JP2018051614A - フラックス組成物及びソルダーペースト - Google Patents
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Description
この鉛フリーはんだ合金としては、例えばSn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Bi系、Sn−Zn系はんだ合金等がよく知られている。その中でもテレビ、携帯電話等に使用される民生用電子機器や自動車に搭載される車載用電子機器には、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ合金が多く使用されている。
これを解決する方法としては、はんだ合金にNiを含有させ、Cuランドからはんだ接合部へのCuの拡散を抑制することで、前記界面付近におけるCu5Sn6の成長を抑制する方法が挙げられる。
本実施形態に係るフラックス組成物は、ベース樹脂と、活性剤と、溶剤と、無機フィラーとを含む。
前記ベース樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ロジン系樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、テルペン樹脂、ポリアルキレンカーボネート及びカルボキシル基を有するロジン系樹脂とダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物とを脱水縮合してなる誘導体化合物等が挙げられる。これらの中でも、特にアクリル樹脂が好ましく用いられる。なおこれらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
しかし本実施形態に係るフラックス組成物は、加熱時におけるフラックス組成物の粘度低下を抑制することによりフィレット部の最表面における酸化膜の発生を抑制することができるため、ボイドをフィレット部から排出し易くすると共に、フラックス残渣へのボイド残存をも抑制することができる。
前記活性剤としては、例えばカルボン酸類、ハロゲンを含む化合物等が挙げられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記モノカルボン酸としては、例えばプロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、グリコール酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、ジグリコール酸等が挙げられる。
また前記その他の有機酸としては、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、ピコリン酸等が挙げられる。
なおこれらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記非解離型活性剤としては、ハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられ、例えば塩素化物、臭素化物、ヨウ素化物、フッ化物のように塩素、臭素、ヨウ素、フッ素の各単独元素の共有結合による化合物でもよく、またこの4つの元素の任意の2つまたは全部のそれぞれの共有結合を有する化合物でもよい。当該化合物は水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールのように水酸基等の極性基を有することが好ましい。当該ハロゲン化アルコールとしては、例えば2,3−ジブロモプロパノール、2,3−ジブロモブタンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、トリブロモネオペンチルアルコール等の臭素化アルコール;1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノール等の塩素化アルコール;3−フルオロカテコール等のフッ素化アルコール;その他のこれらに類する化合物が挙げられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記溶剤としては、例えばイソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルジグリコール、(2−エチルヘキシル)ジグリコール、フェニルグリコール、ブチルカルビトール、オクタンジオール、αテルピネオール、βテルピネオール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ビスイソプロピル等を使用することができる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記無機フィラーとしては、疎水性フュームドシリカを含むことが好ましい。疎水性フュームドシリカは加熱時におけるフラックス組成物の粘度低下を抑制することができる。そのため、フラックス組成物にボイドの発生し易いアクリル樹脂を含ませたり、はんだ合金にボイドの発生し易いNiを含有させた場合であっても、疎水性フュームドシリカによりフィレット部にフラックス組成物がとどまり易くなるため、フィレット部の最表面における酸化膜の発生を抑制し、チップ下から発生したボイドをフィレット部から排出し易くすることができる。
更には、当該疎水性フュームドシリカとしては、その表面にメチルシリル基、ジメチルシリル基及びトリメチルシリル基の少なくともいずれかを有することが好ましい。このメチルシリル基、ジメチルシリル基及びトリメチルシリル基のいずれかは一部でも当該疎水性フュームドシリカの表面に結合していればよい。
前記疎水性フュームドシリカの市販品としては、AEROSIL(登録商標、以下同じ。)シリーズ(日本アエロジル(株)製)が挙げられる。これらの中でも特に疎水性のフュームドシリカであるAEROSIL RX200及びAEROSIL R974等が好ましく用いられる。
なお、前記疎水性フュームドシリカは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
なお、前記疎水性フュームドシリカと他の無機フィラーとを併用する場合、前記疎水性フュームドシリカの配合量は、前記無機フィラー全量に対して70質量%以上であることが好ましい。
本実施形態のフラックス組成物には、フラックス組成物の粘度を調整することを目的としてチクソ剤を配合することができる。
前記チクソ剤としては、例えば水素添加ヒマシ油、飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミド類、オキシ脂肪酸類、ジベンジリデンソルビトール類等が挙げられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
また前記チクソ剤の配合量は、フラックス全量に対して1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態のフラックス組成物には、はんだ合金の酸化を抑える目的で酸化防止剤を配合することができる。このような酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリマー型酸化防止剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記酸化防止剤の配合量は特に限定されないが、一般的にはフラックス組成物全量に対して0.5重量%から5重量%程度であることが好ましい。
本実施形態のソルダーペーストは、上記フラックス組成物とはんだ合金粉末とを混合することにより得られる。
前記はんだ合金粉末は、例えばSnを主材とし、これにAg、Bi、In、Ni、Cu、Zn、Ga、Sb、Au、Pa、Ge、Cr、Al、P、Cd、Tl、SeTi、Si、Mg及びPb等を1種又は複数種混合したはんだ合金を粉末状にしたものが使用される。なお、上記に挙げた元素以外であってもその組み合わせに使用することは可能である。また当該はんだ合金には、当然ながら不可避不純物も含まれるものである。
更にSnを主材料とし、Niを0.01質量%から0.5質量%含むはんだ合金、Snを主材料とし、Ag、Cu、Bi、Sb及びNiのいずれか2種以上を含み、それぞれの含有量は、Agが0.1質量%から5質量%、Cuが0.5質量%から1質量%、Biが2質量%から4質量%、Sbが0.5質量%から3質量%、Niが0.01質量%から0.5質量%であるものが特に好ましく用いられる。なおSnの含有量は88質量%以上であることが好ましい。
前記はんだ合金粉末の配合量が65質量%未満の場合には、得られるソルダーペーストを用いた場合に充分なはんだ接合が形成されにくくなる傾向にある。他方前記はんだ合金粉末の含有量が95質量%を超える場合にはバインダとしてのフラックス組成物が足りないため、フラックス組成物とはんだ合金粉末とを混合しにくくなる傾向にある。
本実施形態のフラックス組成物、ソルダーペーストを用いて形成されるはんだ接合体を有する電子回路基板は、例えば基板上の所定の位置に電極及びソルダレジスト膜を形成し、所定のパターンを有するマスクを用いて本実施形態のソルダーペーストを印刷し、当該パターンに適合する電子部品を所定の位置に搭載し、これをリフローすることにより作製される。
このようにして作製された電子回路基板は、前記電極上にはんだ接合部が形成され、当該はんだ接合部は当該電極と電子部品とを電気的に接合する。またはんだ接合部や基板に接するようにフラックス残渣が形成される。
撹拌機、還流管、及び窒素導入管とを備えた500mlの4つ口フラスコにジエチレングリコールモノヘキシルエーテル200gを仕込み、これを110℃に加熱した。
またメタクリル酸10質量%、2−エチルヘキシルメタクリレート51質量%、ラウリルアクリレート39質量%を混合したもの300gにアゾ系ラジカル開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(製品名:V−601、和光純薬(株)製)を0.2質量%から5質量%を加えてこれを溶解させ、溶液を作製した。
次いで当該溶液を上記4つ口フラスコに1.5時間かけて滴下したものを110℃で1時間撹拌した後に反応を終了させ、実施例に用いるアクリル樹脂を得た。なお、当該アクリル樹脂の重量平均分子量は7,800Mw、酸価は40mgKOH/g、ガラス転移温度は−47℃であった。
※2 日本化成(株)製 トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート
※3 BASFジャパン(株)製 ヒンダードフェノール系酸化防止剤
※4 日本アエロジル(株)製 疎水性フュームドシリカ(トリメチルシリル基含有)
※5 日本アエロジル(株)製 疎水性フュームドシリカ(ジメチルシリル基含有)
※6 日本アエロジル(株)製 親水性フュームドシリカ
※7 東亜合成(株)製 Zn−Mg−Al系無機フィラー
※8 石原産業(株)製 酸化アルミニウム
各ソルダーペーストを用い、JIS規格Z 3284−4に準拠する条件にて銅板上におけるぬれ効力及びディウェッティング試験を行い、評価した。その結果を表2に示す。なお評価基準はJIS規格Z 3284−4の表1(広がりの度合)に記載のものに準ずる。
各ソルダーペーストを用い、JIS規格Z 3284−4に準拠する条件にて3×3×0.5mmのNi板を使用し、ぬれ効力及びディウェッティング試験を行い、評価した。その結果を表2に示す。なお評価基準はJIS規格Z 3284−4の表1(広がりの度合)に記載のものに準ずる。
3.2mm×1.6mmのサイズのチップ部品と、当該サイズのチップ部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記チップ部品を接続する電極とを備えたFR−4基板(厚み:1.6mm)と、同パターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用意した。前記FR−4基板上に前記メタルマスクを用いて各ソルダーペーストを印刷した。次いで当該各FR−4基板上に上記チップ部品を20個載置し、リフロー炉(製品名:TNP−538EM、(株)タムラ製作所製)を用いて図1に示すリフロー条件にてリフローを行い、各試験基板を作製した。そして当該各試験基板に形成されたチップフィレットを光学顕微鏡で観察し、フィレット部に空洞(ブローホール)が発生しているチップの個数を数えた。その結果を表2に示す。なお、フィレット部にブローホールが発生した比較例の基板表面の一部及び発生したブローホールをそれぞれ図2、並びに図3及び図4に示す。
所定のパターンを有するソルダレジスト及び電極を備えたCu−OSP処理済のFR−4基板(厚み:1.6mm、開口径0.3mm)と、同パターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用意した。次いで前記FR−4基板上に前記メタルマスクを用いて各ソルダーペーストを印刷し、リフロー炉(製品名:TNP−538EM、(株)タムラ製作所製)を用いて図1に示すリフロー条件にてリフローを行い、各試験基板を作製した。そして各試験基板上に形成されたフラックス残渣の外観を観察し、以下の評価基準にて評価した。その結果を表2に示す。
○:透明で析出物の結晶が無い
△:透明で析出物の結晶は無いが、ボイドが残渣中に10%未満存在する
×:析出物が発生し不透明であり、ボイドが残渣中に10%以上存在する
基板を用意し、印刷機に各ソルダーペーストを300g投入してメタルマスク及びメタルスキージを使用して、上記基板上にそれぞれ4回(2往復)スキージングを行った。4回スキージングを行いスキージを上昇させた際、上記メタルマスクにソルダーペーストが残っている状態か(スキージ付着無し)、若しくはスキージに付着して上記メタルマスク上にペーストが残っていない(スキージ付着有り)かを確認及び評価した。その結果を表2に示す。なお、ソルダーペーストがスキージ付着有りの場合はその後に印刷不具合が発生する虞があり好ましくない一方、スキージ付着無しの場合はその後の印刷性も良好となる。
Claims (6)
- ベース樹脂と、活性剤と、溶剤と、無機フィラーとを含み、
前記無機フィラーは疎水性フュームドシリカを含み、
前記無機フィラーの配合量はフラックス組成物全量に対して0.1質量%から5質量%であることを特徴とするフラックス組成物。 - 前記ベース樹脂はアクリル樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のフラックス組成物。
- 前記疎水性フュームドシリカは表面にメチルシリル基、ジメチルシリル基及びトリメチルシリル基の少なくともいずれかを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフラックス組成物。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフラックス組成物と、はんだ合金粉末とを含むことを特徴とするソルダーペースト。
- 前記はんだ合金粉末はSnを主材料とし、Niを0.01質量%から0.5質量%含むことを特徴とする請求項4に記載のソルダーペースト。
- 前記はんだ合金粉末はSnを主材料とし、Ag、Cu、Bi及びSbのいずれか2種以上を含み、
それぞれの含有量は、Agが0.1質量%から5質量%、Cuが0.5質量%から1質量%、Biが2質量%から4質量%、Sbが0.5質量%から3質量%であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のソルダーペースト。
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