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、kはk=|d−0.5D|/|1.5−d|を満たす係数であり、dは1.5<d<0.5Dを満たす数であり、Dは硬化体の厚みである。)を満たすように構成される。これは、本発明の硬化体が、硬化体表面から深さ1.5μm以上の領域において均一な組成を有することを表す。
さらに好適な実施形態において、本発明の硬化体は、硬化体表面に垂直な断面において、深さ1μmから深さdμmまでの領域における樹脂面積A1-dと、深さdμmから深さ0.5Dμmまでの領域における樹脂面積Ad-0.5Dとが、0.9≦kA1-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、kはk=|d−0.5D|/|1−d|を満たす係数であり、dは1<d<0.5Dを満たす数であり、Dは硬化体の厚みである。)を満たすように構成される。これは、本発明の硬化体が、硬化体表面から深さ1μm以上の領域において均一な組成を有することを表す。
特に好適な実施形態において、本発明の硬化体は、硬化体表面に垂直な断面において、深さ0.5μmから深さdμmまでの領域における樹脂面積A0.5-dと、深さdμmから深さ0.5Dμmまでの領域における樹脂面積Ad-0.5Dとが、0.9≦kA0.5-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、kはk=|d−0.5D|/|0.5−d|を満たす係数であり、dは0.5<d<0.5Dを満たす数であり、Dは硬化体の厚みである。)を満たすように構成される。これは、本発明の硬化体が、硬化体表面から深さ0.5μm以上の領域において均一な組成を有することを表す。
本発明の硬化体の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、さらにより好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上である。本発明の硬化体の厚みは、好ましくは100μm以下、より好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下、さらにより好ましくは70μm以下、特に好ましくは60μm以下である。
以下、本発明の硬化体を形成する際に用いる樹脂組成物について説明する。
<樹脂組成物>
本発明の硬化体は、無機充填材含有量が50質量%以上である樹脂組成物を硬化させて得られる。得られる硬化体(絶縁層)の熱膨張率を十分に低下させる観点から、樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、好ましくは55質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上が好ましく、さらに好ましくは65質量%以上である。
なお、本発明において、樹脂組成物を構成する各成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分の合計を100質量%としたときの値である。
硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0-1と、深さ1μmから深さ2μmまでの領域における樹脂面積A1-2との比(A0-1/A1-2)が特定範囲にある本発明の硬化体においては、金属層(導体層)に対する剥離強度を低下させることなく、無機充填材の含有量を更に高めることができる。例えば、樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、66質量%以上、68質量%以上、70質量%以上、72質量%以上、74質量%以上、76質量%以上、又は78質量%以上にまで高めてよい。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量の上限は、樹脂組成物の熱硬化により得られる硬化体の機械強度の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、及びジルコン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが特に好適である。またシリカとしては球状シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は0.01μm〜2μmの範囲が好ましく、0.05μm〜1.5μmの範囲がより好ましく、0.07μm〜1μmの範囲が更に好ましく、0.1μm〜0.8μmが更により好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性向上のため、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種又は2種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
また、表面処理剤で表面処理された無機充填材は、溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後の無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やフィルム形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。このように、無機充填材の表面処理量をコントロールすることで樹脂組成物の溶融粘度が低下し、硬化体表面に樹脂成分が移動しやすくなり、硬化体表面の急激な組成勾配を形成する傾向となる。
本発明の硬化体を形成するために使用する樹脂組成物は、樹脂として、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、プリント配線板の絶縁層を形成する際に使用される従来公知の熱硬化性樹脂を用いることができ、中でもエポキシ樹脂が好ましい。樹脂組成物はまた、必要に応じて、硬化剤を含んでいてもよい。一実施形態において、無機充填材、エポキシ樹脂、及び硬化剤を含む樹脂組成物を用いて、本発明の硬化体を形成することができる。本発明の硬化体を形成するために使用する樹脂組成物は、更に熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
以下、樹脂組成物の材料として使用し得るエポキシ樹脂、硬化剤、及び添加剤について説明する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下、「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物を硬化して形成される硬化体の破断強度も向上する。特に液状エポキシ樹脂を含むことで、硬化体表面に樹脂成分が移動しやすくなり、硬化体表面の急激な組成勾配を形成する傾向となる。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032D」、「EXA4032SS」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」、「HP−4710」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノールエポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラックエポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ESN475」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YX4000HK」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:3の範囲が好ましく、1:0.1〜1:2.5の範囲がより好ましく、1:0.1〜1:2の範囲が更に好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)後述する接着シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)接着シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)樹脂組成物の硬化物において十分な破断強度を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:1.8の範囲が更により好ましく、1:0.6〜1:1.5の範囲が特に好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、3質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜45質量%がより好ましく、5質量%〜40質量%が更に好ましく、7質量%〜35質量%が特に好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜3000、より好ましくは80〜2000、さらに好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗度の低い絶縁層をもたらす。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
(硬化剤)
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤が挙げられ、特にフェノール系硬化剤がより好ましい。フェノール系硬化剤を使用した場合には、エポキシ樹脂との相溶性が比較的良好であるため流動性が高くなり、硬化体表面に樹脂成分が移動しやすくなり、硬化体表面の急激な組成勾配を形成する傾向となる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性(剥離強度)の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着性(剥離強度)を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂を硬化剤として用いることが好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、東都化成(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」等が挙げられる。
導体層との密着性(剥離強度)の観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエニルジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、なかでもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。活性エステル系硬化剤の具体例としては、例えば、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2〜1:2の範囲が好ましく、1:0.3〜1:1.5がより好ましく、1:0.4〜1:1が更に好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性がより向上する。
一実施形態において、本発明の硬化体を形成するために使用する樹脂組成物は、上述の無機充填材、エポキシ樹脂、及び硬化剤を含む。粗化処理後に金属層(導体層)に対して優れた剥離強度を呈する硬化体を得る観点から、樹脂組成物は、無機充填材としてシリカを、エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は1:0.1〜1:3の範囲が好ましく、1:0.1〜1:2.5の範囲がより好ましく、1:0.1〜1:2の範囲が更に好ましく、1:0.3〜1:1.8の範囲が更により好ましく、1:0.6〜1:1.5の範囲が特に好ましい)を、硬化剤としてノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、含窒素フェノール系硬化剤(好ましくはトリアジン骨格含有フェノール系硬化剤)及び活性エステル系硬化剤からなる群から選択される1種以上を、それぞれ含むことが好ましい。斯かる特定の成分を組み合わせて含む樹脂組成物層に関しても、無機充填材、エポキシ樹脂、及び硬化剤の好適な含有量は上述のとおりであるが、中でも、無機充填材の含有量が50質量%〜95質量%、エポキシ樹脂の含有量が3質量%〜50質量%であることが好ましく、無機充填材の含有量が50質量%〜90質量%、エポキシ樹脂の含有量が5質量%〜45質量%であることがより好ましい。硬化剤の含有量に関しては、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数と、硬化剤の反応基の合計数との比が、好ましくは1:0.2〜1:2の範囲、より好ましくは1:0.3〜1:1.5の範囲、さらに好ましくは1:0.4〜1:1の範囲となるように含有させる。
樹脂組成物は、必要に応じて、さらに熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂を含むことで、熱硬化工程中においても、硬化体表面に樹脂成分が移動しやすくなり、硬化体表面の急激な組成勾配を形成する傾向となる。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲が更に好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の粘度が適度となり、厚みやバルク性状の均一な樹脂組成物を形成することができる。樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。
硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、及び3級アミン化合物などが挙げられる。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂と硬化剤の不揮発成分合計量を100質量%としたとき、0.05質量%〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。硬化促進剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。樹脂組成物層中の難燃剤の含有量は特に限定はされないが、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜9質量%がより好ましく、1.5質量%〜8質量%が更に好ましい。
ゴム粒子としては、例えば、後述する有機溶剤に溶解せず、上述のエポキシ樹脂、硬化剤、及び熱可塑性樹脂などとも相溶しないものが使用される。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メチルメタクリレート重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005μm〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm〜0.6μmの範囲である。ゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。樹脂組成物中のゴム粒子の含有量は、好ましくは1質量%〜10質量%であり、より好ましくは2質量%〜5質量%である。
本発明の硬化体を形成するために使用する樹脂組成物は、必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに有機フィラー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、着色剤及び硬化性樹脂等の樹脂添加剤等が挙げられる。
本発明の硬化体は、金属張積層板の絶縁層を形成するための硬化体(金属張積層板の絶縁層用硬化体)、プリント配線板の絶縁層を形成するための硬化体(プリント配線板の絶縁層用硬化体)として使用することができる。中でも、ビルドアップ方式によるプリント配線板の製造において、絶縁層を形成するための硬化体(プリント配線板のビルドアップ絶縁層用硬化体)として好適に使用することができ、メッキにより導体層を形成するための硬化体(メッキにより導体層を形成するプリント配線板のビルドアップ絶縁層用硬化体)としてさらに好適に使用することができる。
本発明の硬化体を使用する場合、本発明の硬化体を形成するために使用する樹脂組成物は、硬化体(絶縁層)の積層を簡便かつ効率よく実施できる観点から、該樹脂組成物からなる層を含む接着シートの形態で用いることが好適である。
一実施形態において、接着シートは、支持体と、該支持体と接合している樹脂組成物層(接着層)とを含んでなり、樹脂組成物層(接着層)が上記樹脂組成物から形成される。
支持体としては、プラスチック材料からなるフィルムが好適に用いられる。プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下、「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下、「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。好適な一実施形態において、支持体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
支持体は、樹脂組成物層と接合する側の表面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する側の表面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。
支持体の厚みは、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、支持体が離型層付き支持体である場合、離型層付き支持体全体の厚みが上記範囲であることが好ましい。
接着シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて支持体上に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量(残留溶剤量)が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。また、樹脂組成物層の取扱性やフィルム形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3〜10分乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。このように、残留溶剤量をコントロールすることで樹脂組成物の溶融粘度が低下し、硬化体表面に樹脂成分が移動しやすくなり、硬化体表面の急激な組成勾配を形成する傾向となる。
接着シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能であり、本発明の硬化体を形成する際には、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
本発明の硬化体は、無機充填材含有量が50質量%以上である上記樹脂組成物を硬化させて得られる。一実施形態において、本発明の硬化体は、無機充填材含有量が50質量%以上である樹脂組成物を、温度Tにて一定時間保持する加熱工程に付した後、温度Tよりも高い温度Tにて一定時間保持する熱硬化工程に付して得られる。好適な一実施形態において、本発明の硬化体は、無機充填材含有量が50質量%以上である樹脂組成物を、温度T(但し50℃≦T<150℃)にて10分間以上保持する加熱工程に付した後、温度T(但し150℃≦T≦240℃)にて5分間以上保持する熱硬化工程に付して得られる。
加熱工程において、温度Tは、樹脂組成物の組成にもよるが、好ましくは60℃≦T≦130℃、より好ましくは70℃≦T≦120℃、さらに好ましくは80℃≦T≦110℃、特に好ましくは80℃≦T≦100℃を満たす。
加熱工程において、温度Tにて保持する時間は、温度Tの値にもよるが、好ましくは10分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間、更に好ましくは20分間〜120分間である。
加熱工程は、常圧下で実施しても減圧下で実施してもよいが、所望の樹脂面積比を実現する観点から、好ましくは0.075mmHg〜3751mmHg(0.1hPa〜5000hPa)の範囲、より好ましくは1mmHg〜1875mmHg(1.3hPa〜2500hPa)の範囲の空気圧にて実施することが好ましい。
熱硬化工程において、温度Tは、樹脂組成物の組成にもよるが、好ましくは155℃≦T≦230℃、より好ましくは160℃≦T≦220℃、さらに好ましくは170℃≦T≦210℃、特に好ましくは180℃≦T≦200℃を満たす。
なお、温度Tと温度Tは、好ましくは20℃≦T−T≦150℃、より好ましくは30℃≦T−T≦140℃、さらに好ましくは40℃≦T−T≦130℃、特に好ましくは50℃≦T−T≦120℃の関係を満たす。
熱硬化工程において、温度Tにて熱硬化する時間は、温度Tの値にもよるが、好ましくは5分間〜100分間、より好ましくは10分間〜80分間、さらに好ましくは10分間〜50分間である。
熱硬化工程は、常圧下で実施しても減圧下で実施してもよい。好ましくは、加熱工程と同様の空気圧にて実施することが好ましい。
温度Tにおける加熱工程の後、樹脂組成物を一旦冷まして、温度Tにおける熱硬化工程に付してもよい。あるいはまた、温度Tにおける加熱工程の後、樹脂組成物を冷ますことなく、温度Tにおける熱硬化工程に付してもよい。好適な一実施形態において、本発明の硬化体は、上記加熱工程と上記熱硬化工程との間に、温度Tから温度Tへと昇温する工程にさらに付して得られる。斯かる昇温工程において、温度Tから温度Tへの昇温速度は、好ましくは1.5℃/分〜30℃/分、より好ましくは2℃/分〜30℃/分、さらに好ましくは4℃/分〜20℃/分、さらにより好ましくは4℃/分〜10℃/分である。
なお、斯かる昇温工程の途中において樹脂組成物の熱硬化が開始されてもよい。
こうして得られた本発明の硬化体は、上記のとおり、均一な組成並びに高い無機充填材含有量といったバルクの特性を保持しつつ、その表面近傍の領域において急激な組成勾配を有する。
本発明の硬化体に関して、表面において外部環境に露出した無機充填材はほとんどないことが好ましい。一実施形態において、X線光電子分光法により測定した、硬化体の表面における[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(硬化体表面の全元素の原子数)]は0.01未満であることが好ましい。例えば、無機充填材としてシリカを使用する場合、X線光電子分光法により測定した、硬化体の表面における[(ケイ素の原子数)/(硬化体表面の全元素の原子数)]が0.01未満であることが好ましい。無機充填材としてシリカとアルミナの混合物を使用する場合、X線光電子分光法により測定した、硬化体の表面における[(ケイ素及びアルミニウムの原子数)/(硬化体表面の全元素の原子数)]が0.01未満であることが好ましい。
なお、X線光電子分光法による硬化体の表面組成分析は、例えば、下記の条件により実施することができる。
測定装置:アルバックファイ社製「PHI Quantera SXM」
X線源:AlKα
X線ビーム径:100μm
電力値:25W
電圧:15kV
取り出し角度:45°
測定範囲:500×500(μm2
帯電補正:Neutralizer及びArイオン照射
本発明の硬化体においては、上述のとおり、硬化体表面には無機充填材の粒子はほとんど存在せず実質的に樹脂成分からなる相が存在するが、硬化体表面から一定の深さ位置において、急激に無機充填材の粒子の割合が上昇する。斯かる本発明の硬化体の構造的特徴は、X線光電子分光法による表面組成分析の後、硬化体の深さ方向について組成分析を行うことによっても確認することができる。深さ方向の組成分析は、例えば、下記の手順で実施することができる。1)Arによるスパッタ処理、及び2)スパッタ処理後の表面組成分析を繰り返す。なお、2)スパッタ処理後の表面組成分析は、上記のX線光電子分光法による表面組成分析と同様の条件で実施することができる。そして、[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(スパッタ処理後の硬化体表面の全元素の原子数)]の値が所定のレベルとなるまでに要したスパッタ処理の回数を求める。このとき、Arによるスパッタ処理を、全ての硬化体試料について同じ条件とすることにより、求められたスパッタ処理の回数は、[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(スパッタ処理後の硬化体表面の全元素の原子数)]の値が所定のレベル以上となる、硬化体表面からの深さの指標となる。
Arによるスパッタ処理は、例えば、下記の条件で実施することができる。
・Arイオン
・加速電圧:5kV
・照射範囲:2mm×2mm
・1回あたりのスパッタリング時間:30秒間
上記の条件でArによるスパッタ処理を行う場合、本発明の硬化体は、[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(スパッタ処理後の硬化体表面の全元素の原子数)]の値が初めて0.01以上となるまでに要するスパッタ処理の回数は、4回以上である。粗化処理後に導体層に対してより高い剥離強度を呈する硬化体表面を実現する観点から、上記の条件でArによるスパッタ処理を行うとき、[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(スパッタ処理後の硬化体表面の全元素の原子数)]の値が初めて0.01以上となるまでに要するスパッタ処理の回数は、好ましくは5回以上、より好ましくは10回以上、さらに好ましくは15回以上、特に好ましくは20回以上である。なお、均一な組成並びに高い無機充填材含有量といったバルクの特性を保持する観点から、[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(スパッタ処理後の硬化体表面の全元素の原子数)]の値が初めて0.01以上となるまでに要するスパッタ処理の回数は、好ましくは100回以下、より好ましくは50回以下、更に好ましくは30回以下である。
[粗化硬化体]
従来の設計思想に基づく「均一」な組成を有する硬化体は、粗化処理において、表面に存在する無機充填材が脱離し、表面に凹凸が形成される。斯かる凹凸は、金属層(導体層)との間でアンカー効果を発揮し、粗化硬化体と金属層との間の剥離強度の向上に寄与すると考えられている。しかしながら、硬化体中の無機充填材の含有量が高くなると、斯かる凹凸によるアンカー効果をもってしても、粗化硬化体と金属層との間の剥離強度の低下は避けられない場合があり、また、粗化硬化体の表面粗さが高くなってしまう場合があった。
本発明の硬化体は、上記のとおり、硬化体の表面において外部環境に露出した無機充填材はほとんどない。本発明の硬化体に関しては、無機充填材を高い含有量にて含むものの、粗化処理による無機充填材の脱離は、従来の設計思想に基づく「均一」な組成を有する硬化体に比して起こり難い。本発明の硬化体は粗化処理後に金属層に対して優れた剥離強度を呈するが、これは、無機充填材の含有量と無機充填材の脱離とのバランスにおいて、金属層との剥離強度に寄与するような表面が再現されたことによるものと推察される。
粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して硬化体表面を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30〜90℃の膨潤液に硬化体を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。硬化体の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40〜80℃の膨潤液に硬化体を5秒〜15分浸漬させることが好ましい。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に硬化体を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクトP、ドージングソリューション・セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のリダクションショリューシン・セキュリガントPが挙げられる。中和液による処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面を30〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた対象物を、40〜70℃の中和液に5分〜20分浸漬する方法が好ましい。
好適な一実施形態において、本発明の粗化硬化体は、表面の二乗平均平方根粗さRqが350nm以下である。本発明の粗化硬化体の表面粗さRqは、好ましくは300nm以下、より好ましくは250nm以下、さらに好ましくは220nm以下、特に好ましくは200nm以下である。本発明の粗化硬化体においては、表面粗さRqが、180nm以下、160nm以下、140nm以下、又は120nm以下と非常に小さい場合であっても、金属層(導体層)に対し優れた剥離強度を呈する。一方、表面粗さRqの下限値は特に限定されないが、剥離強度を安定化させるために、10nm以上、30nm以上、50nm以上などとなる。
粗化硬化体の二乗平均平方根粗さRqは、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。非接触型表面粗さ計の具体例としては、ビーコインスツルメンツ製の「WYKO NT3300」が挙げられる。
[積層体]
本発明の積層体は、本発明の粗化硬化体と、該粗化硬化体の表面に形成された金属層とを備える。
金属層に使用する金属は特に限定されないが、好適な一実施形態では、金属層は、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。金属層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、金属層形成の汎用性、コスト、エッチングによる除去の容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
金属層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。金属層が複層構造である場合、粗化硬化体と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
金属層は、乾式メッキ又は湿式メッキにより形成することができる。乾式メッキとしては、例えば、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法が挙げられる。湿式メッキの場合は、例えば、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせて金属層を形成する。あるいは、金属層(導体層)とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで金属層を形成することもできる。配線パターン形成の方法としては、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
金属層の厚みは、プリント配線板の微細配線化の観点から、40μm以下が好ましく、1〜35μmがより好ましく、3〜20μmが更に好ましい。金属層が複層構造である場合も、金属層全体の厚みは上記範囲であることが好ましい。
本発明の積層体において、粗化硬化体と金属層との剥離強度は、好ましくは0.5kgf/cm以上、より好ましくは0.55kgf/cm以上、さらに好ましくは0.60kgf/cm以上、特に好ましくは0.65kgf/cm以上である。一方、剥離強度の上限値は特に限定されないが、1.2kgf/cm以下、0.9kgf/cm以下などとなる。
本発明の積層体は、粗化硬化体の表面粗さRqが350nm以下と小さいにもかかわらず、このように高い剥離強度を呈することから、プリント配線板の微細配線化に著しく寄与するものである。
なお本発明において、粗化硬化体と金属層との剥離強度とは、金属層を粗化硬化体に対して垂直方向(90度方向)に引き剥がしたときの剥離強度(90度ピール強度)をいい、金属層を粗化硬化体に対して垂直方向(90度方向)に引き剥がしたときの剥離強度を引っ張り試験機で測定することにより求めることができる。引っ張り試験機としては、例えば、(株)TSE製の「AC−50C−SL」等が挙げられる。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の硬化体により絶縁層が形成されることを特徴とする。
一実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述の接着シートを用いて製造することができる。斯かる実施形態においては、接着シートの樹脂組成物層が回路基板と接合するようにラミネート処理した後、上述の「加熱工程」及び「熱硬化工程」を実施して本発明の硬化体を回路基板上に形成することができる。なお、接着シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを除去した後に製造に供することができる。
ラミネート処理の条件は特に限定されず、接着シートを用いてプリント配線板の絶縁層を形成するにあたり使用される公知の条件を採用することができる。例えば、加熱されたSUS鏡板等の金属板を接着シートの支持体側からプレスすることにより行うことができる。この場合、金属板を直接プレスするのではなく、回路基板の回路凹凸に接着シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスを行うのが好ましい。プレス温度は、好ましくは70℃〜140℃の範囲であり、プレス圧力は好ましくは1kgf/cm〜11kgf/cm(9.8×10N/m〜107.9×10N/m)の範囲で行われ、プレス時間は好ましくは5秒間〜3分間の範囲である。また、ラミネート処理は、好ましくは20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施する。ラミネート処理は、市販されている真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
なお、本発明において、「回路基板」とは、主として、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物の内層回路基板も本発明でいう「回路基板」に含まれる。
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述の樹脂ワニスを用いて製造することができる。斯かる実施形態においては、樹脂ワニスをダイコーター等により回路基板上に均一に塗布し、加熱、乾燥させることにより回路基板上に樹脂組成物層を形成した後、上述の「加熱工程」及び「熱硬化工程」を実施して本発明の硬化体を回路基板上に形成することができる。樹脂ワニスに使用する有機溶剤並びに加熱、乾燥の条件は、接着シートの製造について説明したものと同様とし得る。
次いで、回路基板上に形成された硬化体に対して、上述の「粗化処理」を実施して粗化硬化体を形成した後、該粗化硬化体の表面に金属層(導体層)を形成する。なお、プリント配線板の製造においては、絶縁層に穴あけする穴あけ工程等をさらに含んでもよい。これらの工程は、当業者に公知である、プリント配線板の製造に用いられている各種方法に従って行うことができる。
[半導体装置]
上記のプリント配線板を用いて、半導体装置を製造することができる。
かかる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」は、別途記載のない限り、「質量部」を意味する。
まず各種測定方法・評価方法について説明する。
<樹脂面積比の測定>
実施例及び比較例で製造した硬化体の樹脂面積比は、硬化体表面に垂直な断面についてSEM観察し、深さd1(μm)から深さd2(μm)までの領域における樹脂面積Ad1−d2と、深さd2(μm)から深さd3(μm)までの領域における樹脂面積Ad2−d3とを測定し、得られたAd1−d2値及びAd2−d3値から算出した。
具体的には、樹脂面積はSEM観察像を画像として保存し、画像解析ソフトを使用して、樹脂部分を黒色、樹脂以外の無機充填材部分を白色として白黒2値化し、黒色部分のビット数を樹脂部分の面積とした。
樹脂面積比(A0-1/A1-2)は、硬化体表面に垂直な断面についてSEM観察し、硬化体表面から深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0-1と、深さ1μmから深さ2μmまでの領域における樹脂面積A1-2とを測定し、得られたA0-1値及びA1-2値から算出した。
また樹脂面積比(A0-0.5/A0.5-1)は、硬化体表面に垂直な断面についてSEM観察し、硬化体表面から深さ0.5μmまでの領域における樹脂面積A0-0.5と、深さ0.5μmから深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0.5-1とを測定し、得られたA0-0.5値及びA0.5-1値から算出した。
樹脂面積比(kA0.5-d/Ad-0.5D)は、硬化体表面に垂直な断面についてSEM観察し、深さ0.5μmから深さd(μm)までの領域における樹脂面積A0.5-dと、深さd(μm)から深さ0.5D(μm)までの領域における樹脂面積Ad-0.5Dとを測定し、得られたA0.5-d値及びAd-0.5D値から算出した。ここで、本実施例においては、d=1(μm)であり、D=35(μm)であり、k=|d−0.5D|/|0.5−d|=16.5/0.5=33であった。
なお、硬化体断面のSEM観察は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製集束イオンビーム/走査イオン顕微鏡「SMI3050SE」を用いて実施し、測定領域の幅は7.5μmとした。
<X線光電子分光法による硬化体の組成分析>
実施例及び比較例で製造した硬化体の表面組成、すなわち[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(硬化体表面の全元素の原子数)]は、X線光電子分光分析装置(アルバックファイ社製「PHI Quantera SXM」)を用いて、下記の条件にて行った。
X線源:AlKα
X線ビーム径:100μm
電力値:25W
電圧:15kV
取り出し角度:45°
測定範囲:500×500(μm2
帯電補正:Neutralizer及びArイオン照射
表面組成分析の後、硬化体の深さ方向について組成分析を行った。深さ方向の組成分析は、1)Arによるスパッタ処理、及び2)スパッタ処理後の表面組成分析を繰り返すことにより実施した。そして、[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(スパッタ処理後の硬化体表面の全元素の原子数)]の値が初めて0.01以上となるまでに要したスパッタ処理の回数を求めた。なお、Arによるスパッタ処理の条件は、下記のとおりであり、全ての硬化体試料について同じ条件とした。
Arイオン
加速電圧:5kV
照射範囲:2mm×2mm
1回あたりのスパッタリング時間:30秒間
<粗化硬化体の表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)の測定>
実施例及び比較例で得られた粗化硬化体の表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製、「WYKO NT3300」)を用いて、VSIモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値により二乗平均平方根粗さ(Rq)の値(nm)を求めた。また10点の平均値を求めることにより測定した。
<剥離強度の測定>
実施例及び比較例で製造した積層体の金属層(導体層)に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、剥離強度を求めた。測定には、引っ張り試験機((株)TSE製、「AC−50C−SL」)を使用した。
実施例及び比較例で使用した樹脂組成物層1、2、3又は4を有する接着シートは、下記の方法に従って調製した。
(樹脂組成物層1を有する接着シートの調製)
(1)樹脂ワニス1の調製
ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬(株)製「NC3000H」)20部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP−4700」)5部、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「jER828EL」)20部、及びフェノキシ樹脂(重量平均分子量35000、三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)12部を、MEK8部及びシクロヘキサノン8部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(フェノール性水酸基当量約124、DIC(株)製「LA−7054」、不揮発成分60質量%のMEK溶液)15部、活性エステル系硬化剤(活性エステル当量約223、DIC(株)製「HPC8000−65T」、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)5部、4級ホスホニウム系硬化促進剤であるテトラブチルホスホニウムデカン酸塩(北興化学工業(株)製「TBP−DA」)0.2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学製「KBM573」)で表面処理した球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」、平均粒径0.5μm、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)75部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS−1」、不揮発成分15質量%のエタノールとトルエンの質量比が1:1の混合溶液)2.5部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス1を調製した。
樹脂ワニス1中の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、無機充填材(球形シリカ)の含有量は、54.1質量%であった。
(2)接着シートの調製
支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm、以下「PETフィルム」と略称する。)を用意した。上記で得た樹脂ワニス1を、該支持体上に、ダイコーターにて均一に塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥させて樹脂組成物層1を形成した。樹脂組成物層1は、厚み40μm、残留溶剤量約2質量%であった。
次いで樹脂組成物層1の表面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(厚み15μm)を貼り合わせながらロール状に巻き取った。得られたロール状の接着シートを幅507mmにスリットして、寸法507mm×336mmの接着シートを得た。
(樹脂組成物層2を有する接着シートの調製)
(1)樹脂ワニス2の調製
ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬(株)製「NC3000H」)30部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP−4700」)5部、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「jER828EL」)15部、及びフェノキシ樹脂(重量平均分子量35000、三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)2部を、MEK8部及びシクロヘキサノン8部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(フェノール性水酸基当量約124、DIC(株)製「LA−7054」、不揮発成分60質量%のMEK溶液)30部、硬化促進剤(広栄化学工業(株)製、「4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)」)0.1部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学製「KBM573」)で表面処理した球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC1」、平均粒径0.24μm、単位面積当たりのカーボン量0.36mg/m)160部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS−1」、不揮発成分15質量%のエタノールとトルエンの質量比が1:1の混合溶液)2部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス2を調製した。
樹脂ワニス2中の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、無機充填材(球形シリカ)の含有量は、69.4質量%であった。
(2)接着シートの調製
樹脂ワニス1に代えて、上記で得た樹脂ワニス2を使用した以外は、上記「(樹脂組成物層1を有する接着シートの調製)」と同様にして、樹脂組成物層2を有する接着シート(寸法507mm×336mm)を調製した。
(樹脂組成物層3を有する接着シートの調製)
(1)樹脂ワニス3の調製
ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬(株)製「NC3000H」)35部、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「jER828EL」)15部、及びフェノキシ樹脂(重量平均分子量35000、三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)10部を、MEK8部及びシクロヘキサノン8部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有クレゾール系硬化剤(水酸基当量151、DIC(株)製「LA−3018−50P」)の固形分50質量%のメトキシプロパノール溶液10部、活性エステル系硬化剤(活性エステル当量約223、DIC(株)製「HPC8000−65T」、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)40部、硬化促進剤(広栄化学工業(株)製、「4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)」)0.5部、硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、「2−フェニル−4−メチルイミダゾール(2P4MZ)」)0.2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学製「KBM573」)で表面処理した球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC1」、平均粒径0.24μm、単位面積当たりのカーボン量0.36mg/m)200部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス3を調製した。
樹脂ワニス3中の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、無機充填材(球形シリカ)の含有量は、70.2質量%であった。
(2)接着シートの調製
樹脂ワニス1に代えて、上記で得た樹脂ワニス3を使用した以外は、上記「(樹脂組成物層1を有する接着シートの調製)」と同様にして、樹脂組成物層3を有する接着シート(寸法507mm×336mm)を調製した。
(樹脂組成物層4を有する接着シートの調製)
(1)樹脂ワニス4の調製
ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬(株)製「NC3000H」)35部、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「jER828EL」)15部、及びフェノキシ樹脂(重量平均分子量35000、三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)10部を、MEK8部及びシクロヘキサノン8部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有クレゾール系硬化剤(水酸基当量151、DIC(株)製「LA−3018−50P」)の固形分50質量%のメトキシプロパノール溶液10部、活性エステル系硬化剤(活性エステル当量約223、DIC(株)製「HPC8000−65T」、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)40部、硬化促進剤(広栄化学工業(株)製、「4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)」)0.3部、硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、「2−フェニル−4−メチルイミダゾール(2P4MZ)」)0.1部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学製「KBM573」)で表面処理した球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」、平均粒径0.5μm、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)300部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス4を調製した。
樹脂ワニス4中の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、無機充填材(球形シリカ)の含有量は、78.0質量%であった。
(2)接着シートの調製
樹脂ワニス1に代えて、上記で得た樹脂ワニス4を使用した以外は、上記「(樹脂組成物層1を有する接着シートの調製)」と同様にして、樹脂組成物層4を有する接着シート(寸法507mm×336mm)を調製した。
<実施例1>
下記の方法に従って、硬化体を製造した。得られた硬化体について、X線光電子分光法による表面分析、樹脂面積比の測定を行った。結果を表2に示す。
(硬化体の製造)
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路の形成されたガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔厚み18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製「R5715ES」)の両面を、メック(株)製「CZ8100」に浸漬して銅表面の粗化処理を行った。
(2)接着シートのラミネート処理
樹脂組成物層1を有する接着シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製、「MVLP-500」)を用いて、樹脂組成物層1が内層回路基板と接合するように、内層回路基板の両面にラミネート処理した。ラミネート処理は、30秒間減圧して空気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaで30秒間プレスすることにより行った。
(3)樹脂組成物の硬化
ラミネート処理された接着シートからPETフィルムを剥離し、表1に記載する硬化条件1で樹脂組成物を硬化して、内層回路基板の両面上に硬化体(銅上厚み35μm)を得た。
次いで、得られた硬化体を、下記の方法に従って粗化処理して、粗化硬化体を製造した。得られた粗化硬化体について、表面の二乗平均平方根粗さRqを測定した。結果を表2に示す。
(粗化硬化体の製造)
硬化体を、膨潤液(アトテックジャパン(株)製、「スエリングディップ・セキュリガンドP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル含有)に60℃で5分間浸漬させ、次いで粗化液(アトテックジャパン(株)製、「コンセントレート・コンパクトP」、過マンガン酸カリウム濃度約6質量%、水酸化ナトリウム濃度約4質量%の水溶液)に80℃で20分間浸漬させた。最後に中和液(アトテックジャパン(株)製、「リダクションソリューシン・セキュリガントP」)に40℃で5分間浸漬し、粗化硬化体を得た。
次いで、下記の方法に従って、得られた粗化硬化体の表面に金属層(導体層)を形成し、内層回路基板の両面上に積層体を得た。得られた積層体について、剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
(積層体の製造)
両面に粗化硬化体を有する内層回路基板を、塩化パラジウム(PdCl)を含む無電解めっき用溶液に浸漬し、次いで無電解銅めっき液に浸漬し、粗化硬化体表面にめっきシード層を形成した。その後、150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、めっきシード層上にエッチングレジストを形成し、エッチングによりめっきシード層をパターン形成した。次いで、硫酸銅電解めっきを行い、30±5μmの厚みの銅層(導体層)を形成した後、180℃にて60分間アニール処理し、内層回路基板の両面に積層体を得た。
<実施例2>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件2へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例3>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件3へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例4>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件4へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例5>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件5へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例6>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件6へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例7>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件7へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例8>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件8へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例9>
樹脂組成物層1を有する接着シートに代えて樹脂組成物層2を有する接着シートを使用した点、及び樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件4へと変更した点以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例10>
樹脂組成物層1を有する接着シートに代えて樹脂組成物層3を有する接着シートを使用した点、及び樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件4へと変更した点以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例11>
樹脂組成物層1を有する接着シートに代えて樹脂組成物層4を有する接着シートを使用した点、及び樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件4へと変更した点以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例1>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件9へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例2>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件10へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例3>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件11へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例4>
樹脂組成物の硬化条件を表1に記載する硬化条件12へと変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化体、粗化硬化体、及び積層体を製造し、評価を行った。結果を表2に示す。

Claims (13)

  1. エポキシ樹脂及び無機充填材を含み且つ無機充填材含有量が50質量%以上95質量%以下である樹脂組成物(但し、シアネートエステル系硬化剤とナフチレンエーテル型エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を除く。)を硬化させて得られる硬化体であって、
    硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0-1と、深さ1μmから深さ2μmまでの領域における樹脂面積A1-2とが、A0-1/A1-2>1.1を満たす、硬化体。
  2. エポキシ樹脂及び無機充填材を含み且つ無機充填材含有量が50質量%以上95質量%以下である樹脂組成物(但し、シアネートエステル系硬化剤とナフチレンエーテル型エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を除く。)を硬化させて得られる硬化体であって、
    硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ0.5μmまでの領域における樹脂面積A0-0.5と、深さ0.5μmから深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0.5-1とが、A0-0.5/A0.5-1>1.1を満たす、硬化体。
  3. 熱硬化性樹脂及び無機充填材を含み且つ無機充填材含有量が50質量%以上95質量%以下である樹脂組成物(但し、シアネートエステル系硬化剤とナフチレンエーテル型エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を除く。)を硬化させて得られる硬化体であって、
    硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0-1と、深さ1μmから深さ2μmまでの領域における樹脂面積A1-2とが、A0-1/A1-2>1.1を満たす、プリント配線板の絶縁層用硬化体。
  4. 熱硬化性樹脂及び無機充填材を含み且つ無機充填材含有量が50質量%以上95質量%以下である樹脂組成物(但し、シアネートエステル系硬化剤とナフチレンエーテル型エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を除く。)を硬化させて得られる硬化体であって、
    硬化体表面に垂直な断面において、硬化体表面から深さ0.5μmまでの領域における樹脂面積A0-0.5と、深さ0.5μmから深さ1μmまでの領域における樹脂面積A0.5-1とが、A0-0.5/A0.5-1>1.1を満たす、プリント配線板の絶縁層用硬化体。
  5. 硬化体表面に垂直な断面において、深さ0.5μmから深さdμmまでの領域における樹脂面積A0.5-dと、深さdμmから深さ0.5Dμmまでの領域における樹脂面積Ad-0.5Dとが、0.9≦kA0.5-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、kはk=|d−0.5D|/|0.5−d|を満たす係数であり、dは0.5<d<0.5Dを満たす数であり、Dは硬化体の厚みである。)を満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化体。
  6. X線光電子分光法により測定した、硬化体の表面における[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(硬化体表面の全元素の原子数)]が0.01未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化体。
  7. エポキシ樹脂及び無機充填材を含み且つ無機充填材含有量が50質量%以上95質量%以下である樹脂組成物(但し、シアネートエステル系硬化剤とナフチレンエーテル型エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を除く。)を硬化させて得られる硬化体であって、
    硬化体表面について、1)下記条件でのArによるスパッタ処理、及び2)スパッタ処理後のX線光電子分光法による表面組成分析を繰り返して行うとき、[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(スパッタ処理後の硬化体表面の全元素の原子数)]の値が初めて0.01以上となるまでに要するスパッタ処理の回数が4回以上100回以下である、硬化体。
    〔条件:Arイオン、加速電圧;5kV、照射範囲;2mm×2mm、1回あたりのスパッタリング時間;30秒間〕
  8. 熱硬化性樹脂及び無機充填材を含み且つ無機充填材含有量が50質量%以上95質量%以下である樹脂組成物(但し、シアネートエステル系硬化剤とナフチレンエーテル型エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を除く。)を硬化させて得られる硬化体であって、
    硬化体表面について、1)下記条件でのArによるスパッタ処理、及び2)スパッタ処理後のX線光電子分光法による表面組成分析を繰り返して行うとき、[(無機充填材由来の金属元素の原子数)/(スパッタ処理後の硬化体表面の全元素の原子数)]の値が初めて0.01以上となるまでに要するスパッタ処理の回数が4回以上100回以下である、プリント配線板の絶縁層用硬化体。
    〔条件:Arイオン、加速電圧;5kV、照射範囲;2mm×2mm、1回あたりのスパッタリング時間;30秒間〕
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化体を粗化処理して得られる、表面の二乗平均平方根粗さRqが10nm以上350nm以下である粗化硬化体。
  10. 請求項9に記載の粗化硬化体と、該粗化硬化体の表面に形成された金属層とを備える積層体。
  11. 粗化硬化体と金属層との剥離強度が0.5kgf/cm以上1.2kgf/cm以下である、請求項10に記載の積層体。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化体により絶縁層が形成されたプリント配線板。
  13. 請求項12に記載のプリント配線板を含む半導体装置。
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