JP2018090280A - 二重容器用キャップ - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物の注出後に蓋体を容易に閉じることができる二重容器用キャップを提供する。【解決手段】本発明に係る二重容器用キャップ1は、蓋体10が、閉鎖位置において注出筒8の内周面上の所定の環状領域23の下端縁に全周に亘って密接する環状密接部24を有し、環状領域23が、閉鎖位置への蓋体10の移動時に環状密接部24との間に空気の通路を形成する空気溝25を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、二重容器用キャップに関する。
従来、内容物を収容する内層体と該内層体を収容する外層体とを備える二重容器本体の口部に装着される二重容器用キャップが知られている。例えば、特許文献1には、内容物の流路を区画する筒状の内周面を有する注出筒と、閉鎖位置において注出筒の内周面に全周に亘って密接する環状密接部を有する蓋体とを備える二重容器用キャップが記載されている。
特開2016−193736号公報
特許文献1に記載されるように注出筒と環状密接部を有する蓋体とを備える、従来の二重容器用キャップを用いる場合には、内容物の種類や注出筒の形状等によっては、内容物の注出後に蓋体を意図したとおりに閉じられない(例えば注出口内に内容物が残ることで空間体積が少なくなり、閉蓋時に加圧されて閉まらない)場合があった。
本発明は、このような問題に鑑み開発されたもので、内容物の注出後に蓋体を容易に閉じることができる二重容器用キャップを提供することを目的とする。
本発明に係る二重容器用キャップは、
内容物を収容する内層体と該内層体を収容する外層体とを備える二重容器本体の口部に装着される二重容器用キャップであって、
前記内容物の流路を区画する筒状の内周面を有する注出筒と、
前記注出筒の上方を覆う閉鎖位置と前記注出筒の上方を開放する開放位置との間で移動可能な蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記閉鎖位置において前記注出筒の内周面上の所定の環状領域の下端縁に全周に亘って密接する環状密接部を有し、
前記環状領域は、前記閉鎖位置への前記蓋体の移動時に前記環状密接部との間に空気の通路を形成する空気溝を有することを特徴とする。
また、本発明に係る二重容器用キャップでは、
前記蓋体は、ヒンジの折り曲げによって前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動可能であり、
前記環状領域は、前記ヒンジの反対側の半周部分のみに前記空気溝を有することが好ましい。
また、本発明に係る二重容器用キャップでは、前記環状領域は、複数の前記空気溝を有することが好ましい。
また、本発明に係る二重容器用キャップでは、前記注出筒は、前記環状領域よりも下方において移動弁体を上下動可能に保持する弁体保持部を有することが好ましい。
さらに、本発明に係る二重容器用キャップでは、前記注出筒の前記弁体保持部は、前記移動弁体の上方への移動を規制する複数のリブと、前記移動弁体の下方への移動を規制する縮径部とを有することが好ましい。
本発明によれば、内容物の注出後に蓋体を容易に閉じることができる二重容器用キャップを提供することができる。
(a)は、本発明の一実施形態に係る二重容器用キャップを二重容器本体の口部に装着した状態を示す一部断面側面図である。(b)は、(a)のA−A線に沿う端面図であり、蓋体が閉鎖位置にあるときの状態を示す。(c)は、(a)のA−A線に沿う端面図であり、蓋体が開放位置にあるときの状態を示す。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る二重容器用キャップについて詳細に例示説明する。なお、本明細書において、上下方向とは、二重容器を起立させた状態を基準とする。
図1に示すように、本実施形態に係る二重容器用キャップ(以下、単に「キャップ」ともいう)1は、内容物(図示省略)を収容する内層体2と該内層体2を収容する外層体3とを備える二重容器本体4の口部5に装着され、二重容器6を構成している。外層体3は、二重容器本体4の外殻を形成しており、内層体2は、内容物の注出に伴い減容変形可能である。外層体3には、内層体2の減容変形に伴い、外層体3と内層体2との相互間に外気を導入する外気導入孔(図示省略)が形成されている。本実施形態では、二重容器6は、筒状をなす口部5と、該口部5に連なるとともに口部5よりも拡径した胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを有するボトル状をなしており、外気導入孔は、二重容器6の底部に配置されている。なお、二重容器6の形状や、外気導入孔の配置は適宜変更が可能である。内容物は、液状のものであればその種類は特に限定されず、種々の粘性を有するものであってよく、例えば、固体を含む固液混合物であってもよい。
本実施形態では、二重容器本体4は、内層体2の合成樹脂素材と外層体3の合成樹脂素材とを積層して形成される積層パリソンを金型で挟み、内部に空気を吹き込んでデラミ容器(積層剥離容器)を形成するEBM(Extrusion Blow Molding:押出しブロー成形)によって形成されている。また、内層体2は、外側のエチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)と内側の変性ポリオレフィン樹脂(三井化学株式会社製「アドマー」(登録商標))の2層構造とし、外層体3は、外側の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)と内側のポリプロピレン樹脂(PP)の2層構造としている。本実施形態では、復元自在な可撓性(スクイズ性)を付与するため、外層体3の外側の層を低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)で構成しているが、ポリプロピレン樹脂(PP)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)とすることも可能である。また、本実施形態の外層体3を構成するポリプロピレン樹脂(PP)の層は、内層体2の剥離性を向上するために設けたものであり、必ずしも必要なものではない。さらに、上記の層構成は一例であり、外層体3に対して内層体2が剥離可能であれば、外層体3及び内層体2の材料は特に限定されるものではなく、任意の材料を選択可能であり、それぞれ単層構造としても良いし、多層構造としても良い。また、内層体2と外層体3との間に、上下方向に延在して内層体2と外層体3とを部分的に接合する、1本又は複数本の接着帯を設けてもよい。また、押出しブロー成形に代えて、内層体2の合成樹脂素材からなる内側層と外層体3の合成樹脂素材からなる外側層とを備える有底筒状に形成されたプリフォーム(容器素材)から積層剥離容器を形成する二軸延伸ブロー成形によって、二重容器本体4を形成してもよい。さらに、二重容器本体4は、積層剥離容器ではなく、内層体2と外層体3とを個別に形成して組み付けるものであってもよい。
キャップ1は、二重容器本体4の口部5の外周面に係合する筒状をなす係合筒7と、内容物の流路を区画する筒状の内周面を有する注出筒8と、該注出筒8の外周面から径方向外側へ延在し、口部5の上方を覆う頂壁9とを備えている。また、キャップ1は、注出筒8の上方を覆う閉鎖位置と注出筒8の上方を開放する開放位置との間で移動可能な蓋体10を備えている。注出筒8は、本実施形態では、移動弁体11を上下動可能に保持する弁体保持部12を有している。また、蓋体10は、ヒンジ13を介して係合筒7と連結されており、ヒンジ13の折り曲げによって開放位置から閉鎖位置へと移動することができる。なお、注出筒8は、口部5の中心軸Oからヒンジ13と反対側に偏芯した位置に配置されているが、例えば口部5の中心軸Oに配置してもよいし、その配置は適宜変更が可能である。
本実施形態では、係合筒7、注出筒8、頂壁9、ヒンジ13及び蓋体10は、合成樹脂素材からなる単一の射出成形品の一部であり、相互に一体に成形されている。なお、ヒンジ13を設けることなく、蓋体10を別体に成形することも可能である。例えば、係合筒7、注出筒8及び頂壁9を一体に成形した単一の射出成形品に対し、蓋体10を、ねじ係合又は凹凸部の乗り越えを介した嵌合等によって、着脱可能に構成してもよい。また、係合筒7、注出筒8及び頂壁9は、別体に成形したものを組み付けて構成してもよい。キャップ1は、注出筒8と口部5との間に中栓を有するものであってもよい。この場合、弁体保持部12は、注出筒8に設ける代わりに中栓に設けることができる。
係合筒7は、口部5の外周面に、凹凸部の乗り越えを介した嵌合によって係合している。なお、係合筒7は、口部5の外周面に、例えばねじ係合する構成としてもよい。口部5及び係合筒7は、本実施形態では円筒状をなしているが、筒状であれば、例えば多角形筒状や、楕円筒状をなすもの等であってもよい。
頂壁9は、注出筒8の外周面と係合筒7の上部とを連結するとともに、注出筒8の外周面と口部5の上端部との間を隙間なく覆っている。なお、頂壁9には、該頂壁9の底面から垂下する円筒状の封止突起14が一体に成形されている。封止突起14は全周に亘って口部5の内周面における上端部に密接している。また、口部5の上端面は頂壁9の底面に当接している。頂壁9の外周縁部には、頂壁9の上面と外周面とからなる段差部15が全周に亘って設けられている。
注出筒8は、頂壁9との連結部から上方に延びる部分を有しており、当該部分の上端縁部が全周に亘って径方向外側にリップ状に湾曲するとともに、当該上端縁部によって、内容物を注出する注出口が形成されている。また、注出筒8は、頂壁9との連結部から下方に延びる部分を有しており、当該部分は弁体保持部12を有している。弁体保持部12は、移動弁体11の上方への移動を規制する複数のリブ16と、移動弁体11の下方への移動を規制する縮径部17とを有している。弁体保持部12において、注出筒8は、下端部に縮径部17を有する2段円筒状をなすとともに、その内周面に複数のリブ16が一体に成形されている。複数のリブ16は、それぞれ上下方向に延びるとともに、互いに周方向に間隔を空けて配置されている。また、各リブ16の上端部は、径方向内側へ突出しており、球状をなす移動弁体11が上方へ移動したときに移動弁体11が複数のリブ16の上端部に当接し、さらなる上方への移動が阻止されるようになっている(図1(a)中の二点鎖線参照)。また、そのとき、内容物は複数のリブ16の相互間の隙間を通過することができる。
縮径部17の内周面には、周方向に間隔を空けて配置されるとともに、それぞれ上下方向に延びる複数の微細な溝18が形成されている。溝18は、内容物の注出を終え、二重容器6を起立させて、移動弁体11が下方へ移動し、縮径部17の内周面に当接したときに、注出筒8内に残った内容物の一部を溝18を通じて内層体2の内部へ戻すために設けられている。このように内容物の一部が内層体2の内部へ戻されても、残りの一部がその表面張力によって溝18に付着していれば、移動弁体11が縮径部17に密着することを抑制でき、且つ蓋体10が開放位置にある場合でも、内層体2の内部への外気の侵入は阻止され、内容物の品質を良好に維持することができる。溝18の大きさは、内容物の種類や粘性等に応じて適宜設定することができる。また、溝18を設けない構成とすることも可能である。なお、移動弁体11は球状に限られず、その形状は適宜変更が可能である。また、弁体保持部12における注出筒8の形状も断面円筒状に限られず、その断面形状は適宜変更が可能である。
蓋体10は、頂壁9の段差部15に凹凸部の乗り越えを介した嵌合によって係合可能な筒状(本例では円筒状)をなす外周壁19と、蓋体10が閉鎖位置にあるときの外周壁19の上端部を閉塞する天壁20と、蓋体10が閉鎖位置にあるときの天壁20の底面から垂下する円筒状の封止筒壁21と、封止筒壁21の径方向内側において天壁20の底面から垂下する円柱状のピン22とを有している。ピン22は、封止筒壁21と同心配置とされている。また、ピン22は、移動弁体11がその移動範囲の上端位置において複数のリブ16に付着した場合であっても、蓋体10を閉鎖位置に移動させることでピン22の先端によって移動弁体11を下方に押し、移動弁体11をその移動範囲の下端位置に向けて落せるような長さに設定されている(図1(a)中の二点鎖線参照)。ピン22の形状は適宜変更が可能である。また、ピン22を設けない構成としてもよい。なお、本実施形態では、外周壁19、天壁20、封止筒壁21及びピン22は一体に成形されているが、別体に成形したものを組み付けて構成してもよい。
封止筒壁21は、蓋体10が閉鎖位置にあるときに、注出筒8の内周面上の所定の環状領域23の下端縁に全周に亘って密接する環状密接部24を有している。このように、蓋体10は、閉鎖位置にあるときに環状密接部24が環状領域23の下端縁に全周に亘って密接することによって、注出筒8の内側を封止して内層体2の内部への外気の侵入を阻止するように構成されている。環状密接部24は、本実施形態では、封止筒壁21の外周面に全周に亘って設けられ、径方向外側に突出する円環状をなす環状突起によって構成されている。なお、環状密接部24の構成は、このような環状突起によるものに限られず、適宜変更が可能である。また、封止筒壁21の形状は適宜変更が可能である。封止筒壁21を設ける代わりに、環状密接部24を有する他の構造体を設けてもよい。
環状領域23は、弁体保持部12よりも上方に位置している。また、環状領域23は、閉鎖位置への蓋体10の移動時に環状密接部24との間に空気の通路を形成する空気溝25を有している。図1(a)には、閉鎖位置への蓋体10の移動時に環状密接部24が描く軌道が二点鎖線で示されている。図1(b)、(c)に示すように、本実施形態では、環状領域23は、ヒンジ13の反対側の半周部分のみに空気溝25を有している。また、本実施形態では、環状領域23は、複数の空気溝25を有している。なお、空気溝25は、本実施形態では3つ設けられているが、2つ以下、又は4つ以上設けるようにしてもよい。また、本実施形態では、環状密接部24は、蓋体10が閉鎖位置にあるときに全周に亘って一定の高さに配置される円環状をなす一方、環状領域23は、全周に亘って一定の高さの上端縁と、全周に亘って一定の高さの下端縁とを有する円筒状をなしている。しかしながら、環状密接部24及び環状領域23は、このような形状に限られない。
かかる構成によれば、蓋体10を開いて開放位置に移動させ、二重容器6を起立姿勢から傾倒姿勢に移行させることで、内容物をその自重によって注出筒8から注出させることができる。このとき、移動弁体11はその自重及び内容物からの圧力によって上方(注出口側)へ移動し、内容物は縮径部17及び複数のリブ16相互間の隙間を通って注出される。このように自重のみによって内容物を注出させてもよいが、二重容器本体4の胴部をスクイズすることで、内容物をより勢いよく注出させることもできる。内容物の注出を終え、二重容器6を起立姿勢に戻すと、移動弁体11はその自重及び内容物からの圧力によって下方へ移動し、縮径部17に当接する。この移動弁体11の下方への移動により、注出筒8内の内容物は内層体8の内部側へ引き戻され(サクションバック機能)、注出筒8からの液垂れの発生が抑制される。そして、縮径部17に当接した移動弁体11の上方に、例えばリブ16の上端位置まで内容物が残留した状態で、蓋体10を閉鎖位置に向けて閉じると、まず、蓋体10の環状密接部24が注出筒8の環状領域23に接触する。このとき、環状領域23における空気溝25を除く部分には、環状密接部24が、全周に亘って密接しつつ下方へと摺動する一方、空気溝25と環状密接部24との間には、空気の通路が形成される。すなわち、蓋体10の環状密接部24が注出筒8の環状領域23上を下方に摺動することで注出筒8内の空気が加圧されるが、この加圧された空気を、空気溝25と環状密接部24との間の隙間を通して注出筒8の外側へと逃がすことができる。したがって、注出筒8内の圧力の上昇を抑制することができるため、蓋体10を容易に閉鎖位置へと移動させることができる。また、本実施形態では、縮径部17に溝18を設けているので、蓋体10が閉鎖されたときに注出筒8内が多少加圧状態になっていたとしても、その圧力によって内容物が溝18を通じて内層体2の内部側へ戻されるため、注出筒8の圧力は低減される。
また、本実施形態では、環状領域23は、ヒンジ13の反対側の半周部分のみに複数の空気溝25を有しているので、空気を効果的に逃がすことができる。また、本実施形態では、環状領域23は、複数の空気溝25以外の部分では全周に亘って環状密接部24と摺接するように構成されているので、蓋体10が閉鎖位置にあるときの環状領域23と環状密接部24との間の密封性を安定して保持することができる。
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、前述したところは本発明の実施形態の一例を示したにすぎず、発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変更を加えてよいことは言うまでもない。
1 二重容器用キャップ
2 内層体
3 外層体
4 二重容器本体
5 口部
6 二重容器
7 係合筒
8 注出筒
9 頂壁
10 蓋体
11 移動弁体
12 弁体保持部
13 ヒンジ
14 封止突起
15 段差部
16 リブ
17 縮径部
18 溝
19 外周壁
20 天壁
21 封止筒壁
22 ピン
23 環状領域
24 環状密接部
25 空気溝
O 中心軸

Claims (5)

  1. 内容物を収容する内層体と該内層体を収容する外層体とを備える二重容器本体の口部に装着される二重容器用キャップであって、
    前記内容物の流路を区画する筒状の内周面を有する注出筒と、
    前記注出筒の上方を覆う閉鎖位置と前記注出筒の上方を開放する開放位置との間で移動可能な蓋体とを備え、
    前記蓋体は、前記閉鎖位置において前記注出筒の内周面上の所定の環状領域の下端縁に全周に亘って密接する環状密接部を有し、
    前記環状領域は、前記閉鎖位置への前記蓋体の移動時に前記環状密接部との間に空気の通路を形成する空気溝を有することを特徴とする二重容器用キャップ。
  2. 前記蓋体は、ヒンジの折り曲げによって前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動可能であり、
    前記環状領域は、前記ヒンジの反対側の半周部分のみに前記空気溝を有する、請求項1に記載の二重容器用キャップ。
  3. 前記環状領域は、複数の前記空気溝を有する、請求項1又は2に記載の二重容器用キャップ。
  4. 前記注出筒は、前記環状領域よりも下方において移動弁体を上下動可能に保持する弁体保持部を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二重容器用キャップ。
  5. 前記注出筒の前記弁体保持部は、前記移動弁体の上方への移動を規制する複数のリブと、前記移動弁体の下方への移動を規制する縮径部とを有する、請求項4に記載の二重容器用キャップ。
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