JP2018068246A - 防草材及びそれの使用方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、除草剤の散布は、草を枯らすだけで、頻繁に散布する必要があり、抜本的な対策とはならない。また、セメントを含有する防草材を振り撒いて散水して地面を被覆する方法も提案されているが、硬化までに時間を有し、雨など降ると施工ができず、硬化前に流れてしまうという課題や、凍結融解によりスケーリングやひび割れが生じるという課題があった。さらに、セメントはアルカリ性が高く、六価クロムを含有することから、環境面での課題があった。
特許文献1は、酸化マグネシウムと高炉スラグを主成分する雑草繁殖防止材を地表面の土と混合して転圧して押し固めて、その上に散水するため、施工に労力を必要とし、初期強度発現性が低いため、施工後の降雨で流失し易く、さらに凍結融解を受けるため寒冷地での使用が難しいという課題がある。
特許文献2と3も特許文献1と同様の酸化マグネシウム系固化材であるため、初期強度発現性が低く、繁殖期の雑草を抑草する効果が低下し易い。さらに、これら酸化マグネシウム系抑草材全般に関する課題は、硬化時間が長いため傾斜の強い法面では、施工時の散水や降雨時に流されたりして一定の厚さにできない場合があり、水溜りがある場所では硬化しない場合があった。また、凍結融解を受けるため寒冷地での使用が難しいという課題がある。
特許文献4は、焼却灰、スラグ、及び石炭灰の骨材を敷き詰め、その上にクロロプレン系ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、及びアクリル系エマルジョン固化材を散布して固着することを特徴とする防草工法であり、セメントや塩基性物質を使わないため環境にやさしい防草材である。しかしながら、人力や重機で3〜20cmの厚さに敷き詰め、その上に均一にラテックスやエマルジョンを散布する必要があるため、多大な労力がかかった。
さらに、本発明では、カルシウムアルミネート中に含まれるCaOやAl2O3以外の不純物が15質量%以下であることが初期強度発現性の観点から好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。15質量%を超えると硬化に時間を費やし、さらに低温時には固まらない場合がある。不純物の代表例として酸化ケイ素があり、その他、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等があるが、特に限定されるものでない。
カルシウムアルミネートの粒度は、初期強度発現性の面で、ブレーン比表面積値2500cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上がより好ましい。2500cm2/g未満であると硬化時間が長くなり初期強度発現性が低下する場合がある。
本発明のクリンカー骨材の主要な化合物としては、12CaO・7Al2O3、CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、CaO・6Al2O3などのカルシウムアルミネートが挙げられる。
クリンカー骨材の空隙率が10体積%を超えると、凍結融解抵抗性に劣り、防草効果が得られない場合がある。空隙率を小さくするには、クリンカー骨材を合成する際に溶融させ、蜜実な組織を形成させることが重要となる。
なお、本発明のクリンカー骨材は、各種金属精錬の際に副生するカルシウムアルミネートを主成分とするクリンカーを粉砕して、任意の大きさに調製することが出来る。
石膏の粒度は、ブレーン比表面積値で3000cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上が初期強度発現性と、適正な作業時間が得られる観点から好ましい。
石膏の使用量は、特に限定されるものではないが、カルシウムアルミネート100質量部に対して、50〜250質量部が好ましい。50質量部未満では、作業時間が取れなくなり、強度発現性が低下する場合がある。250質量部を超えると作業時間は十分に取れるが、初期強度が得られない場合がある。
カルシウムシリケートは、3CaO・SiO2、3CaO・2SiO2、2CaO・SiO2及びCaO・SiO2があり、これらのあらゆる結晶相のものが使用できる。これらを2種以上混合してもよく、特に限定されるものではないが、γ−2CaO・SiO2が大気中の二酸化炭素を吸収して生じる炭酸化収縮を低減させるため、ひび割れ抵抗性が向上し最も好ましい。
γ−2CaO・SiO2は、2CaO・SiO2で表される化合物の中で、低温相として知られるものであり、高温相であるα−2CaO・SiO2やβ−2CaO・SiO2とは異なるものである。これらの化合物はいずれも2CaO・SiO2で同じ化学組成を有するが、結晶構造は異なる。セメントクリンカ中に存在する2CaO・SiO2はβ−2CaO・SiO2である。β−2CaO・SiO2は水硬性を有するが、γ−2CaO・SiO2は水硬性を持たないが、大気中の二酸化炭素を吸収して硬化する特性がある。
カルシウムシリケートの粒度は、特に制限されないが、ブレーン比表面積値で3000cm2/g以上が好ましく、4,000〜8,000cm2/gがより好ましい。ブレーン比表面積値が3,000cm2/g未満では、大気中の二酸化炭素を吸収して反応が十分でなく、ひび割れ抵抗性が充分に得られない場合がある。一方、8,000cm2/gを超えても更なる効果の増進が期待できない。
カルシウムシリケートの使用量は、特に限定されるものではないが、カルシウムアルミネート100質量部に対して、5〜70質量部が好ましい。5質量部未満では、ひび割れの抑制効果が低い場合がある。一方、70質量部を超えても更なる効果の増進が期待できない。
石灰石、ボーキサイトを原料に用いて、表1に示す化学成分となるように原料を調合し、電気炉を用いて1600℃で溶融して、カルシウムアルミネートクリンカーを合成した。実験No.1−6は、実験No.1−5の原料を1400℃で焼成した。
これらのクリンカーを粉砕機で粒度調製し、粗粒率が1.8、2.3、3.5で、0.15mm以下の微粒分量が10%以下のクリンカー骨材を作製した。比較として、市販の石灰砂と珪砂を用いた。
これら骨材を細骨材として防草材を調製した。配合は、カルシウムアルミネート100質量部に対して、石膏を100質量部、クリンカー骨材1000質量部、凝結調整剤としてクエン酸を0.3質量部加えた。この防草材をJIS R 5201に準じた4×4×16cmの型枠に敷設後、カルシウムアルミネートと石膏とクリンカー骨材の合計100質量部に対して、水を15質量部散水して試験体を作製し、試験体の硬化時間、凍結融解抵抗性を測定した。さらにpH、六価クロム溶出量も測定した。
比較として、普通セメントを用いたモルタルとマグネシア系固化材を調製した。モルタルの配合は、(一社)セメント協会製標準砂と普通ポルトランドセメントの質量比を3/1としたドライモルタルを型枠に敷設し、水セメント比が50%となるように水を散水して防草材を調製した。マグネシア系固化材は、中国産マグネシウムを焼成した市販の酸化マグネシウム100質量部に対して、土壌を600質量部混合したものを型枠に敷設し、水を20質量部散水して防草材を調製した。
結果を表1に示す。
石灰石:CaO:51.4%、Al2O3:0.9%、Fe2O3:0.8%、SiO2:2.7%、MgO:2.1%、強熱減量41.4%
ボーキサイト:CaO:1.7%、Al2O3:76.5%、Fe2O3:01.7%、SiO2:6.8%、MgO:0.9%、強熱減量41.4%
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、ブレーン値3,200 cm2/g、密度3.15g/cm3
骨材(1):珪砂、粗粒率2.83、密度2.67g/cm3
骨材(2):石灰砂、粗粒率2.25、密度2.70g/cm3
カルシウムアルミネート:石灰石とボーキサイトをCaO/Al2O3モル比が2.2となるよう配合し、1650℃で溶融後、急冷してガラス化率97%のクリンカーを得た。このクリンカーを粉砕して、所定のブレーン比表面積に調整した。
カルシウムアルミネートA:ブレーン比表面積値5000cm2
カルシウムアルミネートB:ブレーン比表面積値2000cm2
カルシウムアルミネートC:ブレーン比表面積値3000cm2
カルシウムアルミネートD:ブレーン比表面積値4000cm2
カルシウムアルミネートE:アルミナセメント1号、デンカ社製、ブレーン比表面積値4800cm2
土壌:愛知県産真砂土、5mm篩下
凝結調整剤:無水クエン酸、試薬一級
水:水道水
普通セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
砂:(社)セメント協会製標準砂
マグネシア系固化材:中国産マグネシウムを焼成した酸化マグネシウム(市販品)
硬化時間:練混ぜた防草材を指で押してもへこまない時間を測定した。
凍結融解試験:凍結融解抵抗性は、20℃・相対湿度60%の環境でJIS R 5201に準じて4×4×16cm供試体を作製し、材齢1日後、脱型し、JIS A1148「コンクリ−トの凍結融解試験方法」A法により凍結融解試験を実施し、各サイクル毎に試験体を取り出して重量減少率を測定した。
pH:20℃・相対湿度60%の環境下で5×5×20cm供試体を作製した。20℃・相対湿度60%の環境下で封緘養生を行い、材齢28日の供試体を粉砕し、100倍の純水で30分攪拌した上澄み液のpHを測定した。
六価クロム溶出量:pH試験と同様な方法で20℃・相対湿度60%の環境下で供試体を作製後、材齢7日の供試体について、環境庁告示46号法に基づき測定した。
実験例1の実験No.1-5のクリンカー骨材、カルシウムアルミネートAを使用し、表2のようにカルシウムアルミネートと石膏の割合を変え、さらにクリンカー骨材と土壌の添加割合を変えたこと以外は実験例1と同様に行った。
結果を表2に示す。
実験例2の実験No.1-5の防草材について、表3に示す割合でカルシウムシリケートを混合し、凍結融解後の防草・ひび割れ試験を行った。
また、比較として、実験例1で使用した普通セメントを用いたモルタル(実験No.1-18)、マグネシア系固化材(実験No.1-19)についても同様の試験を行った。
結果を表3に示す。
カルシウムシリケート イ:3CaO・SiO2。試薬の炭酸カルシウム3モル及び二酸化ケイ素1モルを混合粉砕した後、電気炉を用い1600℃で焼成し合成したものを粉砕してブレーン比表面積値4800cm2/gに調整した。
カルシウムシリケート ロ:β−2CaO・SiO2。試薬の炭酸カルシウム2モル及び二酸化ケイ素1モルを混合粉砕した後、電気炉を用い1450℃で焼成し合成したものをブレーン比表面積値4800cm2/gに調整した。
カルシウムシリケート ハ:γ−2CaO・SiO2。試薬の炭酸カルシウム2モル及び二酸化ケイ素1モルを混合粉砕した後、電気炉を用い1500℃で焼成しダスティングした粗粉をさらに粉砕しブレーン比表面積値4800cm2/gに調整した。
水:水道水
土壌:愛知県産真砂土、5mm篩下
防草試験・ひび割れ試験:30cm×40cmのトレーに田畑の土を15cm敷きならし、芝生の種であるトールフェスク、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラスの混合品を40g/m2撒き、その上に防草材を基礎面上に均一に厚み3cm敷設した後、防草材の合計100質量部に対して水を15質量部散水した。材齢1日後、1日間−10℃の恒温室に入れた後、1日間20℃の恒温室に入れ、これを10サイクル実施した後、屋外に置き、100日後のひび割れの本数、防草材表面からの生えた芝の本数を測定した。
実験例3の実験No.3-5、1-18、1-19の各防草材について、防草材の合計100質量部に対して水15質量部を、散水ではなくオムニミキサに加え、練り混ぜたものを型枠または基礎面上に敷設したこと以外は実験例3と同様に実施した。
結果を表4に示す。
Claims (6)
- ブレーン比表面積値2500cm2/g以上のカルシウムアルミネート、並びに、CaO成分が10〜50質量%、Al2O3成分が50〜90質量%であるクリンカー骨材を含有してなる防草材。
- さらに、石膏と土壌のうち一種以上を含有してなる請求項1に記載の防草材。
- クリンカー骨材の粗粒率が1.8〜3.5であることを特徴とする請求項1または2に記載の防草材。
- さらに、カルシウムシリケートを含有してなる請求項1〜3のいずれか1項記載の防草材。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の防草材を地面に敷き詰め、その上に散水して被覆することを特徴とする防草材の使用方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の防草材を水と練り混ぜ、地面に敷き詰めて被覆することを特徴とする防草材の使用方法。
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