JP2018086802A - ポリイミドフィルム積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば引用文献1には、表示装置の視認側に配置されるタッチパネル用積層体であって、表示装置上に配置される際に、透明保護基板が表示装置側に位置し、透明保護基板が、有機層と無機層とをそれぞれ少なくとも1層以上有するバリア性積層体である、タッチパネル用積層体が記載されている。
しかし、ポリイミドフィルムは、表面硬度が低くハードコート処理を施しても、PETやPENにハードコート処理を施した場合と比べて表面硬度が低下する。また、ポリイミドフィルムの表面硬度を向上する為に、本発明者らは、無機層を付与したが、その場合、収縮率(線膨張率)の差により、層界面ではがれたり、反ったりするという問題があった。
このように、従来のフィルム積層体では、屈曲耐性と表面硬度の両立は困難であった。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
以下の要件:
(A)ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、無機層とハードコート層とがこの順に配されたポリイミドフィルム積層体であって、
(B)前記積層体を前記ハードコート層側から平面視した場合に、以下の式:
実表面被覆率=無機層の表面占有率×無機層中に含有される無機化合物の表面被覆率
で定義される、前記無機層の実表面被覆率が10〜90%であり、および
(C)前記積層体の中に、前記ポリイミドフィルムと前記ハードコート層とが接する部位が1か所以上あること、
を満たすことを特徴とするポリイミドフィルム積層体。
[2]
要件:
(D)前記ハードコート層側から平面視した前記積層体全体を1辺1cmの正方形で区画した場合に、前記ポリイミドフィルムと前記ハードコート層とが直接接する部位を含む区画が、全区画の90%以上であること、をさらに満たすことを特徴とする、[1]に記載のポリイミドフィルム積層体。
[3]
前記積層体の透過率が80%以上であり、かつ減衰係数が1.0以下である、[1]または[2]に記載のポリイミドフィルム積層体。
[4]
前記無機層の、632.8nmにおける屈折率が1.6以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
[5]
前記積層体を構成する各層の屈折率が、前記ポリイミドフィルム > 前記無機層 > 前記ハードコート層の順に高い、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
[6]
前記無機層が、アルミニウム、ケイ素、チタン、アルミニウム化合物、ケイ素化合物及びチタン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
[7]
前記無機層が前記ポリイミドフィルム上で海島構造を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
[8]
前記海島構造の海島部位の形状が、線状、湾曲部位を持つ円状、直線部位を持つ多角状、もしくはそれらの組み合わせからなるランダムな形状である、[7]に記載のポリイミドフィルム積層体。
[9]
透明フィルムの少なくとも一方の面に、無機層とハードコート層とがこの順に配された透明フィルム積層体であって、前記無機層の膜厚が、10nm以上であり、且つ、前記透明フィルムの厚みに対し1/1000以下であること、を満たすことを特徴とする透明フィルム積層体。
[10]
前記透明フィルムが下記一般式(1)で表されるポリイミドを含有し、前記一般式(1)におけるAとして、少なくとも下記一般式(A−1)で表される構造と下記一般式(A−2)で表される構造を含み、前記一般式(1)におけるBとして、少なくとも下記一般式(B)を含むことを特徴とする、[1]〜[9]に記載のポリイミドフィルム積層体。
[1]〜[10]のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体を用いた表示デバイス。
[12]
前記表示デバイスが、ポリイミドフィルム積層体を最表面部材として用いていることを特徴とする[11]に記載の表示デバイス。
[13]
前記表示デバイスが屈曲部位を有する、[11]〜[12]に記載の表示デバイス。
[14]
表示デバイスが曲面を有する、[11]又は[12]に記載の表示デバイス。
また、ポリイミドフィルムと無機層とは線膨張係数が大きく違うため、熱処理すると積層体に反りが発生するが、本発明の構造では反りがほとんど発生せず、温度変化を伴うプロセスにおいて非常に有利となる。
図1は、本発明のポリイミドフィルム積層体の一構成例を模式的に示す断面図である。
本発明のポリイミドフィルム積層体1は、
以下の要件:
(A)ポリイミドフィルム2の少なくとも一方の面に、無機層3とハードコート層4とがこの順に配されたポリイミドフィルム積層体であって、
(B)前記積層体を前記ハードコート層4側から平面視した場合に、以下の式:
実表面被覆率=無機層の表面占有率×無機層中に含有される無機化合物の表面被覆率
で定義される、前記無機層3の実表面被覆率が10〜90%であり、および
(C)前記積層体の中に、前記ポリイミドフィルム2と前記ハードコート層4とが接する部位5が1か所以上あること、
を満たすことを特徴とする。
以下、各要件について具体的に説明する。
ポリイミドフィルム2は、ポリイミド樹脂からなるフィルムである。ポリイミド樹脂は、一般に、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとを溶液重合し、ポリイミド前駆体を製造した後、高温で閉環脱水させ、熱イミド化して、又は、触媒を用いて化学イミド化して、製造される。特に、溶媒に可溶なポリイミド樹脂は、フィルム成形時の乾燥工程において脱水反応が起こらないため、応力歪が少なく、平面方向の寸法安定性に優れるフィルムを得ることが出来る。
また同様にジアミンとして好ましいものとして、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン等が挙げられる。その中でも、例えば3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4‘−ビス(4−アミノフェノキシビフェニル)、シクロヘキシルジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)ノルボルナンが好ましい。これら酸二無水物とジアミンはそれぞれ1種類ずつでもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。
なかでも好ましくは少なくとも酸二無水物として4,4’−オキシジフタル酸二無水物を含み、かつジアミンとして3,3’−ジアミノジフェニルスルホンおよび4,4’−ジアミノジフェニルスルホンから製造されるポリイミド樹脂である。
ポリイミドフィルムが一般式(1)で表されるポリイミドは可溶性ポリイミドであり、応力歪が小さく、また透明性の観点からも好ましい。
そこで、ポリイミドフィルム2上に無機層3とハードコート層4とを配することにより、表面硬度を高めている。ハードコート層4だけでは、表面硬度を十分に発現できないため、無機層3を配することにより、十分な表面硬度が確保される。また、無機層3を配することにより、透明フィルムとしての光学特性のほか、弾性率、耐傷性が向上し、屈曲耐性が向上する。
特に、ポリイミドフィルム2と無機層3とは線膨張係数が大きく違うため、熱処理すると積層体1に反りが発生するが、本発明の構造では反りがほとんど発生せず、温度変化を伴うプロセスにおいて非常に有利となる。
無機層3の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば、前記無機層の膜厚が、10nm以上であり、且つ、前記ポリイミドフィルムの厚みに対し1/1000以下であること、を満たすことが好ましい。これにより、ポリイミド積層体の反りをより確実に抑制することができる。
さらに、具体的には、10nm〜50nmとすることが好ましい。これにより、透明フィルムとしての光学特性を保持したまま、弾性率、耐傷性が向上し、屈曲耐性が向上する。その際、前記ポリイミドフィルムに替えて、透明フィルムとして、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートなどを用いた場合も前記無機層の膜厚が、10nm以上であり、且つ、透明フィルムの厚みに対し1/1000以下であること、を満たす場合に同様の効果を奏する。透明フィルムとしては、高い屈曲耐性の観点から非晶性であるポリイミドフィルムが好ましい。
ハードコート層4の形成方法としては特に限定されないが、塗工法、転写法、真空蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。
ハードコート層4の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは3〜8μmである。20μmより厚い場合、硬化時に発生する応力で、ハードコート層4にクラックが生じる場合があり、1μm未満であると、所望の表面硬度が発現しない場合がある。
実表面被覆率=無機層3の表面占有率×無機層3中に含有される無機化合物の表面被覆率
被覆率が90%以上であると、ハードコート層4とポリイミドフィルム2との密着性を十分に確保できす、各層の収縮率の差に起因して積層体1が反ってしまう。一方、被覆率が10%未満であると、ポリイミドフィルム積層体の表面硬度改善の効果が得られない。被覆率を10〜90%とすることで、各層の収縮率の差に起因する応力を緩和し反りを抑制するとともに、十分な強度を有するものとなる。ポリイミドフィルム積層体の表面硬度改善の観点から、被覆率は、30%〜90%であることが更に好ましい。
例えば特開2014−208469号公報には、基板の表面に、透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層の上に金属ナノワイヤを含む透明導電パターンを形成した透明導電パターン形成基板が記載されている。透明導電パターンは、金属ナノワイヤと分散媒を含む導電性インクを、基板上に塗布することにより形成される。
しかしながら、導電パターンのうち、実質的な金属ナノワイヤ部分は非常に少ない。例えば図2に示すように、基板10上の導電パターン11(無機層)の表面占有率が50%、導電パターン11中に含有される金属ナノワイヤ11a(無機物)の表面被覆率が10%であると、実表面被覆率は50%×10%=5%となり、本発明の目的とする表面硬度向上の効果はない。
ポリイミドフィルム2のうち、無機層3が形成されず、無機層3から露出している部分が、この上にハードコート層4が形成された場合に、ポリイミドフィルム2とハードコート層4とが接する部位5となる。
平面視した場合に、ポリイミドフィルム2とハードコート層4とが接する部位5が1か所以上あることにより、ポリイミドフィルム2とハードコート層4との密着性を高め、各層の収縮率の差に起因する応力を緩和することができる。これによりフィルム積層体1の屈曲耐性の低下や反りを抑制することができる。
例えば図3に示すような、基板10上に、該基板10の外周部を残して、内側全面に無機層12が形成されている(図示しないが、基板及び無機層上にハードコート層が形成されているものとする)ような構造は、「(B)無機層の実表面被覆率が10〜90%であり、(C)ポリイミドフィルムとハードコート層とが接する部位5が1か所以上ある」構造ではあるが、本発明では、このような構造は想定していない。
図3に示す場合において、例えば枠A6で囲まれた部分では、部位5が1か所以上ある(A1〜A5,A10,A11,A15,A16,A20,A21〜A25も同じ)。一方、例えば枠A7で囲まれた部分では、ポリイミドフィルム2とハードコート層4との間に無機層12が全面被覆されており、ポリイミドフィルム2とハードコート層4とが直接接する部位5を含まない(A8、A9、A12〜A14、A17〜A19も同じ)。図3における部位5を含む区画の割合は、全区画数25当り部位5を含む区画数が16なので、64%である。
無機層12の実表面被覆率が、例えば70%以上と高い場合であっても、ポリイミドフィルム2とハードコート層4とが接する部位5が、例えば1cm2未満の比較的小さい大きさで、規則的またはランダムに面内全体に分散していることにより、実表面被覆率を高く維持しつつ、かつ積層体の全面に亘ってポリイミドフィルム2とハードコート層4との密着性を高め、また、各層の収縮率の差に起因する応力を緩和することができる。これにより、ポリイミドフィルム積層体1は、十分な屈曲耐性と十分な強度、特にハードコート層4による高い表面硬度を有し、さらに反りが抑えられたものとなる。
海島構造の海島の形状としては特に限定されるものではないが、例えば、線状(図4参照)、湾曲を持つ円状(図5(A),(B)参照)、直線部位を持つ多角状(図6参照)、もしくはそれらの組み合わせからなるランダムな形状が挙げられる。
海島構造の島部分は、無機層であってもポリイミドフィルム表面であっても、何れでもよい。
透過率とはフィルムに入射する光がフィルムを透過する割合のことであり、ここでいう光とは300nm〜800nmの可視光である。
透過率が80%以上であることにより透明感が良好であり、減衰係数が1.0以下であることにより、黄色度が低く明瞭性に優れ、例えば表示デバイスの最外層として用いられた場合に、視認性を妨げない。
本実施形態のポリイミドフィルム積層体1が、例えば表示デバイスの最外層として用いられる場合、ポリイミドフィルム2を内側(デバイス側)、ハードコート層4を外側(使用者側)として取り付けられる。この場合、各層の屈折率を上記のようにすることで反射を抑制し、光線透過率を高めることができる。
なお、上述した説明ではポリイミドフィルムの一面のみに、無機層とハードコート層が積層形成された場合を例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ポリイミドフィルムの両面にそれぞれ、無機層とハードコート層が積層形成されていてもよい。
特許4757709号記載明細書には、樹脂ガラス用高分子基板と、樹脂ガラス用高分子基板上にアルミニウム、ケイ素、チタン、アルミニウム化合物、ケイ素化合物及びチタン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の微粒子を付着してなる無機層と、無機層を介して樹脂ガラス用高分子基板に積層されたアルコキシシラン含有ハードコート層とを備えた、樹脂ガラス用積層体が記載されている。しかしながら、この積層体は、自動車用ガラスに用いることを想定しており、本発明のポリイミドフィルム積層体のように、表示デバイスに用いることを想定したものではない。
本実施形態に関る表示デバイスは、上述したポリイミドフィルム積層体1を備えている表示デバイスであれば、特に限定されない。 表示デバイスとは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)、有機ELディスプレイ、レーザーディスプレイ、などによる表示部を伴う、テレビ、ノートパソコン、コンピューター用モニター、携帯電話の表示部、PDA、スマートフォン、コンソール、デジタルサイネージ、など、非常に多くの電子装置に使用されるが、これに限定されるものではない。これらの表示デバイスはタッチパネルの機能を有していてもよい。
特に有機ELディスプレイにおいては、基板もフレキシブルなプラスチック等を利用することにより、曲面ディスプレイやフレキシブルディスプレイの製造も可能である。
曲面を有する表示デバイスとしては、例えば曲面ディスプレイが挙げられる。この場合、デバイスの曲面の曲がり方向は特に限定されるものではなく、積層体フィルムが凸となるように曲がっている、凸曲面であってもよいし、積層体フィルムが凹となるように曲がっている、凹曲面であってもよい。
また、屈曲部を有する表示デバイスとしては、フレキシブルディスプレイが挙げられる。例えば、折り畳み可能なスマートフォン、フレキシブル有機ELディスプレイが挙げられる。この場合、デバイスの曲げ方向は特に限定されるものではなく、積層体フィルムが凸となるように曲げる、外曲げであってもよいし、積層体フィルムが凹となるように曲げる、内曲げであってもよい。
有機ELディスプレイは、画素ごとに、発光素子が構成されている。その発光素子は、例えば、金属等の陰電極/電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層/ITO等の陽電極、そしてガラス基板や透明な光学フィルムからなる。
上記のようなサンドイッチ構造はヘテロ構造と呼ばれ、電子と正孔をそれぞれ別の層に閉じ込めることによって効率的な反応を起こすことができる。各層の材料にはジアミン、アントラセン、金属錯体などの有機物が使用されている。
電極間の各層の厚さは数nmから数百nmであり、一般的には、全体で1μm以下の厚さである。また基板もフレキシブルなプラスチック等を利用することにより、フレキシブルディスプレイの製造も可能である。
有機ELディスプレイは、駆動方式によりアクティブマトリクス型(AM−OLED、アモレッド)とパッシブマトリクス型(PM−OLED)に大別され、カラー化方式では、3色方式、色変換方式、カラーフィルター方式の3種に分類される。本実施形態のポリイミドフィルム積層体1は、有機ELディスプレイに組み込む場合、最表面部材として用いることができる。
本実施形態のポリイミドフィルム積層体1は、タッチパネルに組み込むことも可能である。タッチパネルとは、LCDや有機ELディスプレイ等の表示装置と、タッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作する入力装置である。
タッチパネルに組み込まれた本実施形態のポリイミドフィルム積層体1は、銀行など金融機関ATM、自動販売機、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジタルオーディオプレーヤー、携帯ゲーム機、コピー機、ファックス、カーナビ、スマートフォン、など、デジタル情報機器等に組み込まれ、使用することが可能である。本実施形態のポリイミドフィルム積層体1は、タッチパネルに組み込む場合、最外層として用いることができる。
(ポリイミドフィルム作製)
(作製例1)
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付き500mLセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(以下、4,4‘−DDSともいう)8.6g(34.7mmol)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(以下、3,3‘−DDSともいう)8.6g(34.7mmol)、γ−ブチロラクトン(以下、GBLともいう)50.0gを加えた。続いて4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下、ODPAともいう)21.7g(70.0mmol)、GBL22.3g、トルエン26.0gを室温で加えた後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻し、ポリイミドGBL溶液(以下、ポリイミドワニスともいう)を得た。
得られたポリイミドワニスをポリイミドフィルムの膜厚が20μmとなる塗工厚で支持体のPETフィルム(コスモシャイン100A4100、東洋紡製)上に塗工し、50℃にて10分、100℃で10分乾燥した後、樹脂組成物層を支持体のPETフィルム上から剥離し、270℃で30分間空気雰囲気下で乾燥を行い、ポリイミドフィルム(以下、PI−Aともいう)を得た。
作製例1の4‘4−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)21.7g(70.0mmol)を4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(以下、6FDAともいう)31.1g(70.0mmol)に、GBLをN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう)に、ポリイミドフィルムの乾燥条件を空気雰囲気下から窒素雰囲気下に変更した以外は、同様の方法でポリイミドフィルム(以下、PI−Bともいう)を得た。
500mLセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら4,4’−DDSを17.2g(69.3mmol)に、GBL50.0gを加えた。続いて4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)21.7g(70.0mmol)、GBL22.3gを室温で加えた後、内温50℃まで昇温し、50℃で12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻し、ポリアミック酸GBL溶液(以下、ポリアミック酸ワニスともいう)を得た。
得られたポリアミック酸ワニスをポリイミドフィルムの膜厚が20μmとなる塗工厚で支持体のPETフィルム(コスモシャイン100A4100、東洋紡製)上に塗工し、50℃にて10分、100℃で10分乾燥した後、樹脂組成物層を支持体のPETフィルム上から剥離し、270℃で30分間空気雰囲気下で乾燥を行い、ポリイミドフィルム(以下、PI−Cともいう)を得た。
作製例3の4‘4−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)21.7g(70.0mmol)を、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)31.1g(70.0mmol)に、GBLをN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう)に、ポリイミドフィルムの乾燥条件を空気雰囲気下から窒素雰囲気下に、変更した以外は、同様の方法でポリイミドフィルム(以下、PI−Dともいう)を得た。
作製例1の4,4’−DDS8.60g(34.7mmol)および3,3’−DDS8.60g(34.7mmol)を2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBともいう)22.2g(69.3mmol)に変更した以外は、同様の方法でポリイミドフィルム(以下、PI−Eともいう)を得た。
作製例5の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)21.7g(70.0mmol)を、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)31.1g(70.0mmol)に、GBLをN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう)に、ポリイミドフィルムの乾燥条件を空気雰囲気下から窒素雰囲気下に、変更した以外は、同様の方法でポリイミドフィルム(以下、PI−Fともいう)を得た。
以上のようにして作製されたポリイミドフィルムPI−A〜PI−Fを用いて、表1に示す構成にてポリイミドフィルム積層体を作製した。
作製したポリイミドフィルムを100mm×100mmのサイズに切りだし、酸化ケイ素層を海島構造の島の部分が正方形の形状となるようにマスクを用いてスパッタし、無機層蒸着フィルムを作製した。無機層の厚み及び被覆率は表1の通りである。
得られた無機層蒸着フィルム上にハードコート剤A(リオデュラス2514、東洋インキ製)を硬化後の膜厚が5μm又は10μmとなる条件でバーコータで塗工し、空気下80℃で10分間乾燥させた後、センエンジニアリング株式会社製HC−98(高圧水銀ランプ:HL400DL−1)を用いて、積算のi線(365nm)光量が1600mJとなる条件でUV照射を行いポリイミドフィルム積層体を得た。ハードコート層の厚みは表1の通りである。
JIS K−5600―5−4の方法によって、自動鉛筆引掻試験機(株式会社井本製作所製)を用い、750gの荷重で5回往復を行い、5回往復3回以上傷がつかない硬さを鉛筆硬度とした。
100mm×100mm以上の大きさのフィルムの任意の場所から幅15mm、長さ100mmのフィルム片を切りとり、温度23℃±1℃、湿度50%±5%の環境下、静電気が−0.01V以下に保たれた除電マットの上にフィルムを1日静置した。静置後、フィルム片の端部が除電マットより浮いた高さを測定した。浮いた高さが1mm以下のものを◎、1mm以上〜5mm以下を〇、5mm以上浮くものを×とした。
MIT型繰り返し折り曲げ試験機(MIT−DA、株式会社東洋精機製作所製)を用い、幅15mm、長さ100mmの試験片に250gの荷重をかけた状態で、折り曲げ半径R2mm、折り曲げ角度135°、速度90回/分の条件で10,000回、30,000回往復での繰り返し折曲げ試験を行った。試験後サンプルを装置から外し、目視で傷がついていないものを〇、傷がついているものおよび白濁が見られるものを×とした。
表2から明らかなように、参考例のポリイミドフィルム積層体では、比較例のポリイミドフィルム積層体に比較して、優れた屈曲耐性と表面硬度とを両立させ、さらに反りも抑制されていることがわかる。
2 :ポリイミドフィルム
3 :無機層
4 :ハードコート層
5 :部位
Claims (14)
- 以下の要件:
(A)ポリイミドフィルムの少なくとも一方の面に、無機層とハードコート層とがこの順に配されたポリイミドフィルム積層体であって、
(B)前記積層体を前記ハードコート層側から平面視した場合に、以下の式:
実表面被覆率=無機層の表面占有率×無機層中に含有される無機化合物の表面被覆率
で定義される、前記無機層の実表面被覆率が10〜90%であり、および
(C)前記積層体の中に、前記ポリイミドフィルムと前記ハードコート層とが接する部位が1か所以上あること、
を満たすことを特徴とするポリイミドフィルム積層体。 - 要件:
(D)前記ハードコート層側から平面視した前記積層体全体を1辺1cmの正方形で区画した場合に、前記ポリイミドフィルムと前記ハードコート層とが直接接する部位を含む区画が、全区画の90%以上であること、をさらに満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリイミドフィルム積層体。 - 前記積層体の透過率が80%以上であり、かつ減衰係数が1.0以下である、請求項1または2に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 前記無機層の、632.8nmにおける屈折率が1.6以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 前記積層体を構成する各層の屈折率が、前記ポリイミドフィルム > 前記無機層 > 前記ハードコート層の順に高い、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 前記無機層が、アルミニウム、ケイ素、チタン、アルミニウム化合物、ケイ素化合物及びチタン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 前記無機層が前記ポリイミドフィルム上で海島構造を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 前記海島構造の海島部位の形状が、線状、湾曲部位を持つ円状、直線部位を持つ多角状、もしくはそれらの組み合わせからなるランダムな形状である、請求項7に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 透明フィルムの少なくとも一方の面に、無機層とハードコート層とがこの順に配された透明フィルム積層体であって、前記無機層の膜厚が、10nm以上であり、且つ、前記透明フィルムの厚みに対し1/1000以下であること、を満たすことを特徴とする透明フィルム積層体。
- 前記透明フィルムが下記一般式(1)で表されるポリイミドを含有し、前記一般式(1)におけるAとして、少なくとも下記一般式(A−1)で表される構造と下記一般式(A−2)で表される構造を含み、前記一般式(1)におけるBとして、少なくとも下記一般式(B)を含むことを特徴とする、請求項1〜9に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム積層体を用いた表示デバイス。
- 前記表示デバイスが、ポリイミドフィルム積層体を最表面部材として用いていることを特徴とする請求項11に記載の表示デバイス。
- 前記表示デバイスが屈曲部位を有する、請求項11又は12に記載の表示デバイス。
- 前記表示デバイスが曲面を有する、請求項11又は12に記載の表示デバイス。
Priority Applications (1)
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