以下、本実施形態に係る病院情報システムについて、図面を参照して説明する。
(病院情報システムの構成)
図1は、本実施形態に係る病院情報システム1を示すブロック図である。病院情報システム1は、病院内における検査診断に関する予約、問診により作成される電子カルテおよび病院内における医事会計等を管理する。本実施形態に係る病院情報システム1は、さらに、患者誤認および投薬ミス等の医療過誤の発生を防止するための装置を有する。具体的には、図1に示すように、病院情報システム1は、問診用端末2と、医用情報管理装置3と、ベッドサイド端末4と、撮影端末5とを備える。問診用端末2と、医用情報管理装置3と、ベッドサイド端末4と、撮影端末5とは、ネットワークNWを介して相互に接続される。
問診用端末2は、主に医師により操作されるコンピュータ、あるいはワークステーションである。問診用端末2は、患者に対する問診の内容、当該患者へ処方する薬剤を指示する処方指示等の入力を受け付ける。本実施形態における問診用端末2は、医師により入力された患者に対する問診の内容および当該患者へ処方する薬剤を指示する処方指示を医用情報管理装置3へ転送する。
医用情報管理装置3は、問診用端末2から転送された患者に対する問診の内容を管理し、転送された処方指示に基づく当該患者に対する薬剤投与の実施状況等を管理するコンピュータ、ワークステーション、あるいはサーバである。本実施形態における医用情報管理装置3は、例えば、医療従事者により上記処方指示に基づいて患者へ薬剤を投与する場合において、上記処方指示と、薬剤投与の実行対象の患者と、実行対象の患者への投与予定の薬剤との組み合わせが正しいか否かを判定する三点認証を行う。
ベッドサイド端末4は、主に看護師等の医療従事者により操作されるコンピュータである。ベッドサイド端末4は、医療従事者による点滴交換作業等において使用される。ベッドサイド端末4は、回診台等に載積して運搬可能、または医療従事者により携行可能である。本実施形態におけるベッドサイド端末4は、例えば、医療従事者により上記処方指示に基づいて患者へ薬剤を投与する場合において、上記処方指示と、薬剤投与の実行対象である患者と、患者に投与する予定の薬剤との組み合わせが正しいか否かを確認するために使用する。
撮影端末5は、ベッドサイド端末4と同様に、主に看護師等の医療従事者により操作される。撮影端末5は、カメラ、画像を取得可能なPDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、タブレット端末、およびウェアラブル端末等である。撮影端末5は、医療従事者により携行可能である。本実施形態における撮影端末5は、例えば、医療従事者による点滴交換作業等において、薬剤投与の実行対象の患者を被写体とする光学画像(以降、患者画像と記載する。)と、実行対象の患者への投与予定の薬剤を被写体とする光学画像(以降、薬剤画像と記載する。)とを医療従事者の操作に従い生成する。撮影端末5は、生成した患者画像と薬剤画像とをネットワークNWを介してベッドサイド端末4へ転送する。
ここで、上記医用情報管理装置3とベッドサイド端末4との構成について、図面を参照して詳しく説明する。
まず、医用情報管理装置3について説明する。図2は、図1に示す医用情報管理装置3の構成を示す図である。図2に示す医用情報管理装置3は、入力インターフェース(IF)回路31と、通信インターフェース(IF)回路32と、表示回路33と、管理装置制御回路34と、データベース35と、処理回路36とを有する。入力IF回路31と、通信IF回路32と、表示回路33と、管理装置制御回路34と、データベース35と、処理回路36とは、バスBUSを介して接続される。
入力IF回路31は、トラックボール、スクロールホイール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力IF回路31は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し管理装置制御回路34へ出力する。本実施形態における入力IF回路31を操作する操作者は、医用情報管理装置3の管理者である。なお、本実施形態において、入力IF回路31は、トラックボール、スクロールホイール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を管理装置制御回路34へ出力する電気信号の処理回路も入力IF回路31の例に含まれる。
通信IF回路32は、有線あるいは無線にて外部装置と通信するための通信機器である。外部装置は、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーションである。本実施形態において、通信IF回路32は、図1に示す問診用端末2およびベッドサイド端末4と通信する。
表示回路33は、管理装置制御回路34による制御に従い、種々のデータおよび上記医用画像等を表示する。表示回路33は、表示インターフェース回路と表示機器とを有する。表示インターフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイまたは当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
管理装置制御回路34は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)およびMPU(Micro Processing Unit)等の所定のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等の所定のメモリとにより実現される。管理装置制御回路34のメモリは、制御プログラムを記憶する。管理装置制御回路34のプロセッサは、メモリに記憶された制御プログラムを読み出す。管理装置制御回路34のプロセッサは、読み出した制御プログラムを実行することで、医用情報管理装置3における各構成の動作および処理等を統括的に制御する。
データベース35は、データを記憶可能な大容量のHDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)等である。例えば、データベース35は、問診用端末2から転送された患者へ処方する薬剤に関する複数の処方指示と、複数の患者に関する複数の患者画像と、複数の薬剤に関する複数の薬剤画像とを関連付けて格納する。本実施形態において、データベース35は、上記複数の処方指示を当該複数の処方指示を含む一覧表として格納する。データベース35は、複数の患者画像各々について、患者IDと、少なくとも一つの患者画像の特徴量とを関連付けて、患者画像マスタとして格納する。患者IDは、患者画像の被写体である患者を識別するためのIDである。患者画像の特徴量は、患者画像に含まれる患者に関する特徴を数値化したものである。データベース35は、複数の薬剤画像各々について、薬剤IDと、少なくとも一つの薬剤画像の特徴量とを関連付けて、薬剤画像マスタとして格納する。薬剤IDは、薬剤画像の被写体である薬剤を識別するためのIDである。薬剤画像の特徴量とは、薬剤画像に含まれる薬剤に関する特徴を数値化したものである。患者画像は、例えば、医師による問診を受けたときに患者を撮影端末5で撮影してデータベース35に格納する。また、薬剤画像は、例えば、業者から薬剤を新たに納入したときに薬剤を撮影端末5で撮影してデータベース35に格納する。データベース35は、HDD等の磁気ディスク以外にも、光磁気ディスクやCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクを利用してもよい。また、データベース35の保存領域は、医用情報管理装置3内にあってもよいし、ネットワークNWで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
処理回路36は、ハードウェア資源として、CPUおよびMPU等の所定のプロセッサと、ROMおよびRAM等の所定のメモリとにより実現される。処理回路36のメモリは、処方指示一覧転送プログラムを記憶する。処理回路36のプロセッサは、メモリに記憶された処方指示一覧転送プログラムを読み出す。処理回路36のプロセッサは、読み出した処方指示一覧転送プログラムを実行することで、処方指示一覧転送機能361を実現する。処方指示一覧転送機能361の実現により、処理回路36は、データベース35に記憶された複数の処方指示をベッドサイド端末4へ転送する。本実施形態において、処理回路36は、複数の処方指示を含む一覧表をベッドサイド端末4へ転送する。
処理回路36のメモリは、判定プログラムを記憶する。処理回路36のプロセッサは、メモリに記憶された判定プログラムを読み出す。処理回路36のプロセッサは、読み出した判定プログラムを実行することで、判定機能362を実現する。判定機能362の実現により、処理回路36は、ベッドサイド端末4において操作者により入力IF回路41を介して指定された処方指示と、撮影端末5により生成された患者画像と、撮影端末5により生成された薬剤画像との組み合わせが正しいか否かを判定する。処理回路36は、撮影端末5で生成された患者画像と、データベース35に格納された複数の患者画像のうちの指定された処方指示に関連付けられた患者画像との比較と、撮影端末5で生成された薬剤画像と、データベース35に格納された複数の薬剤画像のうちの指定された処方指示に関連付けられた薬剤画像との比較に基づいて、上記組み合わせが正しいか否かを判定する。
処理回路36のメモリは、判定結果プログラムを記憶する。処理回路36のプロセッサは、メモリに記憶された判定結果プログラムを読み出す。処理回路36のプロセッサは、読み出した判定結果プログラムを実行することで、判定結果通知機能363を実現する。判定結果通知機能363の実現により、処理回路36は、上記組み合わせに関する判定結果をベッドサイド端末4へ通知する。
処理回路36のメモリは、実施記録管理プログラムを記憶する。処理回路36のプロセッサは、メモリに記憶された実施記録管理プログラムを読み出す。処理回路36のプロセッサは、読み出した実施記録管理プログラムを実行することで、実施記録管理機能364を実現する。実施記録管理機能364の実現により、処理回路36は、ベッドサイド端末4での患者への投与予定の薬剤に関する実施記録の入力を管理する。処理回路36は、指定された処方指示と、生成された患者画像と、生成された薬剤画像との組み合わせが正しいと判定された場合、ベッドサイド端末4における実施記録の入力を許可する。処理回路36は、指定された処方指示と、生成された患者画像と、生成された薬剤画像との組み合わせが誤りであると判定された場合、ベッドサイド端末4における実施記録の入力を許可しない。
次に、ベッドサイド端末4について説明する。図3は、図1に示すベッドサイド端末4の構成を示す図である。図3に示すベッドサイド端末4は、入力IF回路41と、通信IF回路42と、表示回路43と、記憶回路44と、端末制御回路45と、処理回路46とを有する。入力IF回路41と、通信IF回路42と、表示回路43と、記憶回路44と、端末制御回路45と、処理回路46とは、バスBUSを介して接続される。
入力IF回路41は、トラックボール、スクロールホイール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力IF回路41は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し端末制御回路45へ出力する。例えば、入力IF回路41は、データベース35に格納された複数の処方指示の中から実行対象の処方指示を指定する、操作者からの指定操作を受け付ける。本実施形態における入力IF回路41を操作する操作者は、看護師等の医療従事者である。なお、本実施形態において、入力IF回路41は、トラックボール、スクロールホイール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を端末制御回路45へ出力する電気信号の処理回路も入力IF回路41の例に含まれる。
通信IF回路42は、有線あるいは無線にて外部装置と通信するための通信機器である。外部装置は、例えば、PACS等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーションである。本実施形態において、通信IF回路42は、図1に示す医用情報管理装置3と通信する。
表示回路43は、端末制御回路45による制御に従い、種々のデータおよび上記医用画像等を表示する。例えば、表示回路43は、医用情報管理装置3から転送された複数の処方指示を含む一覧表を表示する。表示回路43は、医用情報管理装置3から通知された上記組み合わせに関する判定結果を表示する。表示回路43は、表示インターフェース回路と表示機器とを有する。表示インターフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイまたは当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
記憶回路44は、データを記憶可能なHDDおよびSSD等である。記憶回路44は、HDD等の磁気ディスク以外にも、光磁気ディスクやCD、DVD等の光ディスクを利用してもよい。また、記憶回路44の保存領域は、ベッドサイド端末4内にあってもよいし、ネットワークNWで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
端末制御回路45は、ハードウェア資源として、CPUおよびMPU等の所定のプロセッサと、ROMおよびRAM等の所定のメモリとにより実現される。端末制御回路45のメモリは、制御プログラムを記憶する。端末制御回路45のプロセッサは、メモリに記憶された制御プログラムを読み出す。端末制御回路45のプロセッサは、読み出した制御プログラムを実行することで、ベッドサイド端末4における各構成の動作および処理等を統括的に制御する。
処理回路46は、ハードウェア資源として、CPUおよびMPU等の所定のプロセッサと、ROMおよびRAM等の所定のメモリとにより実現される。処理回路46のメモリは、アプリケーションプログラムを記憶する。処理回路46のプロセッサは、メモリに記憶されたアプリケーションプログラムを読み出す。処理回路46のプロセッサは、読み出したアプリケーションプログラムを実行することで、アプリケーション機能461を実現する。アプリケーション機能461の実現により、処理回路46は、例えば、医療従事者による点滴交換作業において使用する、処方指示と患者と薬剤との組み合わせの確認および実施記録の入力のためのアプリケーションを起動する。
処理回路46のメモリは、処方指示一覧表示プログラムを記憶する。処理回路46のプロセッサは、メモリに記憶された処方指示一覧表示プログラムを読み出す。処理回路46のプロセッサは、読み出した処方指示一覧表示プログラムを実行することで、処方指示一覧表示機能462を実現する。処方指示一覧表示機能462の実現により、処理回路46は、医用情報管理装置3から転送された複数の処方指示を含む一覧表を表示回路43に表示する。
処理回路46のメモリは、画像転送プログラムを記憶する。処理回路46のプロセッサは、メモリに記憶された画像転送プログラムを読み出す。処理回路46のプロセッサは、読み出した画像転送プログラムを実行することで、画像転送機能463を実現する。画像転送機能463の実現により、処理回路46は、撮影端末5により生成された患者画像と薬剤画像とを医用情報管理装置3へ転送する。
(画像の比較処理)
ここで、医用情報管理装置3の処理回路36における、撮影端末5で生成された患者画像と指定された処方指示に関連付けられた患者画像との比較処理と、撮影端末5で生成された薬剤画像と指定された処方指示に関連付けられた薬剤画像との比較処理について、図面を参照して詳しく説明する。
図4は、図2に示す処理回路36における、撮影端末5で生成された患者画像と、指定された処方指示に関連付けられた患者画像との比較処理の流れを示すフローチャートである。図5は、図1に示す撮影端末5で生成された患者画像を示す図である。以降、実施形態では、説明の便宜上、撮影端末5で生成された患者画像を転送患者画像と記載する。また、指定された処方指示に関連付けられた患者画像を関連患者画像と記載する。
ステップSa1において、処理回路36は、図5に示す転送患者画像ImgPと、予めデータベース35に格納された関連患者画像とを比較する。本実施形態における処理回路36は、例えば、転送患者画像ImgPの特徴量と、関連患者画像の特徴量とを比較する。まず、転送患者画像ImgPの特徴量と、関連患者画像の特徴量とを算出する。本実施形態における患者画像の比較のための特徴量は、いかなる特徴量であってもよいが、例えば、患者の顔の輪郭と、患者の肌色と、患者の鼻と目との距離とのうちの少なくとも一つである。
ステップSa2において、処理回路36は、ステップSa1における比較に基づいて、転送患者画像ImgPの特徴量と関連患者画像の特徴量との一致率が所定の閾値以上か否かを判定する。一致率は、転送患者画像ImgPの特徴量と関連患者画像の特徴量との差分が小さいほど高くなる。なお、閾値は、操作者により任意の数値を設定してもよいし、システムを構築する過程で予め設定してもよい。
ステップSa3において、転送患者画像ImgPの特徴量と関連患者画像の特徴量との一致率が所定の閾値以上である場合(ステップSa2のYes)、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像とが一致すると判定する。
ステップSa4において、転送患者画像ImgPの特徴量と関連患者画像の特徴量との一致率が所定の閾値未満である場合(ステップSa2のNo)、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像とが一致しないと判定する。
ここで、比較する患者画像の特徴量が複数存在する場合について記載する。
ステップSa1において、処理回路36は、転送患者画像ImgPにおける複数の特徴量と、関連患者画像における複数の特徴量とを比較する。
ステップSa2において、処理回路36は、ステップSa1における比較に基づいて、転送患者画像ImgPにおける複数の特徴量と関連患者画像における複数の特徴量との一致率がすべて所定の閾値以上か否かを判定する。
ステップSa3において、転送患者画像ImgPにおける複数の特徴量と関連患者画像における複数の特徴量との一致率がすべて所定の閾値以上である場合(ステップSa2のYes)、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像とが一致すると判定する。
ステップSa4において、転送患者画像ImgPにおける複数の特徴量と関連患者画像における複数の特徴量とに関する少なくとも一つの一致率が所定の閾値未満である場合(ステップSa2のNo)、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像とが一致しないと判定する。
図6は、図2に示す処理回路36における、撮影端末5で生成された薬剤画像と、指定された処方指示に関連付けられた薬剤画像との比較処理の流れを示すフローチャートである。図7は、図1に示す撮影端末5で生成された薬剤画像を示す図である。以降、実施形態では、説明の便宜上、撮影端末5で生成された薬剤画像を転送薬剤画像と記載する。また、指定された処方指示に関連付けられた薬剤画像を関連薬剤画像と記載する。
ステップSb1において、処理回路36は、図7に示す転送薬剤画像ImgMと、予めデータベース35に格納された関連薬剤画像とを比較する。本実施形態における処理回路36は、例えば、転送薬剤画像ImgMの特徴量と、関連薬剤画像の特徴量とを比較する。まず、転送薬剤画像ImgMの特徴量と、関連薬剤画像の特徴量とを算出する。本実施形態における薬剤画像の比較のための特徴量は、薬剤を密閉する容器の形状と、容器の色と、容器に貼付されたラベルの文字と、いかなる特徴量であってもよいが、例えば、容器に記載された薬剤の製造年月日とのうちの少なくとも一つである。
ステップSb2において、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMの特徴量と関連薬剤画像の特徴量との一致率が所定の閾値以上か否かを判定する。一致率は、転送薬剤画像ImgMの特徴量と関連薬剤画像の特徴量との差分が小さいほど高くなる。なお、閾値は、操作者により任意の数値を設定してもよいし、システムを構築する過程で予め設定してもよい。
ステップSb3において、転送薬剤画像ImgMの特徴量と関連薬剤画像の特徴量との一致率が所定の閾値以上である場合(ステップSb2のYes)、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像とが一致すると判定する。
ステップSb4において、転送薬剤画像ImgMの特徴量と関連薬剤画像の特徴量との一致率が所定の閾値未満である場合(ステップSb2のNo)、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像とが一致しないと判定する。
ここで、比較する薬剤画像の特徴量が複数存在する場合について記載する。
ステップSb1において、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMにおける複数の特徴量と、関連薬剤画像における複数の特徴量とを比較する。
ステップSb2において、処理回路36は、ステップSb1における比較に基づいて、転送薬剤画像ImgMにおける複数の特徴量と関連薬剤画像における複数の特徴量との一致率がすべて所定の閾値以上か否かを判定する。
ステップSb3において、転送薬剤画像ImgMにおける複数の特徴量と関連薬剤画像にける複数の特徴量との一致率がすべて所定の閾値以上である場合(ステップSb2のYes)、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像とが一致すると判定する。
ステップSb4において、転送薬剤画像ImgMにおける複数の特徴量と関連薬剤画像における複数の特徴量とに関する少なくとも一つの一致率が所定の閾値未満である場合(ステップSb2のNo)、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像とが一致しないと判定する。
(病院情報システムの動作)
ここで、本実施形態に係る病院情報システム1の動作について具体的に説明する。
図8は、本実施形態に係る病院情報システム1の動作を示すフローチャートである。図8では、例えば、院内において定期的に行われる、医療従事者による点滴交換作業における病院情報システム1の動作を想定している。医療従事者は、ベッドサイド端末4を使用して、処方指示に基づく薬剤投与の実行対象の患者と、当該実行対象の患者への投与予定の薬剤との組み合わせが正しいことを確認し、当該組み合わせが正しいことを確認した上で患者に薬剤を投与する。さらに、医療従事者は、ベッドサイド端末4を使用して、患者への投与予定の薬剤に関する実施記録を入力する。図8では、医療従事者による点滴交換作業において使用する上記アプリケーションを起動してから判定結果を出力するまでの過程について記載する。
ステップS1において、ベッドサイド端末4の処理回路46は、医療従事者により使用されるアプリケーションを起動する。アプリケーションの起動後、ステップS2において、処理回路46は、医用情報管理装置3に対して、データベース35に格納された複数の処方指示を含む一覧表の転送要求を送信する。ステップS3において、医用情報管理装置3は、処理回路46からの当該一覧表の転送要求に応じて、データベース35から複数の処方指示を含む一覧表を読み出す。ステップS4において、医用情報管理装置3の処理回路36は、読み出した複数の処方指示を含む一覧表をベッドサイド端末4へ転送する。
ステップS5において、処理回路46は、医用情報管理装置3から転送された複数の処方指示を含む一覧表を表示回路43に表示する。ステップS6において、ベッドサイド端末4は、表示回路43に表示された複数の処方指示の中から実行対象の処方指示を指定する指定操作を入力する。すなわち、医療従事者は、表示回路43に表示された一覧表に含まれる複数の処方指示の中から実行対象の処方指示を入力IF回路41を介して指定する。
図9は、図3に示す表示回路43に表示される処方指示一覧表の一例を示す図である。図9に示すように、表示回路43の表示画面Dに表示される処方指示は、例えば、患者ID、患者氏名、薬剤投与の実施状況、実施日付、投薬項目を含む。これらの項目が患者ごとに割り当てられた薬剤投与の実施番号ごとに一覧可能に収集されている。医療従事者は、図9に示すポインタPを入力IF回路41を介して操作し、図9に示す一覧表に含まれる複数の処方指示の中から、実行対象の処方指示を指定する。本実施形態において、医療従事者は、実施番号「0003」の処方指示を実行対象の処方指示として指定する。医療従事者により指定された実施番号「0003」の処方指示は、患者ID「P−1」、患者氏名「患者一郎」、投薬項目「A薬剤」、薬剤ID「M−A」を含む。すなわち、実施番号「0003」の処方指示は、「患者一郎氏に対して、A薬剤を投与すること」を表している。なお、図9に示す処方指示一覧表は一例であり、図9に示す一覧表の項目および表示態様に限定されない。
ステップS7において、ベッドサイド端末4は、医療従事者により表示回路43に表示された複数の処方指示の中から、実施番号「0003」の処方指示が指定されたことを示す指定操作情報を医用情報管理装置3へ転送する。ステップS8において、ベッドサイド端末4は、医療従事者に対して、薬剤投与の実行対象である患者と、実行対象の患者への投与予定の薬剤との撮影を促す表示画面を表示回路43に表示する。医療従事者は、撮影端末5を操作して薬剤投与の実行対象の患者を撮影する。撮影端末5は、図5に示すような薬剤投与の実行対象の患者に関する転送患者画像ImgPを生成する。また、医療従事者は、撮影端末5を操作して実行対象の患者への投与予定の薬剤を撮影する。撮影端末5は、図7に示すような投与予定の薬剤に関する転送薬剤画像ImgMを生成する。撮影端末5は、生成された転送患者画像ImgPと転送薬剤画像ImgMとをネットワークNWを介してベッドサイド端末4へ転送する。
ステップS9において、ベッドサイド端末4は、撮影端末5から転送された転送患者画像ImgPと転送薬剤画像ImgMとを入力する。ステップS10において、ベッドサイド端末4は、入力した転送患者画像ImgPと転送薬剤画像ImgMとの確認画面を表示回路43に表示する。表示回路43に当該転送患者画像ImgPと転送薬剤画像ImgMとの確認画面を表示することで、医療従事者は、手ブレやボケを含まない転送患者画像ImgPと転送薬剤画像ImgMとが取得できたか否かを確認することができる。画像確認後、転送された画像に問題がなければ、医療従事者は、入力IF回路41を介して画像の確定操作を入力する。例えば、表示回路43に画像の確定操作に行うための確定ボタンを表示する。医療従事者は、入力IF回路41を介してポインタPを操作し、表示回路43に表示された確定ボタンを押下する。ステップS11において、処理回路46は、上記画像の確定操作をトリガとして、入力した転送患者画像ImgPと転送薬剤画像ImgMとを医用情報管理装置3へ転送する。
ステップS12において、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像との比較と、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像との比較とに基づいて、指定された実施番号「0003」の処方指示と、転送患者画像ImgPと、転送薬剤画像ImgMとの組み合わせが正しいか否かを判定する。組み合わせが正しいか否かを判定するため、処理回路36は、ステップS12aにおいて患者画像の比較処理を実行し、ステップS12bにおいて薬剤画像の比較処理を実行する。
まず、ステップS12aにおける患者画像の比較処理について説明する。
図10は、図2に示すデータベース35に格納される患者画像マスタを示す図である。図10に示す患者画像マスタは、複数の患者画像各々について、患者IDと、少なくとも一つの患者画像の特徴量とを関連付ける。ここで、上記ステップS5において、医療従事者は、実施番号「0003」の処方指示を実行対象の処方指示として指定している。このため、処理回路36は、指定された実施番号「0003」の処方指示に含まれる患者ID「P−1」に関連付けられた関連患者画像ImgP−1をデータベース35の患者画像マスタから読み出す。図11は、図2に示すデータベース35の患者画像マスタから読み出した関連患者画像ImgP−1を示す図である。処理回路36は、図5に示す転送患者画像ImgPの特徴量と、図11に示す関連患者画像ImgP−1の特徴量とを比較する。処理回路36は、上記比較に基づいて、転送患者画像ImgPの特徴量と関連患者画像ImgP−1の特徴量との一致率が所定の閾値以上か否かを判定する。例えば、処理回路36は、患者画像に関する、患者の顔の輪郭、患者の肌色、および患者の鼻と目との距離各々の一致率を算出する。処理回路36は、患者画像に関する一致率がすべて所定の閾値以上か否かを判定する。
患者画像に関する一致率がすべて所定の閾値以上である場合、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像ImgP−1とが一致すると判定する。患者画像に関する一致率のうちの少なくとも一つが所定の閾値未満である場合、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像ImgP−1とが一致しないと判定する。
次に、ステップS12bにおける薬剤画像の比較処理について説明する。
図12は、図2に示すデータベース35に格納される薬剤画像マスタを示す図である。図12に示す薬剤画像マスタは、複数の薬剤画像各々について、薬剤IDと、少なくとも一つの薬剤画像の特徴量とを関連付ける。ここで、上記ステップS5において、医療従事者は、実施番号「0003」の処方指示を実行対象の処方指示として指定している。このため、処理回路36は、指定された実施番号「0003」の処方指示に含まれる薬剤ID「M−A」に関連付けられた関連薬剤画像ImgM−Aをデータベース35の薬剤画像マスタから読み出す。図13は、図2に示すデータベース35の薬剤画像マスタから読み出した関連薬剤画像ImgM−Aを示す図である。処理回路36は、図7に示す転送薬剤画像ImgMの特徴量と、図13に示す関連薬剤画像ImgM−Aの特徴量とを比較する。処理回路36は、上記比較に基づいて、転送薬剤画像ImgMの特徴量と関連薬剤画像ImgM−Aの特徴量との一致率が所定の閾値以上か否かを判定する。例えば、処理回路36は、薬剤画像に関する、薬剤を密閉する容器の形状、容器の色、容器に貼付されたラベルの文字、および容器に記載された薬剤の製造年月日各々の一致率を算出する。処理回路36は、上記薬剤画像に関する一致率がすべて所定の閾値以上か否かを判定する。
患者画像に関する一致率がすべて所定の閾値以上である場合、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像ImgM−Aとが一致すると判定する。患者画像に関する一致率のうちの少なくとも一つが所定の閾値未満である場合、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像ImgM−Aとが一致しないと判定する。
処理回路36は、ステップS12aにおける患者画像の比較と、ステップS12bにおける薬剤画像の比較とに基づいて、上記組み合わせが正しいか否かを判定する。
具体的には、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像ImgP−1とが一致し、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像ImgM−Aとが一致すると判定された場合、組み合わせが正しいと判定する。
ステップS13において、処理回路36は、指定された実施番号「0003」の処方指示と、転送患者画像ImgPと、転送薬剤画像ImgMとの組み合わせが正しいと判定された場合、上記組み合わせが正しいことをベッドサイド端末4へ通知する。このとき、処理回路36は、ベッドサイド端末4における、患者への投与予定の薬剤に関する実施記録の入力を許可する。ステップS14において、処理回路46は、医用情報管理装置3から通知された判定結果に基づく表示画面を表示回路43に表示する。
図14は、処理回路36において、指定された処方指示と、転送患者画像と、転送薬剤画像との組み合わせが正しいと判定された場合の表示回路43における表示画面の一例を示す図である。図14に示すように、表示回路43の表示画面Dは、例えば、通知欄R1と、指示情報欄R2と、薬剤情報欄R3と、コメント欄R4と、実施情報欄R5とを有する。例えば、通知欄R1には、上記組み合わせが正しいことを示す記号と文字とが表示される。指示情報欄R2には、指定された処方指示に関する内容が表示される。指示情報欄R2には、処方指示を入力した医師に関する情報、処方指示に関連付けられた患者および薬剤に関する情報等が表示される。薬剤情報欄R3には、実施記録として入力された、患者に投与予定の薬剤に関する情報が表示される。薬剤情報欄R3に表示される、患者に投与予定の薬剤に関する情報は、指示情報欄R2に表示される薬剤に関する情報と略一致する。コメント欄R4には、薬剤投与の実行対象の患者に関する情報が表示される。例えば、コメント欄R4には、「左手は注射不可」、「右手は注射不可」「左足は注射不可」、「右足は注射不可」等、薬剤を患者に投与するときの制約情報、および薬剤の投与方法が表示される。実施情報欄R5には、実施記録として入力された、患者への薬剤投与の実施内容に関する情報が表示される。例えば、実施情報欄R5には、患者への薬剤投与の実施者に関する情報、薬剤投与の開始時刻および終了時刻、投与速度、部位、投与する薬剤の液量、実施場所が表示される。
なお、本実施形態では、通知欄R1を設けず、指示情報欄R2と、薬剤情報欄R3と、コメント欄R4と、実施情報欄R5とを設けるのみでもよい。
また、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像ImgP−1とが一致し、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像ImgM−Aとが一致しない場合、転送患者画像ImgPと関連患者画像ImgP−1とが一致せず、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像ImgM−Aとが一致する場合、または、転送患者画像ImgPと関連患者画像ImgP−1とが一致せず、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像ImgM−Aとが一致しない場合、組み合わせが誤りであると判定する。
ステップS13において、処理回路36は、指定された実施番号「0003」の処方指示と、転送患者画像ImgPと、転送薬剤画像ImgMとの組み合わせが誤りであると判定された場合、上記組み合わせが誤りであることをベッドサイド端末4へ通知する。このとき、処理回路36は、ベッドサイド端末4における、患者への投与予定の薬剤に関する実施記録の入力を許可しない。ステップS14において、処理回路46は、医用情報管理装置3から通知された判定結果に基づく表示画面を表示回路43に表示する。
図15は、処理回路36において、指定された処方指示と、転送患者画像と、転送薬剤画像との組み合わせが誤りであると判定された場合の表示回路43における表示画面の一例を示す図である。図15に示すように、表示回路43の表示画面Dは、通知欄R1と、指示情報欄R2と、薬剤情報欄R3と、コメント欄R4と、実施情報欄R5とを有する。例えば、通知欄R1には、上記組み合わせが誤りであることを示す記号と文字とが表示される。指示情報欄R2には、指定された処方指示に関する内容が表示される。指示情報欄R2には、処方指示を入力した医師に関する情報、処方指示に関連付けられた患者および薬剤に関する情報等が表示される。一方、ベッドサイド端末4における実施記録の入力が許可されていないため、薬剤情報欄R3と、コメント欄R4と、実施情報欄R5とには、情報が表示されない。
上記構成によれば、本実施形態に係る病院情報システム1は、撮影端末5で生成された転送患者画像ImgPとデータベース35に格納された関連患者画像との比較と、撮影端末5で生成された薬剤画像ImgMとデータベース35に格納された関連薬剤画像との比較とに基づいて、指定された処方指示と、撮影端末5で生成された転送患者画像ImgPと、撮影端末5で生成された転送薬剤画像ImgMとの組み合わせが正しいか否かを判定する。つまり、本実施形態に係る病院情報システム1は、撮影端末5で生成された転送患者画像ImgPおよび転送薬剤画像ImgMと、データベース35に格納された関連患者画像および関連薬剤画像とを比較することで、患者に対して処方指示に基づく薬剤が正しく投与されているか否かを判定している。これにより、本実施形態に係る病院情報システム1は、患者に対して処方指示に基づく薬剤が正しく投与されているか否かを判断するために用いていたバーコードの発行、バーコードが印刷されたリストバンドとラベルとの作成、患者へのリストバンドの配布、薬剤の容器へのラベルの貼り付け等の作業を行う必要がなくなり、医療従事者の作業負荷を低減することができる。また、リストバンドの配布ミス、ラベルの貼り間違いおよびバーコードの読み取りエラー等の過誤の発生を防ぐことができる。
なお、上記実施形態において、比較する患者画像の特徴量が複数存在する場合において、転送患者画像ImgPにおける複数の特徴量と関連患者画像における複数の特徴量との一致率がすべて所定の閾値以上である場合、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像とが一致すると判定している。また、患者画像ImgPにおける複数の特徴量と関連患者画像における複数の特徴量とに関する少なくとも一つの一致率が所定の閾値未満である場合、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像とが一致しないと判定している。しかしながら、本実施形態に係る処理回路36は、これに限定されない。例えば、転送患者画像ImgPにおける複数の特徴量と関連患者画像における複数の特徴量とに関する少なくとも一つの一致率が所定の閾値以上である場合、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像とが一致すると判定してもよい。また、転送患者画像ImgPにおける複数の特徴量と関連患者画像における複数の特徴量との一致率がすべて所定の閾値未満である場合、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像とが一致しないと判定してもよい。
また、上記実施形態において、比較する薬剤画像の特徴量が複数存在する場合において、転送薬剤画像ImgMの複数の特徴量と関連薬剤画像の複数の特徴量との一致率がすべて所定の閾値以上である場合、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像とが一致すると判定している。また、転送薬剤画像ImgMの複数の特徴量と関連薬剤画像の複数の特徴量とに関する少なくとも一つの一致率が所定の閾値未満である場合、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像とが一致しないと判定している。しかしながら、本実施形態における処理回路36は、これに限定されない。例えば、転送薬剤画像ImgMの複数の特徴量と関連薬剤画像の複数の特徴量とに関する少なくとも一つの一致率が所定の閾値以上である場合、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像とが一致すると判定してもよい。また、転送薬剤画像ImgMの複数の特徴量と関連薬剤画像の複数の特徴量との一致率がすべて所定の閾値未満である場合、処理回路36は、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像とが一致しないと判定してもよい。
また、上記実施形態において、処理回路36は、転送患者画像ImgPと関連患者画像との比較と、転送薬剤画像ImgMと関連薬剤画像との比較とに基づいて、指定された処方指示と、転送患者画像ImgPと、転送薬剤画像ImgMとの組み合わせが正しいか否かを判定している。しかしながら、本実施形態における処理回路36は、これに限定されない。例えば、箱に患者を識別可能な患者IDの記載されたラベルを添付し、当該箱の中に実行対象の患者の投与予定の薬剤を入れる。この薬剤を入れた箱を撮影端末5により撮影して、患者に関する情報と薬剤に関する情報とを含む画像を生成する。本実施形態における処理回路36は、撮影端末5により生成された患者に関する情報と薬剤に関する情報とを含む画像と、関連患者画像と、関連薬剤画像との比較に基づいて、指定された処方指示と、転送患者画像ImgPと、転送薬剤画像ImgMとの組み合わせが正しいか否かを判定してもよい。
また、本実施形態における撮影端末5は、ネットワークNWを介して転送患者画像ImgPと転送薬剤画像ImgMとを転送している。しかしながら、本実施形態における撮影端末5は、これに限定されない。例えば、ベッドサイド端末4と撮影端末5とを直接接続して転送患者画像ImgPと転送薬剤画像ImgMとを転送してもよい。
また、撮影端末5が上記PDA、スマートフォン、タブレット端末、およびウェアラブル端末等である場合、撮影端末5に備えられる表示回路に上記判定結果を表示してもよい。
また、上記実施形態に係る病院情報システム1は、ベッドサイド端末4と、撮影端末5とを分けている。しかしながら、実施形態に係る病院情報システム1は、これに限定されない。例えば、図16に示すように光学画像を生成可能な一つの端末により、ベッドサイド端末4と撮影端末5との機能を実現してもよい。
(総括)
上記の説明の通り、実施形態に係る病院情報システムは、データベースと、入力部と、取得部と、判定部とを備える。データベースは、患者へ処方する薬剤に関する複数の処方指示と、複数の患者に関する複数の患者画像と、複数の薬剤に関する複数の薬剤画像とを関連付けて格納する。入力部は、データベースに格納された複数の処方指示の中から実行対象の処方指示を指定する、操作者からの指定操作を受け付ける。取得部は、薬剤投与の実行対象の患者に関する患者画像と、実行対象の患者への投与予定の薬剤に関する薬剤画像とを取得する。判定部は、取得された患者画像と複数の患者画像のうちの指定された処方指示に関連付けられた患者画像との比較と、取得された薬剤画像と複数の薬剤画像のうちの指定された処方指示に関連付けられた薬剤画像との比較とに基づいて、指定された処方指示と、取得された患者画像と、取得された薬剤画像との組み合わせが正しいか否かを判定する。
上記の構成により、実施形態に係る病院情報システムは、患者に対して処方指示に基づく薬剤が正しく投与されているか否かを判断するために用いていたバーコードの発行、バーコードが印刷されたリストバンドとラベルとの作成、患者へのリストバンドの配布、薬剤の容器へのラベルの貼り付け等の作業を行う必要がなくなり、医療従事者の作業負荷を低減することができる。また、リストバンドの配布ミス、ラベルの貼り間違いおよびバーコードの読み取りエラー等の過誤の発生を防ぐことができる。
かくして、医療機関における医療過誤の発生を防止することができる病院情報システムおよび判定プログラムを提供することができる。
また、上記説明において用いた「所定のプロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のprocessor、circuitry、processing circuitry、operation circuitry、arithmetic circuitry、あるいは、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等を意味する。また、本実施形態の各構成要素(各処理部)は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素(複数の処理部)を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。