JP2021147467A - 耐火樹脂組成物、耐火材、耐火積層体、区画貫通処理構造及び区画貫通処理方法 - Google Patents

耐火樹脂組成物、耐火材、耐火積層体、区画貫通処理構造及び区画貫通処理方法 Download PDF

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秀康 中嶋
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Abstract

【課題】建築物の防火構造に用いる部材が効率よく耐火性能及び消火性能を発揮し、一様な耐火性及び消火性が得られる耐火樹脂組成物、耐火材、耐火積層体、区画貫通処理構造及び区画貫通処理方法を提供する。【解決手段】難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤と、熱伝導性物質と、樹脂とを含有し、建築物の防火構造に用いられる耐火樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、建築物の防火構造に用いられる耐火樹脂組成物、耐火材、耐火積層体、区画貫通処理構造及び区画貫通処理方法に関する。
集合住宅、オフィスビル、学校等の建築物において、壁等の仕切り部には、ケーブル類、配管類などの長尺の挿通体を挿通するために、区画貫通部が設けられることがある。区画貫通部は、いずれかの区画で火災が発生した際に、他の区画への延焼を防止するために、防火措置を施した構造(防火構造)にすることが求められている。仕切り部は、2枚の壁部からなり、壁部間が中空部となっている中空壁が一般的である。
区画貫通部を防火構造とする方法は、例えば、長尺の挿通体と貫通孔の間隙に、耐火パテを充填する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、耐火パテを袋体内部に詰めた耐火パックなどの不定形充填材で挿通体と貫通孔の間隙を充填する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。不定形充填材を使用する場合、予め決められた量の耐火パテを袋体内部に詰めた耐火パックやスリーブをキット化した商品を使用することが一般的である。
さらに、耐火パテや不定形充填材の設置を容易にするために、各壁部の貫通孔内部と、挿通体の間に筒状部材(スリーブ)や、耐火パテを受けるための受け部などが合わせて配設されることもある。
特許第6348320号公報 特許第6150933号公報
しかし、耐火パテによる充填の粗密を一定にすることは困難であり、作業者によって仕上がりにばらつきが生じるという問題がある。また、建築物における区画貫通部の貫通孔は、規定の寸法に対して誤差があることがあり、耐火パックなどの規定の寸法用のキット化した商品では、耐火パックの容積が一定であることから区画貫通部を適切に塞ぐことができないことがある。つまり、耐火パテや不定形充填材の従来の耐火材を使用する場合、充填が不完全になることがあり、区画貫通部の防火構造として一様な耐火性及び消火性が得られないことがある。
また、区画貫通部を適切に塞いだ場合であっても、区画貫通部を防火構造とするために用いる部材は熱伝導性にばらつきがあり、熱伝導性が不足する部材では、発火した際に生じる熱を効率よく伝導することができずに耐火性能及び消火性能を発揮することがなく、区画貫通部の防火構造として一様な耐火性及び消火性が得られなかった。
そこで、本発明は、建築物の防火構造に用いる部材が効率よく耐火性能及び消火性能を発揮し、一様な耐火性及び消火性が得られる耐火樹脂組成物、耐火材、耐火積層体、区画貫通処理構造及び区画貫通処理方法を提供することを課題とする。
本発明は、下記[1]〜[15]を要旨とする。
[1]難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤と、熱伝導性物質と、樹脂とを含有し、建築物の防火構造に用いられる耐火樹脂組成物。
[2]前記樹脂100質量部に対する前記熱伝導性物質の含有量が100〜1,500質量部である、[1]に記載の耐火樹脂組成物。
[3]前記熱伝導性物質が窒化ホウ素及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上である、[1]又は[2]に記載の耐火樹脂組成物。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物からなる耐火材。
[5]シート状である、[4]に記載の耐火材。
[6]厚みが0.5〜10mmである、[5]に記載の耐火材。
[7]難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤と樹脂とを含む耐火樹脂層と、熱伝導性物質を含む熱伝導層とを備え、建築物の防火構造に用いられる耐火積層体。
[8]前記耐火樹脂層と前記熱伝導層とが直接積層されている、[7]に記載の耐火積層体。
[9]前記熱伝導層は、前記熱伝導性物質と樹脂とを含有する第1熱伝導層、及び、前記熱伝導性物質から実質的になる第2熱伝導層の少なくともいずれかを有する、[7]又は[8]に記載の耐火積層体。
[10]シート状である、[7]〜[9]のいずれかに記載の耐火積層体。
[11]厚みが0.5〜10mmである、[10]に記載の耐火積層体。
[12]建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理構造であって、[4]〜[6]に記載の耐火材及び[7]〜[11]に記載の耐火積層体の少なくともいずれかが前記区画貫通部に設けられている区画貫通処理構造。
[13]前記耐火積層体の前記耐火樹脂層は、前記挿通体側に配置されている、[12]に記載の区画貫通処理構造。
[14]前記耐火積層体の前記熱伝導層は、前記挿通体と接していない、[12]又は[13]に記載の区画貫通処理構造。
[15]建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理方法であって、[4]〜[6]に記載の耐火材及び[7]〜[11]に記載の耐火積層体の少なくともいずれかを前記区画貫通部に設ける工程を含む区画貫通処理方法。
本発明によれば、建築物の防火構造に用いる部材が効率よく耐火性能及び消火性能を発揮し、一様な耐火性及び消火性が得られる耐火樹脂組成物、耐火材、耐火積層体、区画貫通処理構造及び区画貫通処理方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る区画貫通処理構造を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[耐火樹脂組成物]
本発明の耐火樹脂組成物は、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤と、熱伝導性物質と、樹脂とを含有し、建築物の防火構造に用いられる。
本発明の耐火樹脂組成物は、熱伝導性物質を含有することで、建築物の火災等により加熱されると、熱を伝導して放熱し、発火を抑制したり、発火が生じた場合に消火したりすることができる。
<熱伝導性物質>
熱伝導性物質は、熱伝導性を有する物質であり、具体的には熱伝導率が5W/m・K以上の物質である。耐火樹脂組成物に含有される熱伝導性物質としては、熱伝導性フィラー、ウィスカー及びチョップドストランド等が挙げられ、中でも、熱伝導性フィラーが好ましい。熱伝導性物質としては、黒鉛、金属、無機化合物等が挙げられ、したがって、熱伝導性フィラーとしては、例えば、黒鉛、金属、無機化合物等のフィラーが挙げられる。
金属としては、アルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデン、タングステン、及びこれらいずれかを含む合金(ステンレス等)が挙げられる。金属フィラーとしては、銀、銅、アルミニウム、鉄、ステンレスが好ましい。
無機化合物は、黒鉛、金属以外を意味し、具体的な無機化合物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、炭化ケイ素等炭化物、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、及び炭酸バリウム等の炭酸塩化合物(ただし、炭酸カルシウム以外)等が挙げられる。また、これらの他にも、シリカ、珪藻土、硫酸バリウム、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、シリカ系バルーン、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、炭素繊維、炭素バルーン、木炭粉末、フェライト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、ステンレス繊維、スラグ繊維、フライアッシュ等が挙げられる。
無機化合物フィラーとしては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素が好ましく、高い熱伝導率を有し、かつ汎用性を兼ね備える窒化ホウ素、酸化アルミニウムがより好ましい。
窒化ホウ素は、熱伝導性をより向上させやすい観点から、窒化ホウ素の一次粒子を凝集させた二次粒子である凝集粒子、例えば、麟片状の一次粒子が凝集した凝集粒子であることがさらに好ましい。
熱伝導性物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、熱伝導性物質は、樹脂への密着性、及び加工性向上のために、表面処理がされていてもよい。
耐火樹脂組成物における熱伝導性物質の含有量は、樹脂100質量部に対して、100〜1,500質量部が好ましく、150〜1,400質量部がより好ましく、200〜1,300質量部がさらに好ましく、250〜1,200質量部がよりさらに好ましい。熱伝導性物質の含有量が上記範囲内であることで、熱伝導性をより向上させやすくなる。
熱伝導性物質としての熱伝導性フィラーの平均粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、0.3〜50μmがより好ましく、0.5〜25μmがさらに好ましい。
なお、熱伝導性物質の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定したメディアン径(D50)の値である。
熱伝導性物質としての熱伝導性フィラーの密度は、2.0〜8.0g/cmが好ましく、2.0〜6.0g/cmがより好ましく、2.0〜5.0g/cmがさらに好ましい。
熱伝導性物質としての熱伝導性フィラーの熱伝導率は、5W/m・K以上が好ましく、10W/m・K以上がより好ましく、上限は特に制限されないが、通常2,000W/m・K以下である。
熱伝導性物質としての熱伝導性フィラーの形状は特に限定されず、球状、中空状、板状、麟片状、針状等いずれの形状でもよく、異なる形状を混在させてもよい。一次粒子を凝集させた二次粒子である凝集粒子であってもよい。
<樹脂>
本発明における樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及びエラストマー樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソブチレン等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
エラストマー樹脂としては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
本発明においては、これら樹脂のうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
樹脂としては、耐火樹脂組成物を例えば後述する耐火シートなどとして使用する場合、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂から選択される少なくとも1種が好ましい。これらのなかでは、押出成形による成形性を確保する観点からは、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
また、熱伝導性物質などの添加剤を比較的大量に配合しても、成形性及び引張強度などの機械的強度を確保しやすい観点からは、ポリビニルアセタール樹脂及びアクリル樹脂から選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がさらに好ましい。
ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、1.0g/10min以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂のメルトフローレートを1.0g/10min以上とすると、熱膨張性層状無機物、さらには、後述する難燃剤、吸熱剤の分散性が良好となり、これらを多量に配合しても、押出成形などにおけるシート成形性が良好に維持できる。メルトフローレートは、2.4g/10min以上がより好ましく、10g/10min以上がさらに好ましく、20g/10min以上がよりさらに好ましい。メルトフローレートをこれら下限値以上とすることで、熱膨張性層状無機物、難燃剤、吸熱剤などの分散性を向上させてこれらをより多量に配合しやすくなる。
また、上記熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、40g/10min以下が好ましく、35g/10min以下がより好ましい。
なお、メルトフローレートは、JIS K 7210−2:1999に従って190℃、2.16kg荷重の条件によって測定されたものである。
《ポリ塩化ビニル樹脂》
ポリ塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独重合体であってもよいし、塩化ビニル系共重合体でよい。塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合可能な不飽和結合を有する単量体の共重合体であって、塩化ビニル由来の構成単位を50質量%以上含有する。
塩化ビニルと共重合可能な不飽和結合を有する単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリロニトリル、スチレン等の芳香族ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
また、ポリ塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル系共重合体などを塩素化したポリ塩素化塩化ビニル樹脂でもよい。
ポリ塩化ビニル樹脂は、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上
を併用してもよい。
《ポリオレフィン樹脂》
ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、及びポリペンテン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂等が挙げられるが、これらの中では、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂が好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、非架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン−酢酸ビニルの加水分解物などのようなエチレン−酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K 6730:1995「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が好ましく10〜50質量%、より好ましくは25〜45質量%である。酢酸ビニル含量をこれら下限値以上とすることで、熱膨張性層状無機物などの添加剤への接着性が高くなる。また、酢酸ビニル含量をこれら上限値以下とすることで、耐火樹脂層の破断強度などの機械強度が良好となる。
《ポリビニルアセタール樹脂》
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されないが、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)が好適である。ポリビニルブチラール樹脂を用いることで、耐火樹脂組成物における樹脂の量が比較的少ない場合でも、機械的強度を高くすることが可能となる。そのため、耐火樹脂組成物による生成物の厚さを薄くしても、一定の機械的強度を確保することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、好ましくは20〜40モル%である。水酸基量を20モル%以上とすることで、ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなり、熱膨張性層状無機物、難燃剤、吸着剤などに対する接着力が強くなり、耐火樹脂組成物からなる耐火材の機械的強度が向上しやすくなる。また、水酸基量を40モル%以下とすることで、耐火樹脂組成物からなる耐火材が硬くなりすぎて引張強度などの機械的強度が低下することを防止する。上記水酸基量は、より好ましくは22モル%以上である。また、上記水酸基量は、より好ましくは37モル%以下、さらに好ましくは35モル%以下、よりさらに好ましくは33モル%以下である。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、好ましくは40〜80モル%である。アセタール化度を上記範囲内とすることで、上記する水酸基量を所望の範囲内として、耐火樹脂組成物による生成物の機械的強度が向上しやすくなる。アセタール化度は、より好ましくは55モル%以上であり、さらに好ましくは65モル%以上、よりさらに好ましくは67モル%以上であり、また、より好ましくは76モル%以下である。
また、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量は、好ましくは0.1〜30モル%である。アセチル基量がこの範囲内であると、耐湿性に優れ、また、上記する水酸基量を所望の範囲内として、耐火樹脂組成物による生成物の機械的強度が向上しやすくなる。これら観点から、アセチル基量は、0.2モル%以上がより好ましく、0.5モル%以上がさらに好ましく、また、15モル%以下がより好ましく、7モル%以下がさらに好ましい。
なお、アセタール化度、水酸基量、及びアセチル基量は、例えば、JIS K 6728:1977「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定し、また算出することができる。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、好ましくは200〜3,000である。重合度をこれら範囲内にすることで、熱膨張性層状無機物、難燃剤、吸着剤などを適切に耐火樹脂組成物中に分散させることがきる。重合度は、より好ましくは250以上、さらに好ましくは300以上である。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度を低くすると粘度も下がり、耐火樹脂組成物中に熱膨張性層状無機物、難燃剤、吸着剤などを分散しやすくなり、耐火樹脂組成物による生成物の機械的強度が向上する。そのような観点から、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、より好ましくは1,500以下、さらに好ましくは1,000以下、よりさらに好ましくは900以下である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、JIS K 6728:1977に記載の方法に基づいて測定した粘度平均重合度をいう。
ポリビニルアセタール樹脂の10質量%エタノール/トルエン粘度は、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上であり、さらに好ましくは15mPa・s以上である。また、10質量%エタノール/トルエン粘度は、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下であり、更に好ましくは200mPa・s以下である。ポリビニルアセタール樹脂の10質量%エタノール/トルエン粘度を上記のとおりにすることにより、耐火樹脂組成物中に熱膨張性層状無機物、難燃剤、吸着剤などを分散しやすくなり、耐火樹脂組成物からなる耐火材の機械的強度が向上する。
なお、10質量%エタノール/トルエン粘度は、次のように測定した値である。エタノール/トルエン(質量比1:1)混合溶剤150mlを三角フラスコにとり、これに秤量した試料を加え、樹脂濃度を10wt%とし、20℃の恒温室にて振とう溶解する。その溶液を20℃に保持しBM型粘度計を用いて粘度を測定して、10質量%エタノール/トルエン粘度を求めることができる。
上記アルデヒドは特に限定されないが、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドは特に限定されず、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《アクリル樹脂》
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを含むモノマー成分を重合したものである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、「アクリル酸アルキルエステル、又はメタクリル酸アルキルエステル」を意味する。他の類似の用語も同様である。
本発明における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、上記脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数は、例えば1〜18、好ましくは1〜14、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜8である。
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、アクリル樹脂を得るためのモノマー成分としては、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの他に、極性基含有モノマーを含んでもよい。
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、5〜80℃であることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)をこれら範囲内とすることで、成形性、柔軟性などを良好にしつつ、耐火樹脂組成物による生成物に一定の機械的強度を付与することができる。これら観点から、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、15〜70℃であることが好ましく、25〜60℃であることがさらに好ましい。なお、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用するモノマー成分の種類、量を適宜選択することで調整できる。
なお、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は例えば示差熱走査熱量分析計(DSC)により測定できる。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの重合体が好ましい。具体的には、アルキル基の炭素数が1〜14である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの重合体が好ましく、アルキル基の炭素数が1〜10である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの重合体がより好ましく、アルキル基の炭素数が1〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの重合体がさらに好ましい。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの共重合体であってもよい。具体的な好適なアクリル樹脂としては、イソブチルメタクリレートの単独重合体、イソブチルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合体などが挙げられる。アクリル樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、熱膨張性層状無機物、難燃剤、吸着剤などを適切に耐火樹脂組成物中に分散させることができ、耐火樹脂組成物からなる耐火材の機械強度を向上させる観点から、10,000〜300,000が好ましい。また、これら観点から、アクリル樹脂の重量平均分子量は、30,000〜250,000がより好ましく、60,000〜200,000が更に好ましい。なお、アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。GPC法によって重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
《エポキシ樹脂》
本発明で用いられるエポキシ樹脂は、特に限定されないが、例えば、エポキシ化合物単独、又は、主剤であるエポキシ化合物と、硬化剤とからなるものが挙げられる。エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であり、具体的には、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型が例示される。グリジシルエーテル型は、2官能でもよいし、3官能以上の多官能でもよい。また、グリシジルエステル型も同様である。エポキシ化合物は、架橋度を調整するためなどに1官能のものを含んでもよい。これらの中では、2官能のグリシジルエーテル型が好ましい。
上記2官能のグリシジルエーテル型のエポキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型などのアルキレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1、6−ヘキサンジオール型、水添ビスフェノールA型等の脂肪族エポキシ化合物が例示される。さらには、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、エチレンオキサイド−ビスフェノールA型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型などの芳香族環を含む芳香族エポキシ化合物が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型などの芳香族エポキシ化合物が好ましい。
上記グリシジルエステル型のエポキシ化合物としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のエポキシ化合物が例示される。
3官能以上のグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等が例示される。
これらのエポキシ化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、ポリメルカプタン等が挙げられる。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。これら硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、耐火樹脂組成物を例えば後述する耐火パテとして使用する場合には、樹脂としては、従来、耐火パテに使用される樹脂を使用すればよく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリブテン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、液状炭化水素樹脂、合成ゴムを使用することが好ましい。
耐火樹脂組成物における樹脂の含有量は、耐火樹脂組成物の固形分基準で、例えば1〜90質量%であり、好ましくは2〜85質量%、より好ましくは3〜80質量%である。これら下限値以上であると、耐火性添加剤などの耐火樹脂組成物における分散性が向上し、引張強度などの耐火樹脂組成物からなる耐火材の機械的強度や成形性が高くなりやすい。また、上限値以下であると、耐火樹脂組成物からなる耐火材の耐火性、消火性能が向上しやすくなる。なお、耐火樹脂組成物の固形分とは、耐火材を製造する過程において揮発する揮発成分を除く耐火樹脂組成物の含有量であり、耐火樹脂組成物が溶媒で希釈される場合には、溶媒の量を除く耐火樹脂組成物の量である。
<耐火性添加剤>
本発明において、耐火性添加剤は、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物から選択される1種又は2種以上である。耐火性添加剤は、耐火性を有し、発火が生じたときに、消火性能を発揮するものである。耐火性添加剤は、耐火樹脂組成物において樹脂中に分散され、かつ樹脂によって保持される。
耐火性添加剤は、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物の3成分うちの1成分を単独で使用してもよいし、これらのうち2成分を組み合わせて使用してもよい。すなわち、難燃剤と吸熱剤を併用してもよいし、難燃剤と熱膨張性層状無機物を併用してもよいし、吸熱剤と熱膨張性層状無機物を併用してもよい。さらには、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物の全てを使用してもよい。
耐火樹脂組成物における耐火性添加剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、50〜2,500質量部が好ましく、100〜2,300質量部がより好ましく、150〜2,100質量部がさらに好ましく、200〜1,900質量部がよりさらに好ましい。耐火性添加剤の含有量を上記下限値以上とすることで、耐火樹脂組成物からなる耐火材に適切な耐火性及び消火性能を付与できる。また、耐火性添加剤の含有量を上記上限値以下とすることで、耐火樹脂組成物に一定割合以上の樹脂を含有させることができるので、耐火樹脂組成物からなる耐火材の樹脂中に耐火性添加剤を適切に分散させることが可能になり、成形性が良好となる。
《難燃剤》
本発明における難燃剤としては、リン化合物が挙げられる。リン化合物としては、例えば、低級リン酸塩、ポリリン酸塩、メラミン系リン化合物、赤リン、縮合リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、含ハロゲン縮合型リン酸エステル、後述する一般式(1)で表されるリン化合物などが挙げられる。また、リン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートも挙げられる。難燃剤としてこれらリン化合物を使用することで、適切な耐火性、消火性能が得られる。難燃剤は、これら1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
〈低級リン酸塩〉
低級リン酸塩は、無機リン酸類の塩のうち、縮合していない、つまり高分子化していない無機リン酸類の塩を指し、無機リン酸類の1分子中におけるリン原子が1つとなるものである。無機リン酸類としては、リン酸(オルトリン酸)に限らず、メタリン酸、亜リン酸、次亜リン酸等であってもよい。リン酸塩は、第一リン酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩のいずれであってもよい。
塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩などの周期表3B族金属の塩、チタン塩、マンガン塩、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、亜鉛塩、バナジウム塩、クロム塩、モリブデン塩、タングステン塩などの遷移金属塩などの金属塩が挙げられる。また、アンモニウム塩、アミン塩、例えば、グアニジン塩又はトリアジン系化合物の塩などが挙げられる。これらの中では、好ましくは金属塩であり、より好ましくはアルミニウム塩である。なお、メラミン系化合物の塩については、本明細書では、後述するメラミン系リン化合物として規定する。
低級リン酸の金属塩の具体例として、第1リン酸アルミニウム、第1リン酸ナトリウム、第1リン酸カリウム、第1リン酸カルシウム、第1リン酸亜鉛、第2リン酸アルミニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸カルシウム、第2リン酸亜鉛、第3リン酸アルミニウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム、第3リン酸カルシウム、第3リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸亜鉛、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸亜鉛等が挙げられる。これらの中では、リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウムが好ましい。
〈ポリリン酸塩〉
ポリリン酸塩としては、例えばポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸アンモニウムアミド等のポリリン酸アンモニウム塩類、ポリリン酸アルミニウム等のポリリン酸金属塩が挙げられる。中でも、耐火性、安全性、コスト、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好ましい。
〈メラミン系リン化合物〉
メラミン系リン化合物としては、メラミン、メレム、メロンなどのメラミン又はメラミン誘導体の塩が挙げられる。メラミン又はメラミン誘導体の塩としては、ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム、ポリメタリン酸メラミン、有機ホスホン酸メラミン、有機ホスフィン酸メラミン等が挙げられる。これらの中では、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレムなどのメラミン系化合物のポリリン酸塩が好ましい。
〈縮合リン酸エステル〉
縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルが挙げられる。
また、含ハロゲン縮合リン酸エステルは、上記した縮合リン酸エステルの一部が塩素原子で置換された化合物が挙げられる。含ハロゲンリン酸エステルとしてはトリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP)などのクロロアルキルリン酸エステルが挙げられる。
また、一般式(1)で表される化合物は以下の通りである。
Figure 2021147467

式(1)中、R1及びR3は、同一又は異なって、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を示す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を示す。
上記化学式で表される化合物としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
上記リン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
リン化合物は、シラン化合物により表面処理されたリン化合物を用いてもよい。シラン化合物により表面処理されたリン化合物を用いると、耐火樹脂組成物を低粘度化することができ、耐火樹脂組成物の成形性などを良好にできる。
リン化合物は、上記した中では、形状保持力を高め、耐火性能を向上させる観点からは、低級リン酸塩、ポリリン酸塩、及びメラミン系リン化合物から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明における難燃剤は、加熱により膨張する難燃剤が好ましい。加熱により膨張する難燃剤としては、上記した低級リン酸塩が挙げられ、好ましくは低級リン酸の金属塩であり、より好ましくは亜リン酸アルミニウムである。
上記した低級リン酸塩、ポリリン酸塩、及びメラミン系リン化合物から選択される少なくとも1種は、耐火樹脂組成物における難燃剤全量であってもよいし、難燃剤の一部であってもよく、その含有量は、好ましくは20〜270質量部、より好ましくは30〜250質量部、さらに好ましくは40〜200質量部である。
また、耐火樹脂組成物による生成物に耐水性を付与する観点から、リン化合物は、これらの中でも、低級リン酸塩、及びメラミン系リン化合物から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、中でも低級リン酸塩を含むことが特に好ましい。
耐火性、耐水性などの観点から、低級リン酸塩は、リン酸塩及び亜リン酸塩の少なくとも一方であることが好ましく、亜リン酸塩がより好ましい。また、低級リン酸塩は、上記のとおり金属塩が好ましく、また、金属としてはアルミニウムがより好ましい。したがって、低級リン酸塩は、リン酸金属塩及び亜リン酸金属塩の少なくとも一方であることが好ましく、亜リン酸金属塩がよりさらに好ましく、亜リン酸アルミニウム塩が特に好ましい。
耐火樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、100〜1,500質量部が好ましく、150〜1,400質量部がより好ましく、200〜1,300質量部がさらに好ましい。難燃剤の含有量をこれら下限値以上とすることで、耐火樹脂組成物の形状保持力が高められ、耐火性能をより向上させることができる。また、上記上限値以下とすることで、耐火樹脂組成物の柔軟性、形状保持性などが損なわれにくくする。
《吸熱剤》
本発明における吸熱剤としては、水和金属化合物が好ましくは使用できる。水和金属化合物は、加熱により分解して水蒸気を発生し、吸熱及び消火をする効果を有する化合物である。
水和金属化合物としては、金属水酸化物、又は金属塩の水和物などが挙げられ、中でも金属水酸化物が好ましい。また、金属水酸化合物と金属塩の水和物との組み合わせも好ましい。金属水酸化合物を使用することで、消火性能を向上させやすくなる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。金属塩の水和物としては、例えば2ZnO・3B・3.5HOで表されるホウ酸亜鉛の水和物、硫酸カルシウムの水和物(例えば、2水和物)、硫酸マグネシウムの水和物(例えば、7水和物)などの硫酸金属塩の水和物などが挙げられる。また、カオリンクレー、ドーソナイト、ベーマイトなどが挙げられる。また、吸熱剤としては、アルミン酸カルシウム、タルクなどであってもよい。
吸熱剤としては、上記した中では、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛の水和物、硫酸カルシウムの水和物(例えば、2水和物)、硫酸マグネシウムの水和物(例えば、7水和物)が好ましく、これらの中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムがより好ましい。
吸熱剤としては、熱分解開始温度が800℃以下、吸熱量が300J/g以上である吸熱剤が好ましい。吸熱剤は、熱分解開始温度、及び吸熱量のいずれかが上記範囲内となると、バッテリーなどが発火した場合に速やかに消火でき、消火性などをより一層良好にできる。
吸熱剤の熱分解開始温度は、500℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましく、250℃以下がよりさらに好ましい。吸熱剤の熱分解開始温度がこれら上限値以下とすることで発火時に速やかに吸熱剤が分解し、迅速に消火することが可能になる。また、吸熱剤の熱分解開始温度は、例えば50℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。
なお、熱分解開始温度は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)により測定することができる。具体的には、測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgとし、得られたTG曲線から重量が減少し始める温度を熱分解開始温度とした。
吸熱剤の吸熱量は、好ましくは500J/g以上、より好ましくは600J/g以上、さらに好ましくは900J/g以上である。吸熱剤の吸熱量が上記範囲内であると、熱の吸収性が向上するため、耐火性がより良好となる。前記吸熱剤の吸熱量は、通常、4,000J/g以下、好ましくは3,000J/g以下、さらに好ましくは2,000J/g以下である。
なお、吸熱量は熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定することができる。具体的には、測定条件は、室温から1,000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgとし、得られたDTA曲線から吸熱量(凹部の面積)を算出した。
吸熱剤は、平均粒子径が0.1〜90μmであるものが好ましい。平均粒子径が上記範囲内とすることで、樹脂中に吸熱剤を均一に分散でき、多量に配合させることも可能になる。これら観点から、吸熱剤の平均粒子径は、0.5〜60μmがより好ましく、0.8〜40μmがさらに好ましく、0.8〜10μmがよりさらに好ましい。吸熱剤の平均粒子径が上記範囲内であると、耐火樹脂組成物における吸熱剤の分散性が向上し、吸熱剤を樹脂中に均一に分散させたり、樹脂に対する吸熱剤の配合量を多くしたりすることができる。
なお、吸熱剤の平均粒子径は、熱伝導性物質の平均粒子径の測定方法と同様である。
耐火樹脂組成物が吸熱剤を含有する場合、吸熱剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、20〜800質量部がより好ましく、30〜600質量部がさらに好ましい。吸熱剤の含有量が上記下限値以上とすることで、急激な温度上昇を緩和でき、かつ発火した場合でも速やかに消火することができる。吸熱剤の含有量を上記上限値以下とすることで、吸熱剤を耐火樹脂組成物中に均一に分散させやすくなり、耐火樹脂組成物による生成物の成形性及び機械的強度を良好にしやすくなる。
《熱膨張性層状無機物》
熱膨張性層状無機物は、加熱時に膨張する従来公知の物質であり、例えば、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などが挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性層状無機物としては、粒子状及び鱗片状のものを用いることができる。耐火樹脂組成物が熱膨張性層状無機物を含有することで、建築物の火災等により加熱されると、熱膨張性層状無機物が膨張し、建築物に対する密着性が良好となり、耐火性を向上させることができる。
熱膨張性層状無機物は、膨張度を100ml/g以上とすることが好ましく、150ml/g以上とすることがより好ましい。熱膨張性層状無機物の膨張度を上記下限値以上とすることで、加熱膨張時に大容量の空隙を形成できる。
熱膨張性層状無機物は、膨張開始温度を200℃以下とすることが好ましく、140℃以下とすることがより好ましい。熱膨張性層状無機物の膨張開始温度を上記上限値以下とすることで、耐火樹脂組成物による耐火材の耐火性及び消火性能を優れたものにすることができる。
〈熱膨張性黒鉛〉
熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては濃硝酸、過硫酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和処理してもよい。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。熱膨張性黒鉛の粒度が上記範囲内であると、膨脹して大容量の空隙を作りやすくなるため耐火性が向上する。また、樹脂への分散性も向上する。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比の上限は特に限定されないが、熱膨張性黒鉛の割れ防止の観点から、1,000以下であることが好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比が2以上であることにより、膨張して大容量の空隙を作りやすくなるため難燃性が向上する。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、10個の熱膨張性黒鉛について、それぞれ最大寸法(長径)及び最小寸法(短径)測定し、最大寸法(長径)を最小寸法(短径)で除した値の平均値を平均アスペクト比とする。熱膨張性黒鉛の長径及び短径は、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて測定することができる。
耐火樹脂組成物が熱膨張性層状無機物を含有する場合、熱膨張性層状無機物を600℃に加熱したときの膨張倍率が10倍以上となることが好ましく、15倍以上となることがより好ましく、20倍以上となることがさらに好ましい。熱膨張性層状無機物を600℃に加熱したときの膨張倍率が上記範囲内であると、発火抑制効果及び断熱性能を発揮することができる。
なお、膨張倍率は、後述する実施例に示すように、試験片を600℃で30分間加熱したときに、加熱後の試験片の厚さを、加熱前の試験片の厚さで除して算出される。
耐火樹脂組成物が熱膨張性層状無機物を含有する場合、熱膨張性層状無機物の含有量は樹脂100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、20〜800質量部がより好ましく、30〜600質量部がさらに好ましい。熱膨張性層状無機物の含有量が上記範囲内であると、耐火樹脂組成物からなる耐火材中に大容量の空隙を作りやすくなるため難燃性が向上する。
<任意成分>
《無機充填剤》
本発明の耐火樹脂組成物は、熱伝導性物質、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物以外の無機充填剤をさらに含有してもよい。
無機充填剤としては特に制限されず、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤の平均粒子径は、0.5〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。無機充填剤は、含有量が少ないときは分散性を向上させる観点から粒子径が小さいものが好ましく、含有量が多いときは高充填が進むにつれて、耐火樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するため粒子径が大きいものが好ましい。
本発明の耐火樹脂組成物が無機充填剤を含有する場合、無機充填剤の含有量は樹脂100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、より好ましくは10〜200質量部である。無機充填剤の含有量が上記範囲内であると、耐火樹脂組成物からなる耐火材の機械的物性を向上させることができる。
《可塑剤》
本発明の耐火樹脂組成物は、さらに可塑剤を含有してもよい。特に樹脂成分がポリ塩化ビニル樹脂である場合、成形性を向上させる観点から可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤は、一般にポリ塩化ビニル樹脂成形体を製造する際に使用されている可塑剤であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のアジピン酸エステル可塑剤、トリー2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイル等が挙げられる。可塑剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の耐火樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有量は、樹脂100質量部に対して5〜40質量部が好ましく、5〜35質量部がより好ましい。可塑剤の含有量が上記範囲内であると、押出成形性が向上する傾向があり、また耐火樹脂組成物からなる耐火材が柔らかくなり過ぎることを抑制することができる。
《分散剤》
本発明の耐火樹脂組成物は、さらに分散剤を含有してもよい。分散剤は、耐火樹脂組成物において、熱伝導性物質、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物の分散性を良好にする。
分散剤としては、各種の界面活性剤が使用できる。界面活性剤は、親水基部分と、樹脂成分と相溶性を有する疎水基部分を有するとよい。具体的には、ポリエーテルリン酸エステル又はそのアミン塩、ポリエーテルポリオールポリエステル酸又はそのアミン塩、ポリエステル又はそのアミン塩、ポリカルボン酸又はそのアミン塩、ポリアミノアマイドとリン酸との燐酸塩、ポリエステル酸アミド又はそのアミン塩などが挙げられる。これら分散剤において使用されるアミンはポリアミンであってもよい。分散剤としては、ポリエーテル系分散剤であることが好ましく、中でも、ポリエーテルリン酸エステル又はそのアミン塩が好ましい。分散剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の耐火樹脂組成物が分散剤を含有する場合、分散剤の含有量は、樹脂100質量部に対して1〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。分散剤の含有量が上記範囲内であると、熱伝導性物質、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物を耐火材に多量に含有させやすくなり、耐火樹脂組成物からなる耐火材の耐火性及び消火性能を向上させることができる。
<その他成分>
本発明の耐火樹脂組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて各種の添加成分を含有させることができる。
この添加成分の種類は特に限定されず、各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、例えば、滑剤、収縮防止剤、結晶核剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、補強剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、及び表面処理剤等が挙げられる。添加成分の添加量は成形性等を損なわない範囲で適宜選択できる。添加成分は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<耐火樹脂組成物の製造方法>
本発明の耐火樹脂組成物は、樹脂、熱伝導性物質、難燃剤、吸熱剤、熱膨張性層状無機物及び任意成分をビーズミル、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、及び遊星式撹拌機等の公知の装置を用いて混合することにより得ることができる。
[耐火材]
本発明の耐火材は、上記の耐火樹脂組成物からなり、建築物の防火構造に用いられる部材である。耐火材が建築物の防火構造に用いられる形状としては、特に限定はないが、例えば、ペースト状、粘土状などとして耐火パテとしてもよい。また、シート状、ブロック状、柱状等であってもよい。これらの中では、耐火パテ又はシート状の耐火材として使用することが好ましい。本発明では、耐火樹脂組成物からなる耐火材を、建築物の防火構造に用いることで、火災等により発火した場合でも、発火による熱を効率よく放熱して迅速に消火することができる。
本発明の耐火材は、耐火パテとして、建築物の防火構造に用いることができる。耐火パテは、建築物における区画貫通部等の開放されている箇所を充填して閉塞させることで、区画貫通部等を防火構造とすることができ、耐火性、遮炎性及び防煙性を得ることができる。本発明では、上記した耐火樹脂組成物を耐火パテとして使用できる。
本発明の耐火材は、シート状である耐火シートとして、建築物の防火構造に用いることができる。耐火シートは、建築物における区画貫通部等の開放されている箇所に配置して閉塞させることで、区画貫通部等を防火構造とすることができ、耐火性、遮炎性及び防煙性を得ることができる。
耐火シートの厚みは、特に限定はないが、0.5〜20mmが好ましく、1〜15mmがより好ましく、1.5〜10mmがさらに好ましい。耐火シートの厚みが上記範囲内であると、機械強度を維持しつつ、耐火性及び消火性能を良好に発揮することができる。
なお、本明細書における耐火シートの「厚み」とは、耐火シートの幅方向3点の平均厚みを指す。
本発明の耐火シートは、耐火材単体で用いられてもよいし、耐火材以外の層が積層された構成としてもよい。耐火材以外の層が積層された構成としては、例えば、基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられる耐火材とを有する構成が挙げられる。
ここで、基材は、可燃層であっても準不燃層又は不燃層であってもよい。基材の厚みは特に限定されないが、例えば、0.01〜1mm、好ましくは0.05〜0.5mmである。可燃層に使用される素材としては、例えば、布材、紙材、木材、樹脂フィルム等の1種もしくは2種以上を挙げることができる。基材が準不燃層又は不燃層である場合、準不燃層又は不燃層に使用される素材としては、例えば、金属、無機材等を挙げることができ、金属と無機材の複合体でもよく、複合体としては、例えばアルミニウムとガラスの複合体でもよい。
また、耐火材以外の層が積層された構成は、耐火材と、耐火材の少なくともいずれか一方の面に設けられる粘着剤層とを備えるものでもよい。粘着剤層は、上記基材の上に設けられてもよいし、耐火材の表面に直接形成されてもよい。また、耐火材の少なくともいずれか一方の面に、基材の両表面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープが貼り付けられてもよい。すなわち、耐火材の一方の面に、粘着剤層、基材、及び粘着剤層がこの順に設けられてもよい。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられるが、これらに限定されない。粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、例えば、3〜500μm、好ましくは10〜200μmである。
<耐火シートの製造方法>
本発明の耐火シートの製造方法としては、耐火樹脂組成物を塗工成膜する方法、及び、耐火樹脂組成物を成形体とする方法により得ることができる。
耐火樹脂組成物を塗工成膜する方法では、耐火樹脂組成物を基材上又は離型シートの離型処理面上に塗工し、適宜、乾燥、硬化などすることによって塗工塗膜としての耐火材が得られる。
耐火樹脂組成物を成形体とする方法では、押出成形、射出成形及びプレス成形等の成形手段により耐火樹脂組成物を成形体とすることで耐火材が得られる。成形手段としては、押出成形が好ましく、一軸押出機、二軸押出機、射出成型機等を用いて成形することができる。
本発明の耐火シートの製造方法で得られた耐火シートは、圧延機等で圧延することで所望の厚みとすることができる。
《溶媒》
本発明の耐火樹脂組成物は、例えば塗工成膜する場合には、溶媒により希釈して、耐火樹脂組成物の希釈物を使用してもよい。溶媒は、熱伝導性物質、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物を含有する耐火樹脂組成物による分散液の粘度を調整する。本発明の耐火樹脂組成物は、溶媒により希釈したものを、塗工成膜し、乾燥することで耐火シートとすることができる。
溶媒としては、特に限定されないが、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合、例えば、アルコール類と水を併用して混合溶媒とすることが好ましい。
本発明の耐火樹脂組成物が溶媒により希釈される場合、溶媒の含有量は、樹脂100質量部に対して50〜5,000質量部が好ましく、100〜4,000質量部がより好ましい。溶媒の含有量が上記範囲内であると、耐火樹脂組成物による分散液の粘度の調整が容易となり、耐火樹脂組成物からなる耐火材の成形性が良好となる。
[耐火積層体]
本発明の耐火積層体は、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤と樹脂とを含む耐火樹脂層と、熱伝導性物質を含む熱伝導層とを備え、建築物の防火構造に用いられる。本発明では、耐火積層体を、建築物の防火構造に用いることで、火災等により発火した場合でも、発火による熱を効率よく放熱して迅速に消火することができる。
本発明の耐火積層体は、耐火樹脂層と熱伝導層とが直接積層された構成でもよいし、耐火樹脂層及び熱伝導層以外の層が積層された構成としてもよく、例えば耐火樹脂層と熱伝導層の間に接着層が設けられてもよい。本発明の耐火積層体は、機械強度を向上し、高い熱伝導による放熱効率により耐火性及び消火性能を発揮しやすくする観点から、耐火樹脂層と熱伝導層とが直接積層されることが好ましい。
本発明の耐火積層体は、シート状であることが好ましく、また、シート状の耐火積層体の厚みは特に限定はないが、0.5〜20mmが好ましく、1〜15mmがより好ましく、1.5〜10mmがさらに好ましい。耐火積層体の厚みが上記範囲内であると、機械強度を維持しつつ、耐火性及び消火性能を良好に発揮することができる。
なお、本明細書における耐火積層体の「厚み」とは、耐火積層体の幅方向3点の平均厚みを指す。
<耐火樹脂層>
本発明の耐火樹脂層は、上記した、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤と樹脂とを含む組成物を成形することにより製造することができる。本発明の耐火樹脂層は、耐火性添加剤を含有していることで、耐火性を有し、発火が生じたときに、消火性能を発揮する。
本発明の耐火樹脂層は、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物の3成分うちの1成分を単独で含有するものでもよいし、これらのうち2成分を組み合わせて含有するものであってもよい。すなわち、難燃剤と吸熱剤を併用して含有してもよいし、難燃剤と熱膨張性層状無機物を併用して含有してもよいし、吸熱剤と熱膨張性層状無機物を併用して含有してもよい。さらには、難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物の全てを含有していてもよい。
なお、本発明の耐火樹脂層に用いる耐火性添加剤及び樹脂は、上記した耐火樹脂組成物の耐火性添加剤及び樹脂と同じものを採用することができるので、その詳細は上記と同様であり、記載を省略する。
耐火樹脂層における耐火性添加剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、50〜2,500質量部が好ましく、100〜2,300質量部がより好ましく、150〜2,100質量部がさらに好ましく、200〜1,900質量部がよりさらに好ましい。耐火性添加剤の含有量を上記下限値以上とすることで、耐火樹脂層に適切な耐火性及び消火性能を付与できる。また、耐火性添加剤の含有量を上記上限値以下とすることで、耐火樹脂層に一定割合以上の樹脂を含有させることができるので、耐火樹脂層の樹脂中に耐火性添加剤を適切に分散させることが可能になり、成形性が良好となる。
耐火樹脂層が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、100〜1,500質量部が好ましく、150〜1,400質量部がより好ましく、200〜1,300質量部がさらに好ましい。難燃剤の含有量をこれら下限値以上とすることで、耐火樹脂層の形状保持力が高められ、耐火性能をより向上させることができる。また、上記上限値以下とすることで、耐火樹脂層の柔軟性、形状保持性などが損なわれにくくする。
耐火樹脂層が吸熱剤を含有する場合、吸熱剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、20〜800質量部がより好ましく、30〜600質量部がさらに好ましい。吸熱剤の含有量が上記下限値以上とすることで、急激な温度上昇を緩和でき、かつ発火した場合でも速やかに消火することができる。吸熱剤の含有量を上記上限値以下とすることで、吸熱剤を耐火樹脂層中に均一に分散させやすくなり、耐火樹脂層の成形性及び機械的強度を良好にしやすくなる。
耐火樹脂層が熱膨張性層状無機物を含有する場合、熱膨張性層状無機物の含有量は樹脂100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、20〜800質量部がより好ましく、30〜600質量部がさらに好ましい。熱膨張性層状無機物の含有量が上記範囲内であると、耐火樹脂層中に大容量の空隙を作りやすくなるため難燃性が向上する。
耐火樹脂層における樹脂の含有量は、耐火樹脂層の固形分基準で、例えば1〜97質量%であり、好ましくは2〜97質量%、より好ましくは3〜97質量%である。これら下限値以上であると、耐火性添加剤などの分散性が向上し、引張強度などの耐火樹脂層の機械的強度や成形性が高くなりやすい。また、上限値以下であると、耐火樹脂層の耐火性、消火性能が向上しやすくなる。
本発明の耐火樹脂層は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて各種の添加成分を含有させることができる。
本発明の耐火樹脂層の厚みは、特に限定はないが、0.1〜20mmが好ましく、0.3〜10mmがより好ましく、0.5〜5mmがさらに好ましい。耐火樹脂層の厚みが上記範囲内であると、機械強度を維持しつつ、耐火性及び消火性能が得られる。
なお、本明細書における耐火樹脂層の「厚み」とは、耐火樹脂層の幅方向3点の平均厚みを指す。
《耐火樹脂層の製造方法》
本発明の耐火樹脂層を形成する組成物は、耐火性添加剤、樹脂及び任意成分をビーズミル、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、及び遊星式撹拌機等の公知の装置を用いて混合することにより得ることができる。また、本発明の耐火樹脂層を形成する組成物は、溶媒により希釈する場合、組成物の希釈液は、これらにさらに溶媒を加えて上記混合装置を用いて混合して得ればよい。
そして、得られた耐火樹脂層を形成する組成物を用いて、上記した耐火材の製造方法と同様に、塗工成膜する方法、及び、成形体とする方法により耐火樹脂層を得ることができる。
<熱伝導層>
本発明の熱伝導層は、上記した熱伝導性物質を含有する層である。熱伝導層は、熱伝導性物質と樹脂とを含有する組成物を成形する形態(第1熱伝導層)であってもよく、熱伝導性物質から実質的になる形態(第2熱伝導層)であってもよい。熱伝導層は、第1熱伝導層及び第2熱伝導層の少なくともいずれかを有し、1層であってもよく、2層以上であってもよい。熱伝導層が2層以上である場合は、第1熱伝導層及び第2熱伝導層を組み合わせたものであることが好ましく、膜強度を向上させる観点から、耐火樹脂層上に第1熱伝導層及び第2熱伝導層を順に積層する構成がより好ましく、耐火樹脂層上に第1熱伝導層及び複数の第2熱伝導層を順に積層する構成であることがさらに好ましい。また、第1熱伝導層が2層以上であってもよく、これらの層は、含有する熱伝導性物質が異なるものであってもよい。
《第1熱伝導層》
本発明の第1熱伝導層は、上記した熱伝導性物質と樹脂とを含有する。よって、本発明の第1熱伝導層に用いる熱伝導性物質及び樹脂は、上記した耐火樹脂組成物の熱伝導性物質及び樹脂と同じものを採用することができるので、その詳細は上記と同様であり、記載を省略する。なお、第1熱伝導層に用いる熱伝導性物質としては、熱伝導性フィラーが好ましい。
熱伝導層として第1熱伝導層を使用すると、火災発生時における建築物に対する密着性が良好となり、耐火性を向上させることができる。また、熱伝導層として第1熱伝導層を使用すると、耐衝撃性が良好となる。
第1熱伝導層における熱伝導性物質の含有量は、樹脂100質量部に対して、100〜1,500質量部が好ましく、150〜1,400質量部がより好ましく、200〜1,300質量部がさらに好ましく、250〜1,200質量部がよりさらに好ましい。第1熱伝導層における熱伝導性物質の含有量が上記範囲内であることで、熱伝導性を向上させつつ、火災発生時に建築物に対する密着性を良好にして耐火性を向上させ、かつ、耐火性を良好にすることができる。
第1熱伝導層における樹脂の含有量は、第1熱伝導層の固形分基準で、例えば1〜20質量%であり、好ましくは2〜15質量%、より好ましくは3〜10質量%である。これら下限値以上であると、熱伝導性物質などの分散性が向上し、引張強度などの第1熱伝導層の機械的強度や成形性が高くなりやすい。また、上限値以下であると、第1熱伝導層の熱伝導性が向上しやすくなる。
本発明の第1熱伝導層に含有する熱伝導性物質は、第1熱伝導層の固形分基準で、95%質量以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。これら上限値以下であると、成形性及び機械的強度を確保しつつ、高い熱伝導による放熱効率により耐火性及び消火性能を発揮することができる。また、本発明の第1熱伝導層に含有する熱伝導性物質は、第1熱伝導層の固形分基準で、50%質量以上であることが好ましく、55%質量以上であることがより好ましく、60%質量以上であることがさらに好ましい。これら下限値以上であると、第1熱伝導層の熱伝導性が向上しやすくなる。
本発明の第1熱伝導層は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて各種の添加成分を含有させることができる。
本発明の第1熱伝導層は、例えば、耐火性添加剤を含有してもよく、中でも熱膨張性層状無機物を含有することが好ましい。耐火性添加剤の詳細は上記のとおりである。第1熱伝導層が耐火性添加剤を含有する場合、耐火性添加剤の含有量は樹脂100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、20〜800質量部がより好ましく、30〜600質量部がさらに好ましい。耐火性添加剤の含有量が上記範囲内であると、第1熱伝導層に耐火性及び消火性能を付与することができる。
本発明の第1熱伝導層の厚みは、特に限定はないが、0.1〜20mmが好ましく、0.3〜10mmがより好ましく、0.5〜5mmがさらに好ましい。第1熱伝導層の厚みが上記範囲内であると、機械的強度を確保しつつ、高い熱伝導による放熱効率により耐火性及び消火性能を発揮することができる。
なお、本明細書における第1熱伝導層の「厚み」とは、第1熱伝導層の幅方向3点の平均厚みを指す。
《第1熱伝導層の製造方法》
本発明の第1熱伝導層を形成する組成物は、熱伝導性物質、樹脂及び任意成分をビーズミル、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、及び遊星式撹拌機等の公知の装置を用いて混合することにより得ることができる。また、本発明の第1熱伝導層を形成する組成物は、溶媒により希釈する場合、組成物の希釈液は、これらにさらに溶媒を加えて上記混合装置を用いて混合して得ればよい。
そして、得られた第1熱伝導層を形成する組成物を用いて、上記した耐火材の製造方法と同様に、塗工成膜する方法、及び、成形体とする方法により第1熱伝導層を得ることができる。
《第2熱伝導層》
本発明の第2熱伝導層は、上記した熱伝導性物質から実質的になるものである。ここで、「熱伝導性物質から実質的になる」とは、第2熱伝導層が熱伝導性物質のみからものでもよいし、熱伝導性物質以外の物質を第2熱伝導層が奏する機能を損なわない範囲内で含有してもよい。また、第2熱伝導層は、一般的に樹脂を含有しない。
具体的には、第2熱伝導層において、熱伝導性物質は、第2熱伝導層全量に対して、95質量%を超えるように含有されるとよく、好ましくは97質量%以上、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
本発明の第2熱伝導層は、第1熱伝導層、耐火樹脂層などの耐火積層体のいずれか1層を構成する層上に熱伝導性物質を層状に付着させることで得るができる。さらに、本発明の第2熱伝導層は、予めフィルム状又は層状にした熱伝導性物質を第1熱伝導層又は耐火樹脂層上に積層させることで得ることができる。
本発明の第2熱伝導層に用いる熱伝導性物質は、上記した耐火樹脂組成物の熱伝導性物質と同じものを採用することができるので、その詳細は上記と同様であり、記載を省略する。なお、第2熱伝導層に用いる熱伝導性物質としては、熱伝導性フィラーが好ましく、具体的には、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、六方晶窒化ホウ素、酸化アルミニウム、無水炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、熱膨張性黒鉛がより好ましい。
第2熱伝導層として熱伝導性物質を層状に付着させる手段としては、特に限定されないが、例えば、熱伝導性物質をスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、パルスレーザーデポジション法等により行うことができる。これらの中でも、膜厚制御性の観点から、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法としては、特に限定されないが、例えば、直流マグネトロンスパッタ、高周波マグネトロンスパッタ及びイオンビームスパッタ等が挙げられる。また、スパッタ装置は、バッチ方式であってもロール・ツー・ロール方式であってもよい。
第2熱伝導層の厚みは、成形性及び機械的強度を確保しつつ、高い熱伝導による放熱効率により耐火性及び消火性能を発揮する観点から、5μm〜10,000μmであることが好ましく、10μm〜1,000μmであることがより好ましく、15μm〜500μmであることがさらに好ましく、25μm〜250μmであることがよりさらに好ましい。
なお、耐火積層体は、基材、粘着剤層などをさらに備えてもよい。例えば、基材を備える場合には、基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられる耐火樹脂層及び熱伝導層とを有する構成が挙げられる。
また、粘着剤層が設けられる場合には、耐火樹脂層及び熱伝導層と、耐火樹脂層及び熱伝導層の積層構造の外側に設けられる粘着剤層とを備えるものでもよい。粘着剤層は、上記基材の上に設けられてもよいし、耐火樹脂層及び熱伝導層の少なくともいずれか一方の表面に直接形成されてもよい。また、耐火樹脂層及び熱伝導層の少なくともいずれか一方の面に、基材の両表面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープが貼り付けられてもよい。すなわち、耐火樹脂層及び熱伝導層の少なくとも一方の面に、粘着剤層、基材、及び粘着剤層がこの順に設けられてもよい。基材及び粘着剤層の詳細は、上記のとおりである。
《耐火積層体の製造方法》
本発明の耐火積層体の製造方法としては、耐火樹脂層及び熱伝導層を積層した構成とすることが可能な方法であればよい。例えば、耐火樹脂層と熱伝導層とをそれぞれ別々に用意して圧着等により積層して成形する方法であってもよく、耐火樹脂層及び熱伝導層の組成物を押出機等により共押出しすることで一体に成形する方法であってもよい。
[区画貫通処理構造及び区画貫通処理方法]
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造は、図1に示すように、建築物の仕切り部11に形成され、かつ内部に長尺の挿通体21が挿通される区画貫通部15を防火構造とするものである。
そして、本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理方法は、以下に示すように、耐火材を区画貫通部15に設ける工程を含むものである。
本発明の区画貫通処理構造における仕切り部11は、建築物の壁面において区画間(第1の区画Aと、第2の区画B)を仕切る部材であり、仕切り部11の一方の外面11A側から他方の外面11B側に貫通する区画貫通部15を有する。図1で示す仕切り部11は、中空壁であり、間隔(中空部13)を介して配置される2枚の壁材(仕切り材)12A,12Bから構成される。そのため、区画貫通部15は、一方の壁材12Aに形成された貫通孔13Aと、他方の壁材12Bに形成された貫通孔13Bと、これらの間にある中空部13によって構成される。そして、一方の壁材12Aの外面が仕切り部11の外面11Aを構成し、他方の壁材12Bの外面が仕切り部11の外面11Bを構成する。貫通孔13A、13Bは、後述する挿入部材2が挿入されたときに、挿入部材2の外周面が、貫通孔13A、13Bの内周面の形状に適合できるように、円形、楕円形、又は、これらに近似する形状を有すればよい。なお、外面11A、11Bそれぞれにおいて貫通孔13A、13Bは、仕切り部11に設けられた区画貫通部15の開口13C,13Dを構成する。
挿入部材2は、スリーブ状で区画貫通部15に挿入され、かつスリーブ内部に挿通体21が通されるように区画貫通部15に配設される。ここで、スリーブ状の挿入部材2は、区画貫通部15において一方の貫通孔13Aから他方の貫通孔13Bまで通されている。挿入部材2は、中空部13と仕切り部11の外部が連通することを防止することができる。
挿入部材2は、スリーブ状である、又は、シート状若しくはロール状でありスリーブ状に変形可能である。挿入部材2がスリーブ状に変形可能なものとは、シート状若しくはロール状のものを、端部と端部とを向かい合わせてスリーブ状にして区画貫通部15に挿入するものをいう。挿入部材2がスリーブ状に変形可能なものであることで、施工現場で貫通孔13A、13Bの大きさに合わせて、挿入部材2の大きさを調整してスリーブ状にすることができるので、様々な大きさの区画貫通部15に対応できる。シート状若しくはロール状の挿入部材2の厚さは特に限定されないが、例えば0.01〜10mm、好ましくは0.05〜5mmである。挿入部材2は、スリーブ状に変形可能なように、柔軟性を有するとよい。
挿入部材2は、不燃材料により構成されることが好ましい。挿入部材2における不燃材料とは、建築基準法及び建築基準法施行令において定められるものである。挿入部材2における不燃材料としては、モルタル、鋼製スリーブなどの金属管、無機繊維やその成形体などが挙げられる。
本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造は、図1に示すように、建築物の防火構造に用いられる部材として上述した耐火パテである耐火材を採用したものである。
挿入部材2の内側には、挿通体21の軸方向において、耐火パテ3Aを受け止める受け部6が設けられる。受け部6は、区画貫通部15の開口13Aから吐出される耐火パテ3Aを受け止め、区画貫通部15を耐火パテ3Aで充填することに寄与する。受け部6は、挿通体21の軸方向に対して、傾斜する面、軸方向に垂直な面、又はこれらの組み合わせであることが好ましく、充填材5を良好に受け止める観点から、垂直な面を含むことがより好ましい。受け部6は、挿入部材2と一体に設ける形態であってもよく、挿入部材2と別体に設ける形態であってもよい。受け部6を挿入部材2と一体に設ける場合には、例えば、図1に示すように円盤状の受け部6を挿入部材2の内周面に連設させるとよい。また、受け部6が別体の場合には、例えば、有底筒状の受け部6を挿入部材2の内部に嵌合させるとよい。
受け部6は、底部の中央近傍に孔6Aが開いており、孔6Aを通って挿通体21が挿通部材2の軸方向に貫通している。孔6Aは、円形でもよいが、挿通体21の形状に応じて円形以外のいかなる形状でもよい。また、受け部6が可撓性を有する材料で形成される場合には、孔6Aは挿通体21のサイズより小さいものでもよく、孔6Aの代わりに切り込みであってもよい。受け部6は、孔6Aに設置可能な凸部を有する金具やプラスチック、耐火パテを受ける袋状のものであってもよい。
受け部6としては、耐火パテ3Aを受け止めることが可能な材料であれば特に限定はなく、例えば、樹脂系材料、繊維系材料、金属系材料、ガラス及び木材等が挙げられ、これら2種以上を複合した複合材料であってもよい。
なお、耐火パテである耐火材を採用する場合、受け部6を具備しない形態であってもよく、その場合には、例えば、挿入部材2が耐火パテ3Aを受け止める部材としての役割を担う。具体的には、区画貫通部15の開口13Aから吐出される耐火パテ3Aを、挿入部材2の内周面が受け止め、内周面上に耐火パテ3Aを積層させることで区画貫通部15を充填させることができる。
本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、挿入部材2によって、中空部13と仕切り部11の外部が連通することが防止されるとともに、区画貫通部15の一方の開口13Cが、耐火パテ3Aによって覆われるので、区画貫通部15の一方の開口13Cと他方の開口13Dとが連通するのも防止される。よって、第1の実施形態に係る区画貫通処理構造は、区画貫通部15を適切な防火構造とすることができる。
また、本発明の第1の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、区画貫通部15を覆う耐火パテ3Aは、熱伝導性が良好であることから、火災により生じた熱を効率よく全体に伝導させることができ、全体が均等に耐火性能及び消化性能を発揮することで、一様な耐火性及び消化性により被害を低減させることができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態において第1の実施形態と相違する点は、図2に示すように、建築物の防火構造に用いられる部材として上述した耐火シートである耐火材を採用した点である。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を説明する。また、以下では、異なる実施形態の説明でも、同一の構成を有する部材には同一の符号を付す。
本発明の耐火材を耐火シート3Bとして用いる場合、図2に示すように、耐火シート3Bは、挿入部材2の内周面に配置される。耐火シート3Bを挿入部材2の内周面に配置する手段としては、様々な手段を取りうる。
挿入部材2がスリーブ状のものである場合、例えば、別々に用意した挿入部材2と耐火シート3Bとを接着剤、粘着剤及び粘着テープなどの公知の固定手段によって固定する手段が挙げられる。挿入部材2と耐火シート3Bの固定は、予め固定して一体としていてもよいし、施工前に施工現場で固定して一体としてもよい。
挿入部材2がシート状からスリーブ状に変形可能なものである場合、例えば、シート状の挿入部材2に、耐火シート3Bを接着剤、粘着剤及び粘着テープなどの公知の固定手段によって固定した後に、固定された耐火シート3Bが内周面となるように、挿入部材2をスリーブ状に変形する手段が挙げられる。
ここで、接着剤、粘着剤及び粘着テープは、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料のいずれかであることが好ましく、接着剤、粘着剤などに難燃剤などを配合するとよい。
挿入部材2及び耐火シート3Bを区画貫通部15に配置した後、貫通孔13Aより外側に延出された耐火シート3Bは、図2に示すように、適宜曲げられたり折られたりして、縮径させられ、それにより、耐火シート3Bは、挿通体21の外周に密接しつつ包囲する。そして、耐火シート3Bは、その包囲する部分に紐状部材22が巻き付けられ、その紐状部材22によって挿通体21に固定され、これにより、区画貫通部15の一方の開口13Cが、耐火シート3Bにより覆われることになる。
紐状部材22は、曲げることができる部材であればよく、ワイヤを含むワイヤ部材であることが好ましい。ワイヤ部材は、金属製のワイヤ単独でもよいし、ねじりっこ(登録商標)などの金属製のワイヤを樹脂で被覆した樹脂被覆ワイヤ、モールなどと呼ばれるワイヤと繊維を絡ませたものなどでもよい。ワイヤ部材を使用すると、ひねったり、ねじったりするだけで、耐火シート3Bを挿通体21に固定できる。
本発明の第2の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、挿入部材2によって、中空部13と仕切り部11の外部が連通することが防止されるとともに、区画貫通部15の一方の開口13Cが、耐火シート3Bによって覆われるので、区画貫通部15の一方の開口13Cと他方の開口13Dとが連通するのも防止される。よって、第2の実施形態に係る区画貫通処理構造は、区画貫通部15を適切な防火構造とすることができる。
また、本発明の第2の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、内周面に耐火シート3Bを配置した挿入部材2を、一方の開口13Cより区画貫通部15に挿入して取り付け、その後、耐火シート3Bにより一方の開口13Cを覆うことで施工できる。そのため、少ない部品点数で区画貫通部15を防火構造とすることができるとともに、全ての作業を仕切り部11の一方側(外面11A側)から行うことができるので作業性が向上する。
また、本発明の第2の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、区画貫通部15を覆う耐火シート3Bは、熱伝導性が良好であることから、火災により生じた熱を効率よく全体に伝導させることができ、全体が均等に耐火性能及び消化性能を発揮することで、一様な耐火性及び消化性により被害を低減させることができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態において第1の実施形態と相違する点は、図3に示すように、建築物の防火構造に用いられる部材として上述した耐火積層体を採用した点である。以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を説明する。また、以下では、異なる実施形態の説明でも、同一の構成を有する部材には同一の符号を付す。
そして、本発明の第3の実施形態に係る区画貫通処理方法は、以下に示すように、耐火積層体を区画貫通部15に設ける工程を含むものである。
本発明の耐火材を耐火積層体3Cとして用いる場合、図3に示すように、耐火積層体3Cは、挿入部材2の内周面に配置される。耐火積層体3Cを挿入部材2の内周面に配置する手段としては、様々な手段を取りうる。
挿入部材2がスリーブ状のものである場合、例えば、別々に用意した挿入部材2と耐火積層体3Cとを接着剤、粘着剤及び粘着テープなどの公知の固定手段によって固定する手段が挙げられる。挿入部材2と耐火積層体3Cの固定は、予め固定して一体としていてもよいし、施工前に施工現場で固定して一体としてもよい。
挿入部材2がシート状からスリーブ状に変形可能なものである場合、例えば、シート状の挿入部材2に、耐火積層体3Cを接着剤、粘着剤及び粘着テープなどの公知の固定手段によって固定した後に、固定された耐火積層体3Cが内周面となるように、挿入部材2をスリーブ状に変形する手段が挙げられる。
ここで、接着剤、粘着剤及び粘着テープは、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料のいずれかであることが好ましく、接着剤、粘着剤などに難燃剤などを配合するとよい。
耐火積層体3Cの耐火樹脂層3Cは、挿通体21側に配置されていることが好ましい。耐火樹脂層3Cが挿通体21側に配置されていることによって、火災が発生した際に、挿通体21を伝わって延焼する炎を耐火樹脂層3Cにより抑止することができる。
また、耐火積層体3Cの耐火樹脂層3Cは、挿通体21と接していることが好ましい。耐火樹脂層3Cが挿通体21と接していることによって、火災が発生した際に、挿通体21を伝わって延焼する炎を耐火樹脂層3Cにより効率よく抑止することができる。
耐火積層体3Cの熱伝導層3Cは、挿通体21側からみて、耐火樹脂層3Cの背面側に設けられており、耐火樹脂層3Cに直接積層されていることが好ましい。熱伝導層3Cが耐火樹脂層3Cの背面に設けられていることによって、火災により生じた熱を効率よく熱伝導層3Cにより耐火樹脂層3Cの全体に伝導させることができ、耐火樹脂層3Cの全体が均等に耐火性能及び消化性能を発揮することで、一様な耐火性及び消化性により被害を低減させることができる。
また、耐火積層体3Cの熱伝導層3Cは、挿通体21と接していないことが好ましい。熱伝導層3Cが挿通体21と接していないことによって、火災が発生した際に、挿通体21を伝わって延焼する炎を耐火樹脂層3Cにより抑止することの妨げることがなくなる。
挿入部材2及び耐火積層体3Cを区画貫通部15に配置した後、貫通孔13Aより外側に延出された耐火積層体3Cは、図3に示すように、適宜曲げられたり折られたりして、縮径させられ、それにより、耐火積層体3Cは、挿通体21の外周に密接しつつ包囲する。そして、耐火積層体3Cは、その包囲する部分に紐状部材22が巻き付けられ、その紐状部材22によって挿通体21に固定され、これにより、区画貫通部15の一方の開口13Cが、耐火積層体3Cにより覆われることになる。
紐状部材22は、曲げることができる部材であればよく、ワイヤを含むワイヤ部材であることが好ましい。ワイヤ部材は、金属製のワイヤ単独でもよいし、ねじりっこ(登録商標)などの金属製のワイヤを樹脂で被覆した樹脂被覆ワイヤ、モールなどと呼ばれるワイヤと繊維を絡ませたものなどでもよい。ワイヤ部材を使用すると、ひねったり、ねじったりするだけで、耐火積層体3Cを挿通体21に固定できる。
本発明の第3の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、挿入部材2によって、中空部13と仕切り部11の外部が連通することが防止されるとともに、区画貫通部15の一方の開口13Cが、耐火積層体3Cによって覆われるので、区画貫通部15の一方の開口13Cと他方の開口13Dとが連通するのも防止される。よって、第3の実施形態に係る区画貫通処理構造は、区画貫通部15を適切な防火構造とすることができる。
また、本発明の第3の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、内周面に耐火積層体3Cを配置した挿入部材2を、一方の開口13Cより区画貫通部15に挿入して取り付け、その後、耐火積層体3Cにより一方の開口13Cを覆うことで施工できる。そのため、少ない部品点数で区画貫通部15を防火構造とすることができるとともに、全ての作業を仕切り部11の一方側(外面11A側)から行うことができるので作業性が向上する。
また、本発明の第3の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、区画貫通部15を覆う耐火積層体3Cは、熱伝導性が良好であることから、火災により生じた熱を効率よく全体に伝導させることができ、全体が均等に耐火性能及び消化性能を発揮することで、一様な耐火性及び消化性により被害を低減させることができる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態において第1の実施形態と相違する点は、図4に示すように、建築物の防火構造に、上述した耐火シートをスリープ状に変形したものを挿入部材として採用した点である。以下、第4の実施形態について、第1の実施形態との相違点を説明する。また、以下では、異なる実施形態の説明でも、同一の構成を有する部材には同一の符号を付す。
本実施形態に係る区画貫通処理構造は、図4に示すように、耐火シート3Bがスリーブ状に変形され、内部に挿通体21を通しつつ区画貫通部15に挿入されて取り付けられている。
耐火シート3Bは、区画貫通部15を構成する貫通孔13A、13Bの内周面の形状に適合するようにスリーブ状に変形されている。すなわち、耐火シート3Bは、その外周面が、貫通孔13A、13Bの内周面の形状に沿うようにスリーブ状にするとよい。貫通孔13A、13Bの内周面の形状は、一般的に、円、楕円、またはこれらに近似する形状であるので、耐火シート3Bは丸められてスリーブ状にされるとよく、円、楕円、又はこれらに近似する形状にされるとよい。
また、耐火シート3Bがスリーブ状にされる際に、耐火シート3Bの端部同士は向かい合わせにされるが、この際、端部同士は、接着剤、粘着剤及び粘着テープなどにより接着されてもよい。ここで、接着剤、粘着剤及び粘着テープは、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料のいずれかであることが好ましく、接着剤、粘着剤などに難燃剤などを配合するとよい。粘着テープは、基材と、基材の一方の面に設けられた粘着剤層とを備えるが、基材及び粘着剤層それぞれが、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料のいずれかで構成されるとよい。
ただし、耐火シート3Bがスリーブ状にされる際に、耐火シート3Bの端部同士は向かい合わせにされる態様に限定されず、端部同士がオーバーラップするようにしてスリーブ状としてもよい。
スリーブ状の耐火シート3Bの一端部3Bには、一方の開口13Cを閉塞させるカバー材4が設けられている。耐火シート3Bの一端部3Bにカバー材4を設ける手段としては、特に限定されず、例えば、接着剤、粘着剤及び粘着テープなどの公知の固定手段によって固定する手段が挙げられる。ここで、接着剤、粘着剤及び粘着テープは、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料のいずれかであることが好ましく、接着剤、粘着剤などに難燃剤などを配合するとよい。
カバー材4は、開口13Cを閉塞させることができる材質であれば特に制限はなく、例えば、金属系シート、繊維系シート及び樹脂系シート等が挙げられる。
カバー材4の厚さは、0.01〜10mmであることが好ましく、0.05〜5mmであることがより好ましく、0.1〜1mmであることがさらに好ましい。カバー材4の厚さが上記範囲内であることで、後述するように挿通体21の外周に密接しつつ包囲することが可能となるように、屈曲ないし湾曲できるような柔軟性を発揮することができる。
スリーブ状の耐火シート3Bを区画貫通部15に配置した後、貫通孔13Aより外側には、耐火シート3Bの一端部3Bに設けられたカバー材4が延出される。カバー材4は、図4に示すように、適宜曲げられたり折られたりして、縮径させられ、それにより、カバー材4は、挿通体21の外周に密接しつつ包囲する。そして、カバー材4は、その包囲する部分に紐状部材22が巻き付けられ、その紐状部材22によって挿通体21に固定され、これにより、区画貫通部15の一方の開口13Cが、カバー材4により覆われることになる。
紐状部材22は、曲げることができる部材であればよく、ワイヤを含むワイヤ部材であることが好ましい。ワイヤ部材は、金属製のワイヤ単独でもよいし、ねじりっこ(登録商標)などの金属製のワイヤを樹脂で被覆した樹脂被覆ワイヤ、モールなどと呼ばれるワイヤと繊維を絡ませたものなどでもよい。ワイヤ部材を使用すると、ひねったり、ねじったりするだけで、カバー材4を挿通体21に固定できる。
本発明の第4の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、スリーブ状の耐火シート3Bによって、中空部13と仕切り部11の外部が連通することが防止されるとともに、区画貫通部15の一方の開口13Cが、カバー材4によって覆われるので、区画貫通部15の一方の開口13Cと他方の開口13Dとが連通するのも防止される。よって、第4の実施形態に係る区画貫通処理構造は、区画貫通部15を適切な防火構造とすることができる。
また、本発明の第4の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、スリーブ状の耐火シート3Bを、一方の開口13Cより区画貫通部15に挿入して取り付け、その後、カバー材4により一方の開口13Cを覆うことで施工できる。そのため、少ない部品点数で区画貫通部15を防火構造とすることができるとともに、全ての作業を仕切り部11の一方側(外面11A側)から行うことができるので作業性が向上する。
<第5の実施形態>
第5の実施形態において第1の実施形態と相違する点は、図5に示すように、建築物の防火構造に、上述した耐火積層体をスリープ状に変形したものを挿入部材として採用した点である。以下、第5の実施形態について、第1の実施形態との相違点を説明する。また、以下では、異なる実施形態の説明でも、同一の構成を有する部材には同一の符号を付す。
本実施形態に係る区画貫通処理構造は、図5に示すように、耐火積層体3Cがスリーブ状に変形され、内部に挿通体21を通しつつ区画貫通部15に挿入されて取り付けられている。
耐火積層体3Cは、区画貫通部15を構成する貫通孔13A、13Bの内周面の形状に適合するようにスリーブ状に変形されている。すなわち、耐火積層体3Cは、その外周面が、貫通孔13A、13Bの内周面の形状に沿うようにスリーブ状にするとよい。貫通孔13A、13Bの内周面の形状は、一般的に、円、楕円、またはこれらに近似する形状であるので、耐火積層体3Cは丸められてスリーブ状にされるとよく、円、楕円、又はこれらに近似する形状にされるとよい。
また、耐火積層体3Cがスリーブ状にされる際に、耐火積層体3Cの端部同士は向かい合わせにされるが、この際、端部同士は、接着剤、粘着剤及び粘着テープなどにより接着されてもよい。ここで、接着剤、粘着剤及び粘着テープは、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料のいずれかであることが好ましく、接着剤、粘着剤などに難燃剤などを配合するとよい。粘着テープは、基材と、基材の一方の面に設けられた粘着剤層とを備えるが、基材及び粘着剤層それぞれが、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料のいずれかで構成されるとよい。
ただし、耐火積層体3Cがスリーブ状にされる際に、耐火積層体3Cの端部同士は向かい合わせにされる態様に限定されず、端部同士がオーバーラップするようにしてスリーブ状としてもよい。
耐火積層体3Cの耐火樹脂層3Cは、挿通体21側に配置されていることが好ましい。耐火樹脂層3Cが挿通体21側に配置されていることによって、火災が発生した際に、挿通体21を伝わって延焼する炎を耐火樹脂層3Cにより抑止することができる。
また、耐火積層体3Cの耐火樹脂層3Cは、挿通体21と接していることが好ましい。耐火樹脂層3Cが挿通体21と接していることによって、火災が発生した際に、挿通体21を伝わって延焼する炎を耐火樹脂層3Cにより効率よく抑止することができる。
耐火積層体3Cの熱伝導層3Cは、挿通体21側からみて、耐火樹脂層3Cの背面側に設けられており、耐火樹脂層3Cに直接積層されていることが好ましい。熱伝導層3Cが耐火樹脂層3Cの背面に設けられていることによって、火災により生じた熱を効率よく熱伝導層3Cにより耐火樹脂層3Cの全体に伝導させることができ、耐火樹脂層3Cの全体が均等に耐火性能及び消化性能を発揮することで、一様な耐火性及び消化性により被害を低減させることができる。
また、耐火積層体3Cの熱伝導層3Cは、挿通体21と接していないことが好ましい。熱伝導層3Cが挿通体21と接していないことによって、火災が発生した際に、挿通体21を伝わって延焼する炎を耐火樹脂層3Cにより抑止することの妨げることがなくなる。
スリーブ状の耐火積層体3Cの一端部3Cには、一方の開口13Cを閉塞させるカバー材4が設けられている。耐火積層体3Cの一端部3Cにカバー材4を設ける手段としては、特に限定されず、例えば、接着剤、粘着剤及び粘着テープなどの公知の固定手段によって固定する手段が挙げられる。ここで、接着剤、粘着剤及び粘着テープは、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料のいずれかであることが好ましく、接着剤、粘着剤などに難燃剤などを配合するとよい。
カバー材4は、開口13Cを閉塞させることができる材質であれば特に制限はなく、例えば、金属系シート、繊維系シート及び樹脂系シート等が挙げられる。
カバー材4の厚さは、0.01〜10mmであることが好ましく、0.05〜5mmであることがより好ましく、0.1〜1mmであることがさらに好ましい。カバー材4の厚さが上記範囲内であることで、後述するように挿通体21の外周に密接しつつ包囲することが可能となるように、屈曲ないし湾曲できるような柔軟性を発揮することができる。
スリーブ状の耐火積層体3Cを区画貫通部15に配置した後、貫通孔13Aより外側には、耐火積層体3Cの一端部3Cに設けられたカバー材4が延出される。カバー材4は、図5に示すように、適宜曲げられたり折られたりして、縮径させられ、それにより、カバー材4は、挿通体21の外周に密接しつつ包囲する。そして、カバー材4は、その包囲する部分に紐状部材22が巻き付けられ、その紐状部材22によって挿通体21に固定され、これにより、区画貫通部15の一方の開口13Cが、カバー材4により覆われることになる。
紐状部材22は、曲げることができる部材であればよく、ワイヤを含むワイヤ部材であることが好ましい。ワイヤ部材は、金属製のワイヤ単独でもよいし、ねじりっこ(登録商標)などの金属製のワイヤを樹脂で被覆した樹脂被覆ワイヤ、モールなどと呼ばれるワイヤと繊維を絡ませたものなどでもよい。ワイヤ部材を使用すると、ひねったり、ねじったりするだけで、カバー材4を挿通体21に固定できる。
本発明の第5の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、スリーブ状の耐火積層体3Cによって、中空部13と仕切り部11の外部が連通することが防止されるとともに、区画貫通部15の一方の開口13Cが、カバー材4によって覆われるので、区画貫通部15の一方の開口13Cと他方の開口13Dとが連通するのも防止される。よって、第4の実施形態に係る区画貫通処理構造は、区画貫通部15を適切な防火構造とすることができる。
また、本発明の第5の実施形態に係る区画貫通処理構造によれば、スリーブ状の耐火積層体3Cを、一方の開口13Cより区画貫通部15に挿入して取り付け、その後、カバー材4により一方の開口13Cを覆うことで施工できる。そのため、少ない部品点数で区画貫通部15を防火構造とすることができるとともに、全ての作業を仕切り部11の一方側(外面11A側)から行うことができるので作業性が向上する。
<その他の実施形態>
以上の説明では、区画貫通処理構造として、第1の実施形態から第5の実施形態を示したが、第1の実施形態態乃至第5の実施形態は適宜組み合わせてもよい。つまり、以上の説明で示した実施形態のそれぞれを適宜組み合わせてもよく、全てを組み合わせてもよい。
また、区画貫通処理構造においては、上記各実施形態に示した態様に限定されず、耐火材又は耐火積層体が区画貫通部に設けられる限りいかなる構成でもよい。例えば、耐火材又は耐火積層体は、区画貫通部の内部に配置され、又は区画貫通部の開口を覆うように配置される限りいかなる構成でもよい。
本発明の耐火材は、上記のように区画貫通構造に使用される態様に限定されず、建築物の防火構造を構成するものであれば他の使用態様であってもよい。
耐火材又は耐火積層体は、例えば、窓、障子、ドア、戸、ふすま等の建具に取り付けられて使用することもできる。本発明の耐火材又は耐火積層体を建具に取り付けられて使用する場合、耐火材又は耐火積層体は、シート状、ブロック状、柱状などの所望の形状を有するものを使用すればよいが、好ましくはシート状の耐火シートを使用する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<難燃剤>
・亜リン酸アルミニウム:APA100、太平化学産業社製
・トリフェニルホスフェート:TPhP、東京化学工業株式会社製
<吸熱剤>
・水酸化アルミニウム:BF013、日本軽金属株式会社製、平均粒子径1μm、熱分解開始温度200℃、吸熱量1,000J/g
・水酸化マグネシウム:キスマ10、協和化学工業社製、平均粒子径0.9μm、熱分解開始温度280℃、吸熱量1,350J/g
<熱膨張性層状無機物>
・熱膨張性黒鉛:ADT−351、ADT社製
<熱伝導性物質>
・窒化ホウ素(BN):UHP−S2、昭和電工株式会社製、熱伝導率200W/m・K、平均粒子径0.7μm、密度2.27g/cm
・酸化アルミニウム(Al):CB−P02、昭和電工株式会社製、熱伝導率20W/m・K、平均粒子径2μm、密度3.98g/cm
<樹脂>
・PVB:ポリビニルブチラール樹脂、重合度1,700、アセタール化度75mol%、アセチル基量3mol%、水酸基量22mol%
<分散剤>
・ポリエーテル系分散剤:ED−400、楠本化成社製
<可塑剤>
・ジイソデシルフタレート(DIDP):試薬特級、東京化成社製
<溶媒>
・エタノール(EtOH):試薬特級、東京化成社製
・トルエン(PhMe):試薬特級、東京化成社製
・酢酸エチル(AcOEt):試薬特級、東京化成社製
<シート化>
《塗工成膜》
表1に示した配合に従って、難燃剤、吸熱剤、熱膨張性無機物、熱伝導性物質、樹脂、分散剤、可塑剤及び溶媒をビーズミル(アイメックス社製「レディーミル」)にて60分間攪拌することにより、耐火樹脂組成物を得た。得られた耐火樹脂組成物の粘度を溶媒で調整したスラリー液を用意した。スラリー液を剥離シートの離型処理面に塗布し、60℃、24時間乾燥させて塗工成膜によりシート化した。得られたシートは、剥離シートを剥離した後に耐火性部材として用いた。
《成形体》
表1に示した配合に従って、難燃剤、吸熱剤、熱膨張性無機物、熱伝導性物質、樹脂、分散剤、可塑剤及び溶媒をビーズミル(アイメックス社製「レディーミル」)にて60分間攪拌することにより、耐火樹脂組成物を得た。得られた耐火樹脂組成物を一軸押出機に供給し、50℃で押出成形し、押出成形体を得た。そして、得られた押出成形体を圧延機で目的の厚みのシートに調整し、耐火性部材として用いた。
Figure 2021147467
[実施例1〜6、比較例1〜2]
表1に示した層種類を、表2に示した層構成に従って積層した耐火性部材(耐火材又は耐火積層体)を得た。各耐火性部材の評価を以下のように行った。
<アスペクト比>
SEM断面写真を用いて熱膨張性黒鉛の写真のスケール長さを測定し、換算してアスペクト比を算出した。
<膨張倍率>
得られた実施例1〜5及び比較例1〜3の耐火性部材から作製した試験片(長さ100mm、幅100mm、厚さ2.0mm)を電気炉に供給し、600℃で30分間加熱した後、試験片の厚さを測定し、(加熱後の試験片の厚さ)/(加熱前の試験片の厚さ)を膨張倍率として算出した。
<残渣硬さ>
膨張倍率を測定した加熱後の試験片を圧縮試験機(カトーテック社製、「フィンガーフイリングテスター」)に供給し、0.25cm2の圧子で0.1cm/秒の速度で圧縮し、破断点応力を測定した。
<残渣の形状保持性>
上記残渣硬さは膨張後の残渣の硬さの指標になるが、測定が残渣の表面部分に限られるため、残渣全体の硬さの指標にならないことがあるので、残渣全体の硬さの指標として形状保持性を測定した。残渣の形状保持性は、膨張倍率を測定した試験片の両端部を手で持って持ち上げて、その際の残渣の崩れやすさを目視して測定した。試験片が崩れることなく持ち上げられた場合を合格(PASS)と評価し、試験片が崩壊して持ち上げられない場合を不合格(FAIL)と評価した。
<耐火試験>
コンクリート製の躯体に直径160mmの開口を開け、PVC100のVU管(外径114mm、厚み3.1mm、JIS規格K6741)を通して配管し、床下側に300mm、床上側500mmに出した。得られた耐火性部材をスリーブ形状に曲げ、開口に設置した。スリーブと配管との間の各クリアランスが10mm以上となるように配管の位置調整を行い、ISO834の加熱曲線に沿って水平炉内で2時間加熱した。床上25mmの貫通パイプ温度が、初期温度+180℃未満且つ貫通して炎出がない場合を合格(PASS)と評価し、初期温度+180℃以上又は床上パイプが貫通して炎出する場合を不合格(FAIL)と評価した。
<残渣の密着性>
耐火試験前のスリーブの重量と、耐火試験後に貫通部に密着して残ったスリーブ残渣の重量を測定した。耐火試験前に対する耐火試験後のスリーブ重量残存率(%)を算出し、コンクリート製の躯体との密着性の尺度とした。
<耐衝撃性>
スリーブを−10℃の環境下に1週間置き、高さ3mの位置からコンクリートの床に自然落下させ、スリーブに変形及び損傷がないかどうか確認した。目視で明らかな変形及び損傷がない場合を合格(PASS)と評価し、1度でも変形及び損傷がある場合を不合格(FAIL)と評価した。
Figure 2021147467
実施例1〜5、比較例1〜3の膨張倍率、残渣硬さ、及び残渣の形状保持性、耐火試験の測定結果は、表2に示す通りである。実施例1〜5では、熱膨張材が十分に膨張し、膨張残渣がしっかり保持され耐火試験は合格であった。比較例3では残渣がしっかりとは保持されず不合格であった。比較例1〜3は膨張残渣によって断熱構造が形成されず、床上パイプの温度が上昇してパイプに穴があいて炎出したので不合格であった。
以上の実施例の結果から明らかなように、本発明によれば区画貫通の耐火処理における継続的な高温状態に伴う発火に対して、持続的に温度上昇を抑制することができ、かつ、耐火性を有する耐火樹脂組成物を提供できた。
2 挿通部材
3A 耐火パテ
3B 耐火シート
3C 耐火積層体
3C 耐火樹脂層
3C 熱伝導層
4 カバー材
5 充填材
6 受け部
6A 孔
11 仕切り部
12A,12B 壁材
13 中空部
13A,13B 貫通孔
13C,13D 開口
15 区画貫通部
21 挿通体
22 紐状部材

Claims (15)

  1. 難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤と、熱伝導性物質と、樹脂とを含有し、建築物の防火構造に用いられる耐火樹脂組成物。
  2. 前記樹脂100質量部に対する前記熱伝導性物質の含有量が100〜1,500質量部である、請求項1に記載の耐火樹脂組成物。
  3. 前記熱伝導性物質が窒化ホウ素及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の耐火樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐火樹脂組成物からなる耐火材。
  5. シート状である、請求項4に記載の耐火材。
  6. 厚みが0.5〜10mmである、請求項5に記載の耐火材。
  7. 難燃剤、吸熱剤及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤と樹脂とを含む耐火樹脂層と、熱伝導性物質を含む熱伝導層とを備え、建築物の防火構造に用いられる耐火積層体。
  8. 前記耐火樹脂層と前記熱伝導層とが直接積層されている、請求項7に記載の耐火積層体。
  9. 前記熱伝導層は、前記熱伝導性物質と樹脂とを含有する第1熱伝導層、及び、前記熱伝導性物質から実質的になる第2熱伝導層の少なくともいずれかを有する、請求項7又は8に記載の耐火積層体。
  10. シート状である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の耐火積層体。
  11. 厚みが0.5〜10mmである、請求項10に記載の耐火積層体。
  12. 建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理構造であって、
    請求項4〜6に記載の耐火材及び請求項7〜11に記載の耐火積層体の少なくともいずれかが前記区画貫通部に設けられている区画貫通処理構造。
  13. 前記耐火積層体の前記耐火樹脂層は、前記挿通体側に配置されている、請求項12に記載の区画貫通処理構造。
  14. 前記耐火積層体の前記熱伝導層は、前記挿通体と接していない、請求項12又は13に記載の区画貫通処理構造。
  15. 建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理方法であって、
    請求項4〜6に記載の耐火材及び請求項7〜11に記載の耐火積層体の少なくともいずれかを前記区画貫通部に設ける工程を含む区画貫通処理方法。

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