JP2018095490A - シリコン単結晶製造方法、シリコン単結晶、及びシリコン単結晶ウェーハ - Google Patents

シリコン単結晶製造方法、シリコン単結晶、及びシリコン単結晶ウェーハ Download PDF

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【課題】高生産性・高歩留まりが可能となるMCZ法においても、結晶変形を抑制して、直径300mm以上の大口径<111>結晶が製造可能となるシリコン単結晶製造方法を提供する。【解決手段】原料融液に磁場を印加してチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引上げる際、シリコン単結晶の成長軸方位を<111>とし、原料融液表面における中心磁場強度を0.2T以上0.29T以下として磁場を印加しつつシリコン単結晶の成長を行なうシリコン単結晶製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、磁場を印加したチョクラルスキー法により大口径<111>シリコン単結晶を製造する方法、シリコン単結晶、及びシリコン単結晶ウェーハに関する。
Siトランジスタの微細化・高集積化による性能向上が限界に近づきつつある中、Siよりもキャリア移動度に優れたGeやIII−V族化合物半導体をチャネル材料として用いる次世代トランジスタによる大幅な性能向上に期待が集まっている。
これらの次世代チャネル材料は、地殻中に27.7%存在するSiと異なって、Geは1.8ppma、Ga、Asはそれぞれ18ppma、1.5ppmaと資源量が少ないことに加え、GaAsなどの化合物半導体においては、もろく壊れ易い点、熱伝導の悪い点が産業的な利用における課題の一つとなっている。
これらの課題に対して、資源量が豊富で安価・高品質、かつ電子デバイスに十分な使用実績のあるSi基板の上に、Ge、GaAs等を配置するヘテロ構造は有効な解決策となり得る。
しかしながら、Si基板上にこれら異種原子層を形成する際には、(1)格子定数不整合によるミスフィット転位の導入、(2)熱膨張率差による膜内部熱歪みによる残留応力、転位、ウェーハ反り、及び(3)無極性のSiと異種元素から構成される極性を有するIII−V族との極性差によるAnti−phase domain(逆位相領域)の発生などが問題となる。
これらの問題のうち、ミスフィット転位については、成長領域選択成長と呼ばれる、Si基板上をSiOなどで覆い、部分的に露出させたSi基板面から成長させる方法によって、成長した異種原子層中の転位をかなり抑制できることが知られている。
熱膨張率差については、成長温度を低温化することで影響を軽減できることが知られているが、低温化により結晶性が悪くなる弊害がある。そのため、Siと異種原子層を分離して熱膨張による相互の影響をなくすため、この問題に対してもSiOなどで形成したパターン内部に成長させる方法や、パターンを通したラテラル成長をする方法が有効となる。
しかしながら、これらの方法は熱膨張率の影響をかなり抑制できるものの、パターン内の成長面での熱膨張率差の影響を回避することができない。また、チャネル部への歪導入がキャリア移動度の高速化につながる有益な面もある。そのため、ウェーハ自体が強固で、転位やウェーハ反りを抑制できる方が好ましい。この点で、Si(111)面は最密面で最も機械的強度が強く、転位やウェーハ反りを抑制できるため、他の面方位と比較して優位性がある。
Anti−phase domainについては、基板表面が偶数原子ステップを有するようにすることで抑制できることが知られており、(100)基板上の成長の場合であればオフ角度基板を用いるなどの方法が有効となる。この点でも、Si(111)面は元々2原子層ステップであるため、オフ角度の調整などの必要もない。
このように、Si基板上に高キャリア移動度材料をヘテロエピタキシャル成長させるヘテロ構造において、Si(111)面は、熱膨張率差による転位やウェーハ反りの抑制につながる機械的強度の点と、Anti−phase domain抑制につながる表面2原子層ステップの点で、Siの他の面方位に対して優位性がある。
上述のように、次世代チャネル材料のヘテロエピタキシャル用基板としてはSi(111)面が優位性を備えている。しかしながら、現在主流となっているSiをチャネル材料とするMOSトランジスタにおいては、Si(111)−SiO界面の界面準位がMOSトランジスタの高速動作の妨げとなるため、結晶方位<111>のシリコン単結晶から切り出したシリコン単結晶ウェーハ(以下、(111)シリコンウェーハとも呼ぶ)は使用されてこなかった。そのため、高歩留まりの先端微細化技術を適用できる300mm以上の大口径シリコンウェーハとして、(111)シリコンウェーハが工業上実用された例はなく、シリコン単結晶製造においても、300mm以上の大口径を有する結晶方位<111>のシリコン単結晶(以下、<111>結晶とも呼ぶ)の成長例は報告されていないのが実状である。
一般に、結晶成長の面方位依存性は、原子密度が高い面に対して垂直方向への成長速度が遅くなり、表面エネルギーが大きい面ほど成長速度が速くなる。従って、チョクラルスキー法(CZ法)において、結晶成長時にシリコン結晶−シリコン融液の固液界面で生じる固化潜熱を十分に除去できなくなると、結晶成長中に結晶を回転させていても円形状を維持することが困難となり、結晶成長方位に従った変形をみせる。原子密度は、Si(100)面が6.78×1014atoms/cmであるのに対して、Si(111)面は7.82×1014atoms/cmと高原子密度である。表面エネルギーについても、Si(100)面が2.13×10erg/cmであるのに対して、Si(111)面は1.23×10erg/cmと低エネルギーであり、<111>結晶成長では<100>結晶成長よりも結晶変形しやすい特徴がある。
このような結晶変形が大きく、円形状から崩れた面方位に依存する変形形状を伴って結晶成長する場合、製品となる規定直径の丸形状のウェーハを採取するために結晶の成長直径を大きくして変形部分を削り取ることとなるが、削り取られる分の歩留りが低下したり、変形が極端な場合には規定直径のウェーハを採取することができなくなったりすることとなる。
<111>結晶成長では、前述のように結晶変形しやすい特徴があり、その変形形状としては、周内(2 −1 −1),(−1 −1 2),(−1 2 −1)位置の3箇所でファセット面が形成された六角形状となり、ファセット面幅が極端に広くなると三角形状となる。例えば、<111>結晶インゴットから直径300mmの(111)シリコンウェーハを採取する場合、上記ファセット面幅が76mmのときに必要なインゴット径は310mm程度、ファセット面幅が150mmのときに必要なインゴット径は335mm程度となる。
このような結晶変形を抑制する技術として、<100>結晶成長に関してではあるが、特許文献1〜6において結晶成長速度を低速化する技術が示されている。
しかしながら、<111>結晶成長では、より結晶変形しやすい特性を有することに加え、直径300mm以上の大口径となると結晶の熱容量が大きくなり、また、固液界面で発生する固化潜熱が増大することで、固化潜熱を除去することが難しくなる。さらに、生産性及び歩留まりを高めるために行なう高チャージ量/高重量結晶引上げや、マルチプーリング操業で操業時間が長時間化する際の石英ルツボ内表面劣化を抑制する目的で使用される磁場を印加したCZ法(MCZ法)において、CZ法と比して融液温度勾配が小さくなり、温度場による変形抑制効果が弱まってしまう。これらの要因のため、MCZ法による<111>結晶成長では、成長速度の低速化だけでは十分な変形抑制効果を得ることは困難となる。
また、変形を十分に抑制できるまで成長速度を低速化すると、欠陥領域がInterstitial Si優勢の領域となって転位ループが生じてしまい、このような基板をエピタキシャルウェーハ用基板として使用した際に転位がエピタキシャル層に伝播してしまう問題が生じる。
特許文献7も<100>結晶に関するものだが、結晶回転を低速化することで変形を抑制する技術が示されている。しかしながら、この技術においても、結晶回転を低速化すると抵抗率分布や結晶中酸素濃度分布の不均一が生じる問題がある。
特開平09−263493号公報 特開平01−096088号公報 特開平11−189489号公報 特開2007−186419号公報 特開2001−354490号公報 特開2002−137989号公報 特開平11−268987号公報
上述したように、MCZ法は、長時間使用による石英ルツボ内表面劣化を抑制することで高チャージ量/高重量結晶引上げや、マルチプーリング操業を可能とし、高生産性・高歩留まりとすることができるが、結晶変形に対しては、CZ法と比して融液対流が抑制されるため、結晶近傍の融液温度勾配が小さくなり、温度場による変形抑制効果が弱くなるため、通常は変形を助長することとなる。
また、直径300mm以上の大口径となると結晶の熱容量が大きくなることと、固液界面で発生する固化潜熱も増大することで、固化潜熱を除去することが難しくなり、結晶成長方位に従った変形をしやすくなる。
このように、MCZ法で直径300mm以上の大口径結晶を製造する環境は、CZ法や小口径結晶を製造する場合と比較して、結晶変形に不利なものであり、結晶変形しやすい特性をもつ<111>結晶成長との組み合わせでは、変形を十分に抑制することは困難であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、高生産性・高歩留まりが可能となるMCZ法においても、結晶変形を抑制して、例えば、直径300mm以上の大口径<111>結晶が製造可能となるシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、原料融液に磁場を印加してチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引上げる際、前記シリコン単結晶の成長軸方位を<111>とし、前記原料融液表面における中心磁場強度を0.2T以上0.29T以下として磁場を印加しつつ前記シリコン単結晶の成長を行なうことを特徴とするシリコン単結晶製造方法を提供する。
このような方法であれば、結晶変形によるシリコン単結晶側面のファセット面幅を縮小し、高生産性・高歩留まりで、例えば、直径300mm以上の<111>シリコン単結晶を製造することが可能となる。
このとき、前記印加する磁場を、水平磁場とすることが好ましい。
印加する磁場を水平磁場とすれば、シリコン融液の縦方向の対流が効率よく抑制され、結晶周辺部における酸素蒸発量を制御することができるし、大口径単結晶の製造も比較的容易である。
また、本発明は、軸方位が<111>であり、直径が300mm以上であり、かつas−grown状態のシリコン単結晶側面の変形部ファセット面幅が76mm以下であるMCZシリコン単結晶を提供する。
このようなシリコン単結晶であれば、研削ロスを抑制しつつ、直径300mm以上の(111)シリコンウェーハを採取することが可能である。
このとき、前記変形部ファセット面幅が、35mm以下であることが好ましい。
ファセット面幅が35mm以下であれば、研削ロスをさらに抑制しつつ、直径300mm以上の(111)シリコンウェーハを採取することが可能である。
また、本発明は、面方位が(111)であり、直径が300mm以上であるシリコン単結晶ウェーハを提供する。
このようなシリコン単結晶ウェーハであれば、高キャリア移動度を有するGeやIII−V族化合物半導体などの次世代チャネル材料を用いたヘテロエピタキシャル用基板として有用である。
以上のように、本発明のシリコン単結晶製造方法であれば、結晶変形によるシリコン単結晶側面のファセット面幅を縮小し、高生産性・高歩留まりで、直径300mm以上の大口径<111>シリコン単結晶を製造することが可能となる。また、本発明の方法により製造されたシリコン単結晶であれば、ファセット面幅が縮小されているため、研削ロスを抑制しつつ、直径300mm以上の(111)シリコンウェーハを採取することが可能である。このようなシリコン単結晶ウェーハは、面方位が(111)であるため、例えば、高キャリア移動度を有するGeやIII−V族化合物半導体などの次世代チャネル材料を用いたヘテロエピタキシャル用基板として有用である。
本発明のシリコン単結晶製造方法を実施可能な結晶製造装置の一例を示す概略図である。 シリコン単結晶側面の変形部ファセット面幅を説明する概略図である。 シリコン単結晶側面の変形部ファセット面幅と直径300mm以上のウェーハ製品を採取可能な単結晶の最小引上げ直径の関係を示すグラフである。 シリコン単結晶製造時に印加される中心磁場強度と変形部ファセット面幅の関係を示すグラフである。
上述のように、高生産性・高歩留まりが可能となるMCZ法においても、結晶変形を抑制して、直径300mm以上の大口径<111>単結晶が製造可能となるシリコン単結晶の製造方法が求められている。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、MCZ法により<111>結晶を製造する際に、原料融液表面における中心磁場強度によって<111>結晶の変形量が大きく変化することを見出した。さらに本発明者らは、上記中心磁場強度を所定の範囲内とすることで、長時間使用による石英ルツボ内表面劣化を抑制しつつ、結晶変形が十分に抑制された直径300mm以上の大口径<111>結晶を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<MCZシリコン単結晶>
本発明のMCZシリコン単結晶は、軸方位が<111>であり、直径が300mm以上であり、かつas−grown状態のシリコン単結晶側面の変形部ファセット面幅が76mm以下である。このようなシリコン単結晶は、後述する本発明のシリコン単結晶製造方法により製造することができる。シリコン単結晶側面の変形部ファセット面幅の例を図2に示す。
図3は、シリコン単結晶側面のファセット面幅と直径300mm以上のウェーハ製品を採取可能な単結晶の最小引上げ直径の関係を示すグラフである。図3に示されるように、上記ファセット面幅が76mmより大きい場合、直径300mm以上の(111)シリコンウェーハを採取するのに必要な<111>シリコン単結晶の最小引上げ直径が310mmを越えてしまい、研削ロスが大きくなる。本発明のMCZシリコン単結晶であれば、ファセット面幅が76mm以下であるため、研削ロスを抑制し、大口径の(111)シリコンウェーハを採取することが可能である。
上記変形部ファセット面幅は、35mm以下であることが好ましい。ファセット面幅が35mm以下であれば、研削ロスをさらに抑制し、大口径の(111)シリコンウェーハを採取することが可能である。
<シリコン単結晶ウェーハ>
本発明のシリコン単結晶ウェーハは、面方位が(111)であり、直径が300mm以上である。このようなシリコン単結晶ウェーハは、高キャリア移動度を有するGeやIII−V族化合物半導体などの次世代チャネル材料を用いたヘテロエピタキシャル用基板として有用である。これにより、資源量が豊富で安価・高品質なSiをヘテロエピタキシャル用基板として、その上に資源量が少ないGe、GaAs等のチャネル材料を配置するヘテロ構造デバイスに好適に用いることができる。本発明のシリコン単結晶ウェーハは、上述のMCZシリコン単結晶からスライスして容易に採取することができる。
<シリコン単結晶製造方法>
まず、本発明のシリコン単結晶製造方法を実施可能な結晶製造装置の構成例を図1により説明する。図1に示すように、結晶製造装置100は、メインチャンバー1と、メインチャンバー1の上部に接続され、育成した単結晶棒(シリコン単結晶)3を収納する引上げチャンバー2とを具備する。メインチャンバー1の内部には、原料融液4を収容する石英ルツボ5、石英ルツボ5を支持する黒鉛ルツボ6が設けられている。また、石英ルツボ5及び黒鉛ルツボ6と同心円状に、メインの熱源である加熱ヒーター7が配置されている。加熱ヒーター7の外側には、断熱部材8が設けられている。また、メインチャンバー1にはガス流出口9、引上げチャンバー2にはガス導入口10が設けられており、メインチャンバー1及び引上げチャンバー2の内部に不活性ガス(例えばアルゴンガス)などを導入し、排出できるようになっている。円筒形状のガス整流筒11が引上げ中の単結晶棒3を囲繞するように原料融液4の表面の上方に配設されている。また、原料融液4の融液面の上方には遮熱部材12が対向配置されている。さらに、メインチャンバー1の外周部には、磁場印加装置13が設けられている。
次に、本発明のシリコン単結晶製造方法について説明する。
本発明のシリコン単結晶製造方法では、まず、一例として図1に示したような結晶製造装置100を使用し、シリコン原料をルツボ5内に供給し、シリコン単結晶成長の準備を行う。シリコン原料を加熱溶融後、シリコン単結晶の成長軸方位を<111>とし、磁場印加装置13を用いて磁場を印加しつつ、シリコン単結晶の成長を行ない、通常のCZ法によりシリコン単結晶を製造する。
本発明において、原料融液表面における中心磁場強度は、0.2T以上0.29T以下である。中心磁場強度がこのような範囲内であれば、長時間使用による石英ルツボ内表面劣化を抑制しながら、高生産性・高歩留まりで直径300mm以上の<111>結晶を製造することができる。中心磁場強度が0.2Tよりも弱い場合、シリコン単結晶の生産性が著しく低下する。中心磁場強度が0.29Tよりも強い場合、シリコン単結晶側面の変形部ファセット面幅が76mmより大きくなり、研削ロスが増加する。その結果、直径300mm以上の<111>単結晶を製造することが困難となる。
上記中心磁場強度は、好ましくは0.25T以下である。このような中心磁場強度であれば、結晶変形によるファセット面幅を35mm以下まで抑制可能となる。この場合、製品ウェーハ規定直径300mmに対して、結晶成長直径を302mmとすれば製品採取が可能となる。通常、ヒーター出力や成長速度をパラメータとしてPID制御を行ない、制御バラツキを許容するために、<100>結晶においても結晶成長直径を製品直径より数mm太くする。本発明のシリコン単結晶製造方法において、中心磁場強度が上記の範囲内であれば、結晶変形しやすい<111>結晶成長であっても、実質<100>結晶と同様の引上げ直径で結晶製造が可能となる。
また、本発明のシリコン単結晶において、印加する磁場を、水平磁場とすることが好ましい。印加する磁場を水平磁場とすれば、シリコン融液の縦方向の対流が効率よく抑制され、結晶周辺部における酸素蒸発量を制御することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
直径32インチ(800mm)のルツボに360kgの原料を溶融し、水平磁場を印加し、引上げ直径310mmの<111>シリコン単結晶の引上げを実施した。結晶直胴部成長中、印加磁場を直胴部1cm成長当たり5mTの変化率で中心磁場強度0.4〜0.1Tの範囲で変化させ、as−grown状態のシリコン単結晶側面の変形部ファセット面幅を測定した。中心磁場強度によるファセット面幅の変化を図4に示す。
さらに、表1に示すように、異なる中心磁場強度の水平磁場を印加して製造された引上げ直径310mmの<111>シリコン単結晶について、直径300mmのシリコンウェーハの採取可否、生産性、及び歩留りを評価した。生産性及び歩留りは実施例1(中心磁場強度:0.29T)を基準とし、相対評価した。結果を表1に示す。
図4に示されるように、磁場印加下における<111>結晶引上げ時の結晶変形は印加磁場強度を弱めることで抑制できることが明らかとなった。また、表1に示されるように、中心磁場強度が0.2T以上0.29T以下であれば(実施例1〜4)、<111>シリコン単結晶側面のファセット面幅を76mm以下とすることができ、310mmの結晶成長直径で、高生産性・高歩留まりで、直径300mmの(111)シリコンウェーハ製品を採取することができた。特に、中心磁場強度を0.25T以下とすることで(実施例3、4)、<111>シリコン単結晶側面のファセット面幅を35mm以下まで縮小することができた。これらの結果から、<111>結晶の結晶成長直径を302mm程度とすることで、直径300mmの(111)シリコンウェーハ製品を採取することができ、研削ロスをさらに抑制することができることが分かった。
一方で、中心磁場強度が0.29Tより強い場合(比較例1、2)、ファセット面幅が増加し、310mmの結晶成長直径では、直径300mmの(111)シリコンウェーハ製品を採取することができなかった。また、中心磁場強度が0.2T以上であれば、生産性指数を許容できるレベルとすることができるが、0.2Tよりも弱い磁場強度においては(比較例3)、著しく生産性指数が低下した。しかも、中心磁場強度が0.2T未満では、石英ルツボ内表面劣化が激しく長時間操業ができないことから、石英ルツボコストも著しく悪化する。
以上のように、本発明によれば、MCZ法の中心磁場強度によって<111>結晶の変形量を制御可能であり、中心磁場強度を0.2T以上0.29T以下、好ましくは0.25T以下とすることで、長時間使用による石英ルツボ内表面劣化を抑制して高い生産性・歩留りのまま、<111>結晶変形を抑制し、効率よく直径300mm以上の大口径<111>結晶を製造することができる。
このように、本発明の方法は、直径300mm以上の<111>結晶の製造に有効であるが、直径200mmの<111>結晶の製造にも適用できる。また、本発明の方法は、直径400mm以上といった更に大口径の<111>結晶の製造にも一層有益である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…メインチャンバー、 2…引上げチャンバー、
3…単結晶棒(シリコン単結晶)、 4…原料融液、 5…石英ルツボ、
6…黒鉛ルツボ、 7…加熱ヒーター、 8…断熱部材、
9…ガス流出口、 10…ガス導入口、 11…ガス整流筒、 12…遮熱部材、
13…磁場印加装置、100…結晶製造装置

Claims (5)

  1. 原料融液に磁場を印加してチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引上げる際、前記シリコン単結晶の成長軸方位を<111>とし、前記原料融液表面における中心磁場強度を0.2T以上0.29T以下として磁場を印加しつつ前記シリコン単結晶の成長を行なうことを特徴とするシリコン単結晶製造方法。
  2. 前記印加する磁場を、水平磁場とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶製造方法。
  3. 軸方位が<111>であり、直径が300mm以上であり、かつas−grown状態のシリコン単結晶側面の変形部ファセット面幅が76mm以下であるMCZシリコン単結晶。
  4. 前記変形部ファセット面幅が、35mm以下であることを特徴とする請求項3に記載のシリコン単結晶。
  5. 面方位が(111)であり、直径が300mm以上であるシリコン単結晶ウェーハ。
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