以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検試料等の試料と各検査項目の試薬とを分注し、試料及び試薬の混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部10を備えている。また、分析部10で分注が可能な位置等へ試料を案内する複数のレーンを有する搬送部40を備えている。
また、自動分析装置100は、分析部10の各種ユニットを駆動する駆動部50を備えている。また、搬送部40に配置され、分析部10で分注が行われる試料や分注が行われた試料を移動する移動機構部51を備えている。また、分析部10で生成された標準データや被検データを処理して、各検査項目の検量データや分析データを生成するデータ処理部60を備えている。
また、自動分析装置100は、データ処理部60で生成された検量データや分析データを印刷出力及び表示出力する出力部70を備えている。また、外部のホストコンピュータ110から送信される一般検査用の試料に設定された検査項目の情報を含む一般検査情報や、一般検査用よりも緊急を要する緊急検査用の試料に設定された検査項目の情報を含む緊急検査情報を受信する通信部80を備えている。
また、自動分析装置100は、通信部80が受信した一般検査情報や緊急検査情報を保存する検査情報記憶部81を備えている。また、各検査項目の分析パラメータや検査項目を設定するための入力等を行う操作部85を備えている。また、駆動部50、移動機構部51、データ処理部60、出力部70、通信部80及び検査情報記憶部81を統括して制御する制御部90を備えている。
図2は、分析部10の構成を示した斜視図である。この分析部10は、標準試料や被検試料等の試料を収容する試料容器11が載置されるサンプルテーブル12を備えている。また、試料に含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する1試薬系及び2試薬系の第1試薬や2試薬系の第2試薬を収容する試薬容器13を備えている。また、第1試薬が収容された試薬容器13を保冷する試薬庫15と、第2試薬が収容された試薬容器13を保冷する試薬庫16とを備えている。
また、試薬庫15,16内に配置され、試薬容器13を移動可能に保持する2つの試薬ラック14を備えている。また、複数の反応容器17と、円周上に配置された複数の反応容器17を保持する反応テーブル18とを備えている。また、サンプルテーブル12に載置された試料容器11内の試料や、搬送部40上に載置された試料容器11内の試料を吸引して反応容器17内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ19を備えている。
また、サンプル分注プローブ19を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム20を備えている。また、試薬ラック14に保持された試薬容器13内の第1試薬を吸引して反応容器17内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ21と、この第1試薬分注プローブ21を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム22とを備えている。
なお、図示はしないが、試薬容器13内の第1試薬の液面を、この第1試薬の液面と第1試薬分注プローブ21下端部との接触により検出する第1試薬液面検出器を備えている。また、試薬容器13に付与された第1試薬の使用期限等の第1試薬情報を読み取る第1試薬リーダを備えている。
また、反応容器17に分注された試料及び第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子23と、この第1撹拌子23を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム24とを備えている。また、試薬ラック14に保持された試薬容器13内の第2試薬を吸引して反応容器17内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ25と、この第2試薬分注プローブ25を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム26とを備えている。
なお、図示はしないが、試薬容器13内の第2試薬の液面を、この第2試薬の液面と第2試薬分注プローブ25下端部との接触により検出する第2試薬液面検出器を備えている。また、試薬容器13に付与される第2試薬の使用期限等の第2試薬情報を読み取る第2試薬リーダを備えている。
また、反応容器17に分注された試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子27と、この第2撹拌子27を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム28とを備えている。また、反応容器17内の混合液を光学的に測定する測定部29と、この測定部29で測定を終了した反応容器17内を洗浄する洗浄ノズル30とを備えている。
そして、測定部29は、反応容器17に光を照射し、反応容器17内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した光を検出する検出信号に基づいて、例えば吸光度や吸光度の変化量で表される標準データや被検データを生成する。そして、生成した標準データや被検データをデータ処理部60に出力する。
図3は、搬送部40の構成の一例を示した平面図である。この搬送部40は、長手方向が分析部10の前後方向に平行になるように分析部10の右方に近接配置された一般レーン41と、長手方向が分析部10の左右方向に平行になるように分析部10の前方に配置された緊急レーン42とを備えている。また、長手方向が分析部10の左右方向に平行になるように分析部10と緊急レーン42の間に配置された分注レーン43と、長手方向が分析部10の前後方向に平行になるように分析部10の左方に配置された回収レーン44とを備えている。
また、搬送部40は、一般レーン41と分注レーン43の間に配置され、試料ラック31に付与された当該試料ラック31を識別するラックID及びこの試料ラック31に保持される試料容器11に付与された当該試料容器11内の試料を識別する試料IDを読み取る第1のリーダ45とを備えている。また、緊急レーン42上に載置された試料ラック31を検出する複数の検出器46を備えている。また、検出器46に検出される試料ラック31に付与されたラックID及びこの試料ラック31に保持される試料容器11に付与された試料IDを読み取る第2のリーダ47を備えている。
一般レーン41上には、一般検査用の試料が収容された試料容器11が試料ラック31に保持された状態で載置される。また、緊急レーン42上には、緊急検査用の試料が収容された試料容器11が試料ラック31に保持された状態で載置される。そして、一般レーン41や緊急レーン42上に載置された試料ラック31は、移動機構部51により分注レーン43上に移動される。分注レーン43上に移動された試料ラック31に保持される試料容器11内の試料は、分析部10のサンプル分注プローブ19により反応容器17に分注される。試料容器11内の試料の分注が終了した試料ラック31は、移動機構部51により分注レーン43上から回収レーン44上に移動される。
第1のリーダ45は例えばバーコードリーダを備えている。そして、一般レーン41上に載置され、移動機構部51により移動される試料ラック31にバーコードで付与されたラックID及び試料ラック31に保持される試料容器11にバーコードで付与された試料IDを読み取って制御部90に出力する。
検出器46は、例えば光学式の近接センサを備えている。そして、移動機構部51により緊急レーン42上の所定の位置に載置された試料ラック31を検出する。また、第2のリーダ47は例えばバーコードリーダを備えている。そして、検出器46により検出され、移動機構部51により移動される試料ラック31にバーコードで付与されたラックID及び試料ラック31に保持される試料容器11にバーコードで付与された試料IDを読み取って制御部90に出力する。
なお、ラックIDが記録されたICタグを当該ラックIDが付与された試料ラック31に配置する。また、試料IDが記録されたICタグを当該試料IDが付与された試料容器11に配置する。そして、試料ラック31に配置されたICタグや試料容器11に配置されICタグからラックIDや試料IDを読み取り可能なICタグリーダを各第1及び第2のリーダ45,47に設けて実施するようにしてもよい。
図1に示した駆動部50はステッピングモータ及びドライバ等を備え、分析部10のサンプルテーブル12を駆動して試料容器11を移動する。また、2つの試薬ラック14をそれぞれ駆動して試薬容器13を回動する。また、反応テーブル18を駆動して反応容器17を回転移動する。また、サンプル分注アーム20、第1試薬分注アーム22、第1撹拌アーム24、第2試薬分注アーム26、及び第2撹拌アーム28をそれぞれ回動駆動及び上下駆動して、サンプル分注プローブ19、第1試薬分注プローブ21、第1撹拌子23、第2試薬分注プローブ25、及び第2撹拌子27を回動及び上下移動する。また、洗浄ノズル30を上下移動する。
また、駆動部50は、試薬ラック14に保持された試薬容器13上方の所定の上停止位置から第1試薬液面検出器により検出される検出位置までの下降に要した例えば駆動パルスから第1試薬分注プローブ14の上停止位置と検出位置間の移動距離を算出する。そして、算出した移動距離に基づいて第1試薬液面検出器に検出された試薬容器13内の第1試薬の残量を算出する。また、試薬ラック14に保持された試薬容器13上方の所定の上停止位置から第2試薬液面検出器により検出される検出位置までの下降に要した例えば駆動パルスから第2試薬分注プローブ25の上停止位置と検出位置間の移動距離を算出する。そして、算出した移動距離に基づいて第1試薬液面検出器に検出された試薬容器13内の第2試薬の残量を算出する。
移動機構部51は、搬送部40の一般レーン41、緊急レーン42、分注レーン43及び回収レーン44上の試料ラック31を移動する第1乃至第5の移動機構52乃至56を備えている。そして、第1の移動機構52は、図3に示すように、一般レーン41上に載置された試料ラック31をスライドさせて矢印L1方向に移動し、投入位置Taで停止させる。
第2の移動機構53は、図3に示すように、一般レーン41上の投入位置Taの試料ラック31を持ちあげて矢印L2方向に第1のリーダ45近傍を経由して移動した後、分注レーン43上の搬入位置Tbへ降ろす。また、図3に示すように、分注レーン43上の搬出位置Tdの試料ラック31を持ちあげてL2方向へ移動した後、回収レーン44上の回収位置Teへ降ろす。また、図3に示すように、緊急レーン42上の緊急位置Tfの試料ラック31を持ちあげて矢印L3方向に移動し、回転位置Tgで矢印R1方向に180度回転移動した後、L2方向に移動して分注レーン43上の搬入位置Tbへ降ろす。
第3の移動機構54は、図3に示すように、分注レーン43上の搬入位置Tbに降ろされた試料ラック31をL2方向に移動し、サンプル分注プローブ19により試料の吸引が可能な分注位置Tcで停止させる。また、試料の分注が終了した試料ラック31をL2方向に移動し、搬出位置Tdで停止させる。
第4の移動機構55は、図3に示すように、緊急レーン42上に載置され、検出器46により検出された試料ラック31をL3方向に第2のリーダ47近傍を経由して移動し、緊急位置Tfで停止させる。また、第5の移動機構56は、図3に示すように、第2の移動機構53により回収レーン44上の回収位置Teに降ろされた試料ラック31をスライドさせて矢印L4方向に移動する。
データ処理部60は、演算部61及びデータ記憶部62を備えている。そして、演算部61は、分析部10の測定部29で生成された標準データ及びこの標準データの標準試料に設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを生成する。また、測定部29で生成された被検データから、この被検データに対応する検査項目の検量データを用いて濃度値や活性値として表される分析データを生成する。そして、各検査項目の検量データには予め有効期間が設定されており、生成したときから有効期間を過ぎた検量データを無効として、分析データの生成に用いることを止める。
データ記憶部62は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部61で生成された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部61で生成された各検査項目の分析データを保存する。
出力部70は、データ処理部60で生成された標準データや分析データを印刷出力する印刷部71及び表示出力する表示部72を備えている。そして、印刷部71は、プリンタなどを備え、検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷出力する。
表示部72は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、検量データや分析データを表示する。また、検査項目毎に反応容器17へ分注させる試料の量、第1試薬の量及び第2試薬の量等の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面を表示する。また、搬送部40の緊急レーン42上に載置され、第2のリーダ47により読み取られた試料IDで識別される試料に設定された検査項目を表示する。また、緊急レーン42上に載置され、第2のリーダ47により読み取られた試料IDで識別される試料に設定可能な検査項目を表示する。
通信部80は、ホストコンピュータ110から送信される試料ID及びこの試料IDで識別される一般検査用の試料に設定された検査項目からなる一般検査情報や、試料ID及びこの試料IDで識別される緊急検査用の試料に設定された検査項目からなる緊急検査情報を受信する。また、搬送部40の緊急レーン42上に載置され、第2のリーダ47により読み取られた試料IDで識別される緊急検査情報を要求する要求情報をホストコンピュータ110に送信する。また、送信した要求情報に対してホストコンピュータ110から返信される緊急検査情報を受信する。
操作部85は、キーボード、マウス、ボタン、出力部70における表示部72のモニタに取り付けられたタッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎に分析パラメータを設定するための入力を行う。また、搬送部40の緊急レーン42上に載置され、第2のリーダ47に読み取られた試料IDで識別される試料に検査項目を設定するための入力を行う。
制御部90は、CPU及び記憶回路を備え、操作部85から入力された各検査項目の分析パラメータや検査項目等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、駆動部50、移動機構部51、データ処理部60、出力部70、通信部80及び検査情報記憶部81を統括してシステム全体を制御する。
そして、制御部90は、搬送部40の第1のリーダ45に読み取られた試料IDで識別される一般検査情報を検査情報記憶部81から読み出す。そして、読み出した一般検査情報に基づいて試料及びこの試料に設定された検査項目の試薬の分注、撹拌及び測定を行わせる。
また、制御部90は、第2のリーダ47に読み取られた試料IDで識別される緊急検査情報を通信部80が受信しているかを確認するために、検査情報記憶部81に保存された検査情報の中から検索する。そして、緊急検査情報を通信部80が受信して検査情報記憶部81に保存されている場合、その緊急検査情報を出力部70の表示部72に表示させる。また、緊急検査情報を通信部80が受信しておらず検査情報記憶部81に保存されていない場合、ホストコンピュータ110から受け取っていないことを通知するメッセージを表示部72に表示させる。
以下、図1乃至図6を参照して、自動分析装置100の動作の一例について説明する。
図4は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。
ホストコンピュータ110は、当日の一般検査情報を自動分析装置100に送信する。自動分析装置100の通信部80は、ホストコンピュータ110から送信された一般検査情報を受信する。検査情報記憶部81は、通信部80が受信した一般検査情報を保存する。そして、一般検査用の試料が収容された試料容器11を保持する例えば複数の試料ラック31が搬送部40の一般レーン41上に載置された後、操作部85から検査開始の入力が行われると、自動分析装置100は、動作を開始する(ステップS1)。
制御部90は、駆動部50、移動機構部51、データ処理部60、出力部70、通信部80及び検査情報記憶部81に検査を指示する。そして、移動機構部51の第1の移動機構52は、一般レーン41上の各試料ラック31を投入位置Taまで移動する。第2の移動機構53は、投入位置Taの試料ラック31を、第1のリーダ45近傍を経由して分注レーン43の搬入位置Tbまで移動する。第1のリーダ45は、近傍を移動している試料ラック31のラックID及び試料ラック31に保持された試料容器11の試料IDを読み取る。第3の移動機構54は、搬入位置Tbの試料ラック31を分注位置Tcまで移動する。
制御部90は、第1のリーダ45に読み取られた試料IDで識別される一般検査情報を検査情報記憶部81から読み出す。サンプル分注プローブ19は、検査情報記憶部81から読み出された一般検査情報に基づいて、試料IDが読み取られた試料容器11内の試料を反応容器17に分注する。第3の移動機構54は、試料の分注が終了した試料ラック31を搬出位置Tdまで移動する。第2の移動機構53は、搬出位置Tdの試料ラック31を回収レーン44上の回収位置Teまで移動する。第5の移動機構56は、回収位置Teの試料ラック31をL4方向へ移動する。
検査が行われているとき、緊急検査用の試料が収容された試料容器11を保持する緊急の試料ラック31が緊急レーン42上の所定の位置に載置されると、検出器46は、所定位置の試料ラック31を検出する(ステップS2)。
第4の移動機構55は、検出器46により検出された試料ラック31を、第2のリーダ47近傍を経由して緊急位置Tfまで移動する。第2のリーダ47は、近傍を移動している緊急の試料ラック31のラックID及びこの試料ラック31に保持された試料容器11の試料IDを読み取る(ステップS3)。
制御部90は、第2のリーダ47に読み取られた試料IDで識別される緊急検査情報によるホストコンピュータ110からの緊急検査依頼の有無を確認する(ステップS4)。
ここでは、第2のリーダ47に読み取られた試料IDで識別される緊急検査情報を検査情報記憶部81に保存された検査情報の中から検索する。そして、第2のリーダ47に読み取られた試料IDで識別される緊急検査情報が検査情報記憶部81に保存されている場合(ステップS5のはい)、ステップS6へ移行する。また、第2のリーダ47に読み取られた試料IDで識別される緊急検査情報が検査情報記憶部81に保存されていない場合(ステップS5のいいえ)、ステップS7へ移行する。
ステップS5の「はい」の後、制御部90は、第2のリーダ47に読み取られた試料IDで識別される緊急検査情報を検査情報記憶部81から読み出して表示部72に表示させる。表示部72は、緊急検査情報を表示する(ステップS6)。
図5は、表示部72に緊急検査情報が表示された画面の一例を示した図である。この画面73は、第2のリーダ47に読み取られたラックID及び試料IDが表示される第1の表示エリア731と、メッセージが表示される第2の表示エリア732とにより構成される。また、第2のリーダ47に読み取られた試料IDの試料に設定された検査項目が表示される第3の表示エリア733と、操作部85からの操作やタッチ操作により入力可能な操作ボタン等が表示される第4の表示エリア734とにより構成される。
第1の表示エリア731には、第2のリーダ47に読み取られた試料ラック31のラックIDを示す「3500」が表示されている。また、試料容器11を保持可能な試料ラック31の5つの第1乃至第5の保持位置を示す「No.1」、「No.2」、「No.3」、「No.4」及び「No.5」が表示されている。また、「No.1」乃至「No.5」のうち、第2のリーダ47に試料IDが読み取られることにより、3個の試料容器11が保持された第1乃至第3の保持位置である「No.1」、「No.2」及び「No.3」が例えば色等で識別表示されている。
また、第1の表示エリア731には、第2のリーダ47に読み取られた3つの試料IDのうち、1個の試料容器11の試料IDを示す「150924」が表示されている。そして、識別表示された「No.1」、「No.2」及び「No.3」のうち、試料IDが表示されている試料容器11が保持された第1の保持位置である「No.1」が「No.2」及び「No.3」とは異なる色で識別表示されている。
第2の表示エリア732には、ホストコンピュータ110から緊急検査の依頼を受けたことを示す例えば「緊急検査の依頼がありました。」等のメッセージが表示されている。
第3の表示エリア733には、自動分析装置100で緊急検査可能なすべての検査項目が表示されている。そして、第3の表示エリア733に表示された検査項目のうち、第1の表示エリア731に表示された試料IDで識別される試料に設定された検査項目を示す「Ca」、「Na」、「K」等が識別表示されている。
ここで、第1の表示エリア731に表示された第2の保持位置を示す「No.2」の位置へタッチ操作することにより入力が行われると、第2の保持位置に保持された試料容器11に付与された試料IDが第1の表示エリア731に表示される。また、第2の保持位置に保持された試料容器11内の試料に設定された検査項目が第3の表示エリア733に識別表示される。
第4の表示エリア734には、第1の表示エリア731に表示された試料IDで識別される緊急検査情報のホストコンピュータ110における管理番号を示す「1234568」が表示されている。また、第1の表示エリア731に表示された試料IDで識別される緊急検査の依頼を受けていない場合にホストコンピュータ110に緊急検査の依頼、即ち緊急検査情報を要求するための操作ボタンである「ホスト確認依頼」が表示されている。
また、第4の表示エリア734には、一般検査を一旦中断させて緊急検査を開始させる操作ボタンである「開始」が表示されている。また、緊急検査を開始させた後、開始させた緊急検査の中止等を行うためのボタンである「キャンセル」が表示されている。
そして、一般検査用の試料の分注が行われているとき、「開始」の操作ボタンにタッチして緊急検査を開始させる入力が行われると、一般レーン41上の試料ラック31の分注レーン43への移動を中断させて、第1の表示エリア731に表示されたラックIDの試料ラック31を分注レーン43に移動させ、その試料ラック31に保持される試料容器11内の試料のうちのホストコンピュータ110から緊急検査の依頼を受けた試料の分注を行わせる。
なお、第4の表示エリア734に「編集」のボタンを追加して、第3の表示エリア733に表示された検査項目の設定の追加や解除等の編集を行うように実施してもよい。そして、編集により設定を解除する検査項目や設定を追加する検査項目がある場合、通信部80から編集した後の検査項目の情報をホストコンピュータ110に送信するようにする。
このように、緊急レーン42上の所定の位置に試料ラック31を置くだけの簡単な作業で、その試料ラック31に保持されている試料容器11内の試料に設定された検査項目を表示部72に表示させることができる。そして、表示部72に表示された操作ボタンにタッチするだけの簡単な操作で、緊急検査を開始させることができる。
図4に示したステップS5の「いいえ」の後、制御部90は、第2のリーダ47に読み取られたラックID及び試料ID、並びにこの試料IDによるホストコンピュータ110からの緊急検査の依頼を受け取っていないことを通知するメッセージを表示部72に表示させる。表示部72は、緊急検査の依頼を受け取っていないことを通知するメッセージを表示する(ステップS7)。
図6は、表示部72に緊急検査の依頼を受け取っていないことを通知するメッセージが表示された画面の一例を示した図である。この画面73aが図5に示した画面73と異なる点は、第2の表示エリア732に緊急検査の依頼を受け取っていないことを通知するメッセージが表示されている点と、第3の表示エリア733に表示された検査項目の中には識別表示された検査項目が含まれていない点と、第4の表示エリア734にホストコンピュータ110の管理番号等が表示されていない点である。
第2の表示エリア732には、例えば「緊急検査の依頼を受けていません。この画面で検査項目を設定することができます。」等のメッセージが表示されている。また、第3の表示エリア733には、画面73の第3の表示エリア733に表示された検査項目と同じ検査項目が選択設定可能に表示されているものの、いずれの検査項目も設定されていないため識別表示されていない。
なお、駆動部50の算出により試薬容器13内の第1試薬又は試薬容器13内の第2試薬の残量が不足する検査項目の設定を不可能とし、その検査項目を識別して表示するようにしてもよい。また、検量データの有効期間を過ぎた検査項目の設定を不可能とし、その検査項目を識別して表示する。
第4の表示エリア734には、第1の表示エリア731に表示された試料IDで識別される緊急検査情報によるホストコンピュータ110からの緊急検査の依頼を受けていないため、管理番号が表示されていない。また、画面73の第4の表示エリア734に表示された「開始」のボタンが「設定」のボタンに置き換えられている。
ここでは、第3の表示エリア733に表示された検査項目のうち、例えばタッチ操作によりタッチして入力された検査項目が識別表示される。そして、識別表示された後、「設定」の操作ボタンにタッチして入力が行われると、識別表示された検査項目が設定される。更に、「キャンセル」の操作ボタンをタッチして入力が行われると、検査項目の設定が解除される。
このように、緊急レーン42上に載置された試料ラック31に保持されている試料容器11内の試料の緊急検査情報を受け取っていないことを通知するメッセージを表示部72に表示させることができる。また、その試料に設定可能な検査項目を表示部72に表示させることができる。また、その試料の緊急検査情報をホストコンピュータ110に要求する操作ボタンを表示部72に表示させることができる。
図4に示したステップS7の後、画面73aの第3の表示エリア733に表示された検査項目の中から所望の検査項目を選択設定するための入力が行われた場合(ステップS8のはい)、制御部90は第2のリーダ47に読み取られた試料ID及び設定入力された検査項目からなる緊急検査情報を検査情報記憶部81に保存する。その後、ステップS6へ移行する。また、画面73aの第4の表示エリア734に表示された「ホスト確認依頼」の操作ボタンにタッチして指定する入力が行われた場合(ステップS8のいいえ)、ステップS9へ移行する。
ステップS8の「いいえ」の後、制御部90は、第2のリーダ47に読み取られた試料IDで識別される緊急検査情報を要求する前記試料IDを含む要求情報を通信部80からホストコンピュータ110に送信させる(ステップS9)。そして、所定時間経過後に、ステップS4に戻る。
ステップS6の後、緊急検査を開始させるために図5に示した画面73の第4の表示エリア734に表示された「開始」の操作ボタンにタッチすることによって操作部85から入力が行われると、制御部90は、一般検査を中断させて緊急検査を指示する。第3の移動機構54は、分注レーン43上の分注位置Tcの一般の試料ラック31に保持された試料容器11内の分注が終了すると、その試料ラック31を搬出位置Tdまで移動する。第2の移動機構53は、緊急位置Tfの試料ラック31を分注レーン43上の搬入位置Tbまで移動した後、搬出位置Tdの試料ラック31を回収位置Teまで移動する。第3の移動機構54は、搬入位置Tbの緊急の試料ラック31を分注位置Tcまで移動する。サンプル分注プローブ19は、検査情報記憶部81から読み出された緊急検査情報に基づいて、第2のリーダ47により試料IDが読み取られた試料容器11内の試料を反応容器17に分注する。
このように、ホストコンピュータ110から緊急検査の依頼を受け取っていない場合、緊急レーン42上に試料ラック31を置くことにより表示部72に画面73aを表示させ、ホストコンピュータ110に緊急検査情報を要求する操作又は検査項目を設定する操作を行った後、「開始」の操作ボタンにタッチするだけの簡単な作業で、緊急検査を開始させることができる。
分注位置Tcの緊急の試料ラック31に保持された試料容器11内の試料の分注が終了すると、緊急の試料ラック31は、回収位置Teまで移動される。また、一般レーン41上の試料ラック31の分注位置Tcへの移動及びこの試料ラック31に保持されたすべての試料容器11内の試料の分注が終了して、分注されたすべての試料に設定された検査項目の分析データが出力部70から出力されると、制御部90が検査終了を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する(ステップS9)。
以上述べた実施形態によれば、緊急レーン42上に試料ラック31を置くだけの簡単な作業により、試料ラック31に保持されている試料容器11内の試料の緊急検査情報をホストコンピュータ110から受け取っている場合にはその試料に設定された検査項目を表示部72に表示させることができる。また、試料ラック31に保持されている試料容器11内の試料の緊急検査情報をホストコンピュータ110から受け取っていない場合には受け取っていないことを通知するメッセージを表示部72に表示させることができる。また、その試料の緊急検査情報をホストコンピュータ110に要求する操作ボタンを表示部72に表示させることができる。また、その試料に設定可能な検査項目を表示部72に表示させることができる。そして、表示部72に表示された操作ボタンにタッチするだけの簡単な作業で、緊急検査を開始させることができる。
以上により、緊急検査の作業を軽減することができる。そして、操作に不慣れな操作者であっても確実に緊急検査を実行させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。