JP2018054045A - 配管材 - Google Patents
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〔1〕ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、膨張黒鉛と、リン酸亜鉛とを含有する耐火性樹脂組成物からなる管状の膨張耐火層を含有する単層または複層の配管材であって、前記耐火性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、膨張黒鉛を1〜20重量部、および、リン酸亜鉛を1〜15重量部含む、配管材。
〔2〕前記膨張耐火層の外側および内側の少なくとも一方が、被覆層で被覆されている、〔1〕に記載の配管材。
〔3〕前記耐火性樹脂組成物が、さらに、耐熱性水酸化アルミニウムを、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜15重量部含有する、〔1〕または〔2〕に記載の配管材。
〔4〕前記膨張黒鉛の発泡開始温度が、260℃以上である、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の配管材。
〔5〕前記熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニル系樹脂であって、前記耐火性樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、膨張黒鉛を15重量部より多く20重量部未満含有する、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の配管材。
本発明に係る配管材は、ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、膨張黒鉛と、リン酸亜鉛とを含有する耐火性樹脂組成物からなる管状の膨張耐火層を含有する単層または複層の配管材であり、前記耐火性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、膨張黒鉛を1〜20重量部、および、リン酸亜鉛を1〜15重量部含んでいる。
本発明において、膨張耐火層は、ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、膨張黒鉛と、リン酸亜鉛とを含有する耐火性樹脂組成物からなる管状の層である。この膨張耐火層は、火災等により加熱されると、加熱された部分が膨張して、配管材の内径が狭められるか或いは配管材が閉塞される。これにより、熱および煙の遮断、或いは、遮炎が可能となる。
前記耐火性樹脂組成物はベース樹脂として熱可塑性樹脂を含む。この熱可塑性樹脂としてはこれに限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ(1−)ブテン系樹脂;ポリペンテン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド系樹脂等を挙げることができる。ベース樹脂としては、これらの熱可塑性樹脂に含まれる化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、成形性に優れるという観点からは、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂等を好適に用いることができる。
本発明で用いられる膨張黒鉛とは、層間にイオン又は分子等が挿入されることにより、熱による膨張特性が与えられた黒鉛であれば特に限定されるものではない。前記膨張黒鉛としては、例えば、GREP−EG(鈴裕化学社製);MZ−260(エア・ウォーター社製)等を挙げることができる。
本発明で用いられるリン酸亜鉛としては、特にこれに限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミンリン酸亜鉛が挙げられる。このエチレンジアミンリン酸亜鉛としては、例えば、特開2000−191674公報等に記載のもの等を用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。前記リン酸亜鉛としては、例えば、ZPO−3(鈴裕化学社製)等を好適に用いることができる。
前記耐火性樹脂組成物は、ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、膨張黒鉛と、リン酸亜鉛とを必須に含有していればよいが、耐火膨張層または配管材の性能を損なわない範囲でさらにその他の成分を含んでいてもよい。耐火膨張層または配管材の性能を損なわないという観点から、前記耐火性樹脂組成物100重量部に対する、その他の成分の合計含有量は、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは15重量部以下である。
前記膨張性耐火層の製造方法は特に限定されるものではなく、ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、膨張黒鉛と、リン酸亜鉛と、必要に応じて前記他の成分とを混合する工程と、混合した前記耐火性樹脂組成物を管状に成形する工程を含んでいればよい。
本発明の配管材の一実施形態では、前記膨張耐火層の外側および内側の少なくとも一方が、被覆層で被覆されている。被覆層は、例えば、機械的強度、耐候性、耐薬品性等の観点から設けられる。
本発明に係る配管材は、通常2個または3個以上を管継手によって接続して用いる。前記管継手の形状および大きさは、前記配管材を接続できる形状および大きさであれば特に限定されるものではない。以下に、前記管継手により本発明に係る配管材を接続する方法の一例について、図1および2に基づいて説明する。
(膨張性)
得られた外径22mm、内径16mmの配管材から、軸方向に50mmの大きさに試験体を切り出した。るつぼの中に試験体を入れて、加熱炉で1000℃まで加熱し、るつぼの中に残った残渣の体積を測定した。加熱炉に入れる前の試験体の体積に対する、残渣の体積の比率が5倍以上である場合を「◎」、4倍以上5倍未満である場合を「○」、4倍未満である場合を「×」と評価した。
(形状保持性)
前記るつぼに残った残渣に所定の圧縮力を加えて、残渣が崩れないかどうか確認した。残渣が崩れない場合を「◎」、残渣のごく一部が崩れる場合を「○」、残渣の一部が崩れる場合を「△」、残渣の大半が崩れる場合を「×」と評価した。
得られた配管材を観察し、発泡なしの場合を「◎」、小さい気泡が少量発生している場合を「○」、小さい気泡が多量に発生している場合、または大きい気泡が発生している場合を「×」と評価した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物は、PVC(カネカ社製、カネビニールS1001)100重量部に、鉛系安定剤(水澤化学工業社製、スタビネックス)6重量部、加工助剤(カネカ社製、PA−60)5重量部、リン酸亜鉛(鈴裕化学社製、ZPO−3)10重量部、膨張黒鉛(エア・ウォーター社製、MZ−260)11重量部、および水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、キスマ5A)5重量部を配合した後、ミキサーで撹拌混合して得た。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、膨張黒鉛(エア・ウォーター社製、MZ−260)を5重量部にした以外は、実施例1と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物として、PVC(カネカ社製、カネビニールS1001)100重量部に、鉛系安定剤(水澤化学工業社製、スタビネックス)6重量部、加工助剤(カネカ社製、PA−60)5重量部、リン酸亜鉛(鈴裕化学社製、ZPO−3)5重量部、膨張黒鉛(エア・ウォーター社製、MZ−260)11重量部、および耐熱水酸化アルミニウム(河合石灰工業社製、ALH−3L)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物として、リン酸亜鉛(鈴裕化学社製、ZPO−3)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物として、水酸化マグネシウムの代わりに、水酸化アルミニウム(日本軽金属社製、BF013)5重量部を加えた以外は、実施例4と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物として、追加でアルミナ系フィラー(河合石灰工業社製、セラシュールBMT−33)5重量部を加えた以外は、実施例4と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、耐熱性水酸化アルミニウム(河合石灰工業社製、ALH−3L)5重量部の代わりに、水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、キスマ5A)5重量部および炭酸カルシウム(白石工業社製、ホワイトンP)5重量部を配合した以外は、実施例3と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、炭酸カルシウム(白石工業社製、ホワイントンP)5重量部を追加で加えた以外は、実施例3と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、鉛系安定剤(水澤化学工業社製、スタビネックス)4.5重量部を配合した以外は、実施例3と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、膨張黒鉛(エア・ウォーター社製、MZ−260)16重量部を配合した以外は、実施例9と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、リン酸亜鉛(鈴裕化学社製、ZPO−3)7重量部を配合した以外は、実施例10と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、耐熱性水酸化アルミニウム(河合石灰工業社製、ALH−3L)7重量部を配合した以外は、実施例11と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、膨張黒鉛(エア・ウォーター社製、MZ−260)20重量部を配合した以外は、実施例10と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、リン酸亜鉛(鈴裕化学社製、ZPO−3)9重量部を配合した以外は、実施例13と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、耐熱性水酸化アルミニウム(河合石灰工業社製、ALH−3L)9重量部を配合した以外は、実施例14と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、水酸化マグネシウムを加えなかった以外は、実施例4と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、膨張黒鉛(鈴裕化学社製、GREP−EG)11重量部を配合した以外は、実施例9と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、膨張黒鉛(鈴裕化学社製、GREP−EG)11重量部を配合した以外は、実施例16と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、リン酸亜鉛(鈴裕化学社製、ZPO−3)5重量部を2.5重量部に変更し、メラミンピロホスフェイト(MPP)を配合した以外は、実施例9と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物として、PVC(カネカ社製、カネビニールS1001)100重量部に、鉛系安定剤(水澤化学工業社製、スタビネックス)6重量部、加工助剤(カネカ社製、PA−60)5重量部、ポリリン酸アンモニウム(鈴裕化学社製、FCP−APP)5重量部、および膨張黒鉛(鈴裕化学社製、GREP−EG)11重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、キスマ5A)5重量部を追加で加えた以外は、比較例1と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、水酸化アルミニウム(日本軽金属社製、BF013)5重量部を追加で加えた以外は、比較例1と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物として、PVC(カネカ社製、カネビニールS1001)100重量部に、鉛系安定剤(水澤化学工業社製、スタビネックス)6重量部、加工助剤(カネカ社製、PA−60)5重量部、およびリン酸亜鉛(鈴裕化学社製、ZPO−3)5重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、ポリリン酸アンモニウム(鈴裕化学社製、FCP−APP)5重量部を追加で加え、リン酸亜鉛を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、リン酸亜鉛(鈴裕化学社製、ZPO−3)の配合量を10重量部から20重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、配管材を作製した。
膨張耐火層を構成する耐火性樹脂組成物の配合において、リン酸亜鉛を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、配管材を作製した。
実施例1〜19および比較例1〜7で得られた配管材について、膨張性評価および形状保持性評価を実施した。その結果を表1および2に示す。
2 膨張耐火層
3 被覆層
4 管継手
4a、4b 立管接続部
4c 横枝管接続部
Claims (5)
- ベース樹脂としての熱可塑性樹脂と、膨張黒鉛と、リン酸亜鉛とを含有する耐火性樹脂組成物からなる管状の膨張耐火層を含有する単層または複層の配管材であって、
前記耐火性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、膨張黒鉛を1〜20重量部、および、リン酸亜鉛を1〜15重量部含むことを特徴とする、配管材。 - 前記膨張耐火層の外側および内側の少なくとも一方が、被覆層で被覆されていることを特徴とする、請求項1に記載の配管材。
- 前記耐火性樹脂組成物が、さらに、耐熱性水酸化アルミニウムを、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜15重量部含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の配管材。
- 前記膨張黒鉛の発泡開始温度が、260℃以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の配管材。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニル系樹脂であって、
前記耐火性樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、膨張黒鉛を15重量部より多く20重量部未満含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配管材。
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