JP7321929B2 - ZnドープInP単結晶基板の製造方法 - Google Patents

ZnドープInP単結晶基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、化合物半導体であるリン化インジウム(InP)単結晶およびその製造方法に関し、特に、p型ドーパントとして好適な亜鉛(Zn)をドープしたInP単結晶において、ドープした亜鉛が電気伝導に寄与するキャリアを半導体内で効果的かつ均一に生成することができるInP単結晶基板とその製造方法に関するものである。
リン化インジウム(InP)は、インジウムリンとも称される、III族のインジウム(In)とV族のリン(P)とからなるIII-V族化合物半導体材料である。半導体材料としての特性は、バンドギャップ1.35eV、電子移動度~5400cm/V・sであり、高電界下での電子移動度はシリコンや砒化ガリウムといった他の一般的な半導体材料より高い値になるという特性を有している。また、常温常圧下での安定な結晶構造は立方晶の閃亜鉛鉱型構造であり、その格子定数は、ヒ化ガリウム(GaAs)やリン化ガリウム(GaP)等の化合物半導体と比較して大きな格子定数を有するという特徴を有している。
単結晶化したInPは、シリコン等と比較して大きな電子移動度を利用して、高速電子デバイスとして用いられる。また、ヒ化ガリウム(GaAs)やリン化ガリウム(GaP)等と比較して大きな格子定数は、InGaAs等の三元系混晶やInGaAsP等の四元系混晶をヘテロエピタキシャル成長させる際の格子不整合率を小さくできる。そのため、これらの混晶化合物を積層して形成する半導体レーザー、光変調器、光増幅器、光導波路、発光ダイオード、受光素子等の各種光通信用デバイスやそれらを複合化した光集積回路用の基板としてInP単結晶は用いられている。
上述した各種デバイスを形成するためには、InPを単結晶化したインゴットを所定の結晶方位に薄板(ウエハ)状に切り出してInP基板としたものが用いられる。この基板の基となるInP単結晶インゴットの製造には、特許文献1または2等に開示されているような垂直ブリッジマン法(VB法)、特許文献3等に開示されているような垂直温度勾配凝固法(VGF法)や、特許文献4、5、あるいは非特許文献1、2等に開示されているような液体封止チョクラルスキー法(LEC法)等といった手段が従来から用いられている。
VB法またはVGF法は、容器内に保持した原料融液に対して垂直方向へ温度勾配を形成し、容器か炉の温度分布の何れかを垂直方向へ移動させることで結晶の凝固点(融点)を垂直方向へ連続的に移動させ、容器内の垂直方向に連続的に単結晶を成長させる方法である。VB法やVGF法では垂直方向の固液界面に設定する温度勾配を小さくすることができ、平均的な結晶の転位密度を低く抑えることが可能である。しかし、VB法やVGF法は、結晶成長速度が比較的遅く生産性が低いという問題がある他、容器内での結晶成長であるため、結晶成長にともなって容器から作用する応力によって局所的に高転位密度となる領域が発生する等の短所がある。
これに対し、LEC法は、大型シリコン単結晶の一般的な製造方法としても広く用いられているチョクラルスキー法(CZ法)を改変したものであり、単結晶を引き上げるための原料融液表面の気液界面部分を酸化ホウ素(B)等の軟化点温度の低い酸化物等の液体封止剤で覆い、原料融液中の揮発成分の蒸発による散逸を防ぎつつ原料融液に種結晶を接触させて単結晶インゴットを引き上げ成長させる方法である。LEC法では、先述したVB法やVGF法と比較して、融液と引き上げられる結晶との固液界面に形成される温度勾配が一般的に大きく転位密度が高くなる傾向があるが、結晶成長速度が早く量産に適しているという特徴がある。また、上述した欠点を改善するものとして、LEC法における結晶成長時の固液界面の温度勾配の制御性を高めるため、融液保持容器の上方に熱遮蔽効果を有する隔壁を設けた熱バッフルLEC(TB-LEC)法と称される改良型のLEC法も、特許文献4、5、非特許文献1に開示されているように必要に応じて用いられている。
InP単結晶は、ノンドープ状態でキャリア密度が1016cm-3程度のn型の伝導型を示す半導体であり、前述した各種デバイス用途に使用するためには、伝導型とキャリア密度を制御するためにドーパント元素を意図的にドープした材料として用いられる。このドーパントとしては、半絶縁性とするためには鉄(Fe)、高キャリア濃度のn型とするためにはシリコン(Si)、硫黄(S)、スズ(Sn)等が用いられ、p型とするためには亜鉛(Zn)が好適に用いられている。
このように、p型のInP単結晶を得るためのドーパントとしてはZnがしばしば用いられている。しかしながら、InPのp型ドーパントとしてZnを用いた場合、特に、5×1018cm-3を超える高ドープ領域で高キャリア密度、低抵抗率のInP単結晶を得ようとした場合、ドープしたZnのうちキャリアの生成に寄与しないものの割合が増加して、キャリア密度が意図するように高く設定できなくなる問題があることが非特許文献2に開示されているように知られている。
非特許文献2には、InPにドープしたZn濃度が3×1018cm-3程度まではZn濃度と同程度のキャリア密度が実現できる一方、Zn濃度が3×1018cm-3を超えるとZn濃度を増加させてもそれに対応してキャリア濃度が増加しなくなり、キャリア密度は飽和する傾向を示すことが記載されている。この傾向はZn濃度が5×1018cm-3を超えるあたりの濃度から顕著となる。このキャリア濃度の低下について、非特許文献2では、単結晶を熱処理した後の冷却速度を高くすることで改善できること、LEC成長後のInP単結晶インゴットについては、単結晶成長後の炉内での冷却を高速冷却(fast cooling)とすることで改善できることが示されている。
国際公開第2004/106597号 特開2008-120614号公報 特開2000-327496号公報 国際公開第2005/106083号 特開2002-234792号公報
R. Hirano et al., J. Appl. Phys., vol. 71 (1992), pp. 659-663 R. Hirano and M. Uchida, J. Electron. Mater., vol. 25 (1996), pp. 347-351
上述したように、非特許文献2は、ZnドープInP単結晶において、ドープしたZnのうちキャリア生成に寄与するものの割合(Znの電気的活性化率)が高ドープ領域で低下するという問題に対して、LEC法によるInP単結晶製造後に炉内で高速冷却を行うことが有効であるとの概略的な知見を示している。しかし、当該文献には、具体的な冷却速度や冷却時における具体的な操作の開示までは無く、LEC炉の具体的な構成についても何ら教示するところはない。
また近年、InP単結晶基板についても、デバイス製造時の製造歩留まり向上のため、大口径で特性が均一なものへの要請が高まっている。ZnドープInP単結晶基板においてZnの電気的活性化率は基板の電気的特性に直結する重要な指標であるため、当然基板の面内で均一にZnが電気的に活性化することが求められることになる。先に示した非特許文献2には、InPインゴットにおけるZnの電気的活性化率の改善に関する言及はあるものの、それを切り出して基板とした際の基板面内におけるZnの電気的活性化率の均一性に関しては何ら言及していない。
一方、所定のドーパントをドープしたInP等の化合物半導体単結晶基板において、基板面内のドーパント濃度やキャリア密度の均一性について、それらを一定の範囲内に抑えることに関しては、特許文献1や特許文献2で論じられている。しかし、それらの先行技術文献では、非特許文献2で論じられているようなInPにZnをドープした場合に固有のZnの電気的活性化率低下という問題までは認識されておらず、ましてZnの電気的活性化率の基板面内の均一性についての問題の認識は皆無である。
これらの先行技術における問題に鑑み、本発明は直径75mm以上の大口径InP単結晶基板において、Zn濃度が5×1018cm-3以上の高ドープ領域であってもウエハ状基板の表面の中心部の点と、ウエハ外周から5mm内側の円周上の任意の点の計2点の測定点にてZnの電気的活性化率が高いZnドープInP単結晶基板を提供することを目的とする。また、本発明は同時に、上述した大口径でZnの電気的活性化率が高いZnドープInP単結晶基板の製造方法を提供することを目的とする。
上記の技術課題を解決するために、本発明者らが鋭意研究を行ったところ、LEC法における結晶成長後に特定の適切な条件にてInP単結晶インゴットを処理することにより、直径75mm以上の大口径InP単結晶基板において、Zn濃度が5×1018cm-3以上の高ドープ領域であっても、ウエハ状基板の表面の中心部の点と、ウエハ外周から5mm内側の円周上の任意の点の計2点の測定点にて85%を超えるZnの電気的活性化率を実現でき、さらに、そのウエハ状基板の主面におけるZnの電気的活性化率のばらつきも15%以下にできるという結果に至った。
上述した知見と結果に基づき、本発明は以下の発明を提供するものである。
1)直径75mm以上、Zn濃度5×1018cm-3以上のZnドープInP単結晶基板であって、ウエハ状基板の表面の中心部の点と、ウエハ外周から5mm内側の円周上の任意の点の計2点の測定点にてZnの電気的活性化率が85%を超えることを特徴とするZnドープInP単結晶基板、
2)前記基板の主表面におけるZnの電気的活性化率のばらつきが15%以下であることを特徴とする前記1)に記載のZnドープInP単結晶基板、
3)前記基板の主表面における平均転位密度が500cm-2以下であることを特徴とする前記1)または2)に記載のZnドープInP単結晶基板、
4)前記1)~3)のいずれかに記載のZnドープInP単結晶基板の製造方法であって、回転速度10rpm以下でInP単結晶インゴットを回転させつつ、少なくとも前記InP単結晶インゴットの冷却時に200℃の温度差を2~7.5分の時間で冷却すること、前記冷却後のInP単結晶インゴットを薄板状に切り出すことによりInP単結晶基板とすることを含むことを特徴とするZnドープInP単結晶基板の製造方法、
5)前記InP単結晶インゴットの冷却時に、成長用ルツボを、ヒータ発熱部から遠ざけることを含むことを特徴とする前記4)に記載のZnドープInP単結晶基板の製造方法、
6)前記InP単結晶インゴットの冷却時に、成長用ルツボを、ヒータ発熱部から遠ざけるために、炉内の最下部へ降下させることをさらに含むことを特徴とする前記4)または5)に記載のZnドープInP単結晶基板の製造方法、
7)グラファイト製で厚さ3~6mmの直胴状の円筒の上壁に円錐形筒が直結した構造の熱バッフルを有する炉において、Zn直接ドーピングによる液体封止チョクラルスキー法によってZnドープInP単結晶インゴットを引き上げることをさらに含むことを特徴とする前記4)~6)のいずれか一に記載のZnドープInP単結晶基板の製造方法、
8)前記InP単結晶インゴットの冷却時に、LEC法による引き上げの終了後に、前記熱バッフルの内側で、かつ、熱バッフルとInP単結晶インゴットが接触することなく、InP単結晶インゴットを回転させながら冷却することをさらに含むことを特徴とする前記7)に記載のZnドープInP単結晶基板の製造方法。
本発明によれば、直径75mm以上の大口径InP単結晶基板において、Zn濃度が5×1018cm-3以上の高Znドープ領域であっても、ウエハ状基板の表面の中心部の点と、ウエハ外周から5mm内側の円周上の点の計2点の測定点にて85%を超えるZnの電気的活性化率を実現できるため、基板の全面にわたって一定の特性のデバイスの設計と製造が可能となり、製造の歩留まり向上とそれによる省力化、コスト削減といった効果を得ることができる。
ウエハ表面のZnの電気的活性化率(キャリア濃度、Zn濃度)測定位置 本発明に用いるZnドープInP単結晶製造装置の例
本発明のZnドープInP単結晶基板は、Zn濃度が5×1018cm-3以上であり、かつ基板の主表面中心部と、ウエハ外周から5mm内側でZnの電気的活性化率が85%を超えるものである。基板の形状は円形または略円形状の薄板(ウエハ)形状であり、「主表面」とは、基板の外表面のうち最も面積が大きい面を指す。基板の直径は75mm以上、好ましくは75mm以上100mm以下であるが、100mm以上であってもよい。また、本発明において、Zn濃度が5×1018cm-3以上のInP単結晶基板とは、単結晶育成条件として、所定口径の単結晶基板を単結晶上部から取得できるように、融液中Znの添加量を調整して製造した単結晶であってもよく、あるいは、単結晶の上部では、5×1018cm-3より低いZn濃度であるが、単結晶固化率が大きい部位となる単結晶の育成中間部、もしくは育成後半部から取得されるInP単結晶基板のZn濃度が5×1018cm-3以上となるように育成したものであってもよい。
また、本発明における「Znの電気的活性化率」は、InPにドープされているZn濃度に対するキャリア密度の割合を百分率でパーセント(%)表示した値として算出される。InP単結晶基板におけるZnのドープ濃度NZnは、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)によって分析評価することができ、キャリア密度NはZnドープInPの場合ほぼホール密度に相当する値となり、Hall測定法によって評価することができる。Znの電気的は、ドープしたZnのうち電荷輸送に寄与するキャリアを生成するものの割合ということができ、(N/NZn)×100(%)で算出される値である。このZnの電気的活性化率の値が基板のウエハ状基板の表面の中心部の点と、ウエハ外周から5mm内側の円周上の点の計2点の測定点にて85%を超えていることが本発明の基板の大きな特徴である。このZnの電気的活性化率の値は、ウエハ状基板の表面の中心部の点と、ウエハ外周から5mm内側の円周上の点の計2点の測定点にて90%を超えることが好ましく、95%を超えることがより好ましい。
また、基板の主表面におけるZnの電気的活性化率のばらつきは15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。本発明でいう「Znの電気的活性化率のばらつき」とは、図1に示すように、ウエハ状基板100の表面の中心部の点101と、ウエハ外周から5mm内側の円周上の点102の2点の測定点にて上述したZn濃度とキャリア濃度の測定を行い、2点についてそれぞれ算出したZnの電気的活性化率の差の絶対値を2点の平均値に対する百分率(%)として表したものである。一般的なウエハ状InP基板において、Znの電気的活性化率をはじめとする諸特性はウエハの中心部と外周部とで異なる傾向を示す。したがって、ウエハ状基板100の表面の中心部の点101と、ウエハ外周から5mm内側の円周上の点102の、2点の測定点でのZnの電気的活性化率等の特性のばらつきを評価すれば、その特性の基板面内全体の均一性の概ねの指標とすることができる。
加えて、本発明のZnドープInP単結晶基板の平均転位密度は500cm-2以下であり、好ましくは300cm-2以下であるが、インゴットから基板を取り出す部位によっては、100cm-2以下、50cm-2以下、さらには20cm-2以下とすることも可能である。転位密度の評価はこの分野で常用されている周知のエッチピット観察により行うことができる。本発明では、転位密度の評価は、ウエハ中心から5mmピッチに取られた各測定点における単位面積あたりのエッチピット数に径方向の面積を重み付けした加重平均値により算出する。
次に、本発明のZnドープInP単結晶基板を得るために効果的な製造方法について説明する。本発明のZnドープInP単結晶基板自体は、何ら製造方法によって制限されるものでなく、如何なる製法によって製造されてもよい。たとえば、前記VB法やVGF法においてルツボ上部に本発明のような熱バッフルを設置して単結晶を育成するような場合にも適当可能である。しかし、上述した特性を実現する手段の例として、以下に述べるTB-LEC(Thermal Baffle-LEC)法による単結晶インゴットの製造、ならびに特定条件下における単結晶インゴットの処理が効果的である。
図2は本発明のZnドープInP単結晶の製造に好適な装置の一例を示す概略図である。装置の構成は、後述する上部空間に存在する熱バッフルの構成を除いては、液体封止チョクラルスキー(LEC)法による結晶成長において一般的なものであり、成長容器201内で原料202、液体封止剤203を保持するルツボ204、このルツボを保持しつつ回転を可能にするルツボ支持軸205、種結晶206および成長したInP単結晶207を回転させつつ引き上げる引上げ軸208、ルツボの外周を囲みルツボ内の原料、液体封止剤等を加熱するヒータ209、さらにこのヒータの外側でヒータ、ルツボを含む構成を囲むグラファイト製部材210を有している。
さらに、ルツボ上部の原料融液から引き上げたInP単結晶インゴットが存在する空間には、グラファイト製のフード状熱バッフル211がルツボ、ヒータ等を取り囲むグラファイト製部材一式210の上部に設置されている。この熱バッフルは、単結晶引き上げ時には、ルツボ周囲のヒータからの熱を適度に遮蔽して固液界面における引き上げ軸方向の温度勾配を調整する役割を果たし、これにより転位の発生を抑制できることは、先行技術文献にも開示されているとおりである(特許文献5、非特許文献1等参照)。それに加えて、本発明では、InP単結晶インゴット引き上げ後においてもこの熱バッフルは重要な役割を果たす。単結晶引き上げ直後の炉内は、ヒータや融液、あるいは装置内壁面からの輻射熱によって、引き上げた単結晶インゴットが依然として熱負荷を受ける状態にある。しかし、この熱バッフルを適切な形状とすることによって、引き上げ後の単結晶インゴットが冷却時に受ける熱負荷も適切に遮蔽することができる。
このような構成の熱バッフル付加LEC(TB-LEC)引き上げ装置を用い、直径75mm以上のZnドープInP単結晶をLEC法により引き上げる。原料融液は、水平ブリッジマン(HB)法等により合成したInP多結晶原料に、Zn濃度が目的の数値となるような分量の単体Znを直接添加し、さらに液体封止剤成分である酸化ホウ素(B)等の低温軟化する酸化物をルツボに配して加熱融解することで液体状の封止剤層を得る。Pとともにドーパント元素のZnも比較的蒸気圧が高く揮発しやすい成分ではあるが、液体封止剤の使用とバッフル内の蒸気圧制御により、InP多結晶にZnをドープした原料母合金(マザーアロイ)を予め合成することなく直接ドープが可能となり、プロセスを省工程化することができる。直接ドープは、Zn濃度を微量に柔軟に調整できるという点においても有利である。
融解した原料融液に種結晶を浸漬し、徐々に引き上げることでInP単結晶を引き上げる。LEC法によるInP単結晶の引き上げは、通常適用されている条件によって行うことができる。例えば、引き上げ速度5~20mm/時、結晶回転数5~30rpm、ルツボ回転数5~30rpm、融液温度1060~1300℃、引き上げ軸方向の温度勾配1~50℃/cmといった条件で適宜調整して引き上げを行えば良い。また、高蒸気圧成分であるPやZn等の解離、揮発を防止するため、バッフル内の空間は、単結晶引き上げ中は不活性雰囲気で4MPa以上の加圧状態に制御されている。
InP単結晶の引き上げは、種結晶から肩部、直胴部を形成した後、尾部の形成処理を行い、単結晶インゴットを融液から切り離すことで終了する。通常のInP単結晶の育成においては、尾部の形成後、単結晶インゴットを融液から切り離した後、数時間(4~8時間程度)の時間をかけて室温まで徐冷することが行われることがある。しかし本発明では、徐冷処理を行わず、単結晶育成後に単結晶インゴットの急冷処理を行う。この単結晶インゴットの急冷処理により、Zn濃度が5×1018cm-3以上となるような高ドープ領域においてもZnの電気的活性化率を高く保持することができる。
このときの単結晶インゴット冷却は、ルツボ下部の熱電対でモニタされる温度として、200℃の温度差を2分から7.5分の時間で低下するように行う。好ましくは、1100℃、または1050℃、あるいは1020℃のいずれかを基準として、基準より200℃低い温度までの領域において、平均50℃/分以上、または60℃/分以上、あるいは70℃/分以上の冷却速度で冷却を行うことができる。これにより、5×1018cm-3以上となるような高ドープ領域において、85%以上という高いZnの電気的活性化率を実現することが可能となる。しかしながら、単結晶インゴットの冷却速度を高くしすぎた場合、急冷による熱応力が生じて結晶にクラックが発生し、インゴットの落下やそれに伴う装置破損といった事故にも繋がり得る他、インゴットの均一な冷却が困難となるため、Znの電気的活性化率のばらつきが悪化する恐れがあるため好ましくない。このような観点から設定される単結晶インゴットの冷却速度の上限は100℃/分であり、別形態では90℃/分とすることもできる。
LEC法により引き上げられた単結晶インゴットは、結晶成長の形態と結晶育成装置の物理的構成上、種結晶を保持している引き上げ軸からの抜熱が支配的となる。一方で、単結晶インゴットの外周部は、熱容量の大きなヒータや装置壁、融液等からの残留輻射に晒されることによって引き上げ終了後も所定の熱負荷を受ける状態にある。このことから、引き上げ終了後の単結晶インゴットには、インゴットの中心軸では高く、外周部では低い冷却速度分布が形成される傾向にある。したがって、この状態でインゴットの冷却を行うと、単結晶インゴットの引き上げ軸に垂直な面内では、中心部近傍と外周部近傍とで冷却速度が相違することになる。冷却速度は高Znドープ領域のZnの電気的活性化率に大きな影響を及ぼす要因であるから、中心部近傍と外周部近傍との間の冷却速度の相違は、Znの電気的活性化率の分布として反映されることになる。すなわち、引き上げ後の高Znドープ領域を単純に急冷したとしても、インゴットの中心軸と外周部とで生じる冷却速度差によって、インゴットの引き上げ軸に垂直な面内において均一なZnの電気的活性化率を達成することは困難である。
そこで、本発明では、上述したInP単結晶インゴットの急冷処理を、単結晶インゴットが保持されているバッフル内の空間に窒素や希ガス等の不活性ガスが充填された状態で、単結晶インゴットを連続的に回転させた状態にて行う。これにより、単結晶インゴットの外周部からの冷却も促進され、上述したような引き上げ軸に垂直な面内における中心部近傍と外周部近傍との冷却速度差は緩和されることになる。さらに、急冷を促進するための手段として、ルツボをヒータ発熱部位置から遠ざける処理を行うこともできる。これにより、ルツボ内に残留する原料の一部や液体封止剤といった内容物からの輻射熱(残熱)による冷却速度の低下が抑制できる。
また、冷却時の単結晶インゴットの回転速度は10rpm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1~5rpmである。これらの条件と、さらに先述した単結晶インゴット周囲の熱バッフルの形状の最適化により、単結晶インゴット引き上げ軸と外周部の冷却速度を均一化でき、これによって高Znドープ領域において高く均一なZnの電気的活性化率、具体的にはインゴット軸に垂直な方向に切り出した面内の全域において85%以上というZnの電気的活性化率を達成することが可能となる。
冷却処理を終えたInP単結晶インゴットは、薄板状に切り出され、ラッピング、鏡面研磨、洗浄等の通常のウエハ加工工程を経て、デバイス作製等の用途に使用することが可能な基板となる。
以下、本発明を実施例、比較例に基づいて具体的に説明する。以下の実施例、比較例の記載は、あくまで本発明の技術的内容の理解を容易とするための具体例であり、本発明の技術的範囲はこれらの具体例によって制限されるものでない。
(実施例1)
図1に示す単結晶製造装置を用い、ZnドープInP単結晶の引き上げを行った。まず、原料としてHB法によって合成されたInP多結晶を2400g、ドーパントとしてZnを0.34g秤量し、これらを混合したものをルツボ内に充填して、その上に液体封止剤であるBを400g配置した。ルツボの上方の空間には、円筒直胴状の構成の上部壁から円錐形フード状の構成が延在した構造の、厚さ2~6mmのグラファイト製熱バッフルを配置している。
成長容器を密閉した後に容器内部を一旦真空排気し、その後不活性ガスである窒素ガス(N)を導入して容器内部を2MPa以上の圧力に加圧した。この状態からヒータへ給電を開始し、ルツボの加熱を行った。ルツボ内が約450℃に達したところで液体封止剤のBが融解(軟化)し、さらに加熱を続けて約1060℃に達したところで原料のInP多結晶が融解する。InP多結晶原料と液体封止剤が融解したところでヒータを適切に調節することにより、融液の温度を制御した。
次に、ルツボ内の融液上方から引き上げ軸方向が[100]方位である種結晶を浸漬し、InP単結晶の引き上げを行った。なお、この実施例1の直胴部引き上げ時の直径は75mm(3インチ)、引き上げ速度は7mm/時、ルツボの回転数は15rpm、種結晶の回転数は20rpm、結晶成長界面における引き上げ方向の温度勾配は、ヒータの制御により30℃/cmとした。
直胴部を40mm育成した後、尾部形成処理を行って、引き上げた単結晶インゴットと融液の切り離しを行った。そして、切り離し後直ちにヒータへの給電を停止して冷却工程を開始した。この際、単結晶インゴットを熱バッフル内で、該バッフルと単結晶インゴットが接触することのないような位置で保持し、ルツボ位置を単結晶の育成時時のヒータ発熱付近の位置から、炉内で位置調整可能な最も低い位置(最下部)へ降下させ、ルツボからの残熱による輻射熱の影響を回避した。そして、単結晶インゴットを4MPa以上の圧力の窒素ガス雰囲気中にて3rpmで連続的に回転させつつ保持した。これによって、結晶全体の冷却速度は、冷却工程開始直後の1020℃から820℃までの温度領域の平均で70℃/分となるようにした。
室温に冷却後、単結晶インゴットの直胴部を引き上げ軸に垂直な方向へ薄板状に切り出してウエハ状の基板とし、基板の主表面内のZn濃度、キャリア(ホール)密度、転位密度の各特性の測定を行い、その結果からZnの電気的活性化率とその面内ばらつきの評価を行った。なお、各特性の測定方法と面内バラツキの定義については先に述べた内容に準じて評価を行っている。
その結果、ウエハ中心部のZn濃度は5.5×1018cm-3、Znの電気的活性化率は87.9%、ウエハ外周から5mm内側の点のZn濃度は6.0×1018cm-3、Znの電気的活性化率は86.5%であり、Znの電気的活性化率の面内ばらつきは1.6%であった。また、この基板の平均転位密度は19cm-2であった。このように、実施例1では、基板の主表面の全面にわたって85%以上のZnの電気的活性化率が達成されていた。
(実施例2)
実施例1と同様にして、直胴部の直径が75mm(3インチ)のZnドープInP単結晶の引き上げを行った。単結晶インゴットの育成後、直ちにヒータへの給電を停止し、ルツボを炉内のヒータ発熱中心位置より下側に当たる位置(中下部)まで急降下させて冷却工程を開始した。この際、単結晶インゴットを熱バッフル内で、該バッフルと単結晶インゴットが接触することのないような位置で保持し、4MPa以上の圧力の窒素ガス雰囲気中にて3rpmで連続的に回転させつつ保持した。これによって、結晶全体の冷却速度は、冷却工程開始直後の1020℃から820℃までの温度領域の平均で50℃/分となるようにした。
その結果、ウエハ中心部のZn濃度は5.3×1018cm-3、Znの電気的活性化率は89.6%、ウエハ外周から5mm内側の点のZn濃度は5.9×1018cm-3、Znの電気的活性化率は87.1%であり、Znの電気的活性化率の面内ばらつきは2.8%であった。また、この基板の平均転位密度は42cm-2であった。このように、実施例2でも、基板の主表面の全面にわたって85%以上のZnの電気的活性化率が達成されていた。
(実施例3)
実施例1と同様にして、直胴部の直径が75mm(3インチ)のZnドープInP単結晶の引き上げを行った。単結晶インゴットの育成後、直ちにヒータへの給電を停止して冷却工程を開始した。この際、単結晶インゴットを熱バッフル内で、該バッフルと単結晶インゴットが接触することのないような位置で保持し、ルツボ位置を単結晶の育成時のヒータ発熱付近の位置から、炉内下部へ降下させ、その際、実施例1の冷却工程時より上方位置で、且つ、実施例2より下方位置までルツボを降下させて、ルツボからの残熱による輻射熱の影響を回避した。そして、4MPa以上の圧力の窒素ガス雰囲気中にて3rpmで連続的に回転させつつ保持した。これによって、結晶全体の冷却速度は、冷却工程開始直後の1020℃から820℃の温度領域の平均で65℃/分となるようにした。
その結果、ウエハ中心部のZn濃度は5.4×1018cm-3、Znの電気的活性化率は87.7%、ウエハ外周から5mm内側の点のZn濃度は5.7×1018cm-3、Znの電気的活性化率は85.2%であり、Znの電気的活性化率の面内ばらつきは2.8%であった。また、この基板の平均転位密度は30cm-2であった。このように、実施例3でも、基板の主表面の全面にわたって85%以上のZnの電気的活性化率が達成されていた。
(比較例1)
実施例1と同様にして、直胴部の直径が50mm(2インチ)のZnドープInP単結晶の引き上げを行った。比較例1では、切り離し工程後、1050℃から500℃まで5時間かけて徐冷することで単結晶インゴットの冷却を行った。これによる結晶全体の冷却速度は、冷却工程開始直後の1020℃から820℃までの温度領域の平均で20℃/分という速度になる。
その結果、ウエハ中心部のZn濃度は5.1×1018cm-3、Znの電気的活性化率は75.0%、ウエハ外周から5mm内側の点のZn濃度は5.5×1018cm-3、Znの電気的活性化率は63.2%であり、Znの電気的活性化率の面内ばらつきは17.1%であった。また、この基板の平均転位密度は40cm-2であった。このように、比較例1では、基板の主表面の全面にわたって85%以上のZnの電気的活性化率が達成されていない結果となった。
(比較例2)
実施例1と同様にして、直胴部の直径が50mm(2インチ)のZnドープInP単結晶の引き上げを行った。比較例2では、切り離し工程後、直ちにヒータへの給電を停止して、ルツボ降下の操作を行うことなく、冷却工程を実施した。これによる結晶全体の冷却速度は、冷却工程開始直後の1020℃から820℃までの温度領域の平均で25℃/分という速度になる。
その結果、ウエハ中心部のZn濃度は5.2×1018cm-3、Znの電気的活性化率は76.0%、ウエハ外周から5mm内側の点のZn濃度は5.5×1018cm-3、Znの電気的活性化率は65.2%であり、Znの電気的活性化率の面内ばらつきは15.3%であった。また、この基板の平均転位密度は42cm-2であった。このように、比較例2では、基板の主表面の全面にわたって85%以上のZnの電気的活性化率が達成されていない結果となった。

本発明は、半導体レーザー、光変調器、光増幅器、光導波路、発光ダイオード、受光素子等の各種光通信用デバイスやそれらを複合化した光集積回路用の基板として利用されているZnドープInP単結晶基板について、ドープしたZnが高濃度であっても高効率、高精度、かつ基板面内で均一に活性化したものとすることができる。そのため、基板の全面にわたって均一な特性を有するデバイスを高精度で設計、製造することが可能となり、製造の歩留まり向上とそれによる省力化、コスト削減といった面で、半導体装置製造の分野に大きく貢献するものである。

Claims (5)

  1. 直径75mm以上、Zn濃度5×1018cm-3以上のZnのみをドープしたInP単結晶基板であって、ウエハ状基板の表面の中心部の点と、ウエハ外周から5mm内側の円周上の任意の点の計2点の測定点にてZnの電気的活性化率が85%を超えるZnドープInP単結晶基板の製造方法であって、
    炉内において、回転速度10rpm以下でInP単結晶インゴットを回転させつつ、少なくとも前記InP単結晶インゴットの冷却時に、前記InP単結晶インゴットの原料を保持するルツボ下部の熱電対でモニタされる温度として1020℃~820℃の間の200℃の温度差を2~7.5分の時間で冷却すること、
    前記InP単結晶インゴットを薄板状に切り出すことによりInP単結晶基板とすること、
    を含み、
    前記InP単結晶インゴットの冷却時に、成長用ルツボを、ヒータ発熱部から遠ざけ、
    前記InP単結晶インゴットの冷却時に、成長用ルツボを、ヒータ発熱部から遠ざけるために、炉内の下部へ降下させることをさらに含むことを特徴とするZnドープInP単結晶基板の製造方法。
  2. グラファイト製で厚さ3~6mmの直胴状の円筒の上壁に円錐形筒が直結した構造の熱バッフルを有する炉においてZn直接ドーピングによる液体封止チョクラルスキー(LEC)法によってZnドープInP単結晶インゴットを引き上げること、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のZnドープInP単結晶基板の製造方法。
  3. 前記InP単結晶インゴットの冷却時に、LEC法による引き上げの終了後に、前記熱バッフルの内側で、かつ、熱バッフルとInP単結晶インゴットが接触することなく、InP単結晶インゴット回転させながら冷却することをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のZnドープInP単結晶基板の製造方法。
  4. 前記基板の主表面におけるZnの電気的活性化率のばらつきが15%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のZnドープInP単結晶基板の製造方法。
  5. 前記基板の主表面における平均転位密度が500cm-2以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のZnドープInP単結晶基板の製造方法。
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