JP2014069155A - 高分子機能性膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透水率の抑制、イオンの輸率及びpH耐性に優れたイオン交換膜としての高分子機能性膜を提供する。
【解決手段】(A)一般式(1)で表される重合性化合物と(B)単官能重合性化合物を含有する組成物を硬化させてなる高分子機能性膜。
Figure 2014069155

R1は水素またはメチル基:L1は炭素数2〜4のアルキレン基:L2は連結基を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、イオン交換膜、逆浸透膜、正浸透膜またはガス分離膜等に有用な高分子機能性膜及びその製造方法に関する。
高分子機能性膜として、各種の機能を有する膜として、イオン交換膜、逆浸透膜、正浸透膜またはガス分離膜等が知られている。
例えば、イオン交換膜は、電気脱塩(EDI:Electrodeionization)、連続的な電気脱塩(CEDI:Continuous Electrodeionization)、電気透析(ED:Electrodialysis)、逆電気透析(EDR:Electrodialysis reversal)等に用いられる。
電気脱塩(EDI)は、イオン輸送を達成するために薄膜と電位を使用して、水性液体からイオンが取り除かれる水処理プロセスである。従来のイオン交換のような他の浄水技術と異なり、酸または苛性ソーダのような化学薬品の使用を要求せず、超純水を生産するために使用することができる。電気透析(ED)および逆電気透析(EDR)は、水および他の流体からイオン等を取り除く電気化学の分離プロセスである。
イオン交換膜では、輸率及びpH耐性の改良研究が行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、高分子機能性膜としての更なる性能の向上が求められており、これ以外の高分子機能性膜の特性の向上も要求されるようになってきている。
国際公開第2011/073637号パンフレット 国際公開第2011/073638号パンフレット 国際公開第2011/025867号パンフレット
本発明者らの研究では、従来の高分子機能性膜は、例えば、pH耐性はさらに向上することができる余地があり、また、高分子機能性膜としての用途を格段に高めるためには、透水率をさらに低下させることが重要であることがわかった。
本発明は、広範な用途に用いることができる、各種の物質の輸率を低下させることなく、透水率の抑制及びpH耐性に優れた高分子機能性膜およびその製造方法を提供することを課題とする。その中でも特に、本発明は、透水率の抑制、イオンの輸率及びpH耐性に優れた、イオン交換膜としての高分子機能性膜を提供することを課題とする。
本発明者らは上記問題点に鑑み、高分子機能性膜に適した重合性化合物について鋭意研究を行った。その結果、下記一般式(1)で表される構造を有する多官能重合性化合物を用いた高分子機能性膜は、良好なイオンの輸率及びpH耐性を示すだけでなく、イオン交換膜として用いた際に良好な低透水率を示すことを見いだした。本発明はこれらの知見に基づき成されるに至った。
すなわち、本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
<1>(A)下記一般式(1)で表される重合性化合物、及び(B)単官能重合性化合物を含有する組成物を硬化させてなる高分子機能性膜。
Figure 2014069155
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは炭素原子数2〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表す。ただし、Lにおいて、Lの両端に結合する酸素原子と窒素原子とがLの同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。Lは2価の連結基を表す。kは2または3を表す。x、yおよびzは、各々独立に0〜6の整数を表し、x+y+zは0〜18を満たす。)
<2>前記(B)単官能重合性化合物が、解離基を有する前記<1>項に記載の高分子機能性膜。
<3>前記解離基が、スルホ基もしくその塩、カルボキシル基もしくはその塩、アンモニオ基およびピリジニオ基から選択される前記<2>項に記載の高分子機能性膜。
<4>前記(B)単官能重合性化合物が、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドである前記<1>〜<3>項のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
<5>前記(B)単官能重合性化合物100質量部に対して、前記(A)一般式(1)で表される重合性化合物が、1〜45質量部である前記<1>〜<4>項のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
<6>前記組成物が、さらに(E)溶媒を含む前記<1>〜<5>項のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
<7>前記(E)溶媒が、水および水溶性溶媒から選択される溶媒である前記<6>項に記載の高分子機能性膜。
<8>前記組成物中の前記(E)溶媒の含有量が、10〜50質量%である前記<6>又は<7>項に記載の高分子機能性膜。
<9>支持体を有する前記<1>〜<8>項のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
<10>前記組成物を前記支持体に含浸させた後に硬化反応させてなる<1>〜<8>のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
<11>前記高分子機能性膜が、イオン交換膜、逆浸透膜、正浸透膜またはガス分離膜である前記<1>〜<10>項のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
<12>(A)下記一般式(1)で表される重合性化合物、(B)単官能重合性化合物を含有する組成物をエネルギー線照射して重合する高分子機能性膜の製造方法。
Figure 2014069155
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは炭素原子数2〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表す。ただし、Lにおいて、Lの両端に結合する酸素原子と窒素原子とがLの同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。Lは2価の連結基を表す。kは2または3を表す。x、yおよびzは、各々独立に0〜6の整数を表し、x+y+zは0〜18を満たす。)
本明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、「解離基」とは、その成分原子、イオン、原子団等に可逆的に分解することができる基をいう。
本発明において、「(メタ)アクリル」等の記載は、−C(=O)CH=CHおよび/または−C(=O)C(CH)=CHを意味するものであり、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを、それぞれ表す。
また、各一般式において、特に断りがない限り、複数存在する同一符号の基がある場合、これらは互いに同一であっても異なってもよく、同じく、複数の部分構造の繰り返しがある場合は、これらの繰り返しが同一の繰り返しでも、また規定する範囲で異なった繰り返しの混合の両方を意味するものである。
さらに、各一般式における二重結合の置換様式である幾何異性体は、表示の都合上、異性体の一方を記載したとしても、特段の断りがない限り、E体であってもZ体であっても、これらの混合物であっても構わない。
本発明によれば、透水率の抑制及びpH耐性に優れた高分子機能性膜を提供することがでる。さらに、本発明によれば、イオン交換膜として主要な性質である、透水率の抑制、イオンの輸率及びpH耐性の全てに優れる高分子機能性膜を提供することができる。
図1は、下記重合性化合物1のH−NMRスペクトルのチャートである。 図2は、膜の透水率を測定するための装置の流路を模式的に表したものである。
本発明の高分子機能性膜(以下、単に「膜」と称することもある。)は、(A)一般式(1)で表される重合性化合物、及び(B)単官能重合性化合物を必須成分として含有し、必要に応じて更に、(C)重合開始剤、(D)重合禁止剤、(E)溶媒を含有する組成物を硬化反応して形成される。
本発明の高分子機能性膜は、イオン交換、逆浸透、正浸透、ガス分離等を行うために用いることができる。以下、本発明の好ましい実施形態について、前記高分子機能性膜がイオン交換膜としての機能を有する場合を例に挙げて説明する。
本発明の高分子機能性膜は、アニオン交換膜またはカチオン交換膜である。
膜の厚さは、支持体を含めて、好ましくは1000μm未満、より好ましくは10〜300μm、最も好ましくは20〜200μmである。
本発明の高分子機能性膜は、膜ならびに得られる膜と接触し続けている任意の多孔質支持体、膜の中に包含されている多孔質支持体および任意の多孔質補強材料の全乾燥質量に基づき、好ましくは0.3meq/g以上、より好ましくは0.5meq/g以上、特に好ましくは1.0meq/g以上のイオン交換容量を有する。イオン交換容量は、以下の実施例に記載するような滴定により測定することができる。
本発明の高分子機能性膜(アニオン交換膜)のClなどのアニオンに対する選択透過性は、好ましくは75%を超え、より好ましくは80%を超え、特に85%を超え、最も好ましくは90%を超える。本発明の高分子機能性膜(カチオン交換膜)のNaなどのカチオンに対する選択透過性は、好ましくは75%を超え、より好ましくは80%を超え、特に好ましくは85%を超え、最も好ましくは90%を超える。
本発明の高分子機能性膜の電気抵抗(膜抵抗)は、好ましくは10Ω・cm未満、より好ましくは5Ω・cm未満、最も好ましくは3Ω・cm未満である。電気抵抗の下限に特に制限はないが、0.1Ω・cm以上であることが実際的である。
本発明の高分子機能性膜の吸水量は、乾燥膜の質量に基づき、好ましくは70%未満、より好ましくは50%未満、特に好ましくは30%未満である。
電気抵抗、選択透過性は、Membrane Science,319,217〜218(2008)に記載されている方法により測定することができる。
本発明の高分子機能性膜の透水率は、20×10―5ml/(m・Pa・hr)以下であることが好ましく、15×10―5ml/(m・Pa・hr)以下であることがより好ましく、10×10―5ml/(m・Pa・hr)以下であることが最も好ましい。
典型的には、本発明の高分子機能性膜は実質的に非孔質であり、例えば、細孔は標準的な走査型電子顕微鏡(SEM)の検出限界より小さい。したがって、Jeol JSM−6335F電界放射型SEMを用いると(2kVの加速電圧を印加、作動距離4mm、絞り4、試料は厚さ1.5nmのPtでコーティング、倍率は×100,000倍、視野の傾斜3°)、平均細孔サイズは一般に5nmより小さい。
次に、本発明の高分子機能性膜を作成するための組成物の各成分について説明する。
<成分>
(A)一般式(1)で表される重合性化合物
本発明の高分子機能性膜は、下記一般式(1)で表される重合性化合物を含む組成物を硬化させてなる。
一般式(1)で表される重合性化合物は、分子内に重合性基として4つのアクリルアミド基及び/又はメタクリルアミド基を有し、高い重合能及び硬化能を備え、pH耐性、機械強度にも優れる。しかも、例えば、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外光線、電子線等の活性エネルギー線や熱等のエネルギーを付与することにより、容易に重合して高分子膜を得ることができる。また、一般式(1)で表される化合物は水溶性を示し、水やアルコール等の水溶性有機溶剤に良好に溶解する。
Figure 2014069155
一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは炭素原子数2〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表す。ただし、Lにおいて、Lの両端に結合する酸素原子と窒素原子とがLの同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。Lは2価の連結基を表す。kは2または3を表す。x、yおよびzは、各々独立に0〜6の整数を表し、x+y+zは0〜18を満たす。
は水素原子またはメチル基を表す。複数のRは互いに同じでも異なっていてもよい。Rは、水素原子であることが好ましい。
は、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表す。複数のLは互いに同じでも異なっていてもよい。Lのアルキレン基の炭素数は、3または4が好ましく、3がより好ましく、なかでも、炭素数3の直鎖のアルキレン基が特に好ましい。Lのアルキレン基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としてはアリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
ただし、Lにおいて、Lの両端に結合する酸素原子と窒素原子とがLの同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。Lは酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とを連結する直鎖または分岐のアルキレン基であり、該アルキレン基が分岐構造をとる場合、両端の酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とがアルキレン基中の同一の炭素原子に結合した、−O−C−N−構造(ヘミアミナール構造)をとることも考えられる。しかし、本発明で用いる一般式(1)で表される重合性化合物は、このような構造の化合物は含まれない。分子内に−O−C−N−構造を有すると、該炭素原子の位置で分解が起こりやすい。特に、このような化合物は、保存中に分解されやすく、また水、水分の存在下で分解が促進され、硬化組成物の保存安定性を低下させる。
における2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、またはこれらの組み合わせからなる基等が挙げられ、アルキレン基であることが好ましい。なお、2価の連結基がアルキレン基を含む場合、このアルキレン基中にはさらに−O−、−S−および−N(Ra)−から選ばれる少なくとも1種の基が含まれていてもよい。ここで、Raは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
なお、アルキレン基中に−O−を含むとは、例えば、−アルキレン−O−アルキレン−のように、連結基の連結鎖のアルキレン基が上記ヘテロ原子を介して連結したものである。
−O−が含まれるアルキレン基の具体例としては、−C−O−C−、−C−O−C−等が挙げられる。
がアルキレン基を含む場合、アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチン、ノニレン等が挙げられる。Lのアルキレン基の炭素数は1〜6が好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。また、このアルキレン基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としてはアリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
がアリーレン基を含む場合、アリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン等が挙げられる。アリーレン基の炭素数は6〜14が好ましく、6〜10がさらに好ましく、6が特に好ましい。このアリーレン基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
が2価の複素環基を含む場合、この複素環は、5員または6員環が好ましく、縮環していてもよい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。2価の複素環基の複素環は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。なかでも、芳香族複素環が好ましく、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが好ましい。
2価の複素環基の複素環の2つの結合手の位置は、特に限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能で、2つの結合手はいずれの位置でも構わない。
また、2価の複素環基の複素環は、さらに置換基を有してもよく、該置換基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
kは2または3を表すが、複数のkは互いに同じでも異なっていてもよい。また、C2kは直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。
x、yおよびzは各々独立に0〜6の整数を表し、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましい。x+y+zは0〜18を満たすが、0〜15が好ましく、0〜9がより好ましい。
一般式(1)で表される重合性化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2014069155
一般式(1)で表される重合性化合物は、例えば、下記スキーム1又はスキーム2に従って製造することができる。本実施形態の高分子機能性膜には、一般式(1)で表される化合物を2種以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 2014069155
スキーム1
(第一工程)アクリロニトリルとトリスヒドロキシメチルアミノメタンとの反応によりポリシアノ化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜60℃で、2〜8時間行なうことが好ましい。
(第二工程)ポリシアノ化合物を、触媒存在下で水素と反応させ、還元反応によりポリアミン化合物を得る工程。この工程の反応は、20〜60℃で、5〜16時間行なうことが好ましい。
(第三工程)ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、1〜5時間行なうことが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物又はジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。
Figure 2014069155
なお、Bzはベンジル基を表す。
スキーム2
(第一工程)アミノアルコールの窒素原子に、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基等による保護基導入反応により窒素保護アミノアルコール化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、3〜5時間行なうことが好ましい。
(第二工程)窒素保護アミノアルコール化合物のOH基に、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の脱離基を導入し、スルホニル化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、2〜5時間行なうことが好ましい。
(第三工程)スルホニル化合物とトリスヒドロキシメチルニトロメタンとのS2反応により、アミノアルコール付加化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜70℃で、5〜10時間行なうことが好ましい。
(第四工程)アミノアルコール付加化合物を、触媒存在下で水素と反応させ、水素添加反応によりポリアミン化合物を得る工程。この工程の反応は、20〜60℃で、5〜16時間行なうことが好ましい。
(第五工程)ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、1〜5時間行なうことが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物又はジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。
上記工程により得られた化合物は、反応生成液から常法により精製できる。例えば、有機溶媒を用いた分液抽出、貧溶媒を用いた晶析、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーなどによって精製できる。
(B)単官能重合性化合物
本発明の機能性高分子膜は、上記(A)一般式(1)で表される重合性化合物と(B)単官能重合性化合物とを重合(硬化)することで得られる。
このような単官能重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、芳香族ビニル化合物、N−ビニル化合物(アミド結合を有する重合性モノマー)、アリル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、得られた機能性高分子膜の安定性、pH耐性から、エステル結合を有さないもの、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、芳香族ビニル化合物、N−ビニル化合物(アミド結合を有する重合性モノマー)、アリル化合物が好ましく、(メタ)アクリルアミド化合物が特に好ましい。
単官能重合性化合物としては、例えば、特開2008−208190号公報や特開2008−266561号公報に記載の化合物が挙げられる。
これらの単官能重合性化合物は、高分子膜の機能付与に、後述するように、解離基を有するものが好ましい。
例えば、(メタ)アクリレート化合物では、エステルのアルコール部に置換基(好ましい置換基は後述の置換基が挙げられる)を有するもの、特に、アルコールのアルキル部に解離基を有するものが好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物として、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014069155
一般式(2)中、R10は水素原子またはメチル基を表す。R11は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R12は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。 ここで、R11とR12が互いに結合して環を形成してもよい。
10は水素原子が好ましい。
11およびR12におけるアルキル基としては、炭素数は1〜18が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。例えば、メチル、エチルn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、n−デシル、n−オクタデシルが挙げられる。
これらのアルキル基は、直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
アルキル基の置換基としては、水酸基、スルホ基もしくはその塩、カルボキシル基もしくはその塩、オニオ基(アンモニオ基、ピリジニオ基、スルホニオ基など)、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、シアノ基などが挙げられる。
本発明においては、特に高分子膜の機能を付与するために、このアルキル基の置換基で機能を付与することが好ましい。このため、上記置換基のなかでも、解離基、極性の置換基が好ましく、解離基が特に好ましい。
解離基は上記で挙げた、水酸基(特に、フェノール性またはエノール性の水酸基)、スルホ基もしくはその塩、カルボキシル基もしくはその塩、オニオ基(アンモニオ基、ピリジニオ基、スルホニオ基など)が好ましく、スルホ基もしくはその塩、カルボキシル基もしくはその塩、オニオ基がより好ましい。
ここで、スルホ基またはカルボキシル基における塩としては、アルカリ金属原子のカチオン、例えば、リチウムカチオン、カリウムカチオン、ナトリウムカチオンが好ましい。
オニオ基としては、下記一般式(a)または(b)で表される基が好ましい。
一般式(a) 一般式(b)
−N(Rb) −S(Rb)
一般式(a)、(b)中、Rbは、アルキル基またはアリール基を表す。複数のRbは互いに同じでも異なってもよく、2つのRbが互いに結合して環を形成してもよい。
は陰イオンを表す。
Rbにおけるアルキル基は炭素数1〜18が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。該アルキル基は置換基を有してもよく、このような置換基としてはR11およびR12におけるアルキル基が有してもよい置換基が挙げられる。なかでもアリール基が好ましい。Rbにおけるアリール基が置換したアルキル基では、ベンジル基が好ましい。
Rbにおけるアリール基は炭素数が6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
Rbにおけるアリール基は置換基を有してもよく、このような置換基としてはR11およびR12におけるアルキル基が有してもよい置換基が挙げられる。
2つのRbが互いに結合して形成される環は5または6員環が好ましい。
このような環としては、一般式(a)では、含窒素芳香環が好ましく、なかでもピリジン環が好ましい。
の陰イオンは、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、安息香酸イオン)、硫酸イオン、有機硫酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン)、OHなどが挙げられる。
一般式(a)で表される基は、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、トリブチルアンモニオ、ジメチルベンジルアンモニオ、ジメチルフェニルアンモニオ、ジメチルセチルアンモニオ、ピリジニオが挙げられる。
一般式(b)で表される基としては、ジメチルスルホニオ、メチルベンジルスルホニオ、メチルフェニルスルホニオが挙げられる。
一般式(a)、(b)で表される基のうち一般式(a)で表される基が好ましい。
11およびR12におけるアルキル基が有してもよい置換基のうち、上記解離基以外では極性基が好ましく、アシル基、アミノ基が好ましく、特にアミノ基が好ましい。アミノ基は、第3級アミノ基が好ましく、下記一般式(c)で表される基が好ましい。
一般式(c)
−N(Rb)
一般式(c)中、Rbは、前記一般式(a)におけるRbと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(c)で表される基としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノが挙げられる。
11およびR12におけるアルキル基が有してもよい置換基のうち、アシル基は、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基のいずれでもよいが、アルキルカルボニル基が好ましい。アルキルカルボニル基の炭素数は2〜12が好ましく、アリールカルボニル基の炭素数は7〜12が好ましい。アシル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、ベンゾイルが挙げられる。
11およびR12におけるアルキル基が置換基を有する場合、アルキル基部分の炭素数は1〜6が好ましく、1〜3が好ましい。
11とR12が互いに結合して形成される環としては、炭化水素環であってもヘテロ環であってよい。ヘテロ環の場合、環構成原子が酸素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましい。
11とR12が互いに結合して形成される環は5または6員環が好ましい。
これらの環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、フラン環、ピロール環、オフェン環などが挙げられる。
上記一般式(2)において、R11およびR12のうち、一方が、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
前記一般式(2)で表される(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物の具体例として、下記例示化合物(B−1)〜(B−23)が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2014069155
Figure 2014069155
これらの化合物は、興人(株)、協和発酵ケミカル(株)、Fluka(株)、aldrich(株)、東亜合成(株)から市販されていたり、公知の方法で容易に合成できる。
前記(A)一般式(1)で表される重合性化合物と上記(B)単官能重合性化合物の含有量の割合は、上記(B)単官能重合性化合物100質量部に対して、前記(A)一般式(1)で表される重合性化合物が、1〜50質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましい。
上記好ましい範囲内であると所望の硬化性、pH耐性、機械強度、柔軟性に優れる。
(C)重合開始剤
本発明の組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤の中でも、本発明においては、エネルギー線照射で重合させることが可能な光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機化酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びにアルキルアミン化合物等が挙げられる。
芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキシド化合物、及び、チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」,p.77〜117(1993)に記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号明細書、欧州特許出願公開第0284561A1号明細書に記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報に記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報に記載のクマリン類等を挙げることができる。また、特開2008−105379号公報、特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。また、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
本発明では、水溶性の重合開始剤が好ましい。
ここで、重合開始剤が水溶性であるとは、25℃において蒸留水に0.1質量%以上溶解することを意味する。前記水溶性の光重合開始剤は、25℃において蒸留水に0.5質量%以上溶解することが更に好ましく、1質量%以上溶解することが特に好ましい。
これらのなかでも、本実施形態における硬化性組成物に好適な光重合開始剤は、芳香族ケトン類(特に、α−ヒドロキシ置換ベンゾイン化合物)又はアシルホスフィンオキサイド化合物である。特に、p−フェニルベンゾフェノン(和光純薬工業社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819、BASF・ジャパン社製)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Darocur TPO、BASF・ジャパン社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure 369、BASF・ジャパン社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure 907、BASF・ジャパン社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Irgacure 2959、BASF・ジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(Darocure1173、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)が好ましく、水溶性と加水分解耐性の観点から、Irgacure 2959(BASF・ジャパン社製)、Darocure1173(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)が最も好ましい。
本発明において、重合開始剤の含有量は、組成物中の全固形分質量100質量部に対し、0.1〜10質量部か好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.3〜2質量部がさらに好ましい。
(D)重合禁止剤
本発明においては、重合禁止剤を含むことも好ましい。
重合禁止剤としては、公知の重合禁剤が使用でき、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、アミン化合物、メルカプト化合物などが挙げられる。
フェノール化合物としては、ヒンダードフェノール(オルト位にt−ブチル基を有するフェノールで、代表的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールが挙げられる)、ビスフェノールが挙げられる。ハイドロキノン化合物の具体例としては、モノメチルエーテルハイドロキノンが挙げられる。また、アミン化合物の具体例としては、N−ニトロソ―N−フェニルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等が挙げられる。
なお、これらの重合禁止剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
重合禁止剤の含有量は、組成物中の全固形分質量100質量部に対し、0.01〜5質量部か好ましく、0.01〜1質量部がより好ましく、0.01〜0.5質量部がさらに好ましい。
(E)溶媒
本発明の組成物は、(E)溶媒を含んでいてもよい。組成物中の(E)溶媒の含有量は、全組成物に対し、5〜50質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。
溶媒を含むことで、硬化(重合)反応が、均一にしかもスムーズに進行する。また、多孔質支持体へ組成物の含浸させる場合に含浸がスムーズに進行する。
(E)溶媒は、水に対する溶解度が5質量%以上であるものが好ましく用いられ、さらには水に対して自由に混合するものが好ましい。このため、水および水溶性溶媒から選択される溶媒が好ましい。
水溶性溶媒としては、特に、アルコール系溶媒、非プロトン性極性溶媒であるエーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、二トリル系溶媒、有機リン系溶媒が好ましい。
アルコール系溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは1種類単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
また、非プロトン性極性溶剤としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、ジオキサン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ピリジン、プロピオニトリル、ブタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジアセテート、γ−ブチロラクトン等が好ましい溶剤として挙げられ、中でもジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、アセトン又はアセトニトリル、テトラヒドロフランが好ましい。これらは1種類単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
(F)アルカリ金属化合物
本実施形態における硬化性組成物は、前記(メタ)アクリルアミド構造を有する化合物の溶解性を向上させるために(F)アルカリ金属化合物を含んでいてもよい。アルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウムの水酸化物塩、塩化物塩、硝酸塩等が好ましい。中でも、リチウム化合物がより好ましく、その具体例としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム、ヨウ化リチウム、リチウム塩素酸塩、チオシアン酸リチウム、過塩素酸リチウム、リチウム・テトラフルオロボラート、リチウム・ヘキサフルオロホスファート、リチウム・ヘキサフルオロアルセナートが挙げられる。
ここで、アルカリ金属化合物は、組成物、組成物溶液混合物を中和するために使用することも好ましい。
これらのアルカリ金属化合物は水和物であってもよい。また、1種単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物を添加する場合の添加量は、組成物中の全固形分質量100質量部に対し、0.1〜20質量部か好ましく、1〜20質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。
上記アルカリ金属化合物以外に、必要により、例えば、界面活性剤、粘度向上剤、表面張力調整剤、防腐剤を含有してもよい。
次に、本実施形態の高分子機能性膜の製造方法を説明する。
本実施形態の高分子機能性膜は、固定された支持体を用いてバッチ式で調製することが可能であるが、移動する支持体を用いて連続式で膜を調製することもできる。支持体は、連続的に巻き戻されるロール形状でもよい。なお、連続式で膜を調製する場合、連続的に動かされるベルト上に支持体を載せ、膜を調製することができる(または、これらの方法の組み合わせ)。そのような技術を用いると、本発明の上記組成物を連続式で支持体に施用することができ、または、それを大規模なバッチ式で施用することができる。
なお、支持体と別に、組成物を多孔質支持体に浸漬させ硬化反応が終わるまでの間、仮支持体(硬化反応終了後、仮支持体から膜を剥がす)を用いてもよい。
このような仮支持体は、物質透過を考慮する必要がなく、例えば、PETフィルムやアルミ板等の金属板を含め、膜形成のために固定できるものであれば、どのようなものでも構わない。
また、組成物を多孔質支持体に浸漬させ、多孔質支持体以外の支持体を用いずに硬化させることもできる。
上記組成物は、任意の適した方法、例えば、カーテンコーティング、押し出しコーティング、エアナイフコーティング、スライドコーティング、ニップロールコーティング、フォワードロールコーティング、リバースロールコーティング、浸漬コーティング、キスコーティング、ロッドバーコーティングまたは噴霧コーティングにより、多孔質支持体層に施用することができる。多層のコーティングは、同時または連続して行うことができる。多層の同時コーティングには、カーテンコーティング、スライドコーティング、スロットダイコーティングおよび押し出しコーティングが好ましい。
従って、好ましい方法では、本発明の組成物を、移動している支持体に連続的に、より好ましくは、硬化性組成物施用ステーションと、該組成物を硬化するための照射源と、膜収集ステーションと、支持体を硬化性組成物施用ステーションから照射源および膜収集ステーションに移動させるための手段とを含む製造ユニットにより、施用する。
本製造例では、(i)硬化性組成物を多孔質支持体に施用し(ii)当該組成物を光照射により硬化反応し、(iii)所望により膜を支持体から取り外す、という過程を経て本実施形態の高分子機能性膜が作成される。
硬化性組成物施用ステーションは照射源に対し上流の位置に置くことができ、照射源は複合膜収集ステーションに対し上流の位置に置かれる。
高速コーティング機による施用に十分な流動性を有するために、本発明の組成物は、好ましくは35℃で測定して4000mPa.s未満、より好ましくは35℃で測定して1〜1000mPa.sの粘度を有する。硬化性組成物の粘度は、35℃で測定して1〜500mPa.sであることが、最も好ましい。スライドビードコーティングのようなコーティング法の場合、好ましい粘度は、35℃で測定して1〜100mPa.sである。
適したコーティング技術を用いると、本発明の組成物を、15m/minを超える速度、例えば、20m/minを超える速度で移動する支持体に施用することができ、または、さらに高速、例えば、60m/min、120m/min、もしくは最高400m/minに達することができる。
特に支持体を膜に残して機械的強度をもたらすことを意図する場合、本発明の組成物を支持体の表面に施用する前に、この支持体を、例えば支持体の湿潤性および付着力を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理などに付してもよい。
硬化反応中に、(A)一般式(1)で表される重合性化合物、及び(B)単官能重合性化合物が重合してポリマーを形成する。硬化反応は、30秒以内に膜を形成するのに十分な迅速さで硬化が起こるという条件で、光照射により行うことができる。
本発明の組成物の硬化は、該組成物を支持体層に施用して好ましくは60秒以内、より好ましくは15秒以内、特に5秒以内、最も好ましくは3秒以内に開始する。
硬化は、組成物に好ましくは10秒未満、より好ましくは5秒未満、特に好ましくは3秒未満、最も好ましくは2秒未満にわたり光を照射することにより達成する。連続法では照射を連続的に行い、組成物が照射ビームを通過して移動する速度が、硬化反応時間の期間を主として決定する。
強度の高いUV光を硬化反応に用いる場合、かなりの量の熱が生じる可能性がある。したがって、過熱を防ぐために、冷却用空気をランプおよび/または支持体/膜に施用してもよい。しばしば、著しい線量のIR光がUVビームと一緒に照射される。一態様では、硬化を、IR反射性石英プレートに通してフィルタリングしたUV光を用いる照射により実施する。
硬化では紫外線を用いることが好ましい。適した波長は、組成物中に包含される任意の光開始剤の吸収波長と波長が適合するという条件で、例えばUV−A(400〜>320nm)、UV−B(320〜>280nm)、UV−C(280〜200nm)である。
適した紫外線源は、水銀アーク灯、炭素アーク灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、旋回流プラズマアーク灯、金属ハロゲン化物灯、キセノン灯、タングステン灯、ハロゲン灯、レーザーおよび紫外線発光ダイオードである。中圧または高圧水銀蒸気タイプの紫外線発光ランプがとりわけ好ましい。これに加えて、ランプの発光スペクトルを改変するために、金属ハロゲン化物などの添加剤が存在していてもよい。大抵の場合、200〜450nmに発光極大を有するランプがとりわけ適している。
照射源のエネルギー出力は、好ましくは20〜1000W/cm、好ましくは40〜500W/cmであるが、所望の暴露線量を実現することができるならば、これより高いまたは低いことができる。暴露強度は、膜の最終構造に影響を及ぼす硬化度を制御するために用いることができるパラメーターの一つである。暴露線量は、High
Energy UV Radiometer(EIT−Instrument MarketsからのUV Power PuckTM)により、該装置で示されたUV−B範囲で測定して、好ましくは少なくとも40mJ/cm、より好ましくは40〜1000mJ/cm、もっとも好ましくは50〜500mJ/cmである。暴露時間は自由に選ぶことができるが、短いことが好ましく、典型的には2秒未満である。
速いコーティング速度において所望の線量に到達させるためには、硬化性組成物が1より多くのランプに暴露されるように、1より多くのUVランプが必要である可能性がある。2以上のランプを施用する場合、すべてのランプが同等の線量をもたらすことができ、または各ランプが個々の設定を有することができる。例えば、第1のランプは、第2もしくは後続するランプより高い線量をもたらすことができ、または第1のランプの暴露強度はより低くてもよい。
とりわけ良好な機械的強度を有する本実施形態の膜を提供するために、多くの技術を用いることができる。例えば、膜の補強材料として支持体を用いることができ、好ましくは多孔質支持体を使用することができる。この多孔質支持体は、前記組成物を含浸させた後硬化反応させることにより膜の一部を構成することができる。
補強材料としての多孔質支持体としては、例えば、合成織布または合成不織布、スポンジ状フィルム、微細な貫通孔を有するフィルム等が挙げられる。本発明の多孔質支持体を形成する素材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらのコポリマーであるか、あるいは、例えばポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルミド(polyethermide)、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレンおよびそれらのコポリマーに基づく多孔質膜であることができる。市販の多孔質支持体および補強材料は、例えば、日本バイリーンやFreudenberg
Filtration Technologies(Novatexx材料)およびSefar AGから市販されている。硬化前に多孔質補強材料を硬化性組成物に施用する態様では、多孔質補強材料が、硬化に用いられる波長の照射を通過させることができるものであり、および/または、硬化性組成物が、段階(iii)で硬化されるように、多孔質補強材料に浸透することができるものであることが好ましい。
多孔質支持体は親水性を有することが好ましい。支持体に親水性を付与するための手法として、コロナ処理、オゾン処理、硫酸処理、シランカップリング剤処理などの一般的な方法を使用することができる。
本実施形態の高分子機能性膜は、特にイオン交換で使用することを主として意図している。しかしながら、本発明の高分子機能性膜はイオン交換に限定されるものではなく、逆浸透及びガス分離にも好適に用いることができると考えられる。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
(多官能重合性化合物の合成)
−重合性化合物1の合成−
下記スキームにしたがって、前記で例示した重合性化合物1を合成した。
Figure 2014069155
(第一工程)
スターラーバーを備えた1L容の三口フラスコに、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(東京化成工業社製)121g(1当量)、50%水酸化カリウム水溶液84ml、トルエン423mlを加えて攪拌し、水浴下、反応系中を20〜25℃で維持し、アクリロニトリル397.5g(7.5当量)を2時間かけて滴下した。滴下後、1.5時間攪拌した後、トルエン540mlを反応系中に追加し、その反応混合物を分液漏斗へ移し水層を除いた。残った有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去することによりアクリロニトリル付加体を得た。得られた物質のH NMR、MSによる分析結果は既知物と良い一致を示したため、さらに精製することなく次の還元反応に用いた。
(第二工程)
1L容オートクレーブに先に得られたアクリロニトリル付加体を24g、Ni触媒48g(ラネーニッケル2400、W.R.Grace&Co.社製)、25%アンモニア水:メタノール=1:1溶液600mlを入れ懸濁させ反応容器を密閉した。反応容器に10Mpaの水素を導入し、反応温度を25℃で16時間反応させた。
原料の消失をH NMRにて確認し、反応混合物をセライト濾過し、セライトをメタノールで数回洗浄した。濾液を減圧下溶媒留去することによりポリアミン体を得た。得られた物質はさらに精製することなく次の反応に用いた。
(第三工程)
攪拌機を備えた2L容の三口フラスコに先に得られたポリアミン体30g、NaHCO120g(14当量)、ジクロロメタン1L、水50mlを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド92.8g(10当量)を3時間かけて滴下し、その後、室温で3時間攪拌した。原料の消失をH NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下溶媒留去し、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去した。最後に、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=4:1)で精製し、常温で白色の固体(収率40%)を得た。上記3工程のトータル収率は40%であった。
得られた白色の固体を、下記の測定条件で、H−NMRを測定した。H−NMRスペクトルのチャートを図1に示す。
H−NMR 溶媒:重クロロホルム、内部標準:TMS
図1に示すH−NMRのデータから、3.75ppm付近のシングレットピーク(母骨格由来のピーク)の積分比6に対して、5.6ppm付近のアクリル由来の1水素のピークの積分比が4であることから、当該化合物が4つのアクリルアミド基を有することがわかった。これらの結果より、この白色の固体が、重合性化合物1で示される構造を有することを確認した。
(アニオン交換膜の作成)
下記表1に示す組成の組成物の塗布液をアルミ板に、150μmのワイヤ巻き棒を用いて、手動で約5m/minの速さで塗布し、続いて、不織布(Freudenberg社製 FO−2223−10)に塗布液を含浸させた。ワイヤの巻いていないロッドを用いて余分な塗布液を除去した。塗布時の塗布液の温度は約50℃であった。UV露光機(Fusion UV Systems社製、型式Light Hammer LH6、D−バルブ、速度15m/min、100%強度)を用いて、前記塗布液含浸支持体を硬化反応することにより、アニオン交換膜を調製した。露光量は、UV-A領域にて750mJ/cm2であった。得られた膜をアルミ板から取り外し、0.1M NaCl溶液中で少なくとも12時間保存した。得られた膜の厚さは、131μmであった。
(カチオン交換膜の作成)
前記アニオン交換膜の作成において、組成物の組成を下記表1に記載の組成に変えた以外は、前記アニオン交換膜と同様にしてカチオン交換膜を作成した。得られた膜の厚さは、135μmであった。
(実施例2)
実施例1のアニオン交換膜及びカチオン交換膜の作成において、それぞれ、組成を下記表1に記載の組成に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2のアニオン交換膜及びカチオン交換膜を作成した。得られたアニオン交換膜及びカチオン交換膜の厚さは、それぞれ、138μm及び140μmであった。
(実施例3)
実施例1のアニオン交換膜及びカチオン交換膜の作成において、それぞれ、組成を下記表1に記載の組成に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例3のアニオン交換膜及びカチオン交換膜を作成した。得られたアニオン交換膜及びカチオン交換膜の厚さは、それぞれ、140μm及び143μmであった。
(比較例)
国際公開第2011/025867号パンフレットを参照し、下記表1に記載の組成物の塗布液を、不織布(Freudenberg社製 FO−2223−10)に含浸させ、窒素雰囲気下にて80℃にて1時間熱重合することで、比較例のアニオン交換膜及びカチオン交換膜を作成した。得られたアニオン交換膜及びカチオン交換膜の厚さは、それぞれ、118μm及び120μmであった。
Figure 2014069155
[表1における略称の説明]
PW:純水
IPA:イソプロピルアルコール
NMP:N−メチルピロリドン
DPG:ジプロピレングリコール
1−PA:1−プロピルアルコール
MEHQ:モノメチルエーテルハイドロキノン
DMAPAA−Q:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩
(塩化3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム)
TMAEMC:トリメチルアンモニウムエチルメタクリルクロリド
(塩化2−メタクリルアミドエチルトリメチルアンモニウム)
AMPS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
2−SEM:2−スルホエチルメタアクリレート
HEAA:ヒドロキシエチルアクリルアミド
EGDM:エチレングリコールジメタクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
実施例1〜3及び比較例で作成したアニオン交換膜及びカチオン交換膜について、下記項目を評価した。結果を下記表2に示す。
選択透過性は、静的膜電位測定により膜電位(V)を測定し、算出した。2つの電解槽(cell)は、測定対象の膜により隔てられている。測定前に、膜を0.05M NaCl水溶液中で約16時間平衡化した。その後、異なる濃度のNaCl水溶液を、測定対象の膜の相対する側のcellにそれぞれ注いだ。
一方のcellに0.05M NaCl水溶液を100mLを注いだ。また、他方のcellに0.5M NaCl水溶液を100mLを注いだ。
恒温水槽により、cell中のNaCl水溶液の温度を25℃に安定化してから、両液を膜面に向かって流しながら、両電解槽とAg/AgCl参照電極(スイスのMetrohm社製)を、塩橋で接続して膜電位(V)を測定し、下記式(a)により輸率tを算出した。
なお、膜の有効面積は1cmであった。

t=(a+b)/2b 式(a)

前記式(a)における各符号の詳細を以下に示す。
a:膜電位(V)
b:0.5915log(f/f)(V)
,f:両cellのNaCl活量係数
,c:両cellのNaCl濃度(M)
[透水率(ml/(m・Pa・hr)]
膜の透水率を図1に示す流路10を有する装置により測定した。図2において、符号1は膜を表し、符号3及び4は、それぞれ、フィード溶液(純水)及びドロー溶液(3M NaCl)の流路を表す。また、符号2の矢印はフィード溶液から分離された水の流れを示表す。
フィード溶液400mLとドロー溶液400mLとを、膜を介して接触させ(膜接触面積18cm)、各液はペリスタポンプを用いて符号5の矢印の向きに流速8cm/秒で流した。フィード溶液中の水が膜を介してドロー溶液に浸透する速度を、フィード液とドロー液の質量をリアルタイムで測定することによって解析し、透水率を求めた。
[膜の電気抵抗(Ω・cm)]
約2時間、0.5M NaCl水溶液中に浸漬した膜の両面を乾燥ろ紙で拭い、2室型セル(有効膜面積1cm、電極にはAg/AgCl参照電極(スイスのMetrohm社製を使用)に挟んだ。両室に0.5M NaClを100mL満たし、25℃の恒温水槽中に置いて平衡に達するまで放置し、セル中の液温が正しく25℃になってから、交流ブリッジ(周波数1,000Hz)により電気抵抗rを測定した。
次に膜を取り除き、0.5M NaCl水溶液のみとして両極間の電気抵抗rを測り、膜の電気抵抗rをr−rとして求めた。
下記表2では、「膜の電気抵抗」を「膜抵抗」と省略して記載した。
[pH耐性]
pH1の塩酸水溶液とpH14の水酸化ナトリウム水溶液に、それぞれ、膜を浸漬し、40℃で3時間保持した。浸漬前の膜の透水率に対する浸漬後の膜の透水率の割合(保持率(%))を算出した。
pH1の塩酸水溶液およびpH14の水酸化ナトリウム水溶液のいずれの液においても、浸漬前後での膜の透水率の保持率が90%以上の場合を「良」、いずれかの液での膜の保持率が90%未満の場合を「不良」と評価した。
Figure 2014069155
表2から明らかなように、本発明の一般式(1)で表される前記重合性化合物1を用いた実施例1〜3のアニオン交換膜及びカチオン交換膜は、いずれも、輸率、透水率、膜抵抗及びpH耐性の全てについて良好な結果を示した。これに対し、従来公知の重合性化合物である架橋剤を用いた比較例のアニオン交換膜及びカチオン交換膜は、実施例1及び2のアニオン交換膜及びカチオン交換膜に対し、透水率及びpH耐性において劣った。
1 膜
2 フィード溶液中の水が膜を介してドロー溶液に浸透することを示す矢印
3 フィード溶液の流路
4 ドロー溶液の流路
5 液体の進行方向
10 透水率測定装置の流路

Claims (12)

  1. (A)下記一般式(1)で表される重合性化合物、及び(B)単官能重合性化合物を含有する組成物を硬化反応させてなる高分子機能性膜。
    Figure 2014069155
    (一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは炭素原子数2〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表す。ただし、Lにおいて、Lの両端に結合する酸素原子と窒素原子とがLの同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。Lは2価の連結基を表す。kは2または3を表す。x、yおよびzは、各々独立に0〜6の整数を表し、x+y+zは0〜18を満たす。)
  2. 前記(B)単官能重合性化合物が、解離基を有する請求項1に記載の高分子機能性膜。
  3. 前記解離基が、スルホ基もしくその塩、カルボキシル基もしくはその塩、アンモニオ基およびピリジニオ基から選択される請求項2に記載の高分子機能性膜。
  4. 前記(B)単官能重合性化合物が、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドである請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
  5. 前記(B)単官能重合性化合物100質量部に対して、前記(A)一般式(1)で表される重合性化合物が、1〜45質量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
  6. 前記組成物が、さらに(E)溶媒を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
  7. 前記(E)溶媒が、水および水溶性溶媒から選択される溶媒である請求項6に記載の高分子機能性膜。
  8. 前記組成物中の前記(E)溶媒の含有量が、10〜50質量%である請求項6又は7に記載の高分子機能性膜。
  9. 支持体を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
  10. 前記組成物を前記支持体に含浸させた後に硬化反応させてなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
  11. 前記高分子機能性膜が、イオン交換膜、逆浸透膜、正浸透膜またはガス分離膜である請求項1〜10のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
  12. (A)下記一般式(1)で表される重合性化合物、(B)単官能重合性化合物を含有する組成物をエネルギー線照射して重合する高分子機能性膜の製造方法。
    Figure 2014069155
    (一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは炭素原子数2〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表す。ただし、Lにおいて、Lの両端に結合する酸素原子と窒素原子とがLの同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。Lは2価の連結基を表す。kは2または3を表す。x、yおよびzは、各々独立に0〜6の整数を表し、x+y+zは0〜18を満たす。)
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