JP2018067604A - 光変調器付き半導体レーザ装置 - Google Patents

光変調器付き半導体レーザ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018067604A
JP2018067604A JP2016204498A JP2016204498A JP2018067604A JP 2018067604 A JP2018067604 A JP 2018067604A JP 2016204498 A JP2016204498 A JP 2016204498A JP 2016204498 A JP2016204498 A JP 2016204498A JP 2018067604 A JP2018067604 A JP 2018067604A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor laser
optical modulator
distributed feedback
diffraction grating
laser device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016204498A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6673137B2 (ja
Inventor
崇 柳楽
Takashi Nagira
崇 柳楽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2016204498A priority Critical patent/JP6673137B2/ja
Publication of JP2018067604A publication Critical patent/JP2018067604A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6673137B2 publication Critical patent/JP6673137B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】本発明は、断熱チャープ量のばらつきを抑制することで伝送歩留りの低下を避ける光変調器付き半導体レーザ装置を提供することを目的とする。【解決手段】本願の発明に係る光変調器付き半導体レーザ装置は、分布帰還型半導体レーザ部と、該分布帰還型半導体レーザ部に接続された電界吸収型光変調器と、一端が該電界吸収型光変調器に接続され、他端を出射端面とする第1導波路部と、を備え、該第1導波路部は一次の回折格子を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば光通信システムで用いられる光変調器付き半導体レーザ装置に関する。
分布帰還型半導体レーザ部(DFB−LD)と電界吸収型光変調器(EA)をモノリシック集積した光変調器付き半導体レーザ装置(EML)が実用化され、長距離光通信用光源として用いられている。従来のEMLは、DFB−LDから出射された光がEAを通過して有限の反射率を持つ出射端面で反射した後、再びDFB−LDの発振モードに結合する。この戻り光によるDFB−LDの発振波長の変動は「断熱チャープ」と呼ばれている。
断熱チャープのチャープ量は反射率等によって決まるある幅を持って、DFB−LDから出射端面までの光路長で決まる端面位相に依存して変化する。半導体レーザ部の端面形成方法として一般的に用いられている劈開による方法では、この端面位相を制御することは困難である。そのため、EMLにおいては、断熱チャープ量が制御できないことに起因して伝送後波形の劣化が大きい素子が一定量存在し、伝送歩留りが低下していた。
EMLのコストを低減するためには、伝送歩留りの向上と伝送特性評価の簡略化が重要な課題である。特許文献1では、出射端面の反射率に応じて伝送歩留りおよびSMSR歩留りを最大化する光結合係数κLを見出し、総合的な歩留り向上を図ることが開示されている。
特許文献2は、EA変調時のDFB−LDサイドモードの最大値と最小値の比率と、断熱チャープ量の間に相関があることを見出し、伝送特性評価を実施せずに装置を選別することで評価コストの低減を図るものである。特許文献3の図7には、DFB−LDとEAと2次の回折格子を集積した光変調器付き半導体レーザ装置が開示されている。
特開2001−320124号公報 特開2009−59799号公報 特開平11−307874号公報
劈開による端面形成ではその端面位相を制御することは技術的に困難である。そのため、反射率を伝送特性上問題とならないほど小さくすることも困難である。したがって、製造プロセス上断熱チャープを制御することができず、伝送歩留りの低下が避けられなかった。
また、伝送特性は、断熱チャープに加えて、電圧印加時のEAの屈折率変動に起因したチャープであるダイナミックチャープにも依存し、ダイナミックチャープの量と伝送距離に応じて、伝送特性を最適化する一定の断熱チャープ量が存在する。従来技術においては、製造プロセス上断熱チャープ量を制御することが困難で、伝送歩留りが低下することが課題であった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、断熱チャープ量のばらつきを抑制できる光変調器付き半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
本願の発明に係る光変調器付き半導体レーザ装置は、分布帰還型半導体レーザ部と、該分布帰還型半導体レーザ部に接続された電界吸収型光変調器と、一端が該電界吸収型光変調器に接続され、他端を出射端面とする第1導波路部と、を備え、該第1導波路部は一次の回折格子を有することを特徴とする。
本発明によれば、電界吸収型光変調器と出射端面の間に一次の回折格子を形成することで、断熱チャープ量のばらつきを抑制できる。
実施の形態1に係る光変調器付き半導体レーザ装置の断面斜視図である。 光変調器付き半導体レーザ装置の製造方法を説明する図である。 光変調器付き半導体レーザ装置の製造方法を説明する図である。 光変調器付き半導体レーザ装置の製造方法を説明する図である。 光変調器付き半導体レーザ装置の製造方法を説明する図である。 光変調器付き半導体レーザ装置の製造方法を説明する図である。 光変調器付き半導体レーザ装置の製造方法を説明する図である。 光変調器付き半導体レーザ装置の製造方法を説明する図である。 光変調器付き半導体レーザ装置の製造方法を説明する図である。 断熱チャープを示す図である。 断熱チャープ量の端面位相依存性を示す図である。 断熱チャープ量の端面位相依存性を示す図である。 出射端面位相の変動に対する、反射強度および反射位相の変動を示す図である。 強度反射率と反射位相のκL依存性を示す図である。 反射位相の変動に対する、発振しきい値利得αLとデチューニング係数δLの変動を示す図である。 反射位相の変動に対する、発振しきい値利得αLとデチューニング係数δLの変動を示す図である。 図15に反射強度および反射位相変動を重ね書きした図である。 図16に反射強度および反射位相変動を重ね書きした図である。 出射端面位相の変動に対するαLおよびδLを示す図である。 断熱チャープ変動を示す図である。 実施の形態2に係る光変調器付き半導体レーザ装置の断面図である。 第1変形例を示す断面図である。 第2変形例の平面図である。 断熱チャープ特性を示す図である。
本発明の実施の形態に係る光変調器付き半導体レーザ装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る光変調器付き半導体レーザ装置10の断面斜視図である。光変調器付き半導体レーザ装置10は、分布帰還型半導体レーザ部LDと、分布帰還型半導体レーザ部LDに接続された電界吸収型光変調器EAと、一端が電界吸収型光変調器EAに接続された第1導波路部Wと、を備えている。分布帰還型半導体レーザ部LDはレーザ電極E1を有し、電界吸収型光変調器EAは変調器電極E2を有している。第1導波路部Wの他端が出射端面11aとなっている。
光変調器付き半導体レーザ装置10は、n−InP基板12と、n−InP基板12の上に形成されたリッジ導波路Rと、そのリッジ導波路Rを埋め込むFe−InP層14と、Fe−InP層14の上に形成されたp−InP層16を備えている。リッジ導波路Rの左右に溝18が形成されることで導波路はリッジ型となっている。
光が導波する方向はy方向である。断面11bは、このy方向に平行な線で光変調器付き半導体レーザ装置10を切断したときに表れる面である。断面11bには、電界吸収型光変調器EAと第1導波路部Wに光吸収層20が形成され、分布帰還型半導体レーザ部LDにレーザ活性層22が形成されたことが示されている。光吸収層20とレーザ活性層22の下に回折格子層24が形成されている。回折格子層24は、直線が並ぶことで構成された一次の回折格子である。回折格子層24は第1導波路部Wに形成されているので、第1導波路部Wには一次の回折格子24aが設けられている。
光変調器付き半導体レーザ装置10の駆動時には、レーザ電極E1からレーザ活性層22に電流を注入してレーザ光を発振させ、変調器電極E2から光吸収層20に電圧を印加し吸収係数を変調することで光吸収層20を導波する光を変調する。
図2〜図9を参照しつつ光変調器付き半導体レーザ装置10の製造方法を説明する。図2〜図6は図1の断面11bに対応する面を示し、図7〜9は図1の出射端面11aに対応する面を示す。まず、図2に示されるように、n−InP基板12の上に回折格子となる層24AをMOCVD法により結晶成長する。層24Aの材料は、例えばInGaAsP又はInGaAlAsなどであるが、InPとの屈折率差を任意に制御できるものであれば特に限定されない。
次に、電子線露光およびエッチング法により、層24Aから回折格子層24を形成する。図3には、回折格子層24が示されている。分布帰還型半導体レーザ部LDの回折格子24bは一次の回折格子であり、その光学的な周期は所望のレーザ発振波長λのおよそ1/2であり、単一波長発振を得るためλ/4の回折格子位相シフトを設ける。第1導波路部Wの一次の回折格子24aの周期は回折格子24bの周期と同一でよい。一次の回折格子24aの位相は断熱チャープ量の絶対値を調整するため、後述する適切な回折格子位相に設定する。
次いで、図4に示すように、活性層22AをMOCVD法によって結晶成長する。次いで、図5に示すように、分布帰還型半導体レーザ部LD以外の活性層22Aを露光工程とエッチング工程で除去する。次いで、図6に示すように、光吸収層20をMOCVD法によりバットジョイント成長する。さらに、p−InP層16も形成する。
レーザ活性層22と光吸収層20には、例えばInGaAsPまたはInGaAlAsなど、InPと格子整合し1.3μm帯から1.5μm帯の光通信波長帯に利得あるいは吸収をもつ材料を用いる。レーザ活性層22と光吸収層20層は単層でも多重量子井戸層でもよい。
次いで、露光工程とエッチング工程により、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAをリッジ導波路Rに加工する。図7にはリッジ導波路Rが示されている。リッジ導波路Rの上にはエッチングで用いたエッチングマスク52がある。
次いで、電流ブロック層となるFe−InP層14をMOCVD法で形成し、Fe−InP層14でリッジ導波路Rを埋め込む。次いで、図7のエッチングマスク52を除去し、p−InP16を成長する。こうして、図8の構造が完成する。ここでは、リッジ導波路RをFe−InP層14で埋め込んでいるが、Fe−InP層14で埋め込まずに直接絶縁膜を製膜して導波路としてもよい。また、リッジ導波路Rを形成する際のエッチングをレーザ活性層22と光吸収層20の上で停止して、幅の広いレーザ活性層22と光吸収層20を有するリッジ導波路としてもよい。
次いで、図9に示すように、露光工程とエッチング工程によって溝18を形成する。溝18は、p−InP16から基板12にまで達する。そして、製膜工程、露光工程およびエッチング工程により、絶縁膜30、レーザ電極E1および変調器電極E2を形成することで図1に示す光変調器付き半導体レーザ装置10が完成する。
ところで、EMLの動作は“IEE Proc.−Optoelectron.,Vol.141,No.2,p.89,1994”に開示される以下の結合波方程式とキャリアレート方程式でモデル化し記述できる。
Figure 2018067604

Figure 2018067604

Figure 2018067604
ここで、zは装置の導波方向の座標、F、Rは前進波、後退波の複素電界振幅、νは群速度、αは電界振幅に対する吸収または利得係数、δは各部の屈折率変化に伴う周波数変化、κRF、κFRはそれぞれの光結合係数で、屈折率結合の場合はκRF=κ* FRである。Gは自然放出光の電界振幅である。Nはキャリア密度、ηは活性層への電流注入効率、Jは電流密度、qは素電荷、dはレーザ活性層の厚さ、τはキャリア寿命であり、ここで自然放出又は価電子帯間吸収、オージェ再結合によるキャリア損失を導入する。g´は微分利得、Γは活性層への光閉込係数、Nは透明キャリア密度、εは非線形利得係数、Pは前進波と後退波を合わせたフォトン密度である。αはレーザ活性層22に対してはキャリア密度に依存するように、光吸収層20に対しては印加電圧に依存するように設定する。δについても同様である。
以上のモデルに基づいて、出射端面側に回折格子を持たない1.5μm帯の従来型EMLを10GbpsでNRZ駆動した際の出力及び波長変動の時間発展を計算すると、図10の結果が得られる。ここで、分布帰還型半導体レーザ部LDがλ/4シフトを持ち、後端面と出射端面の強度反射率をそれぞれ90%、0.5%、単一縦モードとなるようにレーザ後端面の回折格子位相を選んでいる。
図10から、吸収層変調時の屈折率変動に伴う波長変動であるダイナミックチャープが1.5GHz程度、吸収層を経て出射端面で反射した光によるレーザ変調に伴う波長変動である断熱チャープが−2.5GHz程度であることが確認できる。この断熱チャープ量は、分布帰還型半導体レーザ部の回折格子に対する出射端面の位相によって変動し、その端面位相依存性を図11に示す。縦軸が断熱チャープ量である。この例では、出射端面位相に依存した断熱チャープの最大値と最小値の差はおよそ4GHz程度である。
これに対し、本発明の実施の形態1に係るEMLは、出射端面11a側に一次の回折格子24aを持つので、従来例と比較して出射端面位相の変動に対する断熱チャープ量の変動が抑制される。図12に、本発明の実施の形態1に係る光変調器付き半導体レーザ装置10の断熱チャープ量の端面位相依存性を示す。ここでは、第1導波路部Wに結合係数κ=30[cm−1]の一次の回折格子24aを100μm挿入し、その回折格子と分布帰還型半導体レーザ部LDの回折格子24bの位相を変えて計算している。図12に示す通り、出射端面11a側に一次の回折格子24aを挿入することで断熱チャープの最大値と最小値の差はおよそ2GHz程度にまで低下できる。さらに一次の回折格子24aの位相を適切に選べば、図12において菱形のプロットで示すように、断熱チャープを0付近で変動させることができる。少なくとも1つの「出射端面11aの位相」に対して断熱チャープ量が0となることが好ましい。
ここでは出射端面11a側の一次の回折格子24aの周期は分布帰還型半導体レーザ部LDの回折格子24bの周期と同一にしている。しかし、一次の回折格子24aのストップバンドの中心が分布帰還型半導体レーザ部LDの発振波長と一致するように、一次の回折格子24aの光学的な周期を調整するとより効果的である。さらに、一次の回折格子24aの結合係数を大きくしたり、一次の回折格子24aを挿入する領域を長くしたりすることで、出射端面位相の影響をさらに抑制することが可能である。実施の形態1に係る光変調器付き半導体レーザ装置10によれば、出射端面11aからの反射光の影響を抑制するだけでなく、光変調器付き半導体レーザ装置10の外から反射して戻ってくる光によるレーザの発振波長への影響を抑制することも期待できる。
本発明の実施の形態1に係る光変調器付き半導体レーザ装置10の作用効果をより一般化して説明する。まず、出射端面11aに一次の回折格子24aを設けた構造における振幅反射率ρは下記の式から算出される。
Figure 2018067604
ここで、rは出射端面11aの振幅反射率、Lは一次の回折格子24aを持つ導波路の長さであり第1導波路部Wの共振器方向の長さと等しい。δはデチューニング係数で導波光の波数と一次の回折格子24aの波数の差、κ、κは前進波および後退波の結合係数であり、屈折率結合の場合κ、κはお互いの複素共役となる。後の議論ではその絶対値をκとして用いる。
図13はκL=0、κL=0.3における反射強度および反射位相の変動を、出射端面位相の変動に対して計算した結果を示す図である。ここで、出射端面の反射強度は0.5%、δ=0である。κL=0のとき、すなわち一次の回折格子24aを持たない端面反射のみの場合は、当然ながら反射強度は変化せず端面位相がそのまま反射位相となる。それに対して一次の回折格子24aを持つ構造では、反射強度と反射位相のどちらも変動することとなり、一次の回折格子24aがない構造と比較して反射位相の変動が抑制される。反射強度と反射位相の変動幅はκLに依存しており、それらの最大値と最小値のκL依存性を図14に示す。
図14に示す通り、κLが概ね0.07より大きくなると、位相変動が抑制され、強度反射率の変動は大きくなっていく。図14の強度反射率とは、図13の反射強度と同じ意味である。強度反射率と反射位相は、出射端面11aの反射率とδによって変化するが、一般に一定以上のκLで位相変動が抑制される。したがって、Lとκとの積を0.07より大きくすることが好ましい。
次に、λ/4シフトを1つ持つDFB−LDの前端面の反射光強度および反射位相に対して、発振しきい値利得αLとデチューニング係数δLを図示すると図15、16のようになる。ここで、後端面反射率は90%、反射位相は0、位相シフトは後端面から0.3Lの位置に挿入し、発振モードはδの絶対値が最も0に近いモードをとっている。ここでの計算はDFB−LDのしきい値における発振モード解析の手法を用いており、例えば次の文献が詳しい。
H.Ghafouri−Shiraz, Distributed Feedback Laser Diodes and Optical Tunable Filters. England:Wiley, 2003
図17、18は、それぞれ図15、16上に図13で示した反射強度および反射位相変動を重ね書きした図である。出射側に回折格子がない場合、反射強度は0.005、反射位相は0〜2πの時のαLおよびδLが発振モードとなる。一方で、出射側に回折格子を設けた場合、図中の反射位相2π付近に示した楕円の軌跡上のαLおよびδLが発振モードとなる。ここで、反射位相変動の中心値は、DFB−LDと出射側回折格子間の光路長を調整することで任意に設計することが可能であるため、後に議論するチャープ量およびチャープ変動が小さくなるように選んでいる。それぞれの構造において、出射端面位相が0〜2πで変動した際のαLおよびδLを図19に示す。αL、δLともに、出射側の一次の回折格子24aがある構造の方が変動が小さくなっていることが分かる。
図19で示したαLおよびδLは、光変調器にバイアスを印加せず出射端面および回折格子からの反射戻り光があるときの発振モードを示している。これに対して、EAにバイアスを印加してDFB−LDからの出射光および反射光を消光することは、図15、16において反射光強度が0であることに相当し、それらのαLおよびδLの差分が断熱チャープの要因となる。
このαLおよびδLの差分に加え、分布帰還型半導体レーザ部LDの共振器長と線幅増大係数などを設定して、反射戻り光による断熱チャープ量を算出すると、図20に示す断熱チャープ変動が得られる。ここで共振器長は500μm、線幅増大係数は5.0、導波路の等価屈折率は3.2とした。図20に示す通り、一次の回折格子24aを設けることにより断熱チャープ変動が−2.1〜2.5に抑制されていることが分かる。上記の効果は、各パラメータがある特定の範囲のときにのみ得られるものではなく、与えられたEMLに対して、出射側に挿入する一次の回折格子24aの結合係数、一次の回折格子24aが形成される領域の長さ、およびDFB−LDに対する位相を適切に設計することで、現実的なEMLに対してチャープを抑制できる構造を見出すことができる。
以下は具体的な計算手順である。
1、設計値または実測値から活性層の線幅増大係数を設定する。
2、DFB−LDのκL等のパラメータを設定し、反射光強度と位相に対してαLとδLを計算する。
3、上記のα、δ、L、および線幅増大係数から、反射光強度と位相に対するチャープ量を見積もる。
4、チャープが抑制される反射光強度/位相の軌跡を描くように一次の回折格子24aのκLと位相を決定する。
本発明の実施の形態1に係る光変調器付き半導体レーザ装置10は、出射端面11aの位相が制御できないために生じる断熱チャープ量の製造バラツキを補償するため、電界吸収型光変調器EAと出射端面11aの間に一次の回折格子24aを設ける。そして、一次の回折格子24aにより帰還した光が分布帰還型半導体レーザ部LDの発振波長変動を抑制するように一次の回折格子24aの位相を設定する。すなわち、断熱チャープ量を伝送特性が最適化される値に制御することで伝送歩留りを改善することができる。断熱チャープ量を制御してそのばらつきを低減できるので、評価コストの大きい断熱チャープ量評価と伝送特性評価を省略することもできる。また、断熱チャープ量のばらつきを抑制できるので、伝送後の波形歪みが少なく伝送距離を長くできる装置を歩留り良く得ることができる。
本発明の実施の形態1に係る光変調器付き半導体レーザ装置10は、第1導波路部Wに一次の回折格子24aを設けることを特徴とするので、この特徴を失わない範囲で様々な変形が可能である。したがって、光変調器付き半導体レーザ装置10の材料、構造及び製造方法については実施の形態1で言及した内容に限定されない。以下の実施の形態に係る光変調器付き半導体レーザ装置でも同様である。なお、以下の実施の形態に係る光変調器付き半導体レーザ装置は実施の形態1との共通点が多いので実施の形態1との相違点を中心に説明する。
実施の形態2.
実施の形態2に係る光変調器付き半導体レーザ装置は、出射端面からの反射光による断熱チャープを制御する手段として、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの間の電気抵抗を調整するものである。
実施の形態1では、レーザ電極E1と変調器電極E2を接続しているp−InP層16の厚さは例えば2.0μmであり、長さは例えば50μmであり、幅は例えば5.0μmであり、アクセプタ濃度は1E+18[cm−3]である。この場合、レーザ電極E1と変調器電極E2の間の抵抗はおよそ2kΩ程度である。
図21は、実施の形態2に係る光変調器付き半導体レーザ装置の、図1の断面11bに対応する断面を示す図である。実施の形態2では、分布帰還型半導体レーザ部LDに設けられたレーザ電極E1と、電界吸収型光変調器EAに設けられた変調器電極E2とを接続する抵抗素子60を設けた。抵抗素子60を設けることで、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの間の抵抗を低減させる。低減量は抵抗素子60の抵抗値を選択することで任意に設定できる。
分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAは抵抗素子60を介して電気的に結合しているため、電界吸収型光変調器EAを変調する電圧を印加すると同時に分布帰還型半導体レーザ部LDに注入している電流も変調される。そのため、実際には分布帰還型半導体レーザ部LDは定電流駆動ではなく、直接変調のLDと同様の波長変動を生じることとなる。
分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの間の抵抗値が2kΩで電界吸収型光変調器EAに印加する電圧の変調幅が1.5Vの場合、0.75mAの電流変調が加わり、図12で示した断熱チャープ特性が得られる。これに対して分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの間の抵抗値を0.5kΩとした場合、その断熱チャープ特性は図24のようになる。図12と図24を比較すると、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの間の抵抗値を変更すると、断熱チャープの絶対値がシフトするが、出射端面位相の変化に対する断熱チャープの変動幅はほとんど変化しないことが分かる。これを利用して、伝送特性が最適化される断熱チャープ量を実現することが可能である。
図22は、実施の形態2に係る光変調器付き半導体レーザ装置の第1変形例を示す断面図である。第1変形例では、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの間にあるクラッド層であるp−InP層16に溝60aを形成する。これにより、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの間において、p−InP層16を薄くした。このように、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの間においてp−InP層16の厚さを調整することで、レーザ電極E1と変調器電極E2の間の抵抗値を調整することができる。なお、p−InP層16に限らず、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAとを接続する半導体層に溝を設けることで上述の効果を得ることができる。
図23は、実施の形態2に係る光変調器付き半導体レーザ装置の第2変形例の平面図である。第2変形例では、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの間にある溝18、70の幅を、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAにおける溝18、70の幅より大きくした。言いかえれば、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAとを接続する半導体層の幅を、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAの半導体層の幅より狭くした。図23には、分布帰還型半導体レーザ部LDと電界吸収型光変調器EAとを接続するp−InP層16の一部は幅が狭い幅狭部16Aを有することが開示されている。これにより、レーザ電極E1と変調器電極E2の間の抵抗値を調整する。
さらに、p−InP16のアクセプタ濃度を変更することでもレーザ電極E1と変調器電極E2の間の抵抗値を調整することが可能である。実施の形態1で説明したように一次の回折格子24aを設けて断熱チャープ量のばらつきを抑制しつつ、本実施の形態で説明したようにレーザ電極E1と変調器電極E2の間の抵抗値を調整すれば伝送特性が最適化される断熱チャープ量を実現することができる。
10 光変調器付き半導体レーザ装置、 11a 出射端面、 18 溝、 24a 一次の回折格子、 60 抵抗素子、 60a 溝、 E1 レーザ電極、 E2 変調器電極、 EA 電界吸収型光変調器、 LD 分布帰還型半導体レーザ部

Claims (8)

  1. 分布帰還型半導体レーザ部と、
    前記分布帰還型半導体レーザ部に接続された電界吸収型光変調器と、
    一端が前記電界吸収型光変調器に接続され、他端を出射端面とする第1導波路部と、を備え、
    前記第1導波路部は一次の回折格子を有することを特徴とする光変調器付き半導体レーザ装置。
  2. 前記回折格子により帰還した光が前記分布帰還型半導体レーザ部の発振波長変動を抑制するように前記回折格子の位相が設定されたことを特徴とする請求項1に記載の光変調器付き半導体レーザ装置。
  3. 前記回折格子のストップバンドの中心は、前記分布帰還型半導体レーザ部の発振波長と一致したことを特徴とする請求項1又は2に記載の光変調器付き半導体レーザ装置。
  4. 前記第1導波路部の長さと、前進波と後退波の結合係数の絶対値との積を0.07より大きくしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光変調器付き半導体レーザ装置。
  5. 前記分布帰還型半導体レーザ部に設けられたレーザ電極と、前記電界吸収型光変調器に設けられた変調器電極とを接続する抵抗素子を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光変調器付き半導体レーザ装置。
  6. 前記分布帰還型半導体レーザ部と前記電界吸収型光変調器とを接続する半導体層に溝を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光変調器付き半導体レーザ装置。
  7. 前記分布帰還型半導体レーザ部と前記電界吸収型光変調器とを接続する半導体層の幅を、前記分布帰還型半導体レーザ部と前記電界吸収型光変調器の半導体層の幅より狭くしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光変調器付き半導体レーザ装置。
  8. 少なくとも1つの前記出射端面の位相に対して断熱チャープ量が0となることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の光変調器付き半導体レーザ装置。
JP2016204498A 2016-10-18 2016-10-18 光変調器付き半導体レーザ装置 Active JP6673137B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016204498A JP6673137B2 (ja) 2016-10-18 2016-10-18 光変調器付き半導体レーザ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016204498A JP6673137B2 (ja) 2016-10-18 2016-10-18 光変調器付き半導体レーザ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018067604A true JP2018067604A (ja) 2018-04-26
JP6673137B2 JP6673137B2 (ja) 2020-03-25

Family

ID=62087327

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016204498A Active JP6673137B2 (ja) 2016-10-18 2016-10-18 光変調器付き半導体レーザ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6673137B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021024288A1 (ja) * 2019-08-02 2021-02-11 三菱電機株式会社 半導体レーザ装置
WO2023248412A1 (ja) * 2022-06-23 2023-12-28 日本電信電話株式会社 波長可変レーザ、波長可変レーザモジュールおよび波長可変レーザの層構造の製造方法

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06177476A (ja) * 1992-12-02 1994-06-24 Kokusai Denshin Denwa Co Ltd <Kdd> 光パルス発生装置
JPH11307874A (ja) * 1998-04-24 1999-11-05 Toshiba Corp 光アイソレータ、分布帰還型レーザ及び光集積素子
JP2001320124A (ja) * 2000-05-09 2001-11-16 Nec Corp 変調器集積化光源及び光通信用モジュール
JP2004047743A (ja) * 2002-07-12 2004-02-12 Furukawa Electric Co Ltd:The 光集積デバイス
JP2004221219A (ja) * 2003-01-14 2004-08-05 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 波長可変半導体パルス光源装置
US20060104321A1 (en) * 2004-11-15 2006-05-18 Lightip Technologies Inc. Q-modulated semiconductor laser with electro-absorptive grating structures
JP2009260192A (ja) * 2008-04-21 2009-11-05 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体光集積素子及びその製造方法
US20100290489A1 (en) * 2009-05-15 2010-11-18 Avago Technologies Fiber Ip (Singapore) Pte. Ltd. electro-absorption modulated laser (eml) assembly having a 1/4 wavelength phase shift located in the forward portion of the distributed feedback (dfb) of the eml assembly, and a method
JP2013197502A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 変調器集積半導体レーザ
JP2013219192A (ja) * 2012-04-09 2013-10-24 Fujitsu Ltd 半導体レーザ

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06177476A (ja) * 1992-12-02 1994-06-24 Kokusai Denshin Denwa Co Ltd <Kdd> 光パルス発生装置
JPH11307874A (ja) * 1998-04-24 1999-11-05 Toshiba Corp 光アイソレータ、分布帰還型レーザ及び光集積素子
JP2001320124A (ja) * 2000-05-09 2001-11-16 Nec Corp 変調器集積化光源及び光通信用モジュール
JP2004047743A (ja) * 2002-07-12 2004-02-12 Furukawa Electric Co Ltd:The 光集積デバイス
JP2004221219A (ja) * 2003-01-14 2004-08-05 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 波長可変半導体パルス光源装置
US20060104321A1 (en) * 2004-11-15 2006-05-18 Lightip Technologies Inc. Q-modulated semiconductor laser with electro-absorptive grating structures
JP2009260192A (ja) * 2008-04-21 2009-11-05 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体光集積素子及びその製造方法
US20100290489A1 (en) * 2009-05-15 2010-11-18 Avago Technologies Fiber Ip (Singapore) Pte. Ltd. electro-absorption modulated laser (eml) assembly having a 1/4 wavelength phase shift located in the forward portion of the distributed feedback (dfb) of the eml assembly, and a method
JP2013197502A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 変調器集積半導体レーザ
JP2013219192A (ja) * 2012-04-09 2013-10-24 Fujitsu Ltd 半導体レーザ

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021024288A1 (ja) * 2019-08-02 2021-02-11 三菱電機株式会社 半導体レーザ装置
CN114175427A (zh) * 2019-08-02 2022-03-11 三菱电机株式会社 半导体激光器装置
CN114175427B (zh) * 2019-08-02 2024-04-19 三菱电机株式会社 半导体激光器装置
WO2023248412A1 (ja) * 2022-06-23 2023-12-28 日本電信電話株式会社 波長可変レーザ、波長可変レーザモジュールおよび波長可変レーザの層構造の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6673137B2 (ja) 2020-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8319229B2 (en) Optical semiconductor device and method for manufacturing the same
JP6425631B2 (ja) 半導体レーザおよびこれを備える光集積光源
JPH07326820A (ja) 波長可変半導体レーザ装置
JP2008294124A (ja) 光半導体素子
JP2005510090A (ja) ブロードバンド・コミュニケーション・システムのための面発光dfbレーザ構造およびこの構造の配列
US6577660B1 (en) Distributed feedback type semiconductor laser device having gradually-changed coupling coefficient
JP5795126B2 (ja) 半導体レーザ素子、集積型半導体レーザ素子、および、半導体レーザ素子の製造方法
US4794608A (en) Semiconductor laser device
WO2019235235A1 (ja) 光送信機および多波長光送信機
JP6673137B2 (ja) 光変調器付き半導体レーザ装置
JP2002353559A (ja) 半導体レーザ及びその製造方法
US6825505B2 (en) Phase-shifted distributed feedback type semiconductor laser diode capable of improving wavelength chirping and external reflection return light characteristics
JP6761392B2 (ja) 半導体光集積素子
RU2540233C1 (ru) Инжекционный лазер с многоволновым модулированным излучением
JP7071646B2 (ja) 波長可変レーザ
JP2013168513A (ja) 半導体レーザおよび光半導体装置
US20220352692A1 (en) Optical Transmitter
JP2009295879A (ja) 半導体光機能素子とその製造方法および電界吸収型光変調器集積半導体レーザ
JP5163355B2 (ja) 半導体レーザ装置
JP2002057405A (ja) 半導体レーザ装置及びその製造方法
JP4074534B2 (ja) 半導体レーザ
JPH08274406A (ja) 分布帰還型半導体レーザ装置及びその製造方法
EP4037114B1 (en) Optical transmitter
US20240047941A1 (en) Wavelength Tunable Optical Transmitter
JP2012146761A (ja) 半導体レーザ及び光半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190305

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6673137

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250