JP2018073734A - 導電体付きシート、発熱板および乗り物 - Google Patents

導電体付きシート、発熱板および乗り物 Download PDF

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Abstract

【課題】導電体付きシートにおいて、発熱用導電体を構成する線状導電体で反射する光を目立たなくさせ、良好な視界を確保する。【解決手段】導電体付きシート20は、電圧を印加されることで発熱する発熱用導電体30と、発熱用導電体30を支持する基材フィルム21と、を備える。発熱用導電体30は、線状導電体31を有する。線状導電体31の長手方向に直交する断面での当該線状導電体の輪郭線31aは、基材フィルム21の法線方向に沿って基材フィルム21から最も離間する頂部31a1から、基材フィルム21の法線方向に沿って基材フィルム21に最も近接する少なくとも一方の底部31a2までの間に、外方に向けて凸な曲線になっている部分を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、発熱用導電体を有する導電体付きシート、一対の基板と一対の基板の間に配置された導電体付きシートとを有する発熱板、及び、この発熱板を有する乗り物に関する。
従来から、発熱用導電体を有する透明な発熱板が、広く用いられている。発熱板は、例えば、車両の窓ガラスに用いられるデフロスタ(霜取り装置)等に利用されている。発熱板は、これらに用いられている発熱用導電体に通電されることによって、抵抗加熱により発熱する(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。車両の窓ガラスに適用された発熱板は、発熱用導電体の昇温により、窓ガラスの曇りを取り除いたり、窓ガラスに付着した雪や氷を溶かしたり、または、窓ガラスに付着した水滴を蒸発させたりすることで、乗員の視界を確保することができる。
特開2013−173402号公報 特開平8−72674号公報 特開2016−85889号公報
従来の透明な発熱板を介した視界においては、ちらつきが視認されるといった不具合が生じることがある。ちらつきとは、明るく輝く微細な線状または点状の光が視認される現象である。本件発明者らが鋭意検討した結果、ちらつきは、外部から発熱板に太陽光などの光が入射した際に、発熱板の発熱用導電体で光が反射することで生じることが知見された。とりわけ、特許文献3のような、従来の発熱用導電体を構成する導電体は、その断面形状が矩形または台形となっている。この場合、図12に示すように、外部から発熱板に入射した光は、同一の方向に反射されてしまう。この同一方向に反射された光が視認され、ちらつきとして、例えば発熱板が乗り物のフロントウィンドウとして用いられている場合に車両等の乗員、特には運転者の視界の妨げとなる。すなわち、発熱板を介した視界において視認性が悪化してしまう。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、導電体付きシートにおいて、発熱用導電体を構成する導電体での反射を目立たなくさせ、良好な視界を確保することを目的とする。
本発明の導電体付きシートは、
電圧を印加されることで発熱する発熱用導電体と、
前記発熱用導電体を支持する基材フィルムと、を備え、
前記発熱用導電体は、線状導電体を有し、
前記線状導電体の長手方向に直交する断面での当該線状導電体の輪郭線は、前記基材フィルムの法線方向に沿って前記基材フィルムから最も離間する頂部から、前記基材フィルムの法線方向に沿って前記基材フィルムに最も近接する少なくとも一方の底部までの間に、外方に向けて凸な曲線になっている部分を含む。
本発明の導電体付きシートにおいて、前記輪郭線は、前記頂部と前記底部とを結ぶ直線よりも外方を延びてもよい。
本発明の導電体付きシートにおいて、前記輪郭線の外方に向けて凸な曲線になっている部分における接線の、前記基材フィルムのフィルム面に対する傾斜角は、45°以上になっている部分を含んでもよい。
本発明の導電体付きシートにおいて、前記輪郭線の外方に向けて凸な曲線になっている部分の長さは、前記輪郭線の外方に向けて凸な曲線になっている部分以外の部分の長さより長くてもよい。
本発明の導電体付きシートにおいて、前記輪郭線は、前記頂部と前記少なくとも一方の底部との間において、一以上の外方に向けて凸な曲線のみからなってもよい。
本発明の導電体付きシートにおいて、前記輪郭線の曲線になっている部分は、曲率半径が2μm以上20μm以下の曲線であってもよい。
本発明の導電体付きシートにおいて、前記線状導電体は、銅を含んでもよい。
本発明の発熱板は、
一対の基板と、
前記一対の基板の間に、上述した導電体付きシートと、を備える。
本発明の乗り物は、上述した発熱板を備える。
本発明によれば、導電体付きシートにおいて、発熱用導電体を構成する線状導電体で反射する光を目立たなくさせ、良好な視界を確保することができる。
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、発熱板を備えた乗り物を概略的に示す斜視図である。特に図1では、乗り物の例として、発熱板で構成されたフロントウィンドウを備えた自動車を概略的に示している。 図2は、発熱板をその板面の法線方向から示す図である。 図3は、図2のIII−III線における発熱板の横断面図である。 図4は、導電体付きシートをそのシート面の法線方向から示す平面図であって、発熱用導電体の一例を示す平面図である。 図5は、本発明の一実施の形態の線状導電体の一例を示す断面写真である。 図6は、従来の線状導電体を示す断面写真である。 図7は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図8は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図9は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図10は、図3の発熱板の作用を説明するための図である。 図11は、従来の発熱板の作用を説明するための図である。 図12は、従来の発熱板の作用を説明するための図である。 図13は、図3の発熱板の作用を説明するための図である。 図14は、従来の発熱板の作用を説明するための図である。 図15は、従来の発熱板の作用を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電体付きシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電体付きシート」は、「導電体付き板(基板)」や「導電体付きフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図15は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、発熱板を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った発熱板の断面図である。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が発熱板10で構成されているものを例示する。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。
この発熱板10をその板面の法線方向から見たものを図2に示す。また、図2の発熱板10のIII−III線に対応する断面図を図3に示す。図3に示された例では、発熱板10は、一対の基板11,12と、一対の基板11,12の間に配置された導電体付きシート20と、基板11,12と導電体付きシート20とを接合する接合層13,14と、を有している。なお、図1および図2に示した例では、発熱板10は湾曲しているが、その他の図では、図示の簡略化および理解の容易化のために、発熱板10および基板11,12を平板状に図示している。
また、図2によく示されているように、発熱板10は、発熱用導電体30に通電するための配線部15を有している。図示された例では、バッテリー等の電源7によって、配線部15から導電体付きシート20の発熱用導電体30に通電し、発熱用導電体30を抵抗加熱により発熱させる。発熱用導電体30で発生した熱は基板11,12に伝わり、基板11,12が温められる。これにより、基板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、基板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。尚、図示は省略するが、通常、電源7と発熱用導電体30に接続されたバスバー25との間に開閉器が挿入(直列に接続)される。そして、発熱板10の加熱が必要な時のみ開閉器を閉じて発熱用導電体30に通電する。
以下、発熱板10の各構成要素、すなわち、基板11,12、接合層13,14及び導電体付きシート20について説明する。
まず、基板11,12について説明する。基板11,12は、図1で示された例のように自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような基板11,12の材質としては、ソーダライムガラスや青板ガラスが例示できる。基板11,12の可視光透過率は90%以上であることが好ましい。ここで、基板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、基板11,12の一部または全体に着色するなどして、この一部分の可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、基板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れた基板11,12を得ることができる。一対の基板11,12は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるようにしてもよい。
次に、接合層13,14について説明する。一方の接合層13が、一方の基板11と導電体付きシート20との間に配置され、一方の基板11と導電体付きシート20とを互いに接合する。他方の接合層14が、他方の基板12と導電体付きシート20との間に配置され、他方の基板12と導電体付きシート20とを互いに接合する。
このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上1mm以下であることが好ましい。一対の接合層13,14は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるようにしてもよい。
なお、発熱板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2つ以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、発熱板10の基板11,12、接合層13,14、後述する導電体付きシート20の基材フィルム21の、少なくとも一つに何らかの機能を付与するようにしてもよい。発熱板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、導電体付きシート20について説明する。導電体付きシート20は、基材フィルム21と、基材フィルム21の一方の基板11に設けられたプライマー層22と、一対のバスバー25と、プライマー層22に対面する面上に設けられた発熱用導電体30と、を有する。本実施の形態において、導電体付きシート20は、基板11,12と略同一の平面寸法を有して、発熱板10の全体にわたって配置されているが、図1の例における運転席の正面部分等、発熱板10の一部にのみ配置されてもよい。以下、導電体付きシート20の各構成要素について説明する。
基材フィルム21は、発熱用導電体30を支持する基材として機能する。基材フィルム21は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性のフィルムである。基材フィルム21としては、可視光を透過し、発熱用導電体30を適切に支持し得るものであればいかなる材質のものでもよいが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン等を挙げることができる。また、基材フィルム21は、光透過性や、発熱用導電体30の適切な支持性等を考慮すると、0.03mm以上0.20mm以下の厚みを有していることが好ましい。
なお、「透明」とは、当該基材フィルムを介して当該基材フィルムの一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JISK0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
プライマー層22は、基材フィルム21上における後述する発熱用導電体30の密着性を改善するための層である。すなわち、プライマー層22は、基材フィルム21および発熱用導電体30の両方に対して高い接着性を有していることが望ましい。また、プライマー層22は、基材フィルム21と同じく透明である。このようなプライマー層22の材質としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂といった熱可塑性樹脂や、ラジカル重合性モノマー、ラジカル重合性プレポリマー、カチオン重合性プレポリマーといった電離放射線硬化性樹脂が例示できる。
バスバー25は、対応する配線部15と電気的に接続されている。一対のバスバー25間には、配線部15と接続された電源7の電圧が印加されるようになる。
次に、図4を参照しながら、発熱用導電体30について説明する。図4は、導電体付きシート20をそのシート面の法線方向から見た平面図である。
発熱用導電体30は、一対のバスバー25に間に配置されており、一対のバスバー25間を結ぶようにそれぞれ電気的に接続されている。発熱用導電体30は、所定のパターンで配置された線状導電体31によって形成されている。発熱用導電体30は、配線部15及びバスバー25を介して電圧を印加されると、抵抗加熱によって発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介して基板11,12に伝わることで、基板11,12が温められる。
発熱用導電体30は、種々のパターンで配列することができる。一例として、図4に示された例において、発熱用導電体30は、線状導電体31が多数の開口33を画成するメッシュ状のパターンで配置されることによって形成されている。発熱用導電体30は、2つの分岐点32の間を延びて、開口33を画成する複数の接続要素34を含んでいる。すなわち、発熱用導電体30の線状導電体31は、両端において分岐点32を形成する複数の接続要素34の集まりとして構成されている。
あるいは、他の例として、発熱用導電体30は、一対のバスバー25間を連結する複数の線状導電体31を有するストライプ状のパターンで配置されることによって形成されていてもよい。より具体的には、複数の線状導電体31が、一方のバスバー25から他方のバスバー25へ延在しており、当該線状導電体31の延在方向と非平行な方向に、互いから離間して配列されていてもよい。
このような発熱用導電体30(線状導電体31)及びバスバー25を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン等の金属、及び、これらの金属の1種以上を含んでなる合金の一以上を例示することができる。とりわけ、安価で電気導電性のよい銅を含むことが好ましい。発熱用導電体30及びバスバー25は、同一の材料を用いて形成されていてもよいし、或いは、互いに異なる材料を用いて形成されていてもよい。
図3に示された例では、線状導電体31は、全体として半楕円状の断面を有している。線状導電体31の幅W、すなわち、発熱板10の板面に沿った線状導電体31の長さ(図示された例では、発熱板10の板面に沿った線状導電体31の底部31a2における長さ)は、2μm以上20μm以下とすることが好ましい。また、高さ(厚さ)H、すなわち、発熱板10の板面への法線方向に沿った線状導電体31の頂部31a1から底部31a2までの長さは、1μm以上60μm以下とすることが好ましい。このような寸法の線状導電体31によれば、その線状導電体31が十分に細線化されているので、発熱用導電体30を効果的に不可視化することができる。
さらに、発熱用導電体30は、上述したように不透明な金属材料を用いて形成され得る。その一方で、発熱用導電体30によって覆われていない基材フィルム21上の領域の割合、すなわち開口率は、70%以上99%以下程度と高くなっている。また、線状導電体31の線幅は、2μm以上20μm以下程度となっている。このため、発熱用導電体30が設けられている領域は、全体として透明に把握され、発熱用導電体30の存在が発熱板10の透視性を害さないようになっている。
なお、前述したように、発熱板10の透視性または発熱板10を介した視認性を確保する観点から、開口率が高くなるように、発熱用導電体30の線状導電体31は基材フィルム21上に形成されている。その結果、図3に示すように、接合層13と導電体付きシート20の基材フィルム21とは、線状導電体31の開口33、すなわち隣り合う線状導電体31の間となる領域を介して接触している。すなわち、発熱用導電体30は、接合層13内に埋め込まれた状態となっている。
ここで、線状導電体31の長手方向に直交する断面での当該線状導電体の輪郭線31aについて、説明する。図3に示すように、線状導電体31の輪郭線31aは、楕円弧状になっている。すなわち、線状導電体31の頂部31a1から少なくとも一方の底部31a2までの間に、外方に向けて凸な曲線となっている部分を含んでいる。線状導電体31の頂部31a1とは、基材フィルム21の法線方向に沿って基材フィルム21から最も離間する部分を意味する。また、線状導電体31の底部31a2とは、基材フィルム21の法線方向に沿って基材フィルム21に最も近接する部分を意味する。さらに、外方に向けて凸な曲線とは、単に外方に突出していることを意味するのではなく、数学的に凸型であることを意味する。すなわち、外方に向けて凸な曲線とは、当該曲線における任意の2点を結んだ直線が、当該2点の間において、当該2点の間にある曲線から離間して線状導電体31内に位置することを意味し、さらに言い換えると当該曲線の任意の部分が、当該部分の両端間において、当該部分の両端を結ぶ直線より外方に位置することを意味する。
図5は、本発明の一実施の形態の線状導電体31の断面の写真である。図5から明らかなように、線状導電体31の輪郭線31aは、頂部31a1から少なくとも一方の側の底部31a2までの間に、外方に向けて凸な曲線になっている部分を含んでいる。なお、図5においては、線状導電体31の表面は、例えば銅によってメッキされて、メッキ層35となっている。この場合、線状導電体31の輪郭線31aとは、メッキ層35の輪郭線を意味する。一方、従来の線状導電体131は、断面形状が矩形あるいは台形となるよう形成される。すなわち、輪郭線131aは、直線のみによって構成されるよう形成される。または、エッチングにより作製された従来の線状導電体31では、図6の断面写真から明らかなように、線状導電体131の輪郭線131aは、その作製工程におけるエッチングに起因して、内方に窪んだ凹な曲線になって形成される。
また、図5に示された線状導電体31の輪郭線31aは、全体として、外方に向けて凸な曲線によって形成されている。このため、図5に示された線状導電体31の輪郭線31aは、頂部31a1と底部31a2とを結ぶ直線よりも外方を延びている。すなわち、輪郭線31aは、頂部31a1と底部31a2との間において、外方に突出している。
なお、輪郭線31aに含まれる外方に向けて凸となる曲線は、後述するように、ちらつきを目立たなくするといった有用な作用効果を奏することができる。この作用効果が十分に確保されるようにする観点から、輪郭線31aのうちの外方に向けて凸な曲線となる部分は次のように構成されることが有効である。まず、輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分における接線の、基材フィルム21のフィルム面に対する傾斜角は、45°以上になっている部分を含むことが好ましい。また、輪郭線31aのうちの外方に向けて凸な曲線となっている部分の長さが、その他の部分の長さ、すなわち輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分以外の部分の長さより長いことが好ましい。さらに、頂部31a1と少なくとも一方の底部31a2との間において、輪郭線31aは、外方に向けて凸な曲線になっている部分のみからなることが理想的である。この場合、外方に向けて凸な曲線になっている部分は1つでもよいし、複数でもよい。さらに、輪郭線31aの曲線になっている部分は、曲率半径が2μm以上20μm以下であることが好ましい。
ここで、線状導電体31の断面形状の特定方法および寸法の測定方法について説明する。線状導電体31の断面形状は、線状導電体31の断面を顕微鏡にて観察し、顕微鏡観察像に基づいて形状や寸法を測定すればよい。顕微鏡は、例えば走査電子顕微鏡を用いることができる。線状導電体31の断面は、例えばミクロトームを用いた加工や集束イオンビーム(FIB)加工により得ることができる。
図5の線状導電体31の断面の写真は、ミクロトームを用いた加工で得られた断面を撮像したものである。具体的な手順としては、まず、導電体付きシート20をトリミング用カミソリで5mm×10mmに切り出した後、樹脂に包埋させる。次に、トリミング用カミソリを用い、導電体付きシート20の断面を露出させる。その後、ウルトラミクロトームを用いて、得られた断面をトリミングする。このトリミングにおいては、断面形状の機械的歪みを低減するため、包埋した樹脂とともに、当該断面に対して垂直方向に約1mm程度、ミクロトームで切り進める。この際、線状導電体31の延在方向に垂直な断面が得られるよう角度を調整しながら、切断を行い、所望の切断面を得る。
一方、図6の線状導電体131の断面の写真は、集束イオンビーム(FIB)加工で得られた断面を撮像したものである。具体的には、導電体付きシートをトリミング用カミソリで5mm×10mm切り出した後、Agペーストを用いて試料台に固定する。その後、切り出した導電体付きシートと試料台との導通を得る為にカーボン蒸着を施し、さらにPtスパッタを施した後にFIB加工を行う装置に導入する。FIB加工を行う装置では、所定の断面を得る為にGaイオンビームにてエッチング加工を施す。ただし、加工を行う部分の周囲にも僅かながらGaイオンビームが散乱するため、加工を行う部分の周囲の表面がエッチングされることを防ぐために、タングステンのデポ膜を形成してから、エッチング加工を行う。次に、集束イオンビーム(FIB)加工によって、導電体付きシートにおける線状導電体131の延在方向に垂直な線状導電体131の断面を露出させる。FIB加工には、日立ハイテクノロジー社製の加工装置FB−2100を用いた。加工条件として、引出電圧を8.2kV、エミッション電流を3.2μA、加速電圧を40kVとした。また、コンデンサレンズを有しており、使用アパチャーは150である。最終仕上げ加工幅は、20μmとした。
露出された線状導電体31および線状導電体131の断面を走査電子顕微鏡(SEM)による画像として観察し、撮像した。SEMは、日立ハイテクノロジー社製のS−4800 TYPE2を用いた。観察条件として、加速電圧を3.0kV、エミッション電流を10μA、作動距離を15mmとした。また、検出器は、上方検出器及び下方検出器の両方の情報を得るモードであるMixとした。ミクロトームを用いた加工の場合、断面を正面から観察することができる。したがって、正面方向から撮像した写真に基づいて、断面の形状や寸法を特定することができる。一方、FIB加工の場合、その特性上、断面を正面から観察することはできず、傾斜した方向からの観察となる。したがって撮像された写真での線状導電体31の形状は、実際の断面形状から縦方向に圧縮されたものとなっている。このため、この写真から寸法を測定する場合、撮影方向に応じた比率で像を縦方向に引き延ばす必要がある。例えば、得られた断面写真、断面の正面方向から導電体付きシート20の上方向(発熱用導電体30が設けられた側への方向)に45°傾斜した方向から撮像した画像である場合、実際の断面形状は、画像を縦方向に√2倍引き伸ばしたものであるとして、断面の形状や寸法を特定する必要がある。なお、図6に示す断面画像では、上述した成膜を除いた寸法を測定する。また、図5及び図6において、断面の観察は、5000倍〜8000倍に拡大して行われる。
次に、図7〜図9を参照して、発熱用導電体30および発熱板10の製造方法の一例について説明する。図7〜図9は、発熱板10の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、基材フィルム21上にプライマー層22を設ける。プライマー層22は、プライマー層をなす樹脂組成物を基材フィルム21に塗布することで形成される。あるいは、プライマー層22が室温で固体の熱可塑性樹脂組成物のフィルムである場合には、プライマー層22は、基材フィルム21にラミネートされることで設けられてもよい。
また、メッシュ状やストライプ状のパターンの凹部61が形成された型版60に、線状導電体31を形成する上述の導電体の組成物を注入する。凹部61のパターンは、発熱用導電体30の配置パターンに対応したパターンである。また、凹部61の型61aは、線状導電体31に対応した形状となっている。すなわち、図7に示す断面において、型61aの凹部61を画成する輪郭線は、凹部61内に向けて凸な曲線(型版60に向けて凸な曲線)を含んでいる。したがって、型版60によって製造される線状導電体31の輪郭線31aは、その断面において上述した外方に向けて凸な曲線を含むようになる。
そして、図7に示すように、型版60にプライマー層22を密着させる。プライマー層22は、その接着性によって発熱用導電体30と接着する。すなわち、基材フィルム21は、プライマー層22を介して発熱用導電体30を保持することになる。その後、プライマー層22の樹脂組成物に応じた硬化手段によってプライマー層22を硬化し、型版60を取り外すことで、図8に示す導電体付きシート20が作製される。
なお、図示は省略するが、線状導電体31にメッキを行って、メッキ層35を設けるようにしてもよい。メッキする金属としては、銅、銀、金、ニッケル等が挙げられるが、安価で導電性のよい銅が好ましい。メッキによって線状導電体31の輪郭線31aが変化するが、メッキは一様に行われるため、曲率半径は大きくなるが、外方に向けて凸な曲線であることは変わらない。
最後に、図9に示すように、導電体付きシート20の発熱用導電体30の側から接合層13及び基板11を積層して、例えば加熱加圧により、導電体付きシート20と基板11とを接合する。同様に、基材フィルム21の側から接合層14及び基板12を積層して、導電体付きシート20と基板12とを接合する。これにより、図3に示した発熱板10が作製される。
次に、図10〜図15を参照して、本発明の一実施形態の発熱板10における発熱用導電体30の作用を、従来の発熱板110における発熱用導電体130の作用と比較しながら説明する。なお、図10〜図15では、発熱板の構成を適宜省略または誇張して図示している。
発熱板は、図1に示したように自動車1のフロントウィンドウ5に適用されて使用され得る。したがって、図10〜図15では、発熱板の法線方向が鉛直方向から傾いた状態で、発熱板が使用される態様を示している。図10〜図12では、基材フィルム上の発熱用導電体が自動車の内部側に配置されている。一方、図13〜図15では、基材フィルム上の発熱用導電体が自動車の外部側に配置されている。
図11、図12、図14および図15に示す従来の発熱板110では、太陽光等の外部からの光L11,L12,L14,L15は、線状導電体131の表面、すなわち輪郭線131aで反射される。図6に示したような内方に窪んだ凹な曲線の輪郭線131aを有する線状導電体131では、基材フィルム上の発熱用導電体130が自動車の内部側に配置されている場合、図11に示すように、外部からの光L11は、線状導電体131で反射されることで、或る位置にて集められてしまう(集光されてしまう)。また、基材フィルム上の発熱用導電体130が自動車の外部側に配置されている場合も、図14に示すように、外部からの光L14は、線状導電体131で反射されることで、或る位置にて集められてしまう(集光されてしまう)。輪郭線131aが直線である線状導電体131でも、基材フィルム上の発熱用導電体130が自動車の内部側に配置されている場合、図12に示すように、外部からの光L12は、線状導電体131によって同一の方向に反射され、基材フィルム上の発熱用導電体130が自動車の外部側に配置されている場合、図15に示すように、外部からの光L15は、線状導電体131によって同一の方向に反射される。したがって、いずれの場合でも発熱板110を介した視界において、外部からの光の反射光が強く観察され得る。すなわち、外部からの光によって、発熱板110を介した視界においてちらつきが視認され、視認性が悪化する。
これに対して、図10及び図13に示す本実施の形態の発熱板10では、外部からの光L10,L13は、線状導電体31の表面、すなわち外方に向けて凸な曲線になっている部分を含んでいる輪郭線31aで反射される。基材フィルム上の発熱用導電体30が自動車の内部側に配置されている場合、図10に示すように、外部からの光L10は、線状導電体31の輪郭線31aのうちの外方に向けて凸な曲線になっている部分で反射されると、いずれかの位置に集められることなく拡散される。また、基材フィルム上の発熱用導電体30が自動車の外部側に配置されている場合、図13に示すように、外部からの光L13は、線状導電体31の輪郭線31aのうちの外方に向けて凸な曲線になっている部分で反射されると、いずれかの位置に集められることなく拡散される。いずれの場合でも、発熱板10を介した視界において、反射光が拡散されるため、観察されにくくなる。これにより、発熱板10を介した視界においてちらつきが視認されず、視認性を良好に保つことができる。とりわけ、輪郭線31aが、頂部31a1と底部31a2との間において、頂部31a1と底部31a2とを結ぶ直線よりも外方に位置している場合には、線状導電体31の任意の位置で反射される反射光が視認されにくくすることができる。これにより、ちらつきをより効果的に目立たなくさせることができる。
また、図10および図13から明らかなように、上述の反射光を拡散する効果は、主として線状導電体31の光源側の側方に当たる部分において奏される。したがって、輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分が側方に当たる部分に設けられていることで、反射光を拡散してちらつきを生じさせない効果を、より効果的に奏することができる。具体的には、輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分における接線の、基材フィルム21のフィルム面に対する傾斜角が、45°以上となっている部分を含むことで、線状導電体31の側方に当たる部分において、上述の効果を奏することができる。また、輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分における接線の、基材フィルム21のフィルム面に対する傾斜角が45°未満のみである場合、線状導電体31の断面積が著しく小さくなるため、線状導電体31の抵抗が大きくなりすぎて適切な発熱を行うことができない虞が生じる。
さらに、反射光を拡散してちらつきを不可視化する観点からは、輪郭線31aに外方に向けて凸な曲線になっている部分以外の部分があったとしても、輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分の長さが、その他の部分の長さ、すなわち輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分以外の部分の長さより長いことが好ましい。さらには、輪郭線31aに外方に向けて凸な曲線になっている部分以外の部分がないこと、すなわち、頂部31a1と少なくとも一方の底部31a2との間において、輪郭線31aは、一以上の外方に向けて凸な曲線になっている部分のみからなることがより好ましい。
また、本実施の形態のように、輪郭線31aの曲率半径が2μm以上20μm以下となっている場合、曲率半径が十分に小さいため、外部からの光を確実に拡散反射させることができる。
なお、上述の作用は、発熱板の法線方向が鉛直方向から傾いた状態でなくとも、当然奏され得る。
以上のように、本実施の形態の導電体付きシート20は、電圧を印加されることで発熱する発熱用導電体30と、発熱用導電体30を支持する基材フィルム21と、を備え、発熱用導電体30は、線状導電体31を有し、線状導電体31の長手方向に直交する断面での当該線状導電体の輪郭線31aは、基材フィルム21の法線方向に沿って基材フィルム21から最も離間する頂部31a1から、基材フィルム21の法線方向に沿って基材フィルム21に最も近接する少なくとも一方の底部31a2までの間に、外方に向けて凸な曲線になっている部分を含む。このような導電体付きシート20によれば、線状導電体31の外方に凸な曲線となっている部分で外部からの光を反射して拡散させることができる。したがって、外部から入射した光が導電体付きシート20の発熱用導電体30で反射されても、当該反射光が明るく観察されにくくなり、ちらつきを目立たなくすることができる。すなわち、発熱用導電体30を構成する線状導電体31で反射する光を目立たなくさせ、導電体付きシート20を介した車両等の乗員、特には運転者の視界を、良好に確保することができる。
また、本実施の形態の導電体付きシート20において、輪郭線31aは、頂部31a1と底部31a2とを結ぶ直線よりも外方を延びる。このような導電体付きシート20によれば、線状導電体31の断面において、線状導電体31の全体として、反射光を拡散してちらつきを生じさせない効果を奏することができる。したがって、導電体付きシート20を介した車両等の乗員、特には運転者の視界を、より良好に確保することができる。
さらに、本実施の形態の導電体付きシート20において、輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分における接線の、基材フィルム21のフィルム面に対する傾斜角は、45°以上になっている部分を含む。このような導電体付きシート20によれば、線状導電体31の側方に当たる部分において、反射光を拡散してちらつきを生じさせない効果を奏することができる。したがって、導電体付きシート20を介した車両等の乗員、特には運転者の視界を、より良好に確保することができる。
また、本実施の形態の導電体付きシート20において、輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分の長さは、輪郭線31aの外方に向けて凸な曲線になっている部分以外の部分の長さより長い。このような導電体付きシート20によれば、反射光を拡散する効果を集光する作用より強く奏することができる。したがって、導電体付きシート20を介した車両等の乗員、特には運転者の視界を、より良好に確保することができる。
さらに、本実施の形態の導電体付きシート20において、輪郭線31aは、頂部31a1と少なくとも一方の底部31a2との間において、一以上の外方に向けて凸な曲線のみからなる。このような導電体付きシート20によれば、反射光を拡散する効果を線状導電体31の輪郭線31aの全範囲において奏することができる。したがって、導電体付きシート20を介した車両等の乗員、特には運転者の視界を、より良好に確保することができる。
また、本実施の形態の導電体付きシート20において、輪郭線31aの曲線になっている部分は、曲率半径が2μm以上20μm以下の曲線である。このような発熱用導電体30によれば、上述した外部からの光を確実に拡散反射させる効果を、確実に奏することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
上述した実施の形態では、発熱板10が、基材フィルム21を有している導電体付きシート20を備える例を示したが、製造過程において基材フィルム21を剥離させる等によって、発熱板10中に基材フィルム21を有さないようにしてもよい。この場合、発熱板10の全体を薄型にすることができ、また軽量化することができる。さらに、発熱用導電体30から生じる熱を、発熱板10全体により早く伝達させることもできる。
前述した実施の形態において、発熱板10が曲面状に形成されている例を示したが、この例に限られず、発熱板10が、平板状に形成されていてもよい。
発熱板10は、自動車1のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道車両、航空機、船舶、宇宙船等の乗り物の窓或いは扉の透明部分に用いてもよい。
さらに、発熱板10は、乗り物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓或いは扉の透明部分、建物の窓又は扉、冷蔵庫、展示箱、戸棚等の收納乃至保管設備の窓あるいは扉の透明部分等に使用することもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例として、図10および図13のように、線状導電体31の長手方向に直交する断面での、線状導電体31の輪郭線が外方に向けて凸な曲線になっている部分を含む導電体付きシート20を備える発熱板10を用意した。図10および図13の各態様において、輪郭線の外方に向けて凸な曲線になっている部分における接線の基材フィルム21のフィルム面に対する最大傾斜角を、それぞれ60°、45°、30°とした例を用意した。
各実施例において、断面での線状導電体31の輪郭線の外方に向けて凸な曲線になっている部分における接線の基材フィルム21のフィルム面に対する最大傾斜角を特定するために、発熱板10から基板11,12および接合層13,14を剥離させて、導電体付きシート20に対して上述したミクロトームを用いた加工やFIB加工を行って断面を露出させた。その後、SEMによって断面を画像として観察し、撮像した。撮像された画像から、輪郭線の外方に向けて凸な曲線になっている部分における接線の最大傾斜角を特定した。
比較例として、図11および図14のように、線状導電体131の長手方向に直交する断面での、線状導電体131の輪郭線が基材フィルム21に対して内方に窪んだ凹な曲線となっている導電体付きシート20を備える発熱板10、及び、図12および図15のように、線状導電体131の輪郭線が直線である導電体付きシート20を備える発熱板10を用意した。
なお、上述したように、図10〜12の態様は、発熱板10が自動車1のフロントウィンドウ5に適用された際に、基材フィルム21上の発熱用導電体30が自動車の内部に配置されることを想定した態様であり、図13〜15の態様は、発熱板10が自動車1のフロントウィンドウ5に適用された際に、基材フィルム21上の発熱用導電体30が自動車の外部に配置されることを想定した態様である。
上述の実施例および比較例について、発熱板10を観察した際のちらつきを評価した。評価結果を以下の表1に示す。ちらつきの評価は、発熱板10を目視で観察した際に、ちらつきが注意深く観察しても確認されなかった例に対してAを付し、注意深く観察するとちらつきが確認されるが視界の妨げにはならなかった例に対してBを付し、ちらつきがはっきり観察され、視界の妨げになった例に対してCを付した。
表1のちらつきの評価の結果から理解されるように、図11、図12、図14および図15の態様の導電体付きシート20を備える発熱板10では、ちらつきがはっきり観察され視界の妨げとなった一方、図10および図13の態様の導電体付きシート20を備える発熱板10では、ちらつきが視界の妨げとはならなかった。すなわち、発熱板10を介した視界を良好に確保することができる。とりわけ、凸な曲線になっている部分における接線の最大傾斜角が45°以上となっている場合、ちらつきが確認されず、発熱板10を介した視界をきわめて良好に確保することができることが理解される。
1 自動車
5 フロントウィンドウ
7 電源
10 発熱板
11 基板
12 基板
13 接合層
14 接合層
15 配線部
20 導電体付きシート
21 基材フィルム
22 プライマー層
25 バスバー
30 発熱用導電体
31 線状導電体
31a 輪郭線
32 分岐点
33 開口
34 接続要素
35 メッキ層

Claims (9)

  1. 電圧を印加されることで発熱する発熱用導電体と、
    前記発熱用導電体を支持する基材フィルムと、を備え、
    前記発熱用導電体は、線状導電体を有し、
    前記線状導電体の長手方向に直交する断面での当該線状導電体の輪郭線は、前記基材フィルムの法線方向に沿って前記基材フィルムから最も離間する頂部から、前記基材フィルムの法線方向に沿って前記基材フィルムに最も近接する少なくとも一方の底部までの間に、外方に向けて凸な曲線になっている部分を含む、導電体付きシート。
  2. 前記輪郭線は、前記頂部と前記底部とを結ぶ直線よりも外方を延びる、請求項1に記載の導電体付きシート。
  3. 前記輪郭線の外方に向けて凸な曲線になっている部分における接線の、前記基材フィルムのフィルム面に対する傾斜角は、45°以上になっている部分を含む、請求項1または2に記載の導電体付きシート。
  4. 前記輪郭線の外方に向けて凸な曲線になっている部分の長さは、前記輪郭線の外方に向けて凸な曲線になっている部分以外の部分の長さより長い、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電体付きシート。
  5. 前記輪郭線は、前記頂部と前記少なくとも一方の底部との間において、一以上の外方に向けて凸な曲線のみからなる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電体付きシート。
  6. 前記輪郭線の曲線になっている部分は、曲率半径が2μm以上20μm以下の曲線である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の導電体付きシート。
  7. 前記線状導電体は、銅を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の導電体付きシート。
  8. 一対の基板と、
    前記一対の基板の間に、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の導電体付きシートと、を備える発熱板。
  9. 請求項8に記載の発熱板を備える、乗り物。
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