JP2011246406A - 有機けい素化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来以上に粗化後の絶縁層表面の粗度が低くても、高いピール強度を有する導体層の形成が可能な無機充填剤を表面処理しうる素材を提供すること。
【解決手段】下式(1)で示される有機けい素化合物。
Figure 2011246406

[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基等を表し、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基等を表し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基等を表し、Rは炭素数1〜20のアルキル基等を表し、lは1〜8、mは1〜8、nは1〜3の任意の整数を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の有機けい素化合物に関する。
無機充填剤を樹脂組成物に配合することは公知であるが、近年の電子機器の小型化、高性能化により、回路基板のさらなる微細配線化が求められている。無機充填剤を配合すると粗化性は向上するものの、ピール強度を維持したままの低粗度の両立は困難であり、微細配線化も困難であった。これを改善する試みとして、無機充填剤に対してイミダゾールシランの表面処理を施すことにより、高ピール強度かつ低粗度の両立を目指す試みが特許文献1、2には開示されているが、必ずしも十分な性能ではなかった。
特開2000-297094号公報 国際公開2007/32424号パンフレット
本発明が解決しようとする課題は、従来以上に粗化後の絶縁層表面の粗度が低くても、高いピール強度を有する導体層の形成が可能な無機充填剤を表面処理しうる素材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の有機けい素化合物を用いることで、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含むものである。
[1]
下記一般式(1)で表される有機けい素化合物。
Figure 2011246406
(式中、Rは水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基などが挙げられる。Rは水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基などが挙げられる。Rは炭素原子数1〜20のアルキル基などが挙げられる。Rは炭素数1〜20のアルキル基などが挙げられる。lは1〜8、mは1〜8、nは1〜3の任意の整数である。)
[2]
上記[1]に記載の有機けい素化合物で表面処理したことを特徴とする無機充填材。
[3]
無機充填材を100質量%とした場合、有機けい素化合物の表面処理量が、0.1〜3質量%であることを特徴とする上記[2]に記載の無機充填材。
[4]
上記[2]〜[3]のいずれか1項に記載の無機充填材を含有することを特徴とする樹脂組成物。
[5]
絶縁層表面の表面粗度(Ra値)が5nm以上180nm以下であることを特徴とする上記[4]に記載の樹脂組成物。
[6]
上記[4]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする接着フィルム。
[7]
上記[4]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするプリプレグ。
[8]
上記[4]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするプリント配線板。
特定の有機けい素化合物を用いることにより、粗化後の絶縁層表面の粗度が低くても、高いピール強度を有する導体層の形成が可能な素材を提供できるようになった。
[有機けい素化合物]
本発明の有機けい素化合物は、下記一般式(1)で表すことができる。Rは水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基などが挙げられる。また、アルキル基を用いる場合は、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらの組合せのいずれであってもよく、疎水的になりすぎるのを防止するという観点から炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜4が更に一層好ましく、1〜2が特に好ましい。さらに、Rは結合してベンゼン環となっていてもよく、具体的には、本発明の有機けい素化合物がアントラセン型、フェナントレン型になることなどが挙げられる。
Figure 2011246406
(式中、Rは水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基などが挙げられる。Rは水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基などが挙げられる。Rは炭素原子数1〜20のアルキル基などが挙げられる。Rは炭素数1〜20のアルキル基などが挙げられる。lは1〜8、mは1〜8、nは1〜3の任意の整数である。)
は水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基などが挙げられる。また、アルキル基を用いる場合は、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらの組合せのいずれであってもよく、疎水的になりすぎるのを防止するという観点から炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜4が更に一層好ましく、1〜2が特に好ましい。
は炭素原子数1〜20のアルキル基などが挙げられる。また、アルキル基を用いる場合は、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらの組合せのいずれであってもよく、疎水的になりすぎるのを防止するという観点から炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜4が更に一層好ましく、1〜2が特に好ましい。
は炭素数1〜20のアルキル基などが挙げられる。また、アルキル基を用いる場合は、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらの組合せのいずれであってもよく、疎水的になりすぎるのを防止するという観点から炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜4が更に一層好ましく、1〜2が特に好ましい。
lは1〜8である。なかでも、1〜6が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜3が更に一層好ましく、3が更に一層好ましい。
mは1〜8である。なかでも、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜2が更に好ましく、2が更に一層好ましい。
nは1〜3である。なかでも、2〜3が好ましい。
本発明の有機けい素化合物は、ナフチルアミン化合物とクロロシラン化合物を反応させる事で合成することが出来る。ナフチルアミン化合物1モルに対して、クロロシラン化合物を0.5〜2モル反応させることで合成することが出来る。また、反応温度は80〜120℃、反応時間は5時間〜数日間で行うことが好ましい。この有機けい素化合物は、水で洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行うことで得る事ができる。
ナフチルアミン化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、1,8−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,3−ナフタレンジアミンなどが挙げられる。なかでも原料の安全性(変異原性を有しない)という観点から、1−ナフチルアミン、1,8−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,3−ナフタレンジアミンが好ましい。
クロロシラン化合物としては、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシランが挙げられる。なかでも無機物質との反応性を向上させるという観点から、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシランが好ましい。
本発明の有機けい素化合物の用途は、特に限定されないが、シランカップリング剤、樹脂添加剤、分散剤等として用いる事ができる。さらに無機充填材の表面処理剤、その無機充填材を用いた樹脂組成物、その樹脂組成物を用いた接着フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、更には銅張積層板、回路基板、ソルダーレジスト、アンダ−フィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、表面処理剤が必要とされる用途の広範囲に使用できる。なかでも、支持体上に塗布し樹脂組成物層を形成させて接着フィルムとするか、または繊維からなるシート状繊維基材中に該樹脂組成物を含浸させてプリプレグとすることが好ましい。本発明の樹脂組成物はワニス状態で回路基板に塗布して絶縁層を形成することもできるが、工業的には、接着フィルムまたはプリプレグ等のシート状積層材料の形態として絶縁層形成に用いられるのが好ましい。
[上記一般式(1)の有機けい素化合物で表面処理した無機充填材]
本発明の有機けい素化合物は、無機充填材の表面処理剤として用いる事ができる。無機充填材としては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。これらの中でもシリカが好ましく、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカがより好ましく、溶融シリカが更に好ましい。また、シリカとしては球状のものが好ましい。
無機充填材の平均粒径の上限値は、微細配線形成という観点から、5μmが好ましく、3μmがより好ましく、1μmが更に好ましく、0.7μmが更に一層好ましい。一方、無機充填材の平均粒径の下限値は、樹脂組成物を樹脂ワニスとした場合に、ワニスの粘度が上昇し取り扱い性が低下するのを防止するという観点から、0.05μmが好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。
無機充填材に表面処理する際に、特に限定されないが、本発明の有機けい素化合物の表面処理量の上限値は、絶縁樹脂シートの可撓性が低下するのを防止するという観点から、無機充填材を100質量%とした場合、3質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、1質量%が更に好ましい。一方、本発明の有機けい素化合物の表面処理量の下限値は、表面処理の効果を十分に得るという観点から、無機充填材を100質量%とした場合、0.1質量%が好ましく、0.3質量%がより好ましく、0.5質量%が更に好ましい。
本発明の有機けい素化合物を無機充填材に表面処理する方法は、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、トルエン等の溶剤で有機けい素化合物を0.001〜20質量%になるように希釈し、この液に無機充填材を浸漬させる湿式方法や、スプレーによって噴霧する乾式方法がある。また、より簡便には、三本ロールによる分散も可能である。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(a)上記一般式(1)の有機けい素化合物で表面処理した無機充填材を使用し、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有するものであれば(b)エポキシ樹脂、(c)硬化剤、(d)硬化促進剤、(e)熱可塑性樹脂、 (f)ゴム粒子、(g)難燃剤、(h)樹脂添加剤、(i)その他の熱硬化性樹脂、などを含有することができる。
(a)上記一般式(1)の有機けい素化合物で表面処理した無機充填材
本発明の樹脂組成物は、上記一般式(1)の有機けい素化合物で表面処理した無機充填材を使用する。無機充填材としては、特に限定されず、上記で述べたものを用いる事ができる。また、他にも耐湿性、分散性等の向上のため、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロビルトリメトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤、メルカトプロピルトリメトキシシラン、メルカトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン系カップリング剤、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等のシラン系カップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメテルシクロトリシラザン等のオルガノシラザン化合物、ブチルチタネートダイマー、チタンオクチレングリコレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリーn−ブトキシチタンモノステアレート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートのチタネート系カップリング剤などの表面処理剤を併用してもよい。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。また、上記一般式(1)の有機けい素化合物で表面処理した無機充填材とは、無機充填材と上記一般式(1)の有機けい素化合物を樹脂組成物中に別々に添加している場合も含むものとする。
本発明の樹脂組成物において、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、上記一般式(1)の有機けい素化合物で表面処理した無機充填材の含有量は10〜70質量%の範囲であるのが好ましく、20〜65質量%の範囲であるのがより好ましく、30〜60質量%であるのが更に好ましい。含有量が少なすぎると熱膨張率が上昇する傾向にあり、含有量が多すぎると硬化物の可撓性が低下する傾向にある。
(b)エポキシ樹脂
本発明の樹脂組成物において、絶縁性や機械特性を向上させるために、エポキシ樹脂を含有させる事ができる。エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
エポキシ樹脂は2種以上を併用してもよいが、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有するのが好ましい。また、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂であるエポキシ樹脂、および1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂を含有する態様がより好ましい。なお、本発明でいう芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環構造を有するエポキシ樹脂を意味する。
また、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂を併用する場合、その配合割合(液状:固形)は質量比で1:0.1〜1:2の範囲が好ましい。かかる範囲を超えて液状エポキシ樹脂の割合が多すぎると、樹脂組成物の粘着性が高くなり、接着フィルムの形態で使用する場合に、真空ラミネート時の脱気性が低下しボイドが発生しやすくなる傾向にある。また真空ラミネート時に保護フィルムや支持フィルムの剥離性の低下や、硬化後の耐熱性が低下する傾向にある。また、樹脂組成物の硬化物において十分な破断強度が得られにくい傾向にある。一方、かかる範囲を超えて固形エポキシ樹脂の割合が多すぎると、接着フィルムの形態で使用する場合に、十分な可撓性が得られず、取り扱い性が低下する、ラミネートの際の十分な流動性が得られにくいなどの傾向がある。
本発明の樹脂組成物において、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、エポキシ樹脂の含有量は10〜50質量%であるのが好ましく、15〜40質量%であるのがより好ましく、20〜30質量%であるのが更に好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記範囲外であると、硬化物の機械強度や耐水性が低下する傾向にある。
(c)硬化剤
本発明の樹脂組成物において、絶縁性や機械特性を向上させるために、硬化剤を含有させる事ができる。硬化剤としては、特に限定されないが、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤としては、耐熱性、耐水性に優れるという観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤やノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。市販品のフェノール系硬化剤としては、MEH−7700、MEH−7810、MEH7851−4H(明和化成社(株)製)、GPH(日本化薬(株)製)、TD2093−60M、TD−2090−60M、LF−7911、LF−6161、LF−4871、LA−7052、LA−7054、LA7751、LA−1356、LA3018−50P(DIC(株)製)等が挙げられる。市販品のナフトール系硬化剤としては、NHN、CBN(日本化薬(株)製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(東都化成(株)製)等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤はフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を有し、エポキシ樹脂の硬化作用を有するものをいう。活性エステル系硬化剤としては、EXB−9460(大日本インキ化学工業(株)製)、DC808、YLH1030(ジャパンエポキシレジン(株)製)が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、特に限定されるものではないが、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、500〜4500が好ましく、600〜3000がより好ましい。シアネートエステル樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。市販されているシアネートエステル樹脂としては、下式(2)で表されるフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30、シアネート当量124)、下式(3)で表されるビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製、BA230、シアネート当量232)、下式(4)で表されるジシクロペンタジエン構造含有シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、DT−4000、DT−7000)等が挙げられる。
Figure 2011246406
[式(2)中、nは平均値として任意の数(好ましくは0〜20)を示す。]
Figure 2011246406
Figure 2011246406
(式(4)中、nは平均値として0〜5の数を表す。)
酸無水物系硬化剤としては、特に限定されるものではないが、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸が共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物において、(a)エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数と、(b)硬化剤の反応基の合計数との比は、1:0.2〜1:2が好ましく、1:0.3〜1:1.5がより好ましく、1:0.4〜1:1が更に好ましい。なお樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。硬化剤の含有量が上記範囲外であると、硬化物の機械強度や耐水性が低下する傾向にある。
(d)硬化促進剤
本発明の樹脂組成物において、エポキシ樹脂と硬化剤を効率的に硬化させるために、硬化促進剤を含有させことができる。硬化促進剤としては、特に限定されないが、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、ホスホニウム系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
アミン系硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン(以下、DBUと略記する。)などのアミン化合物などが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
グアニジン系硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、 1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
ホスホニウム系硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂組成物において、硬化促進剤(金属系硬化促進剤を除く)の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.01〜0.5質量%の範囲がより好ましい。0.005質量%未満であると、硬化が遅くなり熱硬化時間が長く必要となる傾向にあり、1質量%を超えると樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向となる。
金属系硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、コバルト 、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂組成物において、金属系硬化促進剤の添加量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、金属系硬化触媒に基づく金属の含有量が25〜500ppmの範囲が好ましく、40〜200ppmの範囲がより好ましい。25ppm未満であると、低粗度の絶縁層表面への密着性に優れる導体層の形成が困難となる傾向にあり、500ppmを超えると、樹脂組成物の保存安定性、絶縁性が低下する傾向となる。
(e)熱可塑性樹脂
本発明の樹脂組成物において、可撓性を向上させるために、熱可塑性樹脂を含有させることができる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、トリメチルシクロヘキサン骨格から選択される1種以上の骨格を有するものが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。フェノキシ樹脂の末端はフェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製1256、4250(ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン製YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン製YL6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)や、その他東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製YL7553、YL6794、YL7213、YL7290、YL7482等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製のポリイミド「リカコートSN20」および「リカコートPN20」が挙げられる。また、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報、特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製のポリアミドイミド「バイロマックスHR11NN」および「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。また、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)社製のポリエーテルスルホン「PES5003P」等が挙げられる。ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベンアドバンストポリマーズ(株)社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の樹脂組成物において、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、熱可塑性樹脂の含有量は1〜20質量%であるのが好ましく、2〜15質量%であるのがより好ましく、3〜10質量%であるのが更に好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が少なすぎると、硬化物の可撓性が低下する傾向にあり、含有量が多すぎると、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、取り扱い性が困難になる傾向がある。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は8000〜70000の範囲であるのが好ましく、10000〜60000の範囲であるのがより好ましく、20000〜50000であるのが更に好ましい。分子量が小さすぎると硬化物と導体層のピール強度が低下する傾向にあり、分子量が大きすぎると、粗度が大きくなりやすい、熱膨張率が大きくなりやすいなどの傾向となる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
(f)ゴム粒子
本発明の樹脂組成物においては、硬化物の機械強度を高め、応力緩和効果を発現させるために、ゴム粒子を含有させることができる。ゴム粒子は、樹脂組成物を調製する際の有機溶媒にも溶解せず、エポキシ樹脂等の樹脂組成物中の成分とも相溶せず、樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在するものが好ましい。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。ゴム粒子としては、特に限定されないが、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリルニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。コアシェル型ゴム粒子は、粒子がコア層とシェル層を有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス層は例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N、(ガンツ化成(株)商品名)、メタブレンKW-4426(三菱レイヨン(株)商品名)が挙げられる。アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER-91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK-500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.5μm)(三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。
ゴム粒子の平均粒径は0.005〜1μmの範囲が好ましく、0.2〜0.6μmの範囲がより好ましい。本発明におけるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することが出来る。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、FPRA-1000(大塚電子(株)社製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
ゴム粒子を配合する場合の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分を100質量%とした場合、1〜10質量%の範囲であるのが好ましく、2〜5質量%の範囲であるのがより好ましい。
(g)難燃剤
本発明の樹脂組成物においては、難燃効果を向上させるために、難燃剤を含有させる事ができる。難燃剤としては、特に限定されないが、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のホスフィン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX310等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂等が挙げられる。有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルミド化合物、大塚化学(株)社製のSPB100、SPE100等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)社製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
(h)樹脂添加剤
本発明の樹脂組成物においては、本発明の効果が発揮される範囲で、樹脂添加剤を含有させることができる。樹脂添加剤としては、例えばシリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、シランカップリング剤、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
(i)その他の熱硬化性樹脂
本発明の樹脂組成物においては、本発明の効果が発揮される範囲で、マレイミド化合物、ビスアリルナジイミド化合物、ビニルベンジル樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂などのその他の熱硬化性樹脂を配合することもできる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。マレイミド樹脂としてはBMI1000、BMI2000、BMI3000、BMI4000、BMI5100(大和化成工業(株)製)、BMI、BMI−70、BMI−80(ケイ・アイ化成(株)製)、ANILIX−MI(三井化学ファイン(株)製)、ビスアリルナジイミド化合物としてはBANI−M、BANI−X(丸善石油化学工業(株)製)ビニルベンジル樹脂としてはV5000(昭和高分子(株)製)、ビニルベンジルエーテル樹脂としてはV1000X、V1100X(昭和高分子(株)製)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、配合成分を、必要により溶媒等を添加し、回転ミキサーなどを用いて混合する方法などが挙げられる。
[接着フィルム]
本発明の接着フィルムは、当業者に公知の方法、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、支持体上に、この樹脂ワニスを塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層への有機溶剤の含有量は10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。乾燥条件は、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。ワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
接着フィルムにおいて形成される樹脂組成物層の厚さは、導体層の厚さ以上とするのが好ましい。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。
支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドなどのプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムとしては、とくにPETが好ましい。支持体として銅箔、アルミニウム箔等の金属箔を使用し、金属箔付接着フィルムとすることもできる。保護フィルムは、同様のプラスチックフィルムを用いるのが好ましい。また支持体及び保護フィルムはマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
支持体の厚さは特に限定されないが、10〜150μmの範囲が好ましく、25〜50μmの範囲がより好ましい。
樹脂組成物層の支持体が密着していない面には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、1〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
支持体は、回路基板等にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持体を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができ、また硬化後の絶縁層の表面平滑性を向上させることができる。硬化後に剥離する場合、支持体には予め離型処理が施されるのが好ましい。なお、支持体上に形成される樹脂組成物層は、層の面積が支持体の面積より小さくなるように形成するのが好ましい。また接着フィルムは、ロール状に巻き取って、保存、貯蔵することができる。
[接着フィルムを用いた多層プリント配線板]
次に、上記のようにして製造した接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。
まず、接着フィルムを、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする。回路基板に用いられる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
上記ラミネートにおいて、接着フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて接着フィルム及び回路基板をプレヒートし、接着フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本発明の接着フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。真空ラミネートは、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
接着フィルムを回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分〜180分、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。熱硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、絶縁層を形成した後剥離する。
また、減圧下で、接着フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する工程は、一般の真空ホットプレス機を用いて行うことも可能である。この場合は、減圧下で加圧及び加熱をしながら、熱硬化してしまうのが好ましい。例えば、加熱されたSUS板等の金属板を支持体層側からプレスすることにより行うことができる。
プレス条件は、減圧度が1×10−2 MPa以下が好ましく、1×10−3 MPa以下がより好ましい。加熱及び加圧は、1段階で行うことも出来るが、樹脂のしみだしを制御する観点から2段階以上に条件を分けて行うのが好ましい。例えば、1段階目のプレスを、温度が70〜150℃、圧力が1〜15kgf/cm2 の範囲、2段階目のプレスを、温度が150〜200℃、圧力が1〜40kgf/cm2 の範囲で行うのが好ましい。各段階の時間は30〜120分で行うのが好ましい。市販されている真空ホットプレス機としては、例えば、MNPC−V−750−5−200(株)名機製作所製)、VH1−1603(北川精機(株)製)等が挙げられる。
次いで、回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけが好ましい。
次いで、絶縁層表面に粗化処理を行う。粗化処理は、酸化剤を使用した湿式粗化方法で行うのが好ましい。酸化剤としては、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等が挙げられる。ビルトアップ工法による多層プリント配線板の製造における絶縁層の粗化に汎用されている酸化剤である、アルカリ性過マンガン酸溶液(例えば過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液)を用いて粗化を行うのが好ましい。絶縁層表面に、粗化処理により凸凹のアンカーが形成される。粗化処理した絶縁層表面の表面粗度(Ra値)は、微細配線を形成するために、180nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、120nm以下が更に好ましく、90nm以下が更に一層好ましく、60nm以下が特に好ましい。また、絶縁層表面と導体層の密着を保つために、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。なお、表面粗度(Ra値)とは、表面粗さを表す数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。例えば、ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値により求めることができる。
次いで、無電解めっきと電解めっきを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのめっきレジストを形成し、無電解めっきのみで導体層を形成することもできる。なお導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。その後、導体層をパターン加工し回路形成する方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物を繊維からなるシート状繊維基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱により半硬化させることにより製造することができる。すなわち、本発明の樹脂組成物が繊維からなるシート状繊維基材に含浸した状態となるプリプレグとすることができる。繊維からなるシート状繊維基材としては、ガラスクロスやアラミド繊維等、プリプレグ用繊維として常用されているものを用いることができる。
ホットメルト法は、樹脂を有機溶剤に溶解することなく、樹脂を樹脂と剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートする、あるいはダイコーターにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。またソルベント法は、接着フィルムと同様、樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスにシート状繊維基材を浸漬し、樹脂ワニスをシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
[プリプレグを用いた多層プリント配線板]
次に、上記のようにして製造したプリプレグを用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。回路基板に本発明のプリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートで挟み、減圧下で加圧及び加熱をしながら、真空プレスで熱硬化する。加圧・加熱条件としては、圧力が5〜40kgf/cm(49×10〜392×10N/m)が好ましく、温度が120〜200℃で20〜100分であるのが好ましい。また接着フィルムと同様に、プリプレグを真空ラミネート法により回路基板にラミネートした後、熱硬化することも可能である。その後、上記で記載した方法と同様にして、硬化したプリプレグ表面を粗化した後、導体層をめっきにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明をいかなる意味においても制限するものではない。なお、以下の記載において、「部」は「質量部」を意味する。
<測定方法・評価方法>
まずは各種測定方法・評価方法について説明する。
<ピール強度及び表面粗度(Ra値)測定用サンプルの調製>
(1)回路基板の下地処理
回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製R5715ES)の両面をメック(株)製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理を行った。
(2)接着フィルムのラミネート
実施例及び比較例で作成した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機(株)製商品名)を用いて、回路基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
(3)樹脂組成物の硬化
ラミネートされた接着フィルムからPETフィルムを剥離し、100℃、30分さらに180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物を硬化し絶縁層を形成した。
(4)粗化処理
絶縁層を形成した回路基板を、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガンドPに60℃で10分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬し、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションショリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。この粗化処理後の回路基板をサンプル1とした。
(5)セミアディティブ工法によるめっき
絶縁層表面に回路を形成するために、回路基板を、PdClを含む無電解めっき用溶液に浸漬し、次に無電解銅めっき液に浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成の後に、硫酸銅電解めっきを行い、30±5μmの厚さで導体層を形成した。次に、アニール処理を180℃にて60分間行った。この回路基板をサンプル2とした。
<粗化後の表面粗度(Ra値)の測定及び評価>
サンプル1を非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値を求めた。そして、無作為に選んだ測定点の平均値を求めることにより測定した。表面粗度(Ra値)の値が、100nm未満の場合を「◎◎」とし、100nm以上130nm未満を「◎」とし、130nm以上160nm未満を「○」とし、160nm以上190nm未満を「△」とし、190nm以上220nm未満を「×」とし、220nm以上を「××」と評価した。
<めっき導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定及び評価>
サンプル2の回路基板の導体層に、幅10mm、長さ100mmの切込みをカッターを用いていれて、この一端を剥がしてつかみ具(株式会社ティー・エス・イー、オートコム型試験機 AC−50C−SL)で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定した。ピール強度の値が、0.54kgf/cm以上の場合を「◎」とし、0.54kgf/cm未満0.50kgf/cm以上の場合を「○」とし、0.50kgf/cm未満0.35kgf/cm以上の場合を「△」とし、0.35kgf/cm未満を「×」とし、測定を行うことが出来ないものを「××」と評価した。
(合成例1)
100 mL二口ナスフラスコに、1−ナフチルアミン3.60g(25.0mmol)、ヨウ化ナトリウム2.02g(13.5mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン8.08g(62.5mmol)を量り取り、トルエン20mL、脱水DMF2mLを加え90℃に加熱した。ここに3−クロロプロピルトリメトキシシラン4.60mL(25.0mmol)を加え、90℃にて3日間反応を行った。室温まで冷却後、トルエン40mLで希釈し、水20mLで2回洗浄した。得られた有機層を減圧下濃縮し、酢酸エチルとヘキサンを30:70で混合した溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行った。そして、4.10g(収率53.7%)で下記式(5)の有機けい素化合物を得た。化合物の同定(H NMR)は、BURKER 400 UltrashieldTM NMR spectrometerを用いて、指定した溶媒中、25℃で行った。化学シフトはテトラメチルシラン(0ppm)を基準物質としてδ値を表した。質量数(Ms)は、日本電子(株)社製JMS-T100DTを用いて測定した。反応溶媒は特に断りのない限り特級溶媒を使用し、アルゴン雰囲気下反応を行った。
H NMR(CDCl) δppm: 7.80-7.77(m,2H),7.44-7.41(m,2H),7.43(dd,1H,J=8.2,7.2 Hz),7.21(d,1H,J=8.2 Hz),6.60(d,1H,J =7.2Hz) ,4,48(br,1H),3.60(s,9H),3.31(m,2H),1.92-1.88(m,2H),0.82(t,2H,8.2 Hz)
Ms(DART) : [M+H]+=306.09
Figure 2011246406
(合成例2)
100mL三口ナスフラスコに、1−ナフチルアミン3.60g(25.0 mmol)、ヨウ化ナトリウム0.75g(5.0mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン8.08g(62.5mmol)を量り取り、トルエン 20mLを加え90℃に過熱した。ここに3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン4.48mL(25.0mmol)を加え、90℃にて3日間反応を行った。室温まで冷却後、水20mLで反応液を洗浄した。得られた有機層を減圧下濃縮し、酢酸エチルとヘキサンを15:85で混合した溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行った。そして、1.43g(収率19.8%)で下記式(6)の有機けい素化合物を得た。そして、合成例1と同様にして化合物の同定と質量数の測定を行った。
H NMR(CDCl) δppm: 7.82-7.77(m,2H),7.46-7.41(m,2H),7.34(dd,1H,J =8.2,7.4 Hz),7.21(d,1H,J =8.2 Hz),6.60(d,1H,J =7.4Hz),4,47(br,1H),3.54(s,6H),3.31-3.27(m,2H),1.91-1.83(m,2H),0.82(t,2H,J =8.2 Hz),0.16(s,3H)
Ms(DART) : [M+H]+=290.11
Figure 2011246406
(合成例3)
100mL二口ナスフラスコに、1、5−ジアミノナフタレン3.96g(25.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.75g(5.0mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン8.08g(62.5mmol)を量り取り、トルエン20mL、脱水DMF5mLを加え90℃に過熱した。ここに3−クロロプロピルトリメトキシシラン9.20mL(50.0mmol)を加え、90℃にて2日間反応を行った。室温まで冷却後、トルエン40mLで希釈し、水20mLで3回洗浄した。得られた有機層を減圧下濃縮し、酢酸エチルとヘキサンを40:60で混合した溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行った。そして、2.30g(収率28.7 %) で下記式(7)の有機けい素化合物を得た。そして、合成例1と同様にして化合物の同定と質量数の測定を行った。
H NMR(CDCl) δ ppm:7.29(dd,1H,J=8.5,7.6Hz),7.15(d,1H,J=8.5Hz),6.59(d,1H, J=7.6Hz),4,45(br,2H),3.59(s,18H),3.29−3.28(m,4H),1.91−1.83(m,4H),0.81(t,4H,J =8.2 Hz)
Ms(DART) : [M+H]+=483.12
Figure 2011246406
(実施例1)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」)10部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162、DIC(株)製「HP−4700」)6部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7553」、不揮発成分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)12部とをMEK8部、シクロヘキサノン8部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA−7054」不揮発成分60質量%のMEK溶液、フェノール性水酸基当量124)21.7部、4級ホスホニウム系硬化促進剤であるテトラブチルホスホニウムデカン酸塩(北興化学工業(株)製、「TBP−DA」)0.2部、合成例1の式(5)の有機けい素化合物0.45部で表面処理した球形シリカ(平均粒径0.5μm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理済「SOC2」アドマテックス社製)75部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS−1」、不揮発成分15質量%のエタノールとトルエンの1:1溶液)18部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。次に、かかる樹脂ワニスをポリエチレンテレフタレート(厚さ38μm、以下「PET」と略称する。)上に、乾燥後の樹脂厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥した(残留溶媒量約2質量%)。次いで樹脂組成物の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリット(slit)し、これより507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1で用いた式(5)の有機けい素化合物を、合成例2の式(6)の有機けい素化合物とした以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1で用いた式(5)の有機けい素化合物を、合成例3の式(7)の有機けい素化合物とした以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1で用いた式(5)の有機けい素化合物を加えないこと以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1で用いた式(5)の有機けい素化合物を、信越化学工業(株)社製KBM−573(フェニルアミノ基含有有機けい素化合物)とする以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。
(比較例3)
実施例1で用いた式(5)の有機けい素化合物を、日鉱マテリアルズ(株)社製IM-1000(イミダゾール含有有機けい素化合物)とする以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。なお、比較例3では、めっきが絶縁層表面に密着しておらず、ピール強度の測定が出来なかった。
結果を表1に示す。
Figure 2011246406
表1の結果から、実施例の樹脂組成物においては、絶縁層の表面粗度が低いにも関わらず、ピール強度が0.50kgf/cm以上となっていることがわかる。このように本発明においては、低い表面粗度と高いピール強度の両立が達成されるので、今後ますます重要となる微細配線化に有利であることがわかる。一方、本発明の有機けい素化合物を添加していない比較例1では、表面粗度が悪化し、ピール強度も低下している。比較例2では、フェニルアミノ基含有有機けい素化合物を使用しているが、表面粗度が200nmという高い値になってしまった。比較例3では、イミダゾール系有機けい素化合物を使用しているが、表面粗度が大きく、更にそもそもめっきがつかないという結果となった。
特定の有機けい素化合物を用いることで、従来以上に粗化後の絶縁層表面の粗度が低くても、高いピール強度を有する導体層の形成が可能となった。さらにそれを用いて表面処理されたシリカ、樹脂組成物、接着フィルム、プリプレグ、多層プリント配線板を提供できるようになった。更にこれらを搭載した、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、等の電気製品や、自動二輪車、自動車、電車、船舶、航空機、等の乗物も提供できるようになった。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される有機けい素化合物。
    Figure 2011246406
    (式中、Rは水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基などが挙げられる。Rは水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基などが挙げられる。Rは炭素原子数1〜20のアルキル基などが挙げられる。Rは炭素数1〜20のアルキル基などが挙げられる。lは1〜8、mは1〜8、nは1〜3の任意の整数である。)
  2. 請求項1に記載の有機けい素化合物で表面処理したことを特徴とする無機充填材。
  3. 無機充填材を100質量%とした場合、有機けい素化合物の表面処理量が、0.1〜3質量%であることを特徴とする請求項2に記載の無機充填材。
  4. 請求項2〜3のいずれか1項に記載の無機充填材を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  5. 絶縁層表面の表面粗度(Ra値)が5nm以上180nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項4〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする接着フィルム。
  7. 請求項4〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするプリプレグ。
  8. 請求項4〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とするプリント配線板。
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