JP2018103612A - ヘッドユニット及び液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高密度化された多数の駆動素子を有する駆動モジュールと接続される配線基板において駆動信号が劣化するおそれを低減させ、精度良く液体を吐出することが可能なヘッドユニットを提供すること。【解決手段】第1基板と、駆動素子と、第2基板とを有する駆動モジュールと、第1基板と第2基板とを接続するフレキシブル配線基板400とを備え、フレキシブル配線基板は、第1配線層と、第1配線層に対向する第2配線層と、駆動素子の第1端と電気的に接続される第1出力端子と、駆動素子の第2端と電気的に接続される第2出力端子と、第1出力端子と電気的に接続される第1配線と、第2出力端子と電気的に接続される第2配線と、第1配線層と第2配線層とを電気的に接続するスルーホールとを有し、スルーホールを介して、第2配線と第2出力端子とは電気的に接続されている、ヘッドユニット。【選択図】図15

Description

本発明は、ヘッドユニット及び液体吐出装置に関する。
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターなどの液体吐出装置には、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、ヘッド(インクジェットヘッド)において複数の吐出部のそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号にしたがって駆動されることにより、吐出部のノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)が吐出されて、ドットが形成される。特許文献1には、FPC(フレキシブルプリント回路基板)を介して駆動信号を圧電素子に転送する配線が設けられたインクジェットヘッドが開示されている。
特開2013−10228号公報
近年、インクジェットヘッド(ヘッドユニット)においては、ノズルの高密度化などにより同時に駆動されるノズル数(圧電素子等の駆動素子の数)が増加してきており、これに伴い、FPC等の配線基板に設けられた駆動信号転送配線を流れる電流も増大している。一方、1つの配線基板の駆動信号転送配線と電気的に接続される多数の駆動素子を含む駆動モジュールの数が増加すると、インクジェットヘッドの大型化を避けるためには、各駆動モジュールのサイズを小型化する必要が生じ、駆動モジュールと接続される配線基板のサイズが非常に小さくなる。そのため、駆動信号転送配線を流れる電流の増加に対して、配線基板の配線面積を十分に確保することができずに配線インピーダンスが増加し、その結果、駆動信号の転送精度が劣化して液体の吐出精度が低下する可能性がある。具体的には、1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上の駆動素子を有する駆動モジュールを備えるインクジェットヘッドにおいては、同時に駆動される駆動素子が非常に多くなり、大電流が流れやすくなるため、このような問題がより一層顕著になる。
本発明は、以上のような問題の少なくとも一部に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、高密度化された多数の駆動素子を有する駆動モジュールと接続される配線基板において駆動信号が劣化するおそれを低減させ、精度良く液体を吐出することが可能なヘッドユニット及び当該ヘッドユニットを備えた液体吐出装置を提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係るヘッドユニットは、第1基板と、1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上の駆動素子と、第2基板と、を有する駆動モジュールと、前記第1基板と前記第2基板とを接続するフレキシブル配線基板と、を備え、前記フレキシブル配線基板は、第1配線層と、前記第1配線層に対向する第2配線層と、前記駆動素子の第1端と電気的に接続される第1出力端子と、前記駆動素子の第2端と電気的に接続される
第2出力端子と、前記第1出力端子と電気的に接続される第1配線と、前記第2出力端子と電気的に接続される第2配線と、前記第1配線層と前記第2配線層とを電気的に接続するスルーホールと、を有し、前記第2配線は前記第2配線層に設けられており、前記スルーホールを介して、前記第2配線と前記第2出力端子とは電気的に接続されている。
駆動素子は、例えば、圧電素子でもよいし、発熱素子でもよい。また、フレキシブル配線基板は単層基板であってもよいし、多層基板であってもよい。
「1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上の駆動素子を有する駆動モジュール」とは、300個以上の駆動素子が1インチ当たり300個以上の密度で並べられた駆動素子列を複数有する駆動モジュールであってもよいし、600個以上の駆動素子が1インチ当たり300個以上の密度で並べられた駆動素子列を1つのみ有する駆動モジュールであってもよい。
前記第1配線は、基準電圧信号を転送する基準電圧信号転送配線及び駆動信号を転送する駆動信号転送配線のいずれか一方であり、前記第2配線は、前記基準電圧信号転送配線及び前記駆動信号転送配線のいずれか一方であってもよい。
「スルーホール」とは、フレキシブル配線基板の第1配線層と第2配線層との間を貫通する開口部(穴)と、その内面に設けられ、第1配線層と第2配線層とを電気的に接続する導体と、を含む構造体であり、「ビア」とも呼ばれる。
本適用例に係るヘッドユニットでは、駆動モジュールが高密度化された多数の駆動素子を有するため、同時に駆動される駆動素子が多くなり、駆動モジュールと接続されるフレキシブル配線基板において、第1出力端子を介して駆動素子の第1端と電気的に接続される第1配線を流れる電流や、第2出力端子を介して駆動素子の第2端と電気的に接続される第2配線を流れる電流が大きくなりやすい。これに対して、本適用例に係るヘッドユニットでは、フレキシブル配線基板は第1配線層と第2配線層とを有しており、第2配線が第2配線層に設けられ、かつ、第1配線が第1配線層に設けられることにより、あるいは、第2配線層に十分な空き領域があれば第1配線も第2配線層に設けられることにより、第1配線及び第2配線のそれぞれの面積が十分に確保される。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、駆動素子を駆動する駆動信号を転送する第1配線あるいは第2配線の配線インピーダンスが低減され、フレキシブル配線基板において駆動信号が劣化するおそれを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
さらに、本適用例に係るヘッドユニットによれば、フレキシブル配線基板は、第1配線層と第2配線層とを有しているため、大きな配線領域を確保しながらサイズが小さくなるので、駆動モジュールの小型化にも対応することができる。従って、本適用例に係るヘッドユニットの小型化を実現することができる。
[適用例2]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記フレキシブル配線基板は、前記第1配線と電気的に接続される第1入力端子と、前記第2配線と電気的に接続される第2入力端子と、をさらに有し、前記第1出力端子及び前記第2出力端子は、前記フレキシブル配線基板の第1の辺に沿って設けられ、前記第1入力端子及び前記第2入力端子は、前記フレキシブル配線基板の前記第1の辺とは異なる第2の辺に沿って設けられていてもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、フレキシブル配線基板において、第1の入力端子及び第2入力端子と第1出力端子及び第2出力端子とが互いに異なる辺に沿って設けられているので、第1配線及び第2配線が効率良く配置される。従って、本適用例に係るヘッ
ドユニットによれば、第1配線及び第2配線のそれぞれの配線インピーダンスが低減され、フレキシブル配線基板において駆動信号が劣化するおそれを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例3]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記フレキシブル配線基板は、液体の吐出を制御する制御信号が入力される制御信号入力端子と、前記制御信号入力端子と電気的に接続され、前記制御信号を転送する制御信号転送配線と、前記制御信号転送配線と電気的に接続され、前記制御信号を前記駆動モジュールに出力する制御信号出力端子と、をさらに有し、前記制御信号転送配線は、前記フレキシブル配線基板の前記第1配線層において、前記第2配線が設けられている領域と対向しない領域に設けられていてもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、フレキシブル配線基板において、制御信号転送配線と第2配線とが対向していないので、第2配線から放射されるノイズが制御信号に与える影響を低減させることができる。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、フレキシブル配線基板において、制御信号の転送精度が劣化するおそれを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例4]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記フレキシブル配線基板は、電源電圧信号が入力される電源電圧信号入力端子と、前記電源電圧信号入力端子と電気的に接続され、前記電源電圧信号を転送する電源電圧信号転送配線と、前記電源電圧信号転送配線と電気的に接続され、前記電源電圧信号を前記駆動モジュールに出力する電源電圧信号出力端子と、をさらに有し、前記電源電圧信号転送配線は、前記フレキシブル配線基板の前記第2配線層に設けられており、前記制御信号転送配線は、前記電源電圧信号転送配線が設けられている領域と対向する領域に設けられていてもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、フレキシブル配線基板において、制御信号転送配線と電源電圧信号転送配線とが対向しているので、制御信号が電源電圧信号転送配線によってガードされる。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、フレキシブル配線基板において、制御信号の転送精度が劣化するおそれを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例5]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記第1配線は、前記第1配線層に設けられており、前記第1配線は、前記第2配線と対向していてもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、第2配線、駆動素子、第1配線の順に、あるいは、第1配線、駆動素子、第2配線の順に電流が流れる電流経路が存在するが、フレキシブル配線基板において、第1配線と第2配線とが異なる2つの配線層において対向して設けられているため、当該電流経路が短くなる。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、駆動素子を駆動するための電流経路のインピーダンスを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例6]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記フレキシブル配線基板は、複数の前記第2配線を有し、前記第1配線は、基準電圧信号を転送する基準電圧信号転送配線であり、前記複数の前記第2配線は、第1駆動信号を転送する第1駆動信号転送配線と、第2駆動信号を転送する第2駆動信号転送配線と、を含んでもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、第1駆動信号転送配線と第2駆動信号転送配線とが第2配線層に設けられ、かつ、基準電圧信号転送配線が第1配線層に設けられることにより、あるいは、第2配線層に十分な空き領域があれば基準電圧信号転送配線も第2配線層に設けられることにより、第1駆動信号転送配線、第2駆動信号転送配線及び基準電圧信号転送配線のそれぞれの面積が十分に確保される。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、第1駆動信号転送配線及び第2駆動信号転送配線のそれぞれの配線インピーダンスが低減され、フレキシブル配線基板において第1駆動信号及び第2駆動信号が劣化するおそれを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例7]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記第1駆動信号は、前記第2駆動信号よりも振幅が大きく、前記第2配線層において、前記第1駆動信号転送配線は、前記第2駆動信号転送配線よりも前記フレキシブル配線基板の端側に設けられていてもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、フレキシブル配線基板において、振幅が大きい第1駆動信号を転送する第1駆動信号転送配線は端側に設けられているので、各種の信号を転送する配線が第1駆動信号転送配線から離れた領域に設けられる。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、フレキシブル配線基板において、第1駆動信号転送配線から放射される大きなノイズが当該各種の信号に与える影響を低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例8]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記第1駆動信号転送配線の幅は、前記第2駆動信号転送配線の幅とは異なってもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、フレキシブル配線基板において、第1駆動信号の振幅に応じた適正な幅の第1駆動信号転送配線と、第2駆動信号の振幅に応じた適正な幅の第2駆動信号転送配線とが設けられるので、第1駆動信号転送配線及び第2駆動信号転送配線のそれぞれの配線インピーダンスを適正な値にすることができる。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、第1駆動信号及び第2駆動信号の転送精度が劣化するおそれを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例9]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記第1駆動信号は、前記第2駆動信号よりも振幅が大きく、前記第1駆動信号転送配線の幅は、前記第2駆動信号転送配線の幅よりも大きくてもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、フレキシブル配線基板において、第2駆動信号よりも振幅が大きい第1駆動信号を転送する第1駆動信号転送配線の幅が第2駆動信号を転送する第2駆動信号転送配線の幅よりも大きいので、第1駆動信号転送配線の配線インピーダンスをより低減させることができる。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、第1駆動信号及び第2駆動信号の転送精度が劣化するおそれを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例10]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記フレキシブル配線基板は、電源電圧信号を転送する電源電圧信号転送配線又はグラウンド電圧信号を転送するグラウンド電圧信号転送配線をさらに有し、前記第2配線層において、前記第2配線は、前記電源電圧信号転送配線又は前記グラウンド電圧信号転送配線よりも前記フレキシブル配線基板の端側に設けられていてもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、フレキシブル配線基板において、大きな電流が流れる第2配線は電源電圧信号転送配線又はグラウンド電圧信号転送配線よりも端側に設けられているので、電源電圧信号転送配線又はグラウンド電圧信号転送配線によって、第2配線から放射されるノイズに対して各種の信号がガードされる。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、フレキシブル配線基板において、第2配線から放射される大きなノイズが当該各種の信号に与える影響を低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例11]
上記適用例に係るヘッドユニットにおいて、前記第1駆動信号転送配線と前記第2駆動信号転送配線は、共に前記第2配線層に設けられており、前記基準電圧信号転送配線は、前記第1配線層に設けられており、前記第1駆動信号転送配線と前記第2駆動信号転送配線の両方に対向していてもよい。
本適用例に係るヘッドユニットでは、第1駆動信号転送配線又は第2駆動信号転送配線、駆動素子、基準電圧信号転送配線の順に、あるいはその逆順に電流が流れる電流経路が存在するが、フレキシブル配線基板において、第1駆動信号転送配線及び第2駆動信号転送配線と基準電圧信号転送配線とが異なる2つの配線層において対向して設けられているため、当該各電流経路が短くなる。従って、本適用例に係るヘッドユニットによれば、駆動素子を駆動するための各電流経路のインピーダンスを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
[適用例12]
本適用例に係る液体吐出装置は、第1基板と、1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上の駆動素子と、第2基板と、を有する駆動モジュールと、前記第1基板と前記第2基板とを接続するフレキシブル配線基板と、を備え、前記フレキシブル配線基板は、第1配線層と、前記第1配線層に対向する第2配線層と、前記駆動素子の第1端と電気的に接続される第1出力端子と、前記駆動素子の第2端と電気的に接続される第2出力端子と、前記第1出力端子と電気的に接続される第1配線と、前記第2出力端子と電気的に接続される第2配線と、前記第1配線層と前記第2配線層とを電気的に接続するスルーホールと、を有し、前記第2配線は前記第2配線層に設けられており、前記スルーホールを介して、前記第2配線と前記第2出力端子とは電気的に接続されている。
本適用例に係る液体吐出装置では、駆動モジュールが高密度化された多数の駆動素子を有するため、同時に駆動される駆動素子が多くなり、駆動モジュールと接続されるフレキシブル配線基板において、第1出力端子を介して駆動素子の第1端と電気的に接続される第1配線を流れる電流や、第2出力端子を介して駆動素子の第2端と電気的に接続される第2配線を流れる電流が大きくなりやすい。これに対して、本適用例に係る液体吐出装置では、フレキシブル配線基板は第1配線層と第2配線層とを有しており、第2配線が第2配線層に設けられ、かつ、第1配線が第1配線層に設けられることにより、あるいは、第2配線層に十分な空き領域があれば第1配線も第2配線層に設けられることにより、第1配線及び第2配線のそれぞれの面積が十分に確保される。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、駆動素子を駆動する駆動信号を転送する第1配線あるいは第2配線の配線インピーダンスが低減され、フレキシブル配線基板において駆動信号が劣化するおそれを低減させることができるので、精度良く液体を吐出することができる。
さらに、本適用例に係る液体吐出装置によれば、フレキシブル配線基板は、第1配線層と第2配線層とを有しているため、大きな配線領域を確保しながらサイズが小さくなるので、駆動モジュールの小型化にも対応することができる。
液体吐出装置の概略構成を示す平面図である。 液体吐出装置の概略構成を示す側面図である。 ヘッドユニットのノズル面を示す平面図である。 液体吐出装置の電気的な構成を示すブロック図である。 駆動信号COM−Ai,COM−Biの波形を示す図である。 駆動信号Voutの波形を示す図である。 選択制御部の構成を示す図である。 デコーダーのデコード内容を示す図である。 選択部の構成を示す図である。 選択制御部及び選択部の動作を説明するための図である。 ヘッドユニットの構成を示す分解斜視図である。 駆動モジュールの内部構造を説明する断面図である。 配線基板の斜視図である。 配線基板の第1面の平面図である。 配線基板の第2面を第1面側から透視した平面図である。 配線基板とヘッドユニットの中継基板及び駆動モジュールの封止板とが接続された状態を示す図である。 配線基板の出力端子群の一部を短辺P2側から視た側面図である。 配線基板の入力端子群の一部を長辺Q2側から視た側面図である。 配線基板を図14及び図15に示すA−A’線で切った断面を短辺P2側から視た断面図である。 本実施形態における配線基板の構成を概略的に示す図である。 配線基板の変形例の構成を概略的に示す図である。 配線基板の変形例の構成を概略的に示す図である。 配線基板の変形例の構成を概略的に示す図である。 配線基板の変形例の構成を概略的に示す図である。 配線基板の変形例の構成を概略的に示す図である。 駆動信号の変形例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.液体吐出装置の概要
本実施形態に係る液体吐出装置の一例としての印刷装置は、外部のホストコンピューターから供給された画像データに応じてインク(液体)を吐出させることによって、紙などの印刷媒体にインクドット群を形成し、これにより、当該画像データに応じた画像(文字、図形等を含む)を印刷するインクジェットプリンターである。
図1は、液体吐出装置1を模式的に示した平面図であり、図2は、液体吐出装置1の側面図である。ここで、液体吐出装置1の幅方向(図1において紙面下から上の方向)を「第1の方向X」と称する。また、第1従動ローラー43から第2搬送ローラー72へ向かう方向を「第2の方向Y」と称する。また、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に交差し、液体吐出装置1の高さ方向(図1において紙面垂直方向)を「第3の方向Z」と称する。なお、本実施形態では、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zは、互いに直交するものとするが、各構成の配置が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
本実施形態の液体吐出装置1は、被噴射媒体である記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、ラインヘッド方式のインクジェットプリンターである。
液体吐出装置1は、複数のヘッドユニット32(インクジェットヘッド)と、ヘッドユニット32が搭載されたベース3と、インクを貯留したインクタンク等の液体貯留手段4と、第1搬送手段5と、第2搬送手段6と、装置本体7と、を備えている。
ヘッドユニット32は、図3に示すように複数の駆動モジュール20(20−1〜20−4)が、記録シートSの搬送方向と交差する記録シートSの幅方向(第1の方向X)に並んでいる。また、各駆動モジュール20における記録シートSとの対向面(第3の方向Z)では、駆動モジュール20に設けられたインクを吐出する多数のノズル122が第1の方向Xに所定の間隔おきに並んでいる。そして、後述するように、各ノズル122に対して、液体を吐出させるための駆動素子である圧電素子60(図4参照)が1つ設けられている。特に、本実施形態では、駆動モジュール20は、1インチ当たり300個以上の密度で並べられたノズル122(圧電素子60)を600個以上有している。例えば、駆動モジュール20が複数のノズル列(図3では2列)を有し、各ノズル列に300個以上のノズル122(圧電素子60)が設けられてもよいし、駆動モジュール20が600個以上のノズル122(圧電素子60)が設けられた1つのノズル列のみを有していてもよい。なお、図3では、ヘッドユニット32を第3の方向Zから見たときの駆動モジュール20とノズル122の位置を仮想的に示す。第2の方向Yで隣り合う駆動モジュール20(例えば、駆動モジュール20−1と駆動モジュール20−2)の端部のノズル122の位置は少なくとも一部が重複している。また、ノズル122は、記録シートSのX方向における幅以上に亘って、第1の方向Xに所定の間隔おきに並んでいる。即ち、ヘッドユニット32の下を停まることなく搬送される記録シートSに対して、ヘッドユニット32がノズル122からインクを吐出することで、液体吐出装置1は、記録シートSに印刷を行う。
なお、図3では、紙面の都合上、ヘッドユニット32に属する駆動モジュール20を4個(駆動モジュール20−1〜20−4)として示しているがこれに限るものではない。つまり、駆動モジュール20は4個より多くても少なくてもよい。また、図3の駆動モジュール20は千鳥格子状に配置されているが、このような配置に限るものではない。
図1および図2に戻り、ベース3は、第2の方向Yに並設された2つのヘッドユニット32を保持している。
液体貯留手段4は、ヘッドユニット32にインクを供給する。本実施形態では、液体貯留手段4は、装置本体7に固定され、液体貯留手段4からチューブ等の供給管8を介してインクをヘッドユニット32に供給する。
第1搬送手段5は、ヘッドユニット32の第2の方向Yの一方側に設けられている。第1搬送手段5は、第1搬送ローラー42と、第1搬送ローラー42に従動する第1従動ローラー43と、を備えている。第1搬送ローラー42は、記録シートSのインクが着弾する着弾面SP1とは反対側の裏面SP2側に設けられており、第1駆動モーター41の駆動力によって駆動される。また、第1従動ローラー43は、記録シートSの着弾面SP1側に設けられており、第1搬送ローラー42との間で記録シートSを挟持する。このような第1従動ローラー43は、図示しないばね等の付勢部材によって記録シートSを第1搬送ローラー42側に向かって押圧している。
第2搬送手段6は、第2駆動モーター71、第2搬送ローラー72、第2従動ローラー
73、搬送ベルト74及びテンションローラー75を具備する。
第2搬送ローラー72は、第2駆動モーター71の駆動力によって駆動される。搬送ベルト74は、無端ベルトからなり、第2搬送ローラー72と第2従動ローラー73との外周に掛けられている。このような搬送ベルト74は、記録シートSの裏面SP2側に設けられている。テンションローラー75は、第2搬送ローラー72と第2従動ローラー73との間に設けられて、搬送ベルト74の内周面に当接し、ばね等の付勢部材76の付勢力によって搬送ベルト74に張力を付与している。これにより、搬送ベルト74は、第2搬送ローラー72と第2従動ローラー73との間でヘッドユニット32に相対向する面が平坦になっている。
即ち、本実施形態の液体吐出装置1では、第1搬送手段5及び第2搬送手段6によって記録シートSを、第2の方向Yに搬送する。そして、ヘッドユニット32からインクを噴射させて、噴射したインクを記録シートSの着弾面SP1に着弾させることで、印刷を行う。
なお、本実施形態では、液体吐出装置1として、ヘッドユニット32が装置本体7に固定されて、記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、ラインヘッド方式のインクジェットプリンターを例示した。しかしながら、液体吐出装置1の実施形態はラインヘッド方式に限定されない。例えば、液体吐出装置1は、ヘッドユニット32を記録シートSの搬送方向である第2の方向Yと交差する第1の方向Xに移動するキャリッジに搭載して、ヘッドユニット32を第1の方向Xに移動しながら印刷を行う、シリアル方式のインクジェットプリンターであっても良い。
2.液体吐出装置の電気的構成
図4は、本実施形態の液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示されるように、液体吐出装置1は、N個のヘッドユニット32(図1及び図2参照)と、各ヘッドユニット32からの液体の吐出を制御する制御ユニット10と、制御ユニット10と各ヘッドユニット32とを接続するN個のフレキシブルフラットケーブル190及びN個のフレキシブルフラットケーブル191とを備えている。
制御ユニット10は、N個の吐出制御モジュール100を備えている。N個の吐出制御モジュール100は、それぞれ、制御信号生成部11と、制御信号変換部12と、制御信号送信部13と、駆動データ生成部14と、定電圧生成部15とを有する。
制御信号生成部11は、ホストコンピューターから画像データ等の各種の信号が供給されたときに、各部を制御するための各種の制御信号等を出力する。
具体的には、制御信号生成部11は、ホストコンピューターからの各種の信号に基づき、吐出部600からの液体の吐出を制御する複数種類の原制御信号として、n個(n≧1)の原印刷データ信号sSI1〜sSIn、n個の原ラッチ信号sLAT1〜sLATn及びn個の原チェンジ信号sCH1〜sCHnを生成し、パラレル形式で制御信号変換部12に出力する。なお、複数種類の原制御信号には、これら信号の一部が含まれていなくてもよいし、他の信号が含まれていてもよい。
制御信号変換部12は、制御信号生成部11から出力される原印刷データ信号sSIi(iは1〜nのいずれか)、原ラッチ信号sLATi、原チェンジ信号sCHiを、それぞれ1つのシリアル形式の原シリアル制御信号sSiに変換(シリアライズ)し、制御信号送信部13に出力する。
制御信号送信部13は、制御信号変換部12から出力されるn個の原シリアル制御信号sS1〜sSnをそれぞれ2つの信号で構成される差動信号dS1〜dSnに変換し、差動信号dS1〜dSnを、フレキシブルフラットケーブル191を介してヘッドユニット32に送信する。また、制御信号送信部13は、フレキシブルフラットケーブル191を介した差動信号dS1〜dSnの高速シリアルデータ転送に用いられる差動クロック信号dClkを生成し、差動クロック信号dClkを、フレキシブルフラットケーブル191を介してヘッドユニット32に送信する。例えば、制御信号送信部13は、LVDS(LowVoltageDifferentialSignaling)転送方式の差動信号dS1〜dSn及び差動クロック信号dClkを生成し、ヘッドユニット32に送信する。LVDS転送方式の差動信号はその振幅が350mV程度であるため高速データ転送を実現することができる。なお、制御信号送信部13は、LVDS以外のLVPECL(Low Voltage Positive Emitter Coupled Logic)やCML(Current Mode Logic)等の各種の高速転送方式の差動信号dS1〜dSn及び差動クロック信号dClkを生成し、ヘッドユニット32に送信してもよい。
駆動データ生成部14は、ホストコンピューターからの各種の信号に基づき、ヘッドユニット32が備えるn個の駆動モジュール20(20−1〜20−n)を駆動する駆動信号の元となるデジタルデータである2n個の駆動データdA1〜dAn,dB1〜dBnを生成し、フレキシブルフラットケーブル190を介して、ヘッドユニット32に送信する。本実施形態では、駆動データdA1〜dAn,dB1〜dBnは、駆動信号の波形(駆動波形)をアナログ/デジタル変換したデジタルデータである。ただし、駆動データdA1〜dAn,dB1〜dBnは、直近の駆動データに対する差分を示すデジタルデータであってもよいし、駆動波形において傾きが一定の各区間の長さとそれぞれの傾きとの対応関係を規定するデジタルデータであってもよい。
n個の駆動回路50−a1〜50−anは、それぞれ、駆動データ生成部14から出力される駆動データdA1〜dAnに基づいて、ヘッドユニット32が備える駆動モジュール20−1〜20−nのそれぞれを駆動する駆動信号COM−A1〜COM−Anを生成する。同様に、n個の駆動回路50−b1〜50−bnは、それぞれ、駆動データ生成部14から出力される駆動データdB1〜dBnに基づいて、駆動モジュール20−1〜20−nのそれぞれを駆動する駆動信号COM−B1〜COM−Bnを生成する。例えば、駆動回路50−a1〜50−an,50−b1〜50−bnは、それぞれ、駆動データdA1〜dAn,dB1〜dBnをデジタル/アナログ変換した後にD級増幅して駆動信号COM−A1〜COM−An,COM−B1〜COM−Bnを生成してもよい。なお、2n個の駆動回路50(50−a1〜50−an,50−b1〜50−bn)は、入力される駆動データ、及び、出力する駆動信号が異なるのみであって、回路的な構成は同一であってもよい。
定電圧生成部15は、一定電圧(例えば、42V)の高電源電圧信号HVDD、一定電圧(例えば、3.3V)の低電源電圧信号LVDD、一定電圧(例えば、6V)の基準電圧信号VBS及びグラウンド電圧(0V)のグラウンド電圧信号GNDを生成する。そして、制御信号生成部11、制御信号変換部12、制御信号送信部13及び駆動データ生成部14は、低電源電圧信号LVDD及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作する。また、駆動回路50−a1〜50−anは、高電源電圧信号HVDD、低電源電圧信号LVDD、基準電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作する。高電源電圧信号HVDD、低電源電圧信号LVDD、基準電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDは、フレキシブルフラットケーブル190を介して、ヘッドユニット32に転送される。
なお、制御ユニット10は、上記の処理以外にも、第1駆動モーター41や第2駆動モ
ーター71を駆動する処理を行う。これにより、記録シートSが所定の方向に搬送される。
ヘッドユニット32は、n個の駆動モジュール20(20−1〜20−n)と、制御信号受信部24と、制御信号復元部25とを有する。制御信号受信部24及び制御信号復元部25は、低電源電圧信号LVDD及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作する。
制御信号受信部24は、制御信号送信部13から送信されたLVDS転送方式の差動信号dS1〜dSnを受信し、受信した差動信号dS1〜dSnをそれぞれ差動増幅してシリアル制御信号S1〜Snに変換し、変換したシリアル制御信号S1〜Snを制御信号復元部25に出力する。また、制御信号受信部24は、制御信号送信部13から送信されたLVDS転送方式の差動クロック信号dClkを受信し、受信した差動クロック信号dClkを差動増幅してクロック信号Clkに変換し、変換したクロック信号Clkを制御信号復元部25に出力する。なお、制御信号受信部24は、LVDS以外のLVPECLやCML等の各種の高速転送方式の差動信号dS1〜dSn及び差動クロック信号dClkを受信してもよい。
制御信号復元部25は、制御信号受信部24が変換したシリアル制御信号S1〜Snに基づいて、吐出部600からの液体の吐出を制御する複数種類の制御信号として、クロック信号Sck、n個の印刷データ信号SI1〜SIn、n個のラッチ信号LAT1〜LATn及びn個のチェンジ信号CH1〜CHnを生成する。詳細には、制御信号復元部25は、制御信号受信部24から出力されるシリアル制御信号Si(iは1〜nのいずれか)に含まれている原印刷データ信号sSIi、原ラッチ信号sLATi及び原チェンジ信号sCHiを復元(デシリアライズ)することにより、印刷データ信号SIi、ラッチ信号LATi及びチェンジ信号CHiを生成し、駆動モジュール20−iに出力する。また、制御信号復元部25は、制御信号受信部24から出力されるクロック信号Clkに対して所定の処理(例えば、所定の分周比で分周する処理)を行い、印刷データ信号SI1〜SIn、ラッチ信号LAT1〜LATn及びチェンジ信号CH1〜CHnと同期したクロック信号Sckを生成し、n個の駆動モジュール20(20−1〜20−n)に出力する。
n個の駆動モジュール20(20−1〜20−n)は、同じ構成であり、それぞれ、選択制御部220と、m個の選択部230と、m個の吐出部600とを有する。本実施形態では、mは600以上の整数である。選択制御部220は、低電源電圧信号LVDD及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作する。また、選択部230は、高電源電圧信号HVDD及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作する。
駆動モジュール20−i(iは1〜nのいずれか)において、選択制御部220は、選択部230のそれぞれに対して駆動信号COM−Ai,COM−Biのいずれを選択すべきか(または、いずれも非選択とすべきか)を、制御信号復元部25から出力されるクロック信号Sck、印刷データ信号SIi、ラッチ信号LATi及びチェンジ信号CHiによって指示する。
選択部230のそれぞれは、選択制御部220の指示に従って、駆動信号COM−Ai,COM−Biを選択し、駆動信号Voutとして対応する吐出部600に出力し、吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加される。また、すべての圧電素子60の他端には基準電圧信号VBSが共通に印加される。圧電素子60は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられており、駆動信号Vout(駆動信号COM−Ai,COM−Bi)が印加されることで変位する。そして、圧電素子60は、駆動信号Vout(駆動信号COM−Ai,COM−Bi)と基準電圧信号VBSとの電位差に応じて変位して液体(イ
ンク)を吐出させる。このように、駆動モジュール20−iは、圧電素子60の一端に駆動信号COM−Aiと駆動信号COM−Biとが排他的に選択されて印加され、圧電素子60の他端に基準電圧信号VBSが印加されて圧電素子60が駆動することにより、液体を吐出する。すなわち、駆動信号COM−Ai,COM−Biは吐出部600のそれぞれを駆動して液体を吐出させるための信号である。
なお、駆動信号COM−A1〜COM−An,COM−B1〜COM−Bnは、吐出部600を駆動する信号であるため高電圧(数十V)の信号であり、駆動信号COM−A1〜COM−An,COM−B1〜COM−Bnをそれぞれ生成するn個の駆動回路50(50−a1〜50−n,50−b1〜50−bn)は消費電力が大きく高温になりやすい。また、駆動回路50(50−a1〜50−n,50−b1〜50−bn)の温度特性に応じて駆動信号COM−A1〜COM−An,COM−B1〜COM−Bnの波形が変化すると、吐出部600からの液体の吐出精度に影響が生じる。従って、駆動回路50−a1〜50−an,50−b1〜50−bnの近傍に温度センサーを設けておき、吐出制御モジュール100が、当該温度センサーの出力信号に基づいて、駆動信号COM−A1〜COM−An,COM−B1〜COM−Bnの波形が温度補正されるように駆動データdA1〜dAn,dB1〜dBnを生成してもよい。また、駆動信号COM−A1〜COM−An,COM−B1〜COM−Bnの波形が温度補正されても、圧電素子60の温度特性によって吐出特性が変化し、その結果、液体の吐出精度に影響が生じることがある。従って、吐出部600(圧電素子60)の近傍(例えば、ノズルプレート121(図12参照)の近傍)に温度センサーを設けておき、吐出制御モジュール100がフレキシブルフラットケーブル190又はフレキシブルフラットケーブル191を介して当該温度センサーの出力信号を受信し、当該温度センサーの出力信号に基づいて、圧電素子60の温度特性の変化をキャンセルするように、駆動データdA1〜dAn,dB1〜dBnを生成してもよい。吐出制御モジュール100がこれらの処理を行うことで、吐出部600からの液体の吐出精度を高めることができる。
3.駆動信号の構成
記録シートSにドットを形成する方法としては、インク滴を1回吐出させて、1つのドットを形成する方法のほかに、単位期間にインク滴を2回以上吐出可能として、単位期間において吐出された1以上のインク滴を着弾させ、当該着弾した1以上のインク滴を結合させることで、1つのドットを形成する方法(第2方法)や、これら2以上のインク滴を結合させることなく、2以上のドットを形成する方法(第3方法)がある。
本実施形態では、第2方法によって、1つのドットについては、インクを最多で2回吐出させることで、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録(ドットなし)」の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、駆動モジュール20−i(iは1〜nのいずれか)において、2種類の駆動信号COM−Ai,COM−Biを用意して、それぞれにおいて、1周期に前半パターンと後半パターンとを持たせている。1周期のうち、前半・後半において駆動信号COM−Ai,COM−Biを、表現すべき階調に応じて選択して(又は選択しないで)、圧電素子60に供給する構成となっている。
図5は、駆動信号COM−Ai,COM−Biの波形を示す図である。図5に示されるように、駆動信号COM−Aiは、ラッチ信号LATiが立ち上がってからチェンジ信号CHiが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHiが立ち上がってから次にラッチ信号LATiが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。期間T1と期間T2からなる期間を周期Taとして、周期Ta毎に、記録シートSに新たなドットが形成される。
本実施形態において、台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子60の一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子60に対応するノズル122から所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
駆動信号COM−Biは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。本実施形態において、台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズル122の開孔部付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子60の一端に供給されたとしても、当該圧電素子60に対応するノズル122からインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子60の一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子60に対応するノズル122から上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
なお、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の開始タイミングでの電圧と、終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2は、それぞれ電圧Vcで開始し、電圧Vcで終了する波形となっている。
図6は、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のそれぞれに対応する駆動信号Voutの波形を示す図である。
図6に示されるように、「大ドット」に対応する駆動信号Voutは、期間T1における駆動信号COM−Aiの台形波形Adp1と期間T2における駆動信号COM−Aiの台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号Voutが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル122から、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、記録シートSにはそれぞれのインクが着弾し合体して大ドットが形成されることになる。
「中ドット」に対応する駆動信号Voutは、期間T1における駆動信号COM−Aiの台形波形Adp1と期間T2における駆動信号COM−Biの台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号Voutが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル122から、中程度及び小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、記録シートSにはそれぞれのインクが着弾し合体して中ドットが形成されることになる。
「小ドット」に対応する駆動信号Voutは、期間T1では圧電素子60が有する容量性によって保持された直前の電圧Vcとなり、期間T2では駆動信号COM−Biの台形波形Bdp2となっている。この駆動信号Voutが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル122から、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出される。このため、記録シートSにはこのインクが着弾して小ドットが形成されることになる。
「非記録」に対応する駆動信号Voutは、期間T1では駆動信号COM−Biの台形波形Bdp1となり、期間T2では圧電素子60が有する容量性によって保持された直前の電圧Vcとなっている。この駆動信号Voutが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル122が、期間T2において微振動するのみで、インクは吐出されない。このため、記録シートSにはインクが着弾せず、ドットが形成されない。
4.選択制御部及び選択部の構成
図7は、選択制御部220の構成を示す図である。図7に示されるように、選択制御部220には、クロック信号Sck、印刷データ信号SIi、ラッチ信号LATi及びチェンジ信号CHiが供給される。選択制御部220では、シフトレジスター(S/R)222とラッチ回路224とデコーダー226との組が、圧電素子60(ノズル122)のそれぞれに対応して設けられている。
印刷データ信号SIiは、m個の吐出部600のそれぞれに対して、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ(SIH,SIL)を含む、合計2mビットの信号である。
印刷データ信号SIiは、クロック信号Sckに同期して制御信号復元部25からシリアルで供給される。ノズルに対応して、印刷データ信号SIiに含まれる2ビット分の印刷データ(SIH,SIL)毎に、一旦保持するための構成がシフトレジスター222である。
詳細には、圧電素子60(ノズル)に対応した段数のシフトレジスター222が互いに縦続接続されるとともに、シリアルで供給された印刷データ信号SIiが、クロック信号Sckに従って順次後段に転送される構成となっている。
なお、圧電素子60の個数をm(mは複数)としたときに、シフトレジスター222を区別するために、印刷データ信号SIiが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
m個のラッチ回路224の各々は、m個のシフトレジスター222の各々で保持された2ビットの印刷データ(SIH,SIL)をラッチ信号LATiの立ち上がりでラッチする。
m個のデコーダー226の各々は、m個のラッチ回路224の各々によってラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)をデコードして、ラッチ信号LATiとチェンジ信号CHiとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa,Sbを出力して、選択部230での選択を規定する。
図8は、デコーダー226におけるデコード内容を示す図である。デコーダー226は、例えばラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)が(1,0)であれば、選択信号Sa,Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH,Lレベルとし、期間T2ではそれぞれL,Hレベルとして、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa,Sbの論理レベルについては、クロック信号Sck、印刷データ信号SIi、ラッチ信号LATi及びチェンジ信号CHiの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
図9は、圧電素子60(ノズル122)の1個分に対応する選択部230の構成を示す図である。
図9に示されるように、選択部230は、インバーター(NOT回路)232a,232bと、トランスファーゲート234a,234bとを有する。
デコーダー226からの選択信号Saは、トランスファーゲート234aにおいて丸印
が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート234bの正制御端に供給される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COM−Aiが供給され、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COM−Biが供給される。トランスファーゲート234a,234bの出力端同士は共通接続され、当該共通接続端子を介して駆動信号Voutが吐出部600に出力される。
トランスファーゲート234aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート234bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
次に、選択制御部220と選択部230との動作について図10を参照して説明する。
印刷データ信号SIiが、制御信号復元部25からノズル毎に、クロック信号Sckに同期してシリアルで供給されて、ノズルに対応するシフトレジスター222において順次転送される。そして、制御信号受信部24からのクロック信号Sckの供給が停止すると、シフトレジスター222のそれぞれには、ノズルに対応した2ビットの印刷データ(SIH,SIL)が保持された状態になる。なお、印刷データ信号SIiは、シフトレジスター222における最終m段、…、2段、1段のノズルに対応した順番で供給される。
ここで、ラッチ信号LATiが立ち上がると、ラッチ回路224のそれぞれは、シフトレジスター222に保持された2ビットの印刷データ(SIH,SIL)を一斉にラッチする。図10において、LT1、LT2、…、LTmは、1段、2段、…、m段のシフトレジスター222に対応するラッチ回路224によってラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)を示している。
デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa,Sbの論理レベルを図8に示されるような内容で出力する。
すなわち、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(1,1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてH,Lレベルとし、期間T2においてもH,Lレベルとする。また、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(1,0)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてH,Lレベルとし、期間T2においてL,Hレベルとする。また、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(0,1)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてL,Lレベルとし、期間T2においてL,Hレベルとする。また、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(0,0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてL,Hレベルとし、期間T2においてL,Lレベルとする。
選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(1,1)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがH,Lレベルであるので駆動信号COM−Ai(台形波形Adp1)を選択し、期間T2でもSa,SbがH,Lレベルであるので駆動信号COM−Ai(台
形波形Adp2)を選択する。その結果、図6に示した「大ドット」に対応する駆動信号Voutが生成される。
また、選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(1,0)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがH,Lレベルであるので駆動信号COM−Ai(台形波形Adp1)を選択し、期間T2ではSa,SbがL,Hレベルであるので駆動信号COM−Bi(台形波形Bdp2)を選択する。その結果、図6に示した「中ドット」に対応する駆動信号Voutが生成される。
また、選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(0,1)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがL,Lレベルであるので駆動信号COM−Ai,COM−Biのいずれも選択せず、期間T2ではSa,SbがL,Hレベルであるので駆動信号COM−Bi(台形波形Bdp2)を選択する。その結果、図6に示した「小ドット」に対応する駆動信号Voutが生成される。なお、期間T1において、駆動信号COM−Ai,COM−Biのいずれも選択されないため、圧電素子60の一端がオープンとなるが、圧電素子60が有する容量性によって、駆動信号Voutは直前の電圧Vcに保持される。
また、選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(0,0)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがL,Hレベルであるので駆動信号COM−Bi(台形波形Bdp1)を選択し、期間T2では選択信号Sa,SbがL,Lレベルであるので駆動信号COM−Ai,COM−Biのいずれも選択しない。その結果、図6に示した「非記録」に対応する駆動信号Voutが生成される。なお、期間T2において、駆動信号COM−Ai,COM−Biのいずれも選択されないため、圧電素子60の一端がオープンとなるが、圧電素子60が有する容量性によって、駆動信号Voutは直前の電圧Vcに保持される。
なお、図5及び図10に示した駆動信号COM−Ai,COM−Biはあくまでも一例であり、実際には、記録シートSの性質などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
5.ヘッドユニットの構成
図11は、ヘッドユニット32の構成を示す分解斜視図である。なお、図11に示される(X、Y、Z)は、図1、図2及び図3における「第1の方向X」、「第2の方向Y」、「第3の方向Z」に相当する。
図11に示されるように、ヘッドユニット32は、液体としてインクを噴射するヘッド本体310と、ヘッド本体310に固定された流路部材370と、を備える。
ヘッド本体310は、n個(ここでは4個)の駆動モジュール20と、複数の駆動モジュール20を保持するホルダー330と、ホルダー330に固定された中継基板340と、供給部材350と、複数の駆動モジュール20を固定する固定板360と、を備える。
駆動モジュール20は、図3に示した通りインクを噴射するノズル122が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。各駆動モジュール20のノズル122が設けられた面とは第3の方向Zの反対側の面には、駆動モジュール20の内部に設けられた中継基板である封止板160(図12参照)と接続される配線基板400が導出されている。
ホルダー330は、第3の方向Zの固定板360が設けられる側に、複数の駆動モジュール20を収容する不図示の収容部が設けられている。収容部は、第3の方向Zの固定板
360が設けられる側に開口する凹形状を有し、固定板360によって固定された複数の駆動モジュール20を収容し、さらに、収容部の開口は固定板360によって封止される。すなわち、収容部と固定板360とによって形成された空間の内部に駆動モジュール20が収容される。
また、ホルダー330には、供給部材350から供給されたインクを駆動モジュール20に供給するための連通流路332が設けられている。連通流路332は、1つの駆動モジュール20に対して2つ設けられている。すなわち、1つの駆動モジュール20に設けられたノズル122の各列に対応して連通流路332が設けられている。
さらに、ホルダー330には、収容部に設けられた駆動モジュール20と電気的に接続された配線基板400を、第3の方向Zの収容部が設けられた面と、第3の方向Z側において異なる面に挿通するための配線挿通孔333が設けられている。配線基板400は、ホルダー330の配線挿通孔333に挿通されることで、収容部と固定板360とによって形成された空間から導出される。
ホルダー330の配線基板400が導出された側には、中継基板340が保持されている。中継基板340には、厚さ方向である第3の方向Zに貫通する駆動配線接続孔341を有し、配線基板400は、例えば、フレキシブルプリント基板であり、中継基板340の駆動配線接続孔341を挿通し、折り曲げられて、中継基板340と電気的に接続されている。
また、中継基板340には、ホルダー330の連通流路332に対応した位置に挿入孔342が設けられている。挿入孔342は、供給部材350に設けられた突出部(不図示)を挿入する。突出部は、供給部材350とホルダー330の連通流路332とを接続することで、供給部材350からホルダー330へのインクの供給を行う。
さらに、中継基板340の、第2の方向Yの両側のそれぞれに、制御信号コネクター280、駆動信号コネクター290が設けられている。そして、中継基板340はフレキシブルフラットケーブル190,191(図4参照)を介して制御ユニット10と電気的に接続される。中継基板340には、制御信号受信部24(図4参照)と制御信号復元部25(図4参照)とを含むIC(不図示)が搭載されており、制御信号コネクター280から入力されたシリアル制御信号S1〜Sn及びクロック信号Clkは、中継基板340に設けられた配線を伝搬して当該ICの制御信号受信部24に入力される。また、当該ICの制御信号復元部25が復元した制御信号(クロック信号Sck、印刷データ信号SI1〜SIn、ラッチ信号LAT1〜LATn及びチェンジ信号CH1〜CHn)は、中継基板340に設けられた配線を伝搬し、各配線基板400を介して各駆動モジュール20に出力される。また、駆動信号コネクター290から入力された駆動信号COM−A1〜COM−An,COM−B1〜COM−Bn、高電源電圧信号HVDD、低電源電圧信号LVDD、基準電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDは、中継基板340に設けられた配線を伝搬し、配線基板400を介して各駆動モジュール20に出力される。
供給部材350は、ホルダー330と第3の方向Z側で固定されている。また、供給部材350には、流路部材370から供給されたインクをホルダー330の連通流路332に供給するための、供給流路352が設けられている。供給流路352は、供給部材350の第3の方向Zの両面に開口して設けられている。なお、供給流路352は、流路部材370の流路と、中継基板340の挿入孔342およびホルダー330の連通流路332との位置に応じて第1の方向X、又は第2の方向Yに延びる流路を有するものであってもよい。
また、供給部材350には、制御信号コネクター280、駆動信号コネクター290のそれぞれに対応する位置に第3の方向Zに貫通する貫通孔353が設けられている。即ち、フレキシブルフラットケーブル190,191(図4参照)は、供給部材350の貫通孔353を挿通し、制御信号コネクター280、駆動信号コネクター290に接続される。
また、ホルダー330の収容部の開口を塞ぐ固定板360には、各駆動モジュール20のノズル122を露出する露出開口部361が設けられている。本実施形態における露出開口部361は、駆動モジュール20毎に独立して設けられており、隣り合う駆動モジュール20の間は、固定板360によって封止されている。なお、固定板360は、露出開口部361の周縁部において、駆動モジュール20と固定されている。
流路部材370は、第3の方向Z側においてヘッド本体310の供給部材350側に固定される。流路部材370は、複数のフィルターユニット390が第2の方向Yに積層されて構成されている。また、フィルターユニット390は、内部に複数の流路395が設けられており、インクに含まれる気泡や異物などを除去し、ヘッド本体310に設けられた供給部材350にインクを供給する。
本実施形態におけるヘッドユニット32は、流路部材370から供給されたインクをヘッド本体310に設けられた供給流路352、連通流路332を介して駆動モジュール20に供給する。そして、前述の駆動信号COM−Ai,COM−Biに基づいて駆動モジュール20−iに設けられた圧電素子60を駆動することで、ノズル122からインク滴を噴射する。
6.駆動モジュールの構成
図12は、駆動モジュール20の内部構造を説明する断面図である。なお、図12に示される(X、Y、Z)は、図1、図2及び図3における「第1の方向X」、「第2の方向Y」、「第3の方向Z」に相当する。図12に示されるように、駆動モジュール20は、電子デバイス114及び流路ユニット115が積層された状態でヘッドケース116に取り付けられている。
ヘッドケース116の内部には各圧力室(キャビティー)130にインクを供給するリザーバー118が形成されている。このリザーバー118は、複数並設された圧力室130に共通なインクが貯留される空間であり、2列に並設された圧力室130の列に対応して2つ形成されている。リザーバー118は連通流路332(図11参照)と連通しており、連通流路332を通ってリザーバー118にインクが供給される。また、ヘッドケース116の下面側には、連通基板124上に積層された電子デバイス114(駆動IC200、圧力室形成基板129、封止板160等)が収容される収容空間117が形成されている。
流路ユニット115は、連通基板124及びノズルプレート121を有している。この連通基板124には、リザーバー118と連通し、各圧力室130に共通なインクが貯留される共通液室125と、この共通液室125を介してリザーバー118からのインクを各圧力室130に個別に供給する個別連通路126とが形成されている。共通液室125は、ノズル列方向に沿った長尺な空部であり、2列に並設された圧力室130の列に対応して2列形成されている。個別連通路126は、共通液室125の薄板部において、圧力室130に対応して当該圧力室130の並設方向に沿って複数形成されている。この個別連通路126は、連通基板124と圧力室形成基板129とが接合された状態で、対応する圧力室130の長手方向における一側の端部と連通する。
また、連通基板124の各ノズル122に対応する位置には、連通基板124の板厚方向を貫通したノズル連通路127が形成されている。すなわち、ノズル連通路127は、ノズル列に対応して当該ノズル列方向に沿って複数形成されている。このノズル連通路127によって、圧力室130とノズル122とが連通する。ノズル連通路127は、連通基板124と圧力室形成基板129とが接合された状態で、対応する圧力室130の長手方向における他側(個別連通路126とは反対側)の端部と連通する。
ノズルプレート121は、連通基板124の下面(圧力室形成基板129とは反対側の面)に接合された基板である。このノズルプレート121により、共通液室125となる空間の下面側の開口が封止されている。また、ノズルプレート121には、複数のノズル122が直線状(列状)に開設されており、2列に形成された圧力室130の列に対応して、ノズル列が2列形成されている。この並設された複数のノズル122(ノズル列)は、一端側のノズル122から他端側のノズル122までドット形成密度に対応したピッチ(例えば600dpi)で、第1の方向Xに沿って等間隔に設けられている。
電子デバイス114は、各圧力室130内のインクに圧力変動を生じさせるアクチュエーターとして機能する薄板状のデバイスである。この電子デバイス114は、圧力室形成基板129、振動板131、圧電素子60、封止板160及び駆動IC200が積層されてユニット化されている。駆動IC200には、選択制御部220とm個の選択部230(図4参照)が含まれている。
圧力室形成基板129には、圧力室130となるべき空間がノズル列方向に沿って複数並設されている。この空間は、下方が連通基板124により区画され、上方が振動板131により区画されて、圧力室130を構成する。この圧力室130は、2列に形成されたノズル列に対応して2列に形成されている。各圧力室130は、ノズル列方向に直交する方向に長尺な空部であり、長手方向の一側の端部に個別連通路126が連通すると共に、他側の端部にノズル連通路127が連通する。
振動板131は、弾性を有する薄膜状の部材であり、圧力室形成基板129の上面(連通基板124側とは反対側の面)に積層されている。この振動板131によって、圧力室130となるべき空間の上部開口が封止されている。この振動板131における圧力室130の上部開口に対応する部分は、圧電素子60の撓み変形に伴ってノズル122から遠ざかる方向あるいは近接する方向に変位する変位部として機能する。すなわち、振動板131における圧力室130の上部開口に対応する領域が、撓み変形が許容される駆動領域135となる。一方、振動板131における圧力室130の上部開口から外れた領域が、撓み変形が阻害される非駆動領域136となる。
駆動領域135には、圧電素子60がそれぞれ積層されている。各圧電素子60は、ノズル列方向に沿って2列に並設された圧力室130に対応して、当該ノズル列方向に沿って2列に形成されている。圧電素子60は、例えば、振動板131上に、下電極層137(個別電極)、圧電体層138及び上電極層139(共通電極)が順次積層されてなる。このように構成された圧電素子60は、下電極層137と上電極層139との間に両電極の電位差に応じた電界が付与されると、ノズル122から遠ざかる方向あるいは近接する方向に撓み変形する。下電極層137の他側(圧電素子60の長手方向における外側)の端部は、駆動領域135から圧電体層138が積層された領域を超えて、非駆動領域136まで延設されている。一方、上電極層139の一側(圧電素子60の長手方向における内側)の端部は、駆動領域135から圧電体層138が積層された領域を超えて、圧電素子60の列間における非駆動領域136まで延設されている。
封止板160は、振動板131(或いは、圧電素子60)に対して間隔を開けて配置さ
れた平板状の基板である。封止板160は、各種の信号を中継する中継基板として機能するとともに、振動板131(或いは、圧電素子60)を保護する保護基板として機能してもよい。この封止板160の振動板131側の面である第1の面141(下面)とは反対側の第2の面142(上面)には、圧電素子60を駆動する駆動IC200が配置されている。すなわち、封止板160の第1の面141には、圧電素子60が積層された振動板131が接続され、第2の面142には、駆動IC200が接続されている。
封止板160の第1の面141には、駆動IC200からの駆動信号を圧電素子60側に出力する複数のバンプ電極140が形成されている。このバンプ電極140は、一方の圧電素子60の外側まで延設された一方の下電極層137(個別電極)に対応する位置、他方の圧電素子60の外側まで延設された他方の下電極層137(個別電極)に対応する位置、及び両方の圧電素子60の列間に形成された複数の圧電素子60に共通の上電極層139(共通電極)に対応する位置に、それぞれノズル列方向に沿って複数形成されている。そして、各バンプ電極140は、それぞれ対応する下電極層137及び上電極層139に接続されている。
バンプ電極140は、少なくとも一部が、弾性を有する樹脂層148の表面に設けられている。この樹脂層148は、封止板160の第1の面141においてノズル列方向に沿って突条に形成されている。下電極層137(個別電極)に導通するバンプ電極140は、ノズル列方向に沿って並設された圧電素子60に対応して、当該ノズル列方向に沿って複数形成されている。各バンプ電極140は、樹脂層148上から圧電素子60側又は圧電素子60側とは反対側の何れか一方に延びて、下面側配線147となる。そして、下面側配線147のバンプ電極140とは反対側の端部は、貫通配線145に接続されている。
上電極層139に対応するバンプ電極140は、ノズル列方向に沿って、封止板160の第1の面141に埋め込まれた下面側埋設配線151上に複数形成されている。そして、バンプ電極140は、この樹脂層148上から当該樹脂層148の幅方向の両側にはみ出て下面側配線147となり、下面側埋設配線151と導通するように形成されている。このバンプ電極140は、ノズル列方向に沿って複数形成されている。
このような封止板160と圧力室形成基板129とは、バンプ電極140を介在させた状態で、感光性接着剤143により接合されている。この感光性接着剤143は、ノズル列方向に対して直交する方向における各バンプ電極140の両側に形成されている。また、各感光性接着剤143は、バンプ電極140に対して離間した状態でノズル列方向に沿って帯状に形成されている。
封止板160の第2の面142には、ノズル列方向に延びる複数の上面側埋設配線150が形成されている。上面側埋設配線150には、配線基板400(図11参照)から、各種の定電圧信号(高電源電圧信号HVDD、低電源電圧信号LVDD、グラウンド電圧信号GND、基準電圧信号VBS)及び駆動信号COM−Ai,COM−Biが供給される。各上面側埋設配線150上には、ノズル列方向に沿って複数のバンプ電極156が形成されている。バンプ電極156は、少なくとも一部が、弾性を有する樹脂層146の表面に設けられている。この樹脂層146は、封止板160の第2の面142においてノズル列方向に沿って突条に形成されている。各バンプ電極156は、駆動IC200の端子(不図示)を介して、駆動IC200の内部の配線(不図示)と導通する。なお、封止板160の第2の面142には、配線基板400から各種の制御信号(クロック信号Sck、印刷データ信号SI1〜SIn、ラッチ信号LAT1〜LATn及びチェンジ信号CH1〜CHn)が供給される複数の配線(不図示)も形成されており、この複数の配線も駆動IC200の端子を介して、駆動IC200の内部の配線と導通する。
さらに、封止板160の第2の面142における両端側の領域には、駆動IC200からの出力信号(駆動信号)が入力されるバンプ電極157が形成されている。バンプ電極157は、少なくとも一部が、弾性を有する樹脂層154の表面に設けられている。この樹脂層154は、封止板160の第2の面142においてノズル列方向に沿って突条に形成されている。そして、バンプ電極157は、貫通配線145を介して、対応する下面側配線147と接続されている。
貫通配線145は、封止板160の第1の面141と第2の面142との間を中継する配線である。この貫通配線145により、バンプ電極157と、これに対応するバンプ電極140から延設された下面側配線147とが電気的に接続され、駆動IC200からの駆動信号が圧力室形成基板129へと伝達する。このように、封止板160は、駆動IC200からの駆動信号を圧力室形成基板129へ中継する中継基板として機能する。
駆動IC200は、圧電素子60を駆動するためのICチップであり、接着剤159を介して封止板160の第2の面142上に積層されている。この駆動IC200の封止板160側の面には、各バンプ電極156と接続される入力端子(不図示)が複数形成されており、各入力端子には、封止板160に設けられた上面側埋設配線150からバンプ電極156を介して各種の定電圧信号及び駆動信号COM−Ai,COM−Biが伝達し、あるいは、不図示の複数の配線から各種の制御信号が伝達する。また、駆動IC200の封止板160側の面には、各バンプ電極157と接続される出力端子(不図示)が複数形成されており、各出力端子からの信号(各圧電素子60を駆動する個別の駆動信号)が各バンプ電極157に伝達する。
この駆動IC200は、ノズル列方向に非常に長い長尺なチップであり、例えば、各入力端子に伝達した駆動信号COM−Ai,COM−Biは、駆動IC200の内部の、厚みや幅が小さくかつ非常に長い配線を伝達し、各圧電素子60を駆動する個別の駆動信号Voutを出力する各選択部230(図4参照)に供給されることになる。そのため、駆動IC200の各内部配線の両端間の抵抗値が非常に大きく、各内部配線を伝達する駆動信号COM−Ai,COM−Biは、配線抵抗による電圧降下の影響を受けて減衰(電圧レベルが低下)し、その結果、末端に近い選択部230ほど誤動作しやすくなる。そこで、駆動IC200の内部配線よりも厚みや幅が十分大きい上面側埋設配線150が、駆動IC200の各内部配線の補強配線としても利用されている。すなわち、各上面側埋設配線150は、駆動IC200の各内部配線と並行して設けられており、各信号は、各上面側埋設配線150及び各上面側埋設配線150上にノズル列方向に沿って形成された複数のバンプ電極156を介して、駆動IC200の各入力端子に伝達するようになっている。これにより、例えば、各選択部230に供給される駆動信号COM−Ai,COM−Biの電圧降下が低減され、駆動IC200の末端に近い選択部230も誤動作しにくくなっている。
バンプ電極157は、2列に並設された圧電素子60の列に対応して、バンプ電極156の両側に2列形成されており、バンプ電極157の列内において、隣り合うバンプ電極157の中心間距離(すなわち、ピッチ)(駆動IC200の出力端子のピッチ)は、バンプ電極140のピッチ(ノズル122のピッチ)よりも小さく形成されている。すなわち、封止板160は、駆動IC200の出力端子のピッチとノズル122のピッチとの差を吸収する役割も果たしており、これにより、駆動IC200を小型化することができる。
そして、上記のように形成された駆動モジュール20は、インクカートリッジ22からのインクをインク導入路、リザーバー118、共通液室125及び個別連通路126を介
して圧力室130に導入する。この状態で、駆動IC200からの駆動信号を、封止板160に形成された各配線を介して圧電素子60に供給することで、圧電素子60を駆動させて圧力室130に圧力変動を生じさせる。この圧力変動を利用することで、駆動モジュール20はノズル連通路127を介してノズル122からインク滴を噴射する。
なお、吐出部600(図4参照)は、圧電素子60と、振動板131と、圧力室130と、個別連通路126と、ノズル連通路127と、ノズル122とにより構成される。
7.配線基板の構成
次に、図13〜図19を参照しながら配線基板400の構成について説明する。図13は、配線基板400の斜視図である。図14は、配線基板400の第1面400aの平面図である。また、図15は、配線基板400の第2面400bを第1面400a側から透視した平面図である。また、図16は、配線基板400とヘッドユニット32の中継基板340(図11参照)及び駆動モジュール20の封止板160(図12参照)とが接続された状態を示す図である。また、図17は、配線基板400の出力端子群420の一部を配線基板400の短辺P2側から視た側面図である。また、図18は、配線基板400の入力端子群410の一部を配線基板400の長辺Q2側から視た側面図である。また、図19は、配線基板400を図14及び図15に示すA−A’線で切った断面を短辺P2側から視た断面図である。なお、図13及び図16に示される(X、Y、Z)は、図1、図2及び図3における「第1の方向X」、「第2の方向Y」、「第3の方向Z」に相当する。また、図17及び図18では各転送配線の図示が省略されている。
図13に示されるように、配線基板400は、高い可撓性を有しており、容易に折り曲げられる。配線基板400は、例えば、ポリイミド、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマーなどを材料とするフレキシブルプリント基板であり、第1面400aと第2面400bの両面に配線(不図示)が設けられている。すなわち、配線基板400は、配線が設けられる層(配線層)として、第1面400aと、第1面400aと対向する第2面400bの2層とを有するフレキシブル配線基板である。そして、図13では図示が省略されているが、配線基板400は、第1面400aと第2面400bとを電気的に接続するスルーホール(ビア)を有しており、第1面400aに設けられた一部の配線と第2面400bに設けられた一部の配線とはスルーホールを介して電気的に接続されている。このように、配線基板400は両面に配線が設けられることにより、片面配線の基板よりも小さなサイズにすることが可能であり、ヘッドユニット32の小型化に有利である。
図13では視認できないが、第1面400aには、入力端子群410及び出力端子群420が設けられており、第1面400a側が中継基板340(「第1基板」の一例)及び駆動モジュール20の封止板160(「第2基板」の一例)と接続される。すなわち、配線基板400によって中継基板340と駆動モジュール20とが接続された状態において、第1面400aは視認が難しいのに対して、第2面400bは容易に視認される。
図14に示されるように、配線基板400の平面視において、配線基板400の第1面400a(「第1配線層」の一例)には、配線基板400の長辺Q2(「第2の辺」の一例)に沿って入力端子群410が設けられている。入力端子群410は、高電源電圧信号HVDDが入力される入力端子411a,411bと、基準電圧信号VBSが入力される入力端子412a,412b(「第1入力端子」の一例)と、駆動信号COM−Ai(iは1〜nのいずれか)(「第1駆動信号」の一例)が入力される入力端子413a,413b(「第2入力端子」の一例)と、駆動信号COM−Bi(「第2駆動信号」の一例)が入力される入力端子414a,414b(「第2入力端子」の一例)と、グラウンド電圧信号GND(「グラウンド電圧信号」の一例)が入力される入力端子415とを含む。また、入力端子群410は、各種の制御信号(クロック信号Sck、印刷データ信号SI
1〜SIn、ラッチ信号LAT1〜LATn及びチェンジ信号CH1〜CHn)が入力される入力端子416(「制御信号入力端子」の一例)と、低電源電圧信号LVDD(「電源電圧信号」の一例)が入力される入力端子417(「電源電圧信号入力端子」の一例)とを含む。入力端子群410に含まれる各入力端子は、第1面400aの領域R1において、中継基板340に設けられている各出力端子(不図示)と接続される(図16参照)。
また、図14に示されるように、配線基板400の第1面400aには、高電源電圧信号HVDDを転送する高電源電圧信号転送配線431a,431bと、基準電圧信号VBSを転送する基準電圧信号転送配線432a,432bと、駆動信号COM−Aiを転送する第1駆動信号転送配線433a,433bと、駆動信号COM−Biを転送する第2駆動信号転送配線434a,434bとが設けられている。また、配線基板400の第1面400aには、グラウンド電圧信号GNDを転送するグラウンド電圧信号転送配線435と、各種の制御信号を転送する制御信号転送配線436と、低電源電圧信号LVDDを転送する低電源電圧信号転送配線437とが設けられている。
高電源電圧信号転送配線431aは入力端子411aと電気的に接続され、高電源電圧信号転送配線431bは入力端子411bと電気的に接続されている。基準電圧信号転送配線432a(「第1配線」の一例)は入力端子412aと電気的に接続され、基準電圧信号転送配線432b(「第1配線」の一例)は入力端子412bと電気的に接続されている。第1駆動信号転送配線433aは入力端子413aと電気的に接続され、第1駆動信号転送配線433bは入力端子413bと電気的に接続されている。第2駆動信号転送配線434aは入力端子414aと電気的に接続され、第2駆動信号転送配線434bは入力端子414bと電気的に接続されている。グラウンド電圧信号転送配線435は入力端子415と電気的に接続され、制御信号転送配線436は入力端子416と電気的に接続され、低電源電圧信号転送配線437は入力端子417と電気的に接続されている。
また、図14に示されるように、配線基板400の平面視において、配線基板400の第1面400aには、入力端子群410が設けられている長辺Q2とは異なる短辺P2(「第1の辺」の一例)に沿って出力端子群420が設けられている。すなわち、入力端子群410と出力端子群420とは、配線基板400の同じ面に配置されている。出力端子群420は、高電源電圧信号HVDDを出力する出力端子421a,421bと、基準電圧信号VBSを出力する出力端子422a,422b(「第1出力端子」の一例)と、駆動信号COM−Aiを出力する出力端子423a,423b(「第2出力端子」の一例)と、駆動信号COM−Biを出力する出力端子424a,424b(「第2出力端子」の一例)と、グラウンド電圧信号GNDを出力する出力端子425とを含む。また、出力端子群420は、各種の制御信号(クロック信号Sck、印刷データ信号SI1〜SIn、ラッチ信号LAT1〜LATn及びチェンジ信号CH1〜CHn)を出力する出力端子426(「制御信号出力端子」の一例)と、低電源電圧信号LVDDを出力する出力端子427(「電源電圧信号出力端子」の一例)とを含む。出力端子群420に含まれる各出力端子は、第1面400aの領域R2において、駆動モジュール20の封止板160に設けられている各入力端子(不図示)と接続される(図16参照)。
このように、入力端子群410と出力端子群420とは、配線基板400の同じ面に配置されていることにより、中継基板340と封止板160とが積層されているヘッドユニット32において、入力端子群410と中継基板340とが接続され、かつ、出力端子群420と封止板160とが接続されるので、接続に必要な空間が小さくなり、配線基板400のサイズが小さくなる。これにより、ヘッドユニット32の小型化が実現される。
出力端子421aは、高電源電圧信号転送配線431aと電気的に接続され、駆動モジ
ュール20に高電源電圧信号HVDDを出力する。また、出力端子421bは、高電源電圧信号転送配線431bと電気的に接続され、駆動モジュール20に高電源電圧信号HVDDを出力する。出力端子422aは、基準電圧信号転送配線432aと電気的に接続され、駆動モジュール20に基準電圧信号VBSを出力する。また、出力端子422bは、基準電圧信号転送配線432bと電気的に接続され、駆動モジュール20に基準電圧信号VBSを出力する。出力端子423aは、第1駆動信号転送配線433aと電気的に接続され、駆動モジュール20に駆動信号COM−Aiを出力する。また、出力端子423bは、第1駆動信号転送配線433bと電気的に接続され、駆動モジュール20に駆動信号COM−Aiを出力する。出力端子424aは、第2駆動信号転送配線434aと電気的に接続され、駆動モジュール20に駆動信号COM−Biを出力する。また、出力端子424bは、第2駆動信号転送配線434bと電気的に接続され、駆動モジュール20に駆動信号COM−Biを出力する。出力端子425は、グラウンド電圧信号転送配線435と電気的に接続され、駆動モジュール20にグラウンド電圧信号GNDを出力する。出力端子426は、制御信号転送配線436と電気的に接続され、駆動モジュール20に各種の制御信号を出力する。出力端子427は、低電源電圧信号転送配線437と電気的に接続され、駆動モジュール20に低電源電圧信号LVDDを出力する。
出力端子421aから出力される高電源電圧信号HVDD、出力端子423aから出力される駆動信号COM−Ai及び出力端子424aから出力される駆動信号COM−Biは、駆動モジュール20が備える2列のノズル列のうちの一方(第1ノズル列)に含まれる各ノズル(吐出部600)に対応する選択部230に供給される。また、出力端子421bから出力される高電源電圧信号HVDD、出力端子423bから出力される駆動信号COM−Ai及び出力端子424bから出力される駆動信号COM−Biは、駆動モジュール20が備える2列のノズル列のうちの他方(第2ノズル列)に含まれる各ノズル(吐出部600)に対応する選択部230に供給される。すなわち、出力端子423a,424aは、第1ノズル列に対応して設けられた各吐出部600が有する圧電素子60の一端(「第2端」の一例)と電気的に接続され、出力端子423b,424bは、第2ノズル列に対応して設けられた各吐出部600が有する圧電素子60の一端(「第2端」の一例)と電気的に接続される。
出力端子422aから出力される基準電圧信号VBSは、第1ノズル列に含まれる各ノズルから液体を吐出させる吐出部600に供給される。また、出力端子422bから出力される基準電圧信号VBSは、第2ノズル列に含まれる各ノズルから液体を吐出させる吐出部600に供給される。すなわち、出力端子422aは、第1ノズル列に対応して設けられた各吐出部600が有する圧電素子60の他端(「第1端」の一例)と電気的に接続され、出力端子422bは、第2ノズル列に対応して設けられた各吐出部600が有する圧電素子60の他端(「第1端」の一例)と電気的に接続される。
出力端子425から出力されるグラウンド電圧信号GND、出力端子426から出力される各種の制御信号及び出力端子427から出力される低電源電圧信号LVDDはすべての選択制御部220に共通に供給される。
各転送配線は、例えば、銅メッキにより形成された配線(銅メッキ配線)であり、レジスト(保護膜)で覆われている。また、入力端子群410に含まれる各入力端子及び出力端子群420に含まれる各入力端子は、レジストで覆われておらず、例えば、銅メッキにより形成された転送配線の一部がさらに金メッキされることにより形成されている。このように、各転送配線、各入力端子及び各出力端子は、ニッケルのような硬い金属を材料としていないため、高い可撓性を有しており、中継基板340と駆動モジュール20とを省スペースで接続することに貢献している。
図15に示されるように、配線基板400の第2面400b(「第2配線層」の一例)には、駆動信号COM−Aiを転送する第1駆動信号転送配線433a,433bと、駆動信号COM−Biを転送する第2駆動信号転送配線434a,434bと、グラウンド電圧信号GNDを転送するグラウンド電圧信号転送配線435(「グラウンド電圧信号転送配線」の一例)と、低電源電圧信号LVDDを転送する低電源電圧信号転送配線437(「電源電圧信号転送配線」の一例)とが設けられている。
第2面400bに設けられた第1駆動信号転送配線433a,433bは、第1面400aに設けられた第1駆動信号転送配線433a,433bと、それぞれ、スルーホール443a,443bを介して接続されている。従って、第2面400bに設けられた第1駆動信号転送配線433a(「第2配線」及び「駆動信号転送配線」の一例)と第1面400aに設けられた入力端子413a及び出力端子423aとはスルーホール443aを介して電気的に接続され、第2面400bに設けられた第1駆動信号転送配線433b(「第2配線」及び「駆動信号転送配線」の一例)と第1面400aに設けられた入力端子413b及び出力端子423bとはスルーホール443bを介して電気的に接続されている。同様に、第2面400bに設けられた第2駆動信号転送配線434a,434b(「第2配線」及び「駆動信号転送配線」の一例)は、第1面400aに設けられた第2駆動信号転送配線434a,434bと、それぞれ、スルーホール444a,444bを介して接続されている。従って、第2面400bに設けられた第2駆動信号転送配線434aと第1面400aに設けられた入力端子414a及び出力端子424aとはスルーホール444aを介して電気的に接続され、第2面400bに設けられた第2駆動信号転送配線434bと第1面400aに設けられた入力端子414b及び出力端子424bとはスルーホール444bを介して電気的に接続されている。同様に、第2面400bに設けられたグラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437は、第1面400aに設けられたグラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437と、それぞれ、スルーホール445,447を介して接続されている。従って、第2面400bに設けられたグラウンド電圧信号転送配線435と第1面400aに設けられた入力端子415及び出力端子425とはスルーホール445を介して電気的に接続され、第2面400bに設けられた低電源電圧信号転送配線437と第1面400aに設けられた入力端子417及び出力端子427とはスルーホール447を介して電気的に接続されている。
図14及び図15に示されるように、スルーホール443aは入力端子413a又は出力端子423aの近傍に設けられ、スルーホール443bは入力端子413b又は出力端子423bの近傍に設けられている。同様に、スルーホール444aは入力端子414a又は出力端子424aの近傍に設けられ、スルーホール444bは入力端子414b又は出力端子424bの近傍に設けられている。同様に、スルーホール445は入力端子415又は出力端子425の近傍に設けられ、スルーホール447は入力端子417又は出力端子427の近傍に設けられている。すなわち、各スルーホールは、入力端子群410又は出力端子群420の近傍に設けられ、配線基板400の中央付近には設けられていない。これにより、配線基板400の第2面400bに設けられる第1駆動信号転送配線433a,433b、第2駆動信号転送配線434a,434b、グラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437のそれぞれの面積が大きくなり、これらの各転送配線の配線インピーダンスが低減される。
また、配線基板400は、入力端子群410及び出力端子群420がそれぞれ中継基板340及び封止板160と接続された状態(図16参照)において、入力端子群410及び出力端子群420がそれぞれ接続される領域R1,R2に近い部分が折れ曲がる。本実施形態では、配線基板400に設けられている各スルーホールは、配線基板400の折れ曲がっていない領域(図16において破線で示される領域)に設けられているので、各ス
ルーホールに対して、折れ曲がりに起因する外的負荷が掛からない。従って、各スルーホールにおける導体の断線や短絡等の導通不良が生じることによる吐出不良等の故障が生じるおそれが低減される。
図14及び図15を参照し、本実施形態では、各種信号を転送する配線が配線基板400の第1面400aと第2面400bの両面に分けて設けられている。特に、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bは、大電流が流れるため大きな面積を要する基準電圧信号転送配線432a,432bが設けられている第1面400aとは異なる第2面400bに設けられている。これにより、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bの面積が十分に確保されており、その配線インピーダンスが低減され、駆動信号COM−Ai,COM−Biの転送精度が劣化するおそれが低減される。
さらに、本実施形態では、基準電圧信号転送配線432aは、第1面400aにおいて、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aが設けられている第2面400bの領域と対向する領域に設けられている。同様に、基準電圧信号転送配線432bは、第1面400aにおいて、第1駆動信号転送配線433b及び第2駆動信号転送配線434bが設けられている第2面400bの領域と対向する領域に設けられている。すなわち、基準電圧信号転送配線432aは、第1駆動信号転送配線433aと第2駆動信号転送配線434aの両方に対向し、基準電圧信号転送配線432bは、第1駆動信号転送配線433bと第2駆動信号転送配線434bの両方に対向している。駆動モジュール20−iに含まれる各圧電素子60には、一端に駆動信号COM−Ai又は駆動信号COM−Biが印加され、他端に基準電圧信号VBSが印加される。そのため、第1駆動信号転送配線433a又は第2駆動信号転送配線434a(あるいは、第1駆動信号転送配線433b又は第2駆動信号転送配線434b)、各圧電素子60、基準電圧信号転送配線432a(あるいは、基準電圧信号転送配線432b)の順に、あるいはその逆順に大電流が流れる電流経路が存在する。本実施形態では、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aと基準電圧信号転送配線432aとが対向して設けられ、第1駆動信号転送配線433b及び第2駆動信号転送配線434bと基準電圧信号転送配線432bとが対向して設けられているので、各電流経路が短くなり、各電流経路の配線インピーダンスが低減される。また、例えば、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bに、配線基板400の短辺P1から短辺P2へ向かう方向に電流が流れる場合には、基準電圧信号転送配線432a,432bには配線基板400の短辺P2から短辺P1へ向かう方向に電流が流れる。すなわち、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aを流れる電流と基準電圧信号転送配線432aを流れる電流は、互いに逆向きであって、かつ、ほぼ同じ総量となる。そのため、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aを流れる電流により発生する磁界と、基準電圧信号転送配線432aを流れる電流により発生する磁界とが互いに打ち消し合う。同様の理由により、第1駆動信号転送配線433b及び第2駆動信号転送配線434bを流れる電流により発生する磁界と、基準電圧信号転送配線432bを流れる電流により発生する磁界とが互いに打ち消し合う。これにより、各電流経路の配線インピーダンスがさらに低減される。さらに、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aと基準電圧信号転送配線432aとの相対的な位置や距離の関係や、第1駆動信号転送配線433b及び第2駆動信号転送配線434bと基準電圧信号転送配線432bとの相対的な位置や距離の関係が同等になるため、駆動信号COM−Ai,COM−Biの転送精度のばらつきが低減される。
また、本実施形態では、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bの大部分は、入力端子群410及び出力端子群420が設けられている第1面400aとは異なる第2面400bに設けられている。駆動モジュール2
0を小型化すると、封止板160において、配線基板400の出力端子群420が接続される領域の面積を広く確保できない可能性がある。そのため、本実施形態では、配線基板400の出力端子群420に含まれる複数の出力端子は狭ピッチで配列されており、小型化された駆動モジュール20の封止板160との接続が可能になっている。これに対して、中継基板340の面積は封止板160の面積よりも大きく、配線基板400の入力端子群410が接続される領域の面積を広く確保しやすい。そのため、本実施形態では、図17及び図18に示されるように、入力端子群410に含まれる複数の入力端子のピッチは、出力端子群420に含まれる複数の出力端子のピッチよりも広い。従って、複数の入力端子412aのピッチは、複数の出力端子423aのピッチよりも広く、複数の入力端子412bのピッチは、複数の出力端子423bのピッチよりも広い。また、複数の入力端子413aのピッチ及び複数の入力端子414aのピッチは、それぞれ、複数の出力端子423aのピッチ及び複数の出力端子424aのピッチよりも広く、複数の入力端子413bのピッチ及び複数の入力端子414bのピッチは、それぞれ、複数の出力端子423bのピッチ及び複数の出力端子424bのピッチよりも広い。このように、本実施形態では、配線基板400において、入力端子群410のピッチが出力端子群420のピッチよりも大きいため、入力端子群410と中継基板340との適正な接続が確実かつ容易である。
また、封止板160において、配線基板400の出力端子群420が接続される領域の面積が広く確保できないため、配線基板400の出力端子群420が設けられる短辺P2が短くならざるを得ない。そうすると、配線基板400が短辺P2の長さと同じ一定の幅であれば、各転送配線の幅を広くすることが難しい。そこで、本実施形態では、出力端子群420の近傍を除いて、配線基板400の幅(長辺Q1と長辺Q2との距離)が短辺P2の長さよりも大きくなっている。これにより、図14に示されるように、配線基板400の第1面400aにおいて、基準電圧信号転送配線432a,432bの幅が、長辺Q1と長辺Q2との間では短辺P2の近傍よりも広くなっている。同様に、図15に示されるように、配線基板400の第2面400bにおいて、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bのそれぞれの幅が、長辺Q1と長辺Q2との間では短辺P2の近傍よりも広くなっている。そのため、大電流が流れる基準電圧信号転送配線432a,432b、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bのそれぞれの配線インピーダンスが低減されている。
また、配線基板400の第1面400aには、入力端子群410及び出力端子群420が設けられており、特に、出力端子群420に含まれる複数の出力端子は狭ピッチで配列されることになるため、端子や配線の間隔が非常に狭くなる。そうすると、端子や配線の加工精度の限界により、配線基板400の第1面400aでは配線が薄くならざるを得ない。これに対して、配線基板400の第2面400bには端子が設けられていないため、最小配線間隔の制約が小さく、第1面400aと比較して厚い配線を形成することができる。そのため、本実施形態では、図19に示されるように、配線基板400において、第2面400bに設けられた転送配線433a,433b,434a,434b,435,437の厚さH2は、第1面400aに設けられた転送配線431a,431b,432a,432b,435,436,437の厚さH1よりも大きい。従って、第2面400bに設けられた第1駆動信号転送配線433a,433b、第2駆動信号転送配線434a,434bは、第1面400aに設けられた基準電圧信号転送配線432a,432bよりも厚い。そして、本実施形態では、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bの大部分が第2面400bに設けられていることにより、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bを厚くすることができるので、その配線インピーダンスが低減される。
また、図15を参照し、本実施形態では、配線基板400の第2面400bにおいて、第1駆動信号転送配線433aは、第2駆動信号転送配線434aよりも配線基板400の端側(長辺Q1側)に設けられている。同様に、第2面400bにおいて、第1駆動信号転送配線433bは、第2駆動信号転送配線434bよりも配線基板400の端側(長辺Q2側)に設けられている。駆動信号COM−Aiは、駆動信号COM−Biよりも振幅が大きいため(図5参照)、本実施形態では、第1駆動信号転送配線433a,433bがグラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437から離れた領域に設けられており、これにより、第1駆動信号転送配線433a,433bから放射されるノイズが、グラウンド電圧信号GNDや低電源電圧信号LVDDに与える影響が低減される。
また、図15を参照し、本実施形態では、配線基板400の第2面400bの平面視において、第1駆動信号転送配線433aの幅は、第2駆動信号転送配線434aの幅とは異なり、第1駆動信号転送配線433bの幅は、第2駆動信号転送配線434bの幅とは異なる。具体的には、配線基板400の第2面400bの平面視において、第1駆動信号転送配線433aの幅(最大幅W1a)は、第2駆動信号転送配線434aの幅(最大幅W2a)よりも大きい。同様に、第2面400bの平面視において、第1駆動信号転送配線433bの幅(最大幅W1b)は、第2駆動信号転送配線434bの幅(最大幅W2b)よりも大きい。より詳細には、第2面400bには、長辺Q1と長辺Q2の間で、第1駆動信号転送配線433a,433b、第2駆動信号転送配線434a,434b、グラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437が並走している領域において、第1駆動信号転送配線433a,433bの最大幅W1a,W1bは、第2駆動信号転送配線434a,434bの最大幅W2a,W2bよりも大きい。すなわち、本実施形態では、これらの配線が並走するため各転送配線の幅が小さくなる領域においても、相対的に大きな電流が流れる第1駆動信号転送配線433a,433bの配線インピーダンスが低減されている。これにより、駆動信号COM−Ai,COM−Biの転送精度が劣化するおそれが低減される。
さらに、以上の通り、基準電圧信号転送配線432a,432b、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bのそれぞれの配線インピーダンスが低減されるので、これらの転送配線を流れる大電流により生じる発熱量も低減され、配線基板400の温度上昇が低減されるため、配線基板400が破損しにくくなる。また、ヘッドユニット32において、配線基板400から駆動モジュール20に伝搬する熱量が小さくなるため、駆動モジュール20における温度勾配(吐出部600毎の温度偏差)が小さくなり、液体の吐出精度が向上する。
また、図14に示されるように、本実施形態では、制御信号転送配線436は、第1面400aにおいて、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bが設けられている第2面400bの領域と対向しない領域に設けられている。これにより、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bから放射されるノイズが、各種の制御信号に与える影響が低減されるので、制御信号の転送精度が劣化するおそれが低減される。
また、本実施形態では、第1面400aにおいて、基準電圧信号転送配線432a,432bと制御信号転送配線436との間には、グラウンド電圧信号転送配線435が設けられている。従って、制御信号転送配線436によって転送される各種の制御信号がグラウンド電圧信号転送配線435によってガードされ、基準電圧信号転送配線432a,432bからのノイズが、各種の制御信号に与える影響が低減されるので、制御信号の転送精度が劣化するおそれが低減される。なお、制御信号がガードされるように、基準電圧信号転送配線432a,432bと制御信号転送配線436との間に低電源電圧信号転送配
線437が設けられてもよい。
さらに、本実施形態では、制御信号転送配線436は、第1面400aにおいて、グラウンド電圧信号転送配線435又は低電源電圧信号転送配線437が設けられている第2面400bの領域と対向する領域に設けられている。これにより、各種の制御信号が一定電圧のグラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437によってガードされるので、制御信号の転送精度が劣化するおそれがさらに低減される。
また、図15に示されるように、本実施形態では、配線基板400の第2面400bにおいて、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aは、グラウンド電圧信号転送配線435又は低電源電圧信号転送配線437よりも配線基板400の端側(長辺Q1側)に設けられている。同様に、配線基板400の第2面400bにおいて、第1駆動信号転送配線433b及び第2駆動信号転送配線434bは、グラウンド電圧信号転送配線435又は低電源電圧信号転送配線437よりも配線基板400の端側(長辺Q2側)に設けられている。これにより、配線基板400において、グラウンド電圧信号転送配線435又は低電源電圧信号転送配線437によって、大電流が流れる第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bからそれぞれ放射されるノイズに対して各種の制御信号がガードされる。
また、図14及び図15に示されるように、本実施形態では、基準電圧信号転送配線432a、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aは、制御信号転送配線436よりも配線基板400の端側(長辺Q1側)に設けられている。同様に、基準電圧信号転送配線432b、第1駆動信号転送配線433b及び第2駆動信号転送配線434bは、制御信号転送配線436よりも配線基板400の端側(長辺Q2側)に設けられている。このように、配線基板400において、大電流が流れるため発熱量が大きい基準電圧信号転送配線432a,432b、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bが、発熱量が小さい制御信号転送配線436よりも端側に設けられているため、配線基板400における発熱箇所が分散し、配線基板400の最大温度を低くすることができる。これにより、配線基板が破損しにくくなるとともに、駆動モジュール20における温度勾配が小さくなって液体の吐出精度が向上する。
また、図14に示されるように、入力端子群410に含まれ、短辺P1から短辺P2に向かう方向に順に並ぶ複数の入力端子は、出力端子群420に含まれ、長辺Q1から長辺Q2に向かう方向に順に並ぶ複数の出力端子とそれぞれ電気的に接続されている。すなわち、入力端子群410において各種の信号が入力される入力端子の並びと出力端子群420において各種の信号が出力される出力端子の並びが同じである。すなわち、配線基板400において、各種の信号が転送される複数の配線が極力互いに交差しないように設けられており、配線基板400の小型化に貢献している。
なお、入力端子群410に含まれる入力端子の数と出力端子群420に含まれる出力端子の数は異なっていてもよい。例えば、第1駆動信号転送配線433a,433bや第2駆動信号転送配線434a,434bの配線インピーダンスは、電流量に応じた適正な配線幅(配線インピーダンス)であることが求められる。その一方、前述の通り、入力端子群410に含まれる複数の入力端子のピッチは、出力端子群420に含まれる複数の出力端子のピッチよりも広い。従って、第1駆動信号転送配線433a,433bや第2駆動信号転送配線434a,434bの出力端子側の配線幅を十分に確保するために、出力端子423a,423bの数を入力端子413a,413bの数よりも多くしてもよい。
また、図14及び図15に示されるように、制御信号転送配線436は、入力端子群4
10及び出力端子群420が設けられている第1面400aに設けられ、グラウンド電圧信号転送配線435又は低電源電圧信号転送配線437が第2面400bに設けられている。これにより、第1面400aにおける配線領域と第2面400bにおける配線領域とがバランスよく確保されるので、配線基板400の小型化に有利である。さらに、本実施形態では、グラウンド電圧信号転送配線435に対応するスルーホール445の総数(図14及び図15では8)と低電源電圧信号転送配線437に対応するスルーホール447の総数(図14及び図15では2)との和(図14及び図15では10)は、制御信号転送配線436の本数の2倍(図14及び図15では24)以下であり、かつ、出力端子425,427(又は入力端子415,417)の総数の2倍(図14及び図15では12)以下である。スルーホール445,447は入力端子側と出力端子側にそれぞれ必要であるが、スルーホール445,447の総数が制御信号転送配線436の本数の2倍以下であれば、入力端子側又は出力端子側におけるスルーホール445,447の総数が制御信号転送配線436の本数以下になる。そうすると、本実施形態のように第2面400bにグラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437を設けた場合に必要な配線領域の面積は、制御信号転送配線436の各々がスルーホールを介して第2面400bに設けられる場合の配線領域の面積よりも小さくなるため、配線基板400の小型化に有利である。また、スルーホール445,447の総数が出力端子425,427(又は入力端子415,417)の総数の2倍以下であれば、出力端子側(又は入力端子側)におけるスルーホール445,447の総数が出力端子425,427(又は入力端子415,417)の総数以下になる。これにより、スルーホール445,447に必要な領域が制限され、配線基板400の小型化に有利である。
そして、配線基板400の小型化により、中継基板340と小型化された駆動モジュール20の封止板160とを配線基板400によって接続することが可能となり、ヘッドユニット32の小型化が実現される。
また、図14及び図15を参照し、配線基板400には、入力端子群410及び出力端子群420と離間した位置に、接続位置の調整用の把持部440が設けられている。具体的には、把持部440は、配線基板400の短辺P2と対向する短辺P1側に沿う、転送配線の存在しない領域に設けられている。そして、把持部440には、第1面400a及び第2面400bを貫通する開口部450が設けられている。本実施形態では、配線基板400の第1面400aに設けられている出力端子群420が駆動モジュール20の封止板160に設けられている入力端子群と接続された後に、配線基板400の第1面400aに設けられている入力端子群410が中継基板340に設けられている出力端子群と接続される。そのため、配線基板400の入力端子群410が中継基板340の出力端子群に適正に接続されるように、開口部450に調整治具を通して接続位置の微調整を行うことが可能になっている。その際、配線基板400の短辺P2側が封止板160に固定されているため、調整治具により、入力端子群410の接続位置の長辺Q1から長辺Q2に向かう方向のずれを微調整することは難しいのに対して、当該接続位置の短辺P1から短辺P2に向かう方向のずれを微調整することは比較的容易である。
そこで、本実施形態では、入力端子群410は、出力端子群420が設けられている短辺P2と対向しない長辺Q2に設けられている。すなわち、配線基板400において、入力端子群410に含まれる複数の入力端子は、出力端子群420に含まれる複数の出力端子が一列に並ぶ方向とは異なる向き(換言すれば、平行ではない向き)、例えば直交する方向に一列に並んでおり、各入力端子と各出力端子とに電気的に接続される各転送配線は屈曲した形状となっている。従って、配線基板400の短辺P2側が封止板160に固定された状態で、入力端子群410の接続位置が短辺P1から短辺P2に向かう方向(長辺方向)にずれている場合は、調整治具により微調整することで適正な接続位置に修正することができる。一方、入力端子群410の接続位置が長辺Q1から長辺Q2に向かう方向
にずれても、入力端子群410に含まれる各入力端子の短辺方向のずれであるため適正な接続状態が確保されており、接続位置を微調整する必要がない。
なお、図14及び図15では、位置調整用の把持部440に開口部450が設けられているが、開口部450が設けられていなくてもよい。この場合、調整治具により把持部440を掴んで接続位置の微調整が行われてもよい。また、把持部440において、配線基板400の第2面400bに位置合わせ用のマークが付されており、当該位置合わせ用のマークと中継基板340の所定位置とを合わせるように接続位置の微調整が行われてもよい。
8.作用及び効果
以上に説明したように、本実施形態に係る液体吐出装置1では、ヘッドユニット32において、各駆動モジュール20が高密度化された多数の圧電素子60を有するため、同時に駆動される圧電素子60が多くなる。そのため、各駆動モジュール20と接続される各配線基板400において、基準電圧信号転送配線432a,432b、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bのそれぞれを流れる電流が大きくなりやすい。これに対して、各配線基板400において、基準電圧信号転送配線432a,432bが第1面400aに設けられ、かつ、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bが第2面400bに設けられることにより、これらの各転送配線の面積が十分に確保され、その配線インピーダンスが低減されている。また、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aと基準電圧信号転送配線432aとが対向して設けられ、第1駆動信号転送配線433b及び第2駆動信号転送配線434bと基準電圧信号転送配線432bとが対向して設けられているので各電流経路が短くなり、また、これの各転送配線を流れる電流により発生する磁界が互いに打ち消し合うため、各電流経路の配線インピーダンスが低減される。また、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aと基準電圧信号転送配線432aとの相対的な位置や距離の関係や第1駆動信号転送配線433b及び第2駆動信号転送配線434bと基準電圧信号転送配線432bとの相対的な位置や距離の関係が同等になるため、駆動信号COM−A1〜COM−An,COM−B1〜COM−Bnの転送精度のばらつきが低減される。また、配線基板400の第2面400bに設けられる第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bの厚みが大きいので、これらの配線インピーダンスが低減される。また、第1駆動信号転送配線433a,433bの幅は、第2駆動信号転送配線434a,434bの幅とは異なっており、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線のそれぞれの配線インピーダンスが適正な値になっている。具体的には、第1駆動信号転送配線433a,433bの幅(最大幅)が、第2駆動信号転送配線434a,434bの幅(最大幅)よりも大きいので、より大電流が流れる第1駆動信号転送配線433a,433bの配線インピーダンスが低減される。従って、本実施形態に係る液体吐出装置1によれば、各配線基板400における駆動信号COM−Ai,COM−Biの転送精度が向上し、各ヘッドユニット32から精度良く液体を吐出させることができる。
また、本実施形態に係る液体吐出装置1によれば、各配線基板400の第2面400bにおいて、第1駆動信号転送配線433a,433bがグラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437から離れた領域に設けられている。そのため、最も振幅が大きい駆動信号COM−Aiを転送する第1駆動信号転送配線433a,433bから放射される大きなノイズが、グラウンド電圧信号GNDや低電源電圧信号LVDDに与える影響が低減され、各ヘッドユニット32から精度良く液体を吐出させることができる。
また、本実施形態に係る液体吐出装置1によれば、各配線基板400において、制御信
号転送配線436は、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bと対向していないので、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bから放射されるノイズが、各種の制御信号に与える影響が低減される。さらに、各配線基板400において、基準電圧信号転送配線432a,432b、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bが端側に設けられ、制御信号転送配線436とグラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437とが対向して設けられているので、各種の制御信号がグラウンド電圧信号転送配線435及び低電源電圧信号転送配線437によってガードされる。従って、本実施形態に係る液体吐出装置1によれば、各配線基板400における制御信号の転送精度が劣化するおそれが低減されるので、各ヘッドユニット32から精度良く液体を吐出させることができる。
また、本実施形態に係る液体吐出装置1によれば、各配線基板400は、配線層を両面に有しているため、大きな配線領域を確保しながらサイズが小さくなるので、駆動モジュール20の小型化に対応することができ、ヘッドユニット32の小型化を実現することができる。
また、本実施形態に係る液体吐出装置1では、各配線基板400において、入力端子群410に含まれる複数の入力端子が、出力端子群420に含まれる複数の出力端子が一列に並ぶ方向と直交する方向に一列に並んでいるので、出力端子群420と駆動モジュール20の封止板160とが接続された後でも、入力端子群410の接続位置を微調整することが比較的容易である。従って、本実施形態に係る液体吐出装置1によれば、ヘッドユニット32の製造工数を削減するとともに、歩留りを向上させることができるので、製造コストを低減させることができる。
9.変形例
上記の実施形態では、基準電圧信号VBSが入力される入力端子412a,412b、駆動信号COM−Aiが入力される入力端子413a,413b及び駆動信号COM−Biが入力される入力端子414a,414bは配線基板400の第1面400aに設けられている。同様に、基準電圧信号VBSが出力される出力端子422a,422b、駆動信号COM−Aiが出力される出力端子423a,423b及び駆動信号COM−Biが出力される出力端子424a,424bは配線基板400の第1面400aに設けられている。また、基準電圧信号VBSを転送する基準電圧信号転送配線432a,432bは第1面400aに設けられ、駆動信号COM−Aiを転送する第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bは第1面400a及び第2面400bに設けられている。そして、第2面400bに設けられた第1駆動信号転送配線433a,433bは、それぞれ、スルーホール443a,443bを介して、第1面400aに設けられた第1駆動信号転送配線433a,433bと接続され、第2面400bに設けられた第2駆動信号転送配線434a,434bは、それぞれ、スルーホール444a,444bを介して、第1面400aに設けられた第2駆動信号転送配線434a,434bと接続されている。図20は、このような配線基板400の構成を概略的に示す図である。図20において、駆動信号COMは駆動信号COM−Ai又は駆動信号COM−Biである。また、第1配線層401は第1面400aに対応し、第2配線層402は第2面400bに対応する。また、入力端子403は入力端子413a,413b,414a,414bに対応し、入力端子404は入力端子412a,412bに対応する。また、出力端子405は出力端子423a,423b,424a,424bに対応し、出力端子406は出力端子422a,422bに対応する。また、スルーホール407は、スルーホール443a,443b,444a,444bに対応する。なお、図20には、駆動信号COMが印加される駆動IC200及び基準電圧信号VBSが印加される圧電素子60も図示されている。図20に示されるように、上記実施形態における配線基板4
00では、駆動信号COMは、入力端子403から入力され、第1配線層401、スルーホール407、第2配線層402、スルーホール407、第1配線層401の順に伝搬して出力端子405から出力される。また、基準電圧信号VBSは、入力端子404から入力され、第1配線層401を伝搬して出力端子406から出力される。
これに対して、図21〜図25は、配線基板400の変形例の構成を概略的に示す図である。図21〜図25において、図20と同様の構成要素には同じ符号が付されている。
図21に示される変形例の配線基板400では、入力端子403,404及び出力端子405,406は第1配線層401に設けられている。そして、駆動信号COMは、入力端子403から入力され、第1配線層401を伝搬して出力端子405から出力される。また、基準電圧信号VBSは、入力端子404から入力され、第1配線層401、スルーホール408、第2配線層402、スルーホール408、第1配線層401の順に伝搬して出力端子406から出力される。図20に示される配線基板400では、駆動信号COMは主として第2配線層402に設けられた配線を伝搬し、基準電圧信号VBSは主として第1配線層401に設けられた配線を伝搬する。それに対して、図21に示される変形例の配線基板400では、駆動信号COMは主として第1配線層401に設けられた配線(「第1配線」の他の一例)を伝搬し、基準電圧信号VBSは主として第2配線層402に設けられた配線(「第2配線」の他の一例)を伝搬する。
また、図22及び図23に示される変形例の配線基板400では、いずれも、入力端子403,404は第2配線層402に設けられ、出力端子405,406は第1配線層401に設けられている。そして、駆動信号COMは、入力端子403から入力され、第2配線層402、スルーホール407、第1配線層401の順に伝搬して出力端子405から出力される。また、基準電圧信号VBSは、入力端子404から入力され、第2配線層402、スルーホール408、第1配線層401の順に伝搬して出力端子406から出力される。図22に示される変形例の配線基板400では、駆動信号COMは主として第1配線層401に設けられた配線を伝搬し、基準電圧信号VBSは主として第2配線層402に設けられた配線を伝搬するのに対して、図23に示される変形例の配線基板400では、駆動信号COMは主として第2配線層402に設けられた配線を伝搬し、基準電圧信号VBSは主として第1配線層401に設けられた配線を伝搬する。
また、図24に示される変形例の配線基板400では、入力端子403,404は第2配線層402に設けられ、出力端子405,406は第1配線層401に設けられている。そして、駆動信号COMは、入力端子403から入力され、第2配線層402において枝分かれし、一方は、スルーホール407を介して第1配線層401を伝搬して出力端子405に到達し、他方は、第2配線層402を伝搬し、スルーホール407を介して出力端子405に到達する。同様に、基準電圧信号VBSは、入力端子404から入力され、第2配線層402において枝分かれし、一方は、スルーホール408を介して第1配線層401を伝搬して出力端子406に到達し、他方は、第2配線層402を伝搬し、スルーホール408を介して出力端子406に到達する。図25に示される変形例の配線基板400では、入力端子403,404は第1配線層401に設けられ、出力端子405,406は第2配線層402に設けられている。そして、駆動信号COMは、入力端子403から入力され、第1配線層401において枝分かれし、一方は、スルーホール407を介して第2配線層402を伝搬して出力端子405に到達し、他方は、第1配線層401を伝搬し、スルーホール407を介して出力端子405に到達する。同様に、基準電圧信号VBSは、入力端子404から入力され、第1配線層401において枝分かれし、一方は、スルーホール408を介して第2配線層402を伝搬して出力端子406に到達し、他方は、第1配線層401を伝搬し、スルーホール408を介して出力端子406に到達する。すなわち、図24、図25に示される変形例の配線基板400では、いずれも、駆動
信号COM及び基準電圧信号VBSは、それぞれ、第1配線層401と第2配線層402とに分かれて伝搬し、出力端子405,406から出力される。
なお、図21〜図25に示される変形例の配線基板400においても、互いに異なる配線層に設けられた基準電圧信号VBSの転送配線と駆動信号COMの転送配線とは対向していることが望ましい。
また、上記の実施形態では、配線基板400は単層基板であって配線層が2層(第1面400a及び第2面400b)であるものとして説明したが、配線基板400は複数の基板が積層された多層基板であって配線層を3層以上有するものであってもよい。配線基板400が3層以上の配線層を有する場合、第1面400a及び第2面400bは、それぞれ、配線基板400の表面の配線層でなくてもよく、内部の配線層であってもよい。なお、配線基板400が3層以上の配線層を有する場合も、基準電圧信号転送配線432aは、第1駆動信号転送配線433aと第2駆動信号転送配線434aの両方に対向していることが望ましい。例えば、基準電圧信号転送配線432a、第1駆動信号転送配線433a及び第2駆動信号転送配線434aが互いに異なる配線層に設けられ、基準電圧信号転送配線432aが第1駆動信号転送配線433aと第2駆動信号転送配線434aとの間に挟まれることにより、基準電圧信号転送配線432aが第1駆動信号転送配線433aと第2駆動信号転送配線434aの両方に対向していてもよい。基準電圧信号転送配線432b、第1駆動信号転送配線433b及び第2駆動信号転送配線434bの配置についても同様である。また、配線基板400が3層以上の配線層を有する場合、出力端子群420が設けられた配線層よりも厚い配線層が少なくとも1つ存在し、第1駆動信号転送配線433a,433b及び第2駆動信号転送配線434a,434bは、出力端子群420が設けられた配線層よりも厚い配線層に設けられることが望ましい。
また、上記の実施形態では、配線基板400には、長辺Q1側に駆動信号COM−Aiを転送する第1駆動信号転送配線433aと駆動信号COM−Biを転送する第2駆動信号転送配線434aとの対が設けられ、長辺Q2側に駆動信号COM−Aiを転送する第1駆動信号転送配線433bと駆動信号COM−Biを転送する第2駆動信号転送配線434bとの対が設けられている。すなわち、配線基板400には、第1駆動信号転送配線と第2駆動信号転送配線との対が2つ設けられているが、これい限られず、いずれか1対のみが設けられていてもよいし、3対以上設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、駆動IC200が、各種の制御信号に基づいて、駆動信号COM−Aiが有する台形波形(駆動波形)Adp1,Adp2、駆動信号COM−Biが有する台形波形(駆動波形)Bdp1,Bdp2を組み合わせることにより各圧電素子60に対する駆動信号Voutを出力しているが、これに限られない。例えば、4つの駆動回路が、「大ドット」に対応する駆動波形を有する第1駆動信号、「中ドット」に対応する駆動波形を有する第2駆動信号、「小ドット」に対応する駆動波形を有する第3駆動信号及び「非記録」に対応する駆動波形を有する第4駆動信号をそれぞれ生成する。駆動IC200は、それらの各種制御信号に基づいて、第1駆動信号、第2駆動信号、第3駆動信号及び第4駆動信号のいずれか1つを選択することにより各圧電素子60に対する駆動信号Voutを出力してもよい。
また、例えば、駆動回路が、図26に示されるような複数の駆動波形Adp,Bdp,Cdpを有する駆動信号COMiを生成し、駆動IC200が、各種の制御信号(ラッチ信号LATiやチェンジ信号CHi等)に基づいて、複数の駆動波形Adp,Bdp,Cdpから1又は複数の駆動波形を選択することにより、各圧電素子60に対する駆動信号Voutを出力してもよい。図26に示される駆動信号COMAiは、周期Taのうちの期間T1,T2,T3において、それぞれ駆動波形Adp,Bdp,Cdpを有している
。そして、例えば、「大ドット」に対応する駆動信号Voutは駆動信号COMiの駆動波形Adpと駆動波形Bdpとを有し、「中ドット」に対応する駆動信号Voutは駆動波形Adpのみを有し、「小ドット」に対応する駆動信号Voutは駆動波形Bdpのみを有し、「非記録」に対応する駆動信号Voutは駆動波形Cdpのみを有する。この場合、例えば、図14及び図15に示される配線基板400において、第1駆動信号転送配線433aと第2駆動信号転送配線434aとが駆動信号COMiを転送する1本の配線に置き換えられ、第1駆動信号転送配線433bと第2駆動信号転送配線434bとが駆動信号COMiを転送する1本の配線に置き換えられる。
また、上記の実施形態では、制御ユニット10と各ヘッドユニット32とは2つのフレキシブルフラットケーブル190,191で接続されているが、1つのフレキシブルフラットケーブルで接続されていてもよいし、3つ以上のフレキシブルフラットケーブルで接続されていてもよい。あるいは、各種信号は、制御ユニット10から各ヘッドユニット32に無線で転送されてもよい。
また、上記の実施形態では、駆動回路が駆動素子としての圧電素子(容量性負荷)を駆動するピエゾ方式の液体吐出装置を例に挙げたが、本発明は、駆動回路が容量性負荷以外の駆動素子を駆動する液体吐出装置にも適用可能である。このような液体吐出装置としては、例えば、駆動回路が駆動素子としての発熱素子(例えば、抵抗)を駆動し、発熱素子が加熱されることにより発生するバブルを利用して液体を吐出するサーマル方式(バブル方式)の液体吐出装置等が挙げられる。
以上、本実施形態あるいは変形例について説明したが、本発明はこれら本実施形態あるいは変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…液体吐出装置、3…ベース、4…液体貯留手段、5…第1搬送手段、6…第2搬送手段、7…装置本体、8…供給管、10…制御ユニット、11…制御信号生成部、12…制御信号変換部、13…制御信号送信部、14…駆動データ生成部、15…定電圧生成部、24…制御信号受信部、25…制御信号復元部、20,20−1〜20−4…駆動モジュール、32…ヘッドユニット、41…第1駆動モーター、42…第1搬送ローラー、43…第1従動ローラー、50,50−a1〜50−an,50−b1〜50−bn…駆動回路、60…圧電素子、71…第2駆動モーター、72…第2搬送ローラー、73…第2従動ローラー、74…搬送ベルト、75…テンションローラー、76…付勢部材、100…吐出制御モジュール、114…電子デバイス、115…流路ユニット、116…ヘッドケース、117…収容空間、118…リザーバー、121…ノズルプレート、122…ノズル、124…連通基板、125…共通液室、126…個別連通路、127…ノズル連通路、129…圧力室形成基板、130…圧力室、131…振動板、135…駆動領域、136…非駆動領域、137…下電極層、138…圧電体層、139…上電極層、140…バンプ電極、141…第1の面、142…第2の面、143…感光性接着剤、145…貫通配線、146…樹脂層、147…下面側配線、148…樹脂層、150…上面側埋設配線
、151…下面側埋設配線、154…樹脂層、156…バンプ電極、157…バンプ電極、159…接着剤、160…封止板、190…フレキシブルフラットケーブル、191…フレキシブルフラットケーブル、200…駆動IC、220…選択制御部、222…シフトレジスター、224…ラッチ回路、226…デコーダー、230…選択部、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、280…制御信号コネクター、290…駆動信号コネクター、310…ヘッド本体、330…ホルダー、332…連通流路、333…配線挿通孔、340…中継基板、341…駆動配線接続孔、342…挿入孔、350…供給部材、352…供給流路、353…貫通孔、360…固定板、361…露出開口部、370…流路部材、390…フィルターユニット、395…流路、400…配線基板、400a…第1面、400b…第2面、401…第1配線層、402…第2配線層、403,404…入力端子、405,406…出力端子、407,408…スルーホール、410…入力端子群、411a,411b,412a,412b,413a,413b,414a,414b,415,416,417…入力端子、420…出力端子群、421a,421b,422a,422b,423a,423b,424a,424b,425,426,427…出力端子、431a,431b…高電源電圧信号転送配線、432a,432b…基準電圧信号転送配線、433a,433b…第1駆動信号転送配線、434a,434b…第2駆動信号転送配線、435…グラウンド電圧信号転送配線、436…制御信号転送配線、437…低電源電圧信号転送配線、440…把持部、443a,443b,444a,444b,445,447…スルーホール、450…開口部

Claims (12)

  1. 第1基板と、
    1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上の駆動素子と、第2基板と、を有する駆動モジュールと、
    前記第1基板と前記第2基板とを接続するフレキシブル配線基板と、
    を備え、
    前記フレキシブル配線基板は、
    第1配線層と、
    前記第1配線層に対向する第2配線層と、
    前記駆動素子の第1端と電気的に接続される第1出力端子と、
    前記駆動素子の第2端と電気的に接続される第2出力端子と、
    前記第1出力端子と電気的に接続される第1配線と、
    前記第2出力端子と電気的に接続される第2配線と、
    前記第1配線層と前記第2配線層とを電気的に接続するスルーホールと、
    を有し、
    前記第2配線は前記第2配線層に設けられており、
    前記スルーホールを介して、前記第2配線と前記第2出力端子とは電気的に接続されていることを特徴とするヘッドユニット。
  2. 前記フレキシブル配線基板は、
    前記第1配線と電気的に接続される第1入力端子と、
    前記第2配線と電気的に接続される第2入力端子と、
    をさらに有し、
    前記第1出力端子及び前記第2出力端子は、前記フレキシブル配線基板の第1の辺に沿って設けられ、
    前記第1入力端子及び前記第2入力端子は、前記フレキシブル配線基板の前記第1の辺とは異なる第2の辺に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドユニット。
  3. 前記フレキシブル配線基板は、
    液体の吐出を制御する制御信号が入力される制御信号入力端子と、
    前記制御信号入力端子と電気的に接続され、前記制御信号を転送する制御信号転送配線と、
    前記制御信号転送配線と電気的に接続され、前記制御信号を前記駆動モジュールに出力する制御信号出力端子と、
    をさらに有し、
    前記制御信号転送配線は、前記フレキシブル配線基板の前記第1配線層において、前記第2配線が設けられている領域と対向しない領域に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドユニット。
  4. 前記フレキシブル配線基板は、
    電源電圧信号が入力される電源電圧信号入力端子と、
    前記電源電圧信号入力端子と電気的に接続され、前記電源電圧信号を転送する電源電圧信号転送配線と、
    前記電源電圧信号転送配線と電気的に接続され、前記電源電圧信号を前記駆動モジュールに出力する電源電圧信号出力端子と、
    をさらに有し、
    前記電源電圧信号転送配線は、前記フレキシブル配線基板の前記第2配線層に設けられており、
    前記制御信号転送配線は、前記電源電圧信号転送配線が設けられている領域と対向する領域に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のヘッドユニット。
  5. 前記第1配線は、前記第1配線層に設けられており、
    前記第1配線は、前記第2配線と対向していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
  6. 前記フレキシブル配線基板は、複数の前記第2配線を有し、
    前記第1配線は、基準電圧信号を転送する基準電圧信号転送配線であり、
    前記複数の前記第2配線は、第1駆動信号を転送する第1駆動信号転送配線と、第2駆動信号を転送する第2駆動信号転送配線と、を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
  7. 前記第1駆動信号は、前記第2駆動信号よりも振幅が大きく、
    前記第2配線層において、前記第1駆動信号転送配線は、前記第2駆動信号転送配線よりも前記フレキシブル配線基板の端側に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のヘッドユニット。
  8. 前記第1駆動信号転送配線の幅は、前記第2駆動信号転送配線の幅とは異なることを特徴とする請求項6又は7に記載のヘッドユニット。
  9. 前記第1駆動信号は、前記第2駆動信号よりも振幅が大きく、
    前記第1駆動信号転送配線の幅は、前記第2駆動信号転送配線の幅よりも大きいことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
  10. 前記フレキシブル配線基板は、
    電源電圧信号を転送する電源電圧信号転送配線又はグラウンド電圧信号を転送するグラウンド電圧信号転送配線をさらに有し、
    前記第2配線層において、前記第2配線は、前記電源電圧信号転送配線又は前記グラウンド電圧信号転送配線よりも前記フレキシブル配線基板の端側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
  11. 前記第1駆動信号転送配線と前記第2駆動信号転送配線は、共に前記第2配線層に設けられており、
    前記基準電圧信号転送配線は、前記第1配線層に設けられており、前記第1駆動信号転送配線と前記第2駆動信号転送配線の両方に対向していることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
  12. 第1基板と、
    1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上の駆動素子と、第2基板と、を有する駆動モジュールと、
    前記第1基板と前記第2基板とを接続するフレキシブル配線基板と、
    を備え、
    前記フレキシブル配線基板は、
    第1配線層と、
    前記第1配線層に対向する第2配線層と、
    前記駆動素子の第1端と電気的に接続される第1出力端子と、
    前記駆動素子の第2端と電気的に接続される第2出力端子と、
    前記第1出力端子と電気的に接続される第1配線と、
    前記第2出力端子と電気的に接続される第2配線と、
    前記第1配線層と前記第2配線層とを電気的に接続するスルーホールと、
    を有し、
    前記第2配線は前記第2配線層に設けられており、
    前記スルーホールを介して、前記第2配線と前記第2出力端子とは電気的に接続されていることを特徴とする液体吐出装置。
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