以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目に対応する標準試料や被検試料等の各試料と各検査項目に対応する試薬とを分注し、各試料及び各試薬の混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部10を備えている。分析部10は、各試料の分注や各試薬の分注等を行う複数のユニットからなり、これらのユニットを駆動する駆動部30を備えている。
また、自動分析装置100は、駆動部30を制御して分析部10の各ユニットを作動させる分析制御部33を備えている。また、自動分析装置100は、分析部10で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成するデータ処理部40を備えている。また、自動分析装置100は、データ処理部40で生成された検量データや分析データを出力する出力部50を備えている。
また、自動分析装置100は、検査項目毎に分析データを生成させる分析パラメータを設定するための入力、試料毎にこの試料を識別する試料ID及び検査項目を設定して分析データを生成させる検査を行わせるための入力等を行う入力部60を備えている。また、自動分析装置100は、分析制御部33、データ処理部40及び出力部50を統括して制御するシステム制御部70を備えている。
図2は、分析部10の構成を示した図である。この分析部10は、各検査項目の標準試料や被検試料などの各試料を収容する試料容器11と、複数の試料容器11を一列に保持可能な試料ラック12と、複数の試料ラック12を個別に配列保持可能な複数の保持部を有するトレイ13とを備えている。また、分析部10は、トレイ13が載置され、載置されたトレイ13に保持される試料ラック12をこの試料ラック12に保持された試料容器11内の試料の分注が可能な位置へ搬送可能なように設けたサンプラ部14を備えている。
また、分析部10は、各試料に含まれる各検査項目の成分と反応する試薬である例えば1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する第1試薬容器15と、複数の第1試薬容器15を移動可能に保持する第1試薬ラック16とを備えている。また、分析部10は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する第2試薬容器17と、複数の第2試薬容器17を移動可能に保持する第2試薬ラック18とを備えている。
また、分析部10は、円周上に配置された複数の反応容器19と、この反応容器19を回転移動可能に保持する反応ディスク20とを備えている。
また、分析部10は、試料ラック12に保持された試料容器11内の試料を吸引して、反応容器19内に吐出する分注を行う試料分注プローブ21を備えている。また、分析部10は、試料分注プローブ21を移動可能に支持する試料分注アーム22を備えている。
また、分析部10は、第1試薬ラック16に保持された第1試薬容器15内の第1試薬を吸引して、試料が分注された反応容器19内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ23を備えている。また、分析部10は、第1試薬分注プローブ23を移動可能に支持する第1試薬分注アーム24を備えている。また、分析部10は、第2試薬ラック18に保持された第2試薬容器17内の第2試薬を吸引して、第1試薬が分注された反応容器19内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ25を備えている。また、分析部10は、第2試薬分注プローブ25を移動可能に支持する第2試薬分注アーム26を備えている。
また、分析部10は、反応容器19に分注された試料及び第1試薬の混合液や、試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌子27を備えている。また、分析部10は、撹拌子27により撹拌が行われた混合液を収容する反応容器19に光を照射し、反応容器19内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した光を検出して標準データや被検データを生成する測定部28を備えている。また、分析部10は、測定を終了した反応容器19内を洗浄する洗浄ノズル29を備えている。そして、洗浄ノズル29により洗浄が行われた反応容器19は、再び試料の分注、試薬の分注及び測定に使用される。
図1に戻り、駆動部30は、分析部10のサンプラ部14の下側に配置される第1及び第2の搬送機構31,32を備えている。
第1の搬送機構31は、サンプラ部14に載置されたトレイ13に係合する突起部、この突起部を水平方向に直線移動可能に保持するベルト、このベルトを駆動するモータ等を備えている。そして、第1の搬送機構31は、サンプラ部14に載置されたトレイ13を移動して、トレイ13に保持された試料ラック12を搬送する。
第2の搬送機構32は、トレイ13に保持された試料ラック12に係合する突起部を有するアーム、このアーム駆動してトレイ13から試料ラック12を引き出すためのモータ、トレイ13から引き出した試料ラック12を引出し方向とは異なる方向へスライドさせるためのベルト及びこのベルトを駆動するモータ、スライドさせた試料ラック12に係合する突起部を有するアーム、このアームを引出方向とは反対方向に駆動して試料ラック12をトレイ13に引き入れるモータ等を備えている。そして、第2の搬送機構32は、第1の搬送機構31により搬送された各試料ラック12を、トレイ13から当該試料ラック12に保持された試料容器11内の試料の分注が可能な位置へ搬送し、試料の分注が終了すると、トレイ13まで搬送する。
また、駆動部30は、第1及び第2試薬ラック16,18をそれぞれ回動駆動して第1試薬容器15を移動する。また、反応ディスク20を回転駆動して各反応容器19を移動する。また、試料分注アーム22、第1試薬分注アーム24及び第2試薬分注アーム26をそれぞれ回動及び上下駆動して、試料分注プローブ21、第1試薬分注プローブ23、及び第2試薬分注プローブ25を移動する。また、撹拌子27の移動及び撹拌駆動を行う。また、洗浄ノズル29の移動及び洗浄ノズル29から洗浄水を吐出させるポンプの洗浄駆動を行う。
分析制御部33は、分析パラメータ、各試料に設定された試料ID及び検査項目等の入力情報等に基づき駆動部30を制御して、分析部10の各ユニットを作動させる。そして、試料ラック12の搬送、第1試薬容器15の移動、第2試薬容器17の移動、試料の分注、第1試薬の分注、第2試薬の分注、混合液の撹拌、測定等を実行させる。
データ処理部40は、演算部41及びデータ記憶部42を備えている。そして、演算部41は、例えばCPUと記憶回路を有し、分析部10で生成された各検査項目の標準データから検量データを生成し、分析部10で生成された被検データからこの検査項目の検量データを用いて分析データを生成する。また、データ記憶部42は、ハードディスクドライブ(HDD)等のストレージを有し、演算部41で生成された検量データを検査項目毎に保存し、演算部41生成された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
出力部50は、データ処理部40で生成された標準データや分析データを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。そして、印刷部51は、プリンタなどを備え、検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷出力する。また、表示部52は、例えばCRTや液晶パネルなどのモニタを備えている。そして、分析パラメータを検査項目毎に設定するための分析パラメータ設定画面を表示する。また、試料ID及び検査項目を試料毎に設定するための検査項目設定画面を表示する。
入力部60は、例えばキーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備えている。そして、分析パラメータを設定するための入力、試料ID及び検査項目を設定するための入力等を行う。
また、入力部60は、分析部10に配置された搬送モード切替スイッチ61及び搬送再開スイッチ62を備えている。搬送モード切替スイッチ61は、分析部10のサンプラ部14に載置されたトレイ13に保持される試料ラック12の搬送動作を継続させ連続モード、又はトレイ13に保持される試料ラック12が途切れると、試料ラック12の搬送動作を停止させる間断モードのいずれか一方のモードに設定する入力を行う。また、搬送再開スイッチ62は、停止した搬送動作を再開させる入力を行う。
システム制御部70は、CPUと記憶回路を備えている。そして、入力部60から入力される各分析パラメータ、各試料ID及び検査項目等の入力情報を記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部33、データ処理部40及び出力部50を統括して制御する。
次に、分析部10におけるトレイ13の構成の詳細を説明する。
図3は、トレイ13の構成の一例を示した平面図である。このトレイ13は、試料ラック12が載置される底面131に、複数の試料ラック12を個別に保持可能なように一列に配列された例えば凹状の複数の保持部132を有する。
次に、分析部10におけるサンプラ部14の構成と、駆動部30における第1及び第2の搬送機構31,32の搬送動作と、分析制御部33による第1及び第2の搬送機構31,32の制御について説明する。
図4は、サンプラ部14の構成を示した平面図である。このサンプラ部14は、搬送レーン80と、トレイ検出器81と、ラック検出器82と、分注レーン83と、カバー84とを備えている。
搬送レーン80は、トレイ13に保持された試料ラック12を分注レーン83に搬送するレーンである。この搬送レーン80は、分注前の試料を収容する試料容器11が保持された試料ラック12を保持するトレイ13が載置される矢印で示した待機エリアW1と、分注を終えた試料を収容する試料容器11が保持された試料ラック12を保持するトレイ13が移動される矢印で示した回収エリアW2とを有する。
また、搬送レーン80は、待機エリアW1と回収エリアW2の間に、第1の搬送機構31により待機エリアW1から回収エリアW2の方向である矢印L1方向に移動されたトレイ13の各保持部132が停止する第1の位置P1と、第1の位置P1に停止した後に停止する第2の位置P2とを有する。
試料の分注が行われる前のトレイ13は、各保持部132の配列方向が搬送レーン80の長手方向に平行になるように待機エリアW1に載置される。そして、複数のトレイ13は、待機エリアW1に隣り合うトレイ13が隣接して載置される、又はトレイ13n個(1以上の整数)分の間隔を空けて載置される。
トレイ検出器81は、搬送レーン80の待機エリアW1に一定の間隔をあけて複数配置され、搬送レーン80上の待機エリアW1に載置された各トレイ13を検出する。
ラック検出器82は、搬送レーン80の第1の位置P1に配置され、搬送レーン80の第1の位置P1の試料ラック12の有無を検出する検出器である。そして、第1の搬送機構31の移動動作によりトレイ13の複数の保持部132のうちの第1の位置P1に停止した保持部132に試料ラック12が保持されているか否かを検出する。
分注レーン83は、搬送レーン80上のトレイ13に保持された試料ラック12を、この試料ラック12に保持された試料容器11内の試料の分注が行われる位置へ搬送するレーンである。分注レーン83は、図5に示すように、搬送レーン80の短手方向に配置され、引込レーン831とこの引込レーン831に対してL1方向に隣接する押出レーン832とからなる2つのレーンにより構成される。
引込レーン831は、搬送レーン80上のトレイ13に保持された第1の位置P1から搬送された試料ラック12を押出レーン832に搬送するレーンである。また、押出レーン832は、引込レーン831から搬送された試料ラック12を、この試料ラック12に保持された各試料容器11内の試料の分注が可能な位置を経由して搬送レーン80の第2の位置P2へ搬送するレーンである。
カバー84は、分注レーン83における引込レーン831及び押出レーン832の試料ラック12、並びに搬送レーン80の第1の位置P1の試料ラック12及びこの試料ラック12に隣り合う第2の位置P2の試料ラック12の上方を覆うように配置された保護カバーである。
そして、カバー84は、押出レーン832の上方に貫通孔841を有する。試料分注プローブ21は、カバー84上方から下降して貫通孔841より進入し、押出レーン832から搬送レーン80に搬送される試料ラック12に保持された複数の試料容器11のうち、貫通孔841下方に位置する分注位置Sの試料容器11内の試料を吸引する。
このように、カバー84を配置することにより、試料の吸引が行われる近辺での試料分注プローブ21との接触や衝突を防いで安全を確保することができる。また、第2の搬送機構32により分注レーン83に対して搬送される第1及び第2の位置P1,P2の試料ラック12の取り出しや、第1の位置P1への試料ラック12の載置等の危険な作業を防ぐことができる。
駆動部30の第1の搬送機構31は、トレイ検出器81に検出されたトレイ13を、2つの隣り合う保持部132の中心軸間の距離を1ピッチとして、各保持部132の配列方向の一方向であるL1方向に1ピッチ移動して、各保持部132を第1の位置P1及びこの第1の位置P1のL1方向に位置する第2の位置P2を含む各位置で停止させる。また、第1の搬送機構31は、複数のトレイ検出器81に検出された複数のトレイ13を、同時に同じ方向に1ピッチ移動してから停止させる。
第2の搬送機構32は、ラック検出器82に検出された試料ラック12を、この試料ラック12を保持する第1の位置P1の保持部132から矢印で示したL2方向の引込レーン831に搬送してから、L1方向の押出レーン832に搬送する。次いで、第2の搬送機構32は、押出レーン832に搬送した試料ラック12を、第1の位置P1の保持部132に隣り合う第2の位置P2の保持部132に保持される位置まで搬送する。そして、第2の搬送機構32は、押出レーン832の試料ラック12を搬送するとき、当該試料ラック12に保持された分注位置Sの試料容器11内の試料の分注終了毎に隣の試料容器11が分注位置Sに到達する位置まで矢印L3方向に搬送し、すべての試料容器11内の試料の分注が終了すると、第2の位置P2の保持部132に保持される位置まで搬送する。
また、第2の搬送機構32は、引込レーン831の試料ラック12を押出レーン832に搬送した後、第1の搬送機構31の1ピッチの移動動作により押出レーン832の試料ラック12を保持していた第1の位置P1の保持部132が第2の位置P2に停止してから、第2の位置P2への搬送を開始する。
第1の搬送機構31は、分注レーン83に試料ラック12がない場合、第1の位置P1の保持部132に保持された試料ラック12が第2の搬送機構32により引込レーン831に搬送された後、トレイ13をL1方向に1ピッチ移動する。そして、引込レーン831に搬送された試料ラック12が保持されていた第1の位置P1の保持部132を第2の位置P2に停止させる。
また、第1の搬送機構31は、押出レーン832に搬送された試料ラック12がある場合、押出レーン832の試料ラック12の第2の位置P2への搬送が開始される前にトレイ13をL1方向に1ピッチ移動して、当該試料ラック12が保持されていた第1の位置P1の保持部132を第2の位置P2に停止させる。
また、第1の搬送機構31は、押出レーン832の試料ラック12が第2の搬送機構32により第2の位置P2の保持部132に搬送されてからトレイ13をL1方向に1ピッチ移動して、第1の位置P1の保持部132を第2の位置P2に停止させると共に、第1の位置P1の保持部132に対して第2の位置P2側とは反対側に隣り合う保持部132を第1の位置P1に停止させる。
分析制御部33は、トレイ検出器81によるトレイの有無の検出信号及びラック検出器82による試料ラック12の有無の検出信号に基づいて、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を制御する。
以下、図1乃至図22を参照して、自動分析装置100の動作の一例について説明する。
先ず、入力部60の搬送モード切替スイッチ61の操作により間断モードを設定する入力が行われた場合の自動分析装置100の動作について説明する。
図6は、搬送レーン80上の待機エリアW1に載置されたトレイ13の一例を示した図である。
このトレイ13上には4個の試料ラック12が載置されている。そして、載置された4個の試料ラック12は、進行方向の先頭の保持部132に1番目の試料ラック12が保持され、先頭の保持部132の隣の保持部132に2番目の試料ラック12が保持されている。また、2番目の試料ラック12が保持され保持部132の後ろの2つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きがある。また、最後尾の保持部132の隣の保持部132に3番目の試料ラック12が保持され、最後尾の保持部132に4番目の試料ラック12が保持されている。そして、1番目乃至4番目の試料ラック12にはそれぞれ試料が収容された5個の試料容器11が保持されている。
入力部60から検査開始の入力が行われると、システム制御部70は、分析制御部33に検査を指示する。分析制御部33は、駆動部30を制御して分析部10の各ユニットを作動させる。複数のトレイ検出器81は、搬送レーン80上の待機エリアWにトレイ13が載置されているか否かを検出する。
搬送レーン80の第1の位置P1に最も近いトレイ検出器81は、先頭の保持部132が例えば第1の位置P1の隣に位置するトレイ13を検出する。
分析制御部33は、複数のトレイ検出器81の中から、トレイ13を検出したトレイ検出器81の位置情報に基づいて、待機エリアW1に載置されたトレイ13の位置T1を算出する。
第1の搬送機構31は、トレイ検出器81に検出されたトレイ13を位置T1からL1方向に1ピッチ移動する。そして、第1の搬送機構31は、図7に示すように、先頭の保持部132を第1の位置P1に停止させる。ラック検出器82は、第1の位置P1の保持部132に1番目の試料ラック12が保持されていることを検出する。
第2の搬送機構32は、図8に示すように、ラック検出器82に検出された1番目の試料ラック12を第1の位置P1の保持部132から引込レーン831に搬送する。
第2の搬送機構32は、図9に示すように、引込レーン831に搬送した1番目の試料ラック12を押出レーン832に搬送する。試料分注プローブ21は、押出レーン832に搬送された試料ラック12に保持される分注位置Sの試料容器11内の試料の分注を行う。
第1の搬送機構31は、押出レーン832に搬送された1番目の試料ラック12の第2の位置P2への搬送が開始される前に、トレイ13をL1方向に1ピッチ移動する。そして、第1の搬送機構31は、図9に示すように、先頭の保持部132を第2の位置P2に停止させ、先頭の保持部132の隣の保持部132を第1の位置P1に停止させる。ラック検出器82は、第1の位置P1の保持部132に2番目の試料ラック12が保持されていることを検出する。
第2の搬送機構32は、図10に示すように、ラック検出器82に検出された2番目の試料ラック12を第1の位置P1の保持部132から引込レーン831に搬送する。
第2の搬送機構32は、押出レーンに832に搬送した1番目の試料ラック12の先頭に保持される分注位置Sの試料容器11内の試料の分注が終了すると、図11に示すように、1番目の試料ラック12の押出レーン832から第2の位置P2への搬送を開始する。そして、第2の搬送機構32は、1番目の試料ラック12を第2の位置P2への搬送するとき、当該試料ラック12に保持された分注位置Sの試料容器11内の試料の分注終了毎に隣の試料容器11が分注位置Sとなる位置までL3方向に搬送する。
第2の搬送機構32は、1番目の試料ラック12に保持されたすべての試料容器11内の試料の分注が終了すると、図12に示すように、1番目の試料ラック12を第2の位置P2の保持部132に保持される位置まで搬送する。
第2の搬送機構32は、図13に示すように、引込レーン831に搬送した2番目の試料ラック12を押出レーン832に搬送する。試料分注プローブ21は、押出レーン832に搬送された2番目の試料ラック12に保持される分注位置Sの試料容器11内の試料の分注を行う。
第1の搬送機構31は、押出レーン832に搬送された2番目の試料ラック12の第2の位置P2への搬送が開始される前に、トレイ13をL1方向に1ピッチ移動する。そして、第1の搬送機構31は、図13に示すように、1番目の試料ラック12を回収エリアW2に停止させる。また、第1の搬送機構31は、2番目の試料ラック12を保持していた第1の位置P1の保持部132を第2の位置P2に停止させると共に、2番目の試料ラック12を保持していた第1の位置P1の保持部132に対して第2の位置P2側とは反対側に隣り合う保持部132を第1の位置P1に停止させる。
ラック検出器82は、第1の位置P1の保持部132が試料ラック12を保持していない2つの隣り合う保持部132のうちの1つ目の保持部132であるため、第1の位置P1の保持部132に試料ラック12の空きを検出する。
第2の搬送機構32は、押出レーン832に搬送した2番目の試料ラック12の先頭に保持される分注位置Sの試料容器11内の試料の分注が終了すると、2番目の試料ラック12の第2の位置P2への搬送を開始する。そして、2番目の試料ラック12を第2の位置P2への搬送するとき、当該試料ラック12に保持された分注位置Sの試料容器11内の試料の分注終了毎に隣の試料容器11が分注位置Sとなる位置までL3方向に搬送する。
第2の搬送機構32は、2番目の試料ラック12に保持されたすべての試料容器11内の試料の分注が終了すると、図14に示すように、2番目の試料ラック12を第2の位置P2の保持部132に保持される位置まで搬送する。
第1の搬送機構31は、押出レーン832の2番目の試料ラック12が第2の位置P2の保持部132に保持されてから、図15に示すように、トレイ13をL1方向に1ピッチ移動した位置T2で停止させる。これにより、第1の搬送機構31は、1番目と2番目の試料ラック12を回収エリアW2に停止させることになる。また、第1の搬送機構31は、試料ラック12を保持していない2つの隣り合う保持部132のうちの1つ目の保持部132を第2の位置P2に停止させ、2つ目の保持部132を第1の位置P1に停止させることになる。ラック検出器82は、第1の位置P1に停止した保持部132に試料ラック12の空きを検出する。
分析制御部33は、ラック検出器82によりトレイ13の2つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きが検出されたとき、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させる。
なお、検査開始前の待機エリアW1のトレイ13に、進行方向の先頭の保持部132と先頭の保持部132の隣の保持部132に1番目と2番目の2個の試料ラック12だけを載置し、トレイ13が図15に示した位置T2で停止してから、最後尾の隣の保持部132と最後尾の保持部132に3番目と4番目の試料ラック12を追加載置するようにしてもよい。この場合、後述するが、トレイ13が停止してから、所定の時間内に入力部60の搬送再開スイッチ62から搬送再開の入力が行われると、3番目と4番目の試料ラック12を引込レーン831に搬送させて、3番目と4番目の試料ラック12に保持された試料容器11内の試料の分注を実行させることができる。
このように、検査に必要な数の試料ラック12をトレイ13の各保持部132に載置し、トレイ13の後方に少なくとも2つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きを設けることにより、ラック検出器82が2つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きを検出したとき、カバー84に覆われた引込レーン831、押出レーン832、並びに搬送レーン80の第1の位置P1及び第2の位置P2に試料ラック12がなくなり、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させることができる。
これにより、トレイ13に保持されたすべての試料ラック12を、トレイ13から容易に取り出すことができる。また、トレイ13の待機エリアW1の保持部132に空きがある場合、その空きの保持部132に試料ラック12を容易に追加載置することができる。
なお、図16に示すように、搬送レーン80上の待機エリアW1に2つのトレイ13が隣接して載置される。そして、一方のトレイ13には、最後尾の隣の保持部132に1番目の試料ラック12が保持され、最後尾の保持部132に試料ラック12の空きがある。また、他方のトレイ13には、先頭の保持部132に試料ラック12の空きがあり、先頭の隣の保持部132に2番目の試料ラック12が保持されている。このような場合、分析制御部33は、図17に示すように、一方のトレイ13の最後尾の保持部132とこの保持部132に隣り合う他方のトレイ13の先頭の保持部132とに試料ラック12の空きが検出されたとき、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させる。
このように、ラック検出器82が2つのトレイ13に跨って2つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きを検出したとき、カバー84に覆われた引込レーン831、押出レーン832、並びに搬送レーン80の第1の位置P1及び第2の位置P2に試料ラック12がなくなり、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させることができる。
これにより、各トレイ13に保持されたすべての試料ラック12を、トレイ13から容易に取り出すことができる。また、トレイ13の待機エリアW1の保持部132に空きがある場合、その空きの保持部132に試料ラック12を容易に追加載置することができる。
図15に示した位置T2でトレイ13が停止した後、分析制御部33は、搬送レーン80上の待機エリアW1にトレイ13が載置されても、第1の搬送機構31の動作を停止させる。
図15に示した位置T2でトレイ13が停止してから、所定の時間内に入力部60の搬送再開スイッチ62から搬送再開の入力が行われると、分析制御部33は、検査を再開し、1番目と2番目の試料ラック12の場合と同様にして3番目と4番目の試料ラック12を搬送させる。そして、図18に示すように、後続するトレイ13が第1及び第2の位置P1,P2にないため、分注を終えた試料を収容する試料容器11を保持する3番目と4番目の試料ラック12が回収エリアW2に搬送されたとき、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させる。
このように、搬送再開スイッチ62から搬送再開の入力を行うだけの簡単な作業で、トレイ13の待機エリアW1の試料ラック12の搬送を容易に再開させることができる。そして、搬送が再開された試料ラック12に保持された試料容器11内の試料の分注が終了すると、当該試料ラック12を回収エリアW2に停止させることができる。
なお、図15及び図18に示したように、後続のトレイ13がない場合、第1及び第2の位置P1,P2のトレイ13の有無にかかわらず、トレイ13をL1方向に1ピッチずつ移動させたとき、トレイ13の1ピッチ移動毎にラック検出器82により第1の位置P1の試料ラック12の有無を検出させるように実施してもよい。図15に示した位置からトレイ13を移動させる場合、トレイ13の最後尾の保持部132が第2の位置P2に停止したときにラック検出器82に第1の位置P1の試料ラック12の有無を検出させ、最後尾の保持部132が第2の位置P2に停止した位置からトレイ13をL1方向に1ピッチ移動させて停止したときにラック検出器82に第1の位置P1の試料ラック12の有無を検出させる。そして、トレイ13の2ピッチ移動に対して2回続けてラック検出器82により第1の位置P1で試料ラック12が検出されないと、トレイ13が図18に示した位置で停止したとき、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させるようにする。
このように、検査が再開されても、カバー84に覆われた引込レーン831、押出レーン832、並びに搬送レーン80の第1の位置P1及び第2の位置P2に試料ラック12がなくなったとき、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させることができる。
図15に示した位置T2でトレイ13が停止した後、1番目と2番目の試料ラック12に保持されたすべての試料容器11内の試料分注により、データ処理部40で生成されたすべての分析データの出力部50からの出力が終わるまでに、搬送再開スイッチ62から搬送再開の入力が行われないと、分析制御部33は分析部10の各ユニットを停止させ、システム制御部70は検査を終了させる。
次に、入力部60の搬送モード切替スイッチ61から連続モードを設定する入力が行われた場合の自動分析装置100の動作について説明する。
入力部60から検査開始の入力が行われると、システム制御部70は、分析制御部33に検査を指示する。分析制御部33は、分析部10の各ユニットを作動させる。トレイ検出器81は、搬送レーン80上の待機エリアW1にトレイ13が載置されているか否かを検出する。そして、トレイ検出器81により所定の時間内にトレイ13が載置されていることが検出された場合、分析制御部33は、トレイ検出器81に検出されたトレイ13を移動させる。また、分析制御部33は、トレイ検出器81により所定の時間内にトレイ13が載置されていることが検出されない場合、分析部10の各ユニットを停止させる。システム制御部70は、検査を終了させる。
トレイ検出器81により所定の時間内にトレイ13が載置されていることが検出された場合、第1の搬送機構31は、トレイ検出器81に検出されたトレイ13を待機エリアW1からL1方向に移動して、当該トレイ13の各保持部132を第1の位置P1に停止させる。ラック検出器82は、第1の位置P1に停止した各保持部132に試料ラック12が保持されているか否かを検出する。
ラック検出器82により第1の位置P1の保持部132に試料ラック12が保持されていることが検出されると、第2の搬送機構32は、ラック検出器82に検出された試料ラック12を、第1の位置P1の保持部132から押出レーン832に搬送する。
第1の搬送機構31は、押出レーン832に試料ラック12があるとき、当該試料ラック12の第2の位置P2への搬送が開始される前に、トレイ13をL1方向に1ピッチ移動して、当該試料ラック12が保持されていた第1の位置P1の保持部132を第2の位置P2に停止させる。
第2の搬送機構32は、押出レーン832に搬送した試料ラック12を、この試料ラック12を保持していた第1の位置P1の保持部132が第2の位置P2に停止してから、第2の位置P2への搬送を開始する。そして、押出レーン832に搬送した試料ラック12を第2の位置P2への搬送するとき、当該試料ラック12に保持された分注位置Sの試料容器11内の試料の分注終了毎に隣の試料容器11が分注位置Sとなる位置までL3方向に搬送する。
トレイ検出器81に検出されたトレイ13に保持されたすべての試料ラック12に保持されているすべての試料容器11内の試料の分注が終了すると、第1の搬送機構31は、第2の搬送機構32により各保持部132に搬送された当該トレイ13を移動して回収エリアW2に停止させる。
分析制御部33は、反応容器19に分注されたすべての試料に対する分析データが出力部50から出力される前に、トレイ検出器81にトレイ13が載置されていることが検出されると、当該トレイ13に保持された試料ラック12を分注レーン83に搬送させ、当該トレイ13に保持されたすべての試料ラック12に保持されるすべての試料容器11内の試料の分注が終了すると、当該トレイ13を回収エリアW2に移動させる。
また、分析制御部33は、反応容器19に分注されたすべての試料に対する分析データが出力部50から出力されるまでに、トレイ検出器81によりトレイ13が載置されていることが検出されないと、分析部10の各ユニットの動作を停止させる。そして、システム制御部70は、検査を終了させる。
上記実施形態に限定されるものではなく、図19に示すように、ラック検出器82を、第1の位置P1の保持部132に対して第2の位置P2側とは反対側に隣り合う第3の位置P4の保持部132に試料ラック12が保持されているか否かを検出可能な位置P3に配置して実施するようにしてもよい。
この場合、間断モードが設定され、3つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きがあるトレイ13が待機エリアW1に載置されると、分析制御部33は、図20に示すように、ラック検出器82によりトレイ13の複数の保持部132のうちの3つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きが検出されたとき、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させる。
このように、カバー84に覆われた引込レーン831、押出レーン832、並びに搬送レーン80の第1の位置P1及び第2の位置P2に試料ラック12がなくなったとき、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させることができる。
これにより、トレイ13に保持されたすべての試料ラック12を、トレイ13から容易に取り出すことができる。また、トレイ13の待機エリアW1の保持部132に空きがある場合、その空きの保持部132に試料ラック12を容易に追加載置することができる。
また、上記実施形態に限定されるものではなく、図21に示すように、分注レーン83から引込レーン831を除いて押出レーン832のみの分注レーン83aに置き換える。また、第2の位置P2を、試料ラック12を分注レーン83aに搬送する引込位置P1aに置き換える。また、第2の搬送機構32を、引込位置P1aの試料ラック12を分注レーン83aに搬送し、試料の分注が終了すると、引込位置P1aに搬送する第2の搬送機構32aに置き換える。また、第1の位置P1のラック検出器82を、引込位置P1aの保持部132に試料ラック12が保持されているか否かを検出可能な引込位置P1aに配置換えする。また、待機エリアW1を、第1の位置P1をも含む待機エリアW1aに置き換える。また、カバー84を、分注レーン83a及び引込位置P1aの試料ラック12の上方を覆うカバー84aに置き換えて実施するようにしてもよい。
この場合、間断モードが設定され、少なくとも1つの保持部132に試料ラック12の空きがあるトレイ13が待機エリアW1aに載置されると、分析制御部33は、ラック検出器82に検出された試料ラック12を第2の搬送機構32aにより引込位置P1aの保持部132から分注レーン83aに搬送させ、当該試料ラック12に保持されたすべての試料容器11内の試料の分注が終了すると、当該試料ラック12を引込位置P1aの保持部132まで搬送させる。また、第1の搬送機構31には、引込位置P1aの保持部132から分注レーン83aに搬送された試料ラック12が引込位置P1aに搬送されるまで当該保持部132を引込位置P1aに停止させる。そして、分析制御部33は、図22に示すように、ラック検出器82によりトレイ13の複数の保持部132のうちの1つの保持部132に試料ラック12の空きが検出されたとき、第1及び第2の搬送機構31,32aの動作を停止させる。
このように、カバー84aに覆われた分注レーン83a及び引込位置P1aに試料ラック12がなくなったとき、第1及び第2の搬送機構31,32aの動作を停止させることができる。
これにより、トレイ13に保持されたすべての試料ラック12を、トレイ13から容易に取り出すことができる。また、トレイ13の待機エリアW1aの保持部132に空きがある場合、その空きの保持部132に試料ラック12を容易に追加載置することができる。
更に、上記実施形態に限定されるものではなく、図23に示すように、引込レーン831の位置を分注待ちレーン833とし、分注待ちレーン833のL1方向とは反対の方向に隣接するレーンを引込レーン831aとする。そして、分注レーン83を、引込レーン831a、分注待ちレーン833及び押出レーン832の3つのレーンからなる分注レーン83bに置き換える。また、第1の位置P1を、第1の位置P1の保持部132に対して第2の位置P2側とは反対側に隣り合う保持部132が停止する第1の位置P1bに置き換える。また、第1の位置P1のラック検出器82を、第1の位置P1bの保持部132に試料ラック12が保持されているか否かを検出可能な第1の位置P1bに配置換えする。また、待機エリアW1から第1の位置P1b除いた待機エリアW1bに置き換える。また、第2の搬送機構32を、第1の位置P1bの試料ラック12を、引込レーン831aに搬送してから分注待ちレーン833を経由して押出レーン832に搬送し、試料の分注が終了すると、第2の位置P2まで搬送する第2の搬送機構32bに置き換える。また、カバー84を、分注レーン83bの試料ラック12と、搬送レーン80の第1の位置P1bの試料ラック12から第2の位置P2の試料ラック12までの上方を覆うカバー84bに置き換えて実施するようにしてもよい。
この場合、間断モードが設定され、3つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きがあるトレイ13が待機エリアW1bに載置されると、分析制御部33は、図24に示すように、ラック検出器82によりトレイ13の複数の保持部132のうちの3つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きが検出されたとき、第1及び第2の搬送機構31,32bの動作を停止させる。
このように、カバー84bに覆われた分注レーン83b、及び搬送レーン80の第1の位置P1b及び第2の位置P2間に試料ラック12がなくなったとき、第1及び第2の搬送機構31,32bの動作を停止させることができる。
これにより、トレイ13に保持されたすべての試料ラック12を、トレイ13から容易に取り出すことができる。また、トレイ13の待機エリアW1bの保持部132に空きがある場合、その空きの保持部132に試料ラック12を容易に追加載置することができる。
以上述べた実施形態によれば、第1の位置P1に停止した保持部132に試料ラック12が保持されているか否かを検出するラック検出器82を設け、ラック検出器82に検出された試料ラック12を引込レーン831に搬送してから押出レーン832に搬送した後、当該試料ラック12を保持していた第1の位置P1の保持部132が第2の位置P2に停止してから、第2の位置P2への搬送を開始させる。また、分注レーン83に試料ラック12がない場合、第1の位置P1の保持部132保持された試料ラック12が引込レーン831に搬送されてから当該試料ラック12が保持されていた第1の位置P1の保持部132を第2の位置P2に停止させる。また、押出レーン832に試料ラック12がある場合、当該試料ラック12の第2の位置P2への搬送が開始される前に、当該試料ラック12が保持されていた第1の位置P1の保持部132を第2の位置P2に停止させる。これらの動作の制御によって、ラック検出器82に2つの隣り合う保持部132に試料ラック12の空きが検出されたとき、第1及び第2の搬送機構31,32の動作を停止させることができる。
これにより、カバー84に覆われた分注レーン83、第1の位置P1及び第2の位置P2に試料ラック12がなくなるため、トレイ13に保持されたすべての試料ラック12を、トレイ13から容易に取り出すことができる。また、トレイ13の待機エリアW1の保持部132に空きがある場合、その空きの保持部132に試料ラック12を容易に追加載置して、追加配置した試料ラック12の搬送を容易に再開させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。