JP2021188013A - 耐火シート - Google Patents

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Akihito Doi
秀康 中嶋
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Abstract

【課題】従来よりも均一な膨張断熱層を形成しうる耐火シートを提供すること。【解決手段】樹脂、熱膨張性化合物、及び無機フィラーを含有する耐火樹脂層を少なくとも備え、面方向の熱伝導率λxyが0.5W/m・K以上である耐火シートである。【選択図】なし

Description

本発明は、耐火シートに関する。
建築物、各種乗り物などの構造物の耐火性を確保するために耐火シートが広く使用される。耐火シートは、樹脂成分と、樹脂成分に配合された熱膨張性黒鉛とを含有する組成物をシート状に成形したものが知られている。このような耐火シートは、加熱されると熱膨張性黒鉛が膨張して断熱層を形成し、火や熱の流路となる空間を閉塞して、耐火性を確保している。
例えば、特許文献1では、可撓性を付与されたエポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、及び無機充填材を含有する耐火性樹脂組成物からなるシートであって、各成分の含有量を特定したシートが記載されており、建築物の被覆用途等に好適に使用することができることが記載されている。
特開2007−146169号公報
従来使用されてきた耐火シートは、加熱時に膨張して断熱層(膨張断熱層)を形成した場合において、膨張断熱層の厚みなどが不均一になる場合があった。この場合、火や熱の流路となる空間の閉塞が不十分になり、延焼防止の観点から改善の余地があった。
そこで、本発明は、加熱時において、従来よりも厚みの均一な膨張伝熱層を形成しうる耐火シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、樹脂、熱膨張性化合物、及び無機フィラーを含有する耐火樹脂層を少なくとも備え、面方向の熱伝導率λxyが0.5W/m・K以上である、耐火シートによって、上記課題が解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]を提供する。
[1]樹脂、熱膨張性化合物、及び無機フィラーを含有する耐火樹脂層を少なくとも備え、面方向の熱伝導率λxyが0.5W/m・K以上である、耐火シート。
[2]厚み方向の熱伝導率λzに対する面方向の熱伝導率λxyの熱伝導率比(λxy/λz)が1以上である、上記[1]に記載の耐火シート。
[3]前記熱膨張性化合物が、熱膨張性黒鉛、亜リン酸アルミニウム、及びバーミキュライトからなる群から選択される少なくとも一種である、上記[1]又は[2]に記載の耐火シート。
[4]前記耐火樹脂層が、さらに熱伝導性フィラーを含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の耐火シート。
[5]さらに熱伝導層を備える積層体である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の耐火シート。
[6]前記積層体が、前記耐火樹脂層と、前記耐火樹脂層の一方の面に設けられた前記熱伝導層とを備えたものである、上記[5]に記載の耐火シート。
[7]前記積層体が、前記耐火樹脂層と、前記耐火樹脂層の両面に設けられた熱伝導層とを備えたものである、上記[5]に記載の耐火シート。
[8]前記積層体が、前記熱伝導層と、前記熱伝導層の両面に設けられた前記耐火樹脂層とを備えたものである、上記[5]に記載の耐火シート。
[9]前記熱伝導層が、グラファイトシート、金属箔、金属メッシュ、及びアルミガラスクロスから選択される少なくともいずれかである、上記[5]〜[8]のいずれかに記載の耐火シート。
本発明によれば、従来よりも均一な厚みの膨張断熱層を形成しうる耐火シートを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る耐火シートの断面図である。 本発明の一実施形態に係る耐火シートの断面図である。 本発明の一実施形態に係る耐火シートの断面図である。 本発明の一実施形態に係る耐火シートの断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[耐火シート]
本発明の耐火シートは、樹脂、熱膨張性化合物、及び無機フィラーを含有する耐火樹脂層を少なくとも備え、面方向の熱伝導率λxyが0.5W/m・K以上である。
本発明の耐火シートは、面方向の熱伝導率λxyが0.5W/m・K以上である。本発明の耐火シートは、面方向の熱伝導率λxyが一定程度高いため、加熱時に形成される膨張断熱層の厚みが均一になる。この理由は定かではないが、次のように推定される。
従来の耐火シートは、火災時において耐火シートの一部分のみが高温になり、シートの面方向において温度の高低差が生じていた。そのため、シートの面方向において膨張倍率が異なり、その結果、厚みの不均一な膨張断熱層が形成していたものと考えられる。これに対して、本発明の耐火シートは、面方向の熱伝導率λxyが一定程度高く、局所的に上昇した温度を水平方向の拡散させるため、均一な膨張断熱層が形成しやすいものと考えられる。
<熱伝導率>
本発明の耐火シートの面方向の熱伝導率λxyは、0.5W/m・K以上である。熱伝導率λxyが0.5W/m・K未満であると、加熱時に均一な膨張断熱層が形成されにくく、延焼が防止されにくく、耐火性が低くなる。
耐火シートの面方向の熱伝導率λxyは、好ましくは1W/m・K以上であり、より好ましくは10W/m・K以上であり、さらに好ましくは100W/m・K以上であり、さらに好ましくは500W/m・K以上であり、さらに好ましくは1000W/m・K以上である。熱伝導率λxyは、高ければ高いほど、耐火シートの水平方向に熱が伝わりやすく、シート内の温度差が小さくなり好ましいが、一般的に、5000W/m・K以下である。
また、本発明の耐火シート面方向の熱伝導率λxyは、耐火シートの層構成に応じて調整することが好ましい。例えば、耐火樹脂層のみから形成される耐火シートの場合は、後述する熱伝導層を備える耐火シートと比較して、面方向の熱伝導率λxyが比較的低い場合でも均一な膨張断熱層が形成されやすくなる。そのため、耐火樹脂層のみから形成される耐火シートの場合は、熱伝導率λxyは好ましくは0.5W/m・K以上、より好ましくは0.6W/m・K以上である。
耐火シートの厚さ方向の熱伝導率λzは、均一な膨張断熱層を形成する観点から、好ましくは0.3W/m・K以上、より好ましくは0.4W/m・K以上、さらに好ましくは0.5W/m・K以上である。そして熱伝導率λzは、好ましくは15W/m・K以下、より好ましくは10W/m・K以下、さらに好ましくは5W/m・K以下、さらに好ましくは3W/m・K以下である。
また、均一な膨張断熱層を形成させつつ、厚さ方向の断熱性を高めて耐火性を向上させる観点から、耐火シートの面方向の熱伝導率λxyは、厚さ方向の熱伝導率λzと同等以上(すなわち、λxy≧λz)であることが好ましい。
このような観点から、耐火シートの厚み方向の熱伝導率λzに対する面方向の熱伝導率λxyの熱伝導率比(λxy/λz)は、好ましくは1以上であり、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは100以上であり、さらに好ましくは130以上であり、そして通常は、500以下である。
本発明における耐火シートの熱伝導率λxy及びλzは、耐火シートが単層であれば、その単層の面方向の熱伝導率及び厚さ方向の熱伝導率を意味し、耐火シートが複数の層の積層体である場合は、該複数の層のうち、最も熱伝導率が高い層の面方向の熱伝導率及び厚さ方向の熱伝導率を意味することとする。したがって、耐火樹脂層と熱伝導層とを備える積層体からなる耐火シートの場合、通常は、熱伝導層の熱伝導率が最も高いため、熱伝導層の面方向の熱伝導率、厚さ方向の熱伝導率がそれぞれλxy、λzに該当する。
なお、複数の層のうち最も熱伝導率が高い層の特定は、各層の厚さ方向の熱伝導率と面方向の熱伝導率を平均して行う。
耐火シートの厚み方向及び面方向の熱伝導率は、例えば、後述する熱伝導層の種類を適宜選択することなどで調節することができる。
熱伝導率は、実施例に記載の方法で測定することができる。
<耐火シートの層構成>
本発明の耐火シートは、耐火樹脂層のみから構成されていてもよいし、耐火樹脂層と後述する熱伝導層とを備える積層体であってもよい。耐火樹脂層は、詳細は後述するが、樹脂、熱膨張性化合物、及び無機フィラーを含有する耐火樹脂層である。また、熱伝導層は、詳細は後述するが、例えば、グラファイトシート、金属箔、金属メッシュ、アルミガラスクロスなどである。
耐火シートが、耐火樹脂層のみからなる場合は、例えば図1に示すように、耐火樹脂層13からなる耐火シートS1である。
また耐火シートが耐火樹脂層と熱伝導層とを備える積層体からなる場合は、耐火樹脂層及び熱伝導層を1層づつ備えてもよいし、耐火樹脂層及び熱伝導層のうちいずれか一方又は両方を2層以上備えてもよい。
具体的には、耐火シートは、耐火樹脂層13と、該耐火樹脂層13の一方の面に設けられた熱伝導層14とを備える積層体からなる耐火シートS2(図2)であってもよい。また、耐火シートは、熱伝導層14と、該熱伝導層14の両面に設けられた耐火樹脂層13とを備えた積層体からなる耐火シートS3(図3)であってもよい。さらに、耐火シートは、耐火樹脂層13と、該耐火樹脂層13の両面に設けられた熱伝導層14とを備えた積層体からなる耐火シートS4(図4)であってもよい。
これらの耐火シートの中でも、耐火シートの温度均一性の観点から、耐火シートS2が好ましい。
耐火シートの厚みは、好ましくは100〜5000μmであり、より好ましくは500〜3000μmである。これら下限値以上であると、必要な機械的強度を確保することができ、これら上限値以下であると、比較的狭い空間に配置して使用することができる。
<耐火樹脂層>
本発明の耐火シートは、樹脂、熱膨張性化合物、及び無機フィラーを含有する耐火樹脂層を少なくとも備える。耐火樹脂層は、樹脂、熱膨張性化合物、及び無機フィラーを含有する耐火樹脂組成物から形成される。例えば該耐火樹脂組成物を押出成形することで、耐火樹脂層を形成することができる。
(樹脂)
耐火樹脂層に使用される樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエラストマー樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、及びポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソブチレン等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
エラストマー樹脂としては、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。これら樹脂のうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
耐火樹脂層に含有される樹脂は、上記した中でも、熱可塑性樹脂が好ましい。耐火樹脂層に熱可塑性樹脂を使用すると、押出成形やスラリーなどの塗布により、後述する熱伝導層の上に耐火樹脂層を容易に形成できる。
また、熱可塑性樹脂の中でも、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが好ましい。
これらの中でも、耐火性の観点からはポリ塩化ビニル樹脂が好ましく、熱伝導層との接着性、耐火樹脂層の成形性などの観点からは、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが好ましい。これらの中では、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂がより好ましい。
(ポリ塩化ビニル樹脂)
ポリ塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独重合体であってもよいし、塩化ビニル系共重合体でよい。塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合可能な不飽和結合を有する単量体の共重合体であって、塩化ビニル由来の構成単位を50質量%以上含有する。
塩化ビニルと共重合可能な不飽和結合を有する単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリロニトリル、スチレン等の芳香族ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
また、ポリ塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル系共重合体などを塩素化したポリ塩素化塩化ビニル樹脂でもよい。
ポリ塩化ビニル樹脂は、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、非架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン−酢酸ビニルの加水分解物などのようなエチレン−酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が好ましく10〜50質量%、より好ましくは25〜45質量%である。酢酸ビニル含量をこれら下限値以上とすることで、基材への接着性が高くなる。また、酢酸ビニル含量をこれら上限値以下とすることで、耐火樹脂層の破断強度などの機械強度が良好となる。
(熱膨張性化合物)
耐火樹脂層に使用される熱膨張性化合物は、加熱時に膨張する従来公知の物質であり、熱膨張性黒鉛、亜リン酸アルミニウム、及びバーミキュライトからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、中でも熱膨張性黒鉛がより好ましい。
熱膨張性化合物としては、粒子状やりん片状のものを用いてもよい。熱膨張性化合物は、加熱されることで膨張して大容量の空隙を形成するため、耐火シートに着火した場合に延焼を抑制したり、消火したりする。
熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては濃硝酸、過硫酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和処理してもよい。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。膨張性黒鉛の粒度が前記範囲内であると、膨脹して大容量の空隙を作りやすくなるため耐火性が向上する。また、樹脂への分散性も向上する。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比の上限は特に限定されないが、熱膨張性黒鉛の割れ防止の観点から、1,000以下であることが好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比が2以上であることにより、膨張して大容量の空隙を作りやすくなるため難燃性が向上する。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、10個の熱膨張性黒鉛について、それぞれ最大寸法(長径)及び最小寸法(短径)測定し、最大寸法(長径)を最小寸法(短径)で除した値の平均値を平均アスペクト比とする。熱膨張性黒鉛の長径及び短径は、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて測定することができる。
熱膨張性化合物の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば10質量部以上500質量部以下である。10質量部以上とすることで、耐火シートに適切な耐火性、消火性能を付与できる。また、500質量部以下とすると、耐火樹脂層に一定割合以上の樹脂を含有させることができるので、耐火樹脂層の樹脂中に熱膨張性化合物を適切に分散させることが可能になる。そのため、成形性が良好となり、さらには、熱伝導層に対する接着性も良好となる。
熱膨張性化合物の含有量は、樹脂100質量部に対して、耐火性、消火性能を向上させる観点から、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。また、上記熱膨張性化合物の含有量は、樹脂100質量部に対して、成形性、分散性の観点から、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下であり、さらに好ましくは100質量部以下である。
耐火シートにおける耐火樹脂層は、上記した通り熱膨張性化合物を含有するため、加熱時に膨張して、膨張断熱層を形成する。耐火シートの膨張倍率は、火や熱の流路となる空間を閉塞して延焼を抑制する観点から、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上である。
耐火シートの膨張倍率は、幅100mm、長さ100mmの耐火シートを、600℃で30分加熱し、加熱後の耐火シートの厚さを加熱前の耐火シートの厚さで除することにより求めることができる。
(無機フィラー)
耐火樹脂層は、無機フィラーを含有する。無機フィラーは、耐火樹脂層中の樹脂に分散して含まれる。
耐火樹脂層に使用される無機フィラーは、後述する熱伝導性フィラー以外のフィラーであり、例えば、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウム等の金属硫酸塩、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、シリカ、珪藻土、ドーソナイト、タルク、カオリン、ドロマイト、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルンなどが好ましい。これらの中でも、炭酸カルシウムが好ましい。
無機フィラーの含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、より好ましくは10〜200質量部、さらに好ましくは30〜150質量部である。無機フィラーの含有量が前記範囲内であると、耐火樹脂層の機械的物性を向上させことができる。
(熱伝導性フィラー)
本発明の耐火樹脂層は、熱伝導性フィラーを含有してもよい。熱伝導性フィラーは、耐火樹脂層を構成する樹脂中に分散していることが好ましい。特に、耐火シートが耐火樹脂層のみから構成される場合は、熱伝導性フィラーを含有することで、耐火シートの面方向の熱伝導率を所望の範囲に調整しやすくなる。
熱伝導性フィラーの熱伝導率は、10W/m・K以上であり、好ましくは15W/m・K以上であり、さらに好ましくは20W/m・K以上である。熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定することができる。
耐火シートの熱伝導率比(λxy/λz)を所望の値とする観点から、熱伝導性フィラーは、アスペクト比が2以上、好ましくは5以上である。このようなアスペクト比を有する熱伝導性フィラーを、シートの面方向に配向させることにより、耐火シートの熱伝導率比(λxy/λz)を調整しやすくなる。例えば、押出成形法、あるいは熱プレス法などにより耐火シートを作製すると、熱伝導性フィラーをシートの面方向に配向させやすくなる。
ここで、アスペクト比とは、フィラーの最大長さの最小長さに対する比(最大長さ/最小長さ)であり、例えば、形状が板状である場合は、フィラーの最大長さの厚みに対する比(最大長さ/厚み)である。アスペクト比は走査型電子顕微鏡で、十分な数(例えば250個)の熱伝導性フィラーを観察して平均値として求めるとよい。
熱伝導性フィラーは、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、銅粉、膨張化黒鉛などが挙げられる。
なお、膨張化黒鉛とは、熱膨張性黒鉛を加熱膨張し、プレスしシート化させ、そのシートを粉砕したものをいう。
熱伝導性フィラーの含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、より好ましくは10〜200質量部、さらに好ましくは30〜150質量部である。熱伝導性フィラーの含有量がこれら下限値以上であると、耐火シートの熱伝導率を高めることができ、熱伝導性フィラーの含有量がこれら上限値以下であると、耐火樹脂層を成形しやすくなる。
(難燃剤)
本発明の耐火樹脂層は、難燃剤を含んでもよい。難燃剤としてはリン原子含有化合物が挙げられる。リン原子含有化合物としては、赤リン、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸金属塩、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム等の亜リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、下記一般式(1)で表されるリン系化合物等が挙げられる。これらリン含有化合物を使用することで、耐火樹脂層に適切な耐火性、消火性能を付与できる。難燃剤は、これら1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2021188013
前記一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜16のアリール基を示す。Rは、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は炭素数6〜16のアリールオキシ基を示す。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
上記した難燃剤の中では、耐火シートの耐火性、消火性能を向上させる観点から、リン酸エステル、亜リン酸金属塩、及びポリリン酸アンモニウムから選択される1種又は2種以上が好ましい。なお、これら3成分は、全てを使用してもよいし、3成分のうち2成分を使用してもよい。複数種の難燃剤を使用することで、効果的に耐火性、消火性能を向上させやすくなる。
難燃剤は、好ましくは、常温(23℃)及び常圧(1気圧)で固体状となるものである。難燃剤の平均粒子径は、1〜200μmが好ましく、1〜60μmがより好ましく、3〜40μmがさらに好ましく、5〜20μmがよりさらに好ましい。難燃剤の平均粒子径が上記範囲内であると、耐火樹脂層を形成するための耐火樹脂組成物中における難燃剤の分散性が向上し、難燃剤を樹脂中に均一に分散させたり、樹脂に対する難燃剤の配合量を多くしたりすることができる。
難燃剤を配合する場合において、難燃剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、より好ましくは10〜200質量部、さらに好ましくは30〜150質量部である。
(可塑剤)
耐火樹脂層は、更に可塑剤を含有してもよい。特に樹脂成分がポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアセタール樹脂である場合、成形性などを向上させる観点から可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤は、一般にポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアセタール樹脂と併用される可塑剤であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のアジピン酸エステル可塑剤、トリー2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイル等が挙げられる。可塑剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の含有量は、樹脂100質量部に対して1〜60質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内であると、耐火樹脂層を形成するための耐火樹脂組成物の成形性が向上する傾向にあり、また耐火樹脂層が柔らかくなり過ぎることを抑制できる。
(その他成分)
本発明における耐火樹脂層は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて上記以外の添加成分を含有させることができる。この添加成分の種類は特に限定されず、各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、例えば、滑剤、収縮防止剤、結晶核剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、分散剤、及び表面処理剤等が挙げられる。添加剤の添加量は成形性等を損なわない範囲で適宜選択でき、添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐火樹脂組成物により形成される耐火樹脂層の厚さは、例えば、2〜5000μm、好ましくは50〜3000μm、より好ましくは100〜2000μm、さらに好ましくは500〜1500μmである。
耐火樹脂層の厚さを下限値以上とすることで、耐火シートに適切な耐火性、消火性能を容易に付与できる。また、上限値以下とすることで、耐火シートの厚さが必要以上に厚くなることを防止し、比較的狭い空間の部材にも適用しやすくなる。なお、上記した耐火樹脂層の厚さは、熱伝導層の両面に設けられる場合は、各耐火樹脂層の厚さを意味する。
本発明における耐火樹脂層は、上記した樹脂、熱膨張性化合物、及び無機フィラーを含有する耐火樹脂組成物から形成される。該耐火樹脂組成物は、必要に応じて、上記した熱伝導性フィラー、難燃剤、可塑剤、その他成分を含有する。耐火樹脂組成物は、これら各成分を、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、及び遊星式撹拌機等の公知の装置を用いて混合することにより得ることができる。
耐火樹脂層は、耐火樹脂組成物を成形することにより製造することができる。具体的には、押出成形、プレス成形、及び射出成形が挙げられ、中でも押出成形が好ましく、単軸押出機、二軸押出機、射出成型機等を用いて成形することができる。
<熱伝導層>
本発明の耐火シートは、上記した耐火樹脂層に加えて、さらに熱伝導層を備えることが好ましい。熱伝導層を備えることで、耐火シートの面方向の熱伝導率λxyを所望の範囲に調整しやすくなる。また、熱伝導層を備えることで熱伝導率が向上するため、耐火樹脂層には必ずしも熱伝導性フィラーを含有させる必要がなくなり、これにより耐火樹脂層の成形性、取り扱い性などが良好になる。
熱伝導層は、グラファイトシート、金属箔、金属メッシュ、及びアルミガラスクロスの少なくともいずれかであることが好ましく、これらの中でも面方向に高い熱伝導率を有しており、面方向の熱伝導性と厚み方向の熱伝導性とに大きく異方性がある材料であるグラファイトシートが好ましい。熱伝導層として、グラファイトシートを用いると、耐火シートを加熱した際の膨張断熱層がより均一になる。
熱伝導層として使用される上記グラファイトシートは、面方向に高い熱伝導率を有しており、面方向の熱伝導性と厚み方向の熱伝導性とに大きく異方性がある材料である。グラファイトシートとしては、天然黒鉛粉末をシート化して得られた天然グラファイトシート、高分子フィルムを熱処理して得られた人工グラファイトシート等が挙げられる。なかでも、薄型で面方向に高い熱伝導性を有するため、人工グラファイトシートが好ましい。
上記人工グラファイトシートは、例えば、高分子フィルムを熱処理して得ることができる。上記高分子フィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾール等からなるフィルムが挙げられる
上記グラファイトシートの市販品として、例えば、カネカ製グラフィニティー、パナソニック製PGSシート等が挙げられる。
熱伝導層として使用される金属箔としては、耐火シートの熱伝導率を所望の範囲に調整できるのであれば、特に限定されないが、銅箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、チタン箔、金箔、及び銀箔から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、銅箔、ステンレス箔などが好ましい。
熱伝導層として使用される金属メッシュとしては、耐火シートの熱伝導率を所望の範囲に調整できるのであれば、特に限定されないが、銅メッシュ、ステンレスメッシュ、アルミニウムメッシュ、チタンメッシュ、金メッシュ、及び銀メッシュから選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でもステンレスメッシュが好ましい。
熱伝導層の厚さは特に制限されないが、好ましくは1〜500μmであり、より好ましくは3〜200μmであり、さらに好ましくは10〜100μmである。熱伝導層の厚さがこれら下限値以上であると、均一な膨張断熱層が形成されやすい耐火シートとなり、熱伝導層の厚さがこれら上限値以下であると、耐火シート全体の厚さを薄くすることができ、取り扱い性が向上する。なお、本明細書において熱伝導層の厚さとは、熱伝導層が耐火樹脂層の両面に設けられる場合は、各熱伝導層の厚さを意味する。
また、上記した熱伝導層の厚さに対する耐火樹脂層の厚さの比(耐火樹脂層の厚さ/熱伝導層の厚さ)は、1〜50であることが好ましく、5〜40であることがより好ましく、10〜35であることがさらに好ましい。厚さの比を上記範囲内とすると、耐火樹脂層と熱伝導層の厚さのバランスが良好となり、耐火シートの厚さを必要以上に大きくすることなく、良好な耐火性、消火性能を得ることができる。
<耐火シートの製造方法>
本発明の耐火シートの製造方法は特に限定されない。耐火樹脂層は、上記したように押出成形などにより耐火樹脂組成物を成形することにより製造することができる。また、耐火樹脂層と熱伝導層とを備える積層体は、例えば熱伝導層の一方又は両方の面上に、耐火樹脂組成物を押出成形して耐火樹脂層を形成させることで製造できる。あるいは、耐火樹脂層と熱伝導層とを別々に用意して、両者を熱ラミネートすることにより製造できる。
<耐火シートの使用方法>
本発明の耐火シートは、一戸建住宅、集合住宅、高層住宅、高層ビル、商業施設、公共施設等の各種の建築物、自動車、電車などの各種車両、船舶、航空機などの各種乗り物に使用できるが、これらの中では建築物に使用されることが好ましい。
耐火シートは、上記建築物、車両、船舶、航空機などを構成する部材に取り付けられて使用される。例えば、建築物では、窓、障子、ドア、戸、ふすま等の建具、柱、鉄骨コンクリート等の壁、床、屋根等に取り付けられて、火災や煙の侵入を低減又は防止することができる。これらの中では、建具に使用することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各物性の測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
<熱伝導率>
ASTM E1461規格に準拠して、レーザーフラッシュ法熱伝導率測定装置(NETZSCH社製 LFA447)により、室温大気中における面方向λxyと厚み方向λzの熱伝導率を測定した。
<膨張倍率>
耐火シートの膨張倍率は、幅100mm、長さ100mmの耐火シートをステンレス製の板(101mm角、厚み0.3mm)の底面に設置し、電気炉に供給して600℃で30分間加熱させた。加熱後の耐火シートの厚さを加熱前の耐火シートの厚さで除することにより、膨張倍率を求めた。
<膨張断熱層の均一性>
上記した膨張倍率を測定した試料について、耐火樹脂層が加熱されることで形成された膨張断熱層の厚さを100点均等に測定した。そして、該100点の測定値の標準偏差σを求めて、膨張断熱層の均一性を評価した。なお、標準偏差の値が低いほど均一性に優れていること意味する。
S・・標準偏差2以下
A・・標準偏差2超3以下
B・・標準偏差3超4以下
C・・標準偏差4超
実施例、比較例で使用した各成分は以下のとおりである。
<樹脂>
PVC:ポリ塩化ビニル樹脂、商品名「TKシリーズ」、信越化学社製
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、商品名「エバフレックス」、三井デュポンケミカル社製、酢酸ビニル含量40質量%
<可塑剤>
DIDP:ジイソデシルフタレート
<無機フィラー>
炭酸カルシウム:ホワイトンBF−300 備北粉化株式会社
<熱膨張性化合物>
熱膨張性黒鉛:ADT501:商品名「ADT−501」、ADT社製、平均アスペクト比25.2
亜リン酸アルミニウム:APA100、太平化学産業社製、平均粒子径42μm
バーミキュライト:あかぎ園芸 バーミキュライト細粒
<熱伝導性フィラー>
窒化ホウ素 UHP−2、昭和電工株式会社製、熱伝導率(λ)=100W/m・K、アスペクト比=30
水酸化アルミニウム BF013、日本軽金属株式会社製、熱伝導率(λ)=10W/m・K、アスペクト比=2
アルミナ A11、日本軽金属株式会社製、熱伝導率(λ)=15W/m・K、アスペクト比=10
膨張化黒鉛:BSP−5A、富士黒鉛工業株式会社製 熱伝導率(λ)=1500W/m・K、アスペクト比=15
<熱伝導層>
実施例、比較例で使用した熱伝導層は以下のとおりである。
グラファイトシート:GD−040、ロジセスジャパン株式会社製 面方向の熱伝導率=1300W/m・k、厚さ方向の熱伝導率=10W/m・k
銅箔:F3−WS、古川電気工業株式会社製 面方向の熱伝導率=375W/m・k、厚さ方向の熱伝導率=375W/m・k
ステンレス箔:SUS304−H、竹内金属箔工業株式会社製 面方向の熱伝導率=20W/m・k、厚さ方向の熱伝導率=20W/m・k
アルミニウム箔:A1N30H−H18、竹内金属箔工業株式会社製 面方向の熱伝導率=230W/m・k、厚さ方向の熱伝導率=230W/m・k
チタン箔:TR270C−H、竹内金属箔工業株式会社製 面方向の熱伝導率=10W/m・k、厚さ方向の熱伝導率=10W/m・k
金箔:GLS−001、株式会社中川ケミカル社製 面方向の熱伝導率=320W/m・k、厚さ方向の熱伝導率=320W/m・k
銀箔:Ag−H、竹内金属箔工業株式会社製 面方向の熱伝導率=430W/m・k、厚さ方向の熱伝導率=430W/m・k
ステンレスメッシュ:E9124、株式会社久宝金属製作所製 面方向の熱伝導率=15W/m・k、厚さ方向の熱伝導率=10W/m・k
アルミガラスクロス:ALGCV、カンボウプラス株式会社製 面方向の熱伝導率=1W/m・k、厚さ方向の熱伝導率=0.5W/m・k
[実施例1〜12]
表1に記載した配合を有する耐火樹脂組成物を、一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して表1に記載の熱伝導層の一方の面に積層することで、耐火樹脂層を形成して、耐火シートを得た。各結果を表1に示した。
[実施例13〜19]
表2に記載した配合を有する耐火樹脂組成物を、一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して耐火樹脂層を形成し、該耐火樹脂層からなる耐火シートを得た。各結果を表1に示した。
[実施例20〜31]
表3に記載した配合を有する耐火樹脂組成物を、一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して耐火樹脂層を得た。次いで、耐火樹脂層の両面に表3に記載の熱伝導層を熱ラミネート(100℃)して、耐火樹脂層の両面に熱伝導層を有する耐火シートを得た。各結果を表3に示した。
[実施例32〜実施例43]
表4に記載した配合を有する耐火樹脂組成物を、一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して、表4に記載の熱伝導層の両面に積層することで、熱伝導層の両面に耐火樹脂層を有する耐火シートを得た。各結果を表4に示した。
[比較例1〜3]
表4に記載した配合を有する耐火樹脂組成物を、一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して、耐火樹脂層からなる耐火シートを得た。各結果を表4に示した。
Figure 2021188013

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Figure 2021188013

Figure 2021188013
本発明の耐火シートは、面方向の熱伝導率λxyが一定以上であるため、均一な膨張断熱層が形成された。そのため、本発明の耐火シートは、火や熱の流路となる空間を閉塞して、延焼を防止しやすく耐火性能に優れることが分かった。
これに対して、比較例の耐火シートは、面方向の熱伝導率λxyが低く、均一な膨張断熱層が形成されなかった。そのため、実施例の耐火シートと比較して、耐火性能に劣ることが分かった。
13 耐火樹脂層
14 熱伝導層
S1〜S4 耐火シート

Claims (9)

  1. 樹脂、熱膨張性化合物、及び無機フィラーを含有する耐火樹脂層を少なくとも備え、面方向の熱伝導率λxyが0.5W/m・K以上である、耐火シート。
  2. 厚み方向の熱伝導率λzに対する面方向の熱伝導率λxyの熱伝導率比(λxy/λz)が1以上である、請求項1に記載の耐火シート。
  3. 前記熱膨張性化合物が、熱膨張性黒鉛、亜リン酸アルミニウム、及びバーミキュライトからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の耐火シート。
  4. 前記耐火樹脂層が、さらに熱伝導性フィラーを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の耐火シート。
  5. さらに熱伝導層を備える積層体である、請求項1〜4のいずれかに記載の耐火シート。
  6. 前記積層体が、前記耐火樹脂層と、前記耐火樹脂層の一方の面に設けられた前記熱伝導層とを備えたものである、請求項5に記載の耐火シート。
  7. 前記積層体が、前記耐火樹脂層と、前記耐火樹脂層の両面に設けられた熱伝導層とを備えたものである、請求項5に記載の耐火シート。
  8. 前記積層体が、前記熱伝導層と、前記熱伝導層の両面に設けられた前記耐火樹脂層とを備えたものである、請求項5に記載の耐火シート。
  9. 前記熱伝導層が、グラファイトシート、金属箔、金属メッシュ、及びアルミガラスクロスから選択される少なくともいずれかである、請求項5〜8のいずれかに記載の耐火シート。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023163133A1 (ja) * 2022-02-25 2023-08-31 積水化学工業株式会社 積層体

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