JP2020176301A - 水素発生用電極及び水素発生用電極の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い電流密度とより貴側のオンセット電位となる光電気化学特性を示す水素発生用電極及び水素発生用電極の製造方法を提供すること。【解決手段】光によって水から水素を発生させる水素発生用電極であって、集電層上に、p型半導体層及びn型半導体層をこの順に有し、前記n型半導体層上に助触媒を担持し、前記p型半導体層が、Cuと、Sと、Ga及びInの少なくとも一方と、アルカリ金属とを必須成分として含有し、必要に応じてZn及びSeの少なくとも一方を含有するp型半導体を含む水素発生用電極。【選択図】なし

Description

本発明は、光によって水から水素を発生させる水素発生用電極、及び、水素発生用電極の製造方法に関する。
太陽エネルギーを利用する光エネルギー変換システムの実用化は、地球温暖化の抑制、枯渇しつつある化石資源依存からの脱却を目指す観点から、近年、その重要性が増している。中でも、太陽エネルギーを用いて水を分解し水素を製造する技術は、現行の石油精製、アンモニア、メタノールの原料供給技術としてのみならず、燃料電池をベースとした将来の水素エネルギー社会における水素供給技術として、有望視されている。
上述の太陽エネルギーを用いて水を分解する方法の重要な要素として、光水分解用電極がある。光水分解用電極として、水素発生用電極、すなわち光を用いて水から水素を発生させる電極について、すでに多くの報告がなされている。
例えば、特許文献1には、集電層上に、p型半導体、n型半導体、反応助触媒が、この順で積層された構造の光水分解用電極が記載され、特許文献1で用いられるp型半導体はCu、Ga及びカルコゲン元素からなる化合物であることが記載されている。この光水分解用電極を水中に保持し、太陽光等の光を照射することにより、水を分解して水素を製造することができる。
特許文献2には、Cu、Ga、In、Zn、及びSまたはSeからなる特定の組成を有する複合金属化合物が集電導電体層上に積層された光触媒電極が記載されている。この光触媒電極は優れた光電気化学特性を有し、光触媒電極に疑似太陽光を照射することにより、水を分解して水素を製造することができる。
非特許文献1には、Pt/CdS/CIGS(Cu−Ga−In−Se)から成る光カソードが記載され、この光カソードを用いた疑似太陽光照射による光電気化学特性および水分解による水素生成の結果が示されている。非特許文献1に示された光電気化学特性において、電流密度は比較的大きいもののオンセット電位は0.7VvsRHE付近である。
非特許文献2には、CGIZS(Cu−Ga−In−Zn−S)光触媒に関する粒子転写電極のカソード特性が記載されており、貴側オンセットなどの優れた特性が示されている。
特開2012−046385号公報 特開2018−58043号公報
H.Kumagai;T.Minegishi;N.Sato;T.Yamada;J.Kubota;K.Domen,J.Mater.Chem.A,2015,3,8300-8307. T.Hayashi;Ryo Niishiro;H.Ishihara;M.Yamaguchi;Q.Jia; Y.Kuang;T.Higashi;A.Iwase;T.Minegishi;T.Yamada;K.Domen;A.Kudo,Sustainable Energy Fuels 2018,2,2016-2024.
上述の通り、太陽エネルギーを利用する光エネルギー変換システムの実用化に対して、太陽エネルギーにより水を分解して水素を製造する光水分解用電極を用いる技術は、優れた解決策であると考えられている。その際に、光水分解用電極を有する光電気化学セルとして、水素発生用の光カソード(水素発生用電極)と酸素発生用の光アノードの2つの光水分解用電極を組み合わせる2電極システムが典型的なものである。この2電極システムにおいては、各電極の電流電位曲線が、より高い電流密度で交わることが、高い太陽エネルギー変換効率に直結する。そのためには、各電極の電流密度がより大きいことに加えて、電流密度の立ち上がり電位(オンセット電位)が、水素発生用の光カソードではより貴側であり、酸素発生用の光アノードではより卑側にあることが望まれる。すなわち、より具体的には、水素発生用の光カソードと酸素発生用の光アノードとが交わることが想定される0.6〜1.0VvsRHEの電位において、より大きな電流密度を示す水素発生用の光カソード及び酸素発生用の光アノ―ドが求められている。これまでに開発されてきた水素発生用の光カソードに着目すると、その報告例は多いが、1.0VvsRHE前後の貴側オンセット電位を示す水素発生用の光カソードはほとんど報告されておらず、また、0.6〜1.0VvsRHEの電位において大きな電流密度を示すものが非常に少ないというのが実情である。
すなわち、太陽光などの光を用いて水から水素を発生させる、水素発生用の光カソードとして、より高い電流密度とより貴側のオンセット電位となる光電気化学特性を示す水素発生用電極の開発が望まれている。
本発明は、かかる現状に鑑み、高い電流密度とより貴側のオンセット電位となる光電気化学特性を示す水素発生用電極及び水素発生用電極の製造方法を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するために本発明者らが検討した結果、集電層上に、p型半導体層及びn型半導体層をこの順に有し、n型半導体層上に助触媒を担持し、p型半導体層が、Cuと、Sと、Ga及びInの少なくとも一方と、アルカリ金属とを必須成分として含有し、必要に応じてZn及びSeの少なくとも一方を含有するp型半導体を含む水素発生用電極が、光によって水から水素を発生させる水素発生用電極として高い電流密度とより貴側のオンセット電位となる光電気化学特性を示すことを見出し、本発明を完成した。即ち本発明は以下の構成を有するものである。
[1]光によって水から水素を発生させる水素発生用電極であって、集電層上に、p型半導体層及びn型半導体層をこの順に有し、前記n型半導体層上に助触媒を担持し、前記p型半導体層が、Cuと、Sと、Ga及びInの少なくとも一方と、アルカリ金属とを必須成分として含有し、必要に応じてZn及びSeの少なくとも一方を含有するp型半導体を含むことを特徴とする水素発生用電極。
[2]前記アルカリ金属が、Li及びNaから選択される少なくとも一種であることを特徴とする上記[1]に記載の水素発生用電極。
[3]前記n型半導体層が、Cd、Zn、In、Ga、Ti、Zr及びSnから選択される少なくとも一種の金属の、硫化物、酸化物又は水酸化物を含むことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の水素発生用電極。
[4]前記助触媒が、Pt、Ru、Rh、Ir、Au、Ag、Pd及びNiから選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の水素発生用電極。
[5]前記集電層と前記p型半導体層との間に、酸化物層を有することを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の水素発生用電極。
[6]前記酸化物層が、Ti、Zr、Hf、Zn、Cd、Sn、Ga及びInから選択される少なくとも一種以上の金属の酸化物を含むことを特徴とする上記[5]に記載の水素発生用電極。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに1つに記載の水素発生用電極の製造方法であって、前記集電層上に前記p型半導体層を形成するp型半導体層形成工程と、前記p型半導体層上に前記n型半導体層を形成するn型半導体層形成工程と、前記n型半導体層上に前記助触媒を担持する助触媒担持工程と、を備えてなることを特徴とする水素発生用電極の製造方法。
[8]前記p型半導体層形成工程では、多元蒸着法によって前記p型半導体層を形成することを特徴とする上記[7]に記載の水素発生用電極の製造方法。
本発明によれば、集電層上に、p型半導体層及びn型半導体層をこの順に有し、n型半導体層上に助触媒を担持し、p型半導体層が、Cuと、Sと、Ga及びInの少なくとも一方と、アルカリ金属とを必須成分として含有し、必要に応じてZn及びSeの少なくとも一方を含有するp型半導体を含む水素発生用電極とすることにより、高い電流密度とより貴側のオンセット電位となる光電気化学特性を示す。この為、水を分解することにより水素を効率的に製造することができる。
実施例1〜3の水素発生用電極の光電気化学特性評価結果/電流電位曲線 実施例4〜6の水素発生用電極の光電気化学特性評価結果/電流電位曲線 実施例7〜8の水素発生用電極の光電気化学特性評価結果/電流電位曲線
<<水素発生用電極>>
本発明の水素発生用電極は、光によって水から水素を発生させることができる電極であり、集電層上に、p型半導体層と、n型半導体層とをこの順に有し、n型半導体層上に助触媒を担持している。このような水素発生用電極について、以下に詳述する。
<(1)集電層>
本発明の水素発生用電極を構成する集電層は、導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性の観点から、Fe、Cu、Al、Ni、ステンレス鋼、Ti、Ta、Mo、Au、Ptなどの金属材料が好ましい。
また、集電層は、ガラス等の絶縁材料からなる基板に導電層を被覆したものでもよい。導電層としては、上記の金属材料を用いることができる。水素発生用電極の製造時における耐反応性の点から、金属材料としてMoを用いることが好ましい。また、絶縁材料としては、石英、ソーダライムガラス等を用いることができる。CIGS(Cu−In−Ga−Se)太陽電池の分野においてソーダライムガラスからCIGS層へのNa混入による高性能化が指摘されており、同効果の利用、および導電層と熱膨張係数が近い基材を用いなければ容易にクラックが導入されてしまうという観点から、ソーダライムガラスを用いることが好ましい。
また、Mo等の金属材料からなる導電層とソーダライムガラス等の絶縁材料からなる基板との間に、密着性等を改善する目的で、導電層に含まれる金属以外の金属、例えば、Ti、Al、Ni、Sn、Fe、Zn等の金属を用いて、厚さ数nm〜数百nmの薄い層を有していてもよい。
集電層の形状は特に限定されないが、厚さ1μm〜1mm程度のシート状のものを用いることが好ましい。また、絶縁材料からなる基板に導電層を被覆したものを集電層として用いる場合は、導電層の厚さは、100nm〜10μmであることが好ましい。導電層の厚さが厚くなりすぎると、絶縁材料から剥離する虞がある。
<(2)p型半導体層>
p型半導体層は、正孔の移動によって電荷が運ばれる半導体である。
本発明の水素発生用電極を構成するp型半導体層は、Cuと、Sと、Ga及びInの少なくとも一方と、アルカリ金属とを必須成分として含有し、必要に応じてZnおよびSeの少なくとも一方を含有するp型半導体を含む。
このように、本発明においては、集電層上に、p型半導体層及びn型半導体層をこの順に有し、n型半導体層上に助触媒を担持し、p型半導体層が、Cuと、Sと、Ga及びInの少なくとも一方と、アルカリ金属とを必須成分として含有するp型半導体を含むことにより、本発明の水素発生用電極は、後述する実施例に示すように、高い電流密度と、より貴側のオンセット電位(電流密度が立ち上がる電位)となる光電気化学特性を示す。この理由は現時点では判明していないが、本発明者らは以下の様に推測している。
本発明の水素発生用電極は、CuとGa及びInの少なくとも一方とを含むp型半導体層にSが含まれることが、高い性能を発現する要因の一つではないかと考えられる。なお、特にこのSは、ムラなく結晶に取り込まれていることが好ましい。
水素発生用電極のオンセット電位の最も貴側電位は、理論的には、用いられるp型半導体層のフェルミレベルに一致すると考えられる。従来のカルコゲナイド系Cu含有p型光半導体においては、Se系よりもS系の方が、より貴側にフェルミレベルが存在することが予想される。価電子帯上端の電位はSe系に比してS系の方が0.3〜0.5eVほど貴側にあるとされ、これらp型半導体のフェルミレベルは価電子帯上端よりわずかに卑側にあるとされるので、Se系よりS系の方がフェルミレベルも貴側にあることが予想される。従って、理論的には、S系Cu含有p型光半導体のオンセット電位はSe系Cu含有p型光半導体よりも貴側を示すことが期待できる。
そして、本発明の水素発生用電極に含まれるアルカリ金属の存在が、Cu元素に由来する欠陥部位を何らかの形で補っていることも、高い性能を発現する大きな要因であると考えられる。なお、この系におけるSとの組み合わせの観点では、アルカリ金属の中でもNaやLiが好ましく、より好ましくはLiである。
上記p型半導体のアルカリ金属の含有量は、Cu、Ga、In、Zn、アルカリ金属の合計を100モル%とした場合、0.001〜5.0モル%であることが好ましい。このアルカリ金属の含有量のより好ましい下限値は0.005モル%であり、さらに好ましくは0.01モル%であり、特に好ましくは0.05モル%である。一方、アルカリ金属の含有量のより好ましい上限値は4.0モル%であり、さらに好ましくは3.0モル%であり、より好ましくは2.5モル%であり、特に好ましくは2.0モル%である。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムから選ばれる元素が含まれることが好ましい。より好ましくは、リチウム、ナトリウムであり、さらに好ましくはリチウムである。これらの元素は2種以上含まれていてもよい。
上記p型半導体の化学式は、例えば下記式(A)で表すことができる。
CuGaInZn2−e・・・(A)
(上記式中、a、b、c、d、e、fは下記条件を満たし、XはSeを示し、Yはアルカリ金属を示す。
0<a≦2、0<(b+c)≦1.67、0≦d<2、0≦e<2、0<f<0.1。)
なお、本発明におけるp型半導体が上記式(A)で表されるp型半導体の場合は、p型半導体中の全金属原子に対するアルカリ金属の含有量(モル%)は、f/(f+a+b+c+d)×100で求められる。
本発明における上記p型半導体が含有する成分の含有量比は特に限定されないが、式(A)において、好ましくは、0.2≦a≦1.2、0.0≦b≦1.0、0.0≦c≦1.0、0.0≦d≦1.5、0.0≦e≦1.0、0.0001≦f≦0.100、より好ましくは、0.4≦a≦1.0、0.0≦b≦0.8、0.0≦c≦0.8、0.0≦d≦1.2、0.0≦e≦0.5、0.0001≦f≦0.050である。また、上述の通り、上記p型半導体中のアルカリ金属の含有量(モル%)、すなわち、f/(f+a+b+c+d)×100は、好ましくは、0.001〜5.0、より好ましくは、0.01〜2.5である。
また、p型半導体層を構成する上記p型半導体の吸収波長は光電変換可能な波長域であれば特に限定されるものではない。吸収波長としては、太陽光の波長域、特に可視光域の波長域を含んでいればよいが、その吸収波長は600nm以上、好ましくは700nm以上の波長域を含んでいることが好ましい。
<(3)n型半導体層>
n型半導体層は、電子の移動によって電荷が運ばれる半導体であれば、特に制限されない。例えば、結晶構造がウルツ型、または、閃亜鉛鉱型であるn型半導体が挙げられる。このような結晶構造のn型半導体としては、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgTe、AlP、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、GaSb、In、InP、InAs、InSb、ZnO、GaN、MgS、MgSe、BeS、BeSe等が挙げられる。
中でも、本発明においては、n型半導体層は、Cd、Zn、In、Ga、Ti、Zr及びSnから選択される少なくとも一種の金属の、硫化物、酸化物又は水酸化物を含むことが好ましく、CdS、ZnS、Inを含むことがより好ましい。n型半導体層は、これら硫化物、酸化物や水酸化物の混合物であってもよい。2種以上を用いてもよいが、通常、1種のみを用いることでも十分に機能を発揮することができる。
本発明では、n型半導体となる物質は、p型半導体層上に積層または担持されていることが好ましい。p型半導体層の表面にn型半導体層が積層または担持されることでpn接合が形成され、それによって励起電子がp型半導体CGIZSからn型半導体へ、さらに助触媒へと励起電子が効果的に運ばれる。その際に、励起電子と空孔との再結合を抑制することも同時に期待されるので、効率よい電荷分離が実現できると考えられる。
これらn型半導体の担持の形態としては、特に限定されないが、上記p型半導体層の表面に、膜として積層または粒子として担持された状態が好ましい。積層の場合のn型半導体層の膜厚は通常0.1nm以上、500nm以下、好ましくは1nm以上、200nm以下である。また、担持の場合のn型半導体を構成する粒子の大きさは、平均直径が通常1nm以上、200nm以下であり、2nm以上、100nm以下の微粒子であることが好ましい。
<(4)助触媒>
本発明の水素発生用電極は、n型半導体層上に助触媒が担持されている。
本発明の水素発生用電極は、光励起された電子を用いて水を還元して水素を生成するが、助触媒はその活性点として機能する。その際に、光励起された電子が助触媒の表面において水分子に電子を与えることで水素分子が生成すると考えられる。
助触媒としては、第6〜10族の遷移金属、遷移金属化合物、または、これらの混合物を用いることができる。より具体的には、例えば、Pt、Ru、Rh、Ir、Au、Ag、Pd等の貴金属やNiが好ましく用いられる。特に、Pt、Ir、Ruがより好ましい。助触媒は、2種以上を用いてもよいが、通常、1種のみを用いることでも十分に助触媒の機能を発揮することができる。
助触媒の担持の形態は、特に限定されないが、n型半導体層の表面に粒子として担持された状態が好ましい。助触媒は、平均直径が0.1〜10nmのナノサイズの微粒子であることが好ましい。
助触媒の担持量も特に限定されるものでなく、上述のp型半導体層100質量%に対して、助触媒は0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
<(5)酸化物層>
本発明の水素発生用電極は、集電層とp型半導体層との間に、酸化物層を有していてもよい。酸化物層を有することにより、例えば、詳しくは後述するが、多元蒸着による成膜でのp型半導体層形成時の、集電層や集電層を構成する導電層の硫化を、抑制することができる。特に多元蒸着による成膜時にSラジカルセルを用いてS源を導入する際には、反応性の高いS分が、集電層や集電層を構成する導電層の金属と反応して金属硫化物を生成する場合がある。例えば集電層や集電層を構成する導電層がMoを含む場合はMoSが生成して、集電層や集電層を構成する導電層の機能を損なう場合がある。しかしながら、集電層上に酸化物層を有することにより、多元蒸着による成膜でのp型半導体層形成時の、集電層や集電層を構成する導電層の硫化を抑制することができるため、集電層や集電層を構成する導電層の機能を損なうことが抑制される。
酸化物層は、金属酸化物を含んでいることが好ましい。金属酸化物の金属としては、4族のTi、Zr、Hf、12族のZn、Cd、13族のGa、In、14族のSnなどの酸化物が好ましく、Ti、Zr、Ga、Znなどがより好ましい。
酸化物層の厚さは、1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。厚すぎると導電性が低下し、薄すぎると、Mo層等の導電層の硫化の抑制が十分でない場合がある。
<<水素発生用電極の製造方法>>
上記水素発生用電極は、公知の技術を特に制限なく用いて製造することができるが、例えば、集電層上にp型半導体層を形成するp型半導体層形成工程と、p型半導体層上にn型半導体層を形成するn型半導体層形成工程と、n型半導体層上に助触媒を担持する助触媒担持工程とを備えてなる、本発明の水素発生用電極の製造方法により、製造することができる。また、集電層とp型半導体層との間に酸化物層を有する水素発生用電極を製造する場合は、本発明の水素発生用電極の製造方法は、集電層上に酸化物層を形成する酸化物層形成工程をさらに備える。本発明の水素発生用電極の製造方法について、以下に詳述する。
<酸化物層形成工程>
酸化物層形成工程では、集電層上に酸化物層を形成する。酸化物層形成工程は任意の工程である。
酸化物層の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、化学溶液析出法(CBD法、Chemical Bath Deposition)などの成膜方法が適用できるが、スパッタ法がより適している。なお、スパッタ法および蒸着法においては、スパッタおよび蒸着直後は金属のまま酸化されていないが、成膜装置内から取り出されて空気に触れることによって表面が酸化されて酸化物になる。本発明において、酸化物層はこのような酸化物も含むものである。
<p型半導体層形成工程>
p型半導体層形成工程では、集電層上にp型半導体層を形成する。集電層上に酸化物層を形成した場合は、集電層上の酸化物層上に、p型半導体層を形成する。
p型半導体層は、公知の成膜方法で形成することができる。
p型半導体層の成膜方法は特に制限されないが、例えば、多元蒸着法、硫化法、スパッタ法、メカノケミカルプロセス法、スクリーン印刷法、近接昇華法、MOCVD
(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、およびスプレー法等が挙げられ、多元蒸着法が好ましく、MBE(Molecular Beam Epitaxy)装置を用いた多元蒸着法により成膜を行うことが好ましい。この多元蒸着法による成膜方法は、膜厚制御が比較的容易で、緻密で高品位な結晶が得られるだけでなく、蒸着条件を制御することによって膜の深さ方向に組成に傾斜をつけることができるなどの利点がある。
多元蒸着法による成膜に用いる原料は、特に限定されないが、銅、ガリウム、インジウム、亜鉛、硫黄などの元素や単量体をそのまま用いることができる。また、硫化第一銅(CuS)、硫化ガリウム(Ga)、硫化インジウム(In)、硫化亜鉛(ZnS)等の硫化物も用いることができる。また、アルカリ金属の原料には、Li、Na、Kなどアルカリ金属のフッ化物、塩化物、硫化物などを用いることができ、アルカリ金属のフッ化物や硫化物が好ましく、アルカリ金属のフッ化物がより好ましい。多元蒸着法による成膜においては、LiFやNaFなどのアルカリフッ化物を用いるのが特に好ましい。さらに、基板のソーダライムガラスに含まれるナトリウム成分を、集電層を経由してp型半導体層に混入できる場合があり、この混入によってもナトリウムをp型半導体層に添加することも可能である。
S(硫黄)分子は通常多量体で存在するので、Sの供給には多量体を分解して供給することが好ましい。例えば、Sラジカルセルと呼ばれる装置をS蒸着源に付帯させることが好ましい。このSラジカルセルはS多量体をクラッキングにより分解して単量体やラジカルS原子に分解することができる。単量体やラジカルSは多量体に比して反応性が高くかつムラなく供給できるので高品位の結晶成長が達成されると考えられる。実際、本発明者らの検討により、水素発生用電極において、光電流密度がより増大し、オンセット電位がより貴側になるという性能面でのメリットが確認されている。
多元蒸着法を用いる成膜は、好ましくは圧力1×10−3Pa以下の高い真空度に保たれた容器中において原料を独立に加熱、蒸発させ、適度な温度に加熱された基板上で化合物薄膜をエピタキシャル成長させて薄膜を形成する方法である。各原料の供給量は原料を蒸発させる各セルの温度を制御することによってコントロールすることができる。
p型半導体層は、固相法で成膜してもよい。固相法では、例えば、硫化第一銅(CuS)、硫化ガリウム(Ga)、硫化インジウム(In)、硫化亜鉛(ZnS)等の硫化物を原料にして、不活性雰囲気ガス下、または、真空封管中にて、500〜1000℃にて熱処理を行うことによって製造される。空気中や、酸素含有ガス雰囲気下において熱処理を行うと、硫化物は容易に酸化されてしまう傾向があるのが、不活性ガス雰囲気下あるいは真空雰囲気が好ましい理由である。
<n型半導体層形成工程>
n型半導体層形成工程では、p型半導体層上にn型半導体層を形成する。
n型半導体層は、公知の成膜方法で形成することができる。
n型半導体が金属の硫化物である場合は、例えば、含浸法、化学溶液析出法(CBD法、Chemical Bath Deposition)、光電着法、電気泳動法、スパッタ法などが好適に用いられる。特に化学溶液析出法がより好ましい。
一例として、化学溶液析出法で、n型半導体層としてCdSをp型半導体層に担持する場合について説明する。Cd源には、硫酸カドミウムや酢酸カドミウムなどのCd塩、硫黄源にはチオ尿素、中和剤としてアンモニア水が好適に用いられる。具体的には、Cd塩とチオ尿素とアンモニア水とを含む水溶液に、集電層上に形成されたp型半導体層を、40〜80℃に加温した状態で浸漬する。p型半導体層表面にCdSが析出するので、所定時間浸漬した後、取り出して水で洗浄する。
<助触媒担持工程>
助触媒担持工程では、n型半導体層上に助触媒を担持する。
助触媒は、公知の方法でn型半導体上に担持することができ、助触媒の担持方法は、特に限定されず、例えば、含浸法、光電着法(光電析法)、電気泳動法、スパッタ法、ドロップキャスト法等などが挙げられる。中でも、光電析法が好ましい。光電着法(光電析法)では、上記で作製された、集電層上にp型半導体層及びn型半導体層を形成したものと金属塩とを電解質水溶液中に共存させ、光照射によって金属塩を還元し、金属または金属化合物としてn型半導体層上に担持させる。
このような本発明の水素発生用電極の製造方法で、上記本発明の水素発生用電極を製造することができる。なお、安定性付与のための表面処理として、TiOなどの酸化物を電極表面に膜として積層してもよい。
<<水分解による水素発生方法>>
上記本発明の水素発生用電極は、光によって水から水素を発生させることができる。具体的には、本発明の水素発生用電極と、別途用意された酸素発生用の電極とを、電線などの導電性材料で接続した後、液体状または気体状の水を供給しながら光を照射することで、各々の電極表面より水素ガスおよび酸素ガスが発生して水分解反応を進行させることができる。必要に応じて電極間に電位差を設けることで、水分解反応を促進することができる。通常は、水または電解質水溶液に各電極を浸漬して光照射することで水分解が進行する。
本発明においては、集電層上に、p型半導体層及びn型半導体層をこの順に有し、n型半導体層上に助触媒を担持し、p型半導体層が、Cuと、Sと、Ga及びInの少なくとも一方と、アルカリ金属とを必須成分として含有するp型半導体を含むため、水分解反応において、高い電流密度とより貴側のオンセット電位となる光電気化学特性を示す。
照射する光の光源としては、太陽のほか、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の太陽光近似光ないし疑似太陽光を照射可能なランプ、水銀ランプ、LED等が挙げられる。
この水分解の活性評価は、電極の光電気化学特性を評価することで代用するのが一般的である。例えば、実施例で示すように、3電極(特性評価用電極、Pt対照電極、Ag/AgCl参照電極)を一つのセル内の電解質水溶液に浸漬し、ポテンショスタットを用いて特性評価用電極にある電位からある電位まで印加しながら一定の速度で掃引し、その間、ソーラーシミュレーターによる光照射をonとoffを交互に繰り返すことで、電流−電位曲線を得るという評価方法で、水分解の活性を評価することができる。上述のとおり、この際に得られる電流−電位曲線から、電流密度が大きいほど水素発生活性が高いこと、および、オンセット電位がより貴側にあれば酸素発生用電極との組合せによる水分解が有効に機能することが期待できる。
以下、実施例に基づいて本発明の水素発生用電極について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1> Pt/CdS/CGIZSSe/TiO/Mo/SLG電極の作製および光電気化学特性評価
[Moコートソーダライムガラス(Mo/SLG)基板の作製]
10×10×1.1mmのソーダライムガラス(SLG)板に、Mo薄膜をRFマグネトロンスパッタ法にて成膜し、Mo/SLG基板を得た。具体的には、Mo成膜時の試料温度を350℃、成膜チャンバー内のAr分圧を2.5×10−1Pa、RF出力を200Wに設定し、成膜時間は45分間とし、厚さ500nmのMo薄膜(Mo層)を、SLG上に形成した。
[酸化チタンコート層(TiO/Mo/SLG)の作製]
上記手法で得たMo/SLG基板の上に、反応性スパッタ法にて酸化チタン膜を成膜し、TiO/Mo/SLG基板を得た。具体的には、成膜装置にはスパッタ成膜装置(アルバック機工製、MPS−254)を、Tiターゲットには豊島製作所製(3N)のものを用い、試料温度を150℃、ガス流量をO:5sccm、Ar:10sccmとし、成膜チャンバー内圧力を6.0×10−1Pa、RF出力を100Wに設定し、成膜時間は60分とし、厚さが30nmの酸化チタン層をMo/SLG基板上に形成した。
[Li−CGIZSSe層(p型半導体層)の作製)]
TiO/Mo/SLG基板上に多元蒸着法によってLi−CGIZSSe層を成膜することによって、集電層上にp型半導体層を積層した。具体的には、成膜装置にはMBE装置((株)エピクエスト製、RC6100)を用い、原料として、Cu(フルウチ化学製、6N)、In(フルウチ化学製、6N)、Ga(高純度化学製、7N)、Zn(高純度化学製、6N)、Se(フルウチ化学製、6N)、LiF(高純度化学製、3N)をそれぞれ熱分解用のセル内にセットし、S(高純度化学製、5N)はS用バルブドクラッカーセル(Veeco製 Mark V 500cc)にセットして、独立に加熱、蒸発させて、その蒸気を、同じく圧力1×10−3Pa以下に保たれた成膜チャンバー内に配置されたTiO/Mo/SLG基板に照射することにより堆積させた。原料供給量の制御は、各原料の堆積速度を各セルの温度により制御することにより行った。また、550℃で30分間以上脱ガス処理を行った後、350℃から600℃まで温度を上昇させながら合計170分間蒸着を実施した。
以上の操作によって約1.5μm厚のLi−CGIZSSe薄膜を得た。走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察時におけるエネルギー分散型X線分析法(EDX)による組成分析から、上記式(A)に基づくと、組成は、モル基準で、Cu:Ga:In:Zn:S:Se=0.99:0.35:0.65:0.36:1.81:0.19であることが確認された。またICP分析により、リチウムの含有量(モル%)、すなわち上記式(A)のf/(f+a+b+c+d)×100の値が0.2であることを確認した。
[CBD法によるCdS(n型半導体層)の形成]
ガラス製ビーカーに純水25mLを採取し、アンモニア水(和光純薬、28%)25mL、酢酸カドミウム二水和物(関東化学、98.0%)0.33gを加え、60℃に昇温した後、チオ尿素(関東化学、98.0%)1.42gを加えた後ただちに上記Li−CGIZSSe層を液中に約10分間浸漬した。その後、純水で洗浄した後、200℃に加熱したホットプレート上で1分間加熱して乾燥させて、Li−CGIZSSe層上にCdS層を形成した。
[光電着法によるPt(助触媒)の担持]
上記[CBD法によるCdS(n型半導体層)の形成]にてLi−CGIZSSe層上にCdSを形成した後、エポキシ樹脂を用いて裏面と横面など不用な部分を封止し、さらにIn導線を集電層に接着することで、CdS/Li−CGIZSSe/TiO/Mo/SLG電極を得た。
下記の参照電極を備えたフラスコに電解液100mLを仕込み、アルゴン置換した後、塩化白金酸(和光純薬、98.5%)50μLを加えた。その後、上記で得られた電極を液中に浸して−0.2V vs RHEの電位にて下記のソーラーシミュレーターを光源に用いて光照射を行った。観測される光カソード電流値が飽和したところで電着を終了して、Pt/CdS/Li−CGIZSSe/TiO/Mo/SLG電極を得た。処理時間は約40分であった。
・光源:ソーラーシミュレーター AM1.5G(三永電機 XES−40S1、100mW/cm
・電解液:0.5M NaSO、0.25M NaHPO、0.25M NaHPO pH6.3
・参照電極:Ag/AgCl、対電極 Ptワイヤ
・アルゴン雰囲気
[光電気化学特性評価]
上記で得られたPt/CdS/Li−CGIZSSe/TiO/Mo/SLG電極を用いて、Pt対照電極、Ag/AgCl参照電極(東洋製;TRE−10)を備えた3電極1セル方式にて、ポテンショスタット(北斗電工製、HSV−110)を用いて、以下の測定条件にて光電気化学特性を調べた。印加電圧を0.0V vs RHEから1.0V vs RHEまで20mV/sの速度で掃引し、その間、ソーラーシミュレーターによる光照射をonとoffを2秒ずつ交互に繰り返し行った。得られた電流−電位曲線を図1に示す。また、図1から求めた、0.6VvsRHEにおける電流密度(mA/cm)及びオンセット電位VvsRHEを表1に示す。
・光源:ソーラーシミュレーター AM1.5G(三永電機製 XES−40S1、100mW/cm2)
・電解液:0.5M NaSO、0.25M NaHPO、0.25M NaHPO pH 6.3
・参照電極 Ag/AgCl、対電極 Ptワイヤ
・アルゴン雰囲気
Figure 2020176301
<実施例2>
実施例1の[酸化チタンコート層(TiO/Mo/SLG)の作製]おいて、Tiスパッタする代わりにGaスパッタを行うことで酸化ガリウム膜(GaO層)を成膜したこと以外は、実施例1と同様にして、Pt/CdS/Li−CGIZSSe/GaO/Mo/SLG電極を作製した。GaOの膜厚は約20nmであった。Li−CGIZSSe層の各組成およびLi含有量は、実施例1と同じであった。
実施例1と同様に光電気化学特性評価を行うことで得た電流−電位曲線を図1に示す。
<実施例3>
Tiをスパッタせず、すなわち酸化チタンコート層を積層しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、Pt/CdS/Li−CGIZSSe/Mo/SLG電極を作製した。Li−CGIZSSe層の各組成およびLi含有量は、実施例1と同じであった。
実施例1と同様に光電気化学特性評価を行うことで得た電流−電位曲線を図1に示す。
<実施例4>
Li−CGIZSSe層の作製において、多元蒸着時の原料の堆積速度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、Pt/CdS/Li−CGIZSSe/TiO/Mo/SLG電極を作製した。Li−CGIZSSe層について、実施例1と同様の組成分析を行ったところ、組成は、Cu:Ga:In:Zn:S:Se=1.04:0.49:0.55:0.35:1.87:0.13であった。
電解液にKOH水溶液を追加使用してpH13.0とした以外は実施例1と同様にして光電気化学特性を評価した。得られた電流−電位曲線を図2に示す。
<実施例5>
n型半導体としてCdSの代わりにCdS及びInを積層し、また、助触媒としてPtの代わりにRuOを担持させたこと以外は実施例1と同様にして、RuO/In/CdS/Li−CGIZSSe/TiO/Mo/SLG電極を作製した。具体的には、実施例1における[CBD法によるCdS(n型半導体層)の形成]において、CdSを積層後、さらに、硫酸インジウムn水和物0.65mgを用いて同様の操作を行うことでn型半導体としてCdSとInを積層した。また、実施例1における[光電着法によるPt(助触媒)の担持]においては、塩化白金酸の代わりにRu源として過ルテニウム酸カリウム(KRuO)26.5mgを用いて、同様の処方により、Ptの代わりにRuOを光電着によって担持した。
Li−CGIZSSe層について、実施例1と同様の組成分析を行ったところ、組成は、Cu:Ga:In:Zn:S:Se=0.93:0.49:0.65:0.25:1.82:0.18であった。
電解液を、NaOH水溶液を用いてpH9.0としたこと以外は実施例1と同様にして、光電気化学特性を評価した。得られた電流−電位曲線を図2に示す。
<実施例6>
Li−CGIZSSe層の作製において多元蒸着時の原料の堆積速度を変更したこと以外は、実施例5と同様にして、RuO/In/CdS/Li−CGIZSSe/TiO/Mo/SLG電極を作製した。Li−CGIZSSe層について、実施例1と同様の組成分析を行ったところ、組成は、Cu:Ga:In:Zn:S:Se=1.04:0.49:0.55:0.35:1.87:0.13であった。
電解液を、NaOH水溶液を用いてpH13.0とした以外は実施例1と同様にして、光電気化学特性評価を行った。得られた電流−電位曲線を図2に示す。
<実施例7>
酸化チタン層(TiO層)の厚さを20nmとし、Li−CGIZSSe層の作製において多元蒸着時の原料の堆積速度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、Pt/CdS/Li−CGIZSSe/TiO/Mo/SLG電極を作製した。Li−CGIZSSe層について、実施例1と同様の組成分析を行ったところ、組成は、Cu:Ga:In:Zn:S:Se=1.04:0.36:0.62:0.15:1.75:0.25であった。
実施例1と同様にして光電気化学特性を評価して得られた電流−電位曲線を図3に示す。
<実施例8>
TiO層を積層しないこと以外は実施例7と同様にしてPt/CdS/Li−CGIZSSe/Mo/SLG電極を作製した。Li−CGIZSSe層の組成は実施例7と同じであった。
実施例1と同様に光電気化学特性評価を行うことで得た電流−電位曲線を図3に示す。
図1〜3及び表1に示されているように、実施例1〜8の水素発生用電極は、オンセット電位は0.8〜1.0V vs RHE付近にあり、0.6〜1.0V vs RHE付近の電流密度は数mA/cmの高い電流密度が認められる。

Claims (8)

  1. 光によって水から水素を発生させる水素発生用電極であって、
    集電層上に、p型半導体層及びn型半導体層をこの順に有し、前記n型半導体層上に助触媒を担持し、
    前記p型半導体層が、Cuと、Sと、Ga及びInの少なくとも一方と、アルカリ金属とを必須成分として含有し、必要に応じてZn及びSeの少なくとも一方を含有するp型半導体を含むことを特徴とする水素発生用電極。
  2. 前記アルカリ金属が、Li及びNaから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の水素発生用電極。
  3. 前記n型半導体層が、Cd、Zn、In、Ga、Ti、Zr及びSnから選択される少なくとも一種の金属の、硫化物、酸化物又は水酸化物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の水素発生用電極。
  4. 前記助触媒が、Pt、Ru、Rh、Ir、Au、Ag、Pd及びNiから選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素発生用電極。
  5. 前記集電層と前記p型半導体層との間に、酸化物層を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素発生用電極。
  6. 前記酸化物層が、Ti、Zr、Hf、Zn、Cd、Sn、Ga及びInから選択される少なくとも一種以上の金属の酸化物を含むことを特徴とする請求項5に記載の水素発生用電極。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水素発生用電極の製造方法であって、
    前記集電層上に前記p型半導体層を形成するp型半導体層形成工程と、
    前記p型半導体層上に前記n型半導体層を形成するn型半導体層形成工程と、
    前記n型半導体層上に前記助触媒を担持する助触媒担持工程と、
    を備えてなることを特徴とする水素発生用電極の製造方法。
  8. 前記p型半導体層形成工程では、多元蒸着法によって前記p型半導体層を形成することを特徴とする請求項7に記載の水素発生用電極の製造方法。
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