JP7461760B2 - 液体吐出装置、液体吐出装置の製造方法 - Google Patents

液体吐出装置、液体吐出装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、液体吐出装置、及び液体吐出装置の製造方法に関する。
所定量の液体を所定の位置に供給する液体吐出装置が知られている。液体吐出装置は、例えばインクジェットプリンタ、3Dプリンタ、分注装置などに搭載する。インクジェットプリンタは、インクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体等の表面に画像等を印刷する。3Dプリンタは、造形材の液滴を造形材吐出ヘッドから吐出し、硬化させて、三次元造形物を形成する。分注装置は、試料の液滴を吐出して複数の容器等へ所定量供給する。
液体吐出装置は、ドットを形成するためのノズルとアクチュエーターを備えるチャネルを複数有している。液体吐出装置は、複数のチャネルの中から液体を吐出するチャネルを選択し、アクチュエーターに駆動電圧を与えて駆動させる。複数のアクチュエーターは、アクチュエーター基板に配置する。アクチュエーターを駆動させる駆動ICは、アクチュエーター基板と接続するフレキシブル基板に搭載する。駆動ICは、アクチュエーター基板及びフレキシブル基板に形成した個別電極を通じてアクチュエーターに駆動電圧を与える。個別電極は、各アクチュエーターに対応付けたファインピッチの配線である。
フレキシブル基板の駆動ICをアクチュエーター基板に実装するにあたり、これまでは駆動IC側の個別電極の端子ピッチとアクチュエーター基板側の個別電極の端子ピッチを一致させていた。しかしながら、ファインピッチ化が進むと、特に基板同士を接続する端子部において端子同士を合わせることが困難となる。
特開2019-142075公報 特開2019-142076公報 特開2018-103612号公報
本発明が解決しようとする課題は、例えば個別電極などの導体のファインピッチ化に対応することのできる液体吐出装置及び液体吐出装置の製造方法を提供することにある。
本発明の実施形態の液体吐出装置は、アクチュエーター基板及びフレキシブル基板を備 える。アクチュエーター基板には、液体をノズルから吐出させるときに駆動する複数の静 電容量性のアクチュエーターを配置する。フレキシブル基板には、複数のアクチュエーターに駆動電圧を与える駆動ICを搭載する。フレキシブル基板は、アクチュエーター基板 に接続する。アクチュエーター基板の端子部の前記アクチュエーターの各個別電極の導体幅をw1,導体間隔をg1、前記フレキシブル基板の端子部の前記駆動ICの各出力配線の導体幅をw2,導体間隔をg2としたとき、w1-g2=cmin( cmin>0)、g1-w2=gmin(gmin>0)の関係を満たしている
第1実施形態に従うインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタの全体構成図である。 上記インクジェットヘッドの斜視図である。 上記インクジェットヘッドの内部構成図である。 上記インクジェットヘッドのアクチュエーターの断面図である。 上記インクジェットプリンタの制御系のブロック構成図である。 上記アクチュエーターに与える駆動波形の説明図である。 アクチュエーター基板、フレキシブルプリント配線板及び中継基板を接続した図である。 アクチュエーター基板、フレキシブルプリント配線板及び中継基板を展開した図である。 アクチュエーター基板、フレキシブルプリント配線板及び中継基板の接続部分の断面図である。 アクチュエーター基板の個別電極とフレキシブルプリント配線板の出力配線の接続状態を示す説明図である。 各アクチュエーターに駆動ドライバを割り当てる方法を示すフローチャートである。 各アクチュエーターに駆動ドライバを割り当てた回路図である。 上記フローチャートの機能を実行するブロック構成図である。 各アクチュエーターに駆動ドライバを割り当てる他の方法を示すフローチャートである。 アクチュエーター基板の個別電極とフレキシブルプリント配線板の出力配線の接続状態を示す説明図である。 各アクチュエーターに駆動ドライバを割り当てた回路図である。 アクチュエーター基板の個別電極とフレキシブルプリント配線板の出力配線の接続状態を示す説明図である。 各アクチュエーターに駆動ドライバを割り当てた回路図である。
以下、実施形態に従う液体吐出装置及び液体吐出装置の製造方法について、添付図面を参照しながら詳述する。なお、各図において、同一構成は同一の符号を付している。
実施形態の液体吐出装置1を搭載した画像形成装置の一例として、記録媒体に画像を印刷するインクジェットプリンタ10を説明する。図1は、インクジェットプリンタ10の概略構成を示す。インクジェットプリンタ10の筐体11の内部に、記録媒体の一例であるシートSを収納するカセット12、シートSの上流搬送路13、カセット12内から取り出したシートSを搬送する搬送ベルト14、搬送ベルト14上のシートSに向けてインクの液滴を吐出するインクジェットヘッド100~103、シートSの下流搬送路15、排出トレイ16、及び制御基板17を配置する。ユーザーインターフェイスである操作部18は、筐体11の上部側に配置する。
シートSに印刷する画像データは、例えば外部接続機器であるコンピュータ200で生成する。コンピュータ200で生成した画像データは、ケーブル201、コネクタ202,203を通してインクジェットプリンタ10の制御基板17に送る。
ピックアップローラ204は、カセット12からシートSを一枚ずつ上流搬送路13へ供給する。上流搬送路13は、送りローラ対131、132と、シート案内板133、134で構成する。シートSは、上流搬送路13を経由して、搬送ベルト14の上面に送る。図中の矢印104は、カセット12から搬送ベルト14へのシートSの搬送経路を示す。
搬送ベルト14は、表面に多数の貫通孔を形成した網状の無端ベルトである。駆動ローラ141、従動ローラ142,143の3本のローラは、搬送ベルト14を回転自在に支持する。モータ205は、駆動ローラ141を回転することによって搬送ベルト14を回転させる。モータ205は、駆動装置の一例である。図中105は、搬送ベルト14の回転方向を示す。搬送ベルト14の裏面側に、負圧容器206を配置する。負圧容器206は、減圧用のファン207と連結する。ファン207は、形成する気流によって負圧容器206内を負圧にし、搬送ベルト14の上面にシートSを吸着保持させる。図中106は、気流の流れを示す。
インクジェットヘッド100~103は、搬送ベルト14上に吸着保持したシートSに対して、例えば1mmの僅かな隙間を介して対向するように配置する。インクジェットヘッド100~103は、シートSに向けてインクの液滴を夫々吐出する。インクジェットヘッド100~103は、下方をシートSが通過する際に画像を印刷する。各インクジェットヘッド100~103は、吐出するインクの色が異なることを除けば、同じ構造である。インクの色は、例えば、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックである。
各インクジェットヘッド100~103は、インク流路311~314を介してインクタンク315~318及びインク供給圧力調整装置321~324と夫々連結する。画像形成時、各インクタンク315~318のインクは、インク供給圧力調整装置321~324によって各インクジェットヘッド100~103に供給する。
画像形成後、搬送ベルト14から下流搬送路15へシートSを送る。下流搬送路15は、送りローラ対151,152,153,154と、シートSの搬送経路を規定するシート案内板155,156で構成する。シートSは、下流搬送路15を経由し、排出口157から排出トレイ16へ送る。図中矢印107は、シートSの搬送経路を示す。
続いて、インクジェットヘッド100~103の構成について説明する。以下は、図2~図4を参照しながら、インクジェットヘッド100について説明しているが、インクジェットヘッド101~103もインクジェットヘッド100と同じ構造である。
図2~図4に示すように、インクジェットヘッド100は、液体吐出部の一例であるノズルヘッド部2、フィルムキャリアパッケージの一例であるフレキシブルプリント配線板3、中継基板4を備えている。フレキシブル基板である。さらに、ノズルヘッド部2は、ノズルプレート21、複数のアクチュエーター8を形成するアクチュエーター基板22、共通インク室26を形成する枠部材23、共通インク室26にインクを供給するインク供給部24を備えている。
ノズルプレート21は、例えばポリイミドなどの樹脂又はステンレスなどの金属で形成した矩形状のプレートである。インクを吐出するノズル25は、ノズルプレート21の表面に複数形成する。ノズルプレート21のノズル密度は、例えば150~1200dpiの範囲内に設定する。アクチュエーター基板22は、例えば絶縁性のセラミックスで形成した矩形状の基板である。
枠部材23は、アクチュエーター基板22の下方部分の周囲を囲う。枠部材23の下方面の開口は、ノズルプレート21によって封止する。枠部材23、アクチュエーター基板22及びノズルプレート21によって区画された空間は、共通インク室26(261,262)を形成する。共通インク室26は、アクチュエーター基板22を挟んで2つの共通インク室261,262を有する。一方の共通インク室261は、インク供給口27と連通しており、後述する複数の圧力室5にインクを供給するインク供給路となる。インク供給口27は、インク供給管28を介して、図1のインク供給圧力調整装置321に接続する。他方の共通インク室262は、図示は省略するが、インク供給口27と同様の開口部であるインク排出口と連通しており、後述する複数の圧力室5からのインクを排出するインク排出路となる。インク排出口は、インクを循環供給するために、インク排出管29を介してインク供給圧力調整装置321に接続する。
特に図3と図4に示すように、ノズル25と共にインクの吐出チャネルを構成する圧力室5、及び、ダミーチャネルを構成する空気室51は、共通インク室26(261,262)内に位置するアクチュエーター基板22の表面に複数形成する。圧力室5と空気室51は、側壁となる圧電部材6(61,62)で仕切っている。圧力室5及び空気室51は、アクチュエーター基板22の表面に積層した2枚の圧電部材61,62を、基板の幅方向に矩形状に切欠いた溝によって形成する。2枚の圧電部材61,62は、分極方向が相反する方向(一例として対向方向)に積層する。各圧力室5は、各ノズル25と1対1で連通している。空気室51は、圧力室5の両側に位置するように配列する。
さらに、アクチュエーター基板22の両側面に、空気室51の短辺側の側壁を形成する2枚のカバープレート67を夫々設ける。空気室51は、カバープレート67によって共通インク室26(261,262)とは遮断している。カバープレート67は、例えば厚さ50μm程度のジルコニア板で形成する。カバープレート67には、圧力室5と左右の共通インク室261,262とが連通するように、圧力室5の形状に対応する溝状の開口68を形成する。共通インク室261側のカバープレート67の開口68はインク供給口であり、共通インク室262側のカバープレート67の開口68はインク排出口であり、インクを圧力室5に供給・排出する。
圧力室5の上面及び両側面に一体的に電極63を形成する。空気室51の側面には、電気的に切り離した電極64を夫々形成する。圧力室5の電極63及び空気室51の電極64は、配線電極としての共通電極65及び個別電極66に夫々接続する。すなわち、圧力室5の電極63と共通電極65の接続点がアクチュエーター8の一方の端子であり、空気室51の電極64と個別電極66の接続点がアクチュエーター8の他方の端子である。電極63,64、共通電極65及び個別電極66は、例えばニッケル薄膜で形成する。アクチュエーター基板22上の共通電極65と個別電極66は、例えば絶縁層(不図示)によって絶縁する。共通電極65は例えば接地する。個別電極66は、各チャネルのアクチュエーター8に駆動電圧を与える。この構成により、圧電部材6(61,62)の分極軸と交差(望ましくは、直交)する方向に電界が印加され、圧力室5の両サイドの圧電部材6(61,62)をシェアモード変形させることにより、圧力室5内を加圧してノズル25からインクを吐出する。すなわち、シェアモード型の静電容量性アクチュエーター8である。
説明を図2に戻すと、圧力室5からの共通電極65及び空気室51からの個別電極66は、フレキシブルプリント配線板3に電気的に接続し、フレキシブルプリント配線板3は中継基板4に電気的に接続する。フレキシブルプリント配線板3には、駆動用のIC(Integrated Circuit)31を搭載している(以下、駆動ICと称す)。駆動IC31は、インクジェットプリンタ10の制御基板17からのプリントデータを一時的に格納し、所定のタイミングでインクを吐出するように駆動電圧をアクチュエーター8に与える。
図5は、インクジェットプリンタ10の制御系のブロック構成図である。制御部としての制御基板17は、CPU170、ROM171、RAM172、入出力ポートであるI/Oポート173、画像メモリ174を搭載している。CPU170は、I/Oポート173を通して、モータ205、インク供給圧力調整装置321~324、操作部18、及び各種センサーを制御する。外部接続機器であるコンピュータ200からの画像データは、I/Oポート173を通じて制御基板17へ送信し、画像メモリ174に格納する。CPU170は、画像メモリ174に格納した画像データを描画順に駆動回路7に送信する。駆動回路7は、フレキシブルプリント配線板3、駆動IC31及び中継基板4により構成する。
駆動回路7は、チャネルデータ供給部であるプリントデータバッファ71、デコーダ72、駆動ドライバ73を備えている。プリントデータバッファ71は、画像データをチャネル毎に時系列に格納する。デコーダ72は、チャネル毎にプリントデータバッファ71に格納した画像データに基づいて、駆動ドライバ73を制御する。駆動ドライバ73は、デコーダ72の制御に基づき、各チャネルのアクチュエーター8に駆動波形を与える。
続いて図6を参照し、アクチュエーター8に与える駆動波形について説明する。図6は、駆動波形の一例として、1回の駆動周期でインクを4回ドロップしてドットを形成するマルチドロップの駆動波形を示している。この駆動波形は、いわゆる引き打ちの駆動波形である。勿論、駆動波形は、インクを1回以上ドロップできれば、4回ドロップする波形に限らない。また、引き打ちに限らず、押し打ち又は押し引き打ちであってもよい。
駆動波形は、静電容量性のアクチュエーター8に時刻t1までバイアス電圧V1を印加する。そして、インクの吐出動作を開始する時刻t1から時刻t2まで電圧V0(=0V)にした後、時刻t2から時刻t3まで電圧V2を印加して1回目のインクのドロップを行う。さらに、時刻t3から時刻t4まで電圧V0(=0V)にした後、時刻t4から時刻t5まで電圧V2を印加して2回目のインクのドロップを行う。さらに、時刻t5から時刻t6まで電圧V0(=0V)にした後、時刻t6から時刻t7まで電圧V2を印加して3回目のインクのドロップを行う。さらに、時刻t7から時刻t8まで電圧V0(=0V)にした後、時刻t8から時刻t9まで電圧V2を印加して4回目のインクのドロップを行う。ドロップ終了後の時刻t9でバイアス電圧を与えて圧力室5内の残留振動を減衰させる。
吐出時に与える電圧は、バイアス電圧よりも小さい電圧であり、例えば圧力室5内のインクの圧力振動の減衰率に基づいて電圧値を決定する。時刻t1から時刻t2までの時間、時刻t2から時刻t3までの時間、時刻t3から時刻t4までの時間、時刻t4から時刻t5までの時間、時刻t5から時刻t6までの時間、時刻t6から時刻t7までの時間、時刻t7から時刻t8、時刻t8から時刻t9までの時間は、夫々、例えばインクの特性とヘッド内構造によって決まる固有の圧力振動の振動周期λの半周期に設定する。固有の振動周期λの半周期は、AL(Acoustic Length)とも称される。例えば振動周期λが4μsのとき、半周期は2μsである。
図7~図9は、アクチュエーター基板22、フレキシブルプリント配線板3、駆動IC31及び中継基板4の配線を示す。図7は、各基板を接続した状態を示す。図8は。各基板を接続する前の状態を示す。図9は、部分断面図である。アクチュエーター8については、作図の便宜上、個々の図示を省略している。アクチュエーター基板22とフレキシブルプリント配線板3は、互いの端子部20,30同士を接続する。フレキシブルプリント配線板3と中継基板4は、互いの端子部32,40同士を接続する。
既述のように、アクチュエーター8の一方の端子は、共通電極65に接続する。アクチュエーター8の他方の端子は、個別電極66に接続する。共通電極65と各アクチュエーター8から引き出した個別電極66は、フレキシブルプリント配線板3を接続する端子部20にまで形成する。アクチュエーター基板22の端子部20には、左右両サイドに共通電極65が位置し、その内側領域に等間隔で並んだ個別電極66が位置している。個別電極66の本数は、アクチュエーター8の数と一致する。アクチュエーター8の数は、例えば1312個である。端子部20に位置する個別電極66は、アクチュエーター基板22の端子部20の導体の一例である。
共通電極65及び個別電極66は、例えば、ニッケル、アルミ、金またはこれらの合金などでアクチュエーター基板22の表面に薄膜状に形成する。厚みは、例えば0.4μmである。絶縁性の確保のため、例えば端子部20を除いた領域に絶縁層や絶縁部材などを設ける。アクチュエーター基板22の端子部20における、個別電極65の電極幅と電極間隔は、夫々、例えば10μm~30μmの範囲内から選択する。共通電極65は、全てのアクチュエーター8に充放電電流を供給する必要があるため、電極幅を広くしている。共通電極65の電極幅は、例えば0.8mmである。
フレキシブルプリント配線板3は、例えばポリイミドなどの合成樹脂フィルムを用いたフレキシブルな配線板である。並列に配置した2枚のフレキシブルプリント配線板3を、アクチュエーター基板22に接続する。駆動IC31は、すべてのアクチュエーター8を選択的に駆動させるために、フレキシブルプリント配線板3の夫々に搭載する。駆動IC31は、例えばシリコン半導体基板上に形成したドライバチップである。駆動IC31を搭載したフレキシブルプリント配線板3は、フィルムキャリアパッケージとも称するフレキシブル基板の一例である。
フレキシブルプリント配線板3は、出力配線33、入力配線34、第1電源配線35、第2電源配線36、グランド配線37、コモン通過配線38を有する。駆動IC31から引き出した出力配線33は、アクチュエーター基板22を接続する側の端子部30にまで形成する。2枚のフレキシブルプリント配線板3の出力配線33の総本数は、アクチュエーター基板22の個別電極66の本数よりも多くする。さらに、端子部30における出力配線33のピッチは、端子部20における個別電極66のピッチよりも小さくする。出力配線33の本数は、一例として、個別電極66の本数に、[出力配線33のピッチ(μm)/個別電極66のピッチ(μm)]を乗じた本数か又はそれ以上にする。出力配線33を、これまでのように個別電極66と同数にしない理由については、後で詳しく説明する。端子部30に位置する出力配線33は、フレキシブルプリント配線板3の端子部30の導体の一例である。
駆動IC31から引き出した入力配線34は、中継基板4を接続する側の端子部32にまで形成する。駆動IC31はシリアル通信によって制御できるので、入力配線34の本数は、出力配線33の数よりも少ない。2枚のフレキシブルプリント配線板3の入力配線34の総本数は、例えば100本(=50×2)である。
コモン通過配線38は、アクチュエーター基板22と接続する側の端子部30から、中継基板4を接続する側の端子部32にまで形成する。コモン通過配線38は、各フレキシブルプリント配線板3の左右端部に夫々形成する。左右に配置する2枚のフレキシブルプリント配線板3に、共通のフレキシブルプリント配線板3を使用できるからである。2本のコモン通過配線38のうち外側に位置するコモン通過配線38を、共通電極65と接続する。コモン通過配線38の配線幅は、例えば0.4mmである。
第1電源配線35、第2電源配線36及びグランド配線37は、夫々駆動IC8に接続する。第1電源配線35、第2電源配線36及びグランド配線37は、中継基板4を接続する側の端子部32にまで夫々形成する。出力配線33、入力配線34、第1電源配線35、第2電源配線36、グランド配線37、コモン通過配線38は、例えば銅で薄膜状に形成する。厚みは、例えば8μmである。出力配線33の配線幅と配線間隔は、夫々、例えば10μm~30μmの範囲内から選択する。入力配線34の配線幅は、例えば0.15mmである。配線間隔は、例えば0.15mmである。第1電源配線35、第2電源配線36、グランド配線37、コモン通過配線38の配線幅は、夫々、例えば0.4mmである。
中継基板4は、ガラス繊維入りのエポキシ樹脂層と銅配線層を多重に積層した硬質のスルーホール基板である。フレキシブルプリント配線板3と接続する中継基板4の端子部40には、出力配線41、第1電源配線42、第2電源配線43及びグランド配線44を夫々形成する。出力配線41、第1電源配線42及び第2電源配線43は、フレキシブルプリント配線板3の入力配線34、第1電源配線35、第2電源配線36と接続する。グランド配線44は、フレキシブルプリント配線板3のグランド配線37及びコモン通過配線38と接続する。出力配線41には、各アクチュエーターを選択的に駆動させる信号を与える。第1電源配線42には、駆動電圧V1を与える。第2電源配線43には、駆動電圧V2を与える。グランド配線44は、例えばインクジェットプリンタ10の制御基板17でグランドに接地する。
アクチュエーター基板22の端子部20とフレキシブルプリント配線板3の端子部30は、図9に示すように、異方性導電フィルム(ACF、Anisotropic Conductive Film)39を介して接続する。すなわち、アクチュエーター基板22の端子部20とフレキシブルプリント配線板3の端子部30とが互いに対向するようにし、その間にACF39を介在させて熱圧着させることにより、互いの端子同士を一括接続する。フレキシブルプリント配線板3と中継基板4の接続も同様である。
続いて、駆動IC31の駆動ドライバ73を各アクチュエーター8に割り当てる方法について、図10及び図11を参照しながら説明する。駆動ドライバ73の割り当ては、例えばインクジェットヘッド100を製造する工程に含める。既述のとおり、フレキシブルプリント配線板3の端子部30における出力配線33の本数は、アクチュエーター基板22の端子部20における個別電極66の本数よりも多くする。さらに、出力配線33のピッチを、個別電極66のピッチよりも小さくする。すなわち、端子部20の単位長さあたりに配列した出力配線33の本数は、端子部30の単位長さあたりに配列した個別電極66の本数よりも多い。このとき、個別電極66の電極幅をw1,電極間隔をg1とし、出力配線33の配線幅をw2,配線間隔をg2としたとき、w1-g2=cmin(cmin>0)、g1-w2=gmin(gmin>0)の関係を満たすようにする。Cmin(Conducting minimum)は、通電に必要な最小導体幅である。gmin(Gap minimum)は、絶縁に必要な最小間隔である。cminの好ましい一例は、10μmである。gminの好ましい一例は、10μmである。w1-g2=cmin>0であるとき、アクチュエーター8側の電極幅w1にフィルム側の電極間隔g2がすっぽり入るので、アクチュエーター8の任意の個別電極66は少なくともいずれかの出力配線33と接触しており、必ず駆動IC31のいずれかの駆動回路で駆動可能である。g1-w2=gmin>0であるとき、アクチュエーター8側の電極間隔g1に出力配線33の配線幅w2がすっぽりと入るので、隣接するアクチュエーター8の個別電極66同士が出力配線33によってショートすることはない。この双方が成立するとき、w1+g1=w2+g2+cmin+gminであるから、フレキシブルプリント配線板3側の導体ピッチはアクチュエーター基板22側の導体ピッチよりも小さい。そのとき一般にはフレキシブルプリント配線板3側の導体数がアクチュエーター基板22側の導体数よりも多い。
上記関係を満たすと、端子部20、30同士を接合したとき、各個別電極66は、必ずいずれかの出力配線33と接する。従って、これまでのように個別電極66と出力配線33の本数及びピッチを一致させた場合に比べて、端子同士の位置合わせ容易となる。一方で、出力配線33から見ると、1本の個別電極66に対して一対一で接している、複数本接している、又はいずれにも接していない場合がある。図10の例では、1番目の出力配線33(#1)は、1番目の個別電極66(#1)に一対一で接している。しかし、2番目と3番目の出力配線33(#2、#3)は、2番目の個別電極66(#2)に接している。6番目と7番目、10番目と11番目の出力配線(#6と#7、#10と#11)も同様である。そこで、図11に示すフローチャートに従って、各アクチュエーター8に対する駆動IC31の駆動ドライバ73の割り当てを行う。
まず、対象とする駆動IC31の駆動回路とアクチュエーター8を、夫々、1番目の駆動回路と1番目のアクチュエーター8に設定する(ステップS1,n=1,m=1)。そして、1番目の駆動回路を、1番目のアクチュエーター8を駆動する駆動回路に割り当てる(ステップS2)。次に、割り当てた1番目(=n)の駆動回路に例えば電圧V2を印加し(ステップS3)、アクチュエーター8への充電電流が流れるか否かを検出する(ステップS4)。充電電流が流れるかどうかを検出する方法として、例えば特許第3637246号による方法などが利用できる。図10の接続状態の場合、1番目のアクチュエーター8の個別電極66と1番目の駆動回路の出力配線33は接しているので、充電電流が流れる(ステップS4、Yes)。この状態で2番目(=n+1)の駆動回路をグランドGndに接続し(ステップS5)、DC電流が流れるか否かを検出する(ステップS6)。1番目の駆動回路の出力配線33は、1番目の個別電極66と一対一で接しており、2番目の駆動回路の出力配線33とは電気的に繋がっていないので、DC電流は流れない(ステップS6、No)。従って、対象をn=n+1、m=m+1にして次の駆動回路の割り当てに進む(ステップS8,ステップS9、No)。すなわち、2番目の駆動回路を、2番目のアクチュエーター8を駆動する駆動回路に割り当てる(ステップS2)。そして、2番目の駆動回路に例えば電圧V2を印加し(ステップS3)、アクチュエーター8への充電電流が流れるか否かを検出する(ステップS4)。2番目のアクチュエーター8の個別電極66と2番目の駆動回路の出力配線33は接しているので、充電電流が流れる(ステップS4、Yes)。この状態で3番目の駆動回路をグランドGndに接続し(ステップS5)、DC電流が流れるか否かを検出する(ステップS6)。2番目の駆動回路の出力配線33は、3番目の駆動回路の出力配線33に対して2番目の個別電極66を介して電気的に繋がっているので、DC電流が流れる(ステップS6、Yes)。すなわち、2番目の駆動回路と3番目の駆動回路がショートしていることを検出できる。
DC電気が流れた場合(ステップS6,Yes)、3番目(=n+1)の駆動回路は、例えばトランジスタをOFFするなどして駆動ドライバ73のドライバ出力をハイインピーダンスに設定(OFF設定)してOFFチャネルにすると共に、3番目(=n+1)の駆動回路の割り当てをスキップする(ステップS7)。なお、図示は省略したが、個別電極66と出力配線33の幅やピッチによっては、個別電極66のいずれにも接しない出力配線33がある場合がある。この場合、充電電流は流れない(ステップS4、No)。このいずれの個別電極66にも接しない出力配線33は、例えばトランジスタをOFFするなどして駆動ドライバ73のドライバ出力をハイインピーダンスに設定(OFF設定)してOFFチャネルにする(ステップS10)。そして全ての駆動回路についてアクチュエーター8の割り当てが完了すると(ステップS9,Yes)、処理を終了する。こうして駆動回路の割り当てを行った結果を図10に併せて示す。さらに、対応する回路図を図12に示す。図12に示すように、アクチュエーター8のすべてに駆動IC31の駆動ドライバ73が接続する。但し、3番目、7番目及び11番目の駆動ドライバ73はOFF設定である。印刷時、駆動ドライバ73は、例えばトランジスタ(不図示)のON-OFFにより、アクチュエーター8に対して駆動電圧V1及び駆動電圧V2の印加及びグランドGndの接続を行う。
図11に示すフローチャートの機能は、例えば図13に示すブロック構成図の中の割当て制御部9とプリントデータ割当て部91が実行するようにする。すなわち、割当て制御部9は、フローチャートの機能を実行するプログラムなどを例えばメモリ等に格納し、例えばCPUがプログラムを読み出して割り当て全般の動作を制御する。プリントデータ割当て部91は、ステップS2のm番目のアクチュエーター8を駆動する駆動回路をn番目駆動回路に割り当てる機能、ステップS7のn+1番目の駆動回路をOFFチャネルに設定する機能、ステップS10のn番目の駆動回路をOFFチャネルに設定する機能などを実行し、全てのチャネルの割り当て結果を例えばメモリ等に格納する。駆動信号生成部92は、駆動信号を生成して駆動回路93に与える。すなわち、ステップS3のn番目の駆動回路に電圧を印加する機能を実行する。プリントデータ割当て部91、駆動信号生成部92、及び駆動回路93は、全てをフレキシブルプリント配線板3の駆動IC31で構成してもよく、その一部の機能を中継基板4、インクジェットプリンタ10の制御基板15、或いは図示しない外部の制御機器や検査装置を用いて行ってもよい。
図11に示すフローチャートの変形例として、図14に示すフローチャートに従って駆動ドライバ73の割り当てを行うようにしてもよい。すなわち、図11のフローチャートでは、ステップS7においてドライバ出力をハイインピーダンスに設定(OFF設定)してOFFチャネルに設定しているが、図14に示すフローチャートでは、OFFチャネルにしないで、n番目の駆動回路とn+1番目の駆動回路の両方をm番目のアクチュエーターに割り当てる。図15は、個別電極66と出力配線33の接続状態と、図14に示すフローチャートに従って駆動ドライバ73の割り当てを行った結果を併せて示す。さらに、対応する回路図を図16に示す。
図15及び図16に示すように、2番目のアクチュエーター8と接している2番目の駆動回路と3番目の駆動回路は、同一信号を出力するように設定する。すなわち、2つの駆動ドライバ73のドライバ出力が同じ出力になるように設定する。6番目の駆動回路と7番目の駆動回路、10番目の駆動回路と11番目の駆動回路も同様である。さらに、図17には、個別電極66に対して出力配線33が僅かに左に寄って接続した状態と、図14に示すフローチャートに従って駆動ドライバ73の割り当てを行った結果を併せて示す。さらに、対応する回路図を図18に示す。図17及び図18の例では、2番目の駆動回路と3番目の駆動回路、6番目の駆動回路と7番目の駆動回路、10番目の駆動回路と11番目の駆動回路、14番目の駆動回路と15番目の駆動回路を、夫々、互いに同一信号を出力するように設定する。図14に示すフローチャートを採用した場合、例えば図17の2番目のアクチュエーター8を2番目の駆動回路と3番目の駆動回路の双方から駆動するので、2番目の駆動回路だけで駆動するよりも合計の接続面積が大きく、より安定に駆動できる。
図10、図15及び図17は接続状態の一例である。各図から分かるように、個別電極66の電極幅をw1,電極間隔をg1とし、出力配線33の配線幅をw2,配線間隔をg2としたとき、w1-g2=cmin(cmin>0)、g1-w2=gmin(gmin>0)の関係を満たすようにしたことにより、各個別電極66は、必ずいずれかの出力配線33と接する。そして、図11及び図14に示すフローチャートに従って駆動回路を割り当てることにより、各アクチュエーター8のすべてに駆動IC31の駆動ドライバ73が接続することができる。すなわち、以上説明した実施形態によれば、個別電極66のファインピッチ化に対応することが可能となる。
なお、インクジェットヘッド100は、吐出チャネルとダミーチャネルを交互に配置したシアモード型のアクチュエーター8に限らない。例えばノズル51とアクチュエーター8の両方をノズルプレート5の面上に複数配置した構成としてもよい。その他のドロップオンデマンド・ピエゾ方式のアクチュエーター8であってもよい。
上述の実施形態では、インクジェットプリンタ10のインクジェットヘッド100を液体吐出装置の一例として説明したが、液体吐出装置は、3Dプリンタの造形材吐出ヘッド、分注装置の試料吐出ヘッドであってもよい。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 インクジェットプリンタ
100~103 インクジェットヘッド
2 ノズルヘッド部
25 ノズル
3 フレキシブルプリント配線板3
31 駆動IC
33 出力配線
4 中継基板
65 共通電極
66 個別電極
73 駆動ドライバ
8 アクチュエーター

Claims (5)

  1. 液体をノズルから吐出させるときに駆動する複数の静電容量性のアクチュエーターを配置したアクチュエーター基板と、
    前記複数のアクチュエーターに駆動電圧を与える駆動ICを搭載し、前記アクチュエーター基板に接続するフレキシブル基板と、を備え、
    前記アクチュエーター基板の端子部の前記アクチュエーターの各個別電極の導体幅をw1,導体間隔をg1、前記フレキシブル基板の端子部の前記駆動ICの各出力配線の導体幅をw2,導体間隔をg2としたとき、
    w1-g2=cmin(cmin>0)、g1-w2=gmin(gmin>0)の関係を満たしていることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記フレキシブル基板の端子部の単位長さ当たりの導体の本数は、前記アクチュエーター基板の端子部の単位長さあたりの導体の本数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 液体をノズルから吐出させるときに駆動する複数の静電容量性のアクチュエーターを配置したアクチュエーター基板と、
    前記複数のアクチュエーターに駆動電圧を与える駆動ICを搭載し、前記アクチュエーター基板に接続するフレキシブル基板と、を備え、
    前記アクチュエーター基板の端子部の導体幅をw1,導体間隔をg1、前記フレキシブル基板の端子部の導体幅をw2,導体間隔をg2としたとき、
    w1-g2=cmin(cmin>0)、g1-w2=gmin(gmin>0)の関係を満たしており、
    前記アクチュエーター基板のいずれか1本の導体に対して前記フレキシブル基板の導体が複数接しているとき、この複数の導体の前記駆動ICのドライバ出力は、いずれか一つを除いてハイインピーダンスに設定することを特徴とする液体吐出装置。
  4. 液体をノズルから吐出させるときに駆動する複数の静電容量性のアクチュエーターを配置したアクチュエーター基板と、
    前記複数のアクチュエーターに駆動電圧を与える駆動ICを搭載し、前記アクチュエーター基板に接続するフレキシブル基板と、を備え、
    前記アクチュエーター基板の端子部の導体幅をw1,導体間隔をg1、前記フレキシブル基板の端子部の導体幅をw2,導体間隔をg2としたとき、
    w1-g2=cmin(cmin>0)、g1-w2=gmin(gmin>0)の関係を満たしており、
    前記アクチュエーター基板のいずれか1本の導体に対して前記フレキシブル基板の導体が複数接しているとき、この複数の導体の前記駆動ICのドライバ出力が同じ出力になるように設定することを特徴とする液体吐出装置。
  5. 液体をノズルから吐出させるときに駆動する複数の静電容量性のアクチュエーターを配置したアクチュエーター基板の端子部と、前記複数のアクチュエーターに駆動電圧を与える駆動ICを搭載したフレキシブル基板の端子部とを接続し、
    前記駆動ICを駆動して、前記フレキシブル基板の導体が、前記アクチュエーター基板の導体に対し一対一で接している、複数接している、又は接していないかを順に判定し、
    複数の導体が接しているときには、この複数の導体の前記駆動ICのドライバ出力を、いずれか一つを除いてハイインピーダンスに設定するか又は同じ出力になるように設定し、いずれにも接していないときにはドライバ出力をハイインピーダンスに設定し、
    前記アクチュエーター基板の端子部の導体幅をw1,導体間隔をg1、前記フレキシブル基板の端子部の導体幅をw2,導体間隔をg2としたとき、
    w1-g2=cmin(cmin>0)、g1-w2=gmin(gmin>0)の関係を満たしていることを特徴とする液体吐出装置の製造方法。
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