JP2018045819A - 電極及び非水電解質電池 - Google Patents
電極及び非水電解質電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018045819A JP2018045819A JP2016178533A JP2016178533A JP2018045819A JP 2018045819 A JP2018045819 A JP 2018045819A JP 2016178533 A JP2016178533 A JP 2016178533A JP 2016178533 A JP2016178533 A JP 2016178533A JP 2018045819 A JP2018045819 A JP 2018045819A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- mixture layer
- electrode mixture
- battery
- negative electrode
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Abstract
【課題】優れたサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現することができる電極を提供すること
【解決手段】1つの実施形態によると、電極3が提供される。この電極3は、集電体31と、集電体31上に形成された電極合材層32とを具備する。電極合材層32は、一般式:LixNiaCobMncO2(式中、x、a、b及びcは、0.9<x≦1.25、0.1<a≦0.5、0.1≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5、0.9≦a+b+c≦1を満たす)で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。電極合材層32は、水銀圧入法によって得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下である。電極合材層32についての水銀圧入法によって得られる気孔率は、10%以上35%以下である。
【選択図】 図4
【解決手段】1つの実施形態によると、電極3が提供される。この電極3は、集電体31と、集電体31上に形成された電極合材層32とを具備する。電極合材層32は、一般式:LixNiaCobMncO2(式中、x、a、b及びcは、0.9<x≦1.25、0.1<a≦0.5、0.1≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5、0.9≦a+b+c≦1を満たす)で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。電極合材層32は、水銀圧入法によって得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下である。電極合材層32についての水銀圧入法によって得られる気孔率は、10%以上35%以下である。
【選択図】 図4
Description
本発明の実施形態は、電極及び非水電解質電池に関する。
正極活物質としてリチウム含有遷移金属酸化物を用いた非水電解質電池用の正極は、例えば、活物質粉と導電助剤と結着剤とを分散媒に分散させてスラリーを調製し、このスラリーを集電体上に塗布することによって作製することができる。この正極は、正極層の比表面積が大きいほど、充放電に寄与する化学反応場が大きくなる。化学反応場を大きくすることにより、レート特性の向上のみならず、サイクル特性の向上も期待することができる。一方で、比表面積が大きくなると副反応が生じやすくなるという事実もある。副反応が生じると、サイクル特性に代表されるような寿命特性が低下し易くなる。
優れたサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現することができる電極、及び優れたサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を提供することを目的とする。
第1の実施形態によると、電極が提供される。この電極は、集電体と、集電体上に形成された電極合材層とを具備する。電極合材層は、一般式:LixNiaCobMncO2(式中、x、a、b及びcは、0.9<x≦1.25、0.1<a≦0.5、0.1≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5、0.9≦a+b+c≦1を満たす)で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。電極合材層は、水銀圧入法によって得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下である。電極合材層についての水銀圧入法によって得られる気孔率は、10%以上35%以下である。
第2の実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、正極としての第1の実施形態に係る電極と、負極と、非水電解質とを具備する。
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、電極が提供される。この電極は、集電体と、集電体上に形成された電極合材層とを具備する。電極合材層は、一般式LixNiaCobMncO2(式中、x、a、b及びcは、0.9<x≦1.25、0.1<a≦0.5、0.1≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5、0.9≦a+b+c≦1を満たす)で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。電極合材層は、水銀圧入法によって得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下である。電極合材層についての水銀圧入法によって得られる気孔率は、10%以上35%以下である。
第1の実施形態によると、電極が提供される。この電極は、集電体と、集電体上に形成された電極合材層とを具備する。電極合材層は、一般式LixNiaCobMncO2(式中、x、a、b及びcは、0.9<x≦1.25、0.1<a≦0.5、0.1≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5、0.9≦a+b+c≦1を満たす)で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。電極合材層は、水銀圧入法によって得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下である。電極合材層についての水銀圧入法によって得られる気孔率は、10%以上35%以下である。
イオンと電子とが正極と負極との間を移動する二次電池の電極は、電極合材層の比表面積が大きいほど充放電に寄与する化学反応場が大きくなる。化学反応場が大きい電極は、活物質中の充放電ムラが小さくなり、サイクル特性に有利となる。一方で、電極合材層の比表面積が大きくなると副反応が生じやすくなり、サイクル特性に不利となる側面もある。そのため、電極合材層の構成を変えるだけで良好なサイクル特性を達成する電極を実現するのは困難である。
第1の実施形態に係る電極は、電極合材層が、一般式:LixNiaCobMncO2で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。上記一般式中、x、a、b及びcは、0.9<x≦1.25、0.1<a≦0.5、0.1≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5、0.9≦a+b+c≦1を満たす。
リチウム含有複合酸化物としては、例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.5Co0.3Mn0.2O2、及びLiNi0.4Co0.4Mn0.2O2が挙げられるが、これらに限定されない。このようなリチウム含有複合酸化物は、優れたエネルギー密度を達成することができる。また、このようなリチウム含有複合酸化物は、充放電反応における遷移金属の酸化数変化の多くをニッケルが担うため、その全てをコバルトが担うコバルト酸リチウム(LiCoO2)と比較するとコバルトの溶出を大きく抑えることができる。その結果、このようなリチウム含有複合酸化物は、優れたサイクル特性を示すことができる。
一般式:LixNiaCobMncO2で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質は、例えば、粒子状の形態を有することができる。粒子状である活物質は、一次粒子、及び一次粒子を造粒してなる、すなわち一次粒子が凝集して形成された二次粒子の少なくとも何れかを含むことができる。一次粒子を含んでいることが好ましい。
また、第1の実施形態に係る電極は、一般式:LixNiaCobMncO2で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む電極合材層について、水銀圧入法によって得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下であり、水銀圧入法によって得られる気孔率が10%以上35%以下である。このような電極合材層を含む第1の実施形態に係る電極は、以下に説明する理由により、優れたサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現することができる。
サイクル特性改善のためには、充放電ムラを小さくする必要がある。そのためには、活物質内の任意の地点から活物質と電解液との間の界面までの距離がLi拡散可能距離より小さくなくてはならない。ここでの「距離」とは、例えば活物質が二次粒子である場合には、凝集体内部から凝集体表面までの距離であり得る。活物質が一次粒子である場合には、半径の平均であり得る。
電極合材層の細孔比表面積が4.5m2/gであり且つ気孔率が35%以下である場合、電極合材層に含まれる合材の平均直径は、活物質中での標準的なLi拡散定数を用いて見積もった、標準的な充放電時間(10秒〜100秒)での標準的なLi拡散可能距離に対応する。そのため、細孔比表面積が4.5m2/gであり且つ気孔率が35%以下である電極合材層は、充放電ムラを小さくすることができ、その結果、優れたサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現できる。
細孔比表面積が4.5m2/g未満である電極合材層では、活物質の中心付近から活物質と電解液との界面までの距離がLi拡散可能距離よりも大きくなり、均質な充放電が困難となる。その結果、このような電極合材層を含んだ電極を用いて作製した非水電解質電池は、活物質中に充放電ムラが生じて活物質の一部分で劣化が急速に進んでしまい、サイクル特性が乏しくなる。
一般に電極合材層の比表面積が大きくなるほど、活物質の中心付近から活物質と電解液との界面までの距離は小さくなる。しかしながら、細孔比表面積が10m2/gよりも大きいと、副反応を抑えることが難しくなり、結果としてサイクル特性に乏しくなる。
また、気孔率が35%よりも大きい電極合材層では、電極合材層に占める気孔部分が多くなる。このような電極合材層では、活物質及び/又は導電助剤が占める部分が少ない。活物質が占める部分が少ないと、十分な体積エネルギー密度が得られない。一方、導電助剤が占める部分が少なくなると、十分な導電性が得られず、均質な充放電が困難となる。
一方、気孔率が10%よりも小さな電極合材層は、合材が密に詰まり過ぎていて、合材の隙間での電解液中のイオン拡散が阻害され、均質な充放電ができなくなる。この場合、活物質の一部分でのみ劣化が急速に進むことになり、電池としての劣化を早めることとなる。また、気孔率が10%よりも小さな電極合材層は、作製の際に非常に強力なプレスが必要であり、作製が困難である。
そして、第1の実施形態に係る電極は、電極合材層が、一般式:LixNiaCobMncO2で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。言い換えると、第1の実施形態に係る電極は、電極合材層がコバルト酸リチウム(例えば、LiCoO2)を含まないということができる。電極合材層がコバルト酸リチウムを含み、この電極合材層が水銀圧入法によって得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下であり且つ気孔率が10%以上35%以下である電極は、特にその比表面積が大きすぎるためにコバルトの溶出が起き易い。そのため、このような電極を用いて作製した非水電解質電池の寿命特性を低下させ得る。一方、第1の実施形態に係る電極は、電極合材層がコバルト酸リチウムを含まないので、電極合材層がコバルト酸リチウムを含む電極を用いて作製した非水電解質電池よりも優れた寿命特性を示すことができる非水電解質電池を実現することができる。
つまり、第1の実施形態に係る電極は、一般式:LixNiaCobMncO2で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む電極合材層について、水銀圧入法によって得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下であることにより、電極合材層における充放電ムラの発生を抑えることができると共に、充放電中の副反応を抑えることができる。更に、第1の実施形態に係る電極は、電極合材層について、細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下であることに加え気孔率が10%以上35%以下であることにより、電極合材層において均質な充放電反応を行うことができる。その結果、第1の実施形態に係る電極は、優れたサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現することができる。
電極合材層についての水銀圧入法によって得られる細孔比表面積は、4.5m2/g以上9.5m2/g以下であることが好ましい。電極合材層についての細孔比表面積が4.5m2/g以上9.5m2/g以下である電極は、充放電中の副反応をさらに抑えることができる。このため、例えば電池作製時により副反応が大きい電解液材料を選択することもできると考えられる。一般に、副反応が大きい電解液材料は、抵抗が小さい電池を提供できる。また、電極合材層についての水銀圧入法によって得られる気孔率は、20%以上30%以下であることが好ましい。電極合材層の気孔率が20%以上30%以下である電極は、電解液中のイオン拡散をさらに向上できる。このため、例えば電池作製時によりイオン伝導度が低い電解液材料を選択することもできると考えられる。一般に、イオン伝導度が低い電解液材料は、高温でも安定な電池を提供できる。
電極合材層についてのLog微分細孔体積分布からは、所定の細孔直径を有する細孔の体積を知ることができる。細孔直径分布において、Log微分細孔体積が最大値をとる細孔直径が、Log微分細孔体積分布におけるモード径である。すなわち、Log微分細孔体積分布におけるモード径の細孔直径を有する細孔の合計の体積は、電極合材層の全細孔の体積の合計の中で最も大きい割合を占めると考えることができる。Log微分細孔体積分布におけるモード径の細孔直径を有する細孔を全細孔の代表と考え、モード径の細孔だけで全細孔の性質を議論しても良い。
このような電極合材層についての水銀圧入法により得られるLog微分細孔体積分布において、モード径dmが0.05μm以上0.15μm以下の範囲内にあることが好ましい。モード径dmが0.05μm以上であれば、電極合材層における導電助剤の量が大きくなり過ぎず、導電助剤が関与する副反応速度を抑えることができる。また、モード径dmが0.15μm以下であれば、十分に大きな活物質比表面積を有することができる。モード径dmは、0.05以上0.1μm以下の範囲内にあることがより好ましい。
さらに、電極合材層についてのLog微分細孔体積分布において、細孔直径が0.05μm以上0.15μm以下の範囲内にある細孔の体積がV1であり、細孔直径が0.01μm以上1μm以下の範囲内にある細孔の体積がV2であり、体積V1の体積V2に対する割合V1/V2が70%以上であることが好ましい。このようなLog微分細孔体積分布を示す電極合材層は、細孔径分布の標準偏差が小さく、細孔径分布が偏っているために、活物質の粒子直径も狭い範囲に収まることができる。このような電極合材層を含む電極は、活物質内の充放電ムラを更に小さくすることができ、結果として更に良好なサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現することができる。割合V1/V2は、75%以上であることがより好ましい。割合V1/V2が75%以上であると、活物質内の充放電ムラを特に小さくすることができ、更に良好なサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現することができる。
次に、第1の実施形態に係る電極をより詳細に説明する。
第1の実施形態に係る電極は、集電体と、集電体上に形成された電極合材層とを具備する。
集電体としては、例えば、電気伝導性の高い材料を含むシートを使用することができる。例えば、集電体として、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔を使用することができる。アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔を使用する場合、その厚さは、例えば20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。
集電体は、少なくとも一方の面上に電極合材層が形成されている。すなわち、電極合材層は、集電体の一方の面に担持されていてもよいし、又は両面に担持されていてもよい。また、集電体は、電極合材層を担持していない部分を含んでもよい。このような部分は、例えば、電極タブとして使用することができる。
電極合材層は、少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。リチウム含有複合酸化物としては、例えば先に挙げたものを1種類又は複数種類用いることができる。
電極合材層は、副部材として、導電助剤及び結着剤を更に含むことができる。導電助剤は、集電性能を高め、且つ活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために必要に応じて配合することができる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック及び黒鉛を挙げることができる。結着剤は、活物質と集電体とを結着させることができる。結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を挙げることができる。
電極合材層は、例えば、少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質と、導電助剤と、結着剤とからなっていてもよい。
電極合材層における副部材の含有量は、エネルギー密度の観点から、25重量%以下にすることが望ましい。例えば、電極合材層を作製するためのスラリーを調製する際、分散媒に投入する活物質、導電助剤、及び結着剤の割合を、それぞれ75〜97重量%、2〜20重量%、及び1〜5重量%とすることが好ましい。
気孔率が35%以下である電極合材層は、合材体積のうちの4分の1程度を副部材、すなわち導電助剤及び結着剤で占めることが可能である。上に記載したように、副部材のうち、導電助剤の占める割合は、結着剤のそれに対して大きくすることができる。つまり、気孔率が35%以下である電極合材層は、十分な量の導電助剤を含むことができる。このような電極合材層は、以下に説明する理由により、優れた導電性を示すことができる。
導電性材料と非導電性材料との複合材における導電性の説明には、一般的に、ある物質の系内での構成材料の繋がり方及びその繋がり方が系の特性に与える影響についての理論であるパーコレーション(浸透)理論を適用することができる。パーコレーション理論によると、導電性材料と非導電性材料との複合材において、それに含まれる導電性材料の体積比がその値を超えると導電性が急に発現されるようになるという閾値(パーコレーションリミット)が存在する。
発明者らは、鋭意研究の結果、気孔率が35%以下である電極合材層は、上記閾値を超えた量の導電助剤を含んでおり、電極合材層全体が十分な導電性を確保することができることを見出した。これは、電極合材層中で導電助剤同士がよく繋がっており、且つ電極合材層の両面での導電性が十分に確保されているからであると考えらえる。この事実は、発明者らによる実験の結果からも明らかとなった。
第1の実施形態に係る電極は、例えば、以下に説明する方法で製造することができる。
まず、電極合材層を作製するためのスラリーを調製する。スラリーは、例えば、以下のようにして調製することができる。
少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を、導電助剤及び結着剤と共に、適切な分散媒に投入して撹拌する。分散媒としては、例えば、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を挙げることができる。各材料の投入量は、好ましくは、先に説明した範囲内とする。このような撹拌により、スラリーが得られる。得られたスラリーを粉砕機にかけるなどによりスラリー中の粒子をより細かく分散させることもできる。このように分散させるほうが好ましい。
次いで、集電体の表面に、上記のようにして調製したスラリーを塗布する。この際、集電体に未塗布部を設けることもできる。塗布後、塗膜を乾燥させることにより、電極合材層が得られる。
最後に、電極合材層を集電体と共にプレスすることにより、電極を得ることができる。
第1の実施形態に係る電極は、例えば、上記一例の方法において、スラリーの材料の選定及びそれらの混合比、スラリーの撹拌条件及び分散強度、並びに電極合材層に対して行うプレスの強度を複合的に組み合わせることにより製造することができる。例えば、以下の各実施例で説明する手順により、第1の実施形態に係る電極を作製することができる。
次に、電極が具備する電極合材層についての水銀圧入法による細孔比表面積、気孔率及びLog微分細孔体積分布の測定方法を説明する。
(1)測定対象たる電極の準備
まず、測定対象たる電極を準備する。非水電解質電池に組み込まれている電極を測定対象とする場合は、以下の手順で非水電解質電池から電極を取り出す。
まず、測定対象たる電極を準備する。非水電解質電池に組み込まれている電極を測定対象とする場合は、以下の手順で非水電解質電池から電極を取り出す。
まず、非水電解質電池を放電状態にする。例えば、負極活物質としてチタン酸リチウムを含んでいる非水電解質電池の場合は、任意の充電状態から基準電流値の電流値で1.5Vまで放電する。この電池の基準電流値は、次のように定める。電池に対し、25℃の環境下において、十分に小さい電流値で2.7Vまで定電流充電を行う。次いで、電池に対し、2.7Vの定電圧で3時間に亘り、定電圧充電を行う。この状態の電池を、十分に小さい電流値で、電圧が1.5Vに達するまで定電流で連続的に放電できる放電容量を測定し、これを仮の基準容量とする。この仮の基準容量を1時間かけて定電流で通電できる電流値を仮の基準電流値とする。仮の基準容量を測定し終えた電池に対し、こうして定めた仮の基準電流値で、25℃の環境下において、2.7Vまで定電流充電を行う。次いで、この電池に対し、2.7Vの定電圧で3時間に亘り定電圧充電を行う。この状態の電池から、仮の基準電流値で、電圧が1.5Vに達するまで定電流で放電できる放電容量を測定する。ここで得られた放電容量が先に求めた仮の基準容量の±10%の範囲内になければ、この放電容量を新たな仮の基準容量として、新たな仮の基準容量を1時間かけて定電流で通電できる電流値を新たな仮の基準電流値とし、同様に放電容量の測定を繰り返す。一方、測定した放電容量が先に求めた仮の基準容量の±10%の範囲内にある場合、先に求めた仮の基準容量を電池の基準容量と定める。電池の基準容量を定めるための放電容量の測定は、3回以内になるようにする。そして基準容量を1時間かけて定電流で通電できる電流値を基準電流値と定める。
負極活物質としてカーボン材料を含んでいる非水電解質電池の場合は、任意の充電状態から基準電流値の電流値で3.0Vまで放電する。この電池の基準電流値は、次のように定める。まず、電池に対し、25℃の環境下において、十分に小さい電流値で4.2Vまで定電流充電を行う。次いで、電池に対し、4.2Vの定電圧で3時間に亘り、定電圧充電を行う。この状態の電池を、十分に小さい電流値で、電圧が3.0Vに達するまで定電流で連続的に放電できる放電容量を測定し、これを仮の基準容量とする。この仮の基準容量を1時間かけて定電流で通電できる電流値を仮の基準電流値とする。仮の基準容量を測定し終えた電池に対し、こうして定めた仮の基準電流値で、25℃の環境下において、4.2Vまで定電流充電を行う。次いで、この電池に対し、4.2Vの定電圧で3時間に亘り定電圧充電を行う。この状態の電池から、仮の基準電流値で、電圧が3.0Vに達するまで定電流で放電できる放電容量を測定する。ここで得られた放電容量が先に求めた仮の基準容量の±10%の範囲内になければ、この放電容量を新たな仮の基準容量として、新たな仮の基準容量を1時間かけて定電流で通電できる電流値を新たな仮の基準電流値とし、同様に放電容量の測定を繰り返す。一方、測定した放電容量が先に求めた仮の基準容量の±10%の範囲内にある場合、先に求めた仮の基準容量を電池の基準容量と定める。電池の基準容量を定めるための放電容量の測定は、3回以内になるようにする。そして基準容量を1時間かけて定電流で通電できる電流値を基準電流値と定める。
以上のようにして求めた基準電流値を1Cと表すこともできる。
負極活物質としてカーボン材料を含んでいる非水電解質電池の場合は、任意の充電状態から基準電流値の電流値で3.0Vまで放電する。この電池の基準電流値は、次のように定める。まず、電池に対し、25℃の環境下において、十分に小さい電流値で4.2Vまで定電流充電を行う。次いで、電池に対し、4.2Vの定電圧で3時間に亘り、定電圧充電を行う。この状態の電池を、十分に小さい電流値で、電圧が3.0Vに達するまで定電流で連続的に放電できる放電容量を測定し、これを仮の基準容量とする。この仮の基準容量を1時間かけて定電流で通電できる電流値を仮の基準電流値とする。仮の基準容量を測定し終えた電池に対し、こうして定めた仮の基準電流値で、25℃の環境下において、4.2Vまで定電流充電を行う。次いで、この電池に対し、4.2Vの定電圧で3時間に亘り定電圧充電を行う。この状態の電池から、仮の基準電流値で、電圧が3.0Vに達するまで定電流で放電できる放電容量を測定する。ここで得られた放電容量が先に求めた仮の基準容量の±10%の範囲内になければ、この放電容量を新たな仮の基準容量として、新たな仮の基準容量を1時間かけて定電流で通電できる電流値を新たな仮の基準電流値とし、同様に放電容量の測定を繰り返す。一方、測定した放電容量が先に求めた仮の基準容量の±10%の範囲内にある場合、先に求めた仮の基準容量を電池の基準容量と定める。電池の基準容量を定めるための放電容量の測定は、3回以内になるようにする。そして基準容量を1時間かけて定電流で通電できる電流値を基準電流値と定める。
以上のようにして求めた基準電流値を1Cと表すこともできる。
次に、以上のようにして放電状態した電池を、アルゴンを充填したグローブボックス等の不活性雰囲気に入れる。この中で、電池の外装容器をハサミやニッパー等を用いて切り開き、電極群を取り出す。取り出した電極群を解体することで、測定対象の電極を取り出すことができる。これらの一連の解体作業に際しては、正極と負極との電気的な絶縁を保って行う。
(2)試料の調製
次に、準備した電極を、不活性雰囲気中で、ハサミ等を用いて電極を適当な大きさに切り出して、試料を得る。適当な大きさとは、例えば12mm×25mmの短冊状である。次に、試料の表面を、有機溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)を用いて洗い流す。試料の大きさは、洗い流した後に整えても良い。
次に、準備した電極を、不活性雰囲気中で、ハサミ等を用いて電極を適当な大きさに切り出して、試料を得る。適当な大きさとは、例えば12mm×25mmの短冊状である。次に、試料の表面を、有機溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)を用いて洗い流す。試料の大きさは、洗い流した後に整えても良い。
洗浄後、試料を真空乾燥に供する。或いは、アルゴン雰囲気下での自然乾燥に供しても良い。
(3)測定
試料についての水銀圧入法の測定には、例えば、島津オートポア9520型を用いることができる。以上のようにして調製した16枚の試料を折りたたんで測定セルに採り、初期圧20kPa(細孔直径約60μm相当)及び終止圧約400MPa(細孔直径約3nm相当)の条件で測定を行う。細孔比表面積は、細孔の形状を円筒形と仮定して計算する。
試料についての水銀圧入法の測定には、例えば、島津オートポア9520型を用いることができる。以上のようにして調製した16枚の試料を折りたたんで測定セルに採り、初期圧20kPa(細孔直径約60μm相当)及び終止圧約400MPa(細孔直径約3nm相当)の条件で測定を行う。細孔比表面積は、細孔の形状を円筒形と仮定して計算する。
以上の水銀圧入法による測定結果から、測定試料の電極が含む電極合材層についての細孔比表面積、気孔率及びLog微分細孔体積分布を知ることができる。
次に、電極合材層に含まれている活物質の組成の分析方法を説明する。
(1)測定対象たる電極の準備
まず、水銀圧入法による測定と同様の手順で、測定対象たる電極を準備する。
まず、水銀圧入法による測定と同様の手順で、測定対象たる電極を準備する。
(2)試料の調製
次に、水銀圧入法による測定と同様の手順で、測定対象たる電極を調整する。
次に、水銀圧入法による測定と同様の手順で、測定対象たる電極を調整する。
(3)測定
活物質の組成の分析は、例えばICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)によって行うことができる。ICP発光分光分析法によると、LixNiaCobMncO2の式中x、a、b及びcを同定することができる。また活物質が複数の材料の混合体であった場合は、例えばSEM/EDX(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)で電極表面をマッピングすることで混合種を特定できる。
活物質の組成の分析は、例えばICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)によって行うことができる。ICP発光分光分析法によると、LixNiaCobMncO2の式中x、a、b及びcを同定することができる。また活物質が複数の材料の混合体であった場合は、例えばSEM/EDX(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)で電極表面をマッピングすることで混合種を特定できる。
次に、図面を参照しながら、第1の実施形態に係る電極の具体例を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る一例の電極の一部切欠き概略平面図である。
図1に示す電極3は、集電体31と、この集電体31の両面に形成された電極合材層32とを備えている。また、図1に示すように、集電体31は表面に電極合材層32が形成されていない部分33を含んでおり、この部分33は電極タブとして働くことができる。図1に示すように、電極タブ33は、電極合材層32よりも幅の狭い狭小部となっている。
図1は、第1の実施形態に係る一例の電極の一部切欠き概略平面図である。
図1に示す電極3は、集電体31と、この集電体31の両面に形成された電極合材層32とを備えている。また、図1に示すように、集電体31は表面に電極合材層32が形成されていない部分33を含んでおり、この部分33は電極タブとして働くことができる。図1に示すように、電極タブ33は、電極合材層32よりも幅の狭い狭小部となっている。
第1の実施形態に係る電極は、電極合材層を含む。電極合材層は、一般式:LixNiaCobMncO2で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。この電極合材層について、細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下であり且つ気孔率が10%以上35%以下であることにより、電極合材層において均質な充放電反応を行うことができると共に、充放電中の副反応を抑えることができる。その結果、第1の実施形態に係る電極は、優れたサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、正極としての第1の実施形態に係る電極と、負極と、非水電解質とを具備する。
第2の実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、正極としての第1の実施形態に係る電極と、負極と、非水電解質とを具備する。
以下、第2の実施形態に係る非水電解質電池について、詳細に説明する。
正極は、第1の実施形態に係る電極である。以下、負極との区別のために、正極の集電体、電極合材層及び活物質粒子を、それぞれ、正極集電体、正極合材層及び正極活物質粒子と呼ぶ。また、第1の実施形態に係る電極の集電体が含むことができる電極タブは、正極タブとして働くことができる。或いは、正極は、正極集電体とは別体の正極タブを含むこともできる。
負極は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一方の表面に担持された負極合材層とを具備することができる。負極集電体は、表面に負極合材層を担持していない部分を含むことができる。この部分は、負極タブとして働くことができる。或いは、負極は、負極集電体とは別体の負極タブを含むこともできる。
正極と負極とは、電極群を構成することができる。電極群においては、正極合材層と負極合材層とが、例えばセパレータを介して対向することができる。
電極群は、様々な構造を有することができる。例えば、電極群は、スタック型の構造を有することができる。スタック型構造の電極群は、例えば、複数の正極及び負極を、正極合材層と負極合材層との間にセパレータを挟んで積層することによって得ることができる。或いは、電極群は、巻回型の構造を有することができる。巻回型の電極群は、例えば、一枚のセパレータと、一枚の正極と、もう一枚のセパレータと、一枚の負極とをこの順で積層させて積層体を作り、この積層体を負極が外側にくるように巻回することによって得ることができる。
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、正極端子及び負極端子を更に具備することができる。
正極端子は、その一部が正極の一部に電気的に接続されることによって、正極と外部回路との間で電子が移動するための導体として働くことができる。正極端子は、例えば、正極集電体、特に正極タブに接続することができる。同様に、負極端子は、その一部が負極の一部に電気的に接続されることによって、負極と外部端子との間で電子が移動するための導体として働くことができる。負極端子は、例えば、負極集電体、特に負極タブに接続することができる。
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、容器を更に具備することができる。容器は、電極群及び非水電解質を収容することができる。非水電解質は、容器内で、電極群に含浸され得る。正極端子及び負極端子のそれぞれの一部は、容器から延出させることができる。
以下、正極、負極、非水電解質、セパレータ、正極端子、負極端子及び容器を、より詳細に説明する。
(1)正極
正極で用いることができる材料としては、第1の実施形態の説明で述べたものを用いることができる。
正極で用いることができる材料としては、第1の実施形態の説明で述べたものを用いることができる。
(2)負極
負極が具備することができる負極合材層は、負極活物質、導電助剤及び結着剤を含むことができる。
負極が具備することができる負極合材層は、負極活物質、導電助剤及び結着剤を含むことができる。
負極活物質としては、例えば、正極に含まれる活物質粒子と組み合わせて充放電反応を行うことができるものを用いることができる。
負極活物質としては、リチウムの酸化還元電位に対して1V以上高い電位でリチウムの挿入及び脱離反応が進行することができる物質を用いることが好ましい。このような物質含む負極活物質を用いると、充放電サイクルに伴うリチウムデンドライドの析出を抑えることができるので、非水電解質電池系内でのリチウムイオンの減少を抑えることができる。そのおかげで、このような非水電解質電池は、充放電サイクルに伴ってリチウムイオンの拡散性が低下することを抑えることができ、ひいてはより優れた容量維持率を示すことができる。
リチウムの酸化還元電位に対して1V以上高い電位でリチウムの挿入及び脱離反応が進行することができる物質の一例は、リチウムチタン複合酸化物である。リチウムチタン複合酸化物の例は、スピネル型の結晶構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+xTi5O12(xは充放電状態により0〜3の間で変化する)及びラムスデライト型の結晶構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li2+xTi3O7(xは充放電状態により0〜2の間で変化する))である。負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を用いる場合、単一種のリチウムチタン複合酸化物を使用してよいし、又は2種以上のリチウムチタン複合酸化物の混合物を使用してもよい。
リチウムチタン複合酸化物のリチウムイオン吸蔵電位は、1V(対Li/Li+)以上であることが好ましい。上記スピネル型チタン酸リチウム及びラムスデライト型チタン酸リチウムは、1V(対Li/Li+)以上のリチウムイオン吸蔵電位を示す。
負極活物質の別の例としては、チタン酸化物が挙げられる。チタン酸化物の例は単斜晶系β型二酸化チタンTiO2(B)である。TiO2(B)は、1V(対Li/Li+)以上の電位でリチウムの吸蔵及び放出反応が進行することができる。また、チタン酸化物は、充放電後にLiが残存することがある。
負極活物質の更に他の例としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物以外のチタン複合酸化物を挙げることもできる。一例としては、ニオブチタン複合酸化物(例えば、Nb2TiO2)を挙げることができる。
或いは、負極活物質として、炭素材料を用いることもできる。
導電助剤は、集電性能を高め、且つ活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために必要に応じて配合することができる。負極における導電助剤としては、例えば、炭素材料が挙げられる。炭素材料は、アルカリ金属の吸蔵性および導電性が高いことが好ましい。炭素材料の例は、アセチレンブラックおよびカーボンブラックである。
結着剤は、活物質と集電体とを結着させることができる。負極における結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)が挙げられる。
負極集電体としては、例えば、電気伝導性の高い材料を含むシートを使用することができる。例えば、負極集電体として、銅箔、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を使用することができる。その厚さは、例えば20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。アルミニウム合金箔には、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等を含めることができる。また、アルミニウム合金箔に含まれる、鉄、銅、ニッケル、クロムといった遷移金属の含有量は1%以下であることが好ましい。
負極は、例えば、以下の手順により作製することができる。
まず、負極活物質、導電助剤及び結着剤を用意する。これらを、適切な溶媒に投入し、負極スラリーを調製する。この際、溶媒に投入する負極活物質、負極導電助剤及び負極結着剤の重量割合を、それぞれ、70〜98重量%、0〜20重量%及び2〜10重量%とすることが好ましい。
かくして得られたスラリーを、負極集電体の表面に塗布し、乾燥させ、これをプレスする。かくして、負極集電体とこの負極集電体上に担持された負極合材層とを具備する負極を得ることができる。
(3)非水電解質
非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒中に溶解した電解質とを含む。
非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒中に溶解した電解質とを含む。
電解質は、例えばアルカリ塩であり、好ましくはリチウム塩である。リチウム塩の例としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、及びトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)を挙げることができる。好ましくは、電解質は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)又は四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)である。非水電解質中の電解質の濃度は、好ましくは、0.5〜3.0M(モル/L)である。
非水溶媒は、リチウムイオン電池に用いられる公知の非水溶媒であってよい。非水溶媒の例としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、ジメトキシエタン(DME)である。非水溶媒は、単一種の物質であっても良いし、又は混合物であってもよい。
また、この非水電解質に添加剤を添加しても良い。添加剤として用いられる物質には、ビニレンカーボネート(VC)のような有機化合物や、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)のようなLi塩などが挙げられるが、特に限定されない。添加剤の添加量は、好ましくは、非水電解質に対して0.1〜3.0重量%である。
(4)セパレータ
セパレータは、絶縁性材料からなるものであり得、正極と負極との電気的な接触を防止することができる。好ましくは、セパレータは、電解質が通過できる材料からなるか、又は電解質が通過できる形状を有する。セパレータの例としては、合成樹脂製不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム及びセルロース系のセパレータが挙げられる。
セパレータは、絶縁性材料からなるものであり得、正極と負極との電気的な接触を防止することができる。好ましくは、セパレータは、電解質が通過できる材料からなるか、又は電解質が通過できる形状を有する。セパレータの例としては、合成樹脂製不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム及びセルロース系のセパレータが挙げられる。
(5)正極端子及び負極端子
正極端子及び負極端子としては、電気伝導性の高い材料からなるものが好ましい。これらの端子をそれぞれ集電体に接続する場合、接触抵抗を低減させるために、これらの端子は、集電体と同様の材料からなるものであることが好ましい。
正極端子及び負極端子としては、電気伝導性の高い材料からなるものが好ましい。これらの端子をそれぞれ集電体に接続する場合、接触抵抗を低減させるために、これらの端子は、集電体と同様の材料からなるものであることが好ましい。
(6)容器
容器としては、例えば、厚さ0.5mm以下のラミネートフィルム又は厚さ1mm以下の金属製容器が用いることができる。ラミネートフィルムの厚さは0.2mm以下であることがより好ましい。金属製容器は、厚さ0.5mm以下であることがより好ましく、厚さ0.2mm以下であることがさらに好ましい。
容器としては、例えば、厚さ0.5mm以下のラミネートフィルム又は厚さ1mm以下の金属製容器が用いることができる。ラミネートフィルムの厚さは0.2mm以下であることがより好ましい。金属製容器は、厚さ0.5mm以下であることがより好ましく、厚さ0.2mm以下であることがさらに好ましい。
容器の形状は、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、ボタン型等が挙げられる。容器は、電池寸法に応じて、例えば携帯用電子機器等に積載される小型電池用外装材、二輪乃至四輪の自動車等に積載される大型電池用容器外装材が挙げられる。
ラミネートフィルムとしては、樹脂層間に金属層を挟み込んだ多層フィルムを用いることができる。金属層は、軽量化のために、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って容器の形状に成形することができる。
金属製容器は、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作ることができる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。合金中に鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は1重量%以下にすることが好ましい。これにより、高温環境下での長期信頼性及び放熱性を飛躍的に向上させることができる。
次に、第2の実施形態に係る非水電解質電池の具体例について、図面を参照しながら説明する。
図2は、第2の実施形態に係る一例の非水電解質電池の一部切欠き概略斜視図である。図3は、図2に示す非水電解質電池のA部の拡大断面図である。
図2及び図3に示す非水電解質電池100は、扁平型の電極群1を具備する。
扁平型の電極群1は、負極2と、正極3と、セパレータ4とを含む。
負極2は、図3に示すように、負極集電体21と、負極集電体21上に担持された負極合材層22とを具備する。正極3は、図3に示すように、正極集電体31と、正極集電体31上に担持された正極合材層32とを具備する。正極合材層32は、図1を参照しながら説明した電極合材層32と同様である。
電極群1では、負極2と正極3とが、負極合材層22と正極合材層32との間にセパレータ4が介在した状態で積層されている。このような電極群1は、以下の手順により得ることができる。まず、一枚の平板状の負極2と一枚の平板状の正極3とを間にセパレータ4を介在させて積層させる。次に、もう一枚のセパレータ4を負極2に対向していない方の正極合材層32に積層させて、積層体を作る。この積層体を、負極2を外側にして巻回する。ついで、巻き芯を抜いたのち、プレスして、扁平形状にする。かくして、図2及び図3に示す電極群1を得ることができる。
負極2には帯状の負極端子5が電気的に接続されている。正極3には帯状の正極端子6が電気的に接続されている。
図2及び図3に示す非水電解質電池100は、容器としてのラミネートフィルム製の外装袋7を更に具備している。
電極群1は、ラミネートフィルム製の外装袋7内に負極端子5及び正極端子6の端部を外装袋7から延出させた状態で収容されている。ラミネートフィルム製外装袋7内には、図示しない非水電解質が収容されている。非水電解質は、電極群1に含浸されている。
図2及び図3に示す非水電解質電池100は、例えば以下のようにして作製することができる。まず、電極群1を、ラミネートフィルム製外装袋7内に、負極端子5及び正極端子6が延出した状態で収納する。その後、一部開口を残して、外装袋7の周縁部をヒートシールする。次いで、先に残した開口を介して、外装袋7内に非水電解質を注入する。注入後、先に残した開口を封止ことにより、電極群1及び非水電解質が外装袋7内に密封された非水電解質電池100を作製することができる。
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、正極として第1の実施形態に係る電極を具備する。そのおかげで、第2の実施形態に係る非水電解質電池は、優れたサイクル特性を示すことができる。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に記載される実施例に限定されるものではない。
以下に実施例を説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に記載される実施例に限定されるものではない。
[電極の作製]
(実施例1)
実施例1では、以下の手順で、実施例1の電極を作製した。
(実施例1)
実施例1では、以下の手順で、実施例1の電極を作製した。
(1)スラリーの調製
活物質として、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末を準備した。この活物質粉末82重量%と、導電助剤としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)9重量%と、導電助剤としてのグラファイト(平均粒子径3.4μm)4.5重量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)4.5重量%とを、N−メチルピロリドン(NMP)に加えて、撹拌によりこれらを混合した。
活物質として、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末を準備した。この活物質粉末82重量%と、導電助剤としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)9重量%と、導電助剤としてのグラファイト(平均粒子径3.4μm)4.5重量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)4.5重量%とを、N−メチルピロリドン(NMP)に加えて、撹拌によりこれらを混合した。
かくして得られた混合液を更にビーズ分散に供した。ビーズ分散においては、アイメックス株式会社製ビーズミルRMH−03を用いた。ビーズは、φ2mmのジルコニアビーズを用い、充填率を80%とした。分散条件としては、回転数を2400rpmとし、ベッセル内滞留時間を30分とした。このビーズ分散により混合液中の微粒子の凝集体をほぐし分散させて、スラリーを調製した。
(2)電極の作製
厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる集電体を準備した。先に調製したスラリーをこの集電体の両面に塗布した。塗布の際、集電体にスラリーを塗布しない部分を残した。次いで、塗膜を乾燥させた。
厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる集電体を準備した。先に調製したスラリーをこの集電体の両面に塗布した。塗布の際、集電体にスラリーを塗布しない部分を残した。次いで、塗膜を乾燥させた。
次に、乾燥させた塗膜を、集電体ごとプレスした。プレスは、ロールプレス機を用いて、線圧P=300[N/m]の条件で行った。ここで、線圧P[N/m]は、ロールプレスの荷重F[N]を、電極合材層の幅(プレス機のロールの軸方向と同方向の長さ)W[m]で除したものであり、すなわちP=F/Wである。
以上のプレスにより、集電体と、その両面に担持された電極合材層とを具備した実施例1の電極を得た。
(実施例2)
実施例2では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が0.6μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の電極を作製した。
実施例2では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が0.6μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の電極を作製した。
(比較例1)
比較例1では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が1.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の電極を作製した。
比較例1では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が1.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の電極を作製した。
(実施例3及び4、並びに比較例2及び3)
実施例3及び4、並びに比較例2及び3では、スラリーを調製する際の材料の混合比を以下の表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3及び4の電極、並びに比較例2及び3の電極をそれぞれ作製した。
実施例3及び4、並びに比較例2及び3では、スラリーを調製する際の材料の混合比を以下の表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3及び4の電極、並びに比較例2及び3の電極をそれぞれ作製した。
(比較例4)
比較例4では、ビーズ分散を、回転数2000rpm、及びベッセル内滞留時間10分という条件で行ったこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の電極を作製した。
比較例4では、ビーズ分散を、回転数2000rpm、及びベッセル内滞留時間10分という条件で行ったこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の電極を作製した。
比較例4では、用いた分散機(アイメックス株式会社製ビーズミルRMH−03)、用いたビーズ(φ2mmのジルコニアビーズ)及びビーズ充填率(80%)は、実施例1のそれらと同じにした。
(比較例5)
比較例5では、乾燥させた塗膜のプレスを線圧P=100[N/m]の条件で行ったこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の電極を作製した。
比較例5では、乾燥させた塗膜のプレスを線圧P=100[N/m]の条件で行ったこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の電極を作製した。
(実施例5)
実施例5では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の電極を作製した。
実施例5では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の電極を作製した。
(比較例6)
比較例6では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例6の電極を作製した。
比較例6では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例6の電極を作製した。
(比較例7)
比較例7では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.2Co0.6Mn0.2O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例7の電極を作製した。
比較例7では、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末の代わりに、一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.2Co0.6Mn0.2O2の粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例7の電極を作製した。
(比較例8)
比較例8では、以下の手順で、比較例8の電極を作製した。
比較例8では、以下の手順で、比較例8の電極を作製した。
(1)スラリーの調製
活物質として、実施例1で用いた活物質と同様の一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末を準備した。更に、一次粒子の平均粒子径が0.6μmであるリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2の粉末を準備した。また、実施例1と同様に、導電助剤としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)及びグラファイト(平均粒子径3.4μm)、並びに結着剤としてのPVdFを準備した。
活物質として、実施例1で用いた活物質と同様の一次粒子の平均粒子径が0.2μmであるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2の粉末を準備した。更に、一次粒子の平均粒子径が0.6μmであるリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2の粉末を準備した。また、実施例1と同様に、導電助剤としてのアセチレンブラック(平均粒子径35nm)及びグラファイト(平均粒子径3.4μm)、並びに結着剤としてのPVdFを準備した。
次に、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粉末、リチウムコバルト複合酸化物、アセチレンブラック、グラファイト及びPVdFを、41:41:9:4.5:4.5の重量比で、N−メチルピロリドンに加えて、これらを混合した。
かくして得られた混合液を更にビーズ分散に供した。ビーズ分散の条件は、実施例1のそれと同様とした。この分散により、スラリーを調製した。
(2)電極の作製
厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる集電体を準備した。先に調製したスラリーをこの集電体の両面に塗布した。塗布の際、集電体にスラリーを塗布しない部分を残した。次いで、塗膜を乾燥させた。
厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる集電体を準備した。先に調製したスラリーをこの集電体の両面に塗布した。塗布の際、集電体にスラリーを塗布しない部分を残した。次いで、塗膜を乾燥させた。
次に、乾燥させた塗膜を、集電体ごとプレスした。プレス条件は、実施例1のそれと同様にした。以上のプレスにより、集電体と、その両面に担持された電極合材層とを具備した比較例8の電極を得た。
以下の表1に、実施例1〜5、並びに比較例1〜8の電極の作製条件を示す。
[非水電解質電池の作製]
(実施例1〜5及び比較例1〜8)
実施例1〜5、並びに比較例1〜8の電極を用い、以下の手順で、実施例1〜5、並びに比較例1〜8の非水電解質電池をそれぞれ作製した。なお、以下では実施例1の電極を用いて実施例1の非水電解質電池を作製した例を説明するが、実施例2〜5、並びに比較例1〜8のそれぞれの非水電解質電池も、実施例2〜5、並び比較例1〜8のそれぞれの電極を用いたこと以外は実施例1のそれと同様の手順で作製した。
(実施例1〜5及び比較例1〜8)
実施例1〜5、並びに比較例1〜8の電極を用い、以下の手順で、実施例1〜5、並びに比較例1〜8の非水電解質電池をそれぞれ作製した。なお、以下では実施例1の電極を用いて実施例1の非水電解質電池を作製した例を説明するが、実施例2〜5、並びに比較例1〜8のそれぞれの非水電解質電池も、実施例2〜5、並び比較例1〜8のそれぞれの電極を用いたこと以外は実施例1のそれと同様の手順で作製した。
(1)正極端子の接続
実施例1の電極を、正極として準備した。実施例1の電極の集電体のうちスラリーを塗布しなかった部分に、帯状の正極端子を超音波接合により電気的に接続した。
実施例1の電極を、正極として準備した。実施例1の電極の集電体のうちスラリーを塗布しなかった部分に、帯状の正極端子を超音波接合により電気的に接続した。
(2)負極の作製
負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物(Li4Ti5O12)の粉末を準備した。この活物質粉末94.3重量%と、導電助剤としてのグラファイト3.8重量%と、結着剤としてのPVdF1.9重量%とを、NMPに加えて混合し、スラリーを調製した。
負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物(Li4Ti5O12)の粉末を準備した。この活物質粉末94.3重量%と、導電助剤としてのグラファイト3.8重量%と、結着剤としてのPVdF1.9重量%とを、NMPに加えて混合し、スラリーを調製した。
一方で、厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる負極集電体を準備した。この負極集電体の両面に、先に調製したスラリーを塗布した。塗布の際、負極集電体にスラリーを塗布しない部分を残した。次いで、塗膜を乾燥させ、プレスした。かくして、負極集電体と、その両面に担持された、密度が2.2g/cm3である負極合材層とを具備する負極を作製した。
次に、負極集電体のうちスラリーを塗布しなかった部分に、帯状の負極端子を超音波接合により電気的に接続した。
(3)電極群の作製
上記のように準備した正極と、厚さが20μmであるセルロースからなるセパレータと、上記のように作製した負極と、もう一枚のセパレータとをこの順序で積層して、積層体を得た。次いで、この積層体を、負極が最外周に位置するように渦巻き状に巻回して電極群を作製した。次いで、電極群から巻き芯を抜き、ついで電極群を90℃で加熱しながらプレスした。かくして、幅58mm、高さ95mm、厚さ3.0mmの寸法を有する偏平状電極群を作製した。
上記のように準備した正極と、厚さが20μmであるセルロースからなるセパレータと、上記のように作製した負極と、もう一枚のセパレータとをこの順序で積層して、積層体を得た。次いで、この積層体を、負極が最外周に位置するように渦巻き状に巻回して電極群を作製した。次いで、電極群から巻き芯を抜き、ついで電極群を90℃で加熱しながらプレスした。かくして、幅58mm、高さ95mm、厚さ3.0mmの寸法を有する偏平状電極群を作製した。
(4)電池の収容
得られた電極群を、厚さが40μmであるアルミニウム箔とそのアルミニウム箔の両面に形成されたポリプロピレン層とで構成された、厚さが0.1mmであるラミネートフィルムからなる外装袋に収容した。この際、正極端子及び負極端子の一端が外装袋から延出するようにした。次いで、外装袋に収容された状態の電極群を、80℃で24時間にわたり真空乾燥した。次いで、正極端子及び負極端子の一端が外装袋から延出し且つ一部開口を残した状態で、外装袋の周縁部をヒートシールした。
得られた電極群を、厚さが40μmであるアルミニウム箔とそのアルミニウム箔の両面に形成されたポリプロピレン層とで構成された、厚さが0.1mmであるラミネートフィルムからなる外装袋に収容した。この際、正極端子及び負極端子の一端が外装袋から延出するようにした。次いで、外装袋に収容された状態の電極群を、80℃で24時間にわたり真空乾燥した。次いで、正極端子及び負極端子の一端が外装袋から延出し且つ一部開口を残した状態で、外装袋の周縁部をヒートシールした。
(5)非水電解質の調製
プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で1:2になるように混合して、混合溶媒を調製した。この混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0Mの濃度で溶解させた。かくして、非水電解質を調製した。
プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比で1:2になるように混合して、混合溶媒を調製した。この混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0Mの濃度で溶解させた。かくして、非水電解質を調製した。
(6)電池の作製
ヒートシールの際に残しておいた開口から先に調製した非水電解質を外装袋内に注入し、その後開口を閉じた。かくして、実施例1の非水電解質二次電池を作製した。
ヒートシールの際に残しておいた開口から先に調製した非水電解質を外装袋内に注入し、その後開口を閉じた。かくして、実施例1の非水電解質二次電池を作製した。
(実施例1−A、並びに比較例1−A及び比較例2−A)
負極として以下のようにして作製した負極を用いたこと以外は実施例1、比較例1及び比較例2とそれぞれ同様にして、実施例1−A、並びに比較例1−A及び比較例2−Aの非水電解質電池を作製した。
負極として以下のようにして作製した負極を用いたこと以外は実施例1、比較例1及び比較例2とそれぞれ同様にして、実施例1−A、並びに比較例1−A及び比較例2−Aの非水電解質電池を作製した。
まず、負極活物質としてグラファイトを準備した。この活物質90重量%と、結着剤としてのPVdF10重量%とをNMPに加えて混合し、スラリーを調製した。このスラリーを、実施例1で用いたのと同様の負極集電体の両面に塗布した。塗布の際、負極集電体にスラリーを塗布しない部分を残した。次いで、塗膜を乾燥させ、プレスした。かくして、負極集電体と、その両面に担持された、密度が1.3g/cm3である負極合材層とを具備する負極を作製した。
<サイクル特性試験>
実施例1〜5、比較例1〜8、実施例1−A、比較例1−A及び比較例2−Aの非水電解質電池を、以下に説明するサイクル特性試験に供した。
実施例1〜5、比較例1〜8、実施例1−A、比較例1−A及び比較例2−Aの非水電解質電池を、以下に説明するサイクル特性試験に供した。
サイクル特性の指標としては、容量維持率を用いた。容量維持率は、サイクル充放電後の電池容量の、電池作製直後の電池容量に対する割合である。
(実施例1〜5、並びに比較例1〜8)
(作製直後の電池容量の測定)
作製直後の非水電解質電池を、環境温度25℃において、電池を電池電圧が2.7Vに達するまで1Cの定電流値でCCモード充電(定電流充電)した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで2.7Vの定電圧でCVモード充電(定電圧充電)した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が1.5Vに達するまで1Cの電流値で放電し、この放電で放電できた放電量を放電容量として測定した。測定した放電容量を、作製直後の電池容量とした。
(作製直後の電池容量の測定)
作製直後の非水電解質電池を、環境温度25℃において、電池を電池電圧が2.7Vに達するまで1Cの定電流値でCCモード充電(定電流充電)した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで2.7Vの定電圧でCVモード充電(定電圧充電)した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が1.5Vに達するまで1Cの電流値で放電し、この放電で放電できた放電量を放電容量として測定した。測定した放電容量を、作製直後の電池容量とした。
(充放電サイクル)
次に、非水電解質電池の環境温度を45℃に変更した。この環境温度下で、電池を電池電圧が2.7Vに達するまで3Cの定電流値でCCモード充電した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで2.7Vの定電圧でCVモード充電した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が1.5Vに達するまで3Cの電流値で放電した。このようなCCモード充電、CVモード充電、休止及び放電を1サイクルとした充放電サイクルを、2000回行った。
次に、非水電解質電池の環境温度を45℃に変更した。この環境温度下で、電池を電池電圧が2.7Vに達するまで3Cの定電流値でCCモード充電した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで2.7Vの定電圧でCVモード充電した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が1.5Vに達するまで3Cの電流値で放電した。このようなCCモード充電、CVモード充電、休止及び放電を1サイクルとした充放電サイクルを、2000回行った。
2000サイクル後、非水電解質電池の環境温度を25℃に変更した。この環境温度下で、電池を電池電圧が2.7Vに達するまで1Cの定電流値でCCモード充電した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで2.7Vの定電圧でCVモード充電した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が1.5Vに達するまで1Cの電流値で放電し、この放電で放電できた放電量を放電容量として測定した。測定した放電容量を、サイクル後の電池容量とした。
(実施例1−A、並びに比較例1−A及び2−A)
(作製直後の電池容量の測定)
作製直後の非水電解質電池を、環境温度25℃において、電池を電池電圧が4.2Vに達するまで1Cの定電流値でCCモード充電した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで4.2Vの定電圧でCVモード充電した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が3.0Vに達するまで1Cの電流値で放電し、この放電で放電できた放電量を放電容量として測定した。測定した放電容量を、作製直後の電池容量とした。
(作製直後の電池容量の測定)
作製直後の非水電解質電池を、環境温度25℃において、電池を電池電圧が4.2Vに達するまで1Cの定電流値でCCモード充電した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで4.2Vの定電圧でCVモード充電した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が3.0Vに達するまで1Cの電流値で放電し、この放電で放電できた放電量を放電容量として測定した。測定した放電容量を、作製直後の電池容量とした。
(充放電サイクル)
次に、非水電解質電池の環境温度を45℃に変更した。この環境温度下で、電池を電池電圧が4.2Vに達するまで3Cの定電流値でCCモード充電した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで4.2Vの定電圧でCVモード充電した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が3.0Vに達するまで3Cの電流値で放電した。このようなCCモード充電、CVモード充電、休止及び放電を1サイクルとした充放電サイクルを、1000回行った。
次に、非水電解質電池の環境温度を45℃に変更した。この環境温度下で、電池を電池電圧が4.2Vに達するまで3Cの定電流値でCCモード充電した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで4.2Vの定電圧でCVモード充電した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が3.0Vに達するまで3Cの電流値で放電した。このようなCCモード充電、CVモード充電、休止及び放電を1サイクルとした充放電サイクルを、1000回行った。
1000サイクル後、非水電解質電池の環境温度を25℃に変更した。この環境温度下で、電池を電池電圧が4.2Vに達するまで1Cの定電流値でCCモード充電した。次いで、電池を電流値が0.05Cとなるまで4.2Vの定電圧でCVモード充電した。次いで、10分間休止した。次いで、電池を電池電圧が3.0Vに達するまで1Cの電流値で放電し、この放電で放電できた放電量を放電容量として測定した。測定した放電容量を、サイクル後の電池容量とした。
<各実施例及び比較例の非水電解質が具備する正極の電極合材層についての水銀圧入法による細孔比表面積、気孔率及びLog微分細孔体積分布の測定>
各実施例及び比較例の非水電解質電池から、先に説明した手順により、正極をそれぞれ取り出した。次いで、取り出した各正極を測定対象として、先に説明した手順により、水銀圧入法による測定を行った。図4及び図5に、一例として、実施例1及び比較例1の結果を示す。
各実施例及び比較例の非水電解質電池から、先に説明した手順により、正極をそれぞれ取り出した。次いで、取り出した各正極を測定対象として、先に説明した手順により、水銀圧入法による測定を行った。図4及び図5に、一例として、実施例1及び比較例1の結果を示す。
図4は、実施例1の電極(実線)及び比較例1の電極(破線)のそれぞれの電極合材層についてのLog微分細孔体積分布を示している。図4に示す2つのLog微分細孔体積分布は、それぞれのモード径のピークの強度を1となるように規格化している。また、横軸は、細孔直径を対数で表示している点に留意されたい。
図4に実線で示した実施例1についてのLog微分細工体積分布のモード径は、0.081μmであった。また、図4に破線で示した比較例1についてのLog微分細工体積分布のモード径は、0.202μmであった。図4から、実施例1の電極の電極合材層における最も存在比率の高い細孔直径は、比較例1のそれよりも小さいことが分かる。
図5は、実施例1の電極(実線)及び比較例1の電極(破線)のそれぞれの電極合材層についての累積細孔体積分布を示している。図4に示すそれぞれのLog微分細孔体積分布は、図5に示すそれぞれの累積細孔体積分布から得られたものである。
図5に示すそれぞれの累積細孔体積分布は、所定の細孔直径以上の細孔直径を有する細孔について、その体積がどれくらいあるかを表している。
図5に示す累積細孔体積分布では、細孔直径が1μm以上の細孔体積と細孔直径が0.01μm以下の細孔体積は無視し、細孔直径が0.01μm以上1μm以下の範囲内にある細孔の細孔体積V2が100%になるように規格化している。すわわち、図5に示す累積細孔体積分布において、細孔直径が0.05μmでの累積細孔体積の割合(%)から細孔直径が0.15μmでの累積細孔体積の割合(%)を引くことにより、細孔直径が0.05μm以上0.15μm以下の範囲内にある細孔の体積V1の体積V2に対する割合V1/V2を算出することができる。
図5から、実施例1に関して、細孔直径が0.05μm以上である細孔の細孔体積の割合が5.6%であり、細孔直径が0.15μm以上である細孔の細孔体積の割合が78.3%であると読み取ることができる。よって、実施例1について割合V1/V2は、その差である72.7%であることが分かる。
また、図5から、比較例1に関して、細孔直径が0.05μm以上である細孔の細孔体積の割合が55.2%であり、細孔直径が0.15μm以上である細孔の細孔体積の割合が92.7%であると読み取ることができる。よって、比較例1についての割合V1/V2は、その差である37.5%であることが分かる。
すなわち、図5から、実施例1の割合V1/V2は、比較例1のそれよりも大きいことが分かる。
[結果]
実施例及び比較例の各電極の電極合材層についての水銀圧入法により得られた各パラメータ、並びに各実施例及び比較例の非水電解質電池のサイクル後の容量維持率を以下の表2及び表3に示す。
実施例及び比較例の各電極の電極合材層についての水銀圧入法により得られた各パラメータ、並びに各実施例及び比較例の非水電解質電池のサイクル後の容量維持率を以下の表2及び表3に示す。
表2に示した結果から、実施例1〜5の非水電解質電池は、比較例1〜8の非水電解質電池に比べてサイクル特性に優れていたことが分かる。
比較例1、2及び4の非水電解質電池では、正極である比較例1、2及び4の電極が含む電極合材層についての水銀圧入法により得られる細孔比表面積が4.5m2/gよりも小さかった。そのため、比較例1、2及び4の非水電解質電池では、充放電サイクル中に、正極合材層に含まれる活物質中に充放電ムラが生じて活物質の一部分で劣化が急速に進んでしまい、サイクル後の電池容量が低下したと考えられる。
比較例3の非水電解質電池では、正極である比較例3の電極が含む電極合材層についての水銀圧入法により得られる細孔比表面積が10m2/gよりも大きかった。このように比較例3の非水電解質電池は細孔比表面積が大き過ぎたため、副反応を抑えることが難しくなり、結果としてサイクル後の電池容量が低下したと考えられる。
比較例5の非水電解質電池では、正極である比較例5の電極が含む電極合材層についての水銀圧入法により得られる気孔率が35%よりも大きかった。そのため、比較例5の非水電解質電池では、正極合材層において均一な充放電を行うための導電性が確保されておらず、その結果サイクル後の電池容量が低下したと考えられる。
また、実施例5の電極は、電極合材層が含む活物質の組成が、実施例1と異なっていたが、一般式:LixNiaCobMncO2(式中、x、a、b及びcは、0.9<x≦1.25、0.1<a≦0.5、0.1≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5、0.9≦a+b+c≦1を満たす)で表されるものであった。更に、実施例5の電極は、表2に示した結果から明らかなように、電極合材層についての水銀圧入法により得られる細孔比表面積を4.5m2/g以上10m2/g以下であり且つ水銀圧入法により得られる気孔率を10%以上35%以下であった。そのおかげで、実施例5の電極は、表2に示すように、実施例1と同様に優れたサイクル特性を実現できたことができた。
一方、比較例6及び7の電極は、電極合材層が含む活物質の組成が、上記一般式で表すことができるものではなかった。そのため、比較例6及び比較例7のそれぞれの電極は、電極合材層についての水銀圧入法により得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下であり且つ水銀圧入法により得られる気孔率を10%以上35%以下であっても、表2に示すように、優れたサイクル特性を実現することができなかった。これは、比較例6及び7の電極が含む活物質が、Ni又はCoを過剰に含んでいたことが原因であると思われる。
また、表2に示した結果から、比較例8の非水電解質電池は、実施例1の非水電解質電池よりもサイクル特性に劣っていたことが分かる。比較例8の非水電解質電池が具備する正極は、電極合材層がリチウムコバルト複合酸化物を含む比較例8の電極であった。そして、比較例8の電極は、電極合材層についての水銀圧入法により得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下であり且つ水銀圧入法により得られる気孔率を10%以上35%以下であった。このような比較例8の電極を具備する比較例8の非水電解質電池では、充放電によりコバルトの溶出が起こり、その結果、サイクル後の電池容量が大きく低下したと考えられる。
そして、表3に示した実施例1−A、並びに比較例1−A及び2−Aの結果から、実施例1の電極とカーボン系負極とを具備した実施例1−Aの非水電解質電池は、比較例1及び比較例2のそれぞれの電極とカーボン系負極とを具備した比較例1−A及び2−Aの非水電解質電池よりも優れたサイクル特性を示すことができたことが分かる。この結果から、実施例1の電極は、負極としてカーボン系負極を具備した非水電解質電池においても、サイクル特性を向上させることができたことが分かる。すなわち、実施例1の電極は、負極活物質を変更しても、優れたサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現できることが分かる。なお、実施例1−Aの非水電解質電池が、実施例1〜5の非水電解質電池よりも容量維持率に劣っていたのは、負極としてカーボン系負極を用いたからである。
以上に説明した少なくとも一つの実施形態および実施例によると、電極が提供される。この電極は電極合材層を含む。この電極合材層は、一般式:LixNiaCobMncO2で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含む。この電極合材層について、水銀圧入法により得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下であり且つ水銀圧入法により得られる気孔率が10%以上35%以下である。そのおかげで、この電極は、電極合材層において均質な充放電反応を行うことができると共に、充放電中の副反応を抑えることができる。その結果、この電極は、優れたサイクル特性を示すことができる非水電解質電池を実現することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電極群、2…負極、21…負極集電体、22…負極合材層、3…電極(正極)、31…集電体(正極集電体)、32…電極合材層(正極合材層)、33…電極タブ、4…セパレータ、5…負極端子、6…正極端子、7…外装袋。
Claims (5)
- 集電体と、
前記集電体上に形成された電極合材層と
を具備し、
前記電極合材層は、一般式:LixNiaCobMncO2(式中、x、a、b及びcは、0.9<x≦1.25、0.1<a≦0.5、0.1≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5、0.9≦a+b+c≦1を満たす)で表される少なくとも1種のリチウム含有複合酸化物からなる活物質を含み、
前記電極合材層は、水銀圧入法によって得られる細孔比表面積が4.5m2/g以上10m2/g以下であり、前記水銀圧入法によって得られる気孔率が10%以上35%以下であることを特徴とする電極。 - 前記電極合材層についての水銀圧入法により得られるLog微分細孔体積分布において、
モード径dmが0.05μm以上0.15μm以下の範囲内にあり、
細孔直径が0.05μm以上0.15μm以下の範囲内にある細孔の体積がV1であり、細孔直径が0.01μm以上1μm以下の範囲内にある細孔の体積がV2であり、
前記体積V1の前記体積V2に対する割合V1/V2が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電極。 - 前記電極合材層は、導電助剤及び結着剤を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の電極。
- 正極としての請求項1に記載の電極と、
負極と、
非水電解質と
を具備することを特徴とする非水電解質電池。 - 前記負極は、リチウムチタン複合酸化物及びチタン酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項4に記載の非水電解質電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016178533A JP2018045819A (ja) | 2016-09-13 | 2016-09-13 | 電極及び非水電解質電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016178533A JP2018045819A (ja) | 2016-09-13 | 2016-09-13 | 電極及び非水電解質電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018045819A true JP2018045819A (ja) | 2018-03-22 |
Family
ID=61695109
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016178533A Pending JP2018045819A (ja) | 2016-09-13 | 2016-09-13 | 電極及び非水電解質電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018045819A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019093332A1 (ja) * | 2017-11-07 | 2019-05-16 | 株式会社 東芝 | 非水電解質電池用正極及び非水電解質電池 |
WO2020026310A1 (ja) * | 2018-07-30 | 2020-02-06 | 株式会社 東芝 | 電極、非水電解質電池及び電池パック |
WO2020208718A1 (ja) * | 2019-04-09 | 2020-10-15 | 株式会社 東芝 | 電極、電極群、電池、及び電池パック |
CN112042012A (zh) * | 2018-05-17 | 2020-12-04 | 本田技研工业株式会社 | 锂离子二次电池用电极 |
JP2021044221A (ja) * | 2019-09-13 | 2021-03-18 | 株式会社東芝 | 電極、二次電池、電池パック、及び車両 |
WO2022120026A1 (en) * | 2020-12-04 | 2022-06-09 | Sion Power Corporation | Low porosity electrodes and related methods |
WO2023189140A1 (ja) * | 2022-03-30 | 2023-10-05 | 株式会社Gsユアサ | 蓄電素子用正極、蓄電素子及び蓄電装置 |
-
2016
- 2016-09-13 JP JP2016178533A patent/JP2018045819A/ja active Pending
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019093332A1 (ja) * | 2017-11-07 | 2019-05-16 | 株式会社 東芝 | 非水電解質電池用正極及び非水電解質電池 |
US11978898B2 (en) | 2017-11-07 | 2024-05-07 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Positive electrode for nonaqueous electrolyte battery and nonaqueous electrolyte battery |
EP3796425A4 (en) * | 2018-05-17 | 2021-06-23 | Honda Motor Co., Ltd. | ELECTRODE FOR LITHIUM-ION SECONDARY BATTERY |
CN112042012A (zh) * | 2018-05-17 | 2020-12-04 | 本田技研工业株式会社 | 锂离子二次电池用电极 |
JPWO2020026310A1 (ja) * | 2018-07-30 | 2021-05-20 | 株式会社東芝 | 電極、非水電解質電池及び電池パック |
JP7024090B2 (ja) | 2018-07-30 | 2022-02-22 | 株式会社東芝 | 電極、非水電解質電池及び電池パック |
WO2020026310A1 (ja) * | 2018-07-30 | 2020-02-06 | 株式会社 東芝 | 電極、非水電解質電池及び電池パック |
WO2020208718A1 (ja) * | 2019-04-09 | 2020-10-15 | 株式会社 東芝 | 電極、電極群、電池、及び電池パック |
JPWO2020208718A1 (ja) * | 2019-04-09 | 2021-11-25 | 株式会社東芝 | 電極、電極群、電池、及び電池パック |
JP7247326B2 (ja) | 2019-04-09 | 2023-03-28 | 株式会社東芝 | 電極、電極群、電池、及び電池パック |
JP2021044221A (ja) * | 2019-09-13 | 2021-03-18 | 株式会社東芝 | 電極、二次電池、電池パック、及び車両 |
JP7330028B2 (ja) | 2019-09-13 | 2023-08-21 | 株式会社東芝 | 電極、二次電池、電池パック、及び車両 |
WO2022120026A1 (en) * | 2020-12-04 | 2022-06-09 | Sion Power Corporation | Low porosity electrodes and related methods |
WO2023189140A1 (ja) * | 2022-03-30 | 2023-10-05 | 株式会社Gsユアサ | 蓄電素子用正極、蓄電素子及び蓄電装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11011747B2 (en) | Lithium nickel-manganese-cobalt oxide cathode powders for high voltage lithium-ion batteries | |
JP2018045819A (ja) | 電極及び非水電解質電池 | |
KR20140076618A (ko) | 비수계 전해질 이차 전지용 양극 재료와 그의 제조 방법, 및 이 양극 재료를 이용한 비수계 전해질 이차 전지 | |
JP6998107B2 (ja) | 非水系電解質二次電池用正極材料、正極合材、およびそれぞれを用いた非水系電解質二次電池 | |
JP6470070B2 (ja) | 正極及び非水電解質電池 | |
WO2017013718A1 (ja) | 非水電解質電池および電池パック | |
JP6250998B2 (ja) | 非水電解質電池及び電池パック | |
JP7055899B2 (ja) | 電極、電池、及び電池パック | |
JP6121697B2 (ja) | 非水電解質電池 | |
CN111758179B (zh) | 正极、电极组及非水电解质电池 | |
US11967713B2 (en) | Positive electrode active material for non-aqueous electrolyte secondary battery comprising tungsten coating film, and non-aqueous electrolyte secondary battery | |
WO2015102091A1 (ja) | 電極及び非水電解質電池 | |
WO2016039387A1 (ja) | 捲回型電極群、電極群及び非水電解質電池 | |
JP6428243B2 (ja) | 非水系リチウム二次電池及びその製造方法 | |
US11978898B2 (en) | Positive electrode for nonaqueous electrolyte battery and nonaqueous electrolyte battery | |
JP2007080583A (ja) | 二次電池用電極と二次電池 | |
JP2011150954A (ja) | コイン形有機電解液二次電池 | |
WO2020194385A1 (ja) | 電極、電池及び電池パック | |
US20210408540A1 (en) | Electrode, electrode group, battery, and battery pack | |
WO2016068258A1 (ja) | 正極及び非水電解質電池 | |
JP2017183048A (ja) | 正極活物質、及びそれを用いた正極並びにリチウムイオン二次電池 | |
JP6125719B1 (ja) | 充電システム及び非水電解質電池の充電方法 | |
JPWO2019053861A1 (ja) | 電極及び非水電解質電池 | |
JP7463613B2 (ja) | 正極、電極群、二次電池及び電池パック | |
JP6870712B2 (ja) | リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20170904 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20170905 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20190612 |