JP2009295879A - 半導体光機能素子とその製造方法および電界吸収型光変調器集積半導体レーザ - Google Patents

半導体光機能素子とその製造方法および電界吸収型光変調器集積半導体レーザ Download PDF

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Abstract

【課題】素子抵抗を小さくすることができ、低反射率を得ることが可能な半導体光機能素子とその製造方法および電界吸収型光変調器集積半導体レーザを提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体光機能素子10では、所定波長の光を射出する半導体レーザ部11と、半導体レーザ部と同一基板上に形成され、側面が所定の曲率で湾曲した逆メサ形状の光導波路17を有する電界吸収型変調部13と、を設けた。本発明によれば、逆メサ形状を有する導波路を形成することにより素子抵抗を小さくすることができ、かつ、逆メサ形状を有する導波路の側面が湾曲しているため、端面での反射戻り光が導波路に再入射しなくなり、反射率の低減が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体光機能素子とその製造方法および電界吸収型光変調器集積半導体レーザに関する。
現在の光通信においては、高速化および大容量化に対応するため、伝送速度10Gbpsの光通信システムが急速に普及しており、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)化が進んでいる。また、1チャンネルあたりの伝送速度を高速化した、40Gbpsのシステムも立ち上がりつつある。
そのような高速・大容量の光通信システムで使用される光源として、例えば、電界吸収型(Electro Absorption:EA)変調器を集積した半導体レーザ(Electro absorption Modulated Laser:EML)が開発されている。
このようなEML900は、例えば図13に示したように、所定波長の光を射出する半導体レーザ部901と、半導体レーザ部901から射出された光を変調するEA変調器部903と、を備える。通常、半導体レーザ部901の電極と、EA変調器部903の電極とは、電極分離領域905によって分離されている。
通常、EML900の半導体レーザ部901として、共振器の反射面の代わりに回折格子を素子内に作り込んだ分布帰還型(Distributed FeedBack:DFB)レーザが用いられる。このDFBレーザは、回折格子により特定の波長のみが選択されるため、安定した単一波長発振を行うことができるという特徴を有する。
このようなEMLの技術的な問題の一つとして、EA変調器前端面での反射率の低減がある。EA変調器部903の出射側の端面(以下、出射端面とも称する。)907の反射率が低減されていない場合、半導体レーザ部901から出射しEA変調器部903で変調された変調光が出射端面907において反射してしまい、戻り光として半導体レーザ部901に戻ってきてしまうことがある。この戻り光の揺らぎの影響により、半導体レーザ部901の活性層のキャリア密度が変化して、屈折率が変化してしまう。この屈折率の変化により、半導体レーザ部901から射出される光には、波長チャープが生じることとなる。波長チャープが大きくなると、信号波形に歪みが生じ、伝送特性が劣化してしまう。そのため、EA変調器端面での反射率は、例えば0.01%以下と、十分に小さな値とすることが重要となる。
この問題を解決するために、例えば、無反射(Anti−Reflection:AR)コーティングを施す方法や、選択成長を用いてEA変調器部とDFBレーザ部とを一括形成し、かつ、その遷移領域をDFBレーザ部の活性領域とすることでEA変調器部とDFBレーザ部との境界における反射を抑制する方法(例えば、特許文献1を参照。)等が提案されている。
また、別な方法としては、例えば、EA変調器部の端面に低反射コーティングおよび窓構造を導入する方法(例えば、非特許文献1を参照。)や、EA変調器領域をMOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:金属有機気相エピタキシー)選択成長を用いた曲がり導波路とすることで、反射率を低減させる方法(例えば、特許文献2を参照。)が提案されている。
さらに、曲がり導波路を用いずに変調帯域を拡大する方法として、例えば、リッジ導波路の側面を(111)A面からなる逆メサ形状にすることで、素子抵抗の低減を図る方法(例えば、特許文献3を参照。)が提案されている。
特開2000−228558号公報 特開平11−46040号公報 特開2002−204030号公報 加藤友章、佐々木達也、山口昌幸、小松啓郎、北村光弘、「バンドギャップ制御選択MOVPE成長を用いた窓構造光変調器/DFBレーザ集積化光源」、信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE.、MW94−32、OPE94−25(1994−06)
しかしながら、ARコーティングのみを施す方法を用いたとしても、再現性良く反射率を制御できるのは0.1%程度までであり、再現性良く0.01%以下の反射率を得ることは困難である。
また、特許文献1に記載の方法では、EA変調器部とDFBレーザ部とをMOVPE選択成長により一括して結晶成長させるため、EA変調器部およびDFBレーザ部それぞれの構造の設計自由度が制限されてしまうという問題があった。
さらに、非特許文献1に記載の方法では、窓構造を設けているため、光導波路の端面近傍で屈折率が変化しており、十分な結合効率が得られず、ファーフィールドパターン(Far Field Pattern)に歪みが発生するという問題があった。
また、特許文献2に記載の方法では、光導波路が順メサ形状となっており、キャパシタンスが大きくなって変調帯域が制限されてしまうという問題があった。順メサ形状を有する光導波路においてキャパシタンスを小さくするためには、EA変調器部の共振器長を短くすればよいが、共振器長と、素子抵抗や消光比とはトレードオフの関係であり、素子抵抗を小さく抑え、十分な消光比を得ることが困難となる。
また、光導波路を曲がり導波路として形成すると、エッチング面が異なる面方位が現れる。そのため、特許文献3に記載された方法で逆メサ形状を有する光導波路を形成する際に、曲がり角度が大きくなると、サイドエッチングが生じ、導波路を形成できなくなるという問題があった。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、素子抵抗を小さくすることができ、低反射率を得ることが可能な、新規かつ改良された半導体光機能素子とその製造方法および電界吸収型光変調器集積半導体レーザを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、所定波長の光を射出する半導体レーザ部と、前記半導体レーザ部と同一基板上に形成され、側面が所定の曲率で湾曲した逆メサ形状の光導波路を有する電界吸収型変調部と、を備える半導体光機能素子が提供される。
かかる構成によれば、半導体レーザ部は、所定波長の光を射出し、半導体レーザ部から射出された光は、半導体レーザ部と同一基板上に形成された電界吸収型変調部に入射する。電界吸収型変調部では、入射した光を変調して、射出する。ここで、本発明に係る電界吸収型変調部の光導波路は、逆メサ形状を有するため電界吸収型変調部の素子抵抗を小さくすることができる。また、本発明に係る電界吸収型変調部の光導波路は、側面が湾曲しているため、光の出射方向が出射端面に対して垂直な方向ではなくなる。そのため、電界吸収型変調部の出射端面において反射した反射光が光導波路に再入射することがなく、結果的に、半導体光機能素子の反射率を低減させることができる。
前記光導波路は、当該光導波路の出射端面の幅が前記光導波路の前記半導体レーザ部側の端面の幅よりも広いテーパ形状を有するように構成されてもよい。
前記光導波路の出射端面には、側面が湾曲していない直線状の光導波路が更に接続されてもよい。
前記光導波路の曲率半径Rは、当該光導波路を出射する光の出射方向と前記光導波路の出射端面の法線とのなす角をθとし、前記光導波路の長さをLとした場合に、以下の式1で表される値であってもよい。
Figure 2009295879
前記側面が所定の曲率で湾曲した逆メサ形状の光導波路の曲率半径Rは、当該湾曲した逆メサ形状の光導波路を出射する光の出射方向と前記湾曲した逆メサ形状の光導波路の出射端面の法線とのなす角をθとし、前記湾曲した逆メサ形状の光導波路の長さをLとし、前記直線上の光導波路の長さをLsとした場合に、以下の式2で表される値であってもよい。
Figure 2009295879
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、所定波長の光を射出する半導体レーザ部と、前記半導体レーザ部から射出された光を変調する電界吸収型変調部と、を備える半導体光機能素子の製造方法であって、所定の基板上にグレーティングを形成した後に、前記半導体レーザ部の活性層を積層するステップと、前記グレーティングの一部および前記活性層の一部を除去するステップと、前記グレーティングおよび前記活性層の一部が除去された部分に、前記電界吸収型変調部の吸収層を積層するステップと、前記活性層および前記吸収層上にクラッド層を形成するステップと、側面が所定の曲率で湾曲した逆メサ形状の光導波路をエッチングにより形成するステップと、を含む半導体光機能素子の製造方法が提供される。
前記光導波路をエッチングにより形成するステップでは、HClを含むエッチング液を用いることが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、所定波長の光を射出する半導体レーザ部と、前記半導体レーザ部と同一基板上に形成され、側面が所定の曲率で湾曲した逆メサ形状の光導波路を有する電界吸収型変調部と、を備える電界吸収型光変調器集積半導体レーザが提供される。
本発明によれば、逆メサ形状を有する導波路を形成することにより素子抵抗を小さくすることができ、かつ、逆メサ形状を有する導波路の側面を湾曲させることで、低反射率を得ることが可能である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
<半導体光機能素子の構造について>
まず、図1〜図5を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る半導体光機能素子10の構造について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る半導体光機能素子10の構造を説明するための斜視図である。図2は、図1をA−A切断線で切断した場合の断面図である。図3は、図1をB−B切断線で切断した場合の断面図である。図4および図5は、本実施形態に係る湾曲光導波路について説明するための説明図である。
なお、以下に説明するように、本実施形態に係る湾曲光導波路は、逆メサ形状を有するが、本明細書では、図4に示すように、逆メサ形状に関する用語を定義する。すなわち、図4に示したように、逆メサ形状の上部端面19をメサトップと称することとし、逆メサ形状の下部端面21をメサボトムと称することとする。また、図4に示したように、逆メサ形状の下部端面と側面とのなす角をメサ角度φと称することとする。
図1に示したように、本実施形態に係る半導体光機能素子10は、所定波長の光を射出する半導体レーザ部11と、半導体レーザ部11から射出された光を変調する電界吸収型変調部(以下、EA変調部とも称する。)13と、を備える。また、図1に示したように、半導体レーザ部11の電極と、EA変調部13の電極とは、電極分離領域15によって分離されている。また、半導体レーザ部11、電極分離領域15およびEA変調部13には、光導波路(リッジ導波路)17が形成されている。
本実施形態に係る半導体光機能素子10では、半導体レーザ部11、EA変調部13および電極分離領域15は、同一の基板上(図1における、基板101上)に集積されており、半導体レーザ部11と、光導波路17とは、バットジョイント構造となっている。
また、本実施形態に係る半導体光機能素子10のEA変調部13側の端部(図1におけるx軸正方向側の端部)には、ARコーティング135が施されており、半導体光機能素子10の半導体レーザ11側の端部(図1におけるx軸負方向側の端部)には、HR(High−Reflection)コーティング137が施されている。
[半導体レーザ部の構造について]
半導体レーザ部11は、例えば、DFBレーザから構成されており、例えば図1に示したように、n型にドープされたInP基板(以下、n−InP基板と略記する。)101上に形成された活性層103と、クラッド層113と、電極と、を主に備える。以下では、図2を参照しながら、本実施形態に係る半導体レーザ部11の構造について、詳細に説明する。
n−InP基板101上には、未図示のグレーティングが形成されており、この基板101上に、活性層103が形成される。活性層103は、図2に示したように、SCH(Separate Confinement Heterostructure:分離閉じ込めヘテロ構造)層107と、SCH層107上に形成されるMQW(Multiple Quantum Well:多重量子井戸)層109と、MQW層109上に形成されるSCH層111と、からなる。
ここで、上記SCH層107,111は、例えば、InGaAsPを用いて形成することが可能である。また、MQW層109は、例えば、圧縮歪みInGaAsP井戸層と、引張歪みInGaAsPバリア層とが交互に複数存在する層である。
また、SCH層111上には、クラッド層113としてp型にドープされたInP(以下、p−InPと略記する。)が積層されており、クラッド層113上には、コンタクト層115として、p型にドープされたInGaAs(以下、P−InGaAsと略記する。)が積層される。
クラッド層113およびコンタクト層115には、図2に示したように、断面が略台形形状となる空隙119が図2のx軸方向に沿って形成されている。なお、この空隙119の下端(z軸負方向側の下端)は、SCH層111に達している。また、この空隙119により、クラッド層113およびコンタクト層115の略中央部分には、逆メサ形状のリッジ部が存在することとなる。この逆メサ形状のリッジ部分が、半導体レーザの励起領域となる。
また、コンタクト層115および空隙119上には、マスク層としてSiO層117が形成されており、SiO層117が形成された空隙119内には、ポリイミドが充填される。
図2に示したように、SiO層117およびポリイミド上には、SiN層121が形成されており、逆メサ形状のリッジ部上には、SiN層121ではなく、p−オーミック電極123が形成される。p−オーミック電極123は、例えば、Au/AuZn/Auを用いて形成することが可能である。また、p−オーミック電極123上には、ボンディング電極として、p−電極125が形成される。p−電極125は、例えば、Ti/Pt/Tiを用いて形成することが可能である。
また、n−InP基板101の活性層103が形成されていない側の面には、n−電極127が形成されている。このn−電極127は、例えば、n−InP基板101に近い側から順に、n−オーミック電極と、n−ボンディング電極とから構成される。n−オーミック電極は、例えば、AuGeNi/Auを用いて形成することが可能であり、n−ボンディング電極は、例えば、Ti/Auを用いて形成することが可能である。
ここで、p−電極125とn電極127との間に所定の電圧が印加されることにより、活性層103内でレーザの発振が生じ、所定の単一波長の光が照射される。
[EA変調部の構造について]
再び図1に戻り、続いて、EA変調部13および電極分離領域15の構造について説明する。EA変調部13および電極分離領域15は、例えば図1に示したように、InP基板101上に形成された吸収層105と、クラッド層113と、電極と、を主に備える。以下では、図3を参照しながら、本実施形態に係るEA変調部13の構造について、詳細に説明する。
n−InP基板101上には、未図示のグレーティングが形成されており、この基板101上に、吸収層105が形成される。吸収層105は、図3に示したように、SCH層129と、SCH層129上に形成されるMQW層131と、MQW層131上に形成されるSCH層133と、からなる。
ここで、上記SCH層129,133は、例えば、InGaAsPを用いて形成することが可能である。また、MQW層131は、例えば、圧縮歪みInGaAsP井戸層と、引張歪みInGaAsPバリア層とが交互に複数存在する層である。
また、SCH層129上には、クラッド層113としてp型にドープされたInP(以下、p−InPと略記する。)が積層されており、クラッド層113上には、コンタクト層115として、p型にドープされたInGaAs(以下、P−InGaAsと略記する。)が積層される。
クラッド層113およびコンタクト層115には、図3に示したように、断面が略台形形状となる空隙119が図3のx軸方向に沿って形成されている。ここで、空隙119は、直線状に形成されているわけではなく、所定の曲率を有するように湾曲している。なお、この空隙119の下端(z軸負方向側の下端)は、SCH層133に達している。また、この空隙119により、クラッド層113およびコンタクト層115の略中央部分には、逆メサ形状のリッジ部が存在することとなる。また、EA変調部13における空隙119は、所定の曲率を有するように湾曲しているため、この逆メサ形状のリッジ部も湾曲することとなる。この逆メサ形状の湾曲したリッジ部近傍の吸収層105が、光導波路17として機能する。
また、コンタクト層115および空隙119上には、マスク層としてSiO層117が形成されており、SiO層117が形成された空隙119内には、ポリイミドが充填される。
図3に示したように、SiO層117およびポリイミド上には、SiN層121が形成されており、逆メサ形状のリッジ部上には、SiO層117およびSiN層121ではなく、p−オーミック電極123が形成される。p−オーミック電極123は、例えば、Au/AuZn/Auを用いて形成することが可能である。また、p−オーミック電極123上には、ボンディング電極として、p−電極125が形成される。p−電極125は、例えば、Ti/Pt/Tiを用いて形成することが可能である。
また、n−InP基板101の吸収層105が形成されていない側の面には、n−電極127が形成されている。このn−電極127は、例えば、n−InP基板101に近い側から順に、n−オーミック電極と、n−ボンディング電極とから構成される。n−オーミック電極は、例えば、AuGeNi/Auを用いて形成することが可能であり、n−ボンディング電極は、例えば、Ti/Auを用いて形成することが可能である。
続いて、図5を参照しながら、本実施形態に係る逆メサ形状の湾曲した光導波路(以下、湾曲導波路とも称する。)17について、詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る湾曲導波路17を上面から見た説明図である。
図5に示したように、本実施形態に係る湾曲導波路17は、EA変調部13における光導波路と、電極分離領域15における光導波路とから構成されており、所定の曲率を有するように導波路17の側面が湾曲している。
ここで、本実施形態に係る湾曲導波路17の湾曲の度合いを示す量として、図5に示した曲がり角度θを挙げることができる。この曲がり角度θは、図5に示したように、湾曲導波路17から出射する変調光の出射方向と、湾曲導波路17において変調光が出射する端面(以下、出射端面と称する。)の法線方向とのなす角として定義される。
また、湾曲導波路17の曲率半径Rは、湾曲導波路17の曲がり角度θと、導波路長Lとを用いて、以下の式1のように表される。なお、導波路長は、湾曲導波路の湾曲に沿った長さとすることも可能であるが、後述するように曲がり角度θは10°程度と微小な角度であり、図5に示したように、x軸方向に平行な長さとみなすことができる。
Figure 2009295879
本実施形態に係る湾曲導波路17を実際に製造する際には、例えば、要求される周波数応答特性に応じて導波路長Lおよび曲がり角度θを決定し、式1に応じて湾曲導波路17の曲率半径Rを決定することができる。
半導体光機能素子10のEA変調部13を湾曲導波路とすることで、EA変調部13の出射端面における反射戻り光が低減される。これは、図5に示したように、変調光の入射角(=曲がり角度)=反射角の関係にあり、出射端面で反射された光が湾曲導波路17に再入射しづらくなるためである。これにより、実効的な反射率が低減されることとなる。
<半導体光機能素子の動作について>
続いて、前述のような構造を有する半導体光機能素子の動作について、以下で簡単に説明する。
本実施形態に係る半導体光機能素子10の半導体レーザ部11から発振したレーザ光出力は、EA変調部13で変調され、変調された光がARコーティングの施されたEA変調部13の出射端面から出射する。この際、本実施形態に係るEA変調部13の光導波路17は、変調光の出射方向と出射端面の法線とのなす角度がθである湾曲導波路となっているため、出射端面で反射された光が半導体レーザ部11に戻ることがなく、実効的な端面反射率が低減される。
<半導体光機能素子の製造方法について>
続いて、図6を参照しながら、本実施形態に係る半導体光機能素子の製造方法について、詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る半導体光機能素子の製造方法を説明するための流れ図である。
まず、n−InP基板101上に、干渉露光法や電子ビーム(Electron Beam)描画法を用いて、グレーティング(回折格子)を形成する(ステップS101)。その後、半導体レーザ部11の活性層103として、所望のレーザ特性が得られるように、SCH層107、MQW層109およびSCH層111を、MOVPE法を用いて結晶成長させる(ステップS103)。ここで、SCH層107,111は、例えば、InGaAsPを用いて形成する。また、MQW層109の形成は、圧縮歪みInGaAsP井戸層と引張歪みInGaAsPバリア層とを交互に複数層形成することで行う。このようにして形成したSCH層109,111およびMQW層109が、DFBレーザの活性層103となる。
次に、公知のドライエッチングおよびウェットエッチング技術を用いて、EA変調部13を形成するために、半導体レーザ部11の不要な部分を除去する(ステップS105)。より詳細には、グレーティングおよび活性層103の一部を除去して、EA変調部13を製造する部分とする。
続いて、半導体レーザ部11の不要な部分が除去された箇所に、EA変調部13の吸収層105として所望の特性が得られるように、SCH層129、MQW層131およびSCH層133を順に結晶成長させる(ステップS107)。ここで、SCH層129,133は、例えば、InGaAsPを用いてMOVPE法により形成する。また、MQW層131の形成は、MOVPE法を用いて、圧縮歪みInGaAsP井戸層と引張歪みInGaAsPバリア層とを交互に複数層形成することで行う。このようにして形成したSCH層129,133およびMQW層131と、後述のステップで形成されるクラッド層113の一部が、EA変調部13の吸収層105となる。
続いて、半導体レーザ部11の活性層103およびEA変調部13の吸収層105の上に、クラッド層113として、p−InPをMOVPE法により結晶成長させ、その後、コンタクト層115として、p−InGaAsをMOVPE法により結晶成長させる(ステップS109)。
続いて、本実施形態に係る湾曲導波路17を形成する(ステップS111)。ここで、従来のようにMOVPE選択成長法を用いた場合、導波路層成長と同時にSiOマスクの開口幅で決まる幅を持った導波路が形成される。他方、本実施形態に係る半導体光機能素子のようにバットジョイント構造を用いた場合には、導波路層の成長後に、エッチングによって導波路を形成する必要がある。
そこで、まず、結晶成長後の基板に、P−CVD(Plasma−Chemical Vapoor Deposition:プラズマ化学気相堆積)法を用いて、SiO膜117を成膜する。次に、公知のフォトリソグラフィ技術を利用して、湾曲導波路のマスクパターンをSiO膜117に転写する。続いて、SiO膜117をマスクとして、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)法を用い、更に、HClとHOの混合エッチング液を用いて、リッジ形成を行う。
前述の混合エッチング液は、InP−InGaAsP系でのエッチングレートの選択性が良く、SCH層111,133でエッチングが停止し、活性層幅および吸収層幅の幅制御を確実に行うことが可能である。すなわち、本エッチング液を使用することで、直線形状を有するフォトマスクが用いられている部分では、ほぼ垂直な側壁を有する導波路を形成することが可能である。また、所望の導波路幅を得るためには、フォトマスク幅を変更すればよい。
ここで、本実施形態に係る湾曲導波路では、導波路が所定の面方位を有する方向から湾曲するにつれて、ほぼ垂直な側壁から逆メサ形状を有する側壁へと変化していく。すなわち、図5に示した湾曲導波路17の電極分離領域15側の端部では、側壁はほぼ垂直となっているが、EA変調部13側の端部へと進み、曲がり角度θが大きくなるにつれて、メサ角度φが大きくなり、断面形状が逆メサ形状へと変化していく。
ここで、吸収層幅を一定に維持するためには、メサトップ幅(すなわち、マスク幅)を出射端面に向かって広がるテーパ状にすればよい。また、本実施形態に係る半導体光機能素子10は、バットジョイント構造を採用しているため、活性層103および吸収層105の幅を、それぞれ独立に制御することが可能である。
このような処理を行うことにより、湾曲したリッジ導波路が形成され、導波路の両側には、空隙19が形成されることとなる。この空隙19にポリイミドを充填した後、電極の形成を行う(ステップS113)。より詳細には、SiN膜121を成膜した上で、リフトオフ技術により、リッジ導波路上にp−オーミック電極123を形成する。このp−オーミック電極123は、例えば、Au/AuZn/Auを用いて形成する。続いて、半導体レーザ部11およびEA変調部13の電極を分離して電極分離領域15を形成した後、p−電極125を形成する。このp−電極125は、例えば、Ti/Pt/Auを用いて形成する。さらに、n−InP基板101の裏面を研磨した上で、AuGeNi/Auを用いてn−オーミック電極を形成し、続いて、Ti/Auを用いてn−ボンディング電極を形成する。これらn−オーミック電極およびn-ボンディング電極が、n−電極127に相当する。
次に、半導体光機能素子10の前端面(すなわち、図1におけるx軸正方向側の端面)にARコーティング129を行い、後端面(すなわち、図1におけるx軸負方向側の端面)にHRコーティング131を行う(ステップS115)。
このような製造方法を経ることで、本実施形態に係る半導体光機能素子10を製造することが可能である。
<半導体光機能素子10に関するシミュレーション>
以上説明したような半導体光機能素子10における反射率を検証するために、BPM法(Beam Propagation Method:ビーム伝搬法)を用いたシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、湾曲導波路17の導波路長L(図5に示した導波路長L)を約150μm(EA変調部13:100μm、電極分離領域15:50μm)と設定し、曲がり角度θを変更しながら、反射率の変化を算出した。なお、導波路長L=150μmは、40GHz程度の周波数応答特性に対応した導波路長である。このシミュレーションにより得られた結果を、図7に示す。
図7は、BPM法により算出した端面反射率の曲がり角度依存性を示したグラフ図である。図7の横軸は、曲がり角度θ[°]を表しており、縦軸は、曲がり角度θ=0°の際(すなわち、直線導波路)における反射率を基準とした反射率の比を、dB単位で表したものである。
図7から明らかなように、曲がり角度θが増加するにつれて反射率の低減が生じていることがわかる。また、図7より、曲がり角度θが7°以上となれば、dBで表示した反射率の値が−10以下となることがわかる。dBで表示した反射率が−10以下であるということは、本実施形態に係る湾曲導波路17の曲がり角度θを7°以上にすることで、本実施形態に係る湾曲導波路17の反射率が、直線導波路の1/10以下となることを表している。
端面反射率の大きさは、半導体光機能素子の応答特性に大きく依存しており、端面反射率の低減を図ることで、素子の応答特性を向上させることが可能である。本実施形態に係る半導体レーザ部11およびEA変調部13は、バットジョイント結合とエッチングにより形成された導波路を備えることにより、従来のMOVPE法により形成された導波路に比べて、高速応答に適したリッジ導波路となっていることがわかる。
また、本実施形態に係る湾曲導波路17は、曲がり角度θに依存してメサ角度φが変化する逆メサ形状を有しているため、半導体光機能素子のキャパシタンスを維持するために吸収層105の幅を一定にした際に、メサトップの面積は、メサボトムの面積(すなわち、当接している吸収層の面積)よりも大きくなる。ここで、電極とのコンタクト面積(すなわち、メサトップの面積)が大きくなることで素子抵抗は小さくなり、メサボトムの面積が小さくなることで素子容量も小さくなる。その結果、半導体光機能素子の変調帯域を拡大させることが可能となる。
なお、前述の特許文献3に示したような(111)A面からなる逆メサ構造で湾曲導波路を形成すると、曲がり角度の増大とともにサイドエッチングが進行し、導波路が形成できなくなるが、本実施形態に係る製造方法を用いることで、断面が逆メサ形状の湾曲導波路を形成することが可能となる。
また、本実施形態に係る半導体光機能素子10ではバットジョイント結合を採用しているため、半導体レーザ部11およびEA変調部13それぞれの組成を、独立に変化させることが可能である。これにより、デチューニング量やMQW層数等を独立に制御することが可能となり、素子の設計自由度が大きく増すこととなる。
(第2の実施形態)
<半導体光機能素子の構造について>
本発明の第1の実施形態では、バットジョイント構造を採用した湾曲導波路17による、半導体光機能素子の端面反射率の低減について説明したが、以下では、本発明の第2の実施形態として、湾曲導波路に出射端面側に向かって徐々に導波路幅が広がるテーパ構造を導入した場合について、詳細に説明する。
なお、本実施形態に係る半導体光機能素子は、本発明の第1の実施形態に係る半導体光機能素子の湾曲導波路の形状を変更したものであって、本実施形態に係る半導体光機能素子の層構造は、第1の実施形態における層構造と同様であるため、層構造に関する説明は省略する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る半導体光機能素子10の湾曲導波路27を説明するための説明図である。本実施形態に係る湾曲導波路27は、例えば図8に示したように、EA変調部13における光導波路と、電極分離領域15における光導波路とから構成されており、所定の曲率を有するように導波路27の側面が湾曲している。また、本実施形態に係る湾曲導波路27では、EA変調部13側の端面(出射端面)の幅である導波路幅W2が、電極分離領域15側の端面の幅である導波路幅W1よりも長く、導波路幅がW1からW2へと徐々に変化するテーパ形状を有している。
本実施形態に係る湾曲導波路27では、出射端面側に向かって導波路幅が広がるテーパ構造を導入することで、逆メサ形状を有する湾曲導波路により得られる効果に加え、更なる反射率の低減が可能となる。すなわち、テーパ構造により出射端面側の導波路幅が広がると、導波路幅の拡大に伴いニアフィールドパターン(Near Field Pattern:NFP)が大きくなり、端面での反射光がクラッド層に染み出しやすくなる。その結果として、出射端面における反射率が実効的に低減する。
<半導体光機能素子の動作について>
続いて、前述のような構造を有する半導体光機能素子の動作について、以下で簡単に説明する。
本実施形態に係る半導体光機能素子10の半導体レーザ部11から発振したレーザ光出力は、EA変調部13で変調され、変調された光がARコーティングの施されたEA変調部13の出射端面から出射する。この際、本実施形態に係るEA変調部13の光導波路27は、変調光の出射方向と出射端面の法線とのなす角度がθである湾曲導波路となっているため、出射端面で反射された光が半導体レーザ部11に戻ることがなく、実効的な端面反射率が低減される。また、前述のように、本実施形態に係る湾曲導波路27は、出射端面側に向かって導波路幅が拡大するテーパ構造を有しているため、端面反射率を更に低減することが可能となる。
<半導体光機能素子の製造方法について>
本実施形態に係る半導体光機能素子の製造方法は、本発明の第1の実施形態に係る半導体光機能素子の製造方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態に係る半導体光機能素子の電界吸収型変調部を製造するに当たっては、図8に示したテーパ形状を有するフォトマスクを用いて、光導波路の形成処理を行えばよい。
<半導体光機能素子10に関するシミュレーション>
以上説明したような半導体光機能素子10における反射率およびNFPの変化を検証するために、BPM法を用いたシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、湾曲導波路27の導波路長L(図8に示した導波路長L)を約150μmと設定し、導波路幅W1,W2を所定の値に設定した上で曲がり角度θを変更しながら、反射率およびNFPの変化を算出した。このシミュレーションにより得られた結果を、図9Aおよび図9Bに示す。
図9Aは、BPM法により算出した端面反射率の曲がり角度依存性を示したグラフ図である。図9Aの横軸は、曲がり角度θ[°]を表しており、縦軸は、曲がり角度θ=0°の際(すなわち、直線導波路)における反射率を基準とした反射率の比を、dB単位で表したものである。
図9Bは、BPM法により算出したNFPの半値全幅の曲がり角度依存性を示したグラフ図である。図9Bの横軸は、曲がり角度θ[°]を表しており、縦軸は、NFPの半値全幅をμm単位で表したものである。
なお、図9Aおよび図9Bでは、導波路幅が一定のもの(すなわち、W1=W2のもの)、導波路幅が出射端面側に向かって拡大するもの(すなわち、W1<W2のもの)、および、導波路幅が出射端面側に向かって縮小するもの(すなわち、W1>W2のもの)におけるシミュレーション結果を図示している。ここで、図9Aおよび図9Bにおける「1.5to2.5」が、W1<W2の場合に相当しており、W1=1.5μm、W2=2.5μmと設定したことを示している。同様に、図9Aおよび図9Bにおける「2.5to1.5」が、W1>W2の場合に相当しており、W1=2.5μm、W2=1.5μmと設定したことを示している。これから明らかなように、「1.5to1.5」が、本発明の第1の実施形態に係る湾曲導波路17に該当しており、「1.5to2.5」が、本実施形態に係る湾曲導波路27に該当している。
図9Aを参照すると、本発明の第1の実施形態において示したように、導波路幅が1.5μmで一定の場合には、曲がり角度θが7°以上であれば、端面反射率が−10dB以下となることがわかる。また、入射端面から出射端面に向かって導波路幅が拡大する場合であっても、逆に縮小する場合であっても、曲がり角度θが大きくなるにつれて、端面反射率は低下していくことがわかる。しかしながら、導波路幅が縮小する場合には、導波路幅が一定の場合よりも端面反射率の低減は小さくなっている。また、本実施形態に係る湾曲導波路27のように、導波路幅が拡大する場合には、導波路幅が一定の場合よりも端面反射率の低下度合いは大きくなり、曲がり角度θが6°程度で、端面反射率が−10dB以下となることがわかる。
また、図9Bを参照すると、導波路幅が拡大するテーパ構造を導入した場合には、NFPの半値全幅が大きくなっており、曲がり角度θには大きく依存していないことがわかる。このNFPの増加により、図9Aに示したような端面反射率の低減が実現できていることがわかる。
ここで、ARコーティングにより現実的に制御できる端面反射率は0.1%程度であるが、本実施形態に係る湾曲導波路27を用いることで、実効的な端面反射率として、0.01%以下とすることが可能となる。すなわち、ARコーティングによる反射率が0.1%程度の制御性であっても、湾曲導波路という構造を用いることで、1桁小さい0.01%以下の端面反射率を再現性良く得ることが可能となる。
(第3の実施形態)
本発明の第1の実施形態および第2の実施形態では、バットジョイント構造を採用した湾曲導波路17,27による、半導体光機能素子の端面反射率の低減について説明したが、以下では、本発明の第3の実施形態として、湾曲導波路に直線領域を設けることで、へき開誤差に起因する曲がり角度θの変化を抑制する方法について、詳細に説明する。
<湾曲導波路のへき開誤差について>
まず、図14を参照しながら、へき開誤差に起因する曲がり角度θの変化について、簡単に説明する。図14は、湾曲導波路の曲がり角度とへき開誤差について説明するための説明図である。
図14に示したような湾曲導波路において、変調光の出射端面でへき開誤差が生じてしまい、導波路長が予定よりも短くなってしまった場合を考える。導波路が所定の曲率を有するように湾曲しているため、へき開誤差が生じしてしまうと、曲がり角度θが変化してしまう。図14に示した場合には、へき開誤差が生じて導波路長が短くなることで、本来設計していた曲がり角度θ1から曲がり角度θ2へと、曲がり角度が小さくなってしまうことが予想される。曲がり角度が変化してしまうと、レーザ光の出射角度が変化してしまうだけでなく、出射端面における実効的な反射率が変化してしまうことになる。
そのため、本実施形態に係る半導体光機能素子では、湾曲導波路に直線領域を設けることで、へき開誤差に起因する曲がり角度θの変化を抑制する。
<半導体光機能素子の構造について>
本実施形態に係る半導体光機能素子は、本発明の第2の実施形態に係る半導体光機能素子の湾曲導波路の形状を変更したものであって、本実施形態に係る半導体光機能素子の層構造は、第1の実施形態および第2の実施形態における層構造と同様であるため、層構造に関する説明は省略する。
図10は、本発明の第3の実施形態に係る半導体光機能素子10の湾曲導波路37を説明するための説明図である。本実施形態に係る湾曲導波路37は、例えば図10に示したように、EA変調部13における光導波路と、電極分離領域15における光導波路とから構成されている。本実施形態に係る湾曲導波路37は、所定の曲率を有するように導波路37の側面が湾曲している湾曲領域と、導波路37の側面が湾曲していない直線領域との2つの部分から構成される。上記直線領域は、図10に示したように、湾曲領域の半導体レーザ部11側の端面とは反対側の端面に、湾曲領域から連続して設けられている。また、本実施形態に係る湾曲導波路37の湾曲領域では、EA変調部13側の端面の幅である導波路幅W2が、電極分離領域15側の端面の幅である導波路幅W1よりも長く、導波路幅がW1からW2へと徐々に変化するテーパ形状を有している。また、直線領域の導波路幅は、W2で一定である。
湾曲導波路37の曲率半径Rは、湾曲導波路37の曲がり角度θと、導波路長Lと、直線領域の長さLsとを用いて、以下の式2のように表される。
Figure 2009295879
本実施形態に係る湾曲導波路37においても、第2の実施形態の場合と同様に、出射端面側に向かって導波路幅が広がるテーパ構造を導入することで、逆メサ形状を有する湾曲導波路により得られる効果に加え、更なる反射率の低減が可能となる。すなわち、テーパ構造により出射端面側の導波路幅が広がると、導波路幅の拡大に伴いニアフィールドパターン(Near Field Pattern:NFP)が大きくなり、端面での反射光がクラッド層に染み出しやすくなる。その結果として、出射端面における反射率が実効的に低減する。
また、本実施形態に係る湾曲導波路37では、湾曲領域の出射端面側に直線領域が連続して設けられているため、へき開誤差が生じたとしても、曲がり角度θは変化せず、一定となる。そのため、へき開誤差に起因する変調光の出射方向の変化や、端面反射率の悪化を抑制することが可能となり、へき開誤差による歩留まりの低下を回避することができる。
<半導体光機能素子の動作について>
続いて、前述のような構造を有する半導体光機能素子の動作について、以下で簡単に説明する。
本実施形態に係る半導体光機能素子10の半導体レーザ部11から発振したレーザ光出力は、EA変調部13で変調され、変調された光がARコーティングの施されたEA変調部13の出射端面から出射する。この際、本実施形態に係るEA変調部13の光導波路37は、変調光の出射方向と出射端面の法線とのなす角度がθである湾曲導波路となっているため、出射端面で反射された光が半導体レーザ部11に戻ることがなく、実効的な端面反射率が低減される。また、前述のように、本実施形態に係る湾曲導波路37の湾曲領域は、出射端面側に向かって導波路幅が拡大するテーパ構造を有しているため、端面反射率を更に低減することが可能となる。さらに、湾曲領域の出射端面側に直線領域が連続して設けられているため、へき開誤差が生じたとしても曲がり角度θは変化せず、一定となる。
<半導体光機能素子の製造方法について>
本実施形態に係る半導体光機能素子の製造方法は、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態に係る半導体光機能素子の製造方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態に係る半導体光機能素子の電界吸収型変調部を製造するに当たっては、図10に示した形状を有するフォトマスクを用いて、光導波路の形成処理を行えばよい。
<半導体光機能素子10に関するシミュレーション>
以上説明したような半導体光機能素子10における反射率およびNFPの変化を検証するために、BPM法を用いたシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、湾曲導波路37の導波路長L(図10に示した導波路長L)を約150μmと設定し、導波路幅W1,W2を所定の値に設定した上で曲がり角度θを変更しながら、反射率およびNFPの変化を算出した。このシミュレーションにより得られた結果を、図11A〜図12Dに示す。
図11A〜図11Dは、BPM法により算出した端面反射率の曲がり角度依存性を示したグラフ図である。図11A〜図11Dの横軸は、曲がり角度θ[°]を表しており、縦軸は、曲がり角度θ=0°の際(すなわち、直線導波路)における反射率を基準とした反射率の比を、dB単位で表したものである。
図12A〜図12Dは、BPM法により算出したNFPの半値全幅の曲がり角度依存性を示したグラフ図である。図12A〜図12Dの横軸は、曲がり角度θ[°]を表しており、縦軸は、NFPの半値全幅をμm単位で表したものである。
図11A〜図12Dでは、直線領域の長さを0μm(すなわち、直線領域なし)から30μmまで10μmずつ変化させた場合のシミュレーション結果である。図11A〜図12Dを参照すると明らかなように、直線領域の長さを変化させても、端面反射率(図11A〜図11D)およびNFP(図12A〜図12D)には、ほとんど変化が見られない。これより、湾曲導波路37に直線領域を設けることで、へき開誤差に左右されずに、−10dBの端面反射率の低減が得られることがわかる。
以上説明したように、本発明の各実施形態に係る半導体光機能素子は、高速応答に適したリッジ構造を有しており、逆メサ構造を有することで、コンタクト面積を広くすることができ、素子抵抗を小さくすることができる。また、従来の半導体光機能素子とは異なり、いわゆる窓構造を設けることなく、低反射率を得ることが可能である。
また、EA変調部および電極分離領域における導波路を湾曲させることで、レーザ光の出射方向が出射端面に対して垂直な方向ではなくなるため、低反射率を得ることが可能である。
また、本発明の各実施形態に係る半導体光機能素子は、半導体レーザ部とEA変調部とをMOVPE法による選択成長で直接形成せずに、バットジョイント構造を採用して半導体レーザ部とEA変調部とを別個に形成するため、設計の自由度が大きい。
また、本発明の第3の実施形態に示したように、湾曲導波路の出射端面側に直線領域を連続して設けることで、へき開誤差に起因する様々な影響を抑制することが可能となる。
なお、上述の各実施形態では、半導体光機能素子の一例としてEMLを挙げながら説明を行ったが、本発明の各実施形態に係る湾曲導波路は、DFBレーザや、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier:SOA)等の全ての導波路構造を有する半導体機能素子に適用することが可能である。
また、本発明の第3の実施形態では、テーパ形状を湾曲領域にのみ適用した例について説明したが、直線領域を含めてテーパ形状にしてもよい。
また、本発明の第2の実施形態において説明したテーパ形状や、本発明の第3の実施形態において説明した直線領域は、MOVPE選択成長を用いて形成した湾曲導波路に対しても適用することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の第1の実施形態に係る半導体光機能素子の構造を説明するための斜視図である。 図1をA−A切断線で切断した場合の断面図である。 図1をB−B切断線で切断した場合の断面図である。 同実施形態に係る湾曲光導波路について説明するための説明図である。 同実施形態に係る湾曲光導波路について説明するための説明図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子の製造方法を説明するための流れ図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体光機能素子の湾曲導波路を説明するための説明図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体光機能素子の湾曲導波路を説明するための説明図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 同実施形態に係る半導体光機能素子のシミュレーション結果を示したグラフ図である。 従来の半導体光機能素子の構造を説明するための斜視図である。 湾曲導波路の曲がり角度とへき開誤差について説明するための説明図である。
符号の説明
10 半導体光機能素子
11 半導体レーザ部
13 電界吸収型変調部
15 電極分離領域
17,27,37 湾曲導波路
19 メサトップ
21 メサボトム
101 n−InP基板
103 活性層
105 吸収層
107,111,129,133 SCH層
109,131 MQW層
113 クラッド層
115 コンタクト層
117 SiO
119 空隙
121 SiN層
123 p−オーミック電極
125 p−電極
127 n−電極
135 ARコーティング
137 HRコーティング

Claims (8)

  1. 所定波長の光を射出する半導体レーザ部と、
    前記半導体レーザ部と同一基板上に形成され、側面が所定の曲率で湾曲した逆メサ形状の光導波路を有する電界吸収型変調部と、
    を備えることを特徴とする、半導体光機能素子。
  2. 前記光導波路は、当該光導波路の出射端面の幅が前記光導波路の前記半導体レーザ部側の端面の幅よりも広いテーパ形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の半導体光機能素子。
  3. 前記光導波路の出射端面には、側面が湾曲していない直線状の光導波路が更に接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体光機能素子。
  4. 前記光導波路の曲率半径Rは、当該光導波路を出射する光の出射方向と前記光導波路の出射端面の法線とのなす角をθとし、前記光導波路の長さをLとした場合に、以下の式1で表される値であることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体光機能素子。
    Figure 2009295879
  5. 前記側面が所定の曲率で湾曲した逆メサ形状の光導波路の曲率半径Rは、当該湾曲した逆メサ形状の光導波路を出射する光の出射方向と前記湾曲した逆メサ形状の光導波路の出射端面の法線とのなす角をθとし、前記湾曲した逆メサ形状の光導波路の長さをLとし、前記直線上の光導波路の長さをLsとした場合に、以下の式2で表される値であることを特徴とする、請求項3に記載の半導体光機能素子。
    Figure 2009295879
  6. 所定波長の光を射出する半導体レーザ部と、前記半導体レーザ部から射出された光を変調する電界吸収型変調部と、を備える半導体光機能素子の製造方法であって、
    所定の基板上にグレーティングを形成した後に、前記半導体レーザ部の活性層を積層するステップと、
    前記グレーティングの一部および前記活性層の一部を除去するステップと、
    前記グレーティングおよび前記活性層の一部が除去された部分に、前記電界吸収型変調部の吸収層を積層するステップと、
    前記活性層および前記吸収層上にクラッド層を形成するステップと、
    側面が所定の曲率で湾曲した逆メサ形状の光導波路をエッチングにより形成するステップと、
    を含むことを特徴とする、半導体光機能素子の製造方法。
  7. 前記光導波路をエッチングにより形成するステップでは、HClを含むエッチング液が用いられることを特徴とする、請求項6に記載の半導体光機能素子の製造方法。
  8. 所定波長の光を射出する半導体レーザ部と、
    前記半導体レーザ部と同一基板上に形成され、側面が所定の曲率で湾曲した逆メサ形状の光導波路を有する電界吸収型変調部と、
    を備えることを特徴とする、電界吸収型光変調器集積半導体レーザ。
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