JP2018080160A - 高い相対密度を有する多層の歯科用ジルコニアブランク - Google Patents

高い相対密度を有する多層の歯科用ジルコニアブランク Download PDF

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Abstract

【課題】CAD/CAMを用いて、歯科用修復物を作製する為の高い相対密度を有する多層の歯科用ジルコニアブランクに関する。歯科分野においてCAD/CAMシステムによる切削加工に用いられるジルコニアセラミックスからなり、セミシンタージルコニアブランク(予備焼結体)が高い相対密度を有し、切削加工後に短時間で焼結させることができ、かつ焼結後に審美性の高い補綴装置を提供できる歯科切削用ジルコニアブランクを提供する。【解決手段】安定化材としてイットリアおよび又は酸化エルビウムを4〜15mol%含むジルコニア粉末から構成される1以上の層を有する予備焼結されたセミシンターの歯科切削用ジルコニアブランクの密度を予備焼結密度とし、下記計算式における相対密度が下記の関係を満足することを特徴とする歯科切削用ジルコニアブランクである。54≦相対密度(%)={(予備焼結密度)/(完全焼結密度)}×100≦70【選択図】なし

Description

本発明は、歯科分野においてCAD/CAMシステムによる切削加工に用いられるジルコニアセラミックスからなり、セミシンタージルコニアブランク(予備焼結体)が高い相対密度を有し、切削加工後に短時間で焼結させることができ、かつ焼結後に審美性の高い補綴装置を提供できる歯科切削用ジルコニアブランクに関する。
従来から、歯冠欠損部の歯科治療においては一般に鋳造クラウンブリッジや義歯による補綴修復が行われてきており、具体的には陶材焼付用の鋳造用合金で作製した金属フレーム表面に陶材を焼付けて、歯冠形態を再現させた機能性と審美性を兼備した陶材焼付クラウン・ブリッジの臨床応用が挙げられる。
また、金属アレルギー発症を懸念する心配なく、貴金属の相場に左右される価格高騰の観点や天然歯の色調に模倣することができる審美性の観点から、アルミナ、アルミノシリケートガラス、二ケイ酸リチウムガラス等を用いたディッピング法やセラミックスインゴットを用いたプレス法などで作製された補綴装置、いわゆるオールセラミックスが注目されてきており、それを用いた補綴修復も増加してきている。
近年、歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工により補綴装置を製造する技術が急速に普及し、ジルコニア、アルミナ、アルミノシリケートガラス、二ケイ酸リチウムガラスで製造されたブロックやディスクなどのブランクを削り出して、容易に補綴装置を製造することが可能となってきている。また高強度セラミックスとして臨床で多用されているジルコニアの切削性を向上させるために、口腔内で利用する補綴装置に施される完全焼結まで行わず、低い焼成温度で仮焼して切削加工に有利な強度や硬さに調整したジルコニア予備焼結体がある。この予備焼結体は完全焼結体に比較して下記式からなる相対密度を低く設定する。これは切削加工するときの加工用ツールの磨耗や耐久性を考慮したものである。

相対密度(%)=(予備焼結密度)/(完全焼結密度)×100
このような材料としては、ジルコニアは4ユニット以上のブリッジのフレームに用いられる曲げ強さを有するという点から、3mol%イットリア含有の正方晶部分安定化ジルコニアが実用化されている。3mol%イットリア含有ジルコニアには、焼結性の向上と低温劣化の抑制のためアルミナを微量添加させたジルコニアがある。また、臼歯フルクラウンに使用できるよう光透過性を高めるために、アルミナ含有量を極微量に制御したジルコニアの使用も進んでいる。更に安定化剤として添加しているイットリアの含有量を5%〜6mol%に増量させて、前歯のフルクラウンにも使用できるように光透過性を高く設計したジルコニアも使用されてきている。
ジルコニアには白色の色調を有するジルコニアと、天然歯の色調に近い色に調整された着色ジルコニアがある。天然歯の色調は歯のエナメルにあたる切端部から歯頸部に向かって色が濃く変化しており、彩度C*が増加している。そのため、天然歯の切端部と歯頸部の色調に近くなるよう、切端部のエナメル色と歯頸部色に対応した色調が異なるジルコニア粉末を段階的に層状に重ね合わせて、色のグラデーションをつけた多層構造からなる歯科切削用ジルコニアブランクを成形する技術も用いられている。
多層構造からなる歯科切削加工用セラミックスブランクは、色調、光透過性等が異なる層が様々な厚みで重ね合わさっているのが特徴である。
ただし、審美性の高いジルコニアブランクを焼成する場合、焼結助剤であるアルミナを減量させていることから焼結性が悪く、焼結に時間がかかるという問題があった。一般的には昇温、係留、冷却の全ての工程において12時間程度の時間がかかり、歯科技工士にとっては非常に時間のかかる作業であった。
ジルコニアブランクは、一般的には電気炉にて焼結する。この場合、300℃/時以下の速度で昇温し、2時間程度の係留を行った後に、炉内で徐冷を行う。一方、短時間で焼結する方法としてはマイクロ波、熱プラズマ、高周波などを利用して短時間で焼結する方法がある。しかし、歯科用ジルコニアの高速焼結は適合性が悪くなり、発色性に劣るという問題があった。特に多層構造の歯科用ジルコニアブランクの場合、高速焼結を行った場合、焼結不良、発色不良が発生するという問題があった。
特表平4−505113 WO 2002/09612 特開2004−35332 特表2011−528597 特開2012−130798 特開2014−218389 WO 2015/051095 WO 2013/062889 WO 2011016325
特許文献1には、複数の湾曲した層構造を有するブロック体を提供し、この材料を切削加工することで歯冠の形状に作製する方法が記載されている。該技術では、層の構造を天然歯の形態に模倣させること、層の色調を歯頸部色やエナメル色に模倣させることなどが述べられている。しかし、該技術の実用化には、湾曲した層構造をブロック体に付与する高度な製造技術が必要となり、またコストがかかる。
特許文献2には、複数の層構造を有するブロック技術が記載されている。各層の色調を歯頸部色やエナメル色に模倣させること、層の構造を湾曲させることを特徴とする。該技術のブロック体から切削加工された補綴装置は、天然歯の層構造に近似する。しかし、該技術の各層の色調設計に関する技術記載は、歯頸部色やエナメル色の模倣のみに留まっている。湾曲した層構造の設計においては、実用性を考慮してパターン化された曲面による層構造を想定している。ただし、このパターン化された層構造ゆえに、天然歯の色調再現にはある程度の多層(4層〜5層)が要求され、薄い色調から濃い色調を段階的に積層させるだけでなく、各層の更なる色調の規定が必要である。
特許文献3には、2種類以上の異なる色調を持つ素材を混合して作製するセラミックスブロック技術が記載されている。具体的には複数の層構造を有するセラミックスブロックであり、2種類以上の異なる色調の素材を混合することにより中間色を作製し、中間色の色調を変化させつつ層構造にしていくことが特徴となっている。しかし、該技術は層の色調の関係が適切ではなく、天然歯と同等の色調再現を実現させるには、中間色の色調の指定が必要である。
特許文献4には、色調の異なる2成分からなる成形部材が記載されている。具体的には、歯頸部色成分層及びエナメル色成分層からなり、その各成分層間の界面形状が放物線状として詳細に規定されている。このように界面形状を放物線状に規定することで、切削加工された補綴装置に天然歯牙に近似した歯頸部色、エナメル色構造を付与することが可能となる。該技術の実用化には、放物線形状を有した金型・鋳型を用いる方法が挙げられている。しかし、これには、第1の層、第2の層を順に成形していく必要があるため使用可能な素材が限定されること、また成形上均一なプレス圧力がかかりにくいなど技術的な課題が多くなることが考えられる。また、該文献では3層以上の層構造に関する知見はない。
特許文献5には、層構造を有する複数色の成形体について記載されている。該技術では、異なる色を持つ2つの主要層の間に、2つの異なる色の中間層を有し、これら中間層の色の変化が主要層の色の変化の方向とは反対方向であり、且つ中間層の厚みが0.2mm〜0.4mmと薄い層であることにより、成形体全体の色の変化が移行的に見えることを特徴としている。これは、観察するヒトの色覚的錯視を利用し、層構造全体における色の変化を連続的に知覚させているものである。しかし、歯冠捕綴装置の製作における限られた厚みの成形体において、中間層の厚みが0.2mm〜0.4mmと薄い層を多数付与することは、製造技術の面で難度が高くなり、また製造コスト面においても不利である。また、エナメル層と歯頸部層、そして中間層の色調の明度及び彩度の規定はされておらず、天然歯に近似した色調を得るための具体的な提示はされていない。
特許文献6は、ジルコニア焼結体の色調に関する技術を開示する。具体的には、焼結体中の2点の色調をそれぞれ規定し、またその2点間の色調変化の増減傾向が変化しないことを特徴としている。しかし、該技術は一端と他端の表層から25%の位置の色調を規定し、中間層は45%、55%の位置の色調を規定しているものである。しかし、より天然歯に近い補綴装置を得るためには、さらなる適切な位置に適切な色調を有する技術が求められていた。特に、臼歯の歯冠形状においては小窩裂溝の部分にエナメル色より彩度の高い色調が求められており、各層の色の位置関係を規定することが求められていた。
特許文献7には、2層構造又は3層構造よりなる切削加工用ブランクが記載されている。具体的には、層間の境界面の曲線設計を詳細に規定することで、層間の色調の変化を移行的に表現する技術である。該技術における各層の色調設計においては、各層の透明性、色調の関係性が考慮されている。しかし、各層の透明性、色調の設計に関して、概念が述べられているのみで、明確な設定はなされていない。すなわち、各層間の透明性の差や色調差についての設計は、全く考慮されていない。これは、該技術が各層間の色調の移行性を境界面の曲線設計により解決しているためである。また該技術においても、層構造が曲面となるため、製造上の技術面及びコスト面で様々な制約が生じる。
特許文献8には、セリア安定化ジルコニアに関する高い相対密度のジルコニアブランクが開示されている。しかし、セリア安定化ジルコニアは硬度及び強度が不足するという問題があった。また、多層構造にすることは明示されていない。
特許文献9にはジルコニアブランクを高速焼結する方法が開示されている。この方法によると相対密度が92%以上であり、なおかつイットリアの量が7〜30mol%が好適であると記載されている。この方法では高い透明性を発現できるものの強度が弱く、また相対密度92%以上では歯科用CAD/CAM加工装置では加工しにくいという問題があった。
前述した先行技術は、いずれもCAD/CAMシステムで切削加工されるジルコニアの相対密度を高めるもの及び色調及び層構造に関するものである。これら先行技術では、高速焼結における適合性及び多層構造におけるエナメル層の適切な厚みの設定と中間層の位置関係及び色調設計の技術内容が不十分であったため、天然歯に近い色調を有する歯科補綴装置を短時間で製造することができなかった。そのため、従来より天然歯に近い色調を有する歯科補綴装置を短時間で製造できる歯科切削用ジルコニアブランクが求められていた。
特に多層構造のジルコニアにおいては、多層であるため、色調が異なる層ごとに求められる焼結性が異なる場合がある。例えばエナメル層に必要な予備焼結性とサービカル層に必要な予備焼結性が異なるため、均一に焼結することが困難であるという問題があった。
歯科で審美的な補綴物を得るには、臼歯の歯冠においては、口腔内を外部から観察した場合に、視覚に入る咬合面の色調再現が求められていた。咬合面の中でも、小窩裂溝部はエナメル色より彩度C*が高い色調が必要であり、中間層のブランク全体における適切な位置関係と適切な色調設計をされた歯科切削用ジルコニアブランクが求められていた。
また前歯の歯冠では、エナメル部の色調が切端よりとなり、歯冠の1/3付近の色調はエナメル色と歯頸部色のほぼ中間の色調であることが望まれている。しかしながら、上記の先行技術では、歯科用切削加工用セラミックスブランクにおけるエナメル層の適切な厚みの設定と中間層の位置関係及び色調設計について提示されておらず、天然歯に近似した色調を再現することができていない。そのため、天然歯に近似した色調を再現するために、適切なエナメル層と中間層の層構造及び色調設計が規定された歯科切削用ジルコニアブランクが求められていた。
また、従来の予備焼結されたセミシンタージルコニアでは、高速焼結する場合、急激な温度上昇による焼結不足及び十分な発色が得られないなどの問題を抱えていた。また、急速な冷却を行った場合、補綴装置の割れ、クラックが発生するという問題を抱えていた。
本発明は、安定化材としてイットリアおよび又は酸化エルビウムを4〜15mol%含むジルコニア粉末から構成される1以上の層を有し、予備焼結後に切削加工が行なわれ、切削加工後に口腔内で使用できる状態まで完全焼結させる歯科切削用ジルコニアブランクであって、
予備焼結された歯科切削用ジルコニアブランクの密度を予備焼結密度とし、
歯科切削用ジルコニアブランクを完全焼結した口腔内で使用する密度を完全焼結密度としたとき
下記計算式における相対密度が下記の関係を満足することを特徴とする歯科切削用ジルコニアブランクを提供する。
54 ≦ 相対密度(%)={(予備焼結密度)/(完全焼結密度)}×100 ≦ 70
本発明の歯科切削用ジルコニアブランクは、相対密度が55〜65%であることが好ましく、より好ましくは56〜60%である。
本発明の歯科切削用ジルコニアブランクは、色調の異なる多層構造からなることが好ましい。
本発明の多層構造を有する歯科切削用ジルコニアブランクは
歯科切削用ジルコニアブランクの上下表層に彩度が最も低いE層と彩度が最も高いC層がそれぞれ配置され、且つそれら2層の中間にM層が位置する少なくとも3層以上、好ましくは4層以上の層構造からなる歯科切削用ジルコニアブランクであって、それぞれの層における明度及び彩度が以下の関係を満足することが好ましい。
E層の彩度をC、明度をLとし、
C層の彩度をC、明度をLとし、
M層の彩度をC、明度をLとし、
{(L+L)/2}×0.97<L<{(L+L)/2}×1.03
{(C+C)/2}×0.93<C<{(C+C)/2}×1.07
>C>C
本発明において彩度とは、測色器により得られたL値、a値、b値より下記式により計算されたものであり、明度とは、L値のことである。
エナメル層の測色値とL、a、bとしたとき
彩度 CE=√(a^2+b^2 )
で表記できる。
本発明の多層の歯科切削用ジルコニアブランクは、E層のL表色系による色度をそれぞれL,a,bとしたとき、L,a,bが以下の関係を満足することが好ましい。
65.0≦L≦82.0
−4.0≦a≦2.0
0.0≦b≦20.0
本発明の多層の歯科切削用ジルコニアブランクは、E層の外側表層からC層の外側表層までの寸法を100%とした時、E層はE層の外側表層から15〜30%までの範囲にあり、かつ、M層はE層の外側表層から15%を超える位置から、40%以下までの範囲にあることが好ましい。
本発明の多層の歯科切削用ジルコニアブランクは、M層がE層と隣接していることが好ましい。
本発明の歯科切削用ジルコニアブランクは、E層及びC層のビッカース硬さが1kgfの荷重において80以上であることが好ましい。
本発明は、前記の歯科切削用ジルコニアブランクをCAD/CAMシステムにより切削加工して作製された被切削加工物を50℃/分以上の高速焼結にて昇温させ、焼結させた歯科用補綴装置を提供する。
本発明の効果は、従来より天然歯に近い色調を有する歯科補綴装置を短時間で製造できる歯科切削用ジルコニアブランクを提供できることである。
特に、高速で焼結させた場合、エナメル層及びサービカル層ともに通常の焼結条件と同様の焼結性が得られ、発色性が得られる歯科切削用ジルコニアブランクを提供できるものである。
次に、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。
まず、本発明で算出されるべき相対密度について説明する。
本発明の歯科切削用ジルコニアブランクは、例えば層構造を有する歯科用ジルコニア粉末を予備焼結し、この予備焼結体の切削加工後に、口腔内で利用できる様に脆さを解消する為に、本焼成である完全焼成することで完全焼結体となるものである。本発明の歯科切削用ジルコニアブランクは、完全焼結体となることで口腔内で利用可能となる。歯科切削用ジルコニアブランクは、口腔内で使用する状態である完全焼結体にした場合、非常に高い硬度となり、切削しにくいという問題があった。そのため、完全焼結する温度より低い温度で、900〜1100℃で焼成することが好ましい。この温度域で予備焼結させ、歯科用CAD/CAM装置を用いて、加工を行う。その後、完全焼結する温度、一般的にはメーカー指示焼結温度(例えば1450〜1550℃)で焼結し、完全焼結体を得る。
このようにして製造される完全焼結体の密度は予備焼結体の密度より高くなる。また、予備焼結体は気孔を含み、多孔質体である。この予備焼結体の見かけ上の体積及び質量から計算される密度を予備焼結密度と呼ぶ。また、完全焼結体の寸法測定及び質量測定により完全焼結密度を算出できる。この予備焼結密度及び完全焼結密度を用いて、下記式により相対密度を計算する。従来の歯科切削用ジルコニアブランクでは、相対密度が通常50%程度に設定されている。

相対密度(%)={(予備焼結体密度)/(完全焼結体密度)}×100

本発明においてはこの相対密度は54〜70%の範囲にあり、好ましくは55〜65%さらに好ましくは56〜60%の範囲である。
歯科切削用ジルコニアブランクを構成するジルコニア粉末は、安定化剤を含む部分安定化ジルコニアと呼ばれるものが、一般的に用いられており、安定化剤としては酸化カルシウム、酸化マグネシウム、イットリア、酸化チタン、酸化エルビウム、セリアなどが使用される。本発明の歯科切削用ジルコニアブランクは、イットリア及び/又は酸化エルビウムを含むジルコニア粉末を使用する。イットリア及び酸化エルビウムの両方が含まれることが好ましい。従来の歯科切削用ジルコニアブランクには3mol%のイットリア安定化ジルコニアが用いられたものがある。
これに対して本発明では、4〜15mol%のイットリア及び/又は酸化エルビウムを含む部分安定化ジルコニアを用いている。4〜6mol%イットリア及び/又は酸化エルビウムを含む部分安定化ジルコニアが好ましい。なお、イットリア及び酸化エルビウムに加えて、他の安定化剤を用いてもよい。イットリア及び/又は酸化エルビウムの含有量が4mol%より少ないと、透明性が低下する場合がある。また、イットリア及び/又は酸化エルビウムの含有量が15mol%よりも多いと、強度が低下する場合がある。
使用するジルコニア粉末は、着色用の顔料成分を含有しても良い。顔料成分としては、酸化鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化プラセオジム等が挙げられる。これらの顔料成分を複合的に添加したジルコニア粉末を使用しても良い。
また、本発明の歯科切削用ジルコニアブランクは多層構造であることが好ましく、層構造の数は特に限定されるものではないが、色調、透明性の異なる3〜7の層を有することが特に好ましい。
本発明の歯科切削用ジルコニアブランクが多層構造である場合には、歯科切削用ジルコニアブランクを構成する各層は、各層の境界面がほぼ平行であることが好ましく、平行であることがより好ましい。なお、各層の境界面が曲面であっても何ら問題ない。この場合、各層において隣接する層と対向する表面は、他の層において隣接する層と対向する表面の形状と類似した形状を有することが好ましい。また、対向する一対の表面がいずれも他の層と隣接する場合には、この一対の表面の形状は類似した形状であることが好ましい。
また、本発明の歯科切削用ジルコニアブランクの形状は、例えば直径98〜110mmの略円柱状のディスクタイプ形状または、一辺が10〜30mmの略立方体のブロック形状等、任意の形状とすることができる。
また、本発明の歯科切削用ジルコニアブランクが多層構造である場合には、4〜15mol%のイットリア及び又は酸化エルビウムを含むジルコニア粉末からなる層は多層構造の中に1つ以上含まれればよく、その他の層は4mol%未満または15mol%より多い量のイットリア及び/又はエルビウム粉末から予備焼結された層であっても良い。全ての層が4〜15mol%のイットリア及び/又は酸化エルビウムを含むジルコニア粉末から構成されることが好ましい。なお、4mol%未満または15mol%より多い量のイットリア及び/又はエルビウム粉末から予備焼結された層が含まれる場合には、歯科切削用ジルコニアブランクのE層の外側表層からC層の外側表層までの寸法全体に占める4mol%未満または15mol%より多い量のイットリア及び/又はエルビウム粉末から予備焼結された層の厚みの合計の寸法が50%未満であることが好ましい。言い換えると、本発明の歯科切削用ジルコニアブランクが多層構造である場合には、4〜15mol%のイットリア及び又は酸化エルビウムを含むジルコニア粉末からなる層の厚みの合計の寸法は、歯科切削用ジルコニアブランクのE層の外側表層からC層の外側表層までの寸法全体の20%以上であることが好ましい。
本発明の歯科切削用ジルコニアブランクが多層構造である場合には、歯のエナメル質の層(E層)及びサービカル層(C層)及びその中間の色調(M層)を含む3層以上の層構造から構成されて、3以上の異なる色調を有することが好ましい。この場合、E層、C層及びM層に対応する層は、4〜15mol%のイットリア及び/又は酸化エルビウムを含むジルコニア粉末から構成されることが好ましい。
具体的な歯科切削用ジルコニアブランクな構成としては、上下表層に彩度が最も低いE層と彩度が最も高いC層とをそれぞれ配置し、これら2層の中間にM層がを配置する。この場合には、E層の彩度をC、明度をLとし、C層の彩度をC、明度をLとし、M層の彩度をC、明度をLとし、それぞれの層における明度及び彩度が以下の関係を満足することが好ましい。
{(L+L)/2}×0.97<L<{(L+L)/2}×1.03
{(C+C)/2}×0.93<C<{(C+C)/2}×1.07
>C>C
が上記数値範囲外の場合、透明性が損なわれる可能性がある。またCのが上記数値範囲外の場合、審美性が損なわれる可能性がある。。さらにC>C>Cでない場合、天然歯の色調からかけ離れてしまい、審美性を損なう場合がある。この場合、歯科切削用ジルコニアブランクにおいて、E層のL表色系による色度(L,a,b)が、
65.0≦L≦82.0
−4.0≦a≦2.0
0.0≦b≦20.0
の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、
69.0≦L≦80.0
−3.0≦a≦1.0
2.0≦b≦15.0
の範囲にあることである。
さらにこの場合には、歯科切削用ジルコニアブランクにおいて、M層のL表色系による色度(L,a,b)は、C層における彩度及び明度並びにE層のL表色系による色度を踏まえた前述の式を満足していれば特に制限はないが、
67.0≦L≦78.0
−2.5≦a≦1.0
5.0≦b≦15.0
の範囲にあることが好ましい。
(測色方法)
本発明の歯科切削用ジルコニアブランクにおける各層の色度(L表色系)は以下の方法で測定することができる。歯科切削用ジルコニアブランクにおける各層を直径15mm、厚さ1.0mmの円板に成形加工した後、適宜焼成や硬化を行い、その後その成形体の両面を鏡面研磨した後、オリンパス社製の測定装置CE100-DC/USを用いて行った。測色条件は光源:C光源、視野角:2°、背景色:白色である。なお、色度の測定の試験は試験体数5個で行い、その平均値をもって評価した。
(コントラスト比)
なお本発明の歯科切削用ジルコニアブランクにおける各層の光透過性は特に制限はないが、それぞれの層の光透過性をコントラスト比で表したとき、いずれの層においても0.55〜0.90の範囲にあることが望ましく、より好ましくは、0.65〜0.90の範囲にあることである。コントラスト比は、透明性を表す尺度であり、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系の三刺激値のうちの明るさに関するY値を用いて算出するものである。具体的には、1.0mm厚の試料板に黒背景、及び白背景を接触させ、標準の光Cを照射した際の反射光におけるY値を読み取る。黒背景の場合のYをYb、白背景の場合のYをYwとすると、コントラスト比(C)はYb/Ywから求められる。Cの値が1に近いほど不透明な材料であり、0に近いほど透明な材料であることを示す。
上記のような歯科切削用ジルコニアブランクが多層構造である場合には、E層の外側表層からC層の外側表層までの寸法を100%とした時、E層はE層外側表層から15〜30%までの範囲にあることが好ましく、より好ましくはE層外側表層から20〜30%までの範囲である。言い換えると、E層は、E層の外側表層から、C層の外側表層に向かって、歯科切削用ジルコニアブランクのE層の外側表層からC層の外側表層までの寸法全体の15〜30%の位置までの範囲に存在することが好ましく、20〜30%の位置までの範囲に存在することがより好ましい。
またM層はE層の外側表層から15%を超える位置から、40%以下までの範囲にあることが好ましく、より好ましくは、E層の外側表層から25%を超える位置から、40%以下までの範囲にあることである。言い換えると、M層は、E層の外側表層から、C層の外側表層に向かって、歯科切削用ジルコニアブランクのE層の外側表層からC層の外側表層までの寸法全体の15%を超える位置から、40%以下までの範囲にあることが好ましく、25%を超える位置から、40%以下までの範囲にあることがより好ましい。すなわちブランク全体の厚みに占めるM層自体の厚みは、最大で25%となる。好ましいブランク全体の厚みに占めるM層自体の厚みは、10〜15%である。
4層の歯科切削用ジルコニアブランクであれば、M層とC層の間又はE層とM層の間に、中間層が1層配置されることとなる。また5層の歯科切削用ジルコニアブランクであれば、M層とC層の間に2層の色調の異なる層、E層とM層の間に2層の色調の異なる層、または、M層とC層の間及びE層とM層の間に色調の異なる中間層が1層介在することとなる。これらの場合において、M層がE層と隣接していることが好ましい。層の数が多いほど色のグラデーションが視覚的に美しくなるが、天然歯の色調再現には全体で4層〜7層、好ましくは4層〜5層で積層されたブランクで審美的に十分に良好な色調再現性が得られる。
E層とM層の間及びM層とC層の間に配置された中間層の厚み及びC層の厚みは限定されるものではない。E層及びM層の厚みおよび中間層の厚みから鑑み、C層はE層の外側表層からC層の外側表層に向かって、歯科切削用ジルコニアブランクのE層の外側表層からC層の外側表層までの寸法全体の50%の位置から100%までの範囲にあることが望ましく、更に好ましくはE層の外側表層から60%の位置から100%の範囲にあることである。すなわちブランク全体の厚みに占めるC層自体の厚みは、最大50%となる。好ましいブランク全体の厚みに占めるC層自体の厚みは、30〜40%である。
なお境界面が曲面である場合には、上気したE層、M層、中間層及びC層の位置は、E層の外側表層の面に対する重心からの垂線に基づいて決める。歯冠形態を切削するにあたって、この近傍に歯冠の窩の部分が位置するからである。
4層以上の層を含む歯科切削用ジルコニアブランクの場合には、ブランクの上下表層に最も彩度Cが低いE層と最も彩度Cが高いC層がそれぞれ平行に配置されることが好ましい。E層〜C層の一辺が歯冠長方向に適応するという前提より、E層〜C層にかけての層構造は、歯冠切端部より歯頸部にかけての層構造と想定することができる。一方、天然歯は構造上、切端部はエナメル質のみで構成されるためエナメル色を呈し、歯頸部に向かうにしたがってエナメル質が薄くなるため、歯頸部色が濃くなっていく。本発明の歯科切削用ジルコニアブランクにおけるE層をエナメル色に、C層を歯頸部色に設計することができる。
各層の彩度Cの関係は、E層は最も彩度C*が低く、C層は最も彩度C*が高く、そしてM層の彩度Cが、(C+C)/2×0.93〜1.07であるため、C>C>Cの関係となることが好ましい。またM層とC層の間に中間層M2を配置する場合はC≧C2≧C>Cの関係が基本となるが、これに限定されるものではない。更にM層とC層の間の層が2層、3層と増えると複雑な色調設計となるが、彩度Cが順序だてられても、一部逆転していても問題はない。但し、M層とC層の間の中間層の彩度Cの関係が順序だてられた方が好ましい。
E層及びC層の予備焼結体のビッカース硬さが1kgfの荷重において80以上であることが好ましい。ここで、本発明におけるビッカース硬度とは、JIS T 6517に準拠して測定した数値である。ビッカース硬度が80未満の場合、CAD/CAM加工装置にて加工不良となることが生じうる。
本発明に用いる歯科切削用ジルコニアブランクには焼結性の向上のために0.20wt%以内のアルミナが入っていることが好ましい。
本発明の歯科切削用ジルコニアブランクの製造に使用される材料の形態は特に限定されるものではない。ジルコニア粉末のみ、ジルコニア粉末を溶媒に添加したスラリー状、ジルコニア粉末をバインディングしたペースト状等、いずれのものでも用いることができ、それらから所定の形状に成形加工した成形体を製造することができれば何等制限はない。
また成形体を作製する方法は、いずれの成形方法でもよく、例えば、プレス成形、スリップキャスト、射出成形、光造形による成形等が挙げられる。また、多段的な成形例えば、本発明の実施例に記載しているようにプレス成形した後にCIP成形(冷間静水等方圧プレス)を施してもよい。
本発明の歯科切削用ジルコニアブランクは、例えば予備焼結体を、CAD/CAMシステムにより切削加工して作製された被切削加工物を完全焼結することで、歯科用補綴装置を製造することができる。完全焼結方法としてはパルス波、電磁波、高周波などの機械にて高速焼結することが好ましい。高速焼結としては、50℃/分以上の、好ましくは100℃/分以上の昇温速度で焼結することができる。完全焼結においては、焼結温度は、1350℃〜1550℃で焼結することが好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に、且つ具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施例においてはジルコニア粉末を用いた歯科切削用ジルコニアブランクについて説明する。
(各層におけるジルコニア粉末の調合)
ジルコニア粉末(白色)、ジルコニア粉末(茶褐色)、ジルコニア粉末(ピンク色)、ジルコニア粉末(グレー色)の4種類の粉末を使用した。4種類の粉末はそれぞれ表1に記載の割合のバインダー入りのイットリア及び酸化エルビウムを含有する。イットリア及び酸化エルビウムの配合比は80:2の割合である。E層、M層、C層がそれぞれ所望の色調及び光透過性(コントラスト比)になるよう適切な割合で4種類の粉末を混合し、E色、M色、C色の3層構造とした。また、粉末の量を調整して、E層からM層への移行比率を調整した。
(円柱ブロックの製造)
上記のジルコニア混合粉末をφ50の金型にE層、M層、C層に所定の量を充填後、10kNの圧力で1分間プレス成形を行った。プレス成形を行った後200MPaの圧力で1分間CIP成形を行った。プレス成形体の脱脂は、50℃/時の昇温速度で500℃まで昇温し、2時間係留後、100℃/時の降温速度で室温まで冷却した。脱脂後、100℃/時の昇温速度で1000〜1200℃まで昇温し、2時間係留後、炉内放冷をして予備焼結体を得た。予備焼結体を切削加工し、直径30mm、高さ20mm円柱型ブロックを作製した。円柱形ブロックの高さの20mmには、E層、M層、C層の3層が積層されるようにE層、M層、C層の充填を調整した。この予備焼結体の直径及び高さ、その質量を測定し、予備焼結密度を求めた。さらに予備焼結体のビッカース硬さ及び密度を測定した。ビッカース硬さの測定には荷重1kgfを用いた。また、高さ20mmのブロックのE層の比率から、高さ方向におけるE層側のM層の端の位置を求めた。具体的には高さ20mmのブロックのE層の端から6mmがE層である場合、E層側のM層の端の位置は30%となる。
上記より得られた円柱型ブロックより歯冠形態(単冠)をCADデータより作製し、DWX-50(ローランド社製)の加工機を用いて、加工テストを行い、加工の際に生じたチッピングを5段階で評価した。全くチッピングのないものを5として最もチッピングの大きいものを1として評価した。チッピングはあるが、0.01μm以内のチッピングで目視で判断できないものを4、0.1μm〜0.01μmのチッピングはあるが臨床上使用できるものを3と評価した。さらに0.1〜20μmのチッピングがあるものを評価2とし、20μm以上チッピングがあるものを1と評価した。また、加工に要した加工時間を測定した。45分以内で加工できるものを臨床上使用できると判断した。
(標準色調)
得られた円柱型ブロックよりE層、M層、C層を切り出し、直径30mm、厚み1.0mmに調整し、標準色調測定用の試料とした。この試料を、100℃/時の焼結速度で昇温し、1450℃で2時間の係留を行い、E層、M層、C層の各層の標準色調として測色した。
また、円柱型ブロックを100℃/時の昇温速度で1450℃まで昇温し、2時間係留を行い、完全焼結体を得た。この完全焼結体の直径及び高さ、質量を測定し、完全焼結密度を求めた。
(高速焼結の色調及び色差)
一方、得られた円柱型ブロックよりE層、M層、C層を切り出し、直径30mm、厚みを1.0mmに調整した。これに高周波マイクロ波(28GHzのミリ波)を用いて100℃/分の速度で1450℃まで昇温させ、30分の係留を行った。これを高速焼結による試験体とし、標準試料と同様に測色を行い、標準色度との色差を求めた。色差は、下記式により求められる。色差が0.1以下であるものを臨床上使用できると判断した。
標準の焼結品の色度をL、a、bとし、高周波で焼結した焼結品の色調をLH、aH、bHとしたとき下記式にて計算できる。
ΔE=√((L−L)^2+(a−a)^2+(b−b) ^2 )
(色調及びコントラスト比測定方法)
色調の測定は分光測色計(CM−3500d:コニカミノルタ)を用いて、厚さ1.0mmの試料を使用し、白バック測色の色度(L,a,b)を測定した。
各層の色指数(L,a,b)彩度Cを算出し、M層の(LM,CM)が以下の関係を満足していた場合は「〇」、満足しなかった場合は「×」で表した。明度L及び彩度Cは、上記式により算出した。
=(L+L)/2×0.97〜1.03
=(C+C)/2×0.93〜1.07
>C>C

実施例としては実施例1〜12、比較例1〜4を作製した。
Figure 2018080160

Figure 2018080160

Figure 2018080160
Figure 2018080160
(実施例の考察)
本発明により得られた実施例1〜12は高速焼結を行った場合でも、通常焼結と差のない色調を得ることができ、加工時間が45分以内と適切であり、チッピングもなかった。一方、比較例1は相対密度が低く、高速焼結を行った場合、通常焼結時と同じ発色は得られなかった。比較例2は満足のいく色調が得られず、高速焼結を行った場合、通常焼結時と同じ発色は得られなかった。比較例3は相対密度が高く、クラウンの加工時間が非常に長く、加工時にチッピングが多く発生し、臨床的に使用できないものであった。比較例4は、安定化材の量が多すぎて、高速焼結時に発色不良が発生した。
本発明は歯科分野においてCAD/CAMシステムによる切削加工に用いられる多層セラミックスにおいて、高速で焼結でき、なおかつ審美的な補綴装置を得ることができる。

Claims (8)

  1. 歯科切削用ジルコニアブランクにおいて、
    安定化材としてイットリアおよび又は酸化エルビウムを4〜15mol%含むジルコニア粉末から構成される1以上の層を有し、予備焼結後に切削加工が行なわれ、切削加工後に口腔内で使用できる状態まで完全焼結させる歯科切削用ジルコニアブランクであって、
    予備焼結された歯科切削用ジルコニアブランクの密度を予備焼結密度とし、
    歯科切削用ジルコニアブランクを口腔内で使用する密度を完全焼結密度としたとき、
    下記計算式における相対密度が下記の関係を満足することを特徴とする歯科切削用ジルコニアブランク。
    54 ≦ 相対密度(%)={(予備焼結密度)/(完全焼結密度)}×100 ≦ 70
  2. 請求項1記載の歯科切削用ジルコニアブランクが色調の異なる多層構造からなることを特徴とする歯科切削用ジルコニアブランク。
  3. 請求項2記載の歯科切削用ジルコニアブランクにおいて、
    歯科切削用ジルコニアブランクの上下表層に彩度が最も低いE層と彩度が最も高いC層がそれぞれ配置され、且つそれら2層の中間にM層が位置する少なくとも3層以上の層構造からなる歯科切削加工用ジルコニアブランクであって、
    E層の彩度をC、明度をLとし、
    C層の彩度をC、明度をLとし、
    M層の彩度をC、明度をLとし、
    それぞれの層における明度L*及び彩度C*が以下の関係を満足することを特徴とする歯科切削用ジルコニアブランク。
    {(L+L)/2}×0.97<L<{(L+L)/2}×1.03
    {(C+C)/2}×0.93<C<{(C+C)/2}×1.07
    >C>C
  4. 請求項3記載の歯科切削用ジルコニアブランクにおいて、E層のL表色系による色度をそれぞれL,a,bとしたとき、L,a,bが以下の関係を満足することを特徴とする歯科切削用ジルコニアブランク。
    65.0≦L≦82.0
    −4.0≦a≦2.0
    0.0≦b≦20.0
  5. 請求項3記載の歯科切削用ジルコニアブランクにおいて、
    E層の外側表層からC層の外側表層までの寸法を100%とした時、E層はE層の外側表層から15〜30%までの範囲にあり、かつ、M層はE層の外側表層から15%を超える位置から、40%以下までの範囲にあることを特徴とする歯科切削用ジルコニアブランク。
  6. 請求項3記載の歯科切削用ジルコニアブランクにおいて、M層がE層と隣接していることを特徴とする歯科切削用ジルコニアブランク。
  7. 請求項3記載の歯科切削用ジルコニアブランクにおいて、E層及びC層のビッカース硬さが1kgfの荷重において80以上であることを特徴とする歯科切削用ジルコニアブランク。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の歯科切削用ジルコニアブランクをCAD/CAMシステムにより切削加工して作製された被切削加工物を50℃/分以上の高速焼結にて昇温させ、焼結させた歯科用補綴装置。
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