JP2018053593A - 形鋼連結方法及び仮止め部材 - Google Patents

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友香 松井
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Abstract

【課題】仮止めを含む建造物の施工作業において形鋼間の連結作業を効率的に行う。【解決手段】形鋼連結方法は、複数の仮ボルト5bを有する仮ボルトプレート5によって隣接する梁2とスプライスプレート3a,3bとを仮止めする仮止め工程を有する。仮止め工程では、プレート本体5aと、プレート本体5aに一体的に形成され、螺子部5bbがプレート本体5aから同じ向きに突出する複数の仮ボルト5bと、を有する仮ボルトプレート5を用いて、本ボルト7aが通されるスプライスプレート3a,3bの挿通孔及び梁2の挿通孔以外のスプライスプレート3a,3bの挿通孔及び梁2の挿通孔に仮ボルト5bを通して仮止めする。【選択図】図8

Description

本発明は、形鋼連結方法及び仮止め部材に係り、特に、建入れ調整の前に仮止めを行う形鋼連結方法、及び仮止めを行うための仮止め部材に関する。
住宅などの建造物に設けられた柱又は梁を構成する形鋼間を連結するものとして、スプライスプレートが一般的に用いられている。
例えば、特許文献1には、H形鋼の内隅角のアールに添うように取り付けられたスプライスプレート(同文献には、接合部材と記載されている。)が開示されている。
特開平7−62752号公報
鉄骨の柱及び梁から成る構築材の建入れ調整を行う場合には、低強度の仮ボルトによってスプライスプレートと隣接する形鋼とを締結した状態で建入れ調整をした後に、仮ボルトを取り外して、高強度の本ボルトによりこれらを本締めする施工が一般的になされている。
このような施工の際には、スプライスプレート及び隣接する形鋼に形成された挿通孔に、複数の仮ボルトを挿入して建入れ調整をした後に、これらの抜き出しをしなければならなかった。特許文献1に記載されたスプライスプレートを用いた場合にも、このような作業を行わなければならず、手間がかかっていた。特に高所においては、作業者の移動の自由、及び仮ボルトを置く場所も制限されるため、複数の仮ボルトを差し込み、抜き出しをする作業は困難であった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、仮止めを含む建造物の施工作業において形鋼間の連結作業を効率的に行うことにある。
上記課題は、本発明の形鋼連結方法によれば、隣接する形鋼を突合せ状態で連結する形鋼連結方法であって、前記隣接する形鋼間にスプライスプレートを架け渡して配置する配置工程と、該配置工程後に、複数の仮ボルトを有する仮止め部材によって前記隣接する形鋼と前記スプライスプレートとを仮止めする仮止め工程と、該仮止め工程の後に、前記隣接する形鋼によって構成される建造物構築材の建入れの調整を行う建入調整工程と、該建入調整工程の後に、本ボルトによって前記隣接する形鋼と前記スプライスプレートとを締結する本締め工程と、該本締め工程の後に、前記仮止め部材を前記隣接する形鋼及び前記スプライスプレートから取り外す取り外し工程と、を有し、前記配置工程では、前記隣接する形鋼に形成された複数の第1挿通孔に、前記スプライスプレートの複数の第2挿通孔を重ね合わせるように、前記スプライスプレートを前記隣接する形鋼に配置し、前記仮止め工程では、本体と、該本体に一体的に形成され、螺子部が前記本体から同じ向きに突出する前記複数の仮ボルトと、を有する前記仮止め部材を用いて、前記本ボルトが通される前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔以外の前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔に前記仮ボルトを通して仮止めすることにより、解決される。
上記構成によれば、建入調整時に、形鋼とスプライスプレートとの間で位置ずれを所定の量に制限するために仮止めする必要があるところ、スプライスプレートと形鋼との仮止めの際に、複数の仮ボルトが本体に一体的に形成された仮止め部材を用いることで、仮止め工程において、形鋼とスプライスプレートとに対して複数の仮ボルトを一度に仮止めでき、その後、取り外し工程において当該複数の仮ボルトを一度に取り外すことができる。したがって、形鋼とスプライスプレートとに対して個別に仮ボルトを仮止め、取り外しする手間が省け、形鋼間の連結作業を効率的に行うことができる。
また、前記仮止め工程では、前記本体に切欠きが形成された前記仮止め部材を用い、前記本締め工程では、前記仮止め部材における前記切欠きの縁によって形成されたスペース内を前記本ボルトの頭部が通るように、前記本ボルトを前記仮止め部材に通し、前記取り外し工程では、前記本ボルトで前記隣接する形鋼と前記スプライスプレートとを締結したままで、前記仮止め部材を取り外すと好ましい。
上記構成によれば、本ボルトの頭部が通る大きさのスペースを形成する切欠きが仮止め部材に形成されていることで、本ボルトを締結したまま、仮止め部材を取り外すことができ、形鋼間の連結作業を効率的に行うことができる。
また、前記取り外し工程の後に、前記形鋼及び前記スプライスプレートにおける、前記仮ボルトが通されていた前記複数の第1挿通孔及び前記複数の第2挿通孔の少なくとも一部に、前記本ボルトによって前記形鋼と前記スプライスプレートを締結する追加本締め工程を備えると好ましい。
上記構成によれば、追加本締め工程を備えることによって、形鋼とスプライスプレートとをより強固に連結することができる。
また、前記形鋼及び前記スプライスプレートを連通するように、前記形鋼に第1貫通孔、前記スプライスプレートに第2貫通孔が形成されており、前記仮止め部材の前記本体には調整孔が形成されており、前記仮止め工程において、前記調整孔が前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に連通するように、前記仮止め部材を前記スプライスプレートに取り付け、前記建入調整工程の後に、連通する前記調整孔、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に芯合わせ部材を挿し込むことで、前記本ボルトによって前記隣接する形鋼と前記スプライスプレートとを締結する位置を調整する位置調整工程を備えると好ましい。
上記構成によれば、調整孔に芯合わせ部材を挿し込むことによって、本ボルトが挿通しやすくなるように、スプライスプレートと形鋼との相対位置を調整することができる。
また、上記課題は、本発明の仮止め部材によれば、本体と、該本体と一体的に形成されて、螺子部の少なくとも一部が前記本体から同じ向きに突出する複数の仮ボルトと、を有し、前記本体には、スプライスプレートと形鋼との本締めに用いられる本ボルトを通す切欠きが形成されていることによって解決される。
上記構成によれば、スプライスプレートと形鋼との仮止めの際に、複数の仮ボルトが本体に一体的に形成された仮止め部材を用いることで、仮止め工程において、形鋼とスプライスプレートとに対して複数の仮ボルトを一度に仮止めでき、その後取り外し工程において当該複数の仮ボルトを一度に取り外すことができる。よって、形鋼とスプライスプレートとに対して個別に仮ボルトを仮止め、取り外しする手間が省ける。さらに、本ボルトの頭部が通る大きさのスペースを形成する切欠きが仮止め部材に形成されていることで、本ボルトを締結したまま、仮止め部材を取り外すことができるため、形鋼間の連結作業を効率的に行うことができる。
本発明によれば、形鋼間の連結作業を効率的に行うことができる。
また、本発明によれば、形鋼とスプライスプレートとをより強固に連結することができる。
また、本発明によれば、スプライスプレートと形鋼との相対位置を調整することができる。
本発明の実施形態に係る建造物構築材の一部を示す模式図である。 仮ボルトプレートを示す斜視図である。 隣接する梁の連結方法の作業工程を示す図である。 突合せられた状態の梁を示す斜視図である。 突合せられた梁の上側のフランジに跨るように、スプライスプレートが配置された状態を示す斜視図である。 スプライスプレートの上面に仮ボルトプレートが取り付けられた状態を示す斜視図である。 突合せられた梁の下側のフランジに跨るように、スプライスプレート及び仮ボルトプレートが配置されて取り付けられた状態を示す斜視図である。 仮ボルトプレートの受入孔に本ボルトが通されて、スプライスプレートとフランジとが締結された状態を示す斜視図である。 スプライスプレートから仮ボルトプレートが取り外された状態を示す斜視図である。 スプライスプレートにおける仮ボルトが通されていた挿通孔に本ボルトが通されて、スプライスプレートとフランジとが締結された状態を示す斜視図である。 変形例に係る形鋼連結方法の作業工程を示す図である。 シノによって、梁とスプライスプレートの位置を調整する作業を説明する説明図である。 仮ボルトプレートを示す平面図である。 他の変形例に係る仮ボルトプレートを示す平面図である。 他の変形例に係る仮ボルトプレートを示す平面図である。 他の変形例に係る仮ボルトプレートを示す平面図である。
本発明は、建造物の柱又は梁に用いられる形鋼の仮止めに用いられる仮止め部材、及び仮止め部材を用いた形鋼連結方法に関するものである。
以下に、本発明の実施形態に係る形鋼連結方法及び仮止め部材について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には各実施形態、変形例に係る特徴を組み合わせたもの、その等価物が含まれることは勿論である。
[スプライスプレートの配設箇所について]
まず、図1を主に参照して、本実施形態に係る仮止め部材としての仮ボルトプレート5の取付部位について説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係る建造物構築材1の一部を示す模式図である。また、図1においては、ボルト・ナットを省略して示している。
建造物構築材1は、複数の梁2と、複数の柱4とを備えて構成されている。本実施形態における梁2及び柱4は、本発明に係る形鋼に相当し、一対のフランジ2a及びウェブ2bからなるH形鋼である。
詳細には、梁2のフランジ2aの端部には、後述する仮ボルト5bの頭部5ba又は本ボルト7aの頭部7aa以外の螺子部5bb側又は螺子部7ab側を通すための図4に示す2行2列、計4つの挿通孔20が、上下のフランジ2aのそれぞれに厚さ方向に貫通して形成されている。この挿通孔20は、第1挿通孔及び第1貫通孔に相当するものである。
同様に、図4に示すように、梁2のウェブ2bの端部には、後述するボルト31における頭部以外を通す上下に配された2つの挿通孔21が、ウェブ2bの厚さ方向に貫通して形成されている。
そして、隣接する梁2同士、及び隣接する柱4同士は、スプライスプレート3a,3b,3c,3d,3eによって連結されている。
詳細には、隣接する梁2のフランジ2aにおける上下方向の外側の面には、この面に跨るようにそれぞれ1枚のスプライスプレート3aが取り付けられている。
同様に、隣接する梁2のフランジ2aにおける上下方向の内側の面には、この面に跨るように、ウェブ2bを挟んで2枚のスプライスプレート3bが取り付けられている。
そして、隣接する梁2のウェブ2bの両面にも、これらの面に跨るようにスプライスプレート3cが取り付けられている。
なお、隣接する柱4にも、隣接する梁2に係る構成と同様の構成で、スプライスプレート3d,3e,3fが取り付けられている。
例えば、スプライスプレート3aには、図5に示すように、2行4列、計8つの挿通孔30が形成されている。同様に、スプライスプレート3bには、図7に示すように、長尺方向に並んで挿通孔30Xが形成されている。
この挿通孔30,30Xは、第2挿通孔及び第2貫通孔に相当し、隣接する梁2のフランジ2aに形成された挿通孔20と略同じ径、間隔で形成されている。このように、挿通孔20及び挿通孔30,30Xが形成されていることで、挿通孔20の延長上に挿通孔30,30Xが位置するように、隣接するフランジ2aに跨らせてスプライスプレート3a,3bを取り付け可能となる。そして、挿通孔20,30Xに後述する本ボルト7aを通すことによって、隣接する梁2のフランジ2a同士が連結されることとなる。
このようにして、スプライスプレート3a,3b,3c,3d,3e及び後述する本ボルト7a及びボルト31によって、隣接する梁2同士、及び隣接する柱4同士は連結されている。
[仮ボルトプレートについて]
本実施形態に係る仮ボルトプレート5は、後述する建造物構築材1の建入れ調整の前に、スプライスプレート3a,3b,3c,3d,3eと隣接する梁2間、又は隣接する柱4間の仮止めに用いられる部材である。
仮ボルトプレート5は、図2に示すように、本発明に係る本体としてのプレート本体5aと、プレート本体5aの四隅に溶接接合されて一体的に形成された4本の仮ボルト5bと、から主に構成されている。
プレート本体5aは、長方形状の板から成り、プレート本体5aにおける、四隅に形成された仮ボルト5bよりも長尺方向内側には、2行2列の計4つの断面円形の受入孔5cが厚さ方向に貫通して形成されている。この受入孔5cは、本発明に係る切欠きに相当し、後述する本ボルト7aを受け入れる貫通孔である。この受入孔5cが仮ボルトプレート5に形成されていることで、本ボルト7aは仮ボルトプレート5に通って、スプライスプレート3a,3bとフランジ2aとを締結することが可能となる。特に、受入孔5cは、後述する本ボルト7aの頭部7aaよりも大きな径で形成されている
4本の仮ボルト5bは、頭部5baと螺子部5bbとから形成されている。頭部5baは、プレート本体5aの一の面から突出しており、螺子部5bbは、プレート本体5aにおける一の面の逆の面から突出しており、それぞれ同じ向きに突出して形成されている。なお、仮ボルト5bは、プレート本体5aに溶接接合されているものとして説明したが、このような形態に限定されず、鋳造によって一体的に形成されていてもよい。
[仮ボルトプレートを用いた隣接する梁の連結方法について]
次に、仮ボルトプレート5を用いた隣接する梁2の連結方法について、図3〜図10を参照して説明する。
なお、図3は、隣接する梁2の連結方法の作業工程を示す図、図4は、突合せられた状態の梁2を示す斜視図、図5は、突合せられた梁2の上側のフランジ2aに跨るように、スプライスプレート3a,3bが配置された状態を示す斜視図である。
また、図6は、スプライスプレート3a,3bの上面に仮ボルトプレート5が取り付けられた状態を示す斜視図、図7は、突合せられた梁2の下側のフランジ2aに跨るように、スプライスプレート3a,3b及び仮ボルトプレート5が配置されて取り付けられた状態を示す斜視図である。
また、図8は、仮ボルトプレート5の受入孔5cに本ボルト7aが通されて、スプライスプレート3a,3bとフランジ2aとが締結された状態を示す斜視図、図9は、スプライスプレート3a,3bから仮ボルトプレート5が取り外された状態を示す斜視図である。
また、図10は、スプライスプレート3a,3bにおける仮ボルト5bが通されていた挿通孔30,30Xに本ボルト7aが通されて、スプライスプレート3a,3bとフランジ2aとが締結された状態を示す斜視図である。
まず、図3を参照して隣接する梁2を突合せ状態で連結する形鋼連結方法に係る全体の流れについて説明する。また、以下において隣接する梁2の連結方法について説明するが、いうまでもなく隣接する柱4の連結方法にも適用可能である。
まず、作業者は、配置工程として、図4に示すように隣接する梁2を突合せた後、図5に示すように、隣接する梁2に跨るように、スプライスプレート3a,3b,3cを架け渡して配置する(ステップS01)。
具体的には、作業者は、スプライスプレート3aを、隣接する梁2における上部のフランジ2aに跨るように、フランジ2aの上面上に配設する。このとき、作業者は、隣接する梁2のフランジ2aに4つずつ、計8つ形成された挿通孔20に、スプライスプレート3aの8つの挿通孔30が重ね合わさるようにスプライスプレート3aを配設する。
また、作業者は、2枚のスプライスプレート3bを、隣接する梁2における上部のフランジ2aに跨る位置、かつ、フランジ2aの下面に当接する位置に、ウェブ2bを挟んだ両側のそれぞれの位置に配設する。このとき、作業者は、隣接する梁2のフランジ2aの片側に2つずつ、計4つ形成された挿通孔20に、スプライスプレート3bの4つの挿通孔30が重ね合わさるように、2枚のスプライスプレート3bを配設する。
さらに、作業者は、スプライスプレート3cを、隣接する梁2のウェブ2bを跨るようにウェブ2bに当接する位置に配設して、2本のボルト31を対角線上にある2つの挿通孔30Yに通してウェブ2bに固定する。このとき、作業者は、隣接する梁2のウェブ2bの片側に2つずつ形成された挿通孔21に、スプライスプレート3cの4つの挿通孔30Yが重ね合わさるように、スプライスプレート3cを配設する。
次に、図6に示すように、作業者は、仮止め工程において、仮ボルトプレート5を、スプライスプレート3aの上面に取り付ける。このとき、仮ボルト5bの螺子部5bb側が、スプライスプレート3aの挿通孔30、フランジ2aの挿通孔20、スプライスプレート3bの挿通孔30Xを通って、スプライスプレート3bの下方に螺子部5bbが露出する。特に、仮ボルト5bは、後の工程で本ボルト7aが通される挿通孔30,20,30X以外の挿通孔30,20,30Xに通される。
具体的に本実施形態においては、仮ボルト5bは、スプライスプレート3aの中央側に形成された4つの挿通孔30、フランジ2aの中央側に形成された4つの挿通孔20、及び2枚のスプライスプレート3bの中央側に形成されたそれぞれ2つの挿通孔30X以外のそれぞれの端部側にある挿通孔30,20,30Xに通される。
そして、作業者は、スプライスプレート3bの下方から突出する4本の仮ボルト5bにナット5dを締め込むことによって、隣接するフランジ2aとスプライスプレート3a,3bとを締結して仮止めする(ステップS02)。
図7に示すように、作業者は、梁2の下側のフランジ2aについても同様に、スプライスプレート3a,3bを配設し、仮ボルトプレート5及びナット5dによって、フランジ2aとスプライスプレート3a,3bとを締結して仮止めする(ステップS02)。
この作業においては、仮ボルトプレート5のプレート本体5aに4本の仮ボルト5bが一体的に形成されているため、スプライスプレート3a,3b及びフランジ2aに仮ボルト5bを容易に通すことが可能である。
具体的には、挿通孔30を仮ボルト5bが通るスプライスプレート3aの所定の位置に仮ボルトプレート5をあてがうのみで、4本の仮ボルト5bを、スプライスプレート3a,3bの挿通孔30,30X及びフランジ2aの挿通孔20に一度に差し込むことが可能となる。
次に、作業者は、建入調整工程として、隣接する梁2、柱4等によって構成される建造物構築材1の建入れの調整を行う(ステップS03)。なお、フランジ2aの挿通孔20、ウェブ2bの挿通孔21、及びスプライスプレート3a,3b,3cの挿通孔30,30X,30Yのそれぞれの一部には、仮ボルト5b又はボルト31が通されていない。このため、隣接する梁2間は、若干の位置ずれが可能となっており、建入れ調整を阻害しない構成となっている。
次に、作業者は、本締め工程として、図8に示すように、梁2の上下にあるフランジ2aそれぞれにおいて、仮ボルトプレート5の受入孔5cの内縁に囲まれたスペース、及び当該スペースに連通する、スプライスプレート3a,3bの挿通孔30,30X及びフランジ2aの挿通孔20に本ボルト7aを通してナット7bで本締めを行う(ステップS04)。上記のように、仮ボルトプレート5に形成された受入孔5cは、本ボルト7aの頭部7aaよりも大きな径で形成されている。このため、受入孔5cを通った本ボルト7aの頭部7aaが、スプライスプレート3aに当接した状態で本締めがされることとなる。
このように、建入れ調整後に本ボルト7aによって本締めを行うことで、建造物構築材1の建付け状態を確定することができる。
次に、図9に示すように、作業者は、取り外し工程として、仮ボルト5bからナット5dを外して、仮ボルトプレート5をスプライスプレート3a,3b及びフランジ2aから取り外す(ステップS05)。
上記のように、仮ボルトプレート5に形成された受入孔5cは、本ボルト7aの頭部7aaよりも大きな径で形成されている。このため、作業者が仮ボルトプレート5をスプライスプレート3a,3b及びフランジ2aから取り外す際に、本ボルト7aの頭部7aaが仮ボルトプレート5の取り外しの妨げにならない。つまり、作業者は、本ボルト7aがスプライスプレート3a,3bと隣接するフランジ2aとを締結している状態を維持したまま、仮ボルトプレート5を取り外すことができ、作業を効率よく行うことができる。
次に、図10に示すように、作業者は、追加本締め工程として、仮ボルト5bが挿通されていたスプライスプレート3a,3bの四隅の挿通孔30,30X、及びフランジ2aの挿通孔20に、本ボルト7aを通してナット7bで締結することによって追加本締めを行う(ステップS06)。このように、仮ボルト5bが挿通されていた孔に本ボルト7aを通して追加本締めすることによって、隣接する梁2間の取付強度を高められることができ、建造物構築材1の建付け状態をより安定させることができる。
建入調整が必要な場合には、隣接する梁2や柱4とスプライスプレート3a,3b,3cとの間で位置ずれを所定の量に制限するために仮止めする必要がある。
上記のように、作業者は、複数の仮ボルト5bが一体的に形成された仮ボルトプレート5を用いることで、仮止め工程において、スプライスプレート3a,3b及びフランジ2aに対して、仮ボルト5bを一度に差し込んで仮止めできる。そして、作業者は、取り外し工程において、複数の仮ボルト5bが一体的に形成された仮ボルトプレート5により、スプライスプレート3a,3b及びフランジ2aから複数の仮ボルト5bを一度に取り去ることが可能となる。したがって、複数の仮ボルト5bを個別に抜き差しする従来の作業と比較して作業効率を高めることができる。
なお、追加本締め工程(ステップS06)については、例えば、本実施形態の中央の4本の本ボルト7aによって、所望の取付強度を確保できる場合には不要である。特に、中央の本ボルト7aが4本ではなく、さらに多くの本数の本ボルト7aによってスプライスプレート3a,3bとフランジ2aとが締結されている場合に、この工程が不要になることが想定される。
<変形例>
上記実施形態において、仮ボルトプレート5には、4本の仮ボルト5bをプレート本体5aの四隅に一体的に備えるものとして説明したが、本発明は、このような構成に限定されない。
次に、図11及び図12を参照して、変形例に係る仮ボルトプレート6、並びに仮ボルトプレート6及びシノ8を用いた形鋼連結方法について説明する。ここで、図11は、変形例に係る形鋼連結方法の作業工程を示す図、図12は、シノ8によって、梁2とスプライスプレート3a,3bの位置を調整する作業を説明する説明図である。
なお、以下の説明において、上記実施形態と同じ構成については、同じ符号・名称を用いてその説明を省略し、相違点を明確にする。
図11に示す変形例に係る形鋼連結方法の作業工程のうち、ステップS11〜S13については、ステップS01〜S03と略同じであり、ステップS15〜S17については、ステップS04〜S06と略同じであるため、その説明を省略する。
本変形例に係る形鋼連結方法は、建入れ調整(ステップS13)の後に、梁2とスプライスプレート3a,3bの位置を調整する工程(ステップS14)を備える。
この位置の調整おいては、図12に示すように、プレート本体5aの平面視における長方形の四隅のうち、一組の対角部分にのみ仮ボルト5bが形成された仮ボルトプレート6、及び芯合わせ部材であるシノ8を用いる。
仮ボルトプレート6は、プレート本体5aの一組の対角部分に計2本の仮ボルト5bが一体的に形成されており、他の一組の対角部分に計2つの調整孔6eが形成されている。この調整孔6eは、スプライスプレート3a,3bの挿通孔30、30X、及びフランジ2aの挿通孔20と略同じ内径を有する。
仮止め工程において、作業者は、スプライスプレート3a,3bの挿通孔30、30X、及びフランジ2aの挿通孔20のそれぞれの一部に、2つの調整孔6eが連通するように仮ボルトプレート6を取り付ける。
そして、建入れ調整後に、作業者は、位置調整工程として、仮ボルトプレート6の調整孔6e、第2貫通孔としての挿通孔30,30X及び第1貫通孔としての挿通孔20にシノ8を差し込んで、仮ボルトプレート6及びスプライスプレート3a,3bと、梁2との相対的な位置の調整を行う。このように位置調整を行うことで、後の追加本締め工程において、本ボルト7aの差し込みが容易になるように、それぞれの孔位置を調整することができる。
<他の変形例>
[仮ボルトプレートの形状について]
仮ボルトプレート5は、図13に示すように断面円形の受入孔5cを有するものとして説明したが、本発明に係る仮止め部材は、本ボルト7aを差し込み、取り出すことが可能であれば、このような形状の孔を有するものに限定されない。仮止め部材の他の変形例に係る仮ボルトプレート10,11,12について図14〜図16を参照して説明する。
なお、図14、図15及び図16は、他の変形例に係る仮ボルトプレート10,11,12のそれぞれを平面図である。
図14に示す仮ボルトプレート10は、プレート本体10aにおける四隅の仮ボルト5bの間に、プレート本体10aの長尺方向に沿って長尺に延在し、仮ボルトプレート10の幅方向に並んで設けられた2つの受入孔10cを有する。この受入孔10cは、本発明の切欠きに相当し、本締めの工程(ステップS15)で取り付けられる本ボルト7aのうち、長尺方向に隣接して組を成す二組の本ボルト7aの頭部7aaを通すことが可能なスペースを、受入孔10cの内縁の内側に形成している。
また、図15に示す仮ボルトプレート11は、プレート本体11aが平面視において略H形状を成すように、長尺方向における中央部に、短尺方向の両側が凹んで形成された受入凹部11cを有する。この受入凹部11cは、本発明の切欠きに相当し、受入孔10cと同様に、本締めの工程(ステップS15)で取り付けられる本ボルト7aの頭部7aaを通すことが可能なスペースを形成している。具体的には、受入凹部11cは、本締めの工程で取り付けられる本ボルト7aのうち、長尺方向に隣接して組を成す二組の本ボルト7aの頭部7aaを通すことが可能なスペースを、受入凹部11cの縁の短尺方向外側に形成している。
また、図16に示す仮ボルトプレート12は、プレート本体12aにおける四隅の仮ボルト5bの間に、プレート本体10aの長尺方向に沿って長尺に延在する受入孔12cを有する。この受入孔12cは、本発明の切欠きに相当し、本締めの工程(ステップS15)で取り付けられる4本の本ボルト7aの頭部7aaを通すことが可能なスペースを、受入孔12cの内縁の内側に形成している。
上記実施形態においては、隣接する梁2のフランジ2a間の連結方法及びその連結に用いられる仮ボルトプレートについて説明したが、本発明は、梁2のフランジ2a間の連結方法及びその連結に用いられる仮ボルトプレートに限定されない。
例えば、フランジ2a間ではなく、ウェブ2b間、つまり、ウェブ2bに取り付けられるスプライスプレート3cに重ねるように、仮ボルトプレートを用いるようにしてもよい。さらには、隣接する柱4のフランジ間、ウェブ間に仮ボルトプレートを用いるようにしてもよい。
また、仮ボルトプレートを取り付ける対象としては、H形鋼の梁2であるものとして説明したが、L形鋼から成るものであってもよい。
また、仮ボルトの本数は少なくとも2本以上であれば何本でもよい。2本の場合には、図12に示す構成のように、プレート本体の四隅のうち、プレート本体の対角線上にある隅の近傍に設けられていると好ましい。このようにすれば、仮止め箇所の間隔を長く確保でき、位置制御の正確性を確保しやすいためである。
仮止め部材には、頭部を有するボルトを一体的に有しているが、頭部を有しているものに限定されず、頭部のないスタットボルトであってもよい。さらには、仮止め部材が、プレート本体に一体的に形成された仮ボルトを備えるものとして説明したが、梁の位置を所定の位置に留めることができれば、螺子部を有するボルトである必要はない。例えば、梁2の上方のスプライスプレートに取り付けられる仮止め部材であって、スプライスプレートから建入れ調整の際に抜け落ちる可能性がなければ、螺子部を有するボルトに限定されずピンを備える仮止め部材であってもよい。
1 建造物構築材
2 梁(形鋼)
2a フランジ
2b ウェブ
3a,3b,3c,3d,3e,3f スプライスプレート
4 柱(形鋼)
5 仮ボルトプレート(仮止め部材)
5a プレート本体(本体)
5b 仮ボルト
5ba 頭部
5bb 螺子部
5c 受入孔(切欠き)
5d ナット
6 仮ボルトプレート
6e 調整孔
7a 本ボルト
7aa 頭部
7ab 螺子部
7b ナット
8 シノ(芯合わせ部材)
10 仮ボルトプレート(仮止め部材)
10a プレート本体
10c 受入孔(切欠き)
11 仮ボルトプレート(仮止め部材)
11a プレート本体
11c 受入凹部(切欠き)
12 仮ボルトプレート(仮止め部材)
12a プレート本体
12c 受入孔(切欠き)
20 挿通孔(第1挿通孔、第1貫通孔)
21 挿通孔
30 挿通孔(第2挿通孔、第2貫通孔)
30X 挿通孔(第2挿通孔、第2貫通孔)
30Y 挿通孔
31 ボルト

Claims (5)

  1. 隣接する形鋼を突合せ状態で連結する形鋼連結方法であって、
    前記隣接する形鋼間にスプライスプレートを架け渡して配置する配置工程と、
    該配置工程後に、複数の仮ボルトを有する仮止め部材によって前記隣接する形鋼と前記スプライスプレートとを仮止めする仮止め工程と、
    該仮止め工程の後に、前記隣接する形鋼によって構成される建造物構築材の建入れの調整を行う建入調整工程と、
    該建入調整工程の後に、本ボルトによって前記隣接する形鋼と前記スプライスプレートとを締結する本締め工程と、
    該本締め工程の後に、前記仮止め部材を前記隣接する形鋼及び前記スプライスプレートから取り外す取り外し工程と、を有し、
    前記配置工程では、前記隣接する形鋼に形成された複数の第1挿通孔に、前記スプライスプレートの複数の第2挿通孔を重ね合わせるように、前記スプライスプレートを前記隣接する形鋼に配置し、
    前記仮止め工程では、本体と、該本体に一体的に形成され、螺子部が前記本体から同じ向きに突出する前記複数の仮ボルトと、を有する前記仮止め部材を用いて、前記本ボルトが通される前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔以外の前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔に前記仮ボルトを通して仮止めすることを特徴とする形鋼連結方法。
  2. 前記仮止め工程では、前記本体に切欠きが形成された前記仮止め部材を用い、
    前記本締め工程では、前記仮止め部材における前記切欠きの縁によって形成されたスペース内を前記本ボルトの頭部が通るように、前記本ボルトを前記仮止め部材に通し、
    前記取り外し工程では、前記本ボルトで前記隣接する形鋼と前記スプライスプレートとを締結したままで、前記仮止め部材を取り外すことを特徴とする請求項1に記載の形鋼連結方法。
  3. 前記取り外し工程の後に、前記形鋼及び前記スプライスプレートにおける、前記仮ボルトが通されていた前記複数の第1挿通孔及び前記複数の第2挿通孔の少なくとも一部に、前記本ボルトによって前記形鋼と前記スプライスプレートを締結する追加本締め工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の形鋼連結方法。
  4. 前記形鋼及び前記スプライスプレートを連通するように、前記形鋼に第1貫通孔、前記スプライスプレートに第2貫通孔が形成されており、
    前記仮止め部材の前記本体には調整孔が形成されており、
    前記仮止め工程において、前記調整孔が前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に連通するように、前記仮止め部材を前記スプライスプレートに取り付け、
    前記建入調整工程の後に、連通する前記調整孔、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に芯合わせ部材を挿し込むことで、前記本ボルトによって前記隣接する形鋼と前記スプライスプレートとを締結する位置を調整する位置調整工程を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の形鋼連結方法。
  5. 本体と、
    該本体と一体的に形成されて、螺子部の少なくとも一部が前記本体から同じ向きに突出する複数の仮ボルトと、を有し、
    前記本体には、スプライスプレートと形鋼との本締めに用いられる本ボルトを通す切欠きが形成されている、ことを特徴とする仮止め部材。
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