JP2018058733A - 金属化合物の製造方法、光触媒の製造方法、および光触媒複合体の製造方法 - Google Patents

金属化合物の製造方法、光触媒の製造方法、および光触媒複合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物ないし光触媒の可視光照射下における水素生成活性および光触媒電極の光電気化学特性を向上することができ、低温・短時間の加熱条件で、大気中でも製造することができる、金属化合物の製造方法、光触媒の製造方法、および光触媒複合体の製造方法。
【解決手段】硫化第一銅、硫化ガリウム、硫化インジウム、及び硫化亜鉛を含む金属硫化物の混合物を、金属塩化物の共存下に、400〜800℃において熱処理することを含む、下記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物の製造方法。一般式:CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n(x、y、k、j、m及びnは下記条件を満たし、AはSまたはSe;0<x<1;0≦y≦1;x>y;0≦k≦0.2;0≦j≦0.2;0≦m≦0.2;0≦n≦0.8;n=3/2k+3/2j+m)
【選択図】図12

Description

本発明は、金属化合物の製造方法、光触媒の製造方法、および光触媒複合体の製造方法に関する。
太陽エネルギーを利用する光エネルギー変換システムの実用化は、地球温暖化の抑制、枯渇しつつある化石資源への依存からの脱却を目指す観点から、近年その重要性が増している。なかでも、太陽エネルギーを用いて水を分解し水素を製造する技術は、現行の石油精製技術、アンモニア、メタノールの原料供給技術としてのみならず、燃料電池をベースとした将来の水素エネルギー社会における水素供給技術として、有望視されている。
また、光エネルギーを用いて水から水素を製造する技術は、光エネルギーを化学エネルギーに変換する技術と目されているが、実用化されて久しい太陽光発電は生成する電気エネルギーの貯蔵が容易でないために蓄電技術の進展が望まれている一方で、水素をはじめとする化学エネルギーは、エネルギーの貯蔵、輸送、単位当りのエネルギー量において優位なエネルギーになると期待されている。
水素は燃焼や燃料電池型反応において酸素と反応して水のみを発生する点においてクリーンな燃料として注目を集めている。しかしながら、工業的な水素の製造は、主に天然ガスの水蒸気改質等により行われており、化石資源に依存しているだけでなく、その製造過程において二酸化炭素が排出される。したがって、燃料として水素を用いても、化石資源の枯渇や二酸化炭素による地球温暖化の問題は解消されない。
水を原料にして太陽光エネルギーを用いて水素を製造することができれば、化石資源を消費しないだけでなく二酸化炭素の排出もないため、地球環境問題やエネルギー問題の解決に貢献することになる。
水分解にて水素と酸素とを発生する光触媒には、水素発生用と酸素発生用の2種がある。なかでも、水を分解して水素を発生しうる光触媒として、種々の金属硫化物が提案されている。
特許文献1では、水素発生に有効な光触媒として、組成式 Zn1−2x(CuGa)Inで表される複合金属硫化物に関する報告がある。また、特許文献2では、水素発生に有効な光触媒として、CuInSのCuまたはInの一部をAgまたはGaで置換した硫化物固溶体からなる光触媒に関する報告がなされている。また、特許文献3では、水素発生に有効な光触媒として、組成式 (CuAg)In2xZn2(1−2x)で表される可視光活性硫化物固溶体に関する報告がある。
非特許文献1では、同じく、水素発生に有効な光触媒として、固相法で合成された組成式Cu0.8Ga0.8−xInZn0.4で表される金属硫化物光触媒が報告されている。
非特許文献2においては、固相法で合成された組成式(CuGa)Zn2(1−x)で表される金属硫化物光触媒が、同様に、水素発生に有効であることが示されている。
非特許文献3においても、硫化水素ガスを用いる溶液法で合成された組成式(CuIn)Zn2(1−x)で表される金属硫化物光触媒が水素生成活性を示すことが報告されている。
さらに、非特許文献4においては、水素発生に有効な光触媒CuGaSについて、金属塩化物をフラックス剤に用いるフラックス法による合成とその光触媒特性が報告されている。しかしながら、フラックス法により合成されたCuGaS光触媒の水素生成活性は従来の固相法に比して低活性であることが示されている。
特開2009−066529号公報 特開2006−167652号公報 特開2005−199222号公報
日本化学会第92年会(2012年)1G1−43「Cu0.8Ga0.8−xInxZn0.4S2の混合硫化物光触媒によるソーラー水素製造」 日本化学会第91年会(2011年)3B4−17「新規硫化物光触媒(CuGa)xZn2(1−x)S2の可視光照射下における水素生成反応 J. Phys. Chem. B, Vol. 109, No. 15, 2005. "Photocatalytic H2 Evolution under Visible−Light Irradiation over Band−Structure−Controlled (CuIn)xZn2(1−x)S2 Solid Solutions" 触媒討論会2012年秋(九州大)「塩化物フラックスにより調製した金属複合硫化物を用いたソーラー水素生成」
金属硫化物のバンド構造として、価電子帯は硫黄の3p軌道が占め、伝導帯は金属のsp軌道が占めることが知られている。硫黄3p軌道は酸素2p軌道に比べて卑側の位置にあるため、金属硫化物は、一般に、金属酸化物よりも、狭いバンドギャップ構造を取り、したがってより長波長の光を吸収できる。これが、金属硫化物が太陽エネルギー利用材料として期待される所以である。
実際、可視光を利用して水を分解して水素を発生しうる光触媒として提案されている種々の金属硫化物のなかでも、銅を含む硫化物である黄銅鉱(カルコパイライト)は、太陽電池として利用されているCIGS(Cu−In−Ga−Se)をはじめとして光応答材料として有用であるものが多い。しかしながら、可視光照射下で水分解に用いられる、それら硫化物材料の有する光触媒特性や光電気化学特性は、まだ十分とは言えない。
従来のCGIZS(Cu−Ga−In−Zn−S)光触媒は、水分解による水素発生に適した光触媒として優れた性能を有するものの、水素生成活性の向上が必要であった。また、かかるCGIZS光触媒の光触媒電極への適用と、該光触媒電極の光電気化学特性の向上についても期待されていた。
加えて、光触媒は、いまだに従来の固相法を用いて合成する方法が一般的だが、−2価の硫黄は酸化され易く、空気中の酸素による酸化を防ぐために、真空引きした石英アンプル管に封管するか又は窒素などの不活性ガス雰囲気下にて、800℃超の高温で長時間加熱しなければならなかった。工業的観点からは、真空プロセスや不活性ガス雰囲気下よりも大気中で製造できる方が望ましく、また、加熱条件もより低温・短時間が望ましいと考えられた。
本発明は、かかる現状に鑑み、カルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物ないし該金属化合物を含む光触媒の可視光照射下における水素生成活性およびそれを用いた光触媒電極(本明細書において、「光電極」ともいうことがある。)の光電気化学特性を向上することができ、従来の固相法よりも低温・短時間の加熱条件で、しかも大気中でも製造することができる、該金属化合物の製造方法、光触媒の製造方法、光触媒複合体の製造方法、光触媒電極、および該光触媒電極の製造方法を提供することを目的とする。
光触媒あるいはそれを用いた光触媒電極を用いて可視光照射下に水を分解する際に、その活性を示す指標として、太陽エネルギー変換効率が一般的に用いられる。太陽エネルギー変換効率を向上させるためには、応答波長の長波長化、および、量子収率の向上、の2点が重要である。前者は、光触媒の組成等、光触媒自体の物性に関わるものであり、後者は、格子欠陥など、製造される光触媒の結晶状態や、粒子径や比表面積などの物理的な状態、また、表面修飾による活性点の状態など多岐に渡る要素が関わる。
本発明者らは、上記課題を解決するためには、光触媒自体の高品位化が必要であり、その実現は、CGIZS光触媒の製法およびそれを用いた光触媒電極の製造方法を改良することにより可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明者らは、フラックス法と称される、フラックス剤(金属塩素化物等)の存在下に、大気下にて400℃〜800℃の比較的低温にて熱処理する方法を用いることにより、光触媒性能を大幅に向上することができることを見出した。従来、CGIZS光触媒の合成方法として、所定量の各硫化物CuS、Ga、In、ZnSを混合して、真空下または不活性ガス雰囲気下に、600℃〜1000℃くらいの高温で焼成する固相法が知られていたが、本発明は、かかる固相法よりも比較的低温でよく、しかも大気中で熱処理できる点で工業的に有利である。
従来の固相法でなく、フラックス法にて低温で結晶を得る方法を用いることで、高品位な光触媒を得ることができており、その結果として、高性能な光水分解活性が得られたと考えられる。さらに、該光触媒を用いた光電極においても同様に高性能な水分解活性と光電気化学特性を示すことも併せて見出している。
具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
[1]
硫化第一銅(CuS)、硫化ガリウム(Ga)、硫化インジウム(In)、及び硫化亜鉛(ZnS)を含む金属硫化物の混合物を、金属塩化物の共存下に、400℃以上、800℃以下において熱処理することを含む、下記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物の製造方法。
一般式: CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n
(上記式中、x、y、k、j、m及びnは下記条件を満たし、AはSまたはSeを示す。
0<x<1、0≦y≦1、x>y、0≦k≦0.2、0≦j≦0.2、
0≦m≦0.2、0≦n≦0.8、n=3/2k+3/2j+m)
(本明細書において、上記一般式を「特定一般式」ということがある。)
[2]
前記金属塩化物が、アルカリ金属塩化物、及びアルカリ土類金属塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属塩化物である、[1]に記載の製造方法。
[3]
前記金属塩化物が塩化リチウムと塩化カリウムとを含む、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]
前記塩化リチウムと前記塩化カリウムとのモル比が40:60〜80:20である、[3]に記載の製造方法。
[5]
前記金属硫化物の混合物に対する前記金属塩化物のモル比が1以上、20以下である、[1]から[4]のいずれか1項に記載の製造方法。
[6]
前記金属塩化物を構成する金属は、Cu、Ga、In及びZnではない金属であり、
前記金属塩化物に由来する金属からなる不純物の量が、前記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物の質量の100ppm未満である、[1]から[5]のいずれか1項に記載の製造方法。
[7]
下記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物を含む光触媒の製造方法であって、
前記金属化合物は、[1]から[6]のいずれか1項に記載の製造方法により製造される、光触媒の製造方法。
一般式: CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n
(上記式中、x、y、k、j、m及びnは下記条件を満たし、AはSまたはSeを示す。
0<x<1、0≦y≦1、x>y、0≦k≦0.2、0≦j≦0.2、
0≦m≦0.2、0≦n≦0.8、n=3/2k+3/2j+m)
[8]
下記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物を含む光触媒と、助触媒及び表面修飾剤からなる群より選択される少なくとも1つとを含む光触媒複合体の製造方法であって、
前記光触媒は、[7]に記載の製造方法により製造され、
前記助触媒は、ルテニウム、白金、イリジウム、パラジウム及び金からなる群より選択される少なくとも1つであって、前記金属化合物に担持されており、
前記表面修飾剤は、CdS、ZnS及びInからなる群より選ばれる少なくとも1つであって、前記金属化合物の表面を修飾している、
光触媒複合体の製造方法。
一般式: CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n
(上記式中、x、y、k、j、m及びnは下記条件を満たし、AはSまたはSeを示す。
0<x<1、0≦y≦1、x>y、0≦k≦0.2、0≦j≦0.2、
0≦m≦0.2、0≦n≦0.8、n=3/2k+3/2j+m)
[9]
[1]から[6]のいずれか1項に記載の製造方法により製造された前記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物、
前記金属化合物を含む光触媒、又は
前記光触媒と、助触媒及び表面修飾剤からなる群より選択される少なくとも1つとを含む光触媒複合体が
集電導電体層上に積層された光触媒電極であって、
前記助触媒は、ルテニウム、白金、イリジウム、パラジウム及び金からなる群より選択される少なくとも1つであって、前記金属化合物に担持されており、
前記表面修飾剤は、CdS、ZnS及びInからなる群より選ばれる少なくとも1つであって、前記金属化合物の表面を修飾している、
光触媒電極。
[10]
前記集電導電体層は、Auおよびカーボンからなる群より選択される少なくとも1種の集電導電体を含み、
前記光触媒複合体が集電導電体層上に積層された、[9]に記載の光触媒電極。
[11]
水素発生用である、[9]又は[10]に記載の光触媒電極。
[12]
下記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物、該金属化合物を含む光触媒、又は該光触媒と、助触媒及び表面修飾剤からなる群より選択される少なくとも1つとを含む光触媒複合体を集電導電体層上に積層することを含む、光触媒電極の製造方法であって、
前記金属化合物は、[1]から[6]のいずれか1項に記載の製造方法により製造され、
前記光触媒は、[7]に記載の製造方法により製造され、
前記光触媒複合体は、[8]に記載の製造方法により製造される、
光触媒電極の製造方法。
[13]
前記集電導電体層は、Auおよびカーボンからなる群より選択される少なくとも1種の集電導電体を含み、
前記光触媒複合体が集電導電体層上に積層された、[12]に記載の光触媒電極の製造方法。
[14]
水素発生用である、[12]又は[13]に記載の光触媒電極。
本発明によれば、上述の特定一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物ないし該金属化合物を含む光触媒の可視光照射下における水素生成活性およびそれを用いた光触媒電極の光電気化学特性を向上することができ、従来の固相法よりも低温・短時間の加熱条件で、しかも大気中でも製造することができる、該金属化合物の製造方法、光触媒の製造方法、光触媒複合体の製造方法、光触媒電極、および該光触媒電極の製造方法を提供することができる。
こうして得られる上記金属化合物ないし光触媒は、可視光照射下における水分解による水素生成反応に高い活性を示すことから、高性能な水分解性能が期待され、CGIZS光触媒の光触媒性能を向上することができる。特に、かかる光触媒を水素発生用の光電極として用いた場合に、可視光照射下における水分解において高い水素生成活性を示すとともに光電極の光電気化学特性を向上し、光電極の性能を向上することができる。
また、本発明の製造方法は、工業的な製法という観点からも、従来の固相法よりもシンプルかつ低エネルギーのプロセスであるといえる。
実施例1〜6においてフラックス法により合成されたCGIZS光触媒のXRD測定結果 比較例1〜6において固相法により合成されたCGIZS光触媒のXRD測定結果 実施例1〜6および比較例1〜6において合成されたCGIZS光触媒のDRS測定結果 実施例1〜6および比較例1〜6において測定された水素生成活性 実施例7〜12および比較例7において測定された水素生成活性 実施例13および比較例7において合成されたCGIZS光触媒のXRD測定結果 実施例13および比較例7において合成されたCGIZS光触媒のDRS測定結果 実施例14において測定された光電気化学特性評価結果 実施例14において測定された水素生成活性評価結果 実施例15〜19においてフラックス法により合成されたCGIZS光触媒のXRD測定結果 実施例15〜19においてフラックス法により合成されたCGIZS光触媒のDRS測定結果 実施例15〜19において測定された光電気化学特性評価結果
以下、具体的な形態を示す。
フラックス法を用いる上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒の製造方法、助触媒・表面修飾方法、光触媒電極の作製方法、水分解による水素製造方法について順に記述する。
1.光触媒の組成
本発明における光触媒を構成する金属化合物の組成は、下記一般式
CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n
(0<x<1、 0≦y≦1、 x>y、 0≦k≦0.2、 0≦j≦0.2、
0≦m≦0.2、 0≦n≦0.8、 n=3/2k+3/2j+m、A=SまたはSe)
で表される。本発明における該金属化合物ないし該金属化合物を含む光触媒はカルコパイライト型結晶構造を有していることが重要であり、この一般式および各成分範囲で規定される組成の金属化合物は、カルコパイライト型結晶構造を容易に形成することができる。本明細書において、かかる「一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物」を「特定一般式で表される金属化合物」、「該金属化合物」などと略記することがある。本明細書において、かかる金属化合物と該金属化合物を含む光触媒との双方に該当する場合などにおいて単に「光触媒」と称して説明することがある。また、本明細書において、上記一般式で表される金属化合物ないし該金属化合物を含む光触媒を「CGIZS光触媒」ないし「CGIZS」ということがある。
この一般式において、k、j、m、nを含まない、一般式CuGax−yInZn2(1−x)(0<x<1、0≦y≦1、x>y、A=SまたはSe)で示される組成の光触媒は、従来のカルコパイライト型を示す組成を示すものであり、xおよびyはCu、Ga、In、およびZnの相補的な量関係を示すものである。
さらに、本発明の一般式CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n(0<x<1、0≦y≦1、x>y、0≦k≦0.2、0≦j≦0.2、0≦m≦0.2、0≦n≦0.8、n=3/2k+3/2j+m、A=SまたはSe)は、上記のxおよびyに加えて、k、j、m、nを含むものである。これら、k、j、m、nは、各々、Ga、In、Zn、Sの各成分の過剰量を示すものであり、本発明では、これら成分を適度に過剰に用いることにより、光触媒の性能を従来の組成のものに対して向上することができる。k、j、m、およびnは、それぞれ、上述の特定一般式に記載のとおり、0≦k≦0.2、0≦j≦0.2、0≦m≦0.2、0≦n≦0.8であるが、0.02≦k≦0.16、0.02≦j≦0.16、0.02≦m≦0.16、0.08≦n≦0.64であることが好ましく、0.04≦k≦0.12、0.04≦j≦0.12、0.04≦m≦0.12、0.16≦n≦0.48であることがより好ましい。
また、本発明では、0<x<1、0≦y≦1、x>yであるが、0.4≦x≦0.8、0.2≦y≦0.8であることが好ましく、0.4≦x≦0.8、0.3≦y≦0.6であることがより好ましい。これら、xおよびyが変化することによって、光吸収特性や光電気化学特性が変化することがわかっているが、上記範囲内のxおよびyであれば、得られる光触媒が優れた水素生成活性を有することができる。
2.光触媒の製造法
本発明におけるCGIZS光触媒の製法は、フラックス法と称される製法を用いて比較的低温で高品位な光触媒結晶を育成することができる。具体的には、本発明の金属化合物ないし該金属化合物を含む光触媒の製造方法は、出発原料に、硫化第一銅(CuS)、硫化ガリウム(Ga)、硫化インジウム(In)、硫化亜鉛(ZnS)等の金属硫化物、あるいは、セレン化第一銅(CuSe)、セレン化ガリウム(GaSe)、セレン化インジウム(InSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)等の金属セレン化物を用いて、金属塩化物からなるフラックス剤の存在下に400℃以上、800℃以下において熱処理することを含む。かかる製造方法により、高性能なCGIZS光触媒を得ることができる。
結晶の育成は、液相法、気相法および固相法に分類できる。大きな結晶を育成するには、構成原子などの再配列のしやすさから、液相を経由することが有利とされる。液相からの結晶育成は、融液法と溶液法に分けられる。
溶液法は、目的結晶の化学組成とまったく同じ組成の液相からの結晶育成法である。過冷却が結晶成長の駆動力となるため、冷却方法を工夫して結晶を育成させる。
一方、溶媒を用いる溶液法には、水溶液法、水熱法およびフラックス(融剤)法があり、溶液の徐冷や溶媒の蒸発による過飽和が結晶化の駆動力である。水溶液法は、水を溶媒とし、室温に近い温度での結晶を育成する。水熱法では、100℃を越す水を溶媒とした高温高圧条件下で結晶を育成する。水溶液法や水熱法の場合、所定の条件下で目的結晶の構成成分が水にまず溶解し、次いで結晶化する。
水を溶媒としない場合であっても、無機化合物(酸化物、ハロゲン化物など)、金属などは、高温で融解することで溶媒になる。これらの溶媒をフラックスまたはフラックス剤と称し、それを用いる結晶育成法がフラックス法である。フラックスに溶質を溶解させ、溶液の冷却やフラックスの蒸発による過飽和度の変化を駆動力として、結晶を育成する。
フラックス法の長所は、物質(溶質)の融点よりもはるかに低い温度で結晶が成長すること、成長しながら、結晶構造を反映したフラットな結晶面で囲まれた自形をもつこと、装置が簡便で操作が易しいこと、などが挙げられる。自形とは結晶本来の形である。自形をもつことが可能なフラックス法を用いて結晶を育成することにより、結晶方位の指定を容易にすることができる。
出発原料として用いる金属硫化物としては、具体的には、硫化第一銅(CuS)、硫化ガリウム(Ga)、硫化インジウム(In)、および硫化亜鉛(ZnS)を含む金属硫化物の混合物を用いる。
フラックス法においては、適切なフラックス剤を選定することが重要である。フラックス法は溶液からの結晶成長であり、必ず溶解と析出の過程を経る。フラックスには溶質を溶解し、次いで過飽和溶液から結晶化させる能力が求められるため、溶質を十分に溶解する、結晶を安定して析出させるなどの性質が必要である。また、フラックスは低融点が望ましく、不純物として結晶に混入しないことも求められる要件となる。
本実施態様では、フラックス剤として用いられる物質は、特に限定されないが、金属塩化物、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウムなどのアルカリ金属塩化物、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウムなどのアルカリ土類金属塩化物が好適に用いられ、なかでも、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウムがより好ましく、かかる金属塩化物の2種以上の混合物からなる共晶溶融塩がさらに好ましい。
例えば、塩化リチウム(融点605℃)と塩化カリウム(融点770℃)との混合物は59.5:40.5のモル比で融点352℃の共晶溶融塩を形成する。また、塩化ナトリウム(融点801℃)と塩化セシウム(融点645℃)の混合物も35:65のモル比で融点486℃の共晶溶融塩となる。
金属塩化物としては、特に、塩化リチウムと塩化カリウムとの組合せが特に好ましい。塩化リチウムと塩化カリウムとの混合組成としては、その融点を低下させる点で、塩化リチウムと塩化カリウムとのモル比が40:60〜80:20であることが好ましく、50:50〜70:30であることがより好ましく、その融点が最低となる点で、59.5:40.5であることが特に好ましい。本実施態様では、金属塩化物として、塩化リチウムと塩化カリウムのモル比59.5:40.5付近の混合物が好適に用いられる。
用いるフラックス剤、すなわち、上記金属塩化物の量は、特に限定されないが、原料の金属硫化物の混合物の量に対して、モル比で1以上、約20以下が好ましく、通常は5以上、約10倍以下が好適である。かかる範囲内であると、本実施態様の上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒の製造方法における熱処理を低温化しやすく、また、上述の特定一般式の成分範囲を容易に達成することができる。
本実施態様における熱処理、すなわち、フラックス時の温度としては、400℃以上、800℃以下が好ましく、450℃以上、750℃以下がより好ましい。
熱処理の時間としては、0.5時間以上、50時間以下が好ましく、1時間以上、30時間以下がより好ましく、2時間以上、20時間以下がさらに好ましい。
熱処理における昇温速度としては、0.5℃/分以上、20℃/分以下が好ましく、1℃/分以上、15℃/分以下がより好ましい。
本実施態様における熱処理における降温速度としては、0.5℃/分以上、20℃/分以下が好ましく、1℃/分以上、15℃/分以下がより好ましい。特に、降温については、結晶成長への影響が大きいことから、一定速度で降温するだけでなく、途中で一定温度において保持する、途中で降温速度を変更するなどの工夫が有効な場合がある。具体的には、1℃/分以上、15℃/分以下の降温速度において降温した後、300℃以上、600℃以下における一定温度において30分以上、300分以下の時間保持し、次いで1℃/分以上、15℃/分以下の降温速度において室温付近まで降温する方法などが挙げられる。
本実施態様における熱処理は、大気中で行うことができ、通常、0.1×10Pa以上、2000×10Pa以下、例えば1×10Pa以上、1000×10Pa以下の圧力において行うことができる。かかる熱処理は、例えば、密閉系の反応容器内において行うことができる。従って、本実施態様における熱処理は、真空下に熱処理する必要がなく、また、原料とする金属硫化物およびフラックス剤とする金属塩化物を石英製ガラス管、石英アンプル管などの閉鎖系の反応容器内において熱処理する必要がないが、本実施態様における熱処理ないしフラックス時における雰囲気は特に限定されず、大気下、または不活性ガス雰囲気下、さらには、通常、減圧下ないし真空下のいずれの雰囲気も適用可能であり、密閉系の反応容器内における熱処理を行ってもよい。本実施態様における熱処理ないしフラックス時における雰囲気としては、装置内、不活性ガス雰囲気下、または真空下が好ましく、真空下がより好ましい。
上記熱処理(フラックス)を行った後は、水により洗浄してフラックス剤を除去することが好ましい。金属硫化物およびCGIZSは水に不溶であり、金属塩化物は水に可溶であるので、水洗浄により効果的にフラックス剤である金属塩化物を除去することができる。
洗浄に用いる水の量、洗浄回数、洗浄時間などは、特に限定されず、洗浄水に塩素が検出されなくなるまでというのが通常の指標となる。水による洗浄方法としては、例えば、1回の洗浄あたり固形物の2〜20倍の体積の水を用いて、洗浄回数は通常3回以上、洗浄時間は5分以上/回で行うことが挙げられる。通常、かかる範囲内であれば、洗浄回数は6回以下、洗浄時間は60分以下/回で行うことができる。
洗浄後は、通常、CGIZS光触媒を乾燥させる。乾燥方法は、特に限定されないが、熱負荷をあまりかけずに水分を除去することが望ましい。室温〜50℃くらいで、常圧または減圧下に乾燥させることが好ましい。
上記製造方法により得られる、上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒中に残存するフラックス不純物の量は、該金属化合物ないし光触媒の質量に対して100ppm以下であることが好ましい。具体的には、該金属化合物ないし光触媒の質量に対して、フラックスに用いた金属塩化物に由来する金属成分としては、500ppm以下が好ましく、200ppm未満がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましく金属塩化物に由来する塩素としては、50ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましい。
また、こうして製造されたCGIZS光触媒は、組成の異なるものを複数種混合することで光触媒として利用することもできる。光照射により励起されて生成する電子と正孔が光触媒内で再結合せずに移動する上で、組成が一定の均質な光触媒よりも組成が不均一な光触媒を混合して用いる方がよりよい性能を示すことがある。その場合、酸素を含まない不活性ガス雰囲気下または減圧下で150〜600℃の範囲内の所定温度にて熱処理することが望ましい。加熱によって粒子どうしの相溶化を促すことで、粒界のポテンシャル障壁による導通抵抗が緩和される。
本実施態様の製造方法により製造される、上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒は、光水分解反応用の光触媒として好適に利用することができる。その場合、光水分解反応に供される光触媒の形態としては、特に限定されず、例えば、水中に光触媒を分散させる形態、光触媒を成形体として当該成形体を水中に設置する形態、基材上に光触媒を含む層を設けて積層体とし当該積層体を水中に設置する形態、集電体上に光触媒を固定化して光水分解反応用の光触媒電極とし対極とともに水中に設置する形態等が挙げられ、後者の光触媒電極の形態が好ましい。光触媒電極については後述する。
光触媒を設置する水は、液体状または気体状であってよい。また、上記の水としては、電解質水溶液を用いてもよい。
3.助触媒担持および表面修飾
本硫化物触媒は光励起された電子を用いて水を還元して水素を生成するが、助触媒はその活性点として機能する。その際に、光励起された電子が助触媒の表面において水分子に電子を与えることで水素分子が生成すると考えられる。
従って、光水分解に供される光触媒が光水分解活性を効果的に発揮するためには、光触媒表面に水素発生を促進する助触媒を担持して用いることが好ましい。また、光励起された電子が効率よく電荷分離して触媒表面に担持された助触媒に移動する、あるいは、光触媒自体が水との接触によって経時劣化が起ることを緩和するなどのために、光触媒の表面を修飾することが性能向上や安定性付与に望ましい。
本実施態様において、助触媒担持および/または光触媒の表面修飾は、例えば、上述の特定一般式で表される金属化合物ないし該金属化合物を含む光触媒と、後述の集電体とを積層する前に行ってもよいが、該集電体と積層した後に行ってもよい。
本実施態様において、助触媒担持を行い、光触媒の表面修飾を行わないことでもよく、また、逆に光触媒の表面修飾を行い、助触媒担持を行わないことでもよいが、助触媒担持および光触媒の表面修飾の両方を行うことが好ましい。
助触媒担持と、光触媒の表面修飾とは、両方行う場合、いずれを先に行ってもよく、例えば、助触媒担持を行った後、かかる光触媒の表面修飾を行ってもよいし、逆に、光触媒の表面修飾を行った後、かかる助触媒担持を行ってもよい。
光水分解反応に供される光触媒を、例えば、水中に光触媒を分散させる形態により供する場合、助触媒担持を行うことが好ましくい。光水分解反応に供される光触媒を、例えば、光触媒を成形体として当該成形体を水中に設置する形態、基材上に光触媒を含む層を設けて積層体とし当該積層体を水中に設置する形態、集電体上に光触媒を固定化して光水分解反応用の光触媒電極とし対極とともに水中に設置する形態等により供する場合、光触媒の表面修飾を行うことが好ましく、光触媒の表面修飾および助触媒担持を行うことがより好ましい。
本明細書において、上述の特定一般式で表される金属化合物を含む光触媒に助触媒担持、および表面修飾からなる群より選択される少なくとも1つを行って得られるものを「光触媒複合体」ということがある。すなわち、かかる光触媒複合体は、光触媒と、助触媒および表面修飾剤からなる群より選択される少なくとも1つとを含む。かかる光触媒複合体において、具体的には、助触媒は、上述の特定一般式で表される金属化合物に担持されており、表面修飾剤は、該金属化合物の表面を修飾している。
本実施態様における助触媒としては、白金、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、金(Pt、Ru、Ir、Pd、Au)などの貴金属が好ましく用いられる。特に、Pt、Ir、Ruがより好ましい。助触媒は、2種以上を用いてもよいが、通常、1種のみを用いることでも十分に助触媒の機能を発揮することができる。
助触媒の担持の形態は、特に限定されないが、触媒表面に粒子として担持された状態が好ましい。助触媒は、平均直径が0.1〜10nmのナノサイズの微粒子であることが好ましい。
助触媒の担持方法としては、特に限定されず、例えば、含浸、光電着、電気泳動、スパッタ、ドロップキャストなどの一般的な方法などが挙げられる。担持量も特に限定されるものでなく、上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒の0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
本実施態様の、助触媒を担持した、上述の特定一般式で表される金属化合物は、可視光照射下において優れた水素生成活性を有することができる。具体的には、例えば、下記条件下に疑似太陽光を照射する場合に生成する水素の単位時間当たりのモル数のオンラインのガスクロマトグラフによる定量値を3mL・h−1以上とすることができる。該定量値の上限値としては特に限定されないが、例えば、150mL・h−1以下とすることができる。
条件:金属化合物に対して2質量%のRu助触媒を担持させた粉末0.2gを、0.50mol/LのKSO、および、0.10mol/LのNaSを含む水溶液200mlに懸濁させ、閉鎖循環型反応装置に接続した上方照射型反応セルに投入し、反応温度20℃、反応圧5kPaでソーラーシミュレーター(AM1.5G)を用いて疑似太陽光を照射強度が100mW/cmとなるように照射する。
また、表面修飾としては、まず、上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒に対し、n型半導体となる物質を積層または担持することが好ましい。p型半導体であるCGIZSの表面にn型半導体を積層または担持することでpn接合が形成され、それによって励起電子がp型半導体CGIZSからn型半導体へ、さらに助触媒へと励起電子が効果的に運ばれる。その際に、励起電子と空孔との再結合を抑制することも同時に期待されるので、効率よい電荷分離が実現できると考えられる。
本実施態様で好適に用いられる上記n型半導体としては、CdS、ZnS、Inなどの金属硫化物が挙げられ、CdS、ZnSがより好適に用いられる。かかるn型半導体ないし金属硫化物としては、2種以上を用いてもよいが、通常、1種のみを用いることでも十分に機能を発揮することができる。本明細書において、上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒に対して表面修飾を行うn型半導体ないし金属硫化物を「表面修飾剤」ということがある。
これらn型半導体金属硫化物の担持の形態としては、特に限定されないが、上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒の表面に、膜として積層または粒子として担持された状態が好ましく、積層の場合の層の膜厚は通常0.1nm以上、500nm以下、好ましくは1nm以上、200nm以下であり、担持の場合の粒子の大きさは平均直径が通常1nm以上、200nm以下、好ましくは2nm以上、100nm以下の微粒子であることが好ましい。
n型半導体金属硫化物の担持の方法は、特に限定されるものでなく、例えば、含浸法、化学溶液析出法(CBD法、Chemical Bath Deposition)、光電着、電気泳動、スパッタなどが好適に用いられる。特に化学溶液析出法がより好ましい。
化学溶液析出法でCdSを担持する場合について説明する。Cd源には、硫酸カドミウムや酢酸カドミウムなどのCd塩、硫黄源にはチオ尿素、中和剤としてアンモニア水が好適に用いられる。具体的には、Cd塩とチオ尿素とアンモニア水とを含む水溶液に、CGIZS光触媒電極を、40〜80℃に加温した状態で浸漬する。電極表面にCdSが析出するので、所定時間浸漬した後、取り出して水で洗浄する。
また、安定性付与のための表面処理として、TiOなどの酸化物を電極表面に膜として積層することが好ましい。
4.光触媒電極
以下の光触媒電極に関する記載において、光触媒としては、上述の光触媒複合体を用いることが好ましい。
上述した、本実施態様における上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒を用いた光水分解反応用の光触媒電極は、例えば、公知の方法により作製可能である。例えば、ドロップキャスト法、粒子転写法、物理的成膜法、ロールプレス法、電気泳動法などの一般的な方法が好適に用いられる。
粒子転写法(Chem. Sci., 2013,4, 1120−1124)は、好ましい方法であり、高性能な光触媒電極を容易に作製可能である。すなわち、ガラス等の第1の基材上に光触媒を載せて、光触媒層と第1の基材層との積層体を得る。得られた積層体の光触媒層表面に蒸着等によって導電層(集電体、集電導電体)を設ける。ここで、光触媒層の導電層側表層にある光触媒が導電層に固定化される。その後、導電層表面に第2の基材を接着し、第1の基材層から導電層および光触媒層を剥がす。光触媒の一部は導電層の表面に固定化されているので、導電層とともに剥がされ、結果として、光触媒層と導電層と第2の基材層とを有する光水分解反応用電極を得ることができる。
また、光触媒が分散されたスラリーを集電体の表面に塗布して乾燥させることで、光水分解反応用電極を得てもよいし、光触媒と集電体とを加圧成形等して一体化することで光水分解反応用電極を得てもよい。また、光触媒が分散されたスラリー中に集電体を浸漬し、電圧を印可して光触媒を電気泳動により集電体上に集積してもよい。
上述の特定一般式で表される金属化合物ないし該金属化合物を含む光触媒は、通常、粉末で得られるが、集電体への積層に際し、該粉末を懸濁させた液体を集電体に適用することにより行うことができる。該金属化合物ないし光触媒の粉末の懸濁液としては、特に限定されないが、例えば、エタノール、2−プロパノール、t−ブタノールなどのアルコールを分散媒とする液体が好ましい。
尚、集電体には、Auやカーボン、あるいは、ITOやFTOといった透明導電性フィルムやガラスが好適に用いられる。Auやカーボンの集電体の作製方法は、特に限定されるものでないが、蒸着やスパッタなどの物理的手段により積層担持することが好適である。
また、CGIZS光触媒を用いて光触媒電極を作製する際に、Auおよびカーボンからなる群より選択される少なくとも1種の集電導電体を含む集電導電体層、好ましくはAuまたはカーボンからなる集電導電体層、並びに、CdS、ZnS、およびInから選ばれるいずれか1つ以上の硫化物による表面処理、Pt、Au、Ir、Ru、およびPdから選ばれるいずれか1つ以上の助触媒担持、の3者を施すことによって光触媒電極の性能が十分に発揮される。
CGIZS光触媒電極の作製は、CGIZS光触媒を用いて、ドロップキャスト法、粒子転写法、物理的成膜法などの種々の作製法が適用可能である。粒子転写法がより好ましい。
5.光水分解による水素製造方法
本実施態様により製造される、上述の特定一般式で表される金属化合物ないし該金属化合物を含む光触媒、または、上記した光触媒電極を、水若しくは電解質水溶液に浸漬し、当該光触媒または光触媒電極に光を照射して光水分解を行うことで、水素を製造することができる。この場合、上記金属化合物ないし光触媒としては、上述の光触媒複合体を用いることが好ましい。
例えば、上述のように導電体で構成される集電体上に光触媒を固定化して酸素生成用の光触媒電極および水素生成用の光触媒電極を得て、電極間を電線などの導電性材料で接続した後、液体状または気体状の水を供給しながら光を照射し、水分解反応を進行させる。必要に応じて電極間に電位差を設けることで、水分解反応を促進することができる。
一方、絶縁基材上に光触媒を固定化した固定化物に、または、光触媒を加圧成形等した成形体に、水を供給しながら光を照射して水分解反応を進行させてもよい。または、光触媒を水または電解質水溶液に分散させて、ここに光を照射して水分解反応を進行させてもよい。この場合、必要に応じて攪拌することで、反応を促進することができる。
水素の製造時の反応条件としては特に限定されないが、例えば、反応温度、反応圧力などを選択することができる。反応温度としては、例えば、0℃以上、200℃以下、好ましくは10℃以上、150℃以下、より好ましくは15℃以上、100℃以下とすることができる。反応圧力としては、例えば、2MPa(G)以下、好ましくは1MPa(G)以下、より好ましくは0.5MPa(G)以下、さらに好ましくは0.2MPa(G)以下とすることができ、かかる範囲内であれば、0.001MPa(G)以上であることが好ましく、0.005MPa(G)以上であることがより好ましいとする。
照射光は、光触媒の種類にもよるが、900nm以下の波長を有する可視光を好適に利用することができる。照射光の光源としては太陽のほか、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の太陽光近似光ないし疑似太陽光を照射可能なランプ、水銀ランプ、LED等が挙げられる。
本実施態様の、上述の特定一般式で表される金属化合物ないし光触媒を用いる光触媒電極は、優れた光電気化学特性を有することができる。具体的には、例えば、下記条件下に作成する光触媒電極に対し下記条件下に疑似太陽光を照射する場合に、操作電位0.0VvsRHEにおいて、1mA/cm以上のカソード電流密度を測定することができる。また、その際の光水分解における水素発生の量子効率は90%以上の値を示す。該カソード電流密の上限値としては特に限定されないが、例えば、10mA/cm以下とすることができる。
光触媒電極作成条件:前記金属化合物からなる膜厚1〜3μmの光触媒層に膜厚1〜3μmのAuを積層し膜厚2〜20nmのCdSで表面修飾し、Pt助触媒を1nm以下の粒子径で担持してPt/CdS/CGIZS/Auからなる光触媒電極を得る。
疑似太陽光照射条件:
・光源 ソーラーシミュレーター AM1.5G(100mW/cm
・電解液 0.5M NaSO, 0.25M NaHPO, 0.25M NaHPO pH 6.3
・参照電極 Ag/AgCl, 対電極 Ptワイヤ
・アルゴン雰囲気
以下、実施例に基づいて本発明の金属化合物ないし光触媒の製造方法、光触媒複合体の製造方法、および光触媒電極について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<光触媒合成、フラックス法、Cu0.8Ga0.48In0.48Zn0.42.24
光触媒はフラックス法で合成した。原料にはCuS((株)高純度化学研究所製、純度99.0%)を1.019g(6.40mmol)、Ga((株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を0.905g(3.84mmol)、In((株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を1.251g(3.84mmol)、ZnS((株)高純度化学研究所製、純度99.999%)を0.748g(7.68mmol)用いた。この原料仕込みは、一般式CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n(0<x<1、0≦y≦1、x>y、0≦k≦0.2、0≦j≦0.2、0≦m≦0.2、0≦n≦0.8、n=3/2k+3/2j+m、A=SまたはSe)に対して、x=0.8、y=0.4、k=0.08、j=0.08、m=0、n=0.24に相当する。すなわち、Cu0.8Ga0.48In0.48Zn0.42.24に相当し、GaおよびInが各々化学量論値の20mol%過剰に用いられている。原料の混合はメノー乳鉢を用いて、Nグローブボックス中で行った。フラックス剤にはLiCl(関東化学(株)製、純度99.0%)4.070g(48mmol)およびKCl(関東化学(株)製、純度99.5%)4.771g(32mmol)を用いた。フラックス剤の混合は、原料の金属硫化物の混合と同様に行った。これらの混合物を、原料、フラックス剤の順番で石英製シース管に入れ、縦型管状炉において大気中、500℃、3時間の熱処理を行った。熱処理において、昇温速度は10℃/分である。熱処理の降温は、5℃/分の降温速度で行った。熱処理後の試料は、純水で十分に洗浄してフラックス成分を除去してから、生成したCGIZS粉を吸引濾過にて分離回収した。その後、大気中、室温で一晩乾燥させた。
実施例2〜6
y=0.4をy=0、0.2、0.5、0.6、0.8に代える以外は実施例1と同様にして、CGIZS光触媒を合成した。すなわち、得られるCGIZS光触媒は、各々、下記組成式に相当する。
実施例2(y=0): Cu0.8Ga0.88In0.08Zn0.42.24
実施例3(y=0.2): Cu0.8Ga0.68In0.28Zn0.42.24
実施例4(y=0.5): Cu0.8Ga0.38In0.58Zn0.42.24
実施例5(y=0.6): Cu0.8Ga0.28In0.68Zn0.42.24
実施例6(y=0.8): Cu0.8Ga0.08In0.88Zn0.42.24
比較例1
CGIZS光触媒を固相法で合成した。具体的には、原料の金属硫化物には、実施例1と同じものを同じ仕込み量で用い、これらの混合物を石英製ガラス管に入れ、0.5Paの真空下に封管した後、電気炉で800℃、10時間の熱処理を行った。
比較例2〜6
比較例1と同様の方法により、実施例2〜6と同じ原料仕込みでCGIZS光触媒を合成した。すなわち、原料の金属硫化物には、実施例2〜6と同じものを同じ仕込み量で用いた。
実施例7〜12
実施例1において、熱処理温度を、400℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃とした以外は同様の操作により触媒を合成した。
実施例13
<光触媒合成、フラックス法、Cu0.8Ga0.48In0.4Zn0.42.12
原料の仕込比(モル)を、x=0.8、y=0.4、k=0.08、j=0、m=0、n=0.12に相当する量を用いた以外は、実施例1と同じ方法により光触媒CGIZSを合成した。すなわち、Cu0.8Ga0.48In0.4Zn0.42.12に相当し、Gaが20%過剰に用いられている。
比較例7
<光触媒合成、固相法、x=0.8、y=0.4>
原料の仕込比(モル)を、CuS、In、ZnSは化学量論値とし、Gaは20mol%過剰とした以外は、比較例1と同じ方法により光触媒CGIZSを合成した。
<粉末X線回折(XRD)によるキャラクタリゼーション>
実施例1〜13および比較例1〜7において得られた各試料について、粉末X線回折(XRD)を用いて結晶構造解析を行った。実施例1〜6において得られた各試料の結果を図1に示し、比較例1〜6において得られた各試料の結果を図2に示し、実施例13および比較例7において得られた各試料の結果を図6に示す。
図1および図2のXRD測定結果において、いずれの試料もカルコパライト構造の結晶が得られていることが認められた。
また、図1および図2のXRD測定結果において、y値の増加に伴い、すなわちGaが減少しInが増加するにしたがい、低角シフトが認められた。
図6から、実施例13においてフラックス法により合成した試料と、比較例7において従来の固相法により合成した試料とでXRD測定結果が実質的に同様であり、いずれの試料もカルコパライト構造の結晶が得られていることが認められた。
<拡散反射スペクトル測定(DRS)によるキャラクタリゼーション>
実施例1〜6、13および比較例1〜7において得られた各試料について、UV−VIS−NIR分光分析装置を用いて、拡散反射スペクトル測定(DRS)を行った。実施例1〜6および比較例1〜6において得られた各試料の結果を図3に示し、実施例13および比較例7において得られた各試料の結果を図7に示す。
図3の各触媒のDRS結果において、y値の増加に伴い、すなわちGaが減少しInが増加するにしたがい、吸収端波長が540nmから900nmくらいまで長波長側にシフトしていることが認められた。このことから、Gaを減じてInを増加させることで吸収端波長を長波長側にコントロールできることがわかる。
また、図7から、吸収端が約670nmでほぼ同じであることがわかる。
[助触媒担持]
実施例1〜12および比較例1〜6において得られたCGIZS光触媒に対して、助触媒としてRu 2重量%を光電着法により担持した。具体的には、RuCl 0.40mmolとメタノール20mLとを含む水溶液200mLに上記CGIZS粉0.2gを室温にて撹拌下に懸濁させた状態で300Wのキセノンランプによる光照射を3時間行った。その後、濾過して水洗浄を行い、一晩室温にて乾燥させた。
<CGIZS光触媒の水素生成活性評価(懸濁系)>
上記によりRu助触媒を担持させた、実施例1〜12および比較例1〜6において得られた各CGIZS光触媒について、水を分解して水素を生成する光触媒活性は、疑似太陽光照射下における亜硫酸カリウムおよび硫化ナトリウムを含む水溶液からの水素生成反応で評価した。評価には閉鎖循環型反応装置に接続した上方照射型反応セルを用いた。触媒粉末0.2gを、0.50mol/LのKSO、および、0.10mol/LのNaSを含む水溶液200mlに懸濁させ、マグネチックスターラーで評価中は撹拌した。反応条件としては、反応温度20℃、反応圧5kPaである。Pyrex(登録商標)ガラス製の窓の上から、ソーラーシミュレーター(AM1.5G)を用いて、疑似太陽光を照射した。照射強度は100mW/cmであった。発生した水素は、オンラインのガスクロマトグラフ(島津製作所製;GC−8A、MS−5A、TCD、Arキャリアー)で定量した。実施例1〜6および比較例1〜6において得られた各CGIZS光触媒のRu助触媒担持体の結果を図4に示し、実施例7〜12および比較例7において得られた各CGIZS光触媒のRu助触媒担持体の結果を図5に示した。
図4から明らかなように、x=0.8、y=0〜0.8の広範囲にわたって、実施例1〜6においてフラックス法で製造された光触媒の方が、比較例1〜6において従来の固相法で製造された光触媒よりも、高い水分解水素生成活性を示すことがわかった。
図5から明らかなように、実施例7〜10においてフラックス温度400〜700℃のフラックス法により得られた各光触媒は、比較例7において固相法により得られた光触媒よりも、高い水分解水素生成活性を示すことがわかった。
実施例14
[CGIZS光触媒電極の作製、粒子転写法]
実施例13において得られた光触媒CGIZS 30mgを1mLの2−プロパノールに懸濁させ、この懸濁液200μLをガラス基板上に滴下し、次いで乾燥することを3回繰り返してガラス基板上に光触媒層を形成した。次に、該光触媒層上に、集電導体層となるAuを蒸着により2μm程度の膜厚で積層した。蒸着装置には、真空蒸着装置(アルバック機工(株)製、VPC−260F)を用いた。その後、両面テープを用いて集電導体層の上から別のガラス基板を接着して、最初に付けたガラス基材を除去し、純水中で超音波洗浄した。最後に、エポキシ樹脂を用いて光触媒層以外の部分を封止し、さらにIn導線を集電導体層に接着することで、光触媒層/集電導電体層/ガラス基板からなるCGIZS光触媒電極を得た。
[CdS表面修飾とPt助触媒担持]
50mLの水を70℃に加温して、同温度にて撹拌下に、硫酸カドミウム0.28g、28%アンモニア水0.4mL、チオ尿素1.4gを順次加えた後、上記で得られたCGIZS光触媒電極を5分間浸漬した。取り出した同光触媒電極を純水で洗浄した後、室温で一晩乾燥することでCdSで表面修飾されたCGIZS光触媒電極を得た。次に、助触媒となるPtをマルチ成膜装置を用いて1nm程度の厚さ相当の量を担持した。こうして、電極構成としてPt/CdS/CGIZS/Auからなる光触媒電極を得た。
<光電気化学特性評価>
実施例14において得られた各光触媒電極を用いて、以下の測定条件によって、光電気化学特性を調べた。結果を図8に示す。図8から明らかなようにフラックス法により合成されたCGIZS光触媒を用いた光電極は高いカソード電流を与えた。
・光源 ソーラーシミュレーター AM1.5G(100mW/cm
・電解液 0.5M NaSO, 0.25M NaHPO, 0.25M NaHPO pH 6.3
・参照電極 Ag/AgCl, 対電極 Ptワイヤ
・アルゴン雰囲気
<水分解水素生成活性評価>
実施例14において得られた光触媒電極を用いて、以下の測定条件によって、水分解による水素生成活性を調べた。結果を図9に示す。
・光源 ソーラーシミュレーター AM1.5G(100mW/cm
・電解液 0.5M NaSO, 0.25M NaHPO, 0.25M NaHPO pH 6.3
・参照電極 Ag/AgCl, 対電極 Ptワイヤ
・アルゴン雰囲気
図9に示す通り、水素と酸素が2:1の体積比で生成すること、および、その際に測定された光電流値から計算される理論的なガス発生量(点線部分)の関係から量子効率95%程度が得られることがわかった。
実施例15
<光触媒合成、フラックス法、Cu0.8Ga0.48In0.4Zn0.42.12
熱処理を窒素気流下に750℃3時間行ったこと以外は、実施例13と同じ方法によりGa20%過剰の光触媒CGIZSを合成した。
実施例16
<光触媒合成、フラックス法、Cu0.8Ga0.4In0.48Zn0.42.12
実施例15におけるGa20%過剰に代えて、Ga過剰なし、In20%過剰とした以外は実施例15と同様の方法により光触媒CGIZSを合成した。
実施例17
<光触媒合成、フラックス法、Cu0.8Ga0.4In0.4Zn0.482.12
実施例15におけるGa20%過剰に代えて、Ga過剰なし、Zn20%過剰とした以外は実施例15と同様の方法により光触媒CGIZSを合成した。
実施例18
<光触媒合成、フラックス法、Cu0.8Ga0.52In0.4Zn0.42.18
実施例15におけるGa20%過剰に代えてGa過剰30%とし、熱処理を550℃15時間とした以外は実施例15と同様の方法により光触媒CGIZSを合成した。
実施例19
<光触媒合成、フラックス法、Cu0.8Ga0.4In0.4Zn0.4
実施例15におけるGa20%過剰に代えて、Ga過剰なしとした以外は実施例15と同様の方法により光触媒CGIZSを合成した。
<粉末X線回折(XRD)によるキャラクタリゼーション>
実施例15〜19において得られた各試料について、粉末X線回折(XRD)を用いて結晶構造解析(XRD)を行った。結果を図10に示す。
図10から、いずれの試料もカルコパライト構造の結晶が得られていることが認められた。
<拡散反射スペクトル測定(DRS)によるキャラクタリゼーション>
実施例15〜19において得られた各試料について、UV−VIS−NIR分光分析装置を用いて拡散反射スペクトル測定(DRS)を行った。結果を図11に示す。
図11から、Inの過剰量が20mol%である実施例16、Znの過剰量が20mol%である実施例17、並びにGa、In及びZnの過剰量がない(0mol%)実施例19において、吸収端が700nm付近であること、Gaの過剰量が20mol%である実施例15およびGaの過剰量が30mol%である実施例18において、吸収端がいずれも660nm付近であることがわかる。
[CGIZS光触媒電極の作製、粒子転写法]
実施例15〜19において得られた各光触媒CGIZSについて、実施例14と同様の方法により光触媒電極を作成した。
[CdS表面修飾とPt助触媒担持]
さらに、表面処理と助触媒担持を実施例14と同様の方法により行うことで、電極構成としてPt/CdS/CGIZS/Auからなる光触媒電極を得た。
<光電気化学特性評価>
上記で得られた光触媒電極を用いて、以下の測定条件によって、光電気化学特性を調べた。実施例15〜19において得られた各光触媒を上記のように用いた光触媒電極の結果を図12に示す。
・光源 ソーラーシミュレーター AM1.5G(100mW/cm
・電解液 0.5M NaSO、0.25M NaHPO、0.25M NaHPO pH 6.3
・参照電極 Ag/AgCl、対電極 Ptワイヤ
・アルゴン雰囲気
図12から明らかなように、実施例15〜19において得られた各光触媒にCdS表面修飾とPt助触媒担持とを施した光触媒複合体を用いた光触媒電極は、高いカソード電流を与えた。
実施例20
<光触媒合成と光触媒電極作製、触媒組成:Cu0.8Ga0.44In0.4Zn0.42.06、合成法:フラックス法、熱処理温度:450℃>
Gaのみ10%過剰であり、0.5Paの真空下に封管した石英製ガラス管中で電気炉にて450℃3時間の熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同じ方法によりCGIZS光触媒を合成した。さらに、実施例14と同様の方法により、光触媒電極、助触媒担持、表面修飾を行うことで、電極構成としてPt/CdS/CGIZS/Auからなる光触媒電極を得た。
実施例21
<光触媒合成と光触媒電極作製、触媒組成:同上、合成法:同上、熱処理温度:550℃>
熱処理温度を550℃に代える以外は実施例20と同様の方法によりCGIZS光触媒を合成し、さらに、同様にして、Pt/CdS/CGIZS/Auからなる光触媒電極を得た。
実施例22
<光触媒合成と光触媒電極作製、触媒組成:同上、合成法:同上、熱処理温度:650℃>
熱処理温度を650℃に代える以外は実施例20と同様の方法によりCGIZS光触媒を合成し、さらに、同様にして、Pt/CdS/CGIZS/Auからなる光触媒電極を得た。
実施例23
<光触媒合成と光触媒電極作製、触媒組成:同上、合成法:同上、熱処理温度:750℃>
熱処理温度を750℃に代える以外は実施例20と同様の方法によりCGIZS光触媒を合成し、さらに、同様にして、Pt/CdS/CGIZS/Auからなる光触媒電極を得た。
比較例8
<光触媒合成と光触媒電極作製、触媒組成:同上、合成法:同上、熱処理温度:350℃>
熱処理温度を350℃に代える以外は実施例20と同様の方法によりCGIZS光触媒を合成し、さらに、同様にして、Pt/CdS/CGIZS/Auからなる光触媒電極を得た。
比較例9
<光触媒合成と光触媒電極作製、触媒組成:同上、合成法:同上、熱処理温度:850℃>
熱処理温度を850℃に代える以外は実施例20と同様の方法によりCGIZS光触媒を合成し、さらに、同様にして、Pt/CdS/CGIZS/Auからなる光触媒電極を得た。
<光電気化学特性評価>
上記で得られた光触媒電極を用いて、以下の測定条件によって、光電気化学特性を調べた。実施例20〜23および比較例8〜9において得られた各光触媒を上記のように用いた光触媒電極の結果を表1に示す。
・光源 ソーラーシミュレーター AM1.5G(100mW/cm
・電解液 0.5M NaSO、0.25M NaHPO、0.25M NaHPO pH 6.3
・参照電極 Ag/AgCl、対電極 Ptワイヤ
・アルゴン雰囲気
Figure 2018058733
表1から明らかなように、実施例20〜23において得られた各光触媒電極による0.0vsRHEにおけるカソード電流密度はいずれも1.0mA/cm以上と高い数値を示した。一方で、比較例8および9における同カソード電流密度は1mA/cm未満と低い値であった。これらより、熱処理温度が450℃から750℃の場合において光電気化学特性が良好となることがわかる。

Claims (8)

  1. 硫化第一銅(CuS)、硫化ガリウム(Ga)、硫化インジウム(In)、及び硫化亜鉛(ZnS)を含む金属硫化物の混合物を、金属塩化物の共存下に、400℃以上、800℃以下において熱処理することを含む、下記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物の製造方法。
    一般式: CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n
    (上記式中、x、y、k、j、m及びnは下記条件を満たし、AはSまたはSeを示す。
    0<x<1、0≦y≦1、x>y、0≦k≦0.2、0≦j≦0.2、
    0≦m≦0.2、0≦n≦0.8、n=3/2k+3/2j+m)
  2. 前記金属塩化物が、からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属塩化物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記金属塩化物が塩化リチウムと塩化カリウムとを含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記塩化リチウムと前記塩化カリウムとのモル比が40:60〜80:20である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記金属硫化物の混合物に対する前記金属塩化物のモル比が1以上、20以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記金属塩化物を構成する金属は、Cu、Ga、In及びZnではない金属であり、
    前記金属塩化物に由来する金属からなる不純物の量が、前記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物の質量の100ppm未満である、請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 下記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物を含む光触媒の製造方法であって、
    前記金属化合物は、請求項1から6のいずれか1項に記載の製造方法により製造される、光触媒の製造方法。
    一般式: CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n
    (上記式中、x、y、k、j、m及びnは下記条件を満たし、AはSまたはSeを示す。
    0<x<1、0≦y≦1、x>y、0≦k≦0.2、0≦j≦0.2、
    0≦m≦0.2、0≦n≦0.8、n=3/2k+3/2j+m)
  8. 下記一般式で表されるカルコパイライト型結晶構造を有する金属化合物を含む光触媒と、助触媒及び表面修飾剤からなる群より選択される少なくとも1つとを含む光触媒複合体の製造方法であって、
    前記光触媒は、請求項7に記載の製造方法により製造され、
    前記助触媒は、ルテニウム、白金、イリジウム、パラジウム及び金からなる群より選択される少なくとも1つであって、前記金属化合物に担持されており、
    前記表面修飾剤は、CdS、ZnS及びInからなる群より選ばれる少なくとも1つであって、前記金属化合物の表面を修飾している、
    光触媒複合体の製造方法。
    一般式: CuGax−y+kIny+jZn2(1−x)+m2+n
    (上記式中、x、y、k、j、m及びnは下記条件を満たし、AはSまたはSeを示す。
    0<x<1、0≦y≦1、x>y、0≦k≦0.2、0≦j≦0.2、
    0≦m≦0.2、0≦n≦0.8、n=3/2k+3/2j+m)
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