本発明の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。本発明の実施の形態の透視撮像システム1000は、図1ないし図3に示すように、撮像管理装置であるRIS100、透視撮像装置であるCTスキャナ200、データ保存装置であるPACS300、薬液注入装置400、データ制御装置である制御ボックス500、画像閲覧装置600、被験者管理装置の一つであるHIS900、被験者管理装置の一つであり携帯カルテ媒体である患者リストバンド910,被験者管理装置の一つであり作業カルテ媒体である電子カルテボード920、を有する。
本実施の形態の透視撮像システム1000では、図示するように、HIS900が、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク700によりRIS100と接続されている。
このRIS100およびPACS300は、通信ネットワーク701,702によりCTスキャナ200と接続されている。一方、制御ボックス500も、通信ネットワーク703〜705により、RIS100、PACS300、薬液注入装置400、と接続されている。そして、PACS300には、画像閲覧装置600が通信ネットワーク706により接続されている。
本実施の形態の透視撮像システム1000は、いわゆるDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)規格に準拠している。このため、その各種装置100〜600,900は、DICOMの規約で各種データを相互通信する。
本実施の形態の透視撮像システム1000では、RIS100、CTスキャナ200、PACS300、薬液注入装置400、制御ボックス500、画像閲覧装置600、HIS900、が各々一個であり、何れの組み合わせも一対一の関係となっている。
本実施の形態のHIS900は、いわゆるコンピュータ装置からなり、専用のコンピュータプログラムが実装されている。このコンピュータプログラムに対応して認識されるHDD(Hard Disc Drive)の記憶エリアなどにより、HIS900は、いわゆる被験者電子カルテである被験者管理データをカルテ管理部901で記憶している。
この被験者管理データは、撮像被験者ごとに作成されており、例えば、固有の識別情報であるカルテ識別データ、撮像被験者ごとの被験者識別データ、撮像被験者の身長や体重や性別や年齢などの被験者個人データ、撮像被験者の疾病に関するカルテデータ、等のテキストデータからなる。
本実施の形態のRIS100も、いわゆるコンピュータ装置からなり、実装されている専用のコンピュータプログラムに対応して各種処理を実行することにより、オーダ管理部101、オーダ選定部102、統合制御部103、等の各部が各種機能として論理的に実現されている。
オーダ管理部101は、上述のコンピュータプログラムに対応して認識されるHDDの記憶エリアなどに相当し、撮像被験者から透視画像データを撮像するための撮像オーダデータを固有の識別情報で管理する。
この撮像オーダデータは、HIS900から取得する被験者管理データに基づいて作成される。このように作成される撮像オーダデータは、例えば、固有の識別情報である撮像作業ID、前述の被験者管理データの被験者識別データと被験者個人データとカルテデータ、CTスキャナ200の識別情報、撮像開始および終了の日時、身体区分または撮像部位、注入薬液である造影剤の製品名称、等のテキストデータからなる。
オーダ選定部102は、例えば、キーボードなどの入力操作に対応してCPUが所定処理を実行する機能などに相当し、注入作業者の入力操作に対応して複数の撮像オーダデータから一つを選定する。
統合制御部103は、例えば、CPUが通信I/F(Interface)により各種データを送受信する機能などに相当し、上述の選定されている一つの撮像オーダデータをCTスキャナ200や制御ボックス500から受信する取得要求に対応して返信する。
本実施の形態のCTスキャナ200は、図3に示すように、撮像実行機構である透視撮像ユニット201と撮像制御ユニット210とを有する。透視撮像ユニット201は、撮像被験者から透視画像データを撮像する。撮像制御ユニット210は、透視撮像ユニット201を動作制御する。
より詳細には、撮像制御ユニット210は、専用のコンピュータプログラムが実装されているコンピュータ装置からなる。このコンピュータ装置がコンピュータプログラムに対応して各種処理を実行することにより、撮像制御ユニット210には、図2に示すように、要求送信部211、オーダ受信部212、撮像制御部213、データ付与部214、画像送信部215、等の各部が各種機能として論理的に実現されている。
要求送信部211は、キーボードなどの入力操作に対応してCPUが通信I/Fにより各種データを送受信する機能などに相当し、注入作業者の入力操作に対応してRIS100に撮像オーダデータの取得要求を送信する。オーダ受信部212は、RIS100から返信される撮像オーダデータを受信する。
撮像制御部213は、受信した撮像オーダデータに対応して透視撮像ユニット201を動作制御する。データ付与部214は、透視撮像ユニット201で撮像された透視画像データに撮像オーダデータを付与する。
画像送信部215は、撮像オーダデータが付与された透視画像データをPACS300に送信する。なお、上述のように生成される透視画像データは、例えば、断層画像のビットマップデータからなる。
本実施の形態のPACS300は、やはり専用のコンピュータプログラムが実装されているデータベースサーバからなる。PACS300は、CTスキャナ200から撮像オーダデータが付与された透視画像データを受信して保存する。
本実施の形態の薬液注入装置400は、図5に示すように、注入制御ユニット401と注入実行ヘッド410とを有する。注入制御ユニット401が注入実行ヘッド410を動作制御する。注入実行ヘッド410は、図6に示すように、着脱自在に装着される薬液シリンジ800を駆動して注入薬液を撮像被験者に注入する。
より詳細には、注入制御ユニット401は、図3に示すように、メイン操作部402、タッチパネル403、コントローラユニット404、コンピュータユニット405、通信I/F406、等を有する。
注入実行ヘッド410は、図6に示すように、注入実行機構の一部として薬液シリンジ800を保持するシリンジ保持機構411、薬液シリンジ800を駆動して薬液注入を実行するシリンジ駆動機構412、シリンジ駆動機構412の動作指示などが入力操作されるサブ操作部413、各種データを表示出力するデータ表示デバイスであるヘッドディスプレイ415、等を有する。
サブ操作部413は、後述する最終確認スイッチ414を有する。ヘッドディスプレイ415は、注入実行ヘッド410の後方側部に直接に固定されており、シリンジ保持機構411とシリンジ駆動機構412との近傍に配置されている。
なお、本実施の形態の薬液シリンジ800としては複数種類があり、その一部には所定位置にRFID(Radio Frequency Identification)チップ810が搭載されている。
注入実行ヘッド410は、シリンジ保持機構411で薬液シリンジ800が適正に保持されたときのみRFIDチップ810と無線通信する位置にRFIDリーダ416が搭載されている。
薬液シリンジ800のRFIDチップ810には、少なくとも注入薬液に関連する薬液条件データが登録されている。より詳細には、薬液シリンジ800は、注入薬液が充填された状態で出荷される、いわゆるプレフィルドタイプであり、RFIDチップ810には、出荷される以前に薬液条件データが登録される。
この薬液条件データは、例えば、充填されている注入薬液に関連する、製品名称、薬液ID、化学分類、含有成分、粘度、消費期限、などの各種データと、その薬液シリンジ800に関連する、シリンジ容量、シリンダ耐圧、シリンダ内径、ピストンストローク、ロット番号、販売価格、などの各種データからなる。
なお、上述の薬液条件データの薬液IDは、その注入薬液の化学分類と含有成分と化学構造とに起因して登録されており、シリンジ容量などには関連していない。例えば、CT用で心臓用の造影剤としてA社とB社との製品が存在している場合、注入薬液の種別である「CT用で心臓用の造影剤」は共通でも、水溶性か油性か、イオン性か非イオン性か、モノマー型かダイマー型か、などの化学分類が相違するならば、その薬液IDは相違する。
さらに、その薬液種別と化学分類とが共通でも、含有成分が相違するならば薬液IDは相違し、薬液種別と化学分類と含有成分とが共通でも、例えば、一つでも含有成分の化学構造が相違するならば薬液IDは相違する。
一方、プレフィルドタイプで容量が「200(ml)」と「500(ml)」との薬液シリンジに同一の注入薬液が充填されているならば、その薬液シリンジは容量により製品としては別個であるが薬液条件データの薬液IDは同一である。
薬液注入装置400のコンピュータユニット405には、上述の各種ハードウェア各部が接続されている。コンピュータユニット405は、接続されている各種ハードウェアを実装されているコンピュータプログラムに対応して統合制御する。
このため、薬液注入装置400は、図1に示すように、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応してシリンジ駆動機構412を動作制御する注入制御部422、入力操作される自動設定要求に対応してRIS100の撮像オーダデータから被験者管理データの少なくとも一部を取得するデータ入力部421、取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データの少なくとも一部を生成して注入制御部422に設定する制御設定部423、RIS100から被験者管理データを取得できないときに患者リストバンド910や電子カルテボード920から被験者管理データの少なくとも一部を取得して制御設定部423に提供する補助入力部426、等の各部を各種機能として論理的に有する。
より詳細には、薬液注入装置400では、図10に示すように、注入制御ユニット401のタッチパネル403に、例えば、注入制御データの入力操作の初期画面の左上に、人体の正面画像と「i」との模式図からなる取得要求の操作アイコンが表示出力される。
そこで、この取得要求の操作アイコンが入力操作されると、制御ボックス500を経由して撮像オーダデータの一部が注入条件データとして取得される。そして、この注入条件データから、被験者管理データ、撮像部位データ、等が注入制御データの少なくとも一部として注入制御部422に設定される。
このような注入制御データは、例えば、シリンジ駆動機構412の作動ストロークや作動圧力が経過時間ごとに所定コマンドなどで設定された、プロトコルデータなどからなる。
また、前述のように薬液シリンジ800は、少なくとも注入薬液に関連する薬液条件データを記憶するRFIDチップ810が搭載されており、注入実行ヘッド410にはRFIDリーダ416が搭載されている。そこで、制御設定部423は、薬液シリンジ800から取得する薬液条件データも利用して注入制御データを生成する。
また、補助入力部426は、被験者管理データをRIS100から取得できないと患者リストバンド910か電子カルテボード920から取得して制御設定部423に提供する。
なお、患者リストバンド910は、図7に示すように、例えば、ディスポーザブルなリストバンド本体912にRFIDチップ911が搭載された構造などからなり、撮像被験者の手首などに装着される。また、電子カルテボード920は、図8に示すように、被験者管理データが表記されたカルテ用紙などからなり、そこにRFIDチップ921が搭載されている。
そこで、薬液注入装置400は、RIS100から被験者管理データを取得できなかったことと、被験者管理データを患者リストバンド910か電子カルテボード920から取得したことと、を報知出力するデータ報知部427も有する。
さらに、このデータ報知部427は、取得された被験者管理データと薬液条件データと設定された注入制御データとの少なくとも一部も、ヘッドディスプレイ415およびタッチパネル403で表示出力するとともに、注入実行ヘッド410および注入制御ユニット401のスピーカユニット(図示せず)で音声出力する。
また、薬液注入装置400は、薬液注入の動作履歴を記録した注入履歴データを生成する履歴生成部424と、生成された注入履歴データをPACS300に送信して対応する透視画像データとともに保存させるデータ出力部425とを、さらに有する。
このような注入履歴データは、例えば、横軸と縦軸との一方が経過時間で他方が注入速度の経時グラフの画像データからなり、注入制御データや被験者管理データや注入作業ID等がテキストデータで付与される。
ただし、履歴生成部424は、被験者管理データがRIS100から取得されたか患者リストバンド910か電子カルテボード920から取得されたかも設定されている注入履歴データを生成する。
さらに、データ入力部421は、取得された被験者管理データの少なくとも一部で生成された注入制御データが注入制御部422に設定された状態で被験者管理データの最終確認要求が入力操作される。
そこで、データ入力部421と補助入力部426とは、少なくとも一方が最終確認要求に対応して被験者管理データを再度取得する。この場合、注入制御部422は、再度取得された被験者管理データと前回取得された被験者管理データとが整合しないとシリンジ駆動機構412を動作制御しない。
なお、本実施の形態の薬液注入装置400は、上述の各部421〜等を利用して注入制御データを自動設定することができるが、手動操作により注入制御データの新規設定および設定編集も実行することもできる。
このため、薬液注入装置400は、図9に示すように、条件記憶部441、画像記憶部442、区分表示部445、区分入力部446、部位表示部447、部位入力部448、動作読出部449、身体入力部451、等の各部も各種機能として論理的に実現されている。
薬液注入装置400の画像記憶部442は、人体の複数の身体区分と多数の撮像部位との模式画像を関連させて記憶している。区分表示部445は、画像記憶部442が記憶している複数の身体区分の模式画像を人体に対応した配列で表示する。
区分入力部446は、区分表示部445で画像表示出力された複数の身体区分から一つを選択する入力操作を、一つの注入制御データの入力操作として受け付ける。部位表示部447は、区分入力部446で選択された身体区分に対応して少なくとも一つの撮像部位の模式画像を表示出力する。部位入力部448は、部位表示部447で画像表示出力された撮像部位を選定する入力操作を、一つの注入制御データの入力操作として受け付ける。
より具体的には、薬液注入装置400では、複数の身体区分として「頭部,胸部,腹部,脚部」が規定されており、これらの各々に対応した模式画像がコンピュータユニット405に登録されている。
そこで、薬液注入装置400に所定操作を実行すると、図10に示すように、「頭部,胸部,腹部,脚部」の模式画像が人体形状に対応してタッチパネル403の画面上部に表示出力される。
また、上述の身体区分である「頭部」の模式画像には、複数の撮像部位として「脳部,顎部,首部」等の模式画像が関連されて登録されている。同様に、「胸部」の模式画像には「心臓部,肺部」、「腹部」の模式画像には「上腹部,肝臓部,…」、「脚部」の模式画像には「上部,下部」、などの模式画像が関連されて登録されている。
そこで、タッチパネル403に人体形状で表示出力された複数の身体範囲の模式画像の一つが手動操作されると、その一つの模式画像のみ上方にスキャナ機構の模式画像が表示出力され、手動操作された一つの模式画像のみが明転するとともに他の模式画像は暗転する(図示せず)。
同時に、その下部には関連する複数の撮像部位の模式画像が表示出力される。そこで、その表示出力された複数の撮像部位の模式画像の一つが手動操作されると、図11に示すように、その一つの模式画像のみが明転するとともに他の模式画像は暗転する。
条件記憶部441は、人体の多数の撮像部位ごとにシリンジ駆動機構412の動作条件データを記憶している。この動作条件データは、例えば、人体の撮像部位ごとの造影剤の注入総量などとして設定されている。
動作読出部449は、部位入力部448で選定された撮像部位に対応する動作条件データを条件記憶部441から読み出し、注入制御データの一部として注入制御部422に設定する。
身体入力部451は、透視画像データの撮像に関連する人体の身体事項として身長や体重の入力操作を受け付け、その身長や体重を注入制御データの一部として注入制御部422に設定する。
より具体的には、前述のように撮像部位が模式画像の手動操作により選定された状態で、「条件」なる操作アイコンが手動操作されると、身長や体重や注入容量や注入時間などを入力操作できる状態となる。そこで、このような状態で身長や体重の数値などが入力操作される。すると、図12に示すように、これらが注入制御データの一部として表示出力されるとともに設定される。
上述のような薬液注入装置400の各部は、前述のように実装されているコンピュータプログラムに対応してコンピュータユニット405が各部を統合制御することなどにより論理的に実現されている。
例えば、データ入力部421は、前述のコンピュータプログラムに対応してコンピュータユニット405が通信I/F406やRFIDリーダ416によるデータ取得を動作制御する機能などに相当する。
同様に、補助入力部426は、コンピュータユニット405がコンピュータプログラムに対応してRFIDリーダ417によるデータ取得を動作制御する機能などに相当する。
データ報知部427は、コンピュータユニット405がコンピュータプログラムに対応してヘッドディスプレイ415とタッチパネル403とスピーカユニットとを動作制御する機能などに相当する。
データ出力部425は、コンピュータユニット405がコンピュータプログラムに対応して通信I/F406のデータ送信を動作制御する機能などに相当する。その他の各部422〜は、コンピュータユニット405がコンピュータプログラムに対応して所定のデータ処理を実行する機能などに相当する。
本実施の形態の制御ボックス500は、図3に示すように、やはり専用のコンピュータプログラムが実装されているコンピュータユニット501、通信I/F502、等を有する。
制御ボックス500も、コンピュータユニット501がコンピュータプログラムに対応して各種処理を実行する。このため、制御ボックス500には、図2に示すように、取得仲介部511、履歴転送部514、等の各部が各種機能として論理的に実現されている。
取得仲介部511は、薬液注入装置400から受信した取得要求に対応して、撮像オーダデータをRIS100から取得し、取得された撮像オーダデータの一部を注入制御データの一部として薬液注入装置400に返信する。履歴転送部514は、注入履歴データを薬液注入装置400から受信してPACS300に転送する。
このため、本実施の形態のPACS300は、前述のようにCTスキャナ200から受信する透視画像データを保存するだけではなく、上述のように制御ボックス500から受信する注入履歴データも保存する。
そして、前述のように透視画像データには撮像オーダデータが付与されており、この撮像オーダデータの撮像作業IDが注入履歴データに付与されている。このため、撮像オーダデータと注入履歴データとは撮像作業IDにより関連付けられた状態でPACS300に保存される。
本実施の形態の画像閲覧装置600も、専用のコンピュータプログラムが実装されているコンピュータ装置からなる。画像閲覧装置600は、図3に示すように、コンピュータユニット601、ディスプレイユニット602、コントローラユニット603、通信I/F604、等を有する。
画像閲覧装置600は、コンピュータユニット601がコンピュータプログラムに対応して各種処理を実行することにより、図2に示すように、データ読出部611、データ表示部612、を有する。
データ読出部611は、例えば、コンピュータユニット601がコンピュータプログラムとコントローラユニット603への入力データとに対応して通信I/F604からPACS300にアクセスする機能などに相当し、撮像作業IDで関連付けられている透視画像データと注入履歴データとをPACS300から読み出す。
データ表示部612は、コンピュータユニット601が通信I/F604の受信データをディスプレイユニット602に表示させる機能などに相当し、読み出された透視画像データと注入履歴データとを表示する。
なお、上述のようなRIS100のコンピュータプログラムは、例えば、撮像作業IDや被験者管理データや注入条件データが設定されている撮像オーダデータを記憶すること、注入作業者の入力操作に対応して複数の撮像オーダデータから一つを選定すること、選定されている一つの撮像オーダデータをCTスキャナ200や制御ボックス500から受信する取得要求に対応して返信すること、制御ボックス500から受信する薬液条件データをHIS900に転送すること、等をRIS100に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
また、CTスキャナ200のコンピュータプログラムは、例えば、注入作業者の入力操作に対応してRIS100に撮像オーダデータの取得要求を送信すること、RIS100から返信される撮像オーダデータを受信すること、受信した撮像オーダデータに対応して透視撮像ユニット201を動作制御すること、透視撮像ユニット201で撮像された透視画像データに撮像オーダデータを付与すること、撮像オーダデータが付与された透視画像データをPACS300に送信すること、等を撮像制御ユニット210に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
また、薬液注入装置400のコンピュータプログラムは、例えば、本発明の薬液注入装置400のためのコンピュータプログラムであって、撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応してシリンジ駆動機構412を動作制御する注入制御処理、入力操作される自動設定要求に対応してRIS100の撮像オーダデータから被験者管理データの少なくとも一部を取得するデータ取得処理、取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データの少なくとも一部を生成して注入制御部422に設定する注入設定処理、RIS100から被験者管理データを取得できないときに患者リストバンド910か電子カルテボード920から被験者管理データの少なくとも一部を取得して制御設定部423に提供する補助取得処理、等をコンピュータユニット405に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
また、制御ボックス500のコンピュータプログラムは、例えば、薬液注入装置400の取得要求に対応してRIS100から撮像オーダデータを取得すること、取得された撮像オーダデータの被験者管理データ等を注入条件データとして薬液注入装置400に返信すること、薬液注入装置400から注入履歴データと薬液条件データを受信すること、受信された注入履歴データをPACS300に転送するとともに薬液条件データをRIS100に転送すること、等をコンピュータユニット501に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
また、PACS300のコンピュータプログラムは、例えば、撮像オーダデータが付与された透視画像データをCTスキャナ200から受信して保存すること、撮像オーダデータの撮像作業IDが付与された注入履歴データを制御ボックス500から受信して保存すること、等をPACS300に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
そして、画像閲覧装置600のコンピュータプログラムは、例えば、撮像作業IDで関連付けられている透視画像データと注入履歴データをPACS300から読み出すこと、読み出された透視画像データと注入履歴データを表示すること、等をコンピュータユニット601に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
また、HIS900のコンピュータプログラムは、例えば、被験者管理データを保持して管理すること、等をHIS900に実行させるためのソフトウェアとして記述されている。
上述のような構成において、本実施の形態の透視撮像システム1000を使用して撮像被験者から透視画像データを撮像する方法を以下に順番に説明する。まず、注入作業者は事前にRIS100に撮像オーダデータを登録しておく。
この撮像オーダデータは、例えば、撮像作業ID、CTスキャナ200の識別情報、撮像開始および終了の日時、撮像部位、等のテキストデータからなる。この撮像オーダデータは、通常は撮像被験者ごとの被験者管理データに基づいて作成される。
そこで、撮像オーダデータを作成する注入作業者は、RIS100を手動操作してHIS900から被験者管理データを取得する。このため、撮像オーダデータには、被験者管理データの被験者識別データや氏名や身長や体重なども登録される。
ただし、撮像オーダデータは、CTスキャナ200での撮像作業に必要な各種データからなる。このため、薬液注入装置400の注入作業を特定できるデータは内包されていない。
このような撮像オーダデータがRIS100に登録された状態で、撮像作業が実行されるときには、注入作業者がRIS100を手動操作することにより、その撮像作業に対応した一つの撮像オーダデータが選定される。
一方、撮像作業の現場では、図4に示すように、CTスキャナ200の透視撮像ユニット201の近傍に薬液注入装置400が配置される。そして、透視撮像ユニット201に位置する撮像被験者(図示せず)に延長チューブで薬液シリンジ800が連結され、この薬液シリンジ800が薬液注入装置400の注入実行ヘッド410に装填される。
つぎに、図22に示すように、注入作業者が注入制御ユニット401のメイン操作部402の入力操作などで薬液注入装置400を起動させると(ステップS1−Y)、図10に示すように、タッチパネル403に複数の身体区分の模式画像が人体形状に対応して表示出力される(ステップS2)。
本実施の形態の薬液注入装置400では、注入制御データが設定されていない初期状態では、注入制御データによるシリンジ駆動機構412の動作制御は禁止されている。そして、薬液注入装置400は、上述のように初期画面が表示出力された状態で、注入制御データの全部を手動設定することもでき、その一部を撮像オーダデータから自動設定することもできる。
手動設定する場合(ステップS3−N)、タッチパネル403に表示出力された複数の身体区分の模式画像の一つを注入作業者が手指で押圧する。すると、その選択された身体区分の模式画像のみ明転するとともに他の模式画像は暗転し、その選択された身体区分の模式画像の上方にスキャナ機構の模式画像が表示出力される。
同時に、その下部には選択された身体区分に関連する複数の撮像部位の模式画像が読み出されて選択画面に表示出力される。そこで、その一つを注入作業者が手指などで入力操作すると、図11に示すように、その選択された一つの模式画像のみが明転するとともに他の模式画像は暗転する。
上述のように撮像部位が選択されると、薬液注入装置400では、その撮像部位に対応した動作条件データが読み出されて注入制御データとして設定される。さらに、図12に示すように、撮像被験者の身長や体重、注入速度、注入総量、注入時間、等が注入制御データとして注入作業者によりメイン操作部402に入力操作される(ステップS4−Y)。
このとき、本実施の形態の薬液注入装置400では、RFIDリーダ416により薬液シリンジ800にRFIDチップ810が搭載されているかも確認される(ステップS5−Y)。
そこで、薬液シリンジ800にRFIDチップ810が搭載されていた場合は(ステップS20−Y)、RFIDリーダ416により薬液条件データが取得される(ステップS6)。この薬液条件データは、前述のように、充填されている注入薬液に関連する製品名称や消費期限などの各種データと、その薬液シリンジ800に関連する容量やロット番号などの各種データからなる。
そこで、このように取得された薬液条件データの一部が、図17に示すように、注入制御ユニット401のタッチパネル403と注入実行ヘッド410のヘッドディスプレイ415とに表示出力される(ステップS7)。
このとき、タッチパネル403およびヘッドディスプレイ415には、表示出力されている薬液条件データが薬液シリンジ800のRFIDチップ810から取得されたことが、「RFID」なる所定のロゴマークにより表示出力される。
従って、注入作業者は上述のように表示処理される薬液条件データを確認して注入制御データを入力操作する(ステップS8−Y)。このように注入制御データの設定が完了すると(ステップS9,S10−Y)、注入開始を入力操作できる状態となる。
そこで、この注入開始がタッチパネル403などで入力操作されると(ステップS11−Y)、設定された注入制御データに対応してシリンジ駆動機構412が動作制御されるので、これで撮像被験者に造影剤と生理食塩水とが適切に注入される。
なお、本実施の形態の透視撮像システム1000では、上述のように注入制御データを薬液注入装置400に手動操作で設定することの他、自動設定することもできる。より具体的には、本実施の形態の薬液注入装置400では、図10に示すように、注入作業の初期画面の左上に取得要求の操作アイコンも表示出力される。
そこで、この取得要求の操作アイコンが手動操作されると(ステップS3−Y)、図24に示すように、取得要求が制御ボックス500に送信される。この制御ボックス500は、薬液注入装置400から受信した取得要求をRIS100に転送する。
すると、このRIS100は、前述のように選定されている一つの撮像オーダデータを制御ボックス500に返信する。この制御ボックス500は、RIS100から撮像オーダデータを受信すると、その撮像オーダデータの一部を注入条件データの少なくとも一部として薬液注入装置400に返信する(ステップS12)。
より具体的には、撮像オーダデータは、前述のように、撮像作業ID、CTスキャナ200の識別情報、撮像開始および終了の日時、被験者識別データや氏名や身長や体重からなる被験者管理データ、身体区分または撮像部位、等からなる。
そこで、制御ボックス500は、取得した撮像オーダデータから、撮像作業ID、身体区分または撮像部位、被験者管理データの被験者識別データと氏名と身長や体重、等を抽出し、これを注入条件データとして薬液注入装置400に返信する。
上述のような通信中には、図13に示すように、薬液注入装置400では通信中を示すガイダンスデータがタッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に表示出力される。このため、注入作業者は薬液注入装置400が通信中であることをリアルタイムに確認できる。
なお、通信エラーなどのために注入条件データを取得できないと(ステップS13−N)、データ取得の失敗を示すガイダンスデータがタッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に表示出力される(ステップS15)。このため、注入作業者はデータ取得の失敗を迅速に認識して再試行などを実行することができる。
薬液注入装置400では、取得要求に対応して制御ボックス500から取得された注入条件データが(ステップS13−Y)、図14に示すように、タッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に表示出力される(ステップS14)。
このとき、撮像被験者の氏名や性別なども注入条件データとして表示出力されるので、これで注入作業者は注入条件データと実際の撮像被験者との整合を一目で確認することになる。
さらに、注入条件データとして撮像オーダデータから被験者管理データを取得したこともガイダンスメッセージとして表示出力される。このため、注入作業者は撮像オーダデータの被験者管理データにより注入制御データが設定されることを一目で確認することになる。
一方、制御ボックス500から注入条件データとして取得された撮像オーダデータに被験者管理データが登録されてなかった場合(ステップS13−N)、図15に示すように、撮像オーダデータに被験者管理データが登録されてないことを報知する警告ガイダンスがタッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に表示出力される(ステップS15)。
このとき、警告ガイダンスにより患者リストバンド910か電子カルテボード920から被験者管理データを入力できることも注入作業者に報知される。そこで、この警告ガイダンスを確認した注入作業者は、撮像被験者ごとの患者リストバンド910や電子カルテボード920のRFIDチップ911,921を注入実行ヘッド410のRFIDリーダ417に対向させることになる。
すると、薬液注入装置400は、患者リストバンド910や電子カルテボード920のRFIDチップ911,921からRFIDリーダ417により被験者管理データを取得する(ステップS16−Y,S17−Y)。
この場合、図16に示すように、患者リストバンド910や電子カルテボード920から取得された被験者管理データが、タッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に注入条件データとして表示出力される(ステップS18)。
このとき、注入条件データとして患者リストバンド910や電子カルテボード920から被験者管理データを取得したこともガイダンスメッセージとして表示出力される。このため、注入作業者は患者リストバンド910や電子カルテボード920の被験者管理データにより注入制御データが設定されることを一目で確認することになる。
上述のように撮像オーダデータや患者リストバンド910や電子カルテボード920から被験者管理データが注入条件データとして取得された場合(ステップS13−Y,S16−Y,S17−Y)、タッチパネル403およびヘッドディスプレイ415には、図14および図16に示すように、その注入条件データを注入制御データとして使用するか使用しないかの設定指示の操作アイコンも表示出力される。
そこで、注入作業者が確認した注入条件データを注入制御データとして設定する場合には、「使用する」の操作アイコンを入力操作する。すると、これを検知した薬液注入装置400では(ステップS19−Y)、図23に示すように、注入条件データが注入制御データに設定される(ステップS24)。
さらに、本実施の形態の薬液注入装置400では、上述のように注入条件データから注入制御データが設定されるとき(ステップS12〜S19)、RFIDリーダ416により薬液シリンジ800にRFIDチップ810が搭載されているかも確認される(ステップS20)。
そこで、薬液シリンジ800にRFIDチップ810が搭載されていた場合は(ステップS20−Y)、RFIDリーダ416により薬液条件データが取得される(ステップS21)。
この薬液条件データは、前述のように、充填されている注入薬液に関連する薬液IDや製品名称や消費期限などの各種データと、その薬液シリンジ800に関連する容量やロット番号などの各種データからなる。
そこで、このように取得された薬液条件データの一部が、図17に示すように、注入制御ユニット401のタッチパネル403と注入実行ヘッド410のヘッドディスプレイ415とに表示出力される(ステップS22)。
このとき、タッチパネル403およびヘッドディスプレイ415には、表示出力されている薬液条件データが薬液シリンジ800のRFIDチップ810から取得されたことが、「RFID」なる所定のロゴマークにより表示出力される。
さらに、上述のようにタッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に薬液条件データが表示出力されるとき、この薬液条件データを注入制御データとして使用するか使用しないかの設定指示の操作アイコンも表示出力される。
そこで、注入作業者が確認した薬液条件データを注入制御データとして使用する場合には、「使用する」の操作アイコンを入力操作する。すると、これを検知した薬液注入装置400では(ステップS23−Y)、薬液条件データの一部が注入制御データとして設定される(ステップS24)。
すると、図17に示すように、薬液条件データの一部である製品名称やロット番号などが、薬液条件データから設定された注入制御データである注入容量などとともに、タッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に表示出力される。
なお、薬液シリンジ800にRFIDチップ810が搭載されていない場合は、当然ながらRFIDリーダ416により検知されないので(ステップS20−N)、前述のように注入条件データから設定された注入制御データが利用される(ステップS19)。
また、本実施の形態の薬液注入装置400では、前述のように注入条件データから注入制御データを設定することなく手動設定するときにも(ステップS4〜S11)、上述のように薬液シリンジ800のRFIDチップ810から薬液条件データを取得して注入制御データとして設定することは有効となっている(ステップS5〜S8)。
上述のように薬液条件データの表示出力される一部は、注入作業者が目視により確認することが有用な製品名称や消費期限などからなる。また、薬液条件データの注入制御データとして設定される一部は、当然ながら、注入制御データとして有用な容量や耐圧などからなる。
なお、注入条件データに撮像部位は登録されているが体重などが登録されてない場合、注入条件データから設定される注入制御データは撮像部位のみとなる。この場合、その他の注入条件データから設定される注入制御データは手動設定されることになる(ステップS25〜S27)。
また、上述のように注入条件データや薬液条件データにより設定された注入制御データも(ステップS12〜S24)、注入作業者の入力操作により修正することができる(ステップS25,S26)。
ただし、本実施の形態の薬液注入装置400は、上述のように撮像オーダデータから注入条件データが取得されて注入制御データの設定が完了すると、図18に示すように、この注入制御データが表示出力される。
ただし、本実施の形態の薬液注入装置400では、上述のように注入制御データの設定が完了しても(ステップS12〜S27)、そのまま薬液注入を開始できる状態とならない。
そこで、注入作業者は、上述のように注入制御データの設定が完了すると(ステップS27)、延長チューブに気泡が混入していないかなどの最終確認を実行し、この最終確認が完了すると注入実行ヘッド410の最終確認スイッチ414を入力操作する。
すると、これを検知した薬液注入装置400は(ステップS28−Y)、最終確認が実行されたものとして薬液注入の動作ロックを解除する(ステップS29)。ただし、本実施の形態の薬液注入装置400では、このように最終確認が実行されて動作ロックが解除されても薬液注入は実行できない。
つまり、薬液注入装置400は、上述のように最終確認スイッチ414が入力操作されると(ステップS28−Y)、最初のときと同様にRIS100や患者リストバンド910や電子カルテボード920から被験者管理データを注入条件データとして再度取得する(ステップS30)。
そして、前回の被験者管理データと再度取得された被験者管理データとが比較され、これが一致しないと(ステップS31−N)、例えば、図19に示すように、「前回取得した患者情報と異なっています」などの確認警告のエラーガイダンス等がタッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に表示出力される(ステップS32)。
この場合、例えば、確認完了がタッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に入力操作されると初期状態に復帰する(ステップS2)。このため、撮像オーダデータが変更されている状態で注入動作が開始されることがない。
一方、前回の被験者管理データと再度取得された被験者管理データとの一致が確認されると(ステップS31−Y)、タッチパネル403およびヘッドディスプレイ415により注入開始を入力操作できる状態となる。
そこで、この注入開始が入力操作されると(ステップS33−Y)、設定された注入制御データに対応してシリンジ駆動機構412が動作制御されるので、これで撮像被験者に注入薬液として造影剤と生理食塩水とが適切に注入される(ステップS34)。
このとき、リアルタイムに経過時間が計測されるとともに、実際の注入速度も検出されるので、その注入速度が注入制御データに適合するようにシリンジ駆動機構412の動作がフィードバック制御される。
さらに、実際の注入速度からなる経時グラフがリアルタイムに生成され(ステップS35)、例えば、注入制御データとともにタッチパネル403およびヘッドディスプレイ415に表示出力される(ステップS36)。
前述のように、注入条件データとして被験者管理データが取得されることなく注入制御データが手動設定された場合は、図20に示すように、経時グラフは手動設定された注入制御データとともに表示出力される。
一方、被験者管理データや薬液条件データが取得されて注入制御データが自動設定された場合は、図21に示すように、経時グラフは自動設定された注入制御データおよび被験者管理データや薬液条件データなどとともに表示出力される。さらに、撮像オーダデータから撮像開始時刻も取得された場合には、この撮像開始時刻も経時グラフに所定のシンボルマークで表示出力される。
そして、注入作業が完了すると(ステップS37−Y)、実際の注入速度の経時グラフを内包する注入履歴データが生成される(ステップS38)。このように生成される注入履歴データは、注入条件データとして被験者管理データが取得されることなく注入制御データが手動設定された場合は、経時グラフの画像データと手動設定された注入制御データのテキストデータからなる。
一方、被験者管理データや薬液条件データが取得されて注入制御データが自動設定された場合は、注入履歴データは、経時グラフの画像データと、注入制御データおよび注入条件データのテキストデータからなる。
このテキストデータは、例えば、注入作業ごとに固有の識別情報である注入作業ID、実際の注入開始および終了の日時、薬液注入装置400の識別情報、注入制御データ、その注入制御データの全部が手動入力されたか一部が注入条件データから取得されたか一部が薬液条件データから取得されたかの情報、注入制御データの少なくとも一部が注入条件データから取得された場合は撮像オーダデータから取得されたか患者リストバンド910から取得されたか電子カルテボード920から取得されたか、その第一回目と第二回目との取得日時、その取得された被験者管理データの少なくとも一部、注入制御データの少なくとも一部が薬液シリンジ800の薬液条件データから取得された場合は、その薬液条件データの少なくとも一部、等からなる。
また、薬液注入装置400は、注入作業が完了すると、少なくとも注入作業IDが付与されていて完了を通知する完了通知データも生成する(ステップS39)。そこで、注入作業を完了した薬液注入装置400は、完了通知データと注入履歴データとを制御ボックス500に送信する(ステップS40)。
すると、この制御ボックス500は、薬液注入装置400から受信した完了通知データをRIS100に転送する。このRIS100は、受信した完了通知データを注入作業IDにより撮像オーダデータに関連させた状態で保存する。
また、制御ボックス500は、薬液注入装置400から受信した注入履歴データをPACS300に転送する。このPACS300は、受信した注入履歴データを撮像作業IDで管理する状態で保存する。
通常の作業では、前述のように薬液注入装置400による注入作業が完了する前後に、CTスキャナ200による撮像作業が開始される。その場合、注入作業者によりCTスキャナ200の撮像制御ユニット210に撮像開始が入力操作される。
すると、CTスキャナ200の撮像制御ユニット210は、RIS100に撮像オーダデータの取得要求を送信する。すると、このRIS100は、前述のように選定されている一つの撮像オーダデータがCTスキャナ200に返信される。
そこで、このCTスキャナ200では、撮像制御ユニット210が受信した撮像オーダデータに対応して透視撮像ユニット201が動作制御されることにより、透視画像データの撮像作業が実行される。
これで透視撮像ユニット201により撮像被験者から透視画像データが撮像されると、撮像制御ユニット210では、透視画像データに撮像オーダデータが付与される。つぎに、撮像制御ユニット210では、撮像オーダデータが付与された透視画像データがPACS300に送信される。
このPACS300は、受信した透視画像データを撮像オーダデータの撮像作業IDで管理する状態で保存する。そして、注入作業者が透視画像データを閲覧するときは、例えば、画像閲覧装置600の手動操作によりPACS300から透視画像データを読み出す。
その場合、例えば、撮像作業IDが検索キーとして入力操作されることにより、その撮像作業IDの透視画像データがPACS300から読み出されて画像閲覧装置600のディスプレイユニット602に表示出力される。
このとき、その撮像作業IDにより注入履歴データもPACS300から読み出されるので、必要により画像閲覧装置600のディスプレイユニット602に表示出力される。
このように表示出力される注入履歴データにより、その注入作業の注入制御データの全部が手動入力されたか、一部が注入条件データから取得されたか、一部が薬液条件データから取得されたか、等も確認される。
しかも、注入制御データの少なくとも一部が注入条件データから取得された場合は、その注入条件データが撮像オーダデータから取得されたか、患者リストバンド910から取得されたか、電子カルテボード920から取得されたか、その第一回目と第二回目との日時、等も取得された注入条件データの内容とともに確認される。
さらに、上述の注入履歴データにより、薬液条件データがRFIDチップ810から取得されたか手動入力されたか、RFIDチップ810から取得された場合は、その注入薬液の製品名称、薬液ID、消費期限、販売価格、等も確認される。
本実施の形態の透視撮像システム1000では、上述のように撮像作業ごとに設定される注入制御データに対応して注入制御部422が動作制御するシリンジ駆動機構412により薬液注入が実行される。
ただし、注入制御データの自動設定要求が入力操作されると、RIS100の撮像オーダデータから被験者管理データの少なくとも一部を取得する。この場合、取得された被験者管理データの少なくとも一部で注入制御データの少なくとも一部を生成して設定する。
しかし、RIS100から被験者管理データを取得できないときには患者リストバンド910か電子カルテボード920から被験者管理データの少なくとも一部を取得して制御設定部423に提供する。
従って、撮像被験者に適切な注入制御データを、注入作業者の煩雑な入力操作を必要とすることなく、薬液注入装置400に設定することができる。特に、撮像オーダデータに被験者管理データが適正に登録されていれば、この被験者管理データが取得されて注入制御データが生成される。
このため、注入作業者が注入制御データの全部を手動入力する必要がなく、的確な注入制御データを簡単に設定することができる。従って、撮像被験者に適切でない注入制御データにより薬液注入が実行される医療ミスなどを良好に防止することができる。
しかも、撮像オーダデータに被験者管理データが登録されていなくとも、患者リストバンド910か電子カルテボード920から被験者管理データが取得されて注入制御データが生成される。
このため、緊急治療などのために撮像オーダデータに被験者管理データが登録されていないような場合でも、適切な被験者管理データを薬液注入装置400に簡単に入力して注入制御データを適切に設定することができる。
しかも、本実施の形態の薬液注入装置400は、上述のような場合に被験者管理データをRIS100から取得できなかったことと患者リストバンド910か電子カルテボード920から取得できることとを報知出力し、この報知出力に対応して患者リストバンド910か電子カルテボード920から入力される被験者管理データを受け付ける。
このため、被験者管理データをRIS100から取得できないことを注入作業者に的確かつ迅速に認識させることができ、例えば、撮像オーダデータの確認作業なども迅速に実行させることができる。
特に、患者リストバンド910は撮像被験者ごとに常時装着されており、撮像被験者に他者の患者リストバンド910が装着されている可能性は極度に低い。このため、他者の患者リストバンド910から薬液注入装置400に被験者管理データが誤入力されることを良好に防止できる。
また、電子カルテボード920も撮像被験者ごとに用意されており、これを注入作業者は確認しながら各種作業を実行する。このため、やはり他者の電子カルテボード920から薬液注入装置400に被験者管理データが誤入力されることを良好に防止できる。
しかも、被験者管理データを患者リストバンド910や電子カルテボード920から取得できることも注入作業者に的確かつ迅速に認識させることができ、注入作業者に被験者管理データを適切に入力させることができる。
特に、患者リストバンド910と電子カルテボード920にはRFIDチップ911,921が搭載されており、薬液注入装置400はRFIDリーダ417で被験者管理データを取得する。
このため、煩雑な入力操作などを必要とすることなく簡単かつ確実に患者リストバンド910や電子カルテボード920から薬液注入装置400に被験者管理データを入力することができる。
それでいて、上述のように注入作業者が患者リストバンド910か電子カルテボード920から薬液注入装置400に被験者管理データを入力すると、これを薬液注入装置400が表示出力する。このため、薬液注入の動作制御に利用される被験者管理データが、何から入力されたかを注入作業者に簡単かつ確実に確認させることができる。
さらに、本実施の形態の薬液注入装置400では、薬液シリンジ800に搭載されているRFIDチップ810から薬液条件データも取得して注入制御データの生成に利用する。このため、撮像被験者と注入薬液とに対応して緻密に調整された注入制御データを、簡単かつ確実に略自動的に設定することができる。
それでいて、本実施の形態の薬液注入装置400では、被験者管理データや薬液条件データが取得されて注入制御データが設定されると、これらの少なくとも一部を表示出力するとともに音声出力する。
このため、取得された被験者管理データや薬液条件データや設定された注入制御データの必要部分を、多忙な注入作業者に確実に確認させることができる。従って、その撮像被験者に不適な薬液注入が実行されるようなことも簡単に防止できる。
さらに、本実施の形態の薬液注入装置400は、設定された注入制御データに対応して実際に実行された注入動作をデータ記録して注入履歴データを生成し、この注入履歴データをPACS300に送信して対応する透視画像データとともに保存させる。
このため、例えば、透視画像データを閲覧するときに注入履歴データと注入制御データも確認することができる。従って、透視画像データを閲覧する注入作業者が、その透視画像データの撮像時に撮像被験者に薬液注入が如何に実行されたかまで確認することができる。
特に、上述の注入履歴データには、取得された被験者管理データから注入制御データが生成されたか、生成された場合は被験者管理データが何処から取得されたか、も登録される。
このため、薬液注入に利用された被験者管理データか適切であったか、その被験者管理データの入力経路が適切であったか、なども透視画像データとともに確認することができる。
同様に、上述の注入履歴データには、取得された薬液条件データから注入制御データが生成されたか、も登録される。このため、利用された注入薬液が適切であったか、なども透視画像データとともに確認することができる。
従って、もしも造影剤の注入作業に疑義が発生したような場合でも、透視画像データとともに注入履歴データを注入制御データおよび被験者管理データや薬液条件データとともに確認することができる。このため、その注入履歴データと注入制御データと被験者管理データや薬液条件データを証拠とすることができる。
さらに、薬液注入装置400では、注入制御データに基づいて薬液注入が実行されるとき、経時グラフがリアルタイムに表示出力される。このため、注入作業者は注入状態をリアルタイムに確認することができる。
特に、注入制御データがRIS100から取得されて設定された場合、その各種の設定内容が経時グラフとともに表示出力される。このため、注入作業者は注入制御データの設定内容を常時確認することができる。
さらに、本実施の形態の薬液注入装置400では、RIS100から撮像オーダデータが取得された場合は、その撮像オーダデータに基づいて経時グラフに撮像開始時刻が表示出力される。
このため、注入作業者は注入状況と撮像開始時刻との関係をリアルタイムに確認することができる。特に、その撮像開始時刻は専用のロゴマークにより表示出力されるので、注入作業者は直感的に確認することができる。
そして、上述のようにリアルタイムに生成された経時グラフも注入履歴データに設定される。このため、注入履歴データにより薬液注入の動作内容を詳細に確認することができる。
しかも、本実施の形態の透視撮像システム1000の各種装置100〜600,900はDICOMの規約で各種データを相互通信する。DICOMの通信データは改竄が困難なので、注入履歴データと注入制御データと薬液条件データとの証拠能力が高い。
しかも、注入作業の完了通知データが薬液注入装置400から制御ボックス500を経由してRIS100に保存される。このRIS100では、完了通知データが撮像オーダデータと関連されて管理されるので、例えば、RIS100からCTスキャナ200に撮像オーダデータとともに薬液注入の開始時刻や終了時刻などを通知することもできる。
この場合、CTスキャナ200を操作する注入作業者が薬液注入の開始時刻や終了時刻を参照することができるので、その時刻に対応して画像撮像の開始時刻を調整するようなことができる。
なお、本実施の形態の薬液注入装置400では、撮像オーダデータによる被験者管理データの取得は、「i」なるロゴと人体の模式画像による専用のアイコンにより入力操作される。このため、注入作業者は撮像オーダデータによる被験者管理データの取得操作を直感的に実行することができる。
また、RFIDチップ810から取得された薬液条件データは、「RFID」なる所定のロゴマークとともに表示出力される。このため、表示出力された薬液条件データがRFIDチップ810から取得されたことを、注入作業者は直感的に確認することができる。
特に、上述のような表示出力は、薬液注入装置400の注入制御ユニット401のタッチパネル403だけではなく注入実行ヘッド410のヘッドディスプレイ415にも表示出力される。このため、注入作業者は注入実行ヘッド410の位置で作業しながらでも被験者管理データや薬液条件データを確認することができる。
しかも、上述のように透視画像データと注入履歴データとは撮像作業IDで関連されるが、その撮像作業IDは、注入制御データを自動設定するときに撮像オーダデータとして薬液注入装置400に取得される。
つまり、RIS100から制御ボックス500を経由して薬液注入装置400に取得される撮像オーダデータを、注入制御データの設定と注入履歴データの生成との両方に利用することができる。
さらに、本実施の形態の透視撮像システム1000では、薬液シリンジ800のRFIDチップ810に薬液条件データが記録されており、薬液注入装置400は、RFIDリーダ416でRFIDチップ810から薬液条件データを取得する。このため、薬液注入装置400は、薬液シリンジ800から大容量の薬液条件データを簡単かつ確実に取得することができる。
特に、薬液注入装置400は、薬液シリンジ800が適正に装填されないと薬液条件データを取得しない。このため、薬液シリンジ800が適正に装填されていない状態で薬液注入が実行されることを防止できる。
さらに、本実施の形態の薬液注入装置400は、注入直前の最終確認が入力操作されると被験者管理データを再度取得し、前回と今回との被験者管理データの一致を確認する。
その一致が確認されるまで注入制御データによる薬液注入を実行しないので、被験者管理データが二重に確認されない状態で薬液注入が実行されることを簡単かつ確実に防止することができる。
しかし、注入制御データの全部が手動入力されたときは、注入制御データの設定が完了すれば注入動作を開始することができる。このため、注入動作の禁止と解禁とを簡単な条件で適切に制御することができる。
また、薬液注入装置400を利用した一般的な注入作業では、上述のように注入実行ヘッド410から離間した注入制御ユニット401で注入制御データを設定するが、この設定が完了すると注入実行ヘッド410の位置で薬液シリンジ800や撮像被験者の状態などを最終確認することになる。
そして、本実施の形態の薬液注入装置400では、上述のように注入直前に撮像オーダデータを再度取得して一致を確認するための最終確認スイッチ414が注入実行ヘッド410に配置されている。
このため、従来から必須の注入実行ヘッド410の位置での最終確認のときに、撮像オーダデータの再度取得と一致確認とを入力操作できる。特に、この薬液注入装置400は、最終確認が実行されて最終確認スイッチ414が入力操作されないと薬液注入の動作ロックが解除されない。
このため、一個の最終確認スイッチ414を入力操作するだけで、最終確認の完了入力による注入動作のロック解除と、撮像オーダデータの再確認とを、ともに実行することができる。
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では薬液注入装置400が取得した被験者管理データから撮像被験者の身長や体重を抽出して注入制御データの設定に利用することを例示した。
しかし、このような被験者管理データに撮像被験者の体表面積が設定されており、この体表面積を薬液注入装置400が被験者管理データから抽出して注入制御データの設定に利用してもよい。
この体表面積は造影剤などの注入薬液の注入容量に利用されている。ただし、現状では体表面積を撮像被験者から直接に正確に実測することは困難であるため、身長と体重から近似値が算出されている。
換言すると、薬液注入装置400が、被験者管理データから撮像被験者の身長と体重とを抽出して体表面積を算出し、この体表面積に対応して注入制御データを設定してもよい。
また、上記形態では薬液注入装置400が注入制御データの自動設定要求に対応してRIS100の撮像オーダデータから被験者管理データを取得し、これが取得できない場合には、被験者管理データをRIS100から取得できなかったことと患者リストバンド910か電子カルテボード920から取得できることとを報知出力し、注入作業者に患者リストバンド910か電子カルテボード920から被験者管理データを入力させることを例示した。
しかし、このような被験者管理データは、前述のようにHIS900にも登録されており、PACS300やCTスキャナ200にも登録されていることがある。そこで、注入制御データの自動設定要求に対応して被験者管理データをRIS100から取得できなかった薬液注入装置400が、被験者管理データをHIS900やPACS300やCTスキャナ200などから取得してもよい(図示せず)。
この場合、当然ながら、被験者管理データをRIS100から取得できなかったことと、被験者管理データを何処から取得したかを薬液注入装置400が表示出力や音声出力で注入作業者に報知することがよい。
さらに、このような薬液注入装置400が、事前に設定されている取得優先順位でHIS900やPACS300などを順番に検索して最上位の被験者管理データを取得してもよい。
また、上述のような薬液注入装置400が、HIS900やPACS300などから複数の被験者管理データを取得して所定条件により一つを選択してもよい。その場合、薬液注入装置400は、複数の被験者管理データから最新の一つを選択してもよく、取得された撮像オーダデータに整合する一つの被験者管理データを選択してもよい。
このような薬液注入装置は、取得される複数の被験者管理データを一覧表示する管理一覧部と、一覧表示された被験者管理データから一つを選択する管理選択要求が入力操作される選択操作部とを、さらに有し、複数の被験者管理データから管理選択要求に対応した一つを選択的に取得してもよい(図示せず)。
また、上述のような薬液注入装置が、被験者管理データを取得できる複数の被験者管理装置を一覧表示する管理一覧部と、一覧表示された被験者管理装置から一つを選択する管理選択要求が入力操作される選択操作部とを、さらに有し(図示せず)、管理選択要求に対応した被験者管理装置から被験者管理データを取得してもよい。
なお、現在は被験者管理データである被験者電子カルテを複数の医療施設で共用することが検討されている。そこで、上述のような薬液注入装置400が、自身がCTスキャナ200などとともに自己医療施設に設置されているRIS100やHIS900などから被験者管理データが取得されないときに、外部医療施設に設置されているRISやHISなどから被験者管理データを取得してもよい(図示せず)。
さらに、上記形態では薬液注入装置400が患者リストバンド910や電子カルテボード920のRFIDチップ911,921からRFIDリーダ417で被験者管理データを取得することを例示した。
しかし、被験者管理データが磁気ストライプや二次元コードやバーコードで患者リストバンド910や電子カルテボード920に記録されており、このような被験者管理データを薬液注入装置が磁気ヘッドや二次元スキャナやラインスキャナで取得してもよい(図示せず)。
同様に、上記形態では薬液シリンジ800にRFIDチップ810で薬液条件データが記録されており、その薬液条件データを薬液注入装置400がRFIDリーダ416で取得することを例示した。
しかし、薬液条件データが磁気ストライプや二次元コードやバーコードで薬液シリンジ800に記録されており、このような薬液条件データを薬液注入装置が磁気ヘッドや二次元スキャナやラインスキャナで取得してもよい(図示せず)。
また、上記形態ではHIS900が被験者電子カルテである被験者管理データの管理に利用されていることのみ例示した。しかし、実際のHIS900は、被験者管理データを利用した会計処理部902による会計処理にも利用されている。
そこで、薬液注入装置400が薬液条件データを注入履歴データなどとともにHIS900に送信し、このHIS900が薬液条件データなどに基づいて被験者管理データごとに会計処理を実行してもよい。
この場合、薬液条件データは実際に使用される薬液シリンジ800から薬液注入装置400に取得され、注入作業者が入力操作する必要がない。このため、実際に撮像被験者に注入された注入薬液の薬液条件データをHIS900に簡単かつ確実に提供することができる。
さらに、このような透視撮像システムにおいて、撮像オーダデータなどに設定された本数以上に薬液シリンジ800が消費されたとき、その実際の消費本数を薬液注入装置400がHIS900に送信してもよい。この場合、HIS900は薬液シリンジ800の実際の消費本数を認識して会計処理を実行することができる。このため、使途不明金の発生などを防止することができる。
また、上記形態では薬液シリンジ800に搭載されているRFIDチップ810から薬液条件データを薬液注入装置400が取得して表示出力することにより、注入作業者が注入薬液の製品名称や含有成分や化学分類などを確認できることを例示した。
しかし、RIS100が撮像オーダデータとともに薬液シリンジ800の薬液条件データも記憶し、薬液注入装置400がRIS100から撮像オーダデータとともに薬液条件データも取得し、撮像オーダデータとともに取得された薬液条件データと薬液シリンジ800から取得された薬液条件データとの一致を確認し、薬液条件データが一致しないと警告を報知出力してもよい(図示せず)。
さらに、このように薬液条件データが一致しないと薬液注入を禁止してもよい。これらの場合、薬液注入装置に装填された薬液シリンジ800が予定と相違することを注入作業者に警告することができ、予定と相違する注入薬液が安易に注入されることを防止できる。
また、撮像被験者ごとに警告要否が撮像オーダデータに設定されており、薬液注入装置が、取得された撮像オーダデータに警告必要が設定されていると警告を報知出力してもよい。
この場合、撮像被験者がアレルギ体質であることなどを注入作業者に警告することができる。さらに、上述のような警告状態で薬液注入が禁止され、これが撮像被験者を確認した注入作業者の手動操作によりリセットされてもよい。
また、RIS100が、撮像被験者ごとに注入に不適な薬液IDが不適IDとして被験者管理データとともに設定されている撮像オーダデータを記憶し、薬液注入装置400が、薬液シリンジ800のRFIDチップ810から薬液条件データを取得するとともに撮像オーダデータから不適IDを取得し、薬液シリンジ800から取得された薬液条件データの薬液IDと撮像オーダデータから取得された不適IDとの一致を確認し、その薬液条件データと不適IDとが整合すると、「この注入薬液は、この撮像被験者には注入できません。」などの警告メッセージをタッチパネルに表示出力させるとともに、注入実行機構を作動不能に動作制御してもよい。
この場合、例えば、撮像被験者に注入される注入薬液がCT用の造影剤などの種別は適切でありながらも、副作用などの撮像被験者の個人的な理由で注入不適な場合に、これを薬液注入装置400が自動的に検出して注入作業者に報知出力することができる。従って、注入作業者は迅速に事態を認識して注入薬液の変更などの対処を実行することができる。
反対に、RIS100が、撮像被験者ごとに注入に適正な薬液IDが適正IDとして被験者管理データとともに設定されている撮像オーダデータを記憶し、薬液注入装置400が、薬液シリンジ800のRFIDチップ810から薬液条件データを取得するとともに撮像オーダデータから適正IDを取得し、薬液シリンジ800から取得された薬液条件データの薬液IDと撮像オーダデータから取得された適正IDとの一致を確認し、その薬液条件データと適正IDとが整合しないと、「この注入薬液は、この撮像被験者には注入できません。」などの警告メッセージをタッチパネルに表示出力させるとともに、注入実行機構を作動不能に動作制御してもよい。
特に、薬液シリンジ800が注入実行ヘッド410に装填されると自動的に薬液条件データが取得され、注入制御データとして撮像オーダデータが入力されると適正IDも取得される。このため、その取得や照合のために専用の作業などが必要なく、簡単かつ確実に薬液条件データと適正IDとを照合することができる。
同様に、RIS100が、撮像被験者ごとに注入に不適な注入薬液の含有成分や化学分類が不適成分や不適分類として被験者管理データとともに設定されている撮像オーダデータを記憶し、薬液注入装置400が、薬液シリンジ800のRFIDチップ810から含有成分や化学分類を取得するとともに撮像オーダデータから不適成分や不適分類を取得し、薬液シリンジ800から取得された含有成分や化学分類と撮像オーダデータから取得された不適成分や不適分類との整合を確認し、含有成分が不適成分に整合したり化学分類が不適分類に整合すると警告を報知出力させるとともに、注入実行機構を作動不能に動作制御してもよい。
これらの場合、撮像被験者への注入の適否を含有成分や化学分類ごとに管理することができる。このため、例えば、初めて注入する注入薬液でも適否を的確に予想するようなことができる。
さらに、RFIDチップ810に薬液条件データの少なくとも一部として撮像作業に対応した作業種別を適正種別として記録しておき、撮像オーダデータに作業種別を設定しておき、RFIDチップ810から取得された適正種別と注入条件データに設定されている作業種別とを薬液注入装置400が照合して整合しないと警告を報知してもよい。
この場合、例えば、CTスキャナ200により透視画像が撮像される撮像被験者にMRI用の造影剤が注入されるような医療ミスを防止することができる。反対に、撮像作業に対応した薬液種別を撮像オーダデータに適正種別として設定しておき、RFIDチップ810から取得された薬液種別と注入条件データに設定されている適正種別とを薬液注入装置400が照合して整合しないと警告を報知してもよい。
同様に、撮像作業に対応した薬液IDを撮像オーダデータに適正IDとして設定しておき、RFIDチップ810から取得された薬液IDと注入条件データに設定されている適正IDとを薬液注入装置400が照合して整合しないと警告を報知してもよい。
さらに、上記形態では注入実行ヘッド410の手前となる左側面の後部から下方にヘッドディスプレイ415が直接に装着されていることを例示した。しかし、このようなヘッドディスプレイ415は、注入実行ヘッド410の操作を阻害せず、画面を確認できればよい。
このため、ヘッドディスプレイ415が、注入実行ヘッド410の右側面などに装着されていてもよく、前部に装着されていてもよく、上方に装着されていてもよい。また、ヘッドディスプレイ415が注入実行ヘッド410に可動アームなどにより移動自在に装着されていてもよい(ともに図示せず)。
さらに、上記形態では薬液注入装置400が二個の薬液シリンジ800により撮像被験者に造影剤と生理食塩水とを注入することを例示した。しかし、薬液注入装置が一個の薬液シリンジ800により注入薬液として造影剤や生理食塩水などを撮像被験者に注入してもよい(図示せず)。
また、上記形態では透視撮像装置としてCTスキャナ200を使用し、薬液注入装置400が注入薬液としてCT用の造影剤を注入することを例示した。しかし、透視撮像装置がMRIやPET装置や超音波診断装置などからなり、それ用の造影剤などを薬液注入装置が注入してもよい。
さらに、上記形態ではCTスキャナ200と薬液注入装置400とが個々にスタンドアロンで動作することを例示した。しかし、CTスキャナ200と薬液注入装置400とがデータ通信により各種の動作を連動させてもよい。
また、上記形態では説明を簡単とするため、透視撮像システム1000の各部が各々一個であることを例示した。しかし、大規模な病院などでは、複数の透視撮像システム1000の各々がRIS100とCTスキャナ200と薬液注入装置400と制御ボックス500とを一個ずつ有し、その複数の透視撮像システムがPACS300と画像閲覧装置600とを共有する構造でよい(図示せず)。ただし、このような場合でも、RIS100やPACS300や画像閲覧装置600などのハードウェアは並列に接続された複数であってよい(図示せず)。
さらに、上記形態では一個のPACS300で透視画像データと注入履歴データや注入制御データが保存されることを例示した。しかし、透視画像データと注入履歴データと注入制御データとを保存するハードウェアが別個に形成されていて通信ネットワークで接続されていてもよい。
また、上記形態では、RIS100、CTスキャナ200、PACS300、薬液注入装置400、制御ボックス500、画像閲覧装置600、HIS900、が別体に形成されていて通信ネットワーク700〜706により接続されていることを例示した。
しかし、上述のような各種装置100〜600,900が各種の組み合わせで一体に形成されていてもよい。例えば、薬液注入装置400の注入制御ユニット401と制御ボックス500が一体に形成されていること、これにRIS100やPACS300が一体に形成されていること、PACS300と画像閲覧装置600とが一体に形成されていること、等も可能である。
また、制御ボックス500に、RIS100やPACS300が一体に形成されていること、制御ボックス500とPACS300と画像閲覧装置600とが一体に形成されていること、等も可能である。
さらに、CTスキャナ200の撮像制御ユニット210とRIS100と制御ボックス500とが一体に形成されていること、CTスキャナ200の撮像制御ユニット210とPACS300と制御ボックス500とが一体に形成されていること、これに画像閲覧装置600が一体に形成されていること、等も可能である。
また、画像閲覧装置600とPACS300とが一体に形成されていること、これに制御ボックス500やCTスキャナ200の撮像制御ユニット210が一体に形成されていること、等も可能である。
さらに、上記形態ではコンピュータプログラムに対応してコンピュータ装置が動作することにより、各種装置100〜600,900の各部が各種機能として論理的に実現されることを例示した。
しかし、その各部の各々を固有のハードウェアとして形成することも可能であり、一部をソフトウェアとして形成するとともに一部をハードウェアとして形成することも可能である。
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明の機能を満足する範囲で各種に変更することができる。