JP2018051412A - 複合アニオン交換膜及びその製造方法、イオン交換膜モジュール、並びに、イオン交換装置 - Google Patents

複合アニオン交換膜及びその製造方法、イオン交換膜モジュール、並びに、イオン交換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 一価イオンの選択性に優れた複合アニオン交換膜、及び、その製造方法、並びに、上記複合アニオン交換膜を用いたイオン交換膜モジュール、及び、イオン交換装置を提供すること。【解決手段】 アニオン性官能基を有する表面層を、ベースとなるアニオン交換膜の片面又は両面に有し、上記表面層におけるアニオン性官能基の密度が3.0当量/g〜10.0当量/gであることを特徴とする複合アニオン交換膜。上記表面層と、上記ベースとなるアニオン交換膜とが、共有結合を介して接着していることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、複合アニオン交換膜及びその製造方法、イオン交換膜モジュール、並びに、イオン交換装置に関する。
イオン交換膜は、電気脱塩(EDI:Electrodeionization)、連続的な電気脱塩(CEDI:Continuous Electrodeionization)、電気透析(ED:Electrodialysis)、逆電気透析(EDR:Electrodialysis reversal)等に用いられる。
電気脱塩(EDI)は、イオン輸送を達成するためにイオン交換膜と電位を使用して、水性液体からイオンが取り除かれる水処理プロセスである。従来のイオン交換のような他の浄水技術と異なり、酸又は苛性ソーダのような化学薬品の使用を要求せず、超純水を生産するために使用することができる。電気透析(ED)及び逆電気透析(EDR)は、水及び他の流体からイオン等を取り除く電気化学の分離プロセスである。
近年、地下水中の硝酸イオン濃度上昇は世界規模で問題となっており、イオン交換膜を用いた電気透析による硝酸イオン除去方法が注目されている。電気透析において、長期間の駆動時には、二価の硫酸イオンなどに起因する難溶性塩の析出(スケーリング)が発生し、効率が低下することが知られている。一般的にイオン交換膜はカチオン又はアニオンのみを選択的に透過する性質を有するが、この選択性に加えて、スケーリングの要因となりうる硫酸イオンなどの二価のアニオンを排除しつつ、一価の硝酸イオンのみを選択的に透過させ、効率よく除去することが重要である。そのため、一価イオンのみを選択的に透過させる技術の開発が盛んに行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、硝酸イオンを含む水溶液から電気透析により硝酸イオンを除去するにあたり、陰イオン交換膜として膜表面に厚さ10オングストローム〜5μmの負の電荷の薄層を有する膜を用い、上記薄層を有する側を脱塩室側にして該陰イオン交換膜を配列することを特徴とする硝酸イオンの除去方法が記載されている。
特開平7−265863号公報
本発明が解決しようとする課題は、一価イオンの選択性に優れた複合アニオン交換膜、及び、その製造方法、並びに、上記複合アニオン交換膜を用いたイオン交換膜モジュール、及び、イオン交換装置を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<6>、<8>又は<9>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<5>及び<7>と共に以下に記載する。
<1> アニオン性官能基を有する表面層を、ベースとなるアニオン交換膜の片面又は両面に有し、上記表面層におけるアニオン性官能基の密度が3.0当量/g〜10.0当量/gであることを特徴とする複合アニオン交換膜、
<2> 上記表面層と、上記ベースとなるアニオン交換膜とが、共有結合を介して接着している、<1>に記載の複合アニオン交換膜、
<3> 上記アニオン性官能基が、スルホ基、カルボキシ基、又は、リン酸基である、<1>又は<2>に記載の複合アニオン交換膜、
<4> 上記表面層に下記式1の構造を有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の複合アニオン交換膜、
Figure 2018051412
式1中、R1はそれぞれ独立に、アニオン性官能基を表し、iは1〜5の整数を表し、L1はi+m価の連結基を表し、*はそれぞれ独立に、ベースとなるアニオン交換膜又は表面層素材との結合位置を表し、jは1〜3の整数を表し、R2はそれぞれ独立に、1価の有機基を表し、kは(3−j)の整数を表し、構造内に複数のR1及びR2が存在する場合、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、mは1〜6の整数を表す、
<5> 上記ベースとなるアニオン交換膜が、ヒドロキシ基を有する、<2>〜<4>のいずれか1つに記載の複合アニオン交換膜、
<6> ベースとなるアニオン交換膜の片面又は両面に、アニオン性官能基を有するシランカップリング剤を含む表面層形成用塗布液を塗布する塗布工程、及び、上記表面層形成用塗布液を乾燥させる乾燥工程を含む、複合アニオン交換膜の製造方法、
<7> 上記塗布工程の前に、ベースとなるアニオン交換膜にプラズマ処理を行うプラズマ処理工程を更に含む、<6>に記載の複合アニオン交換膜の製造方法、
<8> <1>〜<5>のいずれか1つに記載の複合アニオン交換膜を備えたイオン交換膜モジュール、
<9> <1>〜<5>のいずれか1つに記載の複合アニオン交換膜を備えたイオン交換装置。
本発明によれば、一価イオンの選択性に優れた複合アニオン交換膜、及び、その製造方法、並びに、上記複合アニオン交換膜を用いたイオン交換膜モジュール、及び、イオン交換装置を提供することができた。
本発明の複合アニオン交換膜の一例を示す概略断面図である。 本発明の複合アニオン交換膜を使用したイオン交換装置の一例を示す概略図である。 本発明の複合アニオン交換膜の選択性の経時変化の評価時に使用されるイオン交換装置の一例を示す概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
更に、各式における二重結合の置換様式である幾何異性体は、表示の都合上、異性体の一方を記載したとしても、特段の断りがない限り、E体であってもZ体であっても、これらの混合物であっても構わない。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイル及びメタクリロイルを表し、”(メタ)アクリルアミド”はアクリルアミド及びメタクリルアミドを表す。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(複合アニオン交換膜)
本発明の複合アニオン交換膜は、アニオン性官能基を有する表面層を、ベースとなるアニオン交換膜(以下、「ベース膜」ともいう。)の片面又は両面に有し、上記表面層におけるアニオン性官能基の密度が3.0当量/g〜10.0当量/gであることを特徴とする。
本発明の複合アニオン交換膜は、アニオン性官能基を有する表面層を、両面に有することが好ましい。
従来のアニオン性表面層を有するアニオン交換膜では、表面層中のアニオン性官能基間の距離が比較的長く、処理水中のアニオンが透過する際にクーロン力による反発力を受けにくい領域が存在していた。この領域においては種々のアニオンが比較的自由に透過できると考えられ、膜の一価イオン選択性低下の原因の一つと考えられる。本発明では、アニオン交換膜の表面にアニオン性官能基をより高密度に配置することで、アニオン性官能基間の距離を縮め、クーロン力の影響が小さい領域が低減し、一価イオン選択性を向上させることができたと考えられる。なお、アニオン性官能基の密度が低密度であっても、その膜厚を大きくし、透過経路を長くすることによりクーロン力の影響が小さい領域を低減することができるが、この場合には輸率が悪化してしまうという問題が生じてしまい、好ましくない。本発明者等は、本発明の構成によれば、一価イオン選択性が得られつつも輸率が維持されることを見出した。
加えて、本発明においては透水率が低下するという優れた効果も確認されたが、これは、表面層が緻密に形成されていることに起因すると考えられる。
本発明の複合アニオン交換膜について、図を参照しながら説明する。なお、図中、同一の符号は同一の対称を示すものとする。
図1は、本発明の複合アニオン交換膜を示す概略断面図である。
図1では、ベースとなるアニオン交換膜1は、両面に表面層2を有している。ベースとなるアニオン交換膜1は、表面層2を両面に有していることが好ましいが、片面にのみ有していてもよい。
以下、本発明の複合アニオン交換膜を構成する、各成分について説明する。
<表面層>
〔アニオン性官能基〕
本発明の複合アニオン交換膜が有する表面層は、アニオン性官能基を有する。
アニオン性官能基としては、スルホ基、カルボキシ基、及び、リン酸基が好ましく、アニオン性官能基の密度を3.0当量/g〜10.0当量/gに調整しやすいという観点から、スルホ基がより好ましい。
アニオン性官能基の密度は3.0当量/g〜10.0当量/gであり、3.0当量/g〜6.0当量/gであることが好ましく、3.5当量/g〜6.0当量/gであることがより好ましい。
アニオン性官能基の密度の測定方法は、下記の通りである。
まず、「膜学実験法(ISBN 978−4−906126−09−5)」194頁に記載のCEMのイオン交換容量測定手順に倣い、単位面積あたりの膜に固定化されている負電荷量を測定する。また、長方形に切り出した測定サンプルの膜面積と、膜厚、及び樹脂密度から単位面積あたりのベース膜への表面層付着重量を算出する。
膜面積については、長方形に切り出した測定サンプルの縦×横により測定する。
膜厚については、X線電子分光(ESCA)による厚み方向の元素分析を行い、測定する。
樹脂密度については、乾燥膜表面から表面層樹脂を削り取って粉砕し、気体置換型ピクノメーターを使用して乾式で密度測定する。
上記負電荷量及び表面層付着重量から、(負電荷量)/(表面層付着重量)を負電荷密度(当量/g)とする。
本発明に用いられる表面層と、ベースとなるアニオン交換膜とは共有結合を介して接着していることが好ましい。
上記態様によれば、表面層のベース膜からの剥離が防がれ、一価イオンの選択性が長時間維持される複合アニオン交換膜を得ることができる。
上記共有結合は、シランカップリング反応、エン−チオール反応、表面開始原子移動ラジカル重合(SI−ATRP)、表面開始可逆的付加開裂連鎖移動重合(SI−RAFT)、脱水縮合反応、求核付加反応などの方法により形成でき、シランカップリング反応により形成される共有結合であることが好ましい。
共有結合可能な基の組み合わせとしては、(シラノール基/ヒドロキシ基)、(シラノール基/シラノール基)(エチレン性不飽和基/チオール基)、(エチレン性不飽和基/エチレン性不飽和基)、(ヒドロキシ基/カルボキシ基)(イソシアナト基/ヒドロキシ基又はアミノ基)、(エポキシ基/ヒドロキシ基)等が好ましく例示され、(シラノール基/ヒドロキシ基)の組み合わせが特に好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記共有結合の具体例としては、Si−O−Si結合、Si−O−C結合、C−S−C結合、C−O−C結合、C−C結合、−NH−C(=O)−結合、−C(=O)O−結合、−NH−C(=O)O−結合、−NH−C(=O)−NH−結合等が挙げられ、Si−O−C結合であることが好ましい。
上記態様によれば、表面層のベース膜からの剥離が防がれ、一価イオンの選択性が長時間維持される複合アニオン交換膜を得ることができる。
表面層とベース膜が上記結合を介して接着していることは、XPS(X線光電子分光)分析によるSi 2pに相当するスペクトルの解析により確認することができる。
〔式1で表される構造〕
本発明に用いられる表面層は、下記式1で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2018051412
式1中、Rはそれぞれ独立に、アニオン性官能基を表し、スルホ基、カルボキシ基、及び、リン酸基が好ましく、スルホ基がより好ましい。
iは1〜5の整数を表し、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
1はi+m価の連結基を表し、炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜10の飽和炭化水素基であることがより好ましい。L1が二価の連結基を表す場合、アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基が更に好ましい。
*はそれぞれ独立に、ベースとなるアニオン交換膜又は表面層素材との結合位置を表す。上記表面層素材としては、別の式1で表される構造が好ましい。その場合、式1で表される構造は、*で表される結合位置において、別の式1で表される構造のSi原子とシロキサン結合を形成することが好ましい。上記態様によれば、透水率に優れた複合アニオン交換膜が得られる。
複数の式1で表される構造が結合した構造に含まれる、複数の*で表される結合位置のうち、ベースとなるアニオン交換膜と結合している箇所を少なくとも有していることが好ましい。上記態様によれば、一価イオンの選択性が長時間維持される複合アニオン交換膜を得ることができる。
jは1〜3の整数を表し、2又は3であることがより好ましく、3であることがより好ましい。
はそれぞれ独立に、1価の有機基を表し、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
kは(3−j)の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
mは1以上の整数を表し、1〜6の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1〜3の整数であることが更に好ましい。
構造内に複数のR及びRが存在する場合、これらは互いに同じでも異なっていてもよい。
〔その他の構造〕
本発明に用いられる表面層は、式1以外で表される構造以外の構造を含んでもよいが、表面層の全質量に対し、式1で表される構造を90質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましく、99質量%以上含むことが更に好ましい。
上記態様によれば、透水率に優れた複合アニオン交換膜が得られる。
〔表面層の特性〕
本発明に用いられる表面層の厚さは、100〜500nmが好ましく、100〜400nmがより好ましく、100〜300nmが特に好ましい。表面層の厚さが上記範囲内であれば、輸率に優れた複合アニオン交換膜が得られる。
また、上記厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定することができる。
<ベースとなるアニオン交換膜>
本発明に用いられるベースとなるアニオン交換膜としては、特に制限なく公知のアニオン交換膜が使用でき、例えば、炭化水素系やフッ素系のアニオン交換膜を用いることができるが、炭化水素系のアニオン交換膜が好ましく、アクリル系又はスチレン系のアニオン交換膜がより好ましく、アクリル系のアニオン交換膜が更に好ましい。
本発明における炭化水素系のアニオン交換膜とは、炭化水素を含有する樹脂を含有するアニオン交換膜を表す。
本発明におけるフッ素系のアニオン交換膜とは、パーフルオロアルキレン基を含有する樹脂を含有するアニオン交換膜を表す。上記樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等が挙げられる。
本発明におけるスチレン系のアニオン交換膜とは、スチレン化合物に由来する樹脂を含有するアニオン交換膜を表す。スチレン化合物としては、置換基を有していてもよいスチレン、ジビニルベンゼンが好適に挙げられる。
本発明におけるアクリル系のアニオン交換膜とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物に由来する樹脂を含有するアニオン交換膜を表す。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物及び(メタ)アクリルアミド化合物が好適に挙げられる。
以下、ベースとなるイオン交換膜の例として、アクリル系のアニオン交換膜について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔アクリル系のアニオン交換膜〕
本発明に用いられるアクリル系のアニオン交換膜は、多孔質支持体に担持された樹脂層を有することが好ましい。
上記アクリル系のアニオン交換膜の多孔質支持体及び樹脂層を含む複合体としての膜厚は、10〜250μmが好ましく、30〜200μmがより好ましく、40〜200μmが特に好ましい。 膜厚がこの範囲内にあることにより、膜の電気抵抗を低く抑えることができる。
−多孔質支持体− 本発明に用いられるアクリル系のアニオン交換膜は、多孔質支持体を有することが好ましい。この多孔質支持体の空孔に後述の膜形成用の硬化性組成物を存在させることにより、多孔質支持体を膜の一部として構成することができる。補強材料としての多孔質支持体としては、例えば、合成織布、又は合成不織布等の不織布、スポンジ状フィルム、微細な貫通孔を有するフィルムが挙げられる。
本発明における多孔質支持体を形成する素材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド及びそれらのコポリマーであるか、あるいは、例えばポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルミド(polyethermide)、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン及びそれらのコポリマーに基づく多孔質膜が挙げられる。市販の多孔質支持体は、例えば、三菱製紙(株)、ニッポン高度紙工業(株)、旭化成せんい(株)、日本バイリーン(株)、タピルス社、Freudenberg Filtration Technologies社から市販されている。 なお、多孔質支持体及び補強材料はエネルギー線照射による重合硬化反応を行う場合は、エネルギー線の波長領域を遮らないこと、すなわち、重合硬化に用いられる波長の照射を通過させることが要求される。
ここで、多孔質補強材料は、樹脂層形成用組成物が浸透することができるものであることが好ましい。
また、多孔質支持体は親水性を有することが好ましい。支持体に親水性を付与するには、コロナ処理、プラズマ処理、フッ素ガス処理、オゾン処理、硫酸処理、シランカップリング剤処理などの一般的な方法を使用することができる。
本発明における多孔質支持体は不織布が好ましく、不織布の中でも、ポリエチレンとポリプロピレンの複合繊維からなる不織布が好ましい。また、この複合繊維の繊維径は、0.5〜30μmが好ましく、1〜25μmがより好ましく、2〜20μmが特に好ましい。
本発明における多孔質支持体の厚さは、20〜250μmが好ましく、30〜230μmが更に好ましく、40〜200μmが特に好ましい。
−樹脂層− 本発明に用いられる、アクリル系のアニオン交換膜の樹脂層は、陰イオン交換性ポリマーを含有する。
上記陰イオン交換性ポリマーは、いずれもα位にアルキル基を有してもよいアクリロイル基から得られる単位を含むポリマーである。
ここで、α位にアルキル基を有してもよいアクリロイル基は、α位にアルキル基を有してもよいアクリロイルアミノ基若しくはアクリロイルオキシ基が好ましく、α位にアルキル基を有してもよいアクリロイルアミノ基がより好ましい。
本発明において、陰イオン交換基を有する陰イオン交換性ポリマーは、α位にアルキル基を有してもよいアクリロイル基から得られる単位を含むポリマーであれば、どのような陰イオン交換基でも構わないが、ピリジニウムのような含窒素ヘテロ環における窒素原子がカチオン、4級化された窒素原子を有するもの、若しくは芳香族ヘテロ環の窒素原子がアルキル化若しくはアリール化のように置換基で置換されたもの、又は4級化されたアミノ基、すなわち、オニオ基を有するものが好ましい。
中でも、式IAで表される単位を有する陰イオン交換性ポリマーが好ましい。
Figure 2018051412
式IAにおいて、RA1は水素原子又はアルキル基を表し、RA2〜RA4はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。ここで、RA2〜RA4のうち2つ以上が互いに結合して環を形成してもよい。ZA1は−O−又は−N(Ra)−を表す。ここで、Raは水素原子又はアルキル基を表す。LA1はアルキレン基を表す。XA1はハロゲンイオン又は脂肪族若しくは芳香族カルボン酸イオンを表す。
A1、RA2〜RA4及びRaのアルキル基は、直鎖若しくは分岐のアルキル基で、炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、i−デシルが挙げられる。
A2〜RA4のアリール基の炭素数は、6〜16が好ましく、6〜12がより好ましく、6〜10が更に好ましい。例えば、フェニル、ナフチルが挙げられる。
A1はアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましく、2又は3が特に好ましく、3が最も好ましい。例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレンが挙げられる。
A1におけるハロゲンイオンは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンが挙げられる。
A1における脂肪族カルボン酸イオンの炭素数は、1〜11が好ましく、2〜7がより好ましく、2〜5が更に好ましく、2又は3が特に好ましく、2が最も好ましい。
脂肪族カルボン酸イオンは、飽和炭化水素のカルボン酸、不飽和炭化水素のカルボン酸のいずれでもよいが、飽和炭化水素のカルボン酸が好ましい。
A1における芳香族カルボン酸イオンは、アリールカルボン酸イオン及びヘテロアリールカルボン酸イオンが好ましい。ここで、ヘテロアリールは、5又は6員環が好ましく、環構成ヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、窒素原子がより好ましい。芳香族カルボン酸イオンの炭素数は、1〜17が好ましく、2〜13がより好ましく、3〜11が更に好ましい。例えば、安息香酸イオン、ナフタレンカルボン酸イオン、ニコチン酸イオン、イソニコチン酸イオンが挙げられる。
A2〜RA4のうち2つ以上が互いに結合して形成する環としては、5又は6員環の単環若しくは架橋環が好ましく、炭素数は、4〜16が好ましく、4〜10がより好ましい。例えば、ピロリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、インドール環、キヌクリジン環が挙げられる。
A1は、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。RA1〜RA4はメチル基、エチル基が好ましい。ZA1は、−N(Ra)−が好ましく、Raは、水素原子が好ましい。XA1は、ハロゲン原子が好ましい。
以下に、式IAで表される単位の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
Figure 2018051412
Figure 2018051412
式IAで表される単位は、下記式MAで表される化合物から得ることができる。
Figure 2018051412
式MAにおいて、RA1〜RA4、ZA1、LA1及びXA1は、式IAにおけるRA1〜RA4、ZA1、LA1及びXA1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
以下に、式MAで表される化合物の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
Figure 2018051412
Figure 2018051412
本発明に用いられる陰イオン交換性ポリマーは、上記式IAで表される単位に加えて、架橋剤から得られる単位を有することが好ましい。
架橋剤としては、多官能エチレン性不飽和化合物を特に限定なく使用することができる。
多官能エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和基を2個有する二官能エチレン性不飽和化合物が好ましい。
末端エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基が好ましい。また、合成適性上、複数の末端エチレン性不飽和基は全て同一であることが好ましい。
多官能エチレン性不飽和化合物の分子量は、100〜2,000であることが好ましく、100〜1,000であることがより好ましい。
好ましい多官能エチレン性不飽和化合物としては、N,N’−アルキレンビス(メタ)アクリルアミドやアルキレンジ(メタ)アクリレート、ポリ(オキシアルキレン)ジ(メタ)アクリレートが例示される。
本発明に用いられるベースとなるアニオン交換膜は、ヒドロキシ基を有することが好ましい。
ベースとなるアニオン交換膜にヒドロキシ基を導入するため、上記陰イオン交換性ポリマーは、上記式IAで表される単位に加えて、ヒドロキシ基を有する単位を有することが好ましい。
上記陰イオン交換性ポリマーがヒドロキシ基を有する単位を有することにより、表面層と、ベース膜とを共有結合させることが容易に可能となる。
ヒドロキシ基を有する単位としては、特に限定されないが、下記式IHで表される単位を有することが好ましい。
Figure 2018051412
式IH中、RH1は式IAにおけるRA1と同義であり、好ましい範囲も同じである。ZH1は式IAにおけるZA1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
H1は2価の連結基を表し、アルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基がより好ましい。
式IHで表される単位は、下記式MHで表される化合物から得ることができる。
Figure 2018051412
式MHにおいて、RH1、ZH1、及び、LH1は式IHにおけるRH1、ZH1、及び、LH1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
式MHで表される化合物の具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられるベースとなるアニオン交換膜は、チオール基、エチレン性不飽和基等、その他の共有結合可能な官能基を含んでもよい。
ベースとなるアニオン交換膜に、その他の共有結合可能な官能基を導入するため、上記陰イオン交換性ポリマーは、その他の共有結合可能な官能基を有する単位を有することが好ましい。
上記その他の共有結合可能な官能基を有する単位は、その他の共有結合可能な官能基を有する重合性化合物より得ることができる。上記重合性化合物としては、(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましい。
−アクリル系のアニオン交換膜の製造方法− 本発明に用いられるアクリル系アニオン交換膜は、例えば、式MAで表される化合物、及び、重合開始剤を少なくとも含む樹脂層形成用組成物を、多孔性支持体に塗布及び/又は含浸させ、光照射及び/又は加熱により重合硬化させることにより製造することができる。
上記樹脂層形成用組成物は、上記架橋剤、重合禁止剤、溶媒、アルカリ金属化合物、界面活性剤、粘度向上剤、表面張力調整剤、防腐剤を更に含有してもよい。
アクリル系アニオン交換膜は、固定された支持体を用いてバッチ式(バッチ方式)で製造することが可能であるが、移動する支持体を用いて連続式で膜を製造(連続方式)してもよい。支持体は、連続的に巻き戻されるロール形状でもよい。なお、連続方式の場合、連続的に動かされるベルト上に支持体を載せ、高分子機能性膜形成用組成物である塗布液の連続的な塗布と重合硬化して膜を形成する工程を連続して行うことができる。ただし、塗布工程と膜形成工程の一方のみを連続的に行ってもよい。
なお、仮支持体を使用する場合、この仮支持体は、物質透過を考慮する必要がなく、例えば、アルミ板等の金属板を含め、膜形成のために固定できるものであれば、どのようなものでも構わない。
なお、支持体と別に、高分子機能性膜形成用組成物を支持体に浸漬させ重合硬化反応が終わるまでの間、仮支持体(重合硬化反応終了後、仮支持体から膜を剥がす)を用いてもよい。
このような仮支持体は、物質透過を考慮する必要がなく、例えば、アルミ板等の金属板を含め、膜形成のために固定できるものであれば、どのようなものでも構わない。
−塗布方法−
樹脂層形成用組成物は、種々の方法、例えば、カーテンコーティング、押し出しコーティング、エアナイフコーティング、スライドコーティング、ニップロールコーティング、フォワードロールコーティング、リバースロールコーティング、浸漬コーティング、キスコーティング、ロッドバーコーティング又は噴霧コーティングにより、多孔質支持体に塗布若しくは含浸することができる。複数の層の塗布は、同時又は連続して行うことができる。同時重層塗布するには、カーテンコーティング、スライドコーティング、スロットダイコーティング及び押し出しコーティングが好ましい。
アクリル系アニオン交換膜の連続方式での製造は、樹脂層形成用組成物を、移動している支持体に連続的に、より好ましくは、樹脂層形成用組成物塗布部と、樹脂層形成用組成物を重合硬化するための照射源と、膜巻取り部と、支持体を樹脂層形成用組成物塗布部から照射源及び膜巻取り部に移動させるための手段とを含む製造ユニットにより製造する。
−照射方法−
上記製造ユニットでは、樹脂層形成用組成物塗布部は照射源に対し上流の位置に設け、照射源は膜巻き取り部に対し上流の位置に置かれる。
高速塗布機で塗布する際に十分な流動性を有するために、本発明における樹脂層形成用組成物の35℃での粘度は、4,000mPa・s未満が好ましく、1〜1,000mPa・sがより好ましく、1〜500mPa.sが最も好ましい。スライドビードコーティングの場合に35℃での粘度は1〜100mPa・sが好ましい。
高速塗布機では、本発明における樹脂層形成用組成物である塗布液を、15m/分を超える速度で、移動する支持体に塗布することができ、20m/分を超える速度で塗布することもできる。
特に機械的強度を高めるために支持体を使用する場合、本発明における樹脂層形成用組成物を支持体の表面に塗布する前に、この支持体を、例えば支持体の湿潤性及び付着力を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理などに付してもよい。
本発明における樹脂層形成用組成物の重合硬化は、樹脂層形成用組成物を支持体に塗布若しくは含浸して、好ましくは60秒以内、より好ましくは15秒以内、特に好ましくは5秒以内、最も好ましくは3秒以内に開始する。
重合硬化の光照射は、好ましくは10秒未満、より好ましくは5秒未満、特に好ましくは3秒未満、最も好ましくは2秒未満である。連続法では照射を連続的に行い、膜形成用組成物が照射ビームを通過して移動する速度を考慮して、重合硬化反応時間を決める。
強度の高い紫外線(UV光)を重合硬化反応に用いる場合、かなりの量の熱が発生するため、過熱を防ぐために、光源のランプ及び/又は支持体/膜を冷却用空気などで冷却することが好ましい。著しい線量の赤外線(IR光)がUVビームと一緒に照射される場合、IR反射性石英プレートをフィルターにしてUV光を照射する。
エネルギー線は紫外線が好ましい。照射波長は、樹脂層形成用組成物中に包含される任意の光重合開始剤の吸収波長と波長が適合することが好ましく、例えばUV−A(400〜320nm)、UV−B(320〜280nm)、UV−C(280〜200nm)である。
紫外線源は、水銀アーク灯、炭素アーク灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、旋回流プラズマアーク灯、金属ハロゲン化物灯、キセノン灯、タングステン灯、ハロゲン灯、レーザー及び紫外線発光ダイオードである。中圧又は高圧水銀蒸気タイプの紫外線発光ランプが好ましい。これに加えて、ランプの発光スペクトルを改変するために、金属ハロゲン化物などの添加剤が存在していてもよい。200〜450nmに発光極大を有するランプがとりわけ適している。
照射源のエネルギー出力は、好ましくは20〜1,000W/cm、好ましくは40〜500W/cmであるが、所望の暴露線量を実現することができるならば、これより高くても低くても構わない。暴露強度により、膜の重合硬化を調整する。暴露線量は、High Energy UV Radiometer(EIT−Instrument Markets製のUV Power PuckTM)により、装置で示されたUV−A範囲で測定して、好ましくは少なくとも40mJ/cm2以上、より好ましくは100〜2,000mJ/cm2、最も好ましくは150〜1,500mJ/cm2である。暴露時間は自由に選ぶことができるが、短いことが好ましく、最も好ましくは2秒未満である。
なお、塗布速度が速い場合、必要な暴露線量を得るために、複数の光源を使用しても構わない。この場合、複数の光源は暴露強度が同じでも異なってもよい。
(複合アニオン交換膜の製造方法)
本発明の複合アニオン交換膜の製造方法は、ベースとなるアニオン交換膜の片面又は両面に、アニオン性官能基を有するシランカップリング剤を含む表面層形成用塗布液を塗布する塗布工程、及び、上記表面層形成用塗布液を乾燥させる乾燥工程を含むことを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
<塗布工程>
本発明の複合アニオン交換膜の製造方法は、ベースとなるアニオン交換膜の片面又は両面に、アニオン性官能基を有するシランカップリング剤を含む表面層形成用塗布液を塗布する塗布工程を含む。
ベースとなるアニオン交換膜については、上記において説明したものと同義であり、好ましい範囲も同様である。
〔アニオン性官能基を有するシランカップリング剤を含む表面層形成用塗布液〕
本発明に用いられるアニオン性官能基を有するシランカップリング剤(以下、「特定シランカップリング剤」ともいう。)を含む表面層形成用塗布液(以下、単に「表面層形成用塗布液」ともいう。)は、特定シランカップリング剤を含有する。
上記表面層形成用塗布液は、溶媒中に特定シランカップリング剤以外の化合物を含んでもよいが、表面層形成用塗布液の全固形分に対する特定シランカップリング剤の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
また、表面層形成用塗布液の全質量に対する特定シランカップリング剤の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜8質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましい。
本発明に好ましく用いられる特定シランカップリング剤としては、アルコキシシラン化合物が好ましく挙げられ、トリアルコキシシラン化合物がより好ましい。
また、本発明に好ましく用いられる特定シランカップリング剤としては、下記式2で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018051412
式2中、R21はそれぞれ独立に、アニオン性官能基を表し、スルホ基、カルボキシ基、及び、リン酸基が好ましく、スルホ基がより好ましい。
iは1〜5の整数を表し、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
21はi+m価の連結基を表し、炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜10の飽和炭化水素基であることがより好ましい。L21が二価の連結基を表す場合、アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基が更に好ましい。
23はアルキル基を表し、炭素数1〜10のアルキル基を表すことが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基を表すことがより好ましい。
jは1〜3の整数を表し、2又は3であることがより好ましく、3であることがより好ましい。
22はそれぞれ独立に、1価の有機基を表し、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
kは(3−j)の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
mは1以上の整数を表し、1〜6の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1〜3の整数であることが更に好ましい。
構造内に複数のR21、R22及びR23が存在する場合、これらは互いに同じでも異なっていてもよい。
−溶媒−
本発明に用いられる表面層形成用塗布液は、溶媒を含んでもよい。
溶媒の含有量は、表面層形成用塗布液の全質量に対し、50〜99質量%が好ましく、60〜98質量%がより好ましく、70〜97質量%が更に好ましい。
溶媒は、水、又は水と水に対する溶解度が5質量%以上の溶媒の混合液が好ましく用いられ、更には水に対して自由に混合するものが好ましい。このため、水及び水溶性溶媒から選択される溶媒が好ましい。
水溶性溶媒としては、特に、アルコール系溶媒、非プロトン性極性溶媒であるエーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、ニトリルトリル系溶媒、有機リン系溶媒が好ましい。
アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
また、非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、ジオキサン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ピリジン、プロピオニトリル、ブタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジアセテート、γ−ブチロラクトン等が好ましい溶媒として挙げられ、中でもジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、アセトン又はアセトニトリル、テトラヒドロフランが好ましい。これらは1種類単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
〔塗布方法〕
表面層形成用塗布液の塗布方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
表面層形成用塗布液は、種々の方法、例えば、カーテンコーティング、押し出しコーティング、エアナイフコーティング、スライドコーティング、ニップロールコーティング、フォワードロールコーティング、リバースロールコーティング、浸漬コーティング、キスコーティング、ロッドバーコーティング又は噴霧コーティングにより、ベースとなるイオン交換膜上に塗布することができる。
なお、ベース膜と表面層との密着性を向上させるために、表面層形成用塗布液塗布の前処理として、ベース膜の表面をサンドペーパー等で粗面化する、あるいはコロナ、プラズマ処理等を施してもよい。
特に、本発明の複合アニオン交換膜の製造方法は、塗布工程の前に、ベースとなるアニオン交換膜にプラズマ処理を行うプラズマ処理工程を更に含むことが好ましい。
上記プラズマ処理工程によれば、ベース膜の表面にヒドロキシ基を導入することができるため、表面層と、ベース膜とを共有結合を介して接着することが容易となる。
上記プラズマ処理は、例えば市販の常圧プラズマ表面処理装置を用いることにより行うことができる。
<乾燥工程>
本発明の複合イオン交換膜の製造方法は、上記表面層形成用塗布液を乾燥させる乾燥工程を含む。
乾燥方法としては、特に限定されないが、熱を加えて乾燥させることが好ましい。
加熱手段としては、表面層形成用塗布液に含まれる溶媒を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などを使用することができる。
乾燥温度は、50℃以上が好ましく、50〜150℃がより好ましく、50〜80℃が更に好ましい。
乾燥時間は、層の厚さ等を考慮して適宜設定すればよいが、5〜180分が好ましく、10〜120分がより好ましい。
塗布工程において、表面層形成用塗布液の塗布をベースとなるイオン交換膜の両面に行う場合、塗布工程と乾燥工程を交互に行い、片面ずつ表面層を形成してもよい。
また、本発明の複合イオン交換膜の製造方法において、本発明の複合イオン交換膜は、固定されたベース膜を用いてバッチ式(バッチ方式)で製造することが可能であるが、移動するベース膜を用いて連続式(連続方式)で膜を調製してもよい。ベース膜は、連続的に巻き戻されるロール形状でもよい。
なお、連続方式の場合、連続的に動かされるベルト上に支持体を載せ、ベース膜を形成し、更に上記塗布工程、乾燥工程を連続して本発明の複合イオン交換膜を製造する、すなわち、ベース膜の形成と表面層の形成を連続式で行うことも可能である。上記ベース膜の形成は、例えば樹脂層形成用組成物の塗布及び活性放射線の照射により行われる。
(イオン交換膜モジュール・イオン交換装置)
本発明の複合イオン交換膜はモジュール化して好適に用いることができる。モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型、スタック型などが挙げられる。
また、本発明のイオン交換膜モジュールを用いて、イオン交換又は脱塩、精製させるための手段を有するイオン交換装置とすることができる。燃料電池としても好適に用いることが可能である。
本発明のイオン交換装置の一例を図2に示す。陽極電極21と陰極電極22の間にカチオン交換膜23と本発明の複合アニオン交換膜24を交互に有する電気透析層25を有しており、陽極電極21と陰極電極22には電極液タンク11から矢印31及び矢印32に示すように電極液が共有され、脱塩液は脱塩液タンク12から矢印33及び矢印34に示すように、濃縮液は濃縮液タンク13から矢印35及び矢印36に示すように、それぞれ循環する。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
(ベース膜の製造)
下記表1に示す組成の組成物の各々の塗布液を使用し、いずれもアルミ板に、150μmのワイヤ巻き棒を用いて、手動で約5m/minの速さで塗布し、続いて、不織布(Freudenberg社製 FO−2223−10、厚さ100μm)に塗布液を含浸させた。ワイヤの巻いていないロッドを用いて余分な塗布液を除去した。塗布時の塗布液の温度は約50℃であった。ワイヤを巻いていないロッドを用いて余分な塗布液を除去した。塗布時の塗布液の温度は約25℃(室温)であった。UV露光機(Fusion UV Systems社製、型式Light Hammer LH6、D−バルブ、速度10m/分、100%強度)を用いて、塗布液を含浸した支持体を重合硬化することにより、ベース膜を作製した。露光量は、UV−A領域にて1,000mJ/cm2であった。得られた各々の膜をいずれもアルミ板から取り外し、0.1M NaCl水溶液中で少なくとも12時間保存し、不織布に担持された厚さ140μmの樹脂層を作製し、ベース膜B−1とした。
塗布液の組成を表1に示すベース膜B−2又はB−3用の組成物とした以外は同様にして、ベース膜B−2及びB−3を製造した。
Figure 2018051412
表1中に記載の化合物の詳細を以下に示す。なお、表1における組成物の各成分欄における数値の単位は、有効成分の質量部である。また、表中の「−」は、当該成分を含有しないことを意味する。
ATMAC:下記構造の化合物(Kjケミカルズ(株)製)
MBA:メチレンビスアクリルアミド(東京化成工業(株)製)
ヒドロキシエチルアクリルアミド(Kjケミカルズ(株)製)
ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成(株)製)
純水:純水(和光純薬(株)製)
IPA:イソプロピルアルコール(和光純薬工業(株)製)
LiNO:硝酸リチウム(和光純薬工業(株)製)
Tegoglide 432:ポリエーテル変性シロキサンコポリマー(エボニック社製)
Darocur 1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製)
Figure 2018051412
(実施例1〜81及び比較例1〜57)
<表面層の形成>
下記表2に示す組成に従い、表面層形成用塗布液S−1〜S−10を調製した。0.1M NaCL水溶液中に保管しているベース膜を純水で洗浄し、両面を乾燥ろ紙で拭った。各実施例及び比較例において、必要に応じてプラズマ処理等の表面処理を施した後、表3〜表18に記載の表面層形成用塗布液を塗布した。表3〜表18中、ベース膜表面処理の欄に「プラズマ」と記載された例は、プラズマ処理による表面処理を行ったことを、「なし」と記載された例は表面処理を行わなかったことを、それぞれ示している。プラズマ処理は常圧プラズマ表面処理装置を用いて、窒素を15L/min、酸素を1.5L/minで供給し、500W・min/mで処理を行った。
続いて、オーブンを用いて表3〜表18に記載の乾燥温度及び乾燥時間の乾燥を行った。その後、実施例28〜54及び比較例22〜39については、後工程として、上記乾燥後に0.01M 水酸化ナトリウム水溶液に室温で2時間浸漬した。続いて、0.5M食塩水に浸漬し、膜中の水酸化ナトリウムを取り除いた。
後工程を含む表面層形成工程後、0.1M NaCl溶液中で少なくとも12時間保存した。
また、全ての実施例において、XPS分析によるSi 2pに相当するスペクトルから、Si−O−Cの構造の存在を確認した。
<透過アニオン選択性の評価>
(株)アストム製の電気透析装置マイクロアシライザーS1を用いて電気透析を行った。
アニオン交換膜としては、本発明又は比較例となる複合アニオン交換膜(以下、「AEM」ともいう。)を用い、カチオン交換膜(以下、「CEM」ともいう。)としては、CMX((株)アストム製)を用いた。装置のフローは図2に示す。図2中の矢印31及び32は電極液の移動を、矢印33及び34は脱塩液の移動を、矢印35及び36は濃縮液の移動を、それぞれ表している。
原水としては、硝酸ナトリウム0.1M、硫酸ナトリウム0.05Mの水溶液を用いた。電極液としては0.5M硫酸ナトリウム水溶液を用いた。4枚のCEMと3枚のAEMを交互になるよう積層した電気透析槽に脱塩液、濃縮液としてそれぞれ原水を流量50mL/分で供給し、電流値50mAで通電し、電導度が半分となったところで通電を止めた。
脱塩室のイオン組成をイオンクロマトグラフィーにより定量し、下記の式によって硝酸イオン及び硫酸イオンの除去率を算出した。
(除去率)=((電気透析前のイオン濃度)−(電気透析後のイオン濃度))/(電気透析前のイオン濃度)×100
続いて、下記の式により、透過アニオン選択性を算出した。
(透過アニオン選択性)=(硝酸イオンの除去率)/(硫酸イオンの除去率)
<選択性の経時変化の評価>
上記透過アニオン選択性(「通電前の選択性」ともいう。)の評価後、図3のように装置のフローを組み替えた。
電極液を交換し、脱塩液を原水に入れ替えた。続いて、電気透析槽に脱塩液として原水を流量100mL/分で供給し、電流値50mAで5時間通電した。その後、装置を図2に示す構成に組みなおし、再度、上記透過アニオン選択性の評価と同様にして通電後の選択性を測定した。
上記5時間通電前後での選択性の変化を以下のように評価した。
選択性の経時変化(%)=(通電後の選択性)/(通電前の選択性)×100
なお、上記透過アニオン選択性が1.1以下の例については、透過アニオン選択性なしとして本評価は行わず、結果欄には「−」と記載した。
<膜の輸率の測定>
輸率は、静的膜電位測定により膜電位(V)を測定し、算出した。
2つの電解槽(cell)は、測定対象の膜により隔てた。測定前に、膜を0.05M NaCl水溶液中で約16時間平衡化した。その後、異なる濃度のNaCl水溶液を、測定対象の膜の相対する側の電解槽に、それぞれ、注いだ。
一方のcellに0.05M NaCl水溶液を100mL注いだ。また、他方のcellに0.5M NaCl水溶液を100mL注いだ。
恒温水槽により、cell中のNaCl水溶液の温度を25℃に安定化してから、両液を膜面に向かって流しながら、両電解槽とAg/AgCl参照電極(スイスのMetrohm社製)を、塩橋で接続して膜電位(V)を測定し、下記式(II)により輸率tを算出した。
なお、膜の有効面積は1cmであった。
t=(a’+b’)/2b’ 式(II)
上記式(II)における各符号の詳細を以下に示す。
a’:膜電位(V)
b’:0.5915log(f1c1/f2c2)(V)
f1,f2:両cellのNaCl活量係数
c1,c2:両cellのNaCl濃度(M)
<透水率WP(mL/m/Pa/hr)の測定>
フィード溶液400mLとドロー溶液400mLとを、膜を介して接触させ(膜接触面積18cm)、各液はペリスタポンプを用いて流速0.11cm/秒で流した。フィード溶液中の水が膜を介してドロー溶液に浸透する速度を、フィード液とドロー液の質量をリアルタイムで測定することによって解析し、透水率(mL/m/Pa/hr)を求めた。
<表面層の負電荷密度の測定>
まず、「膜学実験法(ISBN 978−4−906126−09−5)」194頁に記載のCEMのイオン交換容量測定手順に倣い、単位面積あたりの膜に固定化されている負電荷量を測定した。一方、測定サンプルの膜面積と、厚み、及び樹脂密度から単位面積あたりのベース膜への表面層付着重量を得た。
膜面積については、長方形に切り出した測定サンプルの縦×横により測定した。
膜厚については、X線電子分光(ESCA)による厚み方向の元素分析を行い、測定した。
樹脂密度については、乾燥膜表面から表面層樹脂を削り取って粉砕し、気体置換型ピクノメーターを使用して乾式で密度測定した。
(負電荷量)/(付着重量)を負電荷密度(当量/g)とした。
乾燥後、水に浸漬した時点で表面層が剥がれ落ちてしまった例については、本測定を行わず、結果欄には「−」と記載した。
<表面層の厚さの測定>
X線電子分光(ESCA)による厚み方向の元素分析を行い、Siの存在範囲を膜厚とした。
乾燥後、水に浸漬した時点で表面層が剥がれ落ちてしまった例については、本測定を行わず、結果欄には「0」と記載した。
Figure 2018051412
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表2中に記載の化合物の詳細を以下に示す。なお、表2における組成物の各成分欄における数値の単位は、有効成分の質量部である。また、表中の「−」は、当該成分を含有しないことを意味する。
3-(Trihydroxysilyl)-1-Propanesulfonic Acid:(Gelest社製)
3-(Triethoxysilyl) propylsuccinic anhydride:(Gelest社製)
N-(Trimethoxysilylpropyl) Ethylenediamine Triacetic Acid, Trisodium Salt:(Gelest社製)
Carboxyethylsilanetriol, Sodium Salt:(シグマアルドリッチ社製)
1M HCl:(シグマアルドリッチ社製)
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(数平均分子量70,000):(シグマアルドリッチ社製)
1 ベースとなるアニオン交換膜、2 表面層、11 電極液タンク、12 脱塩液タンク、13 濃縮液タンク、21 陽極電極、22 陰極電極、23 カチオン交換膜、24 複合アニオン交換膜、25 電気透析層、31、32 電極液の移動、33、34 脱塩液の移動、35、36 濃縮液の移動

Claims (9)

  1. アニオン性官能基を有する表面層を、ベースとなるアニオン交換膜の片面又は両面に有し、
    前記表面層におけるアニオン性官能基の密度が3.0当量/g〜10.0当量/gであることを特徴とする
    複合アニオン交換膜。
  2. 前記表面層と、前記ベースとなるアニオン交換膜とが、共有結合を介して接着している、請求項1に記載の複合アニオン交換膜。
  3. 前記アニオン性官能基が、スルホ基、カルボキシ基、又は、リン酸基である、請求項1又は2に記載の複合アニオン交換膜。
  4. 前記表面層に下記式1の構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合アニオン交換膜。
    Figure 2018051412
    式1中、Rはそれぞれ独立に、アニオン性官能基を表し、iは1〜5の整数を表し、L1はi+m価の連結基を表し、*はそれぞれ独立に、ベースとなるアニオン交換膜又は表面層素材との結合位置を表し、jは1〜3の整数を表し、R2はそれぞれ独立に、1価の有機基を表し、kは(3−j)の整数を表し、構造内に複数のR及びRが存在する場合、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、mは1以上の整数を表す。
  5. 前記ベースとなるアニオン交換膜が、ヒドロキシ基を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の複合アニオン交換膜。
  6. ベースとなるアニオン交換膜の片面又は両面に、アニオン性官能基を有するシランカップリング剤を含む表面層形成用塗布液を塗布する塗布工程、及び、
    前記表面層形成用塗布液を乾燥させる乾燥工程を含む、
    複合アニオン交換膜の製造方法。
  7. 前記塗布工程の前に、ベースとなるアニオン交換膜にプラズマ処理を行うプラズマ処理工程を更に含む、
    請求項6に記載の複合アニオン交換膜の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の複合アニオン交換膜を備えたイオン交換膜モジュール。
  9. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の複合アニオン交換膜を備えたイオン交換装置。
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