JP2018046277A - 窒化ガリウム系膜ならびにその製造方法 - Google Patents

窒化ガリウム系膜ならびにその製造方法 Download PDF

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【課題】 窒化ガリウム系ターゲットを用いたスパッタリング法により、窒化ガリウム系膜とその膜の製造方法を提供する。【解決手段】 酸素含有量を低減した窒化ガリウム焼結体をスパッタリングターゲットの主成分として用いたスパッタリング法を用い、成膜条件を最適化することにより、素子等に好適な0.4nm未満の表面粗さ(Ra)にて立方晶(111)、六方晶(0002)Ga極性、六方晶(000−2)N極性の窒化ガリウム系膜を作製する。【選択図】 なし

Description

窒化ガリウムは、青色発光ダイオード(LED)の発光層や青色レーザーダイオード(LD)の原料として注目され、近年では薄膜や基板の形態にて白色LEDや青色LDなどの様々な用途に用いられており、また将来的にはパワーデバイスなどの用途の材料としても注目されている。現在、窒化ガリウム薄膜は有機金属化学気相成長(MOCVD)法によって製造されることが一般的である。MOCVD法は、キャリアガスに原料の蒸気を含ませて基板表面に運搬し、加熱された基板との反応で原料を分解させることにより、結晶を成長させる方法である。
従来、窒化ガリウム系のエピタキシャル成長は、殆ど六方晶(0002)面(GaN結晶の場合のGa極性面:「+c面」とも言う)への成長であった。それに対し、六方晶(000−2)(N極性面、「−c面」とも言う)方向にIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長させると様々な効果が得られる。例えば、N極性面の窒化ガリウムは窒素脱離が進行しにくいため、一定量以上の添加が困難であるインジウムの添加量を高くすることができ、それによって、これまで作製が困難であった輝度の高い緑色LEDの作製が可能となる。また、自然分極とピエゾ分極の電界の方向を同一方向とすることができるため、半導体素子の設計上、種々の利点がある。
ただし、N極性面の窒化ガリウムを成長させようとすると、突起状の形状が表面に多く見られてしまうことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
この表面状態を解決するために、MOCVDの成膜条件の検討が試みられているが、平坦化は完全に解決しておらず(例えば、非特許文献2参照)、解決には基板のオフ角の調整や前処理が必須(例えば、特許文献1参照)であり、作製条件範囲も狭く、工程が複雑である。また、その結晶性においても、ω方向のロッキングカーブの半価幅(以下、「ωスキャンの半価幅」と言うことがある)において100arcsec程度までしか低下できず、更なる改善が求められている。また、表面粗さに関しても、ステップ基板を用いることから0.4nm以下とすることはできていない。
また、結晶相は六方晶が安定層であるが、準安定層として立方晶(閃亜鉛鉱型)が存在する。立方晶は六方晶よりも対称性が高いためにキャリアのフォノン散乱が小さく、電子移動度が高いとされており、高速動作が可能なトランジスタなどに応用できる可能性がある。ただし、安定的に立方晶の薄膜を得ることは難しい。
ところで、MOCVD法以外の薄膜の作製法としてスパッタリング法が挙げられる。このスパッタリング法は陰極に設置したターゲットにArイオンなどの正イオンを物理的に衝突させ、その衝突エネルギーでターゲットを構成する材料を放出させて、対面に設置した基板上にターゲット材料とほぼ同組成の膜を堆積する方法であり、直流スパッタリング法(DCスパッタリング法)と高周波スパッタリング法(RFスパッタリング法)がある。
また、特許文献2において、低酸素含有量窒化ガリウムの焼結体が提案されているが、それを用いた薄膜において、極性や結晶相の制御に関する記述はなく、成膜条件における更なる検討、窒化ガリウムの更なる低酸素化が必要であった。
特開2009−147271公報 特開2014−159368公報
Applied Physics Letters 97, 141902 (2010) Japanese Journal of Applied Physics 53, 11RC01 (2014)
本発明の目的は、窒化ガリウム系ターゲットを用いたスパッタリング法により、結晶相、極性、結晶性を制御することで、必要な結晶相、極性を持ち、高い結晶性、平坦性を持つ窒化ガリウム系膜とその膜の製造方法を提供することである。
このような背景に鑑み、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、スパッタ成膜条件を鋭意検討し、薄膜中の窒素/ガリウム比を制御することにより膜中の極性を制御し、更に配向性の高い、窒化ガリウム系膜が得られる条件を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の態様は以下の通りである。
(1)結晶相が六方晶または立方晶の少なくともいずれかであり、表面粗さ(Ra)が0.4nm未満、ωスキャンの半価幅が40arcsec以下のピークを有することを特徴とする窒化ガリウム系膜。
(2)結晶相が六方晶であり、表面粗さ(Ra)が0.4nm未満、ωスキャンの半価幅が40arcsec以下であることを特徴とする窒化ガリウム系膜。
(3)結晶相が六方晶であり、極性がN極性であることを特徴とする上記(2)に記載の窒化ガリウム系膜。
(4)結晶相が六方晶であり、極性がGa極性であることを特徴とする上記(2)に記載の窒化ガリウム系膜。
(5)結晶相が立方晶で(111)面に配向しており、表面粗さ(Ra)が0.4nm未満、ωスキャンの半価幅が40arcsec以下であることを特徴とする窒化ガリウム系膜。
(6)スパッタリング法で窒化ガリウム系膜を製造する方法であって、窒化ガリウムを主成分とし、導入ガスにおける、窒素/(窒素+アルゴン)の分圧比が0.7以上の条件でスパッタすることを特徴とする上記(1)に記載の窒化ガリウム系膜の成膜方法。
(7)スパッタリング法で窒化ガリウム系膜を製造する方法であって、窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力が0.4Pa未満、または成膜時のスパッタガス圧力を0.4Pa以上1.3Pa以下であり、かつ、600℃以上のいずれかでスパッタすることを特徴とする上記(3)に記載の窒化ガリウム系膜の成膜方法。
(8)スパッタリング法で窒化ガリウム系膜を製造する方法であって、窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力を1.3Paより高く、かつ600℃以上でスパッタすることを特徴とする上記(4)に記載の窒化ガリウム系膜の成膜方法。
(9)スパッタリング法で窒化ガリウム系膜を製造する方法であって、窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力を0.4Pa以上、かつ0℃以上600℃未満でスパッタすることを特徴とする上記(5)に記載の窒化ガリウム系膜の成膜方法。
(10)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の窒化ガリウム系膜と基板を含んでなることを特徴とする積層基材。
(11)上記(1)に記載の積層基材を用いることを特徴とする半導体素子。
(12)上記(11)に記載の半導体素子を用いることを特徴とする電子機器。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の窒化ガリウム系膜は、主成分が窒化ガリウムである薄膜であり、一般的に組成としてガリウムを25atm%以上含有しているものを指す。本発明においては、同族元素であるインジウムやアルミニウム、導電性や半導体物性を発現させるためにドーパントとしてシリコンなどを含有させても構わない。
本発明の窒化ガリウム系膜は、その結晶相が六方晶構造もしくは立方晶構造であることを特徴とする。これにより、半導体素子とした際、従来と比較して高い性能を発揮できる可能性がある。
また、結晶の成長方位に関して、立方晶は(h k l)、六方晶は(h k l m)表記で表している。
六方晶の極性は、基板を下面とし、窒化ガリウム膜が成膜された面を基板に対し上面とした際の上面から測定した結果を指す。
また、本発明の窒化ガリウム系膜は、表面粗さ(Ra)が0.4nm未満であることを特徴とする。それにより、各種デバイスを作製するに当たり発生する様々な不具合を解消することが可能となる。ここでの表面粗さ(Ra)は原子間力顕微鏡にて2μm四方を測定した際に得られる算術平均粗さを指す。表面粗さ(Ra)は、好ましくは0.3nm以下であり、更に好ましくは0.2nm以下である。
本発明の窒化ガリウム系膜の結晶相は六方晶または立方晶の少なくともいずれかであり、ωスキャンの半価幅が40arcsec以下のピークを有する。この場合、結晶相が六方晶の場合、(0002)面または(000−2)面ピークが該当し、結晶相が立方晶の場合、(111)面が該当する。
さらに、本発明の窒化ガリウム系膜は(0002)面のωスキャンの半価幅が40arcsec以下であることを特徴とする。それにより、結晶が揃った膜となり、デバイスとした際の性能が向上する。好ましくは36arcsec以下であり、更に好ましくは24arcsec以下である。または、本発明の窒化ガリウム系膜は(000−2)面のωスキャンの半価幅が40arcsec以下であることを特徴とする。それにより、結晶が揃った膜となり、デバイスとした際の性能が向上する。好ましくは36arcsec以下であり、さらに好ましくは24arcsec以下、またさらに好ましくは18arcsec以下である。本発明が対象とするωスキャンの半価幅は、結晶方位として(0002)面または(000−2)面の少なくともいずれかを対象とする。
ωスキャンの測定方法は、結晶軸の配向性を精密に測定する手法のため、測定サンプル側にてω方向に可動域を持つXRD装置を用いる必要がある。
次に、本発明の窒化ガリウム系膜の製造方法及び得られた膜について説明する。
本発明の膜は、スパッタリング法で窒化ガリウム系膜を製造することができる。用いるスパッタリングターゲットは、窒化ガリウムを主成分とし、酸素含有量が2.5atm%以下であることが好ましい。さらに、導入ガスにおける、窒素/(窒素+アルゴン)の分圧比が0.7以上の条件であることが好ましい。
(第1形態)
本発明の六方晶(000−2)N極性窒化ガリウム系膜の製造方法は、窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力が0.4Pa未満、または成膜時のスパッタガス圧力を0.4Pa以上1.3Pa以下であり、かつ600℃以上のいずれかでスパッタすることを特徴とする。
スパッタリングの方式としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、ACスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等を適宜選択することができ、これらの中、大面積に均一に、かつ高速成膜可能な点でDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
スパッタ時のガス圧力は0.4Pa未満とし、好ましくは0.3Pa以下、更に好ましくは0.1Pa以下、より好ましくは0.08Pa以下である。スパッタ時のガス圧力が低いほど、スパッタリングターゲットから放出された粒子が高エネルギーのまま基板に到達しやすく、エピタキシャルに再配列しやすくなる。それにより、六方晶(000−2)N極性の窒化ガリウム膜を得ることが可能となる。また、高い平坦度を得るためには他の結晶層が混在していないことが好ましい。特に立方晶が混在していると突起として現れるため、平坦性を悪化させるのみならず、結晶性も低下させてしまう。
使用するスパッタリングターゲットは、膜全体の結晶性を高めるために、酸素含有量が3atm%未満であることが好ましく、1atm%以下であることが更に好ましい。純度についても高い方が好ましく、金属不純物の含有量は0.1wt%未満が好ましく、0.01wt%未満が更に好ましい。ここでの不純物には意図的に添加したインジウムやアルミニウムは含まない。スパッタリングターゲットの面積は18cm以上が好ましく、より好ましくは100cm以上である。ターゲット面積が大きくなるほど放電が安定し、より低ガス圧力、低電力密度でのスパッタリングが可能となる。更に膜厚や膜質の均一性も向上する。
成膜前の成膜装置内の真空度は、3×10−5Pa以下とすることが好ましく、1×10−5Pa以下とすることがより好ましい。真空度をより低圧にすることで、成膜時に残留気体が不純物として混入しにくくなり、薄膜の結晶性が向上する。残留気体を除去する目的で装置のベーキング処理をすることが好ましい。
また、成膜前に基板を前処理することが好ましい。前処理を実施することにより、基板表面の有機物層や凹凸を除去し、エピタキシャル成長を可能にする。前処理方法は、逆スパッタ処理、酸処理、UV処理などが例示されるが、処理後に不純物などの再付着を防止する観点において、逆スパッタ処理をすることが好ましい。逆スパッタ処理とはスパッタリングターゲット側ではなく、基板側にプラズマ化した原子が衝突することで、表面をクリーニングする方法である。こうした仕組みを利用することにより、基板の表面を洗浄し、外気に触れずに成膜室に送ることで、基板表面の清浄度を保ったまま成膜が可能となる。逆スパッタ処理をするに当たり、逆スパッタされた不純物が成膜室に付着することを防ぐ意味で、成膜室とは別に処理をすることが好ましい。逆スパッタ処理のガス種として、アルゴンや窒素、酸素などを用いることが可能であるが、表面の炭素系不純物を取り除く意味で、スパッタガス中に酸素が一定量含有されていることが好ましい。その含有量は、酸素/全組成ガスの分圧として1%以上10%以下であることが好ましい。それにより、表面の炭素系不純物を効率的に除去することが可能となる。また、処理時間は30秒以上900秒以下が好ましく、より好ましくは60秒以上300秒以下である。それにより、表面の不純物を除去しつつ、好ましい表面粗さ(Ra)とすることができる。その際に得られる基板表面の表面粗さ(Ra)は0.15nm以下である必要があり、好ましくは0.1nm以下である。
また、成膜時は基板を加熱した状態で行うことが好ましい。基板を加熱した状態で成膜することで、スパッタされた粒子にエネルギーを与え、より安定な結晶状態となることが可能であり、高温で加熱処理する際の熱膨張率差等による割れを防止することが可能となる。成膜工程における基板加熱温度(以下、「成膜温度」と言うことがある)は好ましくは900℃以下であり、さらに好ましくは室温以上850℃以下、またさらに好ましくは100℃以上850℃以下、特に好ましくは400℃以上850℃以下、より好ましくは600℃以上850℃以下である。また成膜温度は、室温以上800℃以下であり、100℃以上800℃以下が好ましく、400℃以上800℃以下がより好ましく、600℃以上800℃以下が特に好ましい。なお、100℃未満の温度では粒子移動や成膜後に加熱処理する際の割れの防止効果が少なくなる。また、800℃より高い温度ではスパッタ装置が高価となり、スパッタリング法を用いるメリットが小さくなる。特に400℃以上で成膜することが好ましい。400℃以上で成膜することで、特にスパッタ粒子を結晶性良く配列させることができる。成膜時のガスは窒素を含んでいることが好ましい。それにより、窒素欠陥の少ない膜を作製可能となる。
利用するガスは窒素を主成分とする。通常よく用いられるアルゴンを主成分として利用すると、アルゴンが膜中に多く含まれることにより、表面粗さ(Ra)が悪化する。例えば、成膜初期にアルゴンを主成分とするガスを使用して成膜した後に、窒素を主成分とするガスを使用して成膜したとしても、初期の成膜状態を後に引き継ぐため、表面粗さ(Ra)は悪化する。窒素/(窒素+アルゴン)の分圧比は0.7以上であることが好ましく、更に好ましくは0.9以上、特に好ましくは窒素のみである。
放電時の電力としては、電力密度が0.1W/cm以上5W/cm以下であることが好ましく、0.3W/cm以上2.5W/cm以下であることがより好ましく、0.3W/cm以上1.5W/cm以下であることが更に好ましい。電力密度の計算は放電時にかける電力をスパッタリングターゲットの面積で除したものである。放電時の電力が5W/cmより高いと、使用する窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットが一般的に低密度であるために、ターゲットに与えるパワーにより、スパッタリングターゲットから粗大な多結晶体粒子が剥離してしまい好ましくない。0.1W/cm未満とすると、プラズマが安定しないため放電が難しくなること、成膜速度が低下するため膜の生産性が低下することのため好ましくない。
スパッタリング法にて成膜する厚みは10nm以上が好ましく、更に好ましくは50nm以上である。それにより、所定の結晶性の薄膜を得ることが可能となる。
なお、作製した窒化ガリウム系膜の上に再度別の手法にて窒化ガリウム系膜を積層しても構わない。例えば、スパッタリング法にて成膜した窒化ガリウム系膜の上に、MOCVD法にて窒化ガリウム系膜を成膜しても良い。
本発明で得られる膜のピーク強度比は、200以上であることが好ましい。これにより、結晶方位の単一性が高くすることで、膜内の歪みを低減し各種デバイスに利用可能な品質の膜となる。ピーク強度比は、好ましくは1000以上、さらに好ましくは5000以上である。また、通常ピーク強度比は、好ましくは50000以下である。ここで、ピーク強度比とは、六方晶におけるX線回折パターンにおけるピーク強度、I(10−11)に対するI(0002)の比である。
本発明で得られる膜において、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)の原子の合計に対する窒素(N)の比は、0.90以上1.0未満であることが好ましい。窒素組成を減少させることで他の相と混合せずに六方晶(000−2)N極性の膜を得ることが可能となる。
本発明の窒化ガリウム系膜は、基板と窒化ガリウム系膜を含んでなる積層基板としても好適に用いることができる。
ここで、基板とは無アルカリガラスや石英等を含むガラス基板、樹脂製の高分子フィルム基材、セラミックスや金属の基板等が挙げられる。特に、格子不整合からなる結晶性の悪化を軽減する観点より、従来から用いられているサファイアや窒化ガリウム単結晶、シリコン単結晶、酸化亜鉛単結晶を用いることが好ましく、より好ましくはサファイア、シリコン単結晶である。サファイアは単結晶であることが好ましい。面方位としては格子整合が比較的良好なサファイア(0001)面(c面)を用いることが好ましく、さらにはサファイア単結晶(0001)面(c面)が好ましい。または、シリコン単結晶の場合は(111)面を用いることが好ましい。面方位のオフセット角は傾きがついていても構わないが、表面粗さ(Ra)を低減するため、エッチングや前処理によるステップが存在しないことが好ましい。
(第2形態)
本発明の立方晶(111)面に配向した窒化ガリウム系膜の製造方法は、窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力を0.4Pa以上、好ましくは0.5Pa以上、0℃以上600℃未満でスパッタすることを特徴とする。それにより、立方晶を維持したまま、高い配向性で、平坦な膜を得ることが可能となる。
スパッタ時のガス圧力は0.4Pa、好ましくは0.5Pa以上とし、さらに好ましくは1Pa以上、またさらに好ましくは1.3Pa以上、特に好ましくは1.5Pa以上である。スパッタ時のガス圧力が高いほど、スパッタリングターゲットから放出された粒子がエネルギーを失うとともに、装置中の窒素ガスを巻き込むことで、立方晶(111)配向した窒化ガリウム膜を得ることが可能となる。また、高い平坦度を得るためには他の結晶層が混在していないことが好ましい。特に六方晶N極性面が混在していると突起として現れるため、平坦性を悪化させるのみならず、結晶性も低下させてしまう。上限は3Pa以下が好ましく、更に好ましくは2Pa以下である。ガス圧力が高すぎるとスパッタ粒子のエネルギー減少が大きくなり、結晶性の高い膜を得ることが難しい。
使用するスパッタリングターゲットは、膜全体の結晶性を高めるために、酸素含有量が3atm%未満であることが好ましく、1atm%以下であることが更に好ましい。純度についても高い方が好ましく、金属不純物の含有量は0.1wt%未満が好ましく、0.01wt%未満が更に好ましい。ここでの不純物には意図的に添加したインジウムやアルミニウムは含まない。スパッタリングターゲットの面積は18cm以上が好ましく、より好ましくは100cm以上である。ターゲット面積が大きくなるほど放電が安定し、より低ガス圧力、低電力密度でのスパッタリングが可能となる。更に膜厚や膜質の均一性も向上する。
成膜前の成膜装置内の真空度は、3×10−5Pa以下とすることが好ましく、1×10−5Pa以下とすることがより好ましい。真空度をより低圧にすることで、成膜時に残留気体が不純物として混入しにくくなり、薄膜の結晶性が向上する。残留気体を除去する目的で装置のベーキング処理をすることが好ましい。
また、成膜前に基板を前処理することが好ましい。前処理を実施することにより、基板表面の有機物層や凹凸を除去し、エピタキシャル成長を可能にする。前処理方法は、逆スパッタ処理、酸処理、UV処理などが例示されるが、処理後に不純物などの再付着を防止する観点において、逆スパッタ処理をすることが好ましい。こうした仕組みを利用することにより、基板の表面を洗浄し、外気に触れずに成膜室に送ることで、基板表面の清浄度を保ったまま成膜が可能となる。逆スパッタ処理をするに当たり、逆スパッタされた不純物が成膜室に付着することを防ぐ意味で、成膜室とは別に処理をすることが好ましい。逆スパッタ処理のガス種として、アルゴンや窒素、酸素などを用いることが可能であるが、表面の炭素系不純物を取り除く意味で、スパッタガス中に酸素が一定量含有されていることが好ましい。その含有量は、酸素/全組成ガスの分圧として1%以上10%以下であることが好ましい。それにより、表面の炭素系不純物を効率的に除去することが可能となる。また、処理時間は30秒以上900秒以下が好ましく、より好ましくは60秒以上300秒以下である。それにより、表面の不純物を除去しつつ、好ましい表面粗さ(Ra)とすることができる。その際に得られる基板表面の表面粗さ(Ra)は0.15nm以下である必要があり、好ましくは0.1nm以下である。
また、成膜時は低温で行うことが好ましい。基板を低温で成膜することにより、ガス圧力によりエネルギーが調整されたスパッタされた粒子を利用し、準安定な結晶状態である立方晶とすることが可能である。成膜工程における基板加熱温度は0℃以上600℃未満が好ましく、250℃以上550℃以下がより好ましい。400℃、さらには600℃より高い温度では、粒子によりエネルギーが与えられ、立方晶から六方晶へ結晶相が変化しやすい。
利用するガスは窒素を主成分とする。通常よく用いられるアルゴンを主成分として利用すると、アルゴンが膜中に多く含まれることにより、表面粗さ(Ra)が悪化する。例えば、成膜初期にアルゴンを主成分とするガスを使用して成膜した後に、窒素を主成分とするガスを使用して成膜したとしても、初期の成膜状態を後に引き継ぐため、表面粗さ(Ra)は悪化する。窒素/(窒素+アルゴン)の分圧比は0.7以上であることが好ましく、更に好ましくは0.9以上、特に好ましくは窒素のみである。
放電時の電力としては、電力密度が0.1W/cm以上5W/cm以下であることが好ましく、0.3W/cm以上2.5W/cm以下であることがより好ましく、0.3W/cm以上1.5W/cm以下であることが更に好ましい。放電時の電力が5W/cmより高いと、使用する窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットが一般的に低密度であるために、ターゲットに与えるパワーにより、スパッタリングターゲットから粗大な多結晶体粒子が剥離してしまい好ましくない。また、スパッタ粒子のエネルギーが高くなることで表面粗さ(Ra)が増加する。0.1W/cm未満とすると、プラズマが安定しないため放電が難しくなること、成膜速度が低下するため膜の生産性が低下することのため好ましくない。
スパッタリング法にて成膜する厚みは10nm以上が好ましく、更に好ましくは50nm以上である。それにより、所定の結晶性の薄膜を得ることが可能となる。高い結晶配向を満たすためには膜厚は薄い方が良く、100nm以下であることが好ましい。
本発明で得られる膜は、(111)面のωスキャンの半価幅が40arcsec以下であることを特徴とする。それにより、結晶が揃った膜となり、デバイスとした際の性能が向上する。前記半値幅は、好ましくは30arcsec以下、更に好ましくは25arcsec以下、より好ましくは15arcsec以下である。
本発明で得られる膜のピーク強度比は、100以上であることが好ましい。これにより、結晶方位の単一性が高くすることで、膜内の歪みを低減し各種デバイスに利用可能な品質の膜となる。ピーク強度比は、好ましくは200以上、さらに好ましくは300以上である。ここで、ピーク強度比とは、立方晶におけるX線回折パターンにおけるピーク強度、I(220)に対するI(111)の比である。
本発明で得られる膜において、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)の原子の合計に対する窒素(N)の比は、1.0以上1.1以下であることが好ましい。これにより、他の相と混合せずに立方晶(111)の膜を得ることが可能となる。
なお、作製した窒化ガリウム系膜の上に再度別の手法にて窒化ガリウム系膜を積層しても構わない。例えば、スパッタリング法にて成膜した窒化ガリウム系膜の上に、MOCVD法やMBE法等にて窒化ガリウム系膜を成膜しても良い。バッファ層として本層を利用する場合、膜厚は5〜30nmが好ましい。
ここで、基板とは無アルカリガラスや石英等を含むガラス基板、樹脂製の高分子フィルム基材、セラミックスや金属の基板等が挙げられる。特に、格子不整合からなる結晶性の悪化を軽減する観点より、従来から用いられているサファイアや窒化ガリウム単結晶、シリコン単結晶、酸化亜鉛単結晶を用いることが好ましく、より好ましくはサファイア、シリコン単結晶である。サファイアは単結晶であることが好ましい。面方位としては格子整合が比較的良好なサファイア(0001)面(c面)を用いることが好ましく、さらにはサファイア単結晶(0001)面(c面)が好ましい。または、シリコン単結晶の場合は(111)面を用いることが好ましい。面方位のオフセット角は傾きがついていても構わないが、表面粗さ(Ra)を低減するため、エッチングや前処理によるステップが存在しないことが好ましい。
(第3形態)
次に、六方晶(0002)Ga極性窒化ガリウム系膜を得るためには、下記の製法を用いることが好ましい。
窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力を1.3Paより高く、かつ600℃以上でスパッタすることを特徴とする。
スパッタリングの方式としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、ACスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等を適宜選択することができ、これらの中、大面積に均一に、かつ高速成膜可能な点でDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
スパッタ時のガス圧力は1.3Paより高くとし、好ましくは1.5Pa以上、更に好ましくは2Pa以上である。スパッタ時のガス圧力が高いほど、装置中の窒素を膜に取り込みやすくなり、六方晶(0002)Ga極性とすることが可能となる。
使用するスパッタリングターゲットは、膜全体の結晶性を高めるために、酸素含有量が3atm%未満であることが好ましく、1atm%以下であることが更に好ましい。純度についても高い方が好ましく、金属不純物の含有量は0.1wt%未満が好ましく、0.01wt%未満が更に好ましい。ここでの不純物には意図的に添加したインジウムやアルミニウムは含まない。スパッタリングターゲットの面積は18cm以上が好ましく、より好ましくは100cm以上である。ターゲット面積が大きくなるほど放電が安定し、より低ガス圧力、低電力密度でのスパッタリングが可能となる。更に膜厚や膜質の均一性も向上する。
成膜前の成膜装置内の真空度は、3×10−5Pa以下とすることが好ましく、1×10−5Pa以下とすることがより好ましい。真空度をより低圧にすることにより、成膜時に残留気体が不純物として混入しにくくなり、薄膜の結晶性が向上する。残留気体を除去する目的で装置のベーキング処理をすることが好ましい。
また、成膜前に基板を前処理することが好ましい。前処理を実施することで、基板表面の有機物層や凹凸を除去し、エピタキシャル成長を可能にする。前処理方法は、逆スパッタ処理、酸処理、UV処理などが例示されるが、処理後に不純物などの再付着を防止する観点において、逆スパッタ処理をすることが好ましい。こうした仕組みを利用することにより、基板の表面を洗浄し、外気に触れずに成膜室に送ることで、基板表面の清浄度を保ったまま成膜が可能となる。逆スパッタ処理をするに当たり、逆スパッタされた不純物が成膜室に付着することを防ぐ意味で、成膜室とは別に処理をすることが好ましい。逆スパッタ処理のガス種として、アルゴンや窒素、酸素などを用いることが可能であるが、表面の炭素系不純物を取り除く意味で、スパッタガス中に酸素が一定量含有されていることが好ましい。その含有量は、酸素/全組成ガスの分圧として1%以上10%以下であることが好ましい。それにより、表面の炭素系不純物を効率的に除去することが可能となる。また、処理時間は30秒以上900秒以下が好ましく、より好ましくは60秒以上300秒以下である。それにより、表面の不純物を除去しつつ、好ましい表面粗さ(Ra)とすることができる。その際に得られる基板表面の表面粗さ(Ra)は0.15nm以下である必要があり、好ましくは0.1nm以下である。
また、成膜時は基板を加熱した状態で行うことが好ましい。基板を加熱した状態で成膜することにより、スパッタされた粒子にエネルギーを与え、より安定な結晶状態となることが可能であり、高温で加熱処理する際の熱膨張率差等による割れを防止することが可能となる。成膜工程における基板加熱温度は600℃以上であることを特徴とする。600℃以上850℃以下がより好ましく、650℃以上850℃以下が特に好ましい。600℃未満の温度では、結晶相が立方晶となり、Ga極性の六方晶の膜が得られない。また、850℃より高い温度ではスパッタ装置が高価となり、スパッタリング法を用いるメリットが小さくなる。600℃以上で成膜することにより、特にスパッタ粒子を安定相として配列させることができる。
利用するガスは窒素を主成分とする。通常よく用いられるアルゴンを主成分として利用すると、アルゴンが膜中に多く含まれることにより、表面粗さ(Ra)が悪化する。例えば、成膜初期にアルゴンを主成分とするガスを使用して成膜した後に、窒素を主成分とするガスを使用して成膜したとしても、初期の成膜状態を後に引き継ぐため、表面粗さ(Ra)は悪化する。窒素/(窒素+アルゴン)の分圧比は0.7以上であることが好ましく、更に好ましくは0.9以上、特に好ましくは窒素のみである。
放電時の電力としては、電力密度が0.1W/cm以上5W/cm以下であることが好ましく、0.3W/cm以上2.5W/cm以下であることがより好ましく、0.3W/cm以上1.5W/cm以下であることが更に好ましい。放電時の電力が5W/cmより高いと、使用する窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットが一般的に低密度であるために、ターゲットに与えるパワーにより、スパッタリングターゲットから粗大な多結晶体粒子が剥離してしまい好ましくない。また、スパッタ粒子のエネルギーが高くなることで表面粗さ(Ra)が増加する。0.1W/cm未満とすると、プラズマが安定しないため放電が難しくなること、成膜速度が低下するため膜の生産性が低下することのため好ましくない。
スパッタリング法にて成膜する厚みは10nm以上が好ましく、更に好ましくは50nm以上である。それにより、所定の結晶性の薄膜を得ることが可能となる。
本発明で得られる膜のピーク強度比は、100以上であることが好ましい。これにより、結晶方位の単一性が高くすることで、膜内の歪みを低減し各種デバイスに利用可能な品質の膜となる。ピーク強度比は、好ましくは200以上である。また、通常ピーク強度比は、好ましくは50000以下である。ここで、ピーク強度比とは、六方晶におけるX線回折パターンにおけるピーク強度、I(10−11)に対するI(0002)の比である。
もう一つの手法として、立方晶GaNを成膜後に後アニールするという方法がある。後アニール温度は800℃以上である必要があり、900℃以上が好ましく、更に好ましくは1000℃以上である。それにより、立方晶GaNが六方晶(0002)Ga極性に配向したGaNへ結晶相が変化する。アニール時の雰囲気は非酸素雰囲気である必要があり、NH3が含まれる雰囲気であることが好ましい。アニール処理時間は1時間以上であることが好ましい。結晶系が変化するためには、その程度の時間が必要となる。最大温度は1200℃以下であることが好ましく、より好ましくは1100℃以下である。それにより、アニール時の窒素やガリウムの脱離を防ぐこととなる。
なお、作製した窒化ガリウム系膜の上に再度別の手法にて窒化ガリウム系膜を積層しても構わない。例えば、スパッタリング法にて成膜した窒化ガリウム系膜の上に、MOCVD法やMBE法等にて窒化ガリウム系膜を成膜しても良い。バッファ層として本層を利用する場合、膜厚は5〜30nmが好ましい。その範囲とすることで配向性の極めて高い六方晶Ga極性窒化ガリウム膜を得ることが可能となる。
本発明の窒化ガリウム系膜は、基板と窒化ガリウム系膜を含んでなる積層基板としても好適に用いることができる。
ここで、基板とは無アルカリガラスや石英等を含むガラス基板、樹脂製の高分子フィルム基材、セラミックスや金属の基板等が挙げられる。特に、格子不整合からなる結晶性の悪化を軽減する観点より、従来から用いられているサファイアや窒化ガリウム単結晶、シリコン単結晶、酸化亜鉛単結晶を用いることが好ましく、より好ましくはサファイア、シリコン単結晶である。サファイアは単結晶であることが好ましい。面方位としては格子整合が比較的良好なサファイア(0001)面(c面)を用いることが好ましく、さらにはサファイア単結晶(0001)面(c面)が好ましい。または、シリコン単結晶の場合は(111)面を用いることが好ましい。面方位のオフセット角は傾きがついていても構わないが、表面粗さ(Ra)を低減するため、エッチングや前処理によるステップが存在しないことが好ましい。
このようにスパッタリング法を用いることにより、0.4nm未満の表面粗さ(Ra)にて立方晶(111)、六方晶(0002)Ga極性、六方晶(000−2)N極性に制御した薄膜を得ることが可能となる。また、それらのωスキャンの半価幅は40arcsec以下である。
このような薄膜は、複数の機能部品と構成された半導体素子として好適に用いられる。例えば、LED等の発光素子、レーザーダイオード、トランジスタなどのパワーデバイスなどに用いられる。また、その半導体素子は種々の電子機器に好適に用いられる。
本発明の窒化ガリウム系膜は、高配向で、六方晶あるいは立方晶であることからLED等の発光素子、パワーデバイス用素子に好適に用いることができる。さらに、必要に応じて六方晶Ga極性と六方晶N極性に膜を制御することも可能である。
本発明を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(結晶面の確認、半価幅、強度比の測定方法)
通常の測定は、一般的な粉末X線回折装置(装置名:UltimaIII、リガク社製)を用いた。XRD測定の条件は、以下のとおりである。
線源 : CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード : 2θ/θスキャン
測定間隔 : 0.01°
発散スリット : 0.5deg
散乱スリット : 0.5deg
受光スリット : 0.3mm
計測時間 : 1.0秒
測定範囲 : 2θ=20°〜80°
XRDパターンの同定分析には、XRD解析ソフトウェア(商品名:JADE7、MID社製)を用いた。六方晶はJCPDSNo.00−050−0792を参考にして窒化ガリウム結晶面を確認し、立方晶はJCPDSNo.00−052−0791を参考にし、XRDパターンにて結晶相の同定が難しい場合には、飛行時間型原子散乱表面分析装置(TOFLAS−3000、パスカル社製)を利用して判断した。六方晶については(0002)面、立方晶については(111)面についてその半価幅を測定し、強度比は、六方晶ではI(0002)とI(10−11)について、立方晶ではI(111)/I(220)について、下記の式を用いて算出した。
強度比=I(0002)/I(10−11)(六方晶)
強度比=I(111)/I(220)(立方晶)
分母に相当するピークが検出されない場合は、36〜37°のバックグラウンドピーク強度を分母のピークとみなし計算を実施した。
高精度な測定は、XRD装置(ブルカー製D8 DISCOVER)の下記の構成とし、40kV,40mAの条件にて、HIGH RESOLUTIONモード、Ge(220)モノクロメーターを使用しCuKα2を除去し、ωスキャンを実施した。
線源 : CuKα線(λ=0.15418nm)
モノクロメーター : Ge(220)
パスファインダー : Crystal3B
測定モード : ωスキャン
測定間隔 : 0.01°(半価幅が360arcsec以下の場合は0.0005°)
計測時間 : 0.5秒
測定範囲 : ω=0°〜35°
(窒化ガリウム薄膜の極性、結晶相)
窒化ガリウム薄膜の極性は、飛行時間型原子散乱表面分析装置(TOFLAS−3000、パスカル社製)を用いて基板を下面とし、上面に成膜面が来るように設置した上で、下記の条件で測定を行った。
プローブ : He(原子散乱)
エネルギー : 3keV
ビーム源〜ターゲット間 : 805mm
ターゲット〜検出器間 : 395mm
分析室真空度 : 2×10−3Pa以下
測定結果から得られた極点図と表層4層までシミュレーションで得られた各結晶相、極性の極点図を比較することにより、窒化ガリウム薄膜の極性、結晶相を判断した。
(表面粗さ(Ra)の測定)
走査型プローブ顕微鏡 NanoScopeIIIa(Bruker・AXS製)を用いて、タッピングモードAFMにて2μm×2μmの視野で測定を行った。
(窒素/(窒素+ガリウム+アルミニウム+インジウム)原子量比の測定)
ラザフォード後方散乱分光法(RBS法)を用いて下記の条件で測定を行い、各含有量を測定した上で原子量比を計算した。
測定装置 : CEA社製RBS
入射イオン : 2.275MeV 4He++(RBS)
ビーム径 : 1〜2mmφ
RBS検出角度 : Normal Angle 160°
: Grazing Angle 〜103°
(ターゲット中の酸素含有量測定)
対象物を熱分解させ、酸素・窒素・水素分析装置(Leco社製)を用いて酸素含有量を熱伝導度法により測定した。
(薄膜の膜厚測定)
成膜した薄膜の厚みは基板部分と膜部分の段差をレーザー顕微鏡VK−X250/260を用いて測定した。
実施例1〜9 (第1形態)
基板は、信光社製(0001)面配向サファイア基板(オフ角:無)、表面粗さ(Ra)0.09nm、2inchφのものを用いた。
基板の前処理として、スパッタ装置の前処理室にて逆スパッタ処理を実施した。逆スパッタ処理の条件は100W、スパッタガスAr:29sccm、O2:1sccmで、60秒間実施した。
窒化ガリウムスパッタリングターゲット(純度99.99wt%)を用いて、マグネトロンスパッタ装置で表1の条件にてスパッタ成膜試験を実施した。
成膜時のターゲット−基板間距離は150mmとし、成膜前にチャンバー内のベーキング処理により到達真空度をより高くするようにした。
スパッタ開始時に、基板側のシャッターを閉じた状態で窒素ガスを使ってプラズマを点火し、成膜時と同じ条件でプレスパッタを10分間実施し、放電を安定化させた上で成膜を実施した。シャッター−基板間距離は5mmであった。シャッターのサイズは3inchφのものを用いた。
以上の条件にて成膜を行なった結果、表1に示されるような、高平坦、高結晶性の六方晶N極性窒化ガリウム薄膜の作製に成功した。
比較例1
スパッタ時にアルゴンを表1の量だけ導入し、成膜したところ、表面粗さ(Ra)が悪化し、求める特性の膜を得ることができなかった。
比較例2
スパッタ成膜初期にアルゴンのみで10秒間成膜後、表1の条件で成膜を実施したところ、表面粗さ(Ra)が悪化し、求める特性の膜を得ることができなかった。
参考例1
基板を表面粗さ(Ra)0.20nmのサファイア基板(オフ角:無)に変更し、表1の条件で成膜を実施したところ、所々に突起が現れ、結果として高平坦な膜は得られなかった。
参考例2
基板は、信光社製(0001)面配向サファイア基板(オフ角:無)、表面粗さ(Ra)0.09nm、2inchφのものを用いた。逆スパッタ処理を実施せず、表1の条件で成膜を実施したところ、表面粗さ(Ra)が悪化し、求める特性の膜を得ることができなかった。
Figure 2018046277
実施例10〜13 (第2形態)
基板は、信光社製(0001)面配向サファイア基板(オフ角:無)、表面粗さ(Ra)0.09nm、2inchφのものを用いた。
基板の前処理として、スパッタ装置の前処理室にて逆スパッタ処理を実施した。逆スパッタ処理の条件は100W、スパッタガスAr:29sccm、O2:1sccmで、60秒間実施した。
窒化ガリウムスパッタリングターゲットを用いて、マグネトロンスパッタ装置で表2の条件にてスパッタ成膜試験を実施した。
成膜時のターゲット−基板間距離は150mmとし、成膜前にチャンバー内のベーキング処理により到達真空度をより高くするようにした。
スパッタ開始時に、基板側のシャッターを閉じた状態で窒素ガスを使ってプラズマを点火し、成膜時と同じ条件でプレスパッタを10分間実施し、放電を安定化させた上で成膜を実施した。シャッター−基板間距離は5mmであった。シャッターのサイズは3inchφのものを用いた。
表2の条件にて成膜を実施したところ、立方晶(111)配向した膜を得ることができた。
Figure 2018046277
実施例14〜18 (第3形態)
基板は、信光社製(0001)面配向サファイア基板(オフ角:無)、表面粗さ(Ra)0.09nm、2inchφのものを用いた。
基板の前処理として、スパッタ装置の前処理室にて逆スパッタ処理を実施した。逆スパッタ処理の条件は100W、スパッタガスAr:29sccm、O2:1sccmで、60秒間実施した。
表3の条件にて成膜を実施したところ、表3のような結果となり、六方晶(0002)Ga極性配向した膜を得ることができた。
Figure 2018046277
本発明の窒化ガリウム系膜は、高配向で、六方晶あるいは立方晶であることからLED等の発光素子、パワーデバイス用素子に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 結晶相が六方晶または立方晶の少なくともいずれかであり、表面粗さ(Ra)が0.4nm未満、ωスキャンの半価幅が40arcsec以下のピークを有することを特徴とする窒化ガリウム系膜。
  2. 結晶相が六方晶であり、表面粗さ(Ra)が0.4nm未満、ωスキャンの半価幅が40arcsec以下であることを特徴とする窒化ガリウム系膜。
  3. 結晶相が六方晶であり、極性がN極性であることを特徴とする請求項2に記載の窒化ガリウム系膜。
  4. 結晶相が六方晶であり、極性がGa極性であることを特徴とする請求項2に記載の窒化ガリウム系膜。
  5. 結晶相が立方晶で(111)面に配向しており、表面粗さ(Ra)が0.4nm未満、ωスキャンの半価幅が40arcsec以下であることを特徴とする窒化ガリウム系膜。
  6. スパッタリング法で窒化ガリウム系膜を製造する方法であって、窒化ガリウムを主成分とし、導入ガスにおける、窒素/(窒素+アルゴン)の分圧比が0.7以上の条件でスパッタすることを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム系膜の成膜方法。
  7. スパッタリング法で窒化ガリウム系膜を製造する方法であって、窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力が0.4Pa未満、または成膜時のスパッタガス圧力を0.4Pa以上1.3Pa以下であり、かつ、600℃以上のいずれかでスパッタすることを特徴とする請求項3に記載の窒化ガリウム系膜の成膜方法。
  8. スパッタリング法で窒化ガリウム系膜を製造する方法であって、窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力を1.3Paより高く、かつ600℃以上でスパッタすることを特徴とする請求項4に記載の窒化ガリウム系膜の成膜方法。
  9. スパッタリング法で窒化ガリウム系膜を製造する方法であって、窒化ガリウムを主成分とするスパッタリングターゲットを用いて、成膜時のスパッタガス圧力を0.4Pa以上、0℃以上600℃未満でスパッタすることを特徴とする請求項5に記載の窒化ガリウム系膜の成膜方法。
  10. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の窒化ガリウム系膜と基板を含んでなることを特徴とする積層基材。
  11. 請求項10に記載の積層基材を用いることを特徴とする半導体素子。
  12. 請求項11に記載の半導体素子を用いることを特徴とする電子機器。
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