以下、本実施の形態に係る検体処理装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る検体処理装置1の構成を示す図である。検体処理装置1は、検体(血漿)に試薬を添加することで調製された測定試料に光を照射して、凝固法、合成基質法、免疫比濁法および凝集法を用いて、検体の光学的な測定および分析を行う血液凝固分析装置である。検体処理装置1は、検体(血漿)に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを分析するとともに、測定装置2に操作指示を与える情報処理装置3とで構成されている。
測定装置2には、図示の如く、本体カバー29が設けられている。本体カバー29は、回転軸29aを中心として図示のように回動し、これにより、後述する測定ユニット10内が開閉可能となる。
図2は、測定装置2の内部を上方向から見たときの概略構成を示す平面図である。測定装置2は、測定ユニット10と、検出ユニット40と、搬送ユニット50とによって構成されている。
搬送ユニット50には、図示の如く、検体ラックLを載置可能なラックセット領域Aと、搬送領域Bと、搬送領域Bから搬出された検体ラックLを搬送ユニット50の外部に取り出し可能に配置するラック収容領域Cが設けられている。検体ラックLには検体容器Tを複数保持できるよう保持部が形成されており、検体容器Tには測定を行う検体が収容されている。
ラックセット領域Aにセットされた検体ラックLは、ラックセット領域Aに沿って奥方向(Y軸正方向)に搬送され、搬送領域Bの右端(X軸負方向の端)に送り出される。搬送領域Bの右端に位置づけられた検体ラックLは、搬送領域Bに沿って左方向(X軸正方向)に搬送される。
搬送領域Bには、図示の如く、左右(X軸正方向および負方向)に移動可能なバーコードリーダ51が設置されている。バーコードリーダ51は、検体容器Tと検体ラックLにそれぞれ貼付されたバーコードラベルを、搬送領域B上の所定位置にて読み取る。また、搬送領域Bの所定位置には、検体吸引位置52、53が設定されている。
検体吸引位置52、53に検体容器Tが位置づけられると、かかる検体容器Tに収容されている検体は、それぞれ、後述する検体分注ユニット21、22によって吸引される。検体ラックLに保持されている検体容器Tの検体が全て吸引されると、かかる検体ラックLは、搬送領域Bの左端まで搬送される。
なお、本実施の形態の検体処理装置1は、“標準測定”と“微量測定”の2種類の測定モードが選択可能に構成されている。検体容器Tの検体は、標準測定時には検体吸引位置52において検体分注ユニット21により吸引され、微量測定時には検体吸引位置53において検体分注ユニット22により吸引される。
搬送領域Bの左端に位置づけられた検体ラックLは、ラック収容領域Cに沿って手前方向(Y軸負方向)に移動され、かかる検体ラックLの搬送動作が終了する。搬送ユニット50の搬送動作は、ラックセット領域Aにセットされた全ての検体ラックLに対して連続して行われる。
検体分注ユニット21は、支持部21aと、支持部21aに支持されたアーム21bと、アーム21bの先端に取り付けられたピペット21cを備えている。支持部21aは、下面裏側に配されたステッピングモータ211a(図7参照)により回転駆動され、アーム21bは、ステッピングモータ211aにより上下方向(Z軸正方向および負方向)に駆動される。ピペット21cが用いられることにより検体が吸引され吐出される。支持部21aが回転駆動されると、ピペット21cが支持部21aを中心とした円周上を移動する。
検体分注ユニット22も、検体分注ユニット21と同様の構成となっている。すなわち、検体分注ユニット22は、支持部22aと、アーム22bと、アーム22bの先端に取り付けられたピペット22cを備えている。支持部22aは、下面裏側に配されたステッピングモータ211b(図7参照)により回転駆動され、アーム22bは、ステッピングモータ211bにより上下方向に駆動される。ピペット22cが用いられることにより、検体が吸引され吐出される。
検体吸引時、検体分注ユニット21、22は、まず、支持部21a、22aを回動させ、ピペット21c、22cを検体吸引位置52、53上に位置づける。しかる後、アーム21b、22bが下方向に駆動され、ピペット21c、22cが検体容器T内に挿入される。その後、吸引が完了すると、アーム21b、22bが上方向に駆動され、ピペット21c、22cが検体容器Tから抜き出される。
検体吸引位置52、53にて吸引された検体は、直接またはキュベットテーブル15上のキュベットを経由して、キュベット搬送器31上のキュベットに収容される。その際、適宜、希釈液搬送器32にセットされた希釈液が検体分注ユニット22により吸引され、キュベットに混和される。その後、キュベット搬送器31が右方向(X軸負方向)に駆動され、キュベットがキャッチャユニット26の前に搬送される。続いて、キャッチャユニット26により、キュベット搬送器31にセットされたキュベットが把持され、加温テーブル16にセットされる。その後、キュベットは、キャッチャユニット27、28により搬送され、検出ユニット40にセットされる。その際、試薬分注ユニット23、24、25により、適宜、試薬テーブル11、12に保持された試薬がキュベットに注入される。その後、検出ユニット40による処理が行われ、キュベット中の測定試料に含まれる成分を反映した光学的情報が検出される。
キュベット供給ユニット33は、投入された複数のキュベットを、キュベット貯留部33aに順次供給することが可能に構成されている。キュベット貯留部33aに供給された新しいキュベットは、キャッチャユニット26、27により、それぞれ、キュベットテーブル15とキュベット搬送器31の保持孔にセットされる。また、分析が終了し不要となったキュベットは、キャッチャユニット27、28により、それぞれ、廃棄口34、35に廃棄される。なお、検体分注ユニット21、22と試薬分注ユニット23〜25のピペットは、所定の洗浄位置(図示せず)で洗浄される。洗浄に用いられた洗浄液は、廃液タンク(図示せず)に収容される。
試薬テーブル11、12には、それぞれ、容器ラック13、14が載置されている。この容器ラック13、14には、複数の試薬容器が保持されており、かかる試薬容器に試薬が収容されている。試薬容器に収容されている試薬の交換などを行う場合には、測定ユニット10の測定動作が中断された後、図1に示す本体カバー29が開放される。これにより、操作者は、試薬テーブル11、12から試薬容器を取り出して、試薬の交換などを行うことができる。
図3は、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。同図(a)は、検体容器Tの外観を示す斜視図であり、同図(b)、(c)は、検体ラックLの正面図である。なお、同図(b)、(c)は、検体ラックLが搬送ユニット50にセットされたとき、検体ラックLを図2のY軸負方向に見たときの正面図である。
図3(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。バーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。
同図(b)を参照して、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で並べて保持することが可能となるよう10個の保持部が形成されている。保持部には、右から1〜10の保持位置の番号が割り当てられている。また、検体ラックLのY軸正方向の側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。バーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
また、同図(b)に示す如く、検体ラックLの底面には、下方に開放された凹部Laが、検体ラックLの長手方向に沿って保持部と同数の10個形成されている。各凹部Laは、各凹部Laの左右に配された璧部Lbによって区画されている。
なお、検体ラックLは、同図(c)のように構成されても良い。この場合の検体ラックLの底面には、凹部Lcが1個形成されている。
図4(a)は、搬送ユニット50の構成を示す平面図である。
ラックセット領域Aには、載置された検体ラックLをY軸正方向に搬送するラック送込機構A1が設けられている。ラック送込機構A1は、ラックセット領域Aに載置された検体ラックLの手前(Y軸負方向)の側面を押してY軸正方向に搬送し、かかる検体ラックLを搬送領域Bに送り込むよう構成されている。また、ラックセット領域Aに複数の検体ラックLが載置されている場合も、図示の如く、最も手前(Y軸負方向)の検体ラックLの手前側面を押して、最も奥(Y軸正方向)の検体ラックLを搬送領域Bに送り込む。
また、ラックセット領域Aには、図示の如く、ラックセット領域AのY軸正方向の端とY軸負方向の端に一対のセンサA2が設けられている。センサA2は、透過型のフォトセンサ等からなる。センサA2は、ラックセット領域Aに検体ラックLが存在すると遮光状態となり、検体ラックLが存在しないと透過状態となるように構成されている。
搬送領域Bには、検体ラックLの底面を支持する搬送路B1と、2つのラック横送り機構B2が設けられている。2つのラック横送り機構B2は、搬送路B1の下方に配置されており、搬送路B1上に配置された2つの検体ラックLを左右(X軸正方向および負方向)に独立して移動させる。なお、ラック横送り機構B2の構成については、追って、図4(b)と図5を参照して説明する。
ここで、搬送領域Bに送り込まれた検体ラックLは、検体吸引位置52、53に搬送される前に、バーコードリーダ51により、検体容器TのバーコードラベルBL1と検体ラックLのバーコードラベルBL2の読み取り(以下、「先読み」という)が行われる。バーコードリーダ51による先読みは、図示の如く、検体ラックLが搬送領域B上の“先読み位置”の範囲にあるときに行われる。
また、搬送領域Bには、図2で示したように、検体吸引位置52、53が設定されている。先読み位置で先読みが行われた検体ラックLは、検体吸引位置52または53の位置に、検体ラックLに保持されている検体容器Tが位置づけられるよう、左方向(X軸正方向)に搬送される。検体吸引位置52または53に位置づけられた検体容器TのバーコードラベルBL1は、バーコードリーダ51による読み取り(以下、「後読み」という)が行われた後、検体の吸引が行われる。
なお、検体分注ユニット21、22により検体の吸引が行われているときに、後述の第1中断原因が発生すると、検体ラックLは“搬送中断位置”まで移動されて、停止される。
また、搬送領域Bには、図示の如く、センサB51〜B55が設置されている。センサB51〜55は、反射型のフォトセンサ等からなる。センサB51は、搬送領域Bの右端(X軸負方向の端)に位置づけられた検体ラックLを検出するように構成されている。センサB52は、検体ラックLが先読み位置内に搬送されたことを検出するように構成されている。センサB53、B54は、それぞれ、検体吸引位置52、53に検体ラックLが位置づけられたことを検出するように構成されている。センサB55は、検体ラックLが搬送中断位置に搬送されたことを検出するように構成されている。
ラック収容領域Cには、載置された検体ラックLをY軸負方向へ搬送するラック送出機構C1が設けられている。ラック送出機構C1は、搬送領域Bの左端(X軸正方向の端)に配置された検体ラックLを、Y軸負方向に1ピッチ分(検体ラックLの短手方向の幅分)移動させ、検体ラックLを搬送領域Bからラック収容領域Cへ送り出すように構成されている。
また、ラック収容領域Cには、図示の如く、検体ラックLの有無を検出するセンサC2が設けられている。センサC2は、反射型のフォトセンサ等からなり、ラック収容領域Cの搬送終端位置(Y軸負方向の端)まで送り出された検体ラックLを検出するように構成されている。
同図(b)は、ラック横送り機構B2の構成を示す平面図である。2つのラック横送り機構B2は、Y軸方向に並べて配置されている。ラック横送り機構B2は、検体ラックLに対して係合可能な係合ユニットB3と、係合ユニットB3を左右(X軸正方向および負方向)に移動させる移動機構B4を備えている。
移動機構B4は、搬送領域Bの両端部に配置された一対のプーリB41と、プーリB41に掛け渡されたベルトB42と、一方のプーリB41を回転させるステッピングモータB43と、ステッピングモータB43の回転数を検出するロータリーエンコーダB44とを備えている。
係合ユニットB3は、移動機構B4のベルトB42に連結され、ステッピングモータB43が駆動されると、左右に移動するように構成されている。係合ユニットB3の移動量は、ステッピングモータB43の回転数としてロータリーエンコーダB44によって検出される。ステッピングモータB43は、ロータリーエンコーダB44の検出結果に基づいて動作制御される。また、係合ユニットB3の移動始点位置と移動終点位置とが、係合ユニットB3の駆動範囲内の右端(X軸負方向の端)と左端(X軸正方向の端)とに、それぞれ設定されている。さらに、移動始点位置と移動終点位置に配置された係合ユニットB3を検出する透過型のフォトセンサ等からなるセンサB56、B57が配置されている。
図5は、係合ユニットB3の要部を示す概略図である。同図(a)は、係合ユニットB3が検体ラックLに係合していない状態を示す係合ユニットB3の正面図であり、同図(b)は、係合ユニットB3の側面図であり、同図(c)、(d)は、係合ユニットB3が、検体ラックLに係合している状態を示す係合ユニットB3の正面図である。
同図(a)を参照して、係合ユニットB3は、基体B31と、一対の係合部材B32と、作用部材B33とを備えている。また、係合ユニットB3は、作用部材B33を昇降させるための図示しないエアシリンダB34(図7参照)を備えている。
基体B31には、ガイド部材(図示せず)が取り付けられており、かかるガイド部材が、搬送路B1の下方においてX軸方向に沿って配置されたガイドレール(図示せず)に摺動自在に係合している。このガイドレールにより、基体B31はX軸正方向および負方向に移動自在に支持されている。
一対の係合部材B32は、図示の如く、ボルトおよびナットからなる取付具B31aによって、Y軸回りに回動自在となるよう基体B31の上部に取り付けられている。係合部材B32の上部には、係合爪B32aが形成されており、下端には、係合ローラB32bが設けられている。基体B31には、係合部材B32が取付具B31aを中心として回動するときの係合ローラB32bの回動ラインに沿って、係合ローラB32bの回動範囲を規制するための規制孔(図示せず)が形成されている。係合ローラB32bは、この規制孔に移動可能に係合されている。これにより、係合部材B32は、取付具B31aを中心としてY軸回りに所定範囲に限り回動可能となっている。
作用部材B33の上部には、一対の係合ローラB32bが係合する左右方向に長い矩形状の係合孔B33aが形成されている。作用部材B33がZ軸方向に駆動されると、係合孔B33aに係合された係合ローラB32bを介して、一対の係合部材B32が取付具B31aを中心としてY軸周りに回動する。同図(a)に示す如く、一対の係合部材B32が下方向(Z軸負方向)に回動している状態では、係合爪B32aは、搬送路B1より下方に位置しており、検体ラックLには係合しない。
エアシリンダB34には図示しないコンプレッサから圧縮空気が供給される。また、エアシリンダB34は、圧縮空気の供給によって上下方向に昇降運動するロッドを備えている。エアシリンダB34のロッドの上端には、作用部材B33が固定されている。エアシリンダB34のロッドが上下に昇降すると、作用部材B33が共に上下に昇降し、これに伴い一対の係合部材B32が上下に回動する。
同図(b)を参照して、上記の如く、係合部材B32の回動により、係合爪B32aが、図示の如く、搬送路B1に形成された溝を通って搬送路B1上に突出する状態と突出しない状態が切り替えられる。
同図(c)を参照して、係合部材B32が上方向(Z軸正方向)に回動すると、係合爪B32aが搬送路B1上に突出すると共に、検体ラックLの底部に形成された凹部Laに進入し、一対の係合爪32aが互いに離反する。これにより、係合爪32aは、図示の如く、凹部LaにおけるX軸正方向および負方向の両側の璧部Lbに当接する。こうして、一対の係合部材B32が検体ラックLに係合し、検体ラックLが搬送可能な状態となる。
なお、同図(d)を参照して、図3(c)に示した検体ラックLが用いられる場合も、係合爪B32aが搬送路B1上に突出すると共に、検体ラックLの底部に形成された凹部Lcに侵入し、一対の係合爪32aが互いに離反する。この場合、係合爪B32aは、図示の如く、凹部Lcに形成された凸状の璧部に係合する。これにより、図3(b)に示した検体ラックLと同様、図3(c)に示した検体ラックLも搬送可能な状態となる。
このような係合ユニットB3が、搬送路B1の下方に、図4(b)に示す如く、Y軸方向に向かい合うように配置されている。これにより、搬送領域Bにおいて、2つの検体ラックLが独立して駆動される。
このようにラック横送り機構B2が構成されると、検体ラックLの底面の凹部Laが係合爪B32aにより支持されながら、検体ラックLが搬送路B1上を搬送されることとなる。また、後述の第1中断原因が発生すると、検体ラックLは搬送領域B上で停止されるが、この場合も、検体ラックLの底面の凹部Laが係合爪B32aにより支持された状態が維持される。さらに、検体ラックLが停止される場合、ステッピングモータB43に励磁がかけ続けられる。これにより、検体ラックLの位置ずれが抑制される。
図6は、搬送ユニット50の斜視図である。
搬送領域Bの中央付近の上部(Z軸正方向)には、屋根54が設置されている。屋根54の右端(X軸負方向の端)部分と、屋根54の左端(X軸正方向の端)には、図示の如く、それぞれ、鍔部54a、54bが設けられている。また、屋根54には、図示の如く、開口54c、54dが形成されている。検体分注ユニット21、22は、それぞれ、開口54c、54dを介して、検体吸引位置52、53に位置づけられた検体容器Tの検体を吸引する。また、搬送領域Bの手前(Y軸負方向)には、図示の如く、前面カバー55が取り外し可能に設置されている。これにより、搬送領域Bの中央付近は、屋根54および前面カバー55からなる蓋部によって覆われた状態になっている。
このように搬送ユニット50が構成されると、搬送領域B内にある検体ラックLと検体容器Tは、開口54a、54bの領域を除き、上側が塞がれた状態になっている。これにより、搬送領域B内にある検体容器Tに上方から異物が混入されることや、操作者が検体ラックLと検体容器Tに接触することが抑制される。また、このように搬送ユニット50が構成されると、操作者が、搬送領域Bの中央付近(屋根54および前面カバー55により覆われた領域)にある検体ラックLと検体容器Tに触れることができなくなる。これにより、操作者が検体ラックLと検体容器Tに接触することが抑制される。
なお、図4で示した先読み位置は、屋根54および前面カバー55に覆われた範囲内にある。すなわち、検体ラックLが先読み位置に位置づけられると、検体ラックLは、屋根54および前面カバー55内に完全に収容されることとなる。また、図4で示した搬送中断位置も、屋根54および前面カバー55に覆われた範囲内にある。すなわち、検体ラックLの検体が吸引されるときに、検体ラックLの左端が前面カバー55からはみ出している場合でも、後述の第1中断原因が発生すると、検体ラックLは、屋根54および前面カバー55内にある搬送中断位置に位置づけられる。これにより、測定動作中断中に、操作者が検体ラックLと検体容器Tに接触することが、さらに抑制される。
図7は、測定装置2の回路構成を示す図である。
測定装置2は、制御部200と、バーコードリーダ51と、分注ユニットステッピングモータ部211と、分注ユニットロータリーエンコーダ部212と、モータ駆動回路213と、ラック横送り機構ステッピングモータ部221と、ラック横送り機構ロータリーエンコーダ部222と、モータ駆動回路223と、エアシリンダB34と、温度検出部231と、試薬残量検出部232と、液量検出部233と、キュベット貯留量検出部234と、ラック検出部235と、センサ部236と、測定ユニット駆動部237を含んでいる。
また、制御部200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、ハードディスク204と、通信インターフェース205と、I/Oインターフェース206を有する。
CPU201は、ROM202に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM203にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM203は、ROM202およびハードディスク204に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM203は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU201の作業領域としても利用される。ハードディスク204には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU201に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、通信インターフェース205により、情報処理装置3に対してデータの送受信が可能となる。
また、CPU201は、I/Oインターフェース206を介して、バーコードリーダ51と、分注ユニットロータリーエンコーダ部212と、モータ駆動回路213と、ラック横送り機構ロータリーエンコーダ部222と、モータ駆動回路223と、エアシリンダB34と、温度検出部231と、試薬残量検出部232と、液量検出部233と、キュベット貯留量検出部234と、ラック検出部235と、センサ部236と、測定ユニット駆動部237とに接続されている。
分注ユニットステッピングモータ部211は、検体分注ユニット21の支持部21a、検体分注ユニット22の支持部22aをそれぞれ独立して回転駆動させるステッピングモータ211a、211bで構成されている。分注ユニットロータリーエンコーダ部212は、検体分注ユニット21、22のそれぞれのステッピングモータ211a、211bに配されたロータリーエンコーダ212a、212bで構成されている。モータ駆動回路213は、CPU201の制御により、分注ユニットステッピングモータ部211に含まれるステッピングモータ211a、211bを駆動させる。
ラック横送り機構ステッピングモータ部221は、2つのラック横送り機構B2のステッピングモータB43で構成されている。ラック横送り機構ロータリーエンコーダ部222は、2つのラック横送り機構B2のロータリーエンコーダB44で構成されている。モータ駆動回路223は、CPU201の制御により、ラック横送り機構ステッピングモータ部221に含まれる2つのステッピングモータB43を独立して駆動させる。
なお、分注ユニットロータリーエンコーダ部212とラック横送り機構ロータリーエンコーダ部222を構成する各ロータリーエンコーダには、インクリメンタル方式のものが用いられている。このロータリーエンコーダは、ステッピングモータの回転変位量に応じたパルス信号を出力するように構成されており、ロータリーエンコーダから出力されたパルス数をカウントすることで、ステッピングモータの回転量を検出することができる。
温度検出部231は、温度センサを備え、加温テーブル16の温度を検出する。試薬残量検出部232は、液面検知センサを備え、試薬テーブル11、12に配置された試薬容器内の試薬の残量を検出する。液量検出部233は、複数の液面検知センサを備え、検体分注ユニット21、22と試薬分注ユニット23〜25の洗浄に用いられる洗浄液が収容されている洗浄液タンクの残量を検出し、廃棄された洗浄液を収容する廃液タンクの廃液量を検出する。キュベット貯留量検出部234は、キュベット貯留量センサを備え、キュベット供給ユニット33に収容されているキュベットの残量を検出する。ラック検出部235は、搬送ユニット50に設置されているセンサA2、B51〜B57、C2で構成されている。センサ部236は、本体カバー29が開放されていることを検出するフォトセンサ、空圧源からの圧力を計測する圧力センサなどを含んでいる。測定ユニット駆動部237は、検体分注ユニット21、22と試薬分注ユニット23〜25の分注動作が行われるよう、これら分注ユニットに圧力を供給する空圧源と、各テーブル(試薬テーブル11、12、キュベットテーブル15、加温テーブル16)を駆動させる駆動部を含んでいる。
図8は、情報処理装置3の回路構成を示す図である。
情報処理装置3は、パーソナルコンピュータからなっており、本体300と、入力部310と、表示部320から構成されている。本体300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、読み出し装置305と、入出力インターフェース306と、画像出力インターフェース307と、通信インターフェース308を有する。
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302およびハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。
ハードディスク304には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。すなわち、ハードディスク304には、測定装置2の試薬状態を受信し、試薬の残量などをメッセージとして表示部320上に表示等を行う表示プログラムや、試薬の交換または追加の操作指示に従って測定装置2を操作するための操作プログラムがインストールされている。
読出装置305は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース306には、マウスやキーボードからなる入力部310が接続されており、操作者が入力部310を使用することにより、情報処理装置3にデータが入力される。画像出力インターフェース307は、ディスプレイ等で構成された表示部320に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部320に出力する。表示部320は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース308により、測定装置2に対してデータの送受信が可能となる。
図9は、情報処理装置3の表示部320に表示される試薬情報画面の例示図である。試薬情報画面には、配置表示領域410と、詳細情報表示領域420と、操作指示表示領域430と、操作決定表示領域440が含まれている。
配置表示領域410には、試薬テーブル11、12に配置されている容器ラック13、14の位置と、これら容器ラックに収容されている試薬容器の配置状態が表示される。
配置表示領域410中の試薬マーク411または412が選択されると、選択された選択マーク位置に保持されている試薬容器の内容物に関する詳細情報が詳細情報表示領域420に表示される。
操作指示表示領域430は、検体ラック排出ボタン431を含む複数の指示種別ボタンを有している。操作者により、指示種別ボタンが押下されると、指示種別ボタンに該当する操作が実行される。
測定指示表示領域440は、測定中断ボタン441と測定開始ボタン442を有している。操作者により、測定中断ボタン441が押下されると、測定中断処理が行われる。また、測定中断時に、操作者により、測定開始ボタン442が押下されると、測定再開処理が行われる。なお、測定開始ボタン442は、実行可能である場合に有効表示されており、実行不可能である場合に測定開始ボタン442が押下されると、実行不可能である旨が操作者に通知されるよう画面上にメッセージが表示される。
次に、検体処理装置の処理動作について説明する。以下の処理動作は、測定装置2と情報処理装置3との間でデータ通信を行いながら、情報処理装置3の制御のもとで行われる。
図10は、本実施の形態に係る検体吸引処理の処理フローを示す図である。なお、以下に示す処理フローにおいて、検体ラックLの搬送位置は、ラック横送り機構ロータリーエンコーダ部222からの出力と、ラック検出部235からの出力をもとに、把握されている。
本実施の形態では、操作者が情報処理装置3を介して測定開始を指示することにより、測定装置2の測定が開始される。測定装置2のCPU201は、情報処理装置3から測定開始信号を受信すると(S1:YES)、検体ラックLをラックセット領域Aから先読み位置に搬送する(S2)。先読み位置では、検体ラックLのバーコードラベルBL2と、この検体ラックLに保持されている検体容器TのバーコードラベルBL1が、バーコードリーダ51により先読みされる(S3)。
先読み位置でのバーコードの読み取りが終了した検体ラックLは、検体吸引位置52または53に搬送される(S4)。検体吸引位置52または53に検体容器Tが位置づけられると、検体容器TのバーコードラベルBL1が、バーコードリーダ51により後読みされる(S5)。続いて、バーコードの読み取りが行われた検体容器Tの検体は、検体吸引位置52または53で、検体分注ユニット21または22により吸引される(S6)。
検体ラックLに保持されている全ての検体容器Tの検体が吸引されると(S7:YES)、検体ラックLはラック収容領域Cに送り出され(S8)、この検体ラックLについての検体吸引処理が終了する。検体ラックLに保持されている全ての検体容器Tの検体が吸引されていないと(S7:NO)、この検体ラックLに保持されている検体容器Tの検体が全て吸引されるまで、S4〜S6が繰り返される。
なお、検体ラックLが検体吸引位置52または53に位置づけられたとき、後行の検体ラックLがあるときは、後行の検体ラックLについて、S2以降の動作が開始される。この場合、先行の検体ラックLについて後読みが優先的に行われながら、後行の検体ラックLについても先読みが行われるよう、バーコードリーダ51が適宜X軸正方向および負方向に移動される。
図11は、測定装置2と情報処理装置3で行われる搬送動作の中断・再開処理の処理フローを示す図である。
本実施の形態では、操作者が図9に示した測定中断ボタン441を押下することによって中断指示信号が情報処理装置3から測定装置2に送信されると、検体ラックLの搬送動作が中断される。また、測定装置2の状態が所定の自動中断条件に当てはまる場合、すなわち、キュベット貯留量検出部234の検出結果に基づきCPU201がキュベットの不足が生じていると判定した場合、液量検出部233の検出結果に基づきCPU201が廃液タンクが一杯であると判定した場合、液量検出部233の検出結果に基づきCPU201が洗浄液の不足が生じていると判定した場合、試薬残量検出部232の検出結果に基づきCPU201が試薬の不足が生じていると判定した場合、ラック検出部235のセンサC2の検出結果に基づきCPU201がラック収容領域Cに検体ラックLが一杯になっていると判定した場合にも検体ラックLの搬送動作が中断される。このような搬送動作が中断される原因、すなわち、情報処理装置3を介して操作者が送信した中断指示信号を測定装置2が受信したこと、及び、測定装置2が上記自動中断条件に当てはまることを、以下、「第1中断原因」と称することにする。
図11(a)を参照して、情報処理装置3のCPU301は、測定装置2の状態が上記自動中断条件に当てはまることを示す信号(自動中断信号)を受信すると(S11:YES)、測定が中断された旨の表示を情報処理装置3の表示部320に表示させる(S14)。また、情報処理装置3のCPU301は、操作者により測定中断ボタン441が押されると(S12:YES)、中断指示信号を測定装置2に送信する(S13)。その後、CPU301は、測定が中断された旨の表示を情報処理装置3の表示部320に表示させる(S14)。
図12は、情報処理装置3の表示部320に表示される測定中断メッセージの例示図であり、“自動復帰されますので、しばらくお待ち下さい。”と表示されている。なお、表示メッセージは、この他、“検体ラックを移動させる必要はありません。測定が再開されると、検体ラックの搬送は自動的に復帰されます。”等でも良い。これにより、操作者は、検体ラックLをラックセット領域Aにセットし直す必要がないことが分かる。
図11(b)を参照して、測定装置2のCPU201は、測定装置2の状態が上記自動中断条件に当てはまると判定すると(S21:YES)、自動中断信号を情報処理装置3に送信し(S22)、“検体ラック停止処理”により検体ラックLを停止させる(S23)。また、測定装置2のCPU201は、情報処理装置3から中断指示信号を受信すると(S24:YES)、“検体ラック停止処理”により検体ラックLを停止させる(S23)。なお、“検体ラック停止処理”については、追って図17を参照して説明する。
図11(a)を参照して、操作者が、情報処理装置3を介して測定装置2による測定が再開されるよう指示すると(S15:YES)、情報処理装置3のCPU301は、測定再開指示信号を測定装置2に送信し(S16)、処理を終了する。
図11(b)を参照して、測定装置2のCPU201は、情報処理装置3から測定再開指示信号を受信すると(S25:YES)、“搬送再開処理”により検体ラックLの搬送を再開させ(S26)、処理を終了する。なお、“搬送再開処理”については、追って図18を参照して説明する。
なお、検体ラックが停止された後、検体ラックLの搬送が再開されるまでの間に、検体ラックLの位置がずれる惧れがある場合には、この間に検体ラックLの位置ずれが生じていないか判定されるようにしても良い。
図13は、この変更例による、測定装置2のCPU201による検体ラックLの搬送の中断・再開処理の処理フローを示す図である。以下、図11(a)の処理フローと異なる処理ステップについてのみ説明する。
S31では、“検体ラック停止処理”によって停止された検体ラックLの搬送領域B上での位置が記憶される。すなわち、この検体ラックLを搬送するラック横送り機構B2のロータリーエンコーダB44から検出される回転量が、情報処理装置3のRAM303またはハードディスク304に記憶される。
測定再開指示がされると(S25:YES)、現在のラック横送り機構B2のロータリーエンコーダB44の回転量が検出され(S32)、S31で記憶された回転量が読み出される(S33)。これら2つの回転量の値が比較され、ラック横送り機構B2の位置が変化していると判定されると(S34:YES)、ラック横送り機構B2の位置が、S31で記憶された回転量に基づき戻される(S35)。
こうすると、万一ラック横送り機構B2の位置が、検体ラックLの停止直後から変化した場合でも、“搬送再開処理”により検体ラックLの搬送が再開される前に、適正な位置に位置づけられるため、検体ラックLの搬送が円滑に再開され得る。
図14は、先行ラックと後行ラックの搬送制御リストを示す図である。同図(a)、(b)は、それぞれ、先行ラックと後行ラックの搬送制御リストを示す図である。なお、先行ラックとは、搬送領域Bにおいて搬送されている2つの検体ラックLのうち、下流(X軸正方向)に位置する検体ラックLのことであり、後行ラックとは、搬送領域Bにおいて搬送されている2つの検体ラックLのうち、上流(X軸負方向)に位置する検体ラックLのことである。
搬送制御リストの項目には、同図(a)、(b)に示す如く、ラック位置、保持位置、検体バーコード読取状況、測定モード、吸引状況などが含まれる。搬送制御リストは、測定装置2のRAM203またはハードディスク204に記憶されている。この搬送制御リストによって、先読み後の検体ラックLの搬送動作が制御される。
なお、搬送制御リスト中の“測定モード”の項目は、先読み位置で読み取られた検体ラックLのバーコードラベルBL2の情報をもとに、後述するジョブリストから取得される。ジョブリストは、各検体の測定モードを含む測定オーダ情報、測定状況情報、測定結果などを保持しており、測定が行われる新たな検体容器Tのジョブリストへの登録(以下、「オーダ登録」という)が行われる場合や、測定が開始された場合や、測定結果が得られた場合などに更新される。なお、図15に示すように、ジョブリストには、ラック番号と検体容器Tの保持位置(ラック番号−位置)に対応づけて、測定モードが保持されている。先読み位置で検体ラックLのバーコードラベルBL2が読み取られると、読み取られたバーコードラベルBL2に対応するラック番号の各保持位置に対応づけられた測定モードが、ジョブリストから、後行ラックの“測定モード”の項目に転記される。なお、搬送制御リスト中の“吸引状況”の項目は、図10のS6で検体の吸引が行われることによって、「未完了」から「完了」に更新される。
図14(a)を参照して、“ラック位置”の項目から、先行ラックが検体吸引位置52に位置づけられていることが分かる。また、“検体バーコード読取状況”の項目から、全ての保持位置についてのバーコードリーダ51による先読みが完了していることが分かる。また、“測定モード”の項目から、保持位置1〜4、7〜10の検体容器Tについては標準測定が行われ、保持位置5、6の検体容器Tについては微量測定が行われることが分かる。また、“吸引状況”の項目から、保持位置1〜5の検体容器Tについては、検体の吸引が完了しており、保持位置6〜10の検体容器Tについては、検体の吸引は完了していないことが分かる。
同図(b)を参照して、“ラック位置”の項目から、後行ラックが先読み位置に位置づけられていることが分かる。また、“検体バーコード読取状況”の項目から、保持位置1〜5についてはバーコードリーダ51による先読みが完了しており、保持位置6〜10についてはバーコードリーダ51による先読みが完了していないことが分かる。また、“測定モード”の項目から、後行ラックの保持位置1〜3、6、9の検体容器Tについては標準測定が行われ、保持位置4、5、7、8、10の検体容器Tについては微量測定が行われることが分かる。また、“吸引状況”の項目から、全ての保持位置について吸引が完了していないことが分かる。
先行ラックがラック収容領域Cに搬送され、先読み位置に位置づけられていた後行ラックが検体吸引位置52または53に位置づけられると、先行ラックの搬送制御リストに後行ラックの搬送制御リストが上書きされ、後行ラックの搬送制御リストが初期化される。また、先読み位置に新たな検体ラックLが位置づけられると、この検体ラックLについて、後行ラックの搬送制御リストが作成される。
図15は、ジョブリストを示す図である。
図示の如く、ジョブリストには、オーダ登録された検体容器Tについての測定状況、測定オーダ情報、測定結果などが保持されている。なお、ジョブリストは、情報処理装置3のハードディスク304に記憶されている。
ジョブリストの項目には、状態、ラック番号−位置、検体番号、測定モード、日付、時刻、PT%(測定結果)などが含まれる。“状態”の項目には、検体に対する測定状況が書き込まれる。オーダ登録されたのみで検体の測定が開始されていなければ、“状態”の項目は“Pending”となり、後述のように、検体ラックLが排出されると“Error”となり、検体に対する測定が終了すると“状態”の項目がブランクとなる。“ラック番号−位置”の項目は、検体ラックLを識別するための番号と、検体容器Tの保持位置を示す。各ラック番号には、検体ラックLのバーコードラベルBL2に関する情報が対応づけられている。“検体番号”の項目は、検体容器Tを識別するための番号を示す。各“検体番号”には、検体容器TのバーコードラベルBL1に関する情報が対応づけられている。“日付”と“時刻”の項目は、検体が測定装置2に取り込まれた日時を示す。“PT%”の項目には、測定が正常に終了すると測定結果が書き込まれ、測定が正常に終了していないと“****.*”(マスク)が書き込まれる。なお、“PT%”とは測定項目の一種であり、ジョブリストには、この他にも測定項目が含まれている。
図16は、ジョブリストに基づいて情報処理装置3の表示部320に表示されるジョブリスト画面の例示図である。ジョブリスト画面には、図9で示した測定指示表示領域440に加えて、ジョブリストの内容を表示するジョブリスト表示部501と、横スクロールボタン部502と、縦スクロールボタン部503が含まれている。
横スクロールボタン部502のボタンが押下されると、ジョブリスト表示部501には、現在表示されている項目の左右に存在する他の項目が表示される。縦スクロールボタン部503のボタンが押下されると、現在表示されているジョブ内容の上下に存在する他のジョブ内容が表示される。
図17は、図11(b)に示す中断・再開処理における“検体ラック停止処理”の処理フローを示す図である。
第1中断原因の発生時に、検体ラックLの全ての検体容器Tついて検体の吸引が終了し、ラック収容領域Cに向けて搬送中の検体ラックLがあるとき(S101:YES)、かかる検体ラックLは、ラック収容領域Cまで搬送される(S102)。
検体吸引位置52または53において、検体の吸引が行われている検体ラックLがあるとき(S103:YES)、検体分注ユニット21または22のアームが上昇される。検体分注ユニット21または22のアームの上昇が完了すると(S104:YES)、検体ラックLは、図4で示した搬送中断位置に移動され、その位置で停止される(S105)。なお、検体ラックLが搬送中断位置に移動されたことはセンサB55により検出することができる。
また、検体吸引位置52または53において、検体の吸引が行われている検体ラックLがない場合(S103:NO)、先読み位置と、検体吸引位置52または53との間に検体ラックLがあると(S106:YES)、かかる検体ラックLは、搬送中断位置に移動され、その位置で停止される(S107)。すなわち、検体ラックLの先読みが終了して、検体吸引位置52または53に向けて搬送中の検体ラックLは、搬送中断位置に位置づけられる。
先読み位置に先読み中の検体ラックLがあるとき(S108:YES)、現在先読みが行われている検体容器Tまたは検体ラックLのバーコード読み取りが完了するまで待機される。先読み中の検体容器Tまたは検体ラックLのバーコード読み取りが完了すると(S109:YES)、検体ラックLはその位置で停止される(S110)。
また、先読み位置に先読み中の検体ラックLがない場合(S108:NO)、ラックセット領域Aにおいてラック送込機構A1により送り込み中の検体ラックL、または搬送領域Bにおいて先読み位置まで搬送中の検体ラックLがあると(S111:YES)、かかる検体ラックLは、先読み位置まで搬送されて、先読み位置で停止される(S112)。なお、検体ラックLが先読み位置に搬送されたことはセンサB52により検出することができる。このようにして、“検体ラック停止処理”が終了する。
なお、S105、S107、S110、S112において検体ラックLが停止された後、搬送動作が再開されるまでの間は、図5で示したラック横送り機構B2の係合爪B32aが、検体ラックLに係合した状態に維持される。また、かかる停止期間中は、検体ラックLの位置ずれが抑制されるよう、ステッピングモータB43に励磁がかけ続けられる。これにより、不具合なく検体ラックLの搬送動作を再開させることが可能となる。
図18は、図11(b)に示す中断・再開処理における“搬送再開処理”の処理フローを示す図である。
S201では、搬送領域Bの搬送路B1上に停止中の検体ラックがあるかが判定される。搬送路B1上に停止中の検体ラックがあると(S201:YES)、搬送中断位置に検体ラックLがあるかが判定される(S202)。搬送路B1上に停止中の検体ラックがないと(S201:NO)、処理フローが終了する。
搬送中断位置に検体ラックLがあると(S202:YES)、かかる検体ラックLに検体の吸引が未完了の検体容器Tがあるかが判定される(S203)。搬送中断位置に検体ラックLがないと(S202:NO)、S206に処理が進められる。
検体ラックLに検体の吸引が未完了の検体容器Tがあると(S203:YES)、搬送制御リストが参照されることにより、吸引が未完了である検体容器Tの保持位置に応じて、且つ、かかる検体容器Tの検体が標準測定されるか微量測定されるかに基づき、検体ラックLが検体吸引位置52または53に移動される(S204)。検体ラックLに検体の吸引が未完了の検体容器Tがないと(S203:NO)、かかる検体ラックLは、ラック収容領域Cに送り出される(S205)。このように、S204では、既に吸引が完了した検体容器Tについては吸引を行わず、吸引が未完了の検体容器Tに対してのみ吸引が行われる。
先読み位置に検体ラックLがあると(S206:YES)、バーコードリーダ51によるバーコードの読み取りが未完了の検体容器Tがあるかが判定される(S207)。先読み位置に検体ラックLがないと(S206:NO)、処理フローが終了する。
バーコードリーダ51によるバーコードの読み取りが未完了の検体容器Tがあると(S207:YES)、搬送制御リストが参照されることにより、バーコードの読み取りが未完了である検体容器Tのバーコード読み取りが行われる。なお、検体ラックLの読み取りが未完了である場合も、検体ラックLのバーコード読み取りが行われる。かかる読み取り作業が完了した後、検体吸引位置52または53に向けて搬送される(S208)。バーコードリーダ51によるバーコードの読み取りが未完了の検体容器Tがないと(S207:NO)、検体吸引位置52または53に向けて検体ラックLが搬送される(S209)。このように、S208では、既に読み取りが完了したバーコードラベルについては読み取りを行わず、読み取りが未完了のバーコードラベルに対してのみ読み取りが行われる。
以上のようにして、“搬送再開処理”が終了する。
図19(a)は、測定装置2と情報処理装置3で行われる検体ラックLの排出処理の処理フローを示す図である。
本実施の形態では、操作者が図9に示した検体ラック排出ボタン431を押下することによって排出指示信号が情報処理装置3から測定装置2に送信されると、搬送中の検体ラックLがラック収容領域Cに排出される。また、測定装置2の状態が所定の自動排出条件に当てはまる場合、すなわち、分注ユニットロータリーエンコーダ部212の検出結果に基づきCPU201が検体分注ユニット21、22や試薬分注ユニット23〜25の動作異常が生じていると判定した場合、センサ部236のフォトセンサの検出結果に基づきCPU201が本体カバー29が開いていると判定した場合、センサ部236の圧力センサの計測結果に基づきCPU201が測定ユニット駆動部237の空圧源からの圧力供給異常が生じていると判定した場合、CPU201が各テーブル(試薬テーブル11、12、キュベットテーブル15、加温テーブル16)の動作異常が生じていると判定した場合、温度検出部231の検出結果に基づきCPU201が加温テーブル16の温度異常が生じていると判定した場合には、搬送中の検体ラックLがラック収容領域Cに排出される。このような検体ラックLがラック収容領域Cに排出される原因、すなわち、情報処理装置3を介して操作者が送信した排出指示信号を測定装置2が受信したこと、及び、測定装置2が上記自動排出条件に当てはまることを、以下、「第2中断原因」と称することにする。
図19(a)を参照して、情報処理装置3のCPU301は、測定装置2の状態が上記自動排出条件に当てはまることを示す信号(自動排出信号)を受信すると(S41:YES)、検体ラックLが排出される旨の表示を情報処理装置3の表示部320に表示させる(S44)。また、情報処理装置3のCPU301は、操作者により検体ラック排出ボタン431が押されると(S42:YES)、排出指示信号を測定装置2に送信する(S43)。その後、CPU301は、検体ラックLが排出される旨の表示を情報処理装置3の表示部320に表示させ(S44)、処理を終了する。
図20は、情報処理装置3の表示部320に表示される検体ラックLが排出される旨を示すメッセージの例示図であり、“検体ラックが強制排出されました。”と表示されている。なお、表示メッセージは、この他、“中断原因が発生しましたので、測定動作を中断し、ラック収容領域にラックが排出されます。”等でも良い。これにより、操作者は、検体ラックLがラック収容領域Cに排出されることが分かる。
図19(b)を参照して、測定装置2のCPU201は、測定装置2の状態が上記自動排出条件に当てはまることを検出すると(S51:YES)、自動排出信号を情報処理装置3に送信し(S52)、“検体ラック排出処理”により検体ラックLを排出する(S53)。また、測定装置2のCPU201は、情報処理装置3から排出指示信号を受信すると(S54:YES)、“検体ラック排出処理”により検体ラックLを排出する(S53)。なお、“検体ラック排出処理”については、図21を参照して説明する。
図21は、図19(b)に示す排出処理における“検体ラック排出処理”の処理フローを示す図である。
S301では、検体容器Tの検体の吸引が終了し、搬送領域Bからラック収容領域Cに送り出し中の検体ラックLがあるかが判定される。かかる検体ラックLがあると判定されると(S301:YES)、この検体ラックLはラック収容領域Cに搬出される(S302)。かかる検体ラックLがないと判定されると(S301:NO)、S303に処理が進められる。
S303では、検体吸引位置52または53において、検体の吸引が行われている検体ラックLがあるかが判定される。かかる検体ラックLがあると判定されると(S303:YES)、検体分注ユニット21または22のアームが上昇される(S304)。検体分注ユニット21または22のアームの上昇が完了すると(S304:YES)、検体の吸引が行われていた検体ラックLが、搬送領域Bに沿って左方向(X軸正方向)に搬送され、ラック収容領域Cに搬出される(S305)。また、吸引中の検体ラックLがないと判定されると(S303:NO)、S306に処理が進められる。
S306では、先読みが終了した後、先読み位置と、検体吸引位置52または53の間に位置づけられた検体ラックLがあるかが判定される。かかる検体ラックLがあると判定されると(S306:YES)、かかる検体ラックLが、搬送領域Bに沿って左(X軸正方向)に搬送され、ラック収容領域Cに搬出される(S307)。また、先読み位置と、検体吸引位置52または53の間に検体ラックがないと判定されると(S306:NO)、S308に処理が進められる。
S308では、先読み中の検体ラックLがあるかが判定される。先読み中の検体ラックLがあると判定されると(S308:YES)、先読み中の検体ラックが、先読み動作が終了する前に搬送領域Bに沿って左方向に搬送され、ラック収容領域Cに送り出される(S309)。また、先読み中の検体ラックLがないと判定されると(S308:NO)、S310に処理が進められる。
S310では、搬送領域B上を先読み位置に向けて搬送されている検体ラックLがあるかが判定される。かかる検体ラックLがあると判定されると(S310:YES)、かかる検体ラックLは、バーコードの読み取り、および、検体の吸引が行われることなく、ラック収容領域Cに搬出される(S311)。かかる検体ラックLがないと判定されると(S310:NO)、S312に処理が進められる。なお、ラックセット領域Aから搬送領域Bの右端に検体ラックLが送り込まれてから当該検体ラックLが先読み位置に向けて搬送開始されるまでの状態の場合も、S310において、YESと判定される。
S312では、ラックセット領域A上を搬送領域Bの右端に向けて送り込み中の検体ラックLがあるかが判定される。かかる検体ラックLがあると判定されると(S312:YES)、かかる検体ラックLは、その位置で停止され(S313)、“検体ラック排出処理”が終了する。また、かかる検体ラックLがないと判定されると(S312:NO)、“検体ラック排出処理”が終了する。
以上の処理により強制排出された検体ラックLに保持された検体容器Tのうち、検体の吸引が行われた検体容器Tについては、図15で示したジョブリストの“状態”の項目が、Pendingからブランクに書き替えられる。また、先読みは行われたが検体の吸引が行われずに強制排出された検体容器Tについては、図15で示したジョブリストの“状態”の項目はErrorとなり、測定項目がマスクとされる。
図22は、情報処理装置3の表示部320に表示される検体ラックLの排出画面を示す図である。
この表示画面は、上記第2中断原因により、図20に示す表示がなされた後、同図中のOKボタンが操作されたときに表示される。図22に示す如く、この表示画面には、ラック収容領域C上における吸引未完了ラックの位置を示すイメージ図と、吸引未完了ラックの位置を説明する説明文Eが表示される。同図には、上記排出処理にて排出された検体ラックLが2つである場合が示されている。排出処理にて排出された検体ラックLが一つであれば、イメージ図中に吸引未完了ラックが一つだけ表示され、説明文Eは、吸引未完了ラックが一つだけであることを示す内容に変更される。なお、排出処理にて排出された検体ラックLが一つであるか、2つであるかは、ラック横送り機構ロータリーエンコーダ部222からの出力と、ラック検出部235からの出力をもとに判別される。
この表示画面により、操作者は、上記第2中断原因が生じて検体ラックLがラック収容領域Cに搬出されたときに、全ての検体容器Tについて検体の吸引が完了してラック収容領域Cに搬出された検体ラックLと区別して、全ての検体容器Tについて検体の吸引が完了していない検体ラックLがどの位置にあるかを直観的に知ることができる。また、上記第2中断原因が生じた後、どの検体ラックLがラックセット領域Aに戻されて再度測定が行われる必要があるかが容易に分かる。
図19(c)は、ジョブリスト表示処理の処理フローを示す図である。
操作者が、情報処理装置3を介してジョブリストの表示を指示すると(S61:YES)、情報処理装置3の表示部320にジョブリストを示す画面(図16参照)が表示される(S32)。
以上、本実施の形態によれば、上記第2中断原因が生じると、図21に示した“検体ラック排出処理”に従って検体ラックLがラック収容領域Cに排出される。これにより、図6に示したように搬送領域Bの一部が前面カバー55により覆われている場合でも、操作者は、搬送領域Bに位置づけられていた検体ラックLをラック収容領域Cから、容易に取り出すことできる。
なお、本実施の形態に係る検体処理装置1は、測定ユニット10の各機構部の異常が検出された場合には上記の“検体ラック排出処理”を行い、さらに、搬送ユニット50の異常が検出された場合には、搬送領域B上の検体ラックLをラック収容領域Cに排出させず、異常が検出された時点の位置に検体ラックLを停止させる処理を行うよう構成されている。具体的には、図23(b)を参照して、測定装置2のCPU201は、ラック横送り機構B2のロータリーエンコーダB44やセンサB51〜57の検出結果に基づいて、ラック横送り機構B2の動作異常が生じていると判定すると(S81:YES)、搬送異常信号を情報処理装置3に送信し(S82)、さらに、係合ユニットB3の係合部材B32を下方向に移動させて、検体ラックLに対する係合ユニットB3の係合を解除する(S83)。その後、CPU201は、搬送ユニット50による検体ラックLの搬送を停止させる(S84)。同図(a)を参照して、情報処理装置3のCPU301は、測定装置1より搬送異常信号を受信すると(S71)、搬送異常によって検体ラックLが停止されたことを、表示部320に表示させる(S72)。
このように、本実施の形態では搬送ユニット50の異常が検出された場合には、検体ラックLは排出されず、その時点での位置に停止される。これにより、操作者は、搬送ユニット50の異常が生じた時点での検体ラックLの位置を確認することができ、異常の原因がどの機構にあったのかを追求することができる。また、搬送ユニット50の異常が検出されると、係合ユニットB3の係合部材B32が下方向に移動されるため、操作者は、前面カバー55を取り外すことで、搬送領域Bから検体ラックLを取り出すことができる。これにより、異常が生じている状態で搬送ユニット50を作動させることによる故障の発生を防ぐことができる。
また、本実施の形態によれば、検体の吸引中に上記第2中断原因が生じると、検体分注ユニット21、22のピペットが検体容器Tから抜き出された後に、検体ラックLがラック収容領域Cに搬送されるため、検体ラックLが搬送中断位置に移動される際に、検体分注ユニット21、22のピペットと検体容器Tおよび検体ラックLとの接触が回避される。
また、本実施の形態によれば、先読み動作中に上記第2中断原因が生じると、先読み動作が終了する前に、先読み対象となっていた検体ラックLがラック搬送領域Cに搬送される。これにより、より迅速に検体ラックLがラック収容領域Cに搬送され得る。
また、図10に示したように、情報処理装置3が測定開始信号を受信した後に、検体ラックLがラックセット領域Aから搬送領域Bに向けて搬送される。このため、測定開始信号が受信されていないときに、上記第2中断原因が生じても、検体ラックLはラック収容領域Aに停止されたままとなる。
また、本実施の形態によれば、上記第2中断原因が生じて検体ラックLがラック収容領域Cに搬出された場合に、図22に示す排出画面が表示されるため、ラック搬送領域Cに位置する検体ラックLのうち、全ての検体容器Tについて検体の吸引が完了してラック搬送領域Cに搬出された検体ラックLと、全ての検体容器Tについて検体の吸引が完了していない検体ラックLとが識別可能となる。
なお、本実施の形態では、図22に示す排出画面によって、検体の吸引が完了せずに強制排出された検体ラックLを表示するようにしたが、図16に示すジョブリスト画面において、検体の吸引が完了せずに強制排出された検体ラックLを表示するようにしても良い。強制排出された検体ラックLが1つであれば、この検体ラックLは、ラック収容領域C内の最奥位置にあり、強制排出された検体ラックLが2つであれば、これらは、ラック収容領域C内の最奥位置と、最奥から一つ手前の位置にある。よって、たとえば、図16に示すジョブリスト画面上において、直前の排出処理により強制排出された検体ラックLの“ラック番号−位置”の欄を赤色で塗りつぶすことにより、操作者は、強制排出された検体ラックLの個数を知ることができ、最奥から何番目までの検体ラックLが直前の排出処理により強制排出されたかを知ることができる。ただし、この場合、検体ラックLのバーコードが先読みされる前に検体ラックLが強制排出されると、強制排出された検体ラックLが情報処理装置3において識別されないため、その検体ラックLが強制排出されたことがジョブリスト画面に反映され得ない。かかる不都合を回避するために、検体ラックLのバーコードが先読みされる前に第2中断原因が生じた場合には、検体ラックLを、ラック収容領域Cに排出せずに、搬送領域Bの右端位置に戻すようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態ついて説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態では、検体処理装置1を血液凝固分析装置としたが、これに限定されるものではない。検体処理装置1は、例えば、血清を測定する免疫分析装置、全血中の血球を計数する血球計数装置、尿を測定する尿分析装置、又は骨髄液を分析する分析装置とすることもできる。
また、上記実施の形態では、検体処理部として、検体の測定を行う測定ユニット10が用いられたが、検体処理部は、検体をスライドガラスに塗沫して塗沫標本を作製する塗沫標本作製ユニットであっても良い。
また、上記実施の形態では、搬送領域Bが前面カバー55に覆われることによって、搬送領域B上の検体ラックLへの接触が抑制されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、格子状の部材を搬送領域Bの上方領域に設けるによって搬送領域B上の検体ラックLへの接触を抑制してもよく、搬送領域B上の検体ラックLへの接触を抑制できる部材であれば何が設けられてもよい。
また、上記実施の形態では、搬送領域Bには同時に2つ以下の検体ラックLが搬送されるようにしたが、これに限らず、同時に3つ以上の検体ラックLが搬送されるようにしても良い。この場合、同時に3つ以上の検体ラックLが搬送されている時に、上記第2中断原因が生じると、これらの検体ラックLが、図21に示した“検体ラック排出処理”に従って、適宜排出される。
また、上記実施の形態では、図10に示したように、測定動作が開始されると、検体ラックLの全ての検体容器Tの検体が吸引されるようにしたが、既に測定が完了している検体容器Tについては、検体の吸引を行わないようにしても良い。
図23は、この場合の検体吸引処理の処理フローを示す図である。なお、図10と同じ処理ステップについては、便宜上、説明を省略する。
S9では、ジョブリストに基づいて、後読みが行われた検体容器Tの検体の測定が完了しているかが判定される。ここで、測定が完了しているか否かは、図15に示すジョブリストの“状態”の項目がブランクになっているかに基づいて行われる。検体の測定が完了していないと判定されると(S9:NO)、検体の吸引が行われる(S6)。検体の測定が完了していると判定されると(S9:YES)、S7に処理が進められる。
こうすると、検体の測定が完了している検体容器Tを保持する検体ラックLがラックセット領域Aにセットされ、測定動作が開始された場合でも、測定が既に完了している検体容器Tについて、再度吸引が行われないため、効率的に測定動作が行われ得る。
また、上記実施の形態では、上記第2中断原因が生じると、搬送ユニット50から検体ラックLを取り出し可能な領域であるラック収容領域Cに搬送領域B上の検体ラックLが搬出されるようにしたが、搬送ユニット50から検体ラックLを取り出し可能な領域に検体ラックLを搬出すればよく、搬送領域Bからラックセット領域Aに検体ラックLが搬出されるようにしても良い。この場合、搬送領域Bの右端(X軸負方向の端)に位置づけられた検体ラックLを、Y軸負方向に移動させるラック送出機構が設置される。また、上記第2中断原因が生じると、搬送領域Bの中央付近(屋根54および前面カバー55により覆われた領域)にある検体ラックLを、検体ラックLを取り出し可能な領域である、前面カバー55から外れた搬送領域B(搬送領域Bの右端位置および左端位置)に搬出してもよい。
また、上記実施の形態では、ラックセット領域Aから搬送領域Bの右端に検体ラックLが送り込まれてから当該検体ラックLが先読み位置に向けて搬送開始されるまでの間に第2中断原因が生じると、当該検体ラックLはラック収容領域Cに搬送されたが、この場合に、検体ラックLをラック収容領域Cに搬送せずに、搬送領域Bの右端に停止させるようにしても良い。こうすると、第2中断原因が解消した後に、当該検体ラックLをラックセット領域Aに戻す必要がなく、操作者の手間を省くことができる。
さらに、上記実施の形態では、上記第2中断原因が生じると、ラック収容領域Cに検体ラックLが搬出されるようにしたが、上記第1中断原因が生じた場合にも、ラック収容領域Cに検体ラックLが搬出されるようにしても良い。
また、第2中断原因に係る自動排出条件は、上記に例示したものに限らず、上記に例示したもの以外にも、機構部に動作異常が生じていることに関する条件を含めることができる。
また、上記実施の形態では、測定装置2のCPU201が測定ユニット10の各機構部の動作異常の判定および搬送ユニット50の動作異常の判定を行っているが、本発明はこれに限らず、情報処理装置3のCPU301が上記判定を行ってもよいし、他のCPUが上記判定を行ってもよい。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。