JP2018069671A - バリアフィルム - Google Patents
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Description
デラミネーションを起こさないバリアフィルムを提供することを課題とする。
プラスチック基材の少なくとも一方の面に、無機酸化物蒸着層と、複合被膜層と、印刷層とがこの順に積層されてなり、
前記複合被膜層は、水溶性高分子化合物と金属化合物を含み、
前記印刷層は、ポリエステルポリオールと有機ジイソシアネートからなるポリエステルポリウレタン樹脂を含むことを特徴とするバリアフィルムである。
前記無機酸化物蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、或いはそれらの混合物のうち少なくとも1つ以上含むことを特徴とする、請求項1記載のバリアフィルムである。
前記複合被膜層が、水酸基含有高分子化合物と、金属アルコキシド、金属アルコキシド加水分解物、金属アルコキシド重合物のうちの少なくとも1種類以上とを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のバリアフィルムである。
前記印刷層が、さらに顔料を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバリアフィルムである。
前記プラスチック基材と前記無機酸化物蒸着層の間に、アンカーコート層が積層されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のバリアフィルムである。
前記印刷層の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のバリアフィルムである。
バリアフィルム10は、プラスチック基材1上に、無機酸化物蒸着層2が積層され、その上に水溶性化合物と金属化合物からなる複合被膜層3が積層されている。さらにその上に印刷層4が積層されている。
バリアフィルム20は、プラスチック基材1上に、アンカーコート層5が設けられ、その上に無機酸化物蒸着層2が積層され、さらにその上に、水溶性化合物と金属化合物からなる複合被膜層3と、印刷層4が積層されている。
プラスチック基材1は、無機酸化物蒸着層2の透明性を生かすために可能であれば、透明なフィルム基材であることが好ましい。
プラスチック基材1の材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。
次に無機酸化物蒸着層2について、詳しく説明する。
無機酸化物蒸着層2は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等
のガスバリア性を有する層であればよい。各種殺菌耐性を配慮すると、これらの中では特に酸化アルミニウム及び酸化珪素を用いることがより好ましい。
ただし本発明の無機酸化物蒸着層2は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることが可能である。
また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
プラスチック基材1と無機酸化物蒸着層2の間に、両者の密着性を改善するために、処理層もしくはアンカーコート層5(図2参照)を設けることも可能である。処理の方法については問わないが、プラズマ処理を行うことが特に有効である。
次いで複合被膜層3を説明する。複合被膜層3はガスバリア性を持った被膜層であり、水溶性高分子と金属化合物の混合物からなる層である。
例えば、金属化合物として1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。
本発明でコーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニ
ルをけん化して得られるものである。
PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等を用いることができ、これ以外のものを用いても一向に構わない。
続いて印刷層4について詳細に説明する。
印刷層4に使用するインキは樹脂、顔料、添加剤から構成されている。
発明者はこの印刷層に用いる材料について鋭意検討した結果、印刷層にレトルト耐性を付与するためには、インキ中の樹脂成分としてポリエステルポリオールと有機ジイソシアネートを反応して得られるポリエステルポリウレタン樹脂を使用することが解決策となることを見い出した。この樹脂を使用することで、レトルト処理などの高温下での処理後でもデラミネーションなどが発生しない包装材料を得ることが出来る。
たとえば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4、4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等である。
イソシアネート基/水酸基のモル当量比が1.2/1以下であると、得られたポリウレタン樹脂が脆弱なため、印刷インキに使用した際にブロッキングが発生し易くなる。
一方、イソシアネート基/水酸基のモル当量比が3/1以上であると、樹脂の製造に粘度が高くなってしまい、反応中にゲル化し易くなる。
厚さが0.1μm未満であると、印刷抜けの不具合が発生するおそれがある。
また、厚さが10μmを超えると、印刷層内で凝集破壊により密着不良が生じ易くなる。
基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、アクリル系プライマー溶液をグラビアコートにより塗布乾燥し、厚さ0.05μmのアンカーコート層を形成した。
次いで、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを導入し、厚さ10nmの酸化アルミニウムを蒸着して無機酸化物蒸着層を形成した。
次に、テトラエトキシシランの加水分解物とポリビニルアルコールからなる複合被膜溶液をグラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ0.3μmの複合被膜層を形成した。
更に複合被膜層の上に、アジピン酸とエチレングリコールからなるポリエステルポリオールとトリレンジイソシアネートを使用したインキ組成物を塗布乾燥することで、ポリエステルポリウレタンを樹脂成分とする1μmの印刷層を形成して、実施例1のバリアフィルムを得た。
インキの樹脂成分として、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールからなるポリエステルポリオールとメチレンジイソシアネートを反応させてなるポリエステルポリウレタンを使用したこと以外は上記実施例1と同様にして、実施例2のバリアフィルムを得た。
アクリル系プライマー溶液によるアンカーコート層の形成を行わず、PETフィルムにプラズマ処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のバリアフィルムを得た。
インキの樹脂成分として、ポリエーテルポリオールとジイソシアネートからなるポリエーテルポリウレタンを使用した以外は実施例1と同様にして、比較例1のバリアフィルムを得た。
インキの樹脂成分として、ポリ塩化ビニルとポリ酢酸ビニルの共重合体を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例2のバリアフィルムを得た。
上記の実施例1〜3、及び比較例1、2で作成したそれぞれのバリアフィルムに、厚さ15μm延伸ナイロン及び厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを、2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により順に積層し、包装材料を作製した。
その結果を表1に示す。
しかし比較例1及び2は、ラミネート強度が他の実施例1〜3よりも小さく、印刷層のデラミネーションの発生が確認された。
2・・・無機酸化物蒸着層
3・・・複合被膜層
4・・・印刷層
5・・・アンカーコート層
10、20・・・バリアフィルム
Claims (6)
- プラスチック基材の少なくとも一方の面に、無機酸化物蒸着層と、複合被膜層と、印刷層とがこの順に積層されてなり、
前記複合被膜層は、水溶性高分子化合物と金属化合物を含み、
前記印刷層は、ポリエステルポリオールと有機ジイソシアネートからなるポリエステルポリウレタン樹脂を含むことを特徴とするバリアフィルム。 - 前記無機酸化物蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、或いはそれらの混合物のうち少なくとも1つ以上含むことを特徴とする、請求項1記載のバリアフィルム。
- 前記複合被膜層が、水酸基含有高分子化合物と、金属アルコキシド、金属アルコキシド加水分解物、金属アルコキシド重合物のうちの少なくとも1種類以上とを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のバリアフィルム。
- 前記印刷層が、さらに顔料を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバリアフィルム。
- 前記プラスチック基材と前記無機酸化物蒸着層の間に、アンカーコート層が積層されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のバリアフィルム。
- 前記印刷層の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のバリアフィルム。
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