JP2018065674A - 媒体搬送装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジャム発生時の操作性を向上可能な媒体搬送装置を提供する。【解決手段】印刷装置は、カードを搬送する搬送ローラと、カードを挟持して回動させる回動ユニットと、搬送中のカードの搬送長を検知するセンサSN2、SN26と、制御部とを備えている。制御部は、センサSN2、SN26で検知されたカード搬送長が予め定められた長さL1と異なる場合に(S320で肯定判断)、回動ユニットからカードを取り出し可能な方向に位置付け可能かを判断し(S328、S336)、可能と判断したときに、カードが取り出し可能な方向に位置付けられるように回動ユニットを回動させる回動モータを制御する。【選択図】図8

Description

本発明は媒体搬送装置および画像形成装置に係り、特に、媒体の搬送方向を変更する方向変更手段を備えた媒体搬送装置および該媒体搬送装置を備えた画像形成装置に関する。
従来、カード、ディスク等の硬質媒体や半硬質媒体に画像を形成する画像形成装置が広く知られている。この種の画像形成装置では、例えば、インクリボンを使用して転写フィルムに画像(鏡像)を形成し、次いで転写フィルムに形成された画像を媒体の表面に転写する間接印刷方式や、インクリボンを使用して媒体に直接画像を形成する直接印刷方式が用いられている。
このような画像形成装置では、画像形成部において、例えば、プラテンローラとサーマルヘッドとの間で挟持される媒体に対し、印刷データに従ってインクリボンを介してサーマルヘッドを加熱することで媒体に画像が形成される。今日では、複数色のインクによる各画像を重ねたカラー印刷が広く行われている。
このような装置の中には、コンパクトな装置構成とするために、媒体の搬送方向を変更する方向変更手段を備えたものがある。例えば、特許文献1には、カードを回動させる回動体(反転ユニットF、G)と、この回動体の周辺にセンサを配置した媒体搬送装置の技術が開示されている。この技術では、(センサで媒体を検出することで)媒体を回動体内に搬送した後、回動体を回動させて媒体の搬送方向を変更する。
また、特許文献2にも同様の技術が開示されている。なお、特許文献3には、特許文献1、2のようにカードの表裏面を反転させる(180°回動させる)ことまではできないが、カードを挟持した状態で搬送方向を変更可能な方向変更手段が開示されている。
特開2011−209909号公報(図3、符号F、G参照) 特開2015−153270号公報(図1、符号40参照) 特開2008−162113号公報(図10、符号60参照)
ところで、特許文献1(特許文献2でも同じ。)の技術では、媒体(カード)を搬送する際にその搬送長を検知し、検知結果(搬送長)により検知された媒体の先端から後端までの長さが所定長さより長い場合に、一律にエラー終了する処理が用いられている。その際、媒体は回動体内で挟持されており、オペレータは回動体内でジャム状態の媒体を取り除く必要があった。
媒体の搬送長を検知する主な理由は、媒体の重送(本来一枚の媒体が搬送されるべきところ複数枚の媒体が搬送されること)を検知することにあるが、その他、規格外の長さの媒体の混入を検知する目的もある。また、オペレータが回動体から媒体を取り除く必要がある(例えば、自動排出できない)理由は、搬送長が所定長さより小さい場合に、回動体で挟持された媒体の端部回動軌跡が回動体の周辺に配置された部材(センサ等)と干渉し、当該部材や媒体自体を損傷させるおそれがあるためである。
本発明は上記事案に鑑み、ジャム発生時の操作性を向上可能な媒体搬送装置および該媒体搬送装置を備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、媒体搬送装置であって、媒体を搬送する搬送手段と、前記媒体の搬送方向を変更する方向変更手段と、前記搬送手段で搬送される媒体の搬送長を検知する検知手段と、上記各手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段で検知された前記搬送長が予め定められた長さL1と異なる場合に、前記方向変更手段から前記媒体を取り出し可能な方向に位置付け可能かを判断し、可能と判断したときに、前記媒体が前記取り出し可能な方向に位置付けられるように前記方向変更手段を制御することを特徴とする。
第1の態様において、制御手段は、搬送長が長さL1と異なる場合に、エラー排出方向に媒体を位置付け可能かを判断するようにしてもよい。また、検知手段は、方向変更手段の媒体搬送方向上流側に配された第1のセンサにより搬送手段で搬送される媒体の後端を検出し、方向変更手段の媒体搬送方向下流側に配された第2のセンサにより搬送手段で搬送される媒体の先端を検出することで搬送長を検知するように構成され、制御手段は、検知手段で検知された搬送長が予め定められた長さL1よりも小さい場合に、方向変更手段から媒体を取り出し可能な方向に位置付け可能かを判断するようにしてもよい。この場合に、制御手段は、搬送長が予め定められた長さL2(L2<L1)以上のときに、取り出し可能な方向に位置付け可能と判断し、搬送長が長さL2より小さいときに、取り出し可能な方向に位置付け不能と判断するようにしてもよい。
さらに、検知手段は、方向変更手段の媒体搬送方向上流側に配された第1のセンサにより搬送手段で搬送される媒体の先端および後端を検出することで搬送長を検知するように構成され、制御手段は、検知手段で検知された搬送長が予め定められた長さL1よりも大きい場合に、方向変更手段から媒体を取り出し可能な方向に位置付け可能かを判断するようにしてもよい。この場合に、制御手段は、搬送長が予め定められた長さL2(L2>L1)以下のときに、取り出し可能な方向に位置付け可能と判断し、搬送長が長さL2より大きいときに、取り出し可能な方向に位置付け不能と判断するようにしてもよい。
また、方向変更手段は媒体を挟持して回動させる回動体であり、制御手段は、取り出し可能な方向に位置付け可能と判断したときに、搬送長の中央が回動体の回動中心に位置するように搬送手段を制御した後、媒体が取り出し可能な方向に回動するように回動体を制御するようにしてもよい。さらに、方向変更手段は媒体を挟持して回動させる回動体であり、制御手段は、取り出し可能な方向に位置付け不能と判断したときに、回転体を回動させずに媒体を方向変更手段の上流側に送り戻すように搬送手段を制御するようにしてもよい。さらに、制御手段は、搬送長が長さL1と異なる場合に、搬送長に応じて時計廻り方向および反時計廻り方向の少なくとも一方に媒体を回動可能かを判断するようにしてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、画像形成装置であって、前記媒体に画像を形成する画像形成手段と、第1の態様の媒体搬送装置と、を備える。
本発明によれば、制御手段が、搬送長が長さL1と異なる場合に、方向変更手段から媒体を取り出し可能な方向に位置付け可能かを判断し、可能と判断したときに、媒体が取り出し可能な方向に位置付けられるように方向変更手段を制御するので、ジャム発生時の操作性を向上させることができる、という効果を得ることができる。
本発明が適用可能な実施の形態の印刷装置を含む印刷システムを模式的に示す外観図である。 印刷装置の概略構成を示す正面図である。 媒体供給部を取り外した状態を示す印刷装置の上部外観斜視図である。 媒体供給部および回動ユニットの周辺に配置されたセンサの配置図である。 回動ユニットの回動中心からセンサまでの距離を模式的に示す説明図である。 印刷装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。 印刷装置の制御部のマイクロコンピュータユニットのCPUが実行するカード発行ルーチンのフローチャートである。 カード発行ルーチンのカード供給処理の一部を示す供給処理サブルーチンのフローチャートである。 重送カードが回動ユニットに搬送された状態を模式的に示す説明図であり、(A)は回動ユニットに重送カードが供給された状態、(B)は重送カードの先端がカード先端を検出するセンサに到達した状態、(C)は重送カードの中央が回動ユニットの回動中心に位置した状態を示す。 重送カードを回動ユニットから排出する状態を模式的に示す説明図であり、(A)は回動ユニットを回動させ重送カードをエラー排出方向に位置付けた状態、(B)は重送カードをリジェクトスタッカに向けて排出した状態を示す。 重送カードに対して回動ユニットの回動可能な方向を模式的に示す説明図であり、(A)は時計廻り方向および反時計廻り方向に回動可能な状態、(B)は反時計廻り方向に回動可能な状態、(C)は回動不能な状態を示す。 重送カードを媒体供給部側に送り戻している状態を模式的に示す説明図である。 カード先端を検出するセンサの出力、カード後端を検出するセンサの出力および第1カード搬送モータの駆動パルスの関係を示すタイミングチャートである。 重送カードを取り出し位置に位置付ける他の実施形態の例を模式的に示す説明図であり、(A)は重送カードをエラー排出方向に回動させローラ対により片持ちで挟持した状態、(B)は重送カードを非接触IC記録部方向に回動させローラ対により片持ちで挟持した状態、(C)は重送カードを媒体搬送経路上の搬送ローラ対で挟持した状態を示す。
以下、本発明を、カードに文字や画像を印刷記録するとともに、カードに磁気的ないし電気的な情報記録を行う印刷装置に適用した実施の形態について説明する。
1.構成
1−1.システム構成
図1および図6に示すように、本実施形態の印刷装置1は印刷システム100の一部を構成している。すなわち、印刷システム100は、大別して、上位装置101(例えば、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ)と、印刷装置1とで構成されている。
印刷装置1は、図示を省略したインターフェースを介して、上位装置101に接続されており、上位装置101から印刷装置1に印刷データや磁気的ないし電気的記録データ等を送信して、記録動作等を指示することが可能である。なお、印刷装置1は、オペパネ部(操作表示部)5を有しており(図3、図6参照)、上位装置101からの記録動作指示の他、オペパネ部5からの記録動作指示も可能である。
上位装置101には、デジタルカメラやスキャナ等の画像入力装置104、上位装置101に命令やデータを入力するためのキーボードやマウス等の入力装置103、上位装置101によって生成されたデータ等の表示を行なう液晶ディスプレイ等のモニタ102が接続されている。
1−2.印刷装置
1−2−1.機構部
図2に示すように、印刷装置1はハウジング2を有しており、ハウジング2内に情報記録部Aと、印刷部Bと、回動ユニットFと、デカール機構Gとを備えている。また、印刷装置1は、ハウジング2に装着可能な媒体供給部Cと、媒体収容部Dと、媒体収容部Dとは反対側のハウジング2の側面に装着されたリジェクトスタッカ54とを備えている。
(1)情報記録部A
情報記録部Aは、磁気記録部24と、非接触式IC記録部23と、接触式IC記録部27とで構成されている。これら3つの記録部はオプション構成とされており、ユーザの希望に応じて1つ以上の記録部が取り付けられる。
(2)媒体供給部C
媒体供給部Cは、複数枚のカードCaを立位姿勢(本例では10°傾斜した姿勢)で整列収容するカードカセットで構成されている。本実施形態では、カードCaに横85.6mm、縦53.9mmの標準(規格)サイズのカードが用いられる。図4に示すように、カードカセットのカード供給先端(最前列)側の上部位置にはアイドルコロ16が配置されており、底部位置には分離パッド17が配置されている。分離パッド17には摩擦係数の高いゴム等の板状弾性部材が用いられている。
一方、印刷装置1の本体側には、カードカセットに収容された最前列のカードCaを繰り出すピックアップローラ19(図3も参照)、および、ピックアップローラ19の下方で分離パッド17に対向する位置にアイドルコロ18が配置されている。このため、アイドルコロ18と分離パッド17との間にはカードCaを一枚ずつ分離するための分離開口7が形成されている。ピックアップローラ19は不図示のピックアップモータ(ステッピングモータ)の駆動力で回転する。なお、本実施形態では分離開口7の開口幅がカードの厚さに応じて調整可能であり、オペレータがカードカセットの底部に配された回転部材を回転させることで分離パッド17はアイドルコロ18側に向けて進退可能に構成されている。
図3に示すように、媒体供給部Cはハウジング2のカセット装着エリア68に着脱可能に構成されている。媒体供給部Cを構成するカードカセットの最前列側には矩形状の開口(不図示)が形成されている。この開口を介して印刷装置1の本体側のセンサレバー69が挿入されカードCaに当接しセンサレバー69が押し込まれることでカードCaの有無(媒体供給部Cの装着の有無)を把握することができる。
媒体供給部C(カードカセット)をカセット装着エリア68から取り外すと、媒体供給部Cの下方に位置する開閉部材66が現れる。開閉部材66の上面カバー67は蓋体であり、カセット装着エリア68の隔壁(底面壁)を構成している。開閉部材66は開閉自在にハウジング2に取り付けられており、長手方向の端部が回動自在にハウジング2に支持されている。また、印刷装置1の正面側には開閉自在な正面扉12が設けられている。
なお、媒体供給部Cの詳細構成は例えば特開2012−25511号公報に開示されており、印刷装置1側の開閉部材66等の詳細構成は例えば特開2012−123074号公報に開示されている。
図4に示すように、分離開口7のカード搬送方向下流側には発光素子と受光素子とを有する透過一体型のセンサSN24が配置されており、センサSN24のカード搬送方向下流側には媒体供給部Cから繰り出されたカードCaを清浄するとともにさらに下流側に搬送するクリーニングローラ22が配置されている。クリーニングローラ22はカードCaに付着したゴミや埃等を除去するために粘着性を有しており、クリーニングローラ22には、さらに強い粘着性を有しクリーニングローラ22に付着したゴミや埃等を除去する粘着ローラ26が圧接している。
(3)回動ユニットF
回動ユニットFは、一言すれば、媒体の搬送方向を変更する機能(本実施形態では、カードCaを搬送するとともにカードCaの端部を挟持してカードCaを回動させる機能)を有しているが、具体的には次のとおりに構成されている。すなわち、回動ユニットFは一対の円盤状回動フレーム50を有している(図2では、正面側の回動フレーム50のみが示されている。以下、必要に応じて、図2に示された正面側回動フレーム50と、図2に示されていない背面側回動フレーム50とを区別する。)。一対の回動フレーム50は、両者間の間隔を画定する画定部材(不図示)に固定されることで一体化されている。
(3−1)カード搬送
図4に示すように、回動ユニットFは、駆動ローラと従動ローラとで構成されたローラ対20、21を有している。上述した画定部材は、ローラ対20、21間で搬送中のカードCaの両面(表裏面)側をガイドするガイド部材としても機能する。ローラ対20、21を構成する駆動および従動ローラのローラ軸(合計4本)は一対の回動フレーム50に回転可能に軸支されている。ローラ対20、21の駆動ローラのローラ軸には、背面側回動フレーム50側の端部にそれぞれ第1のギヤ(不図示)が嵌着している。これら第1のギヤには、第1のギヤより大径の第2のギヤ(不図示)がそれぞれ噛合している。第2のギヤのギヤ軸は背面側回動フレーム50にそれぞれ回転可能に軸支されている。
それぞれの第2のギヤは、第2のギヤより小径の単一の第3のギヤ(不図示)に噛合している。第1〜第3のギヤは背面側回動フレーム50の内側(正面側)に背面側回動フレーム50とほぼ平行に配置されている。第3のギヤのギヤ軸の軸芯は回動ユニットFの回動中心O(図4参照)に位置付けられている。第3のギヤのギヤ軸は背面側回動フレーム50を貫通することで背面側回動フレーム50に回転可能に軸支されており、その先端部は、ハウジング2に略垂直方向に固定され背面側回動フレーム50と平行に背面側回動フレーム50のさらに外側(背面側)に位置付けられた板状の背面側フレーム部材(不図示)に回転可能に軸支されている。
第3のギヤのギヤ軸には第3のギヤより大径の第4のギヤ(不図示)が嵌着している。第4のギヤは背面側回動フレーム50と背面側フレーム部材との間の背面側フレーム部材側に位置付けられている。この第4のギヤに第1カード搬送モータ(正逆転可能なステッピングモータ、不図示)のモータ軸に嵌着し第4のギヤより小径の第5のギヤ(不図示)が噛合している。第5のギヤも背面側回動フレーム50と背面側フレーム部材との間の背面側フレーム部材側に位置付けられている。すなわち、第1カード搬送モータは背面側フレーム部材の背面側に取り付けられており、第1カード搬送モータのモータ軸は背面側フレーム部材を貫通しその先端部に第5のギヤが嵌着している。
背面側フレーム部材の正面側(背面側回動フレーム50側)上部には、ローラ対20、21に挟持されたカードCaが回動ユニットF内でジャム状態(回動ユニットFが回動不能な状態)に陥った場合に、オペレータが手動でローラ対20、21を回動させてカードCaを排出する(ジャムを解除する)ためのジャム解除ダイヤル(不図示)が、背面側フレーム部材に回転可能に軸支されている。ジャム解除ダイヤルの軸にはギヤが嵌着しており、オペレータがジャム解除ダイヤルを手動で回すことにより、このギヤに噛合し背面側フレーム部材に軸支された複数のギヤを介して上述した第4のギヤを回転させローラ対20、21を回転させることでカードCaを回動ユニットFの外に排出することができる。
また、第1カード搬送モータはクリーニングローラ22の駆動源としても機能する。すなわち、上述した第4のギヤは複数のギヤを介してクリーニングローラ22のローラ軸に嵌着したギヤに第1カード搬送モータの回転駆動力を供給する。従って、第1カード搬送モータは、クリーニングローラ22およびローラ対20、21を駆動し媒体供給部Cから繰り出されたカードCaを回動ユニットFに搬送する(回動ユニットFが受け入れる)とともに(図4も参照)、回動ユニットFからカードCaを情報記録部A、媒体搬送経路P1、リジェクトスタッカ54のいずれかに向けて送り出す駆動源となる。
(3−2)回動
正面側回動フレーム50は、ハウジング2に略垂直方向に固定され正面側回動フレーム50と平行に正面側回動フレーム50のさらに正面側(図2の紙面手前側)に位置付けられた板状の正面側フレーム部材(不図示、図2では、正面側回動フレーム50が隠れることから、この正面側フレーム部材を捨象している。)に回動可能に軸支されている。すなわち、正面側フレーム部材の背面側には正面側回動フレーム50に向けて支持軸が突設されており、正面側回動フレーム50の正面側中央部には正面側フレーム部材から突出した支持軸を受ける円筒状の軸受が形成されている。
この支持軸の軸芯は、回動ユニットFの回動中心O(図4参照)に位置付けられており、上述した第3のギヤのギヤ軸の軸芯と同軸となるように配されている。このため、回動ユニットFは、一体化された一対の回動フレーム50が、この支持軸により正面側フレーム部材に軸支され、背面側では第3のギヤのギヤ軸が背面側フレーム部材に軸支されることで、回動可能に構成されている。
正面側回動フレーム50および背面側回動フレーム50の外周中央部にはそれぞれギヤが形成されている。これらのギヤには、これらのギヤより小径の第6のギヤがそれぞれ噛合している。これら第6のギヤは正面側回動フレーム50および背面側回動フレーム50より下方に配された単一のギヤ軸に嵌着しており、第6のギヤのギヤ軸は正面側フレーム部材および背面側フレーム部材に回転可能に軸支されている。
背面側回動フレーム50の外周に形成されたギヤに噛合する一方の第6のギヤには、回動モータ(正逆転可能なステッピングモータ、不図示)のモータ軸に嵌着し第6のギヤより小径の第7のギヤ(不図示)が噛合している。回動モータは、背面側フレーム部材の背面側の、上述した第1カード搬送モータの取り付け位置の下方に取り付けられており、回動モータのモータ軸は背面側フレーム部材を貫通しその先端部に第7のギヤが嵌着している。このため、回動モータを駆動することで、回動ユニットF内のローラ対20、21に両端部を挟持されたカードCaは回動中心Oを中心として回動する(図5も参照)。
なお、回動モータの駆動力で回動ユニットFを回動させると、ローラ対20、21を構成する駆動および従動ローラのローラ軸は一対の回動フレーム50に回転可能に軸支されているため、これらのローラ軸も一対の回動フレーム50の回動に応じて連れ回り(共廻りともいう。)する現象が生じる。このため、本実施形態では、回動ユニットF内のローラ対20、21に両端部を挟持されたカードCaを回動させる際には、回動ユニットFを回動させた(角度)分、駆動ローラのローラ軸が回動ユニットFの回動方向とは逆方向に回動するように第1カード搬送モータを同時に駆動させることで、連れ回りを防止する。
正面側回動フレーム50には、正面側に突出するように第1および第2の円筒状部材が形成されている。第1の円筒状部材は正面側回動フレーム50の外周位置から正面側に突出しており、第2の円筒状部材は(回動中心Oに対して)第1の円筒状部材と同心円状で第1の円筒状部材より小径となる位置から正面側に突出している。第1および第2の円筒状部材にはそれぞれ切り欠きが形成されており、それらの切り欠きを検出することで回動ユニットF(回動フレーム50)の位相を検出する第1および第2の位相センサ(不図示)がそれぞれ配設されている。
第1の円筒状部材の切り欠きは第2の円筒状部材の切り欠きの位置(方向)および回動ユニットFの周囲に配された各センサの方向に対応して形成されており、第2の円筒状部材の切り欠きはローラ対20、21(のローラ軸)の位置に対応して形成されている。第1の位相センサは回動モータで回動ユニットFを回動させる際のエンコーダとして機能し、第2の位相センサは回動ユニットF(ローラ対20、21)を初期位置方向に位置付ける際のエンコーダとして機能する。
(3−3)センサとの関係
回動ユニットFの周囲には複数のセンサが配置されている。図4に示すように、クリーニングローラ22とローラ対20との間には、媒体供給部Cから繰り出され搬送中のカードCaの後端を検出するセンサSN2が配置されており、ローラ対21のカード搬送方向下流側には、搬送中のカードCaの先端を検出するセンサSN26が配置されている。
また、上述したように、回動ユニットFの外周には、情報記録部Aを構成する磁気記録部24、非接触式IC記録部23、接触式IC記録部27が配置されている(図2参照)。図4に示すように、それらの方向には、カードCaの端部を検出するセンサSN4、センサSN5、上述したセンサSN26がそれぞれ配置されている。さらに、リジェクトスタッカ54の方向(エラー排出方向)にはセンサSN23が配置されており、印刷部B(転写部B2)の方向(後述する媒体搬送経路P1上)にはセンサSN3が配置されている。上記センサには、センサSN24と同様に、発光素子と受光素子とを有する透過一体型のセンサが用いられている。
なお、本実施形態では、図4に実線で示す垂直線を基準(0°)としたときに、回動中心OとセンサSN2およびセンサSN24のセンシング位置(図4では小さな丸で表示)とを結ぶ線の角度は10°、回動中心OとセンサSN23のセンシング位置とを結ぶ線の角度は125°、回動中心OとセンサSN4のセンシング位置とを結ぶ線の角度は173°、回動中心OとセンサSN26のセンシング位置とを結ぶ線の角度は190°、回動中心OとセンサSN3のセンシング位置とを結ぶ線の角度は270°、回動中心OとセンサSN5のセンシング位置とを結ぶ線の角度は305°にそれぞれ設定されている。
従って、回動ユニットF(ローラ対20、21)は、これらのいずれかの方向に向けてカードCaを搬送するための媒体搬送路65(図2参照)を形成する機能、すなわち、方向変更機能を有している。図4は、回動ユニットFがカード受入位置方向に位置付けられた状態を示したものであり、ローラ対20、21は、この状態でセンサSN24、クリーニングローラ22、センサSN2、SN26(のセンシング位置)とともに、(図4に実線で示す垂直線に対し10°傾斜した)略直線状の媒体搬送経路P0上に位置付けられ、媒体搬送路65は媒体搬送経路P0の一部を構成する。なお、回動ユニットFの外周には、環境温度(外気温)を検出するサーミスタ等の温度センサThが配置されており(図2参照)、この温度センサThで検出された環境温度を基に印刷部Bに設けられたサーマルヘッドやヒートローラ等(後述)の加熱要素の温度補正が行われる。
(3−4)回動中心と各センサ間の距離
図5は、本実施形態において、回動ユニットFの回動中心Oから各センサまでの距離を模式的に示したものである。なお、図5では、把握を容易とするために、1枚の規格サイズのカードCaが回動ユニットFに正常に搬送され、カードCaの中央が回動中心Oに位置してその端部がローラ対20、21に挟持された状態を示している。
上述したように、カードCaの規格長さは85.6mmのため、回動中心Oから第1の軌跡Lc1(カード端の回動軌跡)まではその半分の42.8mm、第1の軌跡Lc1と第2の軌跡Lc2(回動中心Oを中心とするSN4のセンサ枠に接する円)との距離Daは7.0mm、第1の軌跡Lc1と第3の軌跡Lc3(回動中心Oを中心とするセンサSN2、SN3、SN23のセンサ枠に接する円)との距離Dbは8.0mm、第1の軌跡Lc1とセンサSN26との距離Dcは12.0mmに設定されている。回動中心Oからみると、センサSN2、SN26のセンシング位置まではそれぞれさらに0.7mm外側となる。
従って、カードCaの後端を検出するセンサSN2のセンシング位置とカードCaの先端を検出するセンサSN26のセンシング位置とは、直線距離で、カードCaの長さ(85.6mm)+{距離Db(8mm)+センサSN2のセンサ枠からセンシング位置までの距離(0.7mm)}+{距離Dc(12.0mm)+センサSN26のセンサ枠からセンシング位置までの距離(0.7mm)}=107mm離間している。
なお、センサSN23のセンシング位置は、第1の軌跡Lc1から9.7mmの位置にあり、回動中心Oとの距離は52.5mmに設定されている。また、図5ではセンサSN5を捨象したが(図4も参照)、センサSN5のセンサ枠もセンサSN3のセンサ枠と同様に第3の軌跡Lc3に接している。
(4)印刷部B
印刷部Bは、カードCaの表裏面に顔写真、文字データなど画像を形成するもので、図2に示すように、媒体搬送路65の延長上にカードCaを搬送するための略水平な媒体搬送経路P1が設けられている。また、媒体搬送経路P1にはカードCaを搬送する搬送ローラ対29、30が配置されており、搬送ローラ対29、30は不図示のギヤ等を介して図示しない第2カード搬送モータ(正逆転可能なステッピングモータ)に連結されている。
印刷部Bはフィルム搬送機構10を有しており、このフィルム搬送機構10により搬送される転写フィルム46の画像形成領域に対して、サーマルヘッド40でインクリボン41の各色画像を重ねて形成する画像形成部B1と、続いてヒートローラ33により媒体搬送経路P1上のカードCaの表面に転写フィルム46に形成された画像を転写する転写部B2とを備えている。
次に、図2を参照して、印刷部Bの詳細について説明する。転写フィルム46は、カードCaの幅方向より若干大きな幅を有する帯状を呈しており、インクリボン41のインクを受容するインク受容層、インク受容層の表面を保護する透明の保護層、加熱によりインク受容層および保護層を一体に剥離を促進するための剥離層、基材(ベースフィルム)の順で積層形成されている。
本実施形態で使用される転写フィルム46には、印刷方向(サーマルヘッド40の副走査方向)と交差する幅方向(サーマルヘッド40の主走査方向)を横断するように形成され画像形成開始位置を設定するためのマークが一定間隔で形成されており、これらのマーク間が画像形成領域とされている。
転写フィルム46は、モータMr2、Mr4の駆動により転写フィルムカセット内の供給ロール47と巻取ロール48にそれぞれ巻き取りないし繰り出される。すなわち、転写フィルムカセット内には、供給ロール47の中心に供給スプール47A、巻取ロール48の中心に巻取スプール48Aが配されており、供給スプール47Aには図示しないギヤを介してモータMr2の回転駆動力が伝達され、巻取スプール48Aには図示しないギヤを介してモータMr4の回転駆動力が伝達される。モータMr2およびモータMr4には正逆転可能なDCモータが用いられている。
なお、本実施形態では、転写処理前の転写フィルム46が供給スプール47Aに巻回されており、使用済み(転写部B2で転写処理された部分)の転写フィルム46が巻取スプール48Aに巻回されている。このため、転写フィルム46に対して画像形成処理および転写処理を行う際は、供給スプール47Aから転写フィルム46を巻き取スプール48A側に一旦繰出し、供給スプール47Aで転写フィルム46を巻き取りながら画像形成処理および転写処理を行う。
フィルム搬送ローラ49は、転写フィルム46を搬送する主要な駆動ローラであり、このフィルム搬送ローラ49の駆動を制御することで転写フィルム46の搬送量および搬送停止位置が定まる。フィルム搬送ローラ49は正逆転可能なフィルム搬送モータMr5(ステッピングモータ)に連結されている。フィルム搬送ローラ49の駆動時にモータMr2、Mr4も駆動するが、供給ロール47、巻取ロール48のいずれか一方から繰り出された転写フィルム46をいずれか他方で巻き取り、搬送される転写フィルム46にテンションを付与するためのものでフィルム搬送の補助的機能を果たす。
フィルム搬送ローラ49の周面には、ピンチローラ32aとピンチローラ32bとが配置されている。ピンチローラ32a、32bは、フィルム搬送ローラ49に対して進退可能に構成されており、図2では、ピンチローラ32a、32bがフィルム搬送ローラ49側に進出して、転写フィルム46がフィルム搬送ローラ49に巻き付けられた状態が示されている。これにより、転写フィルム46はフィルム搬送ローラ49の回転数に応じた距離の正確な搬送が行われる。
従って、フィルム搬送機構10は、画像形成部B1と転写部B2との間に配された主要駆動ローラのフィルム搬送ローラ49を駆動させることにより、転写フィルム46を供給ロール47、画像形成部B1、転写部B2および巻取ロール48間で正逆搬送するとともに、画像形成部B1および転写部B2において転写フィルム46の画像形成領域および画像形成領域に形成された画像を適正位置に位置付ける(頭出し)機能を有している。また、巻取ロール48と画像形成部B1(サーマルヘッド40、プラテンローラ45)との間には、発光素子と受光素子とを有し上述した転写フィルム46に形成されたマークを検出するセンサSe1が配置されている。
一方、インクリボン41はインクリボンカセット42に収納されており、このカセット42にインクリボン41を供給する供給ロール43とインクリボン41を巻き取る巻取ロール44との間で張架された状態で収容されている。巻取ロール44の中心には巻取スプール44A、供給ロール43の中心には供給スプール43Aが配されており、巻取スプール44AはモータMr1の駆動力で回転し、供給スプール43AはモータMr3の駆動力で回転する。モータMr1およびモータMr3には正逆転可能なDCモータが用いられている。
インクリボン41は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のカラーリボンパネルとBk(ブラック)リボンパネルとを長手方向に面順次に繰り返すことで構成されている。また、供給ロール43と画像形成部B1(サーマルヘッド40、プラテンローラ45)との間には、発光素子側からの光がBkリボンパネルにより受光素子側で遮光されることでインクリボン41の位置検出を行い画像形成部B1へのインクリボン41の頭出しを行うためのセンサSe2が配置されている。
プラテンローラ45とサーマルヘッド40とは画像形成部B1を構成しており、プラテンローラ45に対向する位置にサーマルヘッド40が配置されている。画像形成時には、転写フィルム46およびインクリボン41を介してプラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接する。サーマルヘッド40は主走査方向に列設された複数の加熱素子を有しており、これらの加熱素子はヘッドコントロール用IC(不図示)により印刷データに基づいて選択的に加熱制御され、インクリボン41を介して転写フィルム46に画像を形成する。なお、冷却ファン39はサーマルヘッド40を冷却するためのものである。
転写フィルム46への画像形成が終了したインクリボン41は、剥離コロ25と剥離部材28とで転写フィルム46から引き剥がされる。剥離部材28はインクリボンカセット42に固設されており、剥離コロ25は画像形成時に剥離部材28に当接して両者で転写フィルム46とインクリボン41とを挟持することで剥離が行われる。そして、剥離されたインクリボン41はモータMr1の駆動力で巻取ロール44に巻き取られ、転写フィルム46はフィルム搬送機構10により、プラテンローラ31とヒートローラ33とを有する転写部B2まで搬送される。
フィルム搬送ローラ49の下流側には、転写フィルム46に形成されたマークを検出ためのセンサSe3が配置されている。このマーク検出を契機に、媒体搬送経路P1上の搬送ローラ対29、30に挟持され搬送停止(待機)中のカードCaを転写部B2に向けて搬送を開始することで、転写フィルム46の画像形成領域とカードCaとは同時に転写部B2に到達する。なお、センサSe3には透過一体型のセンサが用いられている。
転写部B2では、転写フィルム46はカードCaとともにヒートローラ33およびプラテンローラ31とで挟持されて、転写フィルム46の画像形成領域に形成された画像がカードCa表面に転写される。すなわち、転写時には、カードCaおよび転写フィルム46(の画像形成領域)を介してヒートローラ33をプラテンローラ31に圧接し、カードCaと転写フィルム46とを同速で同方向に搬送する。なお、ヒートローラ33は、転写フィルム46を介してプラテンローラ31に圧接・離間するように昇降機構(不図示)に取り付けられている。
画像転写後の転写フィルム46は、ヒートローラ33と搬送ローラ対37を構成する従動ローラ(図2の下側のローラ)との間に配置された剥離ピン79でカードCaから分離(剥離)され供給ロール47側に搬送される。一方、画像が転写されたカードCaは媒体搬送経路P2上を下流側のデカール機構Gに向けて搬送される。
なお、上記では、Y、M、C、Bkリボンパネルを面順次に繰り返したカラー印刷用のインクリボン41を例示したが、本実施形態の印刷装置1は、Bkリボンパネルのみの単色インクリボンも使用可能であり、その場合にはカードCaには単色印刷がなされる。
(5)デカール機構G
図2に示すように、転写部B2の下流側には、媒体搬送経路P1の延長線上に、収容スタッカ60に印刷後のカードCaを搬送するための略水平な媒体搬送経路P2が設けられている。媒体搬送経路P2にはカードCaを搬送する搬送ローラ対37、38が配置されており、搬送ローラ対37、38は不図示のギヤ等を介して上述した第2カード搬送モータに連結されている。なお、媒体搬送経路P1、P2上に配設された搬送ローラ対29から搬送ローラ対38までの各ローラ対(プラテンローラ31を含む。)は、第2カード搬送モータの駆動力で回転駆動される。
搬送ローラ対37、38はデカール機構Gの一部を構成している。デカール機構Gは、搬送ローラ対37、38で両端部が挟持(ニップ)されたカードCaの中央部を下方に凸状のデカールユニット34で押圧して位置固定された凹状のデカールユニット35との間でカードCaを挟むことにより、ヒートローラ33による熱転写でカードCaに生じた反りを矯正する。デカール機構Gは偏心カム36を含む構成によりデカールユニット34が図2に示す上下方向で進退可能に構成されている。
(6)媒体収容部D
媒体収容部Dは、デカール機構G側から搬送されてきたカードCaを収容スタッカ60に収容するように構成されている。すなわち、収容スタッカ60は、昇降機構61により図2で下方に移動するように構成されている。
1−2−2.制御部および電源部
次に、印刷装置1の制御部および電源部について説明する。図6に示すように、印刷装置1は、印刷装置1全体の動作制御を行う制御部70と、商用交流電力から各機構部および制御部等を駆動/作動可能な直流電力に変換する電源部80とを有している。
(1)制御部
図6に示すように、制御部70は、印刷装置1の全体の制御処理を行うマイクロコンピュータユニット72(以下、MCU72と略称する。)を有している。MCU72は、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、印刷装置1のプログラムやプログラムデータが記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAM、およびこれらを接続する内部バスで構成されている。
MCU72には外部バスが接続されている。外部バスには、通信ICを有し上位装置101との通信を行う通信部71、カードCaに画像を形成すべき印刷データやカードCaの磁気ストライプや収容ICに磁気的ないし電気的に記録すべき記録データ等を一時的に格納するメモリ77が接続されている。
また、外部バスには、上述した各種センサからの信号を処理する信号処理部73、各モータに駆動パルスや駆動電力を供給するモータドライバ等を含むアクチュエータ制御部74、サーマルヘッド40を構成する加熱素子への熱エネルギを制御するためのサーマルヘッド制御部75、オペパネ部5を制御するための操作表示制御部76、カードCaの重送時等にブザー5を作動させるためのブザー作動回路78および上述した情報記録部Aが接続されている。
(2)電源部
電源部80は、制御部70、サーマルヘッド40、ヒートローラ33、オペパネ部5および情報記録部A等に作動/駆動電力を供給する。
2.動作
次に、本実施形態の印刷装置1の全体動作について、MCU72のCPU(以下、単にCPUという。)を主体として説明する。
印刷装置1に電源が投入されると、印刷装置1を構成する各部材をホーム(初期)位置に位置付け(例えば、図2に示す状態)、ROMに格納されたプログラムおよびプログラムデータをRAMに展開する初期設定処理が行われる。
CPUは、オペパネ部5(操作表示制御部76)または通信部71を介して印刷命令を受信すると、図7に示すカード発行ルーチンを実行する。なお、説明を簡単にするために、以下では、上位装置101から印刷データ等を受信済みのものとして、すなわち、CPUは、上位装置101から、一面側(片面印刷の場合)または一面および他面側(両面印刷の場合)の印刷データ(Bkの印刷データ、Y、M、Cの色成分印刷データ)並びに磁気的ないし電気的記録データを受信しメモリ77に格納しているものとして説明する。また、印刷部B(画像形成部B1、転写部B2)の動作については既に説明したので、重複を避けるために簡単に説明する。
2−1.カードの一面側への印刷動作
図7に示すように、カード発行ルーチンでは、ステップ(以下、「S」と略称する。)202において、画像形成部B1で、転写フィルム46に一面(例えば表面)側の画像(鏡像)を形成する一次転写処理(画像形成処理)を行う。すなわち、メモリ77に格納されたY、M、Cの色成分印刷データおよびBkの印刷データに基づいて画像形成部B1のサーマルヘッド40を制御することで、転写フィルム46の画像形成領域にインクリボン41のY、M、CおよびBkインクによる画像を重ねて形成する。
S202での一次転写処理と並行して、S204において、CPUは、カード供給処理を実行する。このカード供給処理には、(1)媒体供給部CからカードCaを繰り出して情報記録部Aに搬送するための供給処理、(2)情報記録部Aのいずれかまたは複数でカードCaに磁気的ないし電気的記録データを記録するための記録処理、(3)記録処理されたカードCaを媒体搬送経路P1(搬送ローラ対29、30)に向けて搬送するための搬送処理が含まれる。
(1)供給処理
(1−1)カード受入位置方向への回動
図8は、(1)供給処理の詳細を示す供給処理サブルーチンのフローチャートである。供給処理サブルーチンでは、まず、S302において、センサSN24がオン状態(カード検出状態)にあるか否かを判断する。図4に示すように、カードCaは媒体供給部Cに立位姿勢で整列収容されているが、例えば、操作に慣れないオペレータが誤って媒体供給部Cの最前列のカードCaを上方から印刷装置1の本体側に押し込む場合がある。このような場合を含め、センサSN24がオン状態の場合には、センサSN24内に何らかの物体が存在していることを示している。
S302で肯定判断のときはS344に進み、S302で否定判断のときは、次のS304において、上述した第2の位相センサの出力を参照しつつアクチュエータ制御部74を介して回動モータを駆動させ、回動ユニットFを構成するローラ対20、21が初期位置方向に位置付けられるように制御する。なお、本実施形態では、この初期位置方向は、ローラ対20、21が水平に位置付けられる方向(図2に示す状態)に設定されている。
続いて、S306では、回動モータを駆動させ、回動ユニットFを構成するローラ対20、21がカード受入位置方向に位置付けられるように制御する。このカード受入位置方向は、図4に示すように、図4の垂直線(実線)を基準に回動中心Oから10°回動した方向に設定されている。従って、S306では、S304で図4の垂直線を基準として90°の初期位置方向にあるローラ対20、21を、反時計廻り方向(CCW)に80°回動させる。
(1−2)カード繰り出し
次のS308では、アクチュエータ制御部74を介してピックアップモータおよび第1カード搬送モータを駆動させる。これにより、媒体供給部Cの最前列のカードCaはピックアップローラ19が回転することで媒体供給部Cから繰り出され、クリーニングローラ22を介して回動ユニットFに向けて搬送される。なお、ピックアップモータはセンサSN24がカードCaの後端を検出した後に駆動を停止するが、第1カード搬送モータはカードCaを回動ユニットFに搬送するためにピックアップモータの停止後も駆動が続行される(クリーニングローラ22、ローラ対20、21は回転し続ける。)。
(1−3)カード端検出
次に、S310では、センサSN2が搬送中のカードCaの後端を検出したか否かを判断する。否定判断のときは、S312において、センサSN2がカードCaの先端を検出してからオン状態が所定時間以上継続しているか否か(カードCaが所定長さ以上搬送されたか否か)を判断する。このような判断は、例えば、センサSN2がカードCaの先端を検出した時点から、アクチュエータ制御部74から第1カード搬送モータに出力した駆動パルス数をカウントし、カウントされた駆動パルス数が所定パルス数となったか否かを判断することで行うことができる。
本実施形態では、CPUは、センサSN2がカードCaの先端を検出した時点から、カードCaが{85.6mm(カードCaの規格長さ)+28.0mm(重送閾値)}=113.6mm搬送される分の駆動パルス数がカウントされときに、カードCaが重送されたものとみなしてS312で肯定判断し、この場合にはS344に進む。S312で否定判断のときは、カードCaの搬送を続行するために、S310に戻る。
一方、S310で肯定判断のときは、S313でアクチュエータ制御部74から第1カード搬送モータに出力する駆動パルス数のカウントを開始する。図9(A)は、S313で駆動パルス数のカウントを開始した後の、2枚の重送カードが回動ユニットF(ローラ対20、21)に受け入れられた状態を示している。
次のS314では、センサSN26が搬送中のカードCaの先端を検出したか否かを判断する。否定判断のときは、S316でアクチュエータ制御部74から第1カード搬送モータに出力する駆動パルス数のカウントを続行してS314に戻り、肯定判断のときは、次のS318において、第1カード搬送モータの駆動を停止し駆動パルス数のカウントも終了してカード搬送長Ldを算出する。図9(B)は、センサSN26が重送カードの先端を検出した状態を示している。
(1−4)重送判断
図13は、カードCaの先端を検出するセンサSN2の出力と、後端を検出するセンサSN26と、アクチュエータ制御部74から第1カード搬送モータに出力する駆動パルスとの関係を示したものである。S318で駆動パルス数のカウントが終了した時点でのパルス数はNpとなる。第1カード搬送モータはステッピングモータ(パルスモータ)であり、1パルスで搬送されるカードCaのカード搬送長(搬送距離)は予め設定されている。従って、パルス数Npを把握することで、カードCaのカード搬送長Ldを把握することができる。
図5を参照して説明したように、センサSN2のセンシング位置と、センサSN26のセンシング位置とは、直線距離で107mm離間している。カードCaの規格長さは上述したように85.6mmに設定されている。従って、規格長さのカードCaは、センサSN2がカード後端を検出した時点からセンサSN26がカード先端を検出する時点の間で、(107mm−85.6mm)=21.4mm搬送される。
図9(B)に示すように、2枚の重送カードの場合は、規格長さの1枚のカードCaより、重送カードの先端および後端間の長さが大きくなる。従って、その先端が1枚のカードCaが正常に搬送される場合より早くセンサSN26に到達するため、センサSN2で後端が検出された後センサSN26で先端が検出までの重送カードのカード搬送長Ldは小さくなる。このため、図13に示すように、パルス数Npに対し、規格長さの1枚のカードCaの場合の基準パルス数(カードCaを21.4mm搬送する際の第1カード搬送モータの駆動パルス数)を予め設定しておけば、基準パルス数に対して何パルス数少ないかで重送カードのカード搬送長Ldを把握することができる。
下表1は、本実施形態における、カード搬送長Ld、カード長Lc、規格長さ(85.6mm)との差異Ds、および、ローラ対20、21でカードを挟持した際の回動の可否の関係を示したものである。なお、本実施形態では、各センサの取り付け誤差や雰囲気温度によるカードCaの伸縮等を考慮して、カードCaの規格長さに対して±1mmのアローワンスが設けられている。
Figure 2018065674
次のS320では、カード搬送長Ldが予め設定された長さL1より小さいか否かを判断する。この長さL1は20.4mmに設定されている(表1参照)。すなわち、規格長さのカードCaが重送されることなく1枚で正常に搬送される場合のカード搬送長Ldは21.4mmであるが、これに上述した±1mmのアローワンスを考慮すると、下限側のカード搬送長Ldは20.4mm、上限側のカード搬送長Ldは22.4mmとなる。従って、CPUは、カード搬送長Ldが20.4mm≦カード搬送長Ld≦22.4mmの範囲にある場合には、カードCaが重送されず正常に搬送されたと判断する。
なお、S320において、下限側(L1=20.4mm)のみで判断している理由は、カードCaに対してローラ対20、21が滑る場合があるためであるが、上限側(22.4mm)でも判断するようにしてもよい。その際、必ずしも重送エラーとして供給処理サブルーチンを終了する必要はなく、例えば、カード搬送長Ldが22.4mmを越える場合は、オペパネ部5に搬送ローラ対20、21のクリーニングを促す表示をするようにしてもよい。
S320で否定判断のときは(カード搬送長Ld≧20.4mm)、カードCaが重送されることなく正常に搬送されているため、S322において、カード搬送長Ldに従ってカードCaの中央が回動中心Oに位置付けられるように(カードCaの中央からローラ対20、21のカード挟持位置までの距離が等しくなるように)第1カード搬送モータを逆転駆動した後、駆動を停止させる。この状態は図5に示した状態と同じとなる。
次のS324では、所望された情報記録部A側にカードCaを搬送するために、アクチュエータ制御部74を介して回動モータを駆動させる(カードCaを挟持して回動ユニットFを回動させる際には、上述した連れ回りを防止するために第1カード搬送モータも駆動する。)。このとき、情報記録部AがカードCaの表裏面を問わない場合(例えば、非接触式IC記録部23)には回動に要する時間が短い方向(例えば、反時計廻り方向)に回動させる。続いて、S326では、第1カード搬送モータを正転または逆転駆動してカードCaを所望された情報記録部Aに向けて搬送して供給処理サブルーチンを終了し、後述する記録処理を実行する。
一方、S320で肯定判断のときは(カード搬送長Ld<20.4mm)、カードが重送された(または規格外のカードが混入された)ものとみなされるが、その際、オペレータによるジャム解除の煩雑さをできるだけ少なくする(ジャム解除時の操作性(ジャム解除性)を高める)処理がなされる(S302、S312で肯定判断のときも同じ。)。なお、本実施形態では、重送カードの主なエラー排出方向がリジェクトスタッカ54の方向(回動中心OとセンサSN23のセンシング位置とを結ぶ線の方向)に設定されている。
(1−5)重送時の回動可否判断とエラー排出
図5を参照して説明したように、第1の軌跡Lc1から第2の軌跡Lc2までの距離Daは7mmに設定されており、第1の軌跡Lc1から第3の軌跡Lc3までの距離Dbは8mmに設定されている。重送カードの中央が回動中心Oに位置付けられた場合に、理論的には、重送カードの両端がそれぞれ第1の軌跡Lc1より7mm(両側合計で14mm)長くなるまでは(重送カードの両端が第2の軌跡Lc2内に収まるときは)、カード受入位置方向から例えばセンサSN4と干渉することなく時計廻り(CW)方向または反時計廻り(CCW)方向に重送カードを回動させてリジェクトスタッカ54の方向に位置付けることが可能であり、それを超えても、重送カードの両端がそれぞれ第1の軌跡Lc1より8mm(両側合計で16mm)長くなるまでは(重送カードの両端が第3の軌跡Lc3内に収まるときは)、カード受入位置方向からCW方向に重送カードを回動させてリジェクトスタッカ54の方向に位置付けることが可能である。
上述したようにセンサの取り付け誤差等を考慮してアローワンスが±1mmに設定されているため、CPUは、表1に示すように、重送カードの第1の軌跡Lc1からの長さが両側合計で12mm長くなるまでは(規格長さとの差異Ds=12.0mm)、CWおよびCCW方向に回動可能(図11(A)も参照)、重送カードが両側合計で12mmを超えても両側合計で14mm長くなるまでは(規格長さとの差異Ds=14.0mm)、CW方向には回動可能(図11(B)も参照)、重送カードが両側合計14mmを超える場合には回動不可(図11(C)も参照)と判断する。
なお、回動フレームFの回動可否に関連して、カード長Lcの上限側閾値およびカード搬送長Ldの下限側閾値は、規格長さとの差異Dsで設定された値を基準に逆算できる(カード上Lcの下限側閾値およびカード搬送長Ldの上限側閾値は連続性を考慮して必然的に定められる。)。すなわち、カード長Lcが、86.6mm<Lc≦98.6mmの範囲にある場合はCWおよびCCW方向に回動可能であり、そのときのカード搬送長Ldは、8.4mm≦Ld<20.4mmの範囲となる。また、カード長Lcが、98.6mm<Lc≦100.6mmの範囲にある場合はCW方向にのみ回動可能であり、そのときのカード搬送長Ldは、6.4mm≦Ld<8.4mmの範囲となる。カード長Lcが100.6mmを超える場合には回動不可であり、カード搬送長Ldは6.4mmより短くなる。表1にはこれらの関係が纏められている。
以上を踏まえ、図8のS328では、カード搬送長Ld(パルス数Np)から重送カードをCCW方向に回動可能か否かを判断する。なお、CPUは、S318で必ずしもカード搬送長Ldを算出する必要はなく(S318では理解を促進するためにカード搬送長Ldの概念を導入したものである。上述したS320、このS328および後述するS336での判断でも同じ。)、図13に示したパルス数Npと表1に示した回動の可否との関係データ(例えば、関係テーブル)および上述した基準パルス数のデータをROMに有していれば、パルス数Npから直接、回動の可否判断を行うことができるため、本実施形態では、CPUはパルス数Npから直接回動の可否を判断する。
S328で肯定判断のときは、S330で重送カードの中央を回動中心Oに位置付け(図9(C)参照)、次のS332においてCCW方向で重送カードをリジェクトスタッカ54の方向に(65°)回動させ(図10(A)参照)、S334でローラ対20、21を回転させてリジェクトスタッカ54に重送カードを排出して(図10(B)参照)、S335に進む。なお、CPUは、センサSN23が後端を検出することで重送カードがリジェクトスタッカ54に排出されたことを確認する。
一方、S328で否定判断のときは、S336において、カード搬送長Ld(パルス数Np)から重送カードをCW方向に回動可能か否かを判断する。S336で肯定判断のときは、S338で重送カードの中央を回動中心Oに位置付け(図9(C)参照)、次のS340においてCW方向で重送カードをリジェクトスタッカ54の方向に(115°)回動させ(図10(A)参照、ただし、ローラ対20がセンサSN23側に位置付けられ2枚の重送カードの上下位置が反対となる点でS332での図10(A)の状態とは異なる。)、S342でローラ対20、21を回転させてリジェクトスタッカ54に重送カードを排出して(図10(B)参照、ただし、第1カード搬送モータを正転駆動させて重送カードを排出する点でS334での図10(B)の状態とは異なる。)、S335に進む。なお、S328およびS336において、CW方向よりCCW方向の判断を先に行うのは、カード受入位置方向からリジェクトスタッカ54の方向への回動角度が小さく処理時間を短縮できるためである。
(1−6)回動不可の場合の重送カード排出
本実施形態の印刷装置1では、ローラ対20、21で重送カードを挟持して回動ユニットFを回動させると周囲に配されたセンサと干渉する回動不可の場合に備え、回動フレームFを回動させずに重送カードを媒体供給部C側(上流側)に送り戻すモードが、オペレータによりオペパネ部5(または上位装置101)を介して選択可能とされている。以下では、オペレータが予めこのモードを選択していたものとして説明する。
(a)S336で否定判断のとき(カード搬送長Ldが予め設定された長さL2(7.4mm)より小さいとき)、(b)S302で肯定判断のとき、および(c)S312で肯定判断のときは、S344において、回動フレームFを回動させずに重送カードを媒体供給部C側に送り戻す送り戻しモードが選択されているかを判断し、否定判断のときはS352に進む。一方、S344で肯定判断のときは、次のS346において、信号処理部73を介してセンサレバー69(図3参照)の出力を参照して媒体供給部C(カードカセット)がカセット装着エリア68から取り外されているか、すなわち、カードが非検出の状態にあるか否かを判断する。
S346で否定判断のときは、S348において、操作表示制御部76を介してオペパネ部5(通信部71を介して上位装置101に接続されたモニタ102)にカードカセットを取り外すように要求する表示を行ってS346に戻り(S346での否定判断およびS348でのループでは所定時間ブザー作動回路78を作動させブザー6による警告音でオペレータに注意を喚起する。)、S346で肯定判断のときは、S350で第1カード搬送モータを逆転駆動して重送カードを媒体供給部C側に送り戻し、S354に進む。なお、図12は、S350で重送カードを媒体供給部C側に送り戻している状態を示したものである。
(1−7)ジャム解除性
上述したS335、S352、S354では、いずれでも、CPUは、オペパネ部5(モニタ102)にエラー表示を行い、オペレータは、その表示等に従って対応を図るが、そのときの煩雑さの程度は以下のように異なっている。
(a)S352では、所定時間ブザー6を作動させ、オペパネ部5にエラー表示(重送エラーが生じていることおよびジャム解除の要求表示)を行って供給処理サブルーチン(およびカード発行ルーチン)を(異常)終了する。
オペレータは、カセット装着エリア68から媒体供給部Cを取り外し、正面扉12や開閉部材66を開いた後、ジャム解除ダイヤルを手動で回すことにより重送カードによるジャムを解除する(従来のジャム解除を行う。)。正面扉12を開くときには、オペレータの安全性を確保するために、原則的に電源部80への商用交流電力の供給が停止される。ジャムを解除すると、オペレータは、正面扉12を閉め、開閉部材66を閉じ再度媒体供給部Cを装着して印刷装置1を元の状態に戻した後、印刷装置1に電力を再投入する。そして、上述した初期設定処理の後、改めて印刷データや磁気的ないし電気的記録データを上位装置101から印刷装置1(メモリ77)に送信する。従って、S352に対応したジャム解除後には、初期設定処理からのやり直しとなる。
(b)S354では、S348での警告音とは異なる(案内)音となるようにブザー6を作動させ、オペパネ部5(モニタ102)に重送エラーが生じたことおよび重送カードの送り戻しが完了したことを表示して、供給処理サブルーチン(およびカード発行ルーチン)を(異常)終了する。オペレータは、カセット装着エリア68から媒体供給部Cを取り外した後、S350で送り戻された重送カードを印刷装置1の上部側から取り除くことでジャムを解除し、再度、開閉部材66を閉じ媒体供給部Cを装着する。
(c)S335では、オペパネ部5(モニタ102)に重送エラーが生じたことおよび重送カードがリジェクトスタッカ54に排出されたことを表示して(ブザー6は作動させない。)、供給処理サブルーチン(およびカード発行ルーチン)を(異常)終了する。すなわち、重送カードは既にリジェクトスタッカ54に排出されているので、オペレータはジャム解除を行う必要はない。
なお、カード発行ルーチンにおいて、カード供給処理(S204)は一次転写処理(S202)と並行して実行されるため(図7参照)、CPUは、重送エラーを一次転写処理中に把握することになる。CPUは、重送エラーを把握した時点で、画像形成部B1での画像形成領域への画像形成を直ちに止め、カード発行ルーチンを終了する。そして、カード発行ルーチンが再度(最初から)実施される際には、当該画像形成領域は使用済のものとして取り扱う。例外的に、S302で肯定判断されたときは、プラテンローラ45がサーマルヘッド40に圧接する前の転写フィルム46の搬送中(頭出し中)、すなわち、画像形成領域への画像形成前となるため、カード発行ルーチンが再度実施される際には、当該画像形成領域は未使用のものとして取り扱う。
従って、S335、S352、S354で要求されたジャム解除性を比較すると、S335、S354、S352の順で軽減されオペレータによるジャム解除に対する煩雑さを少なくすることができる。
(2)記録処理
CPUは、(1)供給処理が正常に終了すると、(2)記録処理を実行する。この記録処理では、所望された情報記録部Aに記録すべき磁気的ないし電気的記録データを出力し、カードCaにデータを記録させる。この記録の後、第1カード搬送モータを駆動してカードCaの中央が回動中心Oに位置付けられるように搬送し、次に所望の情報記録部Aがあるか否かを判断する。肯定判断のときは、回動ユニットFをその情報記録部の方向に回動させ、最初に所望された情報記録部Aと同様の処理を行い、否定判断のときは、記録処理を終了する。
なお、情報記録部Aにおいて、カードCaに記録されたデータを読み取り、記録すべきデータとの比較、すなわち、ベリファイが行われるが、本実施形態では続けて3回ベリファイできない場合にカードCaに何らかの記録阻害要因があるとみなして当該カードをリジェクトスタッカ54にエラー排出する。その際、カード供給処理(S204)は一次転写処理(S202)と並行して実行されるため、CPUは、重送エラーの場合と同様に、画像形成部B1での画像形成領域への画像形成を直ちに止め、カード発行ルーチンを終了する。そして、カード発行ルーチンが再度実施される際には、当該画像形成領域は使用済のものとして取り扱う。
(3)搬送処理
CPUは、(2)記録処理が終了すると、(3)搬送処理を実行する。搬送処理では、最後に記録処理を行った情報記録部AからカードCaを受け取り、第1カード搬送モータを駆動してカードCaの中央が回動中心Oに位置付けられるように搬送した後、回動モータを駆動してカードCaが媒体搬送経路P1方向に位置付けられるように回動ユニットFを回動させた後、第1および第2カード搬送モータを駆動させてカードCaを搬送ローラ対29、30に向けて搬送する。
CPUは、センサSN3がカードCaの後端を検出すると、第1カード搬送モータの駆動を停止させ、センサSN3がカードCaの後端を検出した後第2カード搬送モータをなおも所定パルス数駆動させて第2カード搬送モータの駆動を停止させる。これにより、カードCaはその両端部が搬送ローラ対29、30に挟持された状態となる。CPUは、カードCaと転写フィルム46の画像形成領域に形成された画像とが同期して転写部B2に到着するように、センサSe3が転写フィルム46に形成されたマークを検出するまでカードCaを搬送ローラ対29、30に挟持状態で待機させ、センサSe3がマークを検出すると、第2カード搬送モータを再度駆動してカードCaを転写部B2に向けて搬送する。
図7に戻り、S206では、転写部B2において、転写フィルム46の転写面に形成された画像をカードCaの一面に転写する二次転写処理を行う。なお、CPUは、この二次転写処理に先だって、ヒートローラ33を構成するヒータの温度が所定温度に到達しているように制御する。
二次転写処理後の転写フィルム46は、ヒートローラ33と搬送ローラ対37との間に配置された剥離ピン79でカードCaから分離(剥離)され供給ロール47側に搬送される。一方、画像が転写されたカードCaは媒体搬送経路P2上を下流側のデカール機構Gに向けて搬送される。CPUは、第2カード搬送モータをなおも駆動させカードCaの後端が剥離ピン79(図2参照)を通過した後に第2カード搬送モータの駆動を停止させる。これにより、カードCaは両端部が搬送ローラ対37、38に挟持された状態となる。
次のS208では、偏心カム36を回動させデカールユニット34をデカールユニット35に向けて押し下げカードCaをデカールユニット34、35で挟むことでカードCaに生じた反りを矯正するデカール処理を実行してS210に進む。
2−2.カードの他面側への印刷動作
次にS210において、両面印刷か否かを判断し、否定判断のときはS220に進み、肯定判断のときは、S212において、画像形成部B1で、転写フィルム46の次の画像形成領域に、S202と同様に、他面(例えば裏面)側の画像(鏡像)を形成する一次転写処理を行ってS216に進む。
CPUは、S212での一次転写処理と並行して、S214において、搬送ローラ対37、38に挟持されデカール機構Gに位置付けられているカードCaを媒体搬送経路P2、P1を経由して回動ユニットFに搬送し、両端部をローラ対20、21で挟持されたカードCaを180°回動(表裏面を反転)させた後、搬送ローラ対29、30に向けて搬送する。次のS216では、S206と同様に、転写部B2において、転写フィルム46の次の画像形成領域に形成された画像をカードCaの他面に転写する二次転写処理を行う。
次いで、S218では、S208と同様に、カードCaに生じた反りを矯正するデカール処理を実行する。そして、次のS220において、収容スタッカ60に向けてカードCaを排出してカード発行ルーチンを終了する。
3.効果等
次に、本実施形態の印刷装置1の効果等について説明する。
3−1.効果
本実施形態の印刷装置1では、カード搬送長Ldが長さL1(20.4mm)より小さい場合に(S320で肯定判断)、回動ユニットFからカードCaを取り出し可能な方向に位置付け可能かを判断し(S328、S336)、可能と判断したときに、カードCaが取り出し可能な位置に位置付けられるように回動ユニットFを回動させローラ対20、21を駆動するので、ジャム発生時の操作性(ジャム解除性)を向上させることができる。
また、本実施形態の印刷装置1では、回動可能と判断したときに、エラー排出方向にCWおよびCCW方向の少なくとも一方で回動可能かを判断する(S328、S336)。このため、回動可能な範囲を広げることができる。また、双方に回動可能な場合には、エラー排出方向に回動するまでの角度が小さい方に回動させるので、回動に要する処理時間を短縮することができる。
さらに、本実施形態の印刷装置1では、ローラ対20、21に挟持された(重送)カードの中央が回動ユニットFの回動中心Oを中心に回動させるので、回動可能な範囲を広げることができる。
また、本実施形態の印刷装置1では、回動可能な場合にリジェクトスタッカ54の方向、回動不可の場合に媒体供給部C側に重送カードを搬送する。従って、従来のジャム解除ダイヤルによるジャム解除よりオペレータのジャム解除性を高めることができる。
さらに、本実施形態の印刷装置1では、回動ユニットFのカード搬送方向上流側に配されたセンサSN2により搬送されるカードCaの後端を検出し、回動ユニットFのカード搬送方向下流側に配されたセンサSN26により搬送されるカードCaの先端を検出することでカード搬送長Lcを検知するので、カード搬送長Lcの検知精度を高めることができる。
3−2.変形例
なお、本実施形態では、カードCaの取り出し可能な方向として、リジェクトスタッカ54の方向、媒体供給部C側の方向を例示したが、本発明はこれに制限されるものではない。また、必ずしも取り出し可能な位置からリジェクトスタッカ54に排出する必要もない。
例えば、図14(A)に示すように、重送カードをリジェクトスタッカ54に排出しなくても、センサSN23の近くに位置付けられたローラ対20または21で重送カードを挟持しておくようにしてもよい。この状態で止めておけば、オペレータは重送カードをローラ対20または21から引き抜くだけでよいためジャム解除性が向上するとともに、リジェクトスタッカ54内でエラーカード(情報記録部Aで記録阻害要因があるとみなされたカード)と(再使用可能な)重送カードとが混在することを防止することができる。
また、混在防止という観点からは、リジェクトスタッカ54の上方に重送カードを受ける別のスタッカをハウンジグ2に装着し、図2に示すローラ対20側から水平方向に重送カードを当該別のスタッカに排出するようにしてもよい。この場合に、重送カードの後端を検出し別のスタッカに排出されたことを確認するセンサを設けるようにしてもよく、埃等のハウジング2内への侵入を防止するために、ハウジング2に形成した排出口を塞ぐ板状部材等を、例えば、電磁ソレノイドやミニモータで駆動し排出口を開閉可能に構成するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、情報記録部Aを構成する3つの記録部をオプション構成としたことから、非接触式IC記録部23が取り付けられない場合には、図14(B)に示すように、重送カードをローラ対20または21で片持ち状態で挟持するようにしてもよい。この場合には、開閉部材66の上面カバー67を開けることで上方からジャム解除を容易に行うことができる。なお、非接触式IC記録部23が開閉部材66に内蔵されている構成では、非接触IC記録部23が取り付けられていても上面カバー67を開けることで上方からジャム解除を容易に行うことができる。
また、図14(C)に示すように、重送カードを搬送ローラ対29、30に挟持した状態で止めておくようにしてもオペレータが重送カードにアクセスしやすいため、回動ユニットF内に止めておくよりジャム解除性は向上する。さらに、媒体収容部Dまで搬送するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、カード搬送長Ldを検知するために、センサSN2とセンサSN26とを用いる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、センサSN2のみでカードCaの先端および後端を検出し、カード搬送長Ldを検知するようにしてもよい。この場合に、クリーニングローラ22はゴミ付着の影響を受けることが考えられるため、例えば、図4に示すクリーニングローラ22とセンサSN2との間に搬送ローラ対を新たに設け、この搬送ローラ対を第1カード搬送モータの駆動力で回転させ回動ユニットFまでのカード搬送の主要ローラとするようにしてもよい。
この場合、カード搬送長Ldが予め定められた長さL1よりも大きいときに重送カードまたは規格外に長いカードと判断する。具体的には、カード先端がセンサSN2を通過してからカード後端がセンサSN2を通過するまでの搬送ローラの駆動量(カード搬送長Ld)を検出し、カード搬送長LdがカードCaの基準長さ(85.6mm)よりも大きい場合は重送と判断する。このとき、カード搬送長Ldが84.6mm≦カード搬送長Ld≦86.6mmの範囲にある場合はカードCaが重送されずに正常に搬送されたと判断する。また、カード搬送長Ldが86.6mm<カード搬送長Ld≦98.6mmの範囲にある場合は、カードCaが重送していると判断するが、回動ユニットFがCW、CCWの両方向に回動可能と判断する。さらに、カード搬送長Ldが98.6mm<カード搬送長Ld≦100.6mmの範囲にある場合は、回動ユニットFがCW方向にのみ回動可能と判断する。そして、カード搬送長Ldが100.6よりも大きい範囲にある場合は回動ユニットFが回動不可と判断する。なお、上記判断をした後の動作は上述した実施形態を同様であるため、説明を省略する。
また、本実施形態では、カードCaの搬送方向を変更する方向変更手段として回動ユニットFを例示したが、本発明は、特許文献3のように回動角度が180°未満の方向変更手段にも適用可能であることはいうまでもない。
さらにまた、本実施形態では、間接印刷方式の印刷装置(画像形成装置)を例示したが、本発明はこれに制約されず、直接印刷方式の印刷装置にも適用可能である。また、本実施形態では、画像形成部B1においてプラテンローラ45をサーマルヘッド40に圧接させる例を示したが、サーマルヘッド40をプラテンローラ45に圧接させるようにしてもよい。その際、プラテンは例示したローラである必要もないが、転写フィルム46やインクリボン41の搬送に影響を与えないものが好ましい。さらに、本実施形態では、転写部B2においてヒートローラ33をプラテンローラ31に圧接させる例を示したが、プラテンローラ31をヒートローラ33に圧接させるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、画像形成部B1において転写フィルム46の画像形成領域にカードCaの一面側の画像を形成し(S202)、転写部B2においてカードCaの一面に画像を転写(S206)した後に、画像形成部B1において転写フィルム46の次の画像形成領域への他面側の画像形成(S212)と並行して、カードCaを回動ユニットF側に搬送してカードCaを180°回転させ(S214)、転写部B2においてカードCaの他面に他面側の画像を転写する(S216)例を示したが、画像形成部B1において転写フィルム46の画像形成領域にカードCaの一面側の画像を形成した後、転写フィルム46の次の画像形成領域に他面側の画像を形成し、転写部B2において、カードCaの一面に画像を転写した後、カードCaを回動ユニットF側に搬送してカードCaを180°回転させ、カードCaの他面に他面側の画像を転写するようにしてもよい。
そして、本実施形態では、上位機器101から印刷データや磁気的ないし電気的記録データを受信する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、印刷装置1がローカルネットワークの一員を構成している場合には上位機器101以外のローカルネットワークに接続されたコンピュータから入力するようにしてもよい。また、磁気的ないし電気的記録データについてはオペパネ部5から入力してもよい。さらに、印刷装置1がUSBやメモリカード等の外部記憶装置と接続可能な構成の場合には外部記憶装置に格納された情報を読み取ることで印刷データや磁気的ないし電気的記録データを取得することができる。また、印刷データ(Bkの印刷データ、Y、M、Cの色成分印刷データ)に代えて画像データ(Bkの画像データ、R、G、Bの色成分画像データ)を上位装置101から受信するようにしてもよい。この場合には、印刷装置1側で受信した画像データから印刷データに変換すればよい。
以上述べたとおり、本発明は、ジャム発生時の操作性を向上可能な媒体搬送装置および該媒体搬送装置を備えた画像形成装置を提供するものであるため、媒体搬送装置および画像形成装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
1 印刷装置(画像形成装置)
20、21 ローラ対(搬送手段の一部)
22 クリーニングローラ(搬送手段の一部)
70 制御部(制御手段、検知手段の一部)
B 印刷部(画像形成手段)
F 回動ユニット(方向変更手段)
SN2 センサ(検知手段の一部、第1のセンサ)
SN26 センサ(検知手段の一部、第2のセンサ)

Claims (10)

  1. 媒体を搬送する搬送手段と、
    前記媒体の搬送方向を変更する方向変更手段と、
    前記搬送手段で搬送される媒体の搬送長を検知する検知手段と、
    上記各手段を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記検知手段で検知された前記搬送長が予め定められた長さL1と異なる場合に、前記方向変更手段から前記媒体を取り出し可能な方向に位置付け可能かを判断し、可能と判断したときに、前記媒体が前記取り出し可能な方向に位置付けられるように前記方向変更手段を制御することを特徴とする媒体搬送装置。
  2. 前記制御手段は、前記搬送長が前記長さL1と異なる場合に、エラー排出方向に前記媒体を位置付け可能かを判断することを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
  3. 前記検知手段は、前記方向変更手段の媒体搬送方向上流側に配された第1のセンサにより前記搬送手段で搬送される媒体の後端を検出し、前記方向変更手段の媒体搬送方向下流側に配された第2のセンサにより前記搬送手段で搬送される媒体の先端を検出することで前記搬送長を検知するように構成され、
    前記制御手段は、前記検知手段で検知された前記搬送長が予め定められた長さL1よりも小さい場合に、前記方向変更手段から前記媒体を取り出し可能な方向に位置付け可能かを判断することを特徴とする請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
  4. 前記制御手段は、前記搬送長が予め定められた長さL2(L2<L1)以上のときに、前記取り出し可能な方向に位置付け可能と判断し、前記搬送長が前記長さL2より小さいときに、前記取り出し可能な方向に位置付け不能と判断することを特徴とする請求項3に記載の媒体搬送装置。
  5. 前記検知手段は、前記方向変更手段の媒体搬送方向上流側に配された第1のセンサにより前記搬送手段で搬送される媒体の先端および後端を検出することで前記搬送長を検知するように構成され、
    前記制御手段は、前記検知手段で検知された前記搬送長が予め定められた長さL1よりも大きい場合に、前記方向変更手段から前記媒体を取り出し可能な方向に位置付け可能かを判断することを特徴とする請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
  6. 前記制御手段は、前記搬送長が予め定められた長さL2(L2>L1)以下のときに、前記取り出し可能な方向に位置付け可能と判断し、前記搬送長が前記長さL2より大きいときに、前記取り出し可能な方向に位置付け不能と判断することを特徴とする請求項5に記載の媒体搬送装置。
  7. 前記方向変更手段は前記媒体を挟持して回動させる回動体であり、
    前記制御手段は、前記取り出し可能な方向に位置付け可能と判断したときに、前記搬送長の中央が前記回動体の回動中心に位置するように前記搬送手段を制御した後、前記媒体が前記取り出し可能な方向に回動するように前記回動体を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
  8. 前記方向変更手段は前記媒体を挟持して回動させる回動体であり、
    前記制御手段は、前記取り出し可能な方向に位置付け不能と判断したときに、前記回転体を回動させずに前記媒体を前記方向変更手段の上流側に送り戻すように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
  9. 前記制御手段は、前記搬送長が前記長さL1と異なる場合に、前記搬送長に応じて時計廻り方向および反時計廻り方向の少なくとも一方に前記媒体を回動可能かを判断することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の媒体搬送装置。
  10. 前記媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の媒体搬送装置と、
    を備えた画像形成装置。
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