JP5777756B2 - β−Ga2O3系単結晶基板 - Google Patents

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Description

本発明は、β−Ga系単結晶基板に関し、特に、双晶化が抑えられたβ−Ga系単結晶基板に関する。
従来、ブリッジマン法により種結晶とほぼ同じ大きさのInP単結晶を成長させる結晶成長方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載された方法によれば、双晶を含まないInP単結晶を得ることができる。
F. Matsumoto, et al. Journal of Crystal Growth 132 (1993) pp.348-350.
しかし、ブリッジマン法により単結晶を成長させる場合、結晶成長後にルツボを単結晶から引き剥がす必要があるため、ルツボが結晶との密着性の高い材料からなる場合は、成長させた単結晶を取り出すことが難しい。
例えば、Ga結晶の成長には、通常、Irからなるルツボが用いられるが、Irはβ−Ga系単結晶に対する密着性が高い。そのため、ブリッジマン法を用いてβ−Ga系単結晶を成長させた場合、ルツボから単結晶を取り出すことが難しい。
したがって、本発明の目的は、双晶化が抑えられたβ−Ga系単結晶基板を提供することである。
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記の[1]〜[3]のβ−Ga系単結晶基板を提供する。
[1] 主面上の成長軸に垂直な方向の1cm当りの双晶の平均数がほぼ0本であるβ−Ga系単結晶基板。
[2]前記主面上の成長軸はb軸である、前記[1]記載のβ−Ga系単結晶基板。
[2]前記主面上の成長軸はb軸である、前記[1]記載のβ−Ga系単結晶基板。
[3]前記双晶の平均数がほぼ0本である前記[1]あるいは[2]に記載のβ−Ga系単結晶基板。
本発明によれば、双晶化が効果的に抑えられたβ−Ga系単結晶基板を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るβ−Ga系単結晶基板を得るためのβ−Ga系単結晶を製造するためのEFG結晶製造装置の一部の垂直断面図である。 図2は、β−Ga系単結晶の成長中の様子を表す斜視図である。 図3(a)〜(c)は、本発明の実施の形態のβ−Ga系単結晶基板を得るためのβ−Ga系単結晶を製造するための種結晶とβ−Ga系単結晶との境界付近の部分拡大図である。 図4は、比較例としての境界近傍にネック部を有する種結晶とβ−Ga系単結晶の部分拡大図である。
〔実施の形態〕
本発明においては、EFG(Edge-defined film-fed growth)法により、ネッキングや大きく肩を広げる工程を行わずにβ−Ga系単結晶を成長させる。
ネッキング工程とは、種結晶を結晶の原料の融液に接触させる際に、細いネック部を形成する工程である。ネック部を形成した後は、所望の大きさになるまで幅を拡げながら結晶を成長させ(肩拡げ工程)、その後、所望の幅を保ったまま結晶を成長させる。
ネッキング工程を行うことにより、種結晶に含まれる転位が成長結晶へ引き継がれることを防止できるが、β−Ga系単結晶を成長させる際にネッキング工程を行う場合、ネッキング工程後の大きく肩を広げる工程において双晶が発生しやすい。
なお、結晶の引き上げ速度を上げる等の方法で、ネッキング工程後にβ−Ga系単結晶を急激に冷やすことにより双晶化を抑えることができるが、熱衝撃によりβ−Ga系単結晶にクラックが生じる。
図1は、本実施の形態のβ−Ga系単結晶基板を得るためのβ−Ga系単結晶の製造に係るEFG結晶製造装置の一部の垂直断面図である。このEFG結晶製造装置10は、Ga系融液12を受容するルツボ13と、このルツボ13内に設置されたスリット14Aを有するダイ14と、スリット14Aの開口14Bを除くルツボ13の上面を閉塞する蓋15と、β−Ga系種結晶(以下、「種結晶」という)20を保持する種結晶保持具21と、種結晶保持具21を昇降可能に支持するシャフト22とを有する。
ルツボ13は、β−Ga系粉末を溶解させて得られたGa系融液12を収容する。ルツボ13は、Ga系融液12を収容しうる耐熱性を有するイリジウム等の金属材料からなる。
ダイ14は、Ga系融液12を毛細管現象により上昇させるためのスリット14Aを有する。
蓋15は、ルツボ13から高温のGa系融液12が蒸発することを防止し、さらにスリット14Aの上面以外の部分にGa系融液12の蒸気が付着することを防ぐ。
種結晶20を下降させて毛細管現象で上昇したGa系融液12に接触させ、Ga系融液12と接触した種結晶20を引き上げることにより、平板状のβ−Ga系単結晶25を成長させる。β−Ga系単結晶25の結晶方位は種結晶20の結晶方位と等しく、β−Ga系単結晶25の結晶方位を制御するためには、例えば、種結晶20の底面の面方位及び水平面内の角度を調整する。
図2は、本実施の形態のβ−Ga系単結晶基板を得るためのβ−Ga系単結晶の製造時における、β−Ga系単結晶の成長中の様子を表す斜視図である。図2中の面26は、スリット14Aのスリット方向と平行なβ−Ga系単結晶25の主面である。成長させたβ−Ga系単結晶25を切り出してβ−Ga系基板を形成する場合は、β−Ga系基板の所望の主面の面方位にβ−Ga系単結晶25の面26の面方位を一致させる。例えば、(101)面を主面とするβ−Ga系基板を形成する場合は、面26の面方位を(101)とする。また、成長させたβ−Ga系単結晶25は、新たなβ−Ga系単結晶を成長させるための種結晶として用いることができる。
β−Ga系単結晶25及び種結晶20は、β−Ga単結晶、又は、Cu、Ag、Zn、Cd、Al、In、Si、Ge、Sn等の元素が添加されたβ−Ga単結晶である。β−Ga結晶は単斜晶系に属するβ-ガリア構造を有し、その典型的な格子定数はa=12.23Å、b=3.04Å、c=5.80Å、α=γ=90°、β=103.8°である。
β−Ga系単結晶の成長中に発生する双晶は、鏡面対称な2つのβ−Ga系結晶からなる。β−Ga系結晶の双晶の対称面(双晶面)は、(100)面である。EFG法によりβ−Ga系単結晶を成長させる場合、ネッキング工程後の大きく肩を広げる工程において双晶が発生しやすい。
図3(a)〜(c)は、本実施の形態のβ−Ga系単結晶基板を得るためのβ−Ga系単結晶の製造時における、種結晶とβ−Ga系単結晶との境界付近の部分拡大図である。種結晶20及びβ−Ga系単結晶25の幅をそれぞれW1及びW2とすると、図3(a)においてはW1=W2、図3(b)においてはW1>W2、図3(c)においてはW1<W2である。
図3(a)〜(c)のいずれにおいても、種結晶20とβ−Ga系単結晶25との境界近傍には、ネッキング工程により形成されるネック部が存在しない。このため、β−Ga系単結晶25は双晶を含まないか、含んでいても少量である。なお、ネッキング工程を行わない場合であっても、W2のW1に対する比が大きくなると双晶化が進む傾向があるため、W2はW1の110%以下であることが求められる。
また、上記のW2とW1の関係は、種結晶20とβ−Ga系単結晶25のすべての方向の幅において成り立つ。すなわち、本実施の形態においては、すべての方向においてGa系単結晶25の幅が種結晶20の幅の110%以下である。
さらに、β−Ga系単結晶25の双晶化をより効果的に抑えるためには、すべての方向においてGa系単結晶25の幅が種結晶20の幅の100%以下であることが好ましく、すべての方向においてGa系単結晶25の幅が種結晶20の幅と等しいことがより好ましい。
種結晶20の幅W1に対するGa系単結晶25の幅W2は、例えば、Ga系単結晶25を成長させる際の温度条件により制御することができる。この場合は、Ga系単結晶25を成長させる際の温度が低いほどその幅W2が大きくなる。
図4は、比較例としての境界近傍にネック部を有する種結晶とβ−Ga系単結晶の部分拡大図である。種結晶120とβ−Ga系単結晶125の境界近傍にはネック部121が存在する。β−Ga系単結晶125はネッキング工程後の大きく肩を広げる工程を経て形成されるため、多くの双晶を含むことが多い。
例えば、β−Ga系単結晶125をb軸方向に成長させた場合、主面(図4の紙面に平行な面)上のb軸に垂直な方向の1cm当たりの双晶の平均数は、30.7〜37.0本である。
一方、本発明によれば、Ga系単結晶25をb軸方向に成長させた場合であっても、面26上のb軸に垂直な方向の1cm当たりの双晶の平均数がほぼ0本であるGa系単結晶25を形成することができる。
以下に、本実施の形態のβ−Ga系単結晶基板を得るためのGa系単結晶25の育成条件の一例について述べる。
例えば、Ga系単結晶25の育成は、窒素雰囲気下で行われる。
種結晶20は、Ga系単結晶25とほぼ同じ大きさか、より大きいため、通常の結晶育成に用いられる種結晶よりも大きく、熱衝撃に弱い。そのため、Ga系融液12に接触させる前の種結晶20のダイ14からの高さは、ある程度低いことが好ましく、例えば、10mmである。また、Ga系融液12に接触させるまでの種結晶20の降下速度は、ある程度低いことが好ましく、例えば、1mm/minである。
種結晶20をGa系融液12に接触させた後の引き上げるまでの待機時間は、温度をより安定させて熱衝撃を防ぐために、ある程度長いことが好ましく、例えば、10minである。
ルツボ13中の原料を溶かすときの昇温速度は、ルツボ13周辺の温度が急上昇して種結晶20に熱衝撃が加わることを防ぐために、ある程度低いことが好ましく、例えば、11時間掛けて原料を溶かす。
(実施の形態の効果)
本実施の形態のβ−Ga系単結晶基板によれば、ネッキングや大きく肩を広げる工程を行わずに成長させられたGa系単結晶から得られることにより、双晶化が効果的に抑えられる。
通常、EFG法によりβ−Ga系単結晶を育成する場合、結晶をそのb軸方向に成長させると特に双晶化しやすい。しかし、本実施の形態によれば、β−Ga系単結晶をb軸方向に成長させる場合であっても双晶化を抑えることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
10…EFG結晶製造装置、20…種結晶、25…β−Ga系単結晶

Claims (2)

  1. 主面上の成長軸に垂直な方向の1cm当りの双晶の平均数がほぼ0本であるβ−Ga系単結晶基板。
  2. 前記主面上の成長軸はb軸である請求項1に記載のβ−Ga系単結晶基板。
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