JP2018044190A - 亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原板の表面における不可視的な欠陥に起因する外観不良を抑制できる亜鉛めっき鋼板の製造方法の提供。【解決手段】原板を脱脂および酸洗する第1工程1,2と、前記第1工程の後、遷移金属、第14族および第15族に属する元素(Sn、Bi、Sb等)のうちの少なくとも1つの元素の無機イオンを10〜5000mg/Lの濃度で含有する処理液に、前記原板を浸漬する第2工程3と、前記第2工程の後、前記原板を亜鉛めっき浴に浸漬する第3工程4と、を有する亜鉛めっき鋼板の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、亜鉛めっき鋼板の製造方法に関し、特に原板の欠陥などに由来する外観不良を改善する亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
表面処理がなされた鋼板は、従来から様々な用途に使用されている。その中でも亜鉛めっき鋼板は、耐久性や経済性に優れるとともに保護皮膜作用と犠牲防食作用を併せ持つため、表面処理鋼板の中でも高いシェアを占めている。
かような亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板と電気亜鉛めっき鋼板に大別されるが、特に電気亜鉛めっき鋼板は白色度を調整して美麗な外観を呈することから、各種ケースやカバー、パネルなどの意匠用途としても用いられている。
一方で、例えば原板に欠陥などが存在する場合、亜鉛めっき処理後の外観に不良が生じることがある。
これに対して特許文献1では、白色度の低下を抑制しつつめっき原板の表面欠陥に起因するムラを抑制するため、鋼板上に析出量が0.1mg/m 以上10mg/m未満のSn析出層、電気亜鉛めっき層、析出量が合わせて0.05mg/m以上5mg/m以下の金属Niまたは金属Coのいずれか一方または両方からなる析出層、クロメート処理層を順次形成する技術が提案されている。
更に特許文献2によれば、めっき層全体としての外観が均一で美麗な電気亜鉛めっき鋼板および該鋼板を効率よく製造するため、亜鉛結晶の(002)面と(103)面の配向指数を特定の関係にするとともに、素地鋼板表面にCo,Ni,Cr,In,Sn,Sb,TlおよびPbよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素が総量として0.005〜520mg/mの付着量で下地層として形成する技術が提案されている。
特開平11−140684号公報 特開平8−188898号公報
しかしながら特に特許文献1にも言及されているとおり、原板の表面欠陥に起因して亜鉛めっき処理後の外観に不良個所が生じる課題は未だ解消されてはいない。また、特許文献1ではクロメート処理が前提の技術であって限定的な手法であることは否めない。
原板の表面欠陥としては、目視可能な物理的な欠陥と目視で視認できない欠陥が存在する。とくに後者の場合には、亜鉛めっき皮膜としての特性は全く問題がないにも関わらず外観が不良であるため結果として製品として採用できないという不都合が生じてしまう。
こうした背景の下、発明者らは鋭意検討した結果、次に示すメカニズムによって亜鉛めっき処理後の外観に不良個所が発生すると推定した。
すなわち、まず原板表面の欠陥は鋼中の介在物や鋼成分の濃化部位等に起因して生じ、亜鉛めっきを施した場合にはこの欠陥部のみ部分的に結晶配向が乱れた状態で成膜される。
すると、この部分的に乱れた結晶配向が光学的な差異を生み出し、これが目視外観上の欠陥として認知されることになる。
これに対して原板の表面を事前に検査したとしても、原板の状態では物理的な凹凸が生成されたり汚染物が付着したりして欠陥となっているわけではなく、外観上で正常部と欠陥部を見分けることは困難である。
本発明は、かような課題を解決することを鑑みてなされたものであり、原板の表面における不可視的な欠陥に起因する外観不良を抑制できる亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる亜鉛めっき鋼板の製造方法は、(1)原板を脱脂および酸洗する第1工程と、前記第1工程の後、遷移金属、第14族および第15族に属する元素のうちの少なくとも1つの元素の無機イオンを10〜5000mg/Lの濃度で含有する処理液に、前記原板を浸漬する第2工程と、前記第2工程の後、前記原板を亜鉛めっき浴に浸漬する第3工程と、を有することを特徴とする。
なお上記(1)の亜鉛めっき鋼板の製造方法においては、(2)前記第2工程によって前記原板の表面に前記無機イオンがアイランド状に付着し、前記無機イオンが点在する前記原板の表面に亜鉛めっき皮膜が形成されることが好ましい。
また、上記(1)又は(2)の亜鉛めっき鋼板の製造方法においては、(3)前記処理液の温度は10℃〜60℃に維持されることが好ましい。
また、上記(1)〜(3)のいずれかに亜鉛めっき鋼板の製造方法においては、(4)前記無機イオンは、Sn2+、Bi3+およびSb3+の少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、上記(1)〜(3)のいずれかに亜鉛めっき鋼板の製造方法においては、(5)前記無機イオンは、Mn2+またはMo6+を含むことが好ましい。
本発明によれば、鋼板の原板表面における光学的な差異を抑制でき、これにより原板の欠陥に由来する外観不良を抑制することが可能となる。
本実施形態に係る表面処理鋼板の構造を模式的に示した断面図である。 本実施形態に係る表面処理鋼板の製造方法を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る原板表面の欠陥部と結晶配向性との関係を説明する模式図である。
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。
≪第1実施形態≫
図1に示されるように、本実施形態に係る表面処理鋼板(亜鉛めっき鋼板)SSは、原板1と、この原板1上に形成される表面処理層とを少なくとも含んで構成されている。表面処理層は、Znめっき層2と、このZnめっき層2上に形成される有機樹脂層3を含んで構成されている。
そして本実施形態に係る表面処理鋼板の製造方法は、原板を脱脂および酸洗する第1工程と、前記第1工程の後、第14族元素および第15族元素のうちの少なくとも1つの無機イオンを10〜5000mg/Lの濃度で含有する処理液に前記原板を浸漬する第2工程と、前記第2工程の後に前記原板を亜鉛めっき浴に浸漬する第3工程と、を有することを特徴としている。
次に図2を参照しながら、本実施形態の表面処理鋼板の製造方法について詳述する。
表面処理鋼板SSを製造する際には、基材となる原板1を準備する。この原板1は、例えば0.05mm〜1.6mm程度の金属板であり、例えば鉄または鋼板などの合金などが用いられる。なお、本実施形態との金属板としては、0.05〜1.20mm程度の厚さの普通鋼冷延鋼板が好ましい。冷延鋼板の中でも低炭素または炭素量0.01質量%未満の極低炭素アルミキルド鋼板が、加工性などの観点から好ましく基板として使用される。
そしてこの原板1に対し、まずアルカリ脱脂して洗浄する処理を行う(ステップ1)。
なおアルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプのアルカリが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものを用いてもよい。
ステップ1でアルカリ脱脂を終えた後、原板1に対して酸洗を行う(ステップ2)。
なお酸洗としては種々の公知の手法を用いてよく、例えば硫酸水溶液への浸漬による酸洗が適用可能である。原板1が酸洗処理されることで、原板1の表面に付着したスケール(酸化膜)が除去される。なお酸洗処理液としては上記硫酸水溶液に限定されず、原板1の種類に応じて酸の種類や液の濃度、あるいは温度などを適宜決定してもよい。
また、ステップ1やステップ2の後で、水などを用いてリンス処理(水洗)してもよい。
ステップ2で酸洗を終えた後、無機イオンを含有する前処理浴へ原板1を浸漬する処理を行う(ステップ3)。
この前処理浴に含有される無機イオンは、周期表中の第14族元素および第15族元素のうちの少なくとも1つの無機イオンである。なお、本実施形態では、以下の表1に示す無機イオンがより好ましい。
すなわち表1に示すとおり、前処理浴に含有される無機イオンがSn2+の場合、その濃度は、10〜5000mg/Lであり、より好ましくは20〜1000、さらに好ましくは100〜500mg/Lである。
また、前処理浴に含有される無機イオンがBi3+の場合、その濃度は、10〜5000mg/Lであり、より好ましくは20〜1000、さらに好ましくは100〜500mg/Lである。
また、前処理浴に含有される無機イオンがSb3+の場合、その濃度は、10〜5000mg/Lであり、より好ましくは10〜500、さらに好ましくは15〜370mg/Lである。
なお表1に具体的な数値で示した材料の他にも、半導体となり得る第14族元素、第15族元素および第16族元素のいずれかを適用することができ、この場合には実験やシミュレーションなどで具体的な元素や最適な濃度などを決定してもよい。
また、前処理浴における浴温は、10℃〜60℃であって、特に好ましくは20℃〜45℃である。60℃を超える温度では費用対効果で新たな効果を期待できず不経済であり、一方で10℃を下回ると無機イオンが定着し難くなるからである。
また、前処理浴におけるpHは、例えば1〜6、好ましくは3〜5であることが好ましい。
また、かような前処理浴に原板1を浸漬する浸漬時間は、1〜60秒であって、好ましくは2秒〜30秒がよく、更に量産性も考慮すると2〜5秒が好ましい。60秒以上では意図しない汚染が発生したり生産性が著しく低下してしまい、一方で1秒以下では無機イオンが定着し難いからである。
なお、上記した前処理浴に関しては、適宜、公知の安定剤や緩衝剤、あるいはpH調整剤などを添加してもよい。
ここで図3を用いて第1実施形態における前処理の特徴を詳細に説明する。
まず図3の左側には、後述するZnめっきが原板1に施された後の表面処理鋼板SSにおける光学顕微鏡を用いた表面観察写真を示す。
同図から明らかなとおり、領域(a)で囲った部位(欠陥部)には筋状の欠陥が確認できる一方で、かような欠陥は正常な領域である領域(b)で囲った部位(正常部)では見られない。
この領域(a)および領域(b)に対してX線回折法によるZnめっきの結晶配向性を測定した結果が、図3の右側に示されている。
このように、筋状の欠陥が確認された領域(a)では、領域(b)に比して、(0002)面の優先配向が崩れており、(1 0 -1 1)面や(1 0 -1 2)面など他の面の強度が相対的に増加していることが判明した。
なお、この領域(a)では部分的に乱れた結晶配向が光学的な差異を生じさせ、これにより、Znめっきとしての特性は変わらないものの目視外観上の不良となってしまう。
このような知見の下、本実施形態では、例えば表1で示した材料に代表される第14族元素又は第15族元素の無機イオンを含有する前処理浴に事前に浸漬する。これにより、原板1表面には、上記した無機イオンが均一な層としてではなく離散的(アイランド状)に吸着するものと推定される。換言すれば、上記した無機イオンの原板1への付着量が皮膜として十分に定量検出可能な量未満となっており、この原板1の表面には上記した無機イオンによる均一な層は形成されていない。したがって、かような状態では、原板1の表面に点在する無機イオンが核となり、後述するZnめっき層が原板1上に形成されていくと考えられる。
このように前処理浴への原板1の浸漬により、Znめっき全体の(0002)面の優先配向を低下させて白色度を下げ、上記した欠陥部と正常部との配向差を小さくさせる。
したがって欠陥部と正常部とで色差が小さくなり、上述した目視外観上の不良を抑制されることが可能となっている。
図2に戻り、本実施形態の表面処理鋼板の製造方法について説明を継続する。
ステップ3で前処理浴に原板1を浸漬した後は、Znめっき層2を原板1上に形成する(ステップ4)。なおステップ3の後で水などを用いてリンス処理(水洗)を行った後に、ステップ4へ移行してもよい。
また、ステップ4で用いるZnめっき浴としては、例えば以下の条件を適用してもよい。
[Znめっき条件]
浴組成 ZnSO4・7H2O:150〜300g/L
Na2SO4:20〜100g/L
浴温 :30〜60 ℃
電流密度 :5〜60 A/dm
めっき付着量 :5〜30g/m
ステップ4でZnめっき層2が原板1に形成された後、このZnめっき層2上に有機樹脂層3を形成することができる(ステップ5)。なお、このステップ5は必須ではなく、適宜省略してもよい。
この有機樹脂層3は、例えばコーティング層として、透明性の高い樹脂(シリカゾルを含有した水系ウレタン樹脂、水系アクリル樹脂、水系エポキシ樹脂など)などを適用できる。また、このようなコーティング層を介して、またはZnめっき層2上に直接、種々の公知の塗料などが適用可能である。例えば熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムやポリ塩化ビニリデンフィルム等の未延伸フィルム又は二軸延伸したフィルム、又はナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルムなどを用いることができる。その中でも、イソフタル酸を共重合化してなる無配向のポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、このような有機樹脂層7を構成するための有機材料は、単独で用いてもよく、異なる有機材料をブレンドして用いてもよい。また複数の有機樹脂層からなる多層構成であってもよい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ−フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。
上記した実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態においては、既述の構成と同じ機能・作用を奏するものは同じ参照番号を付し、その説明は適宜省略する。
≪第2実施形態≫
上記した第1実施形態では、ステップ3の前処理浴に含有される無機イオンは表1に示される有効成分であったが、本第2実施形態では以下の表2に示す無機イオンを用いている。
本実施形態では、例えば表2で示した材料に代表される遷移金属、とくに第6族元素又は第7族元素のうちいずれかの元素の無機イオンを含有する前処理浴に事前に浸漬する。これにより、Znめっきの結晶配向面を、(0002)面に優先配向させる。すなわち、欠陥部の結晶配向を正常部の結晶配向に近づけ、これにより(0002)面の結晶配向の乱れによる目視外観上の不良を抑制されることが可能となっている。
このように、上記した第1実施形態では欠陥部と正常部との配向差を小さくさせることを主眼に置いたのに対し、本実施形態では欠陥部の結晶配向を正常部の結晶配向に近づけることに主眼を置いていることに特徴がある。
なお本実施形態でも、第1実施形態と同様に、前処理浴に浸漬した後の原板1の表面には、上記した無機イオンがアイランド状に付着しているものと推測される。
換言すれば、上記した無機イオンの原板1への付着量が皮膜として十分に定量検出可能な量未満となっており、この原板1の表面には上記した無機イオンによる均一な層は形成されていない。したがって、かような状態では、原板1の表面に点在する無機イオンが核となり、後述するZnめっき層が原板1上に形成されていくと考えられる。
また、表2に示すとおり、前処理浴に含有される無機イオンの濃度は、Mo酸アンモニウムの場合は10〜5000mg/Lであり、より好ましくは20〜5000、さらに好ましくは20〜100mg/Lである。一方で塩化Mnの場合には10〜5000mg/Lであり、より好ましくは20〜5000、さらに好ましくは20〜100mg/Lである。
なお表2に具体的な数値で示した材料の他にも、他の遷移金属、より好ましくは第6族元素又は第7族元素のいずれかを適用することができ、この場合には実験やシミュレーションなどで具体的な元素や最適な濃度などを決定してもよい。
また、第2実施形態における前処理浴の浴温は、10℃〜60℃であって、特に好ましくは20℃〜45℃である。
また、かような前処理浴に原板1を浸漬する浸漬時間は、1秒〜60秒であって、生産性を考慮すると好ましくは2秒〜5秒がよい。
≪実施例≫
以下に、実施例を挙げて本発明について、より具体的に説明する。
<実施例1>
厚さ0.225mmの低炭素アルミキルド鋼の冷延鋼板を原板として用いた。まず、この鋼板をアルカリ水溶液中で電解脱脂して水洗いを行い、更に硫酸水溶液による酸洗と水洗いを行った後に、以下の条件で規定された前処理浴に浸漬した。
[前処理浴条件]
浴の主成分:イオン交換水にMo酸アンモニウム四水和物を溶かして建浴
有効成分であるMo6+の濃度:20mg/L
浴温:25℃
浸漬時間:2秒
pH:建浴した状態の実測値で3.5〜4.5(中心pH値:4.1)
その後、以下の条件で規定されたZnめっき浴を用いてZnめっき層を鋼板上に形成した。
[Znめっき条件]
浴組成 ZnSO・7HO:220g/L
Na2SO:50g/L
浴温 :45℃
電流密度 :20 A/dm
pH:1.0〜2.0(中心pH値:1.5)
めっき付着量 :20g/m
以上により得られた表面処理鋼板SSに対し光学顕微鏡を用いて表面観察写真を取得し、この表面処理鋼板SSの表面における目視外観上の欠陥の有無を検査した。
[目視外観上の欠陥に関する評価指標]
3:筋状の領域が目視で確認されない
2:薄い筋状の領域が目視で確認された
1:濃い筋状の領域(欠陥)が目視で確認された
評価に際し、目視外観上の欠陥が発見されない3点について実用適性があると判断した。
この実施例1に用いた仕様とその評価結果を以下の表3に示す。
<実施例2>
有効成分であるMo6+の濃度を100mg/Lとし、中心pH値:4.6とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例3>
有効成分であるMo6+の濃度を5000mg/Lとし、中心pH値:5.3とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例4>
前処理浴の主成分を塩化マンガン四水和物とし、有効成分であるMn2+の濃度を20mg/Lとし、中心pH値:5.5とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例5>
有効成分であるMn2+の濃度を100mg/Lとした以外は、実施例4と同様に行った。
<実施例6>
有効成分であるMn2+の濃度を5000mg/Lとし、中心pH値:5.3とした以外は、実施例4と同様に行った。
<実施例7>
有効成分であるMn2+の濃度を10000mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例4と同様に行った。
<実施例8>
前処理浴の主成分を塩化すず(II)二水和物とし、有効成分であるSn2+の濃度を20mg/Lとし、中心pH値:3.7とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例9>
有効成分であるSn2+の濃度を100mg/Lとし、中心pH値:3.2とした以外は、実施例8と同様に行った。
<実施例10>
有効成分であるSn2+の濃度を1000mg/Lとし、中心pH値:2.5とした以外は、実施例8と同様に行った。
<実施例11>
有効成分であるSn2+の濃度を10000mg/Lとし、中心pH値:1.9とした以外は、実施例8と同様に行った。
<実施例12>
前処理浴の主成分を硫酸すず(II)とし、有効成分であるSn2+の濃度を5000mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例8と同様に行った。
<実施例13>
有効成分であるSn2+の濃度を10000mg/Lとした以外は、実施例12と同様に行った。
<実施例14>
前処理浴の主成分を硝酸ビスマス(III)五水和物とし、有効成分であるBi3+の濃度を20mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例15>
有効成分であるBi3+の濃度を100mg/Lとした以外は、実施例14と同様に行った。
<実施例16>
有効成分であるBi3+の濃度を5000mg/Lとした以外は、実施例14と同様に行った。
<実施例17>
前処理浴の主成分を酒石酸アンチモニルカリウムとし、有効成分であるSb3+の濃度を10mg/Lとし、中心pH値:2.1とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例18>
有効成分であるSb3+の濃度を15mg/Lとした以外は、実施例17と同様に行った。
<実施例19>
有効成分であるSb3+の濃度を370mg/Lとし、中心pH値:1.1とした以外は、実施例17と同様に行った。
<実施例20>
有効成分であるSb3+の濃度を1850mg/Lとし、中心pH値:1.3とした以外は、実施例17と同様に行った。
<実施例21>
有効成分であるSb3+の濃度を5000mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例15と同様に行った。
<比較例1>
有効成分であるMo6+の濃度を2mg/Lとし、中心pH値:4.3とした以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例2>
有効成分であるMo6+の濃度を10mg/Lとし、中心pH値:4.2とした以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例3>
有効成分であるMo6+の濃度を10000mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例4>
有効成分であるMn2+の濃度を2mg/Lとした以外は、実施例4と同様に行った。
<比較例5>
有効成分であるMn2+の濃度を10mg/Lとした以外は、実施例4と同様に行った。
<比較例6>
有効成分であるSn2+の濃度を2mg/Lとし、中心pH値:4.5とした以外は、実施例8と同様に行った。
<比較例7>
有効成分であるSn2+の濃度を10mg/Lとし、中心pH値:3.9とした以外は、実施例8と同様に行った。
<比較例8>
前処理浴の主成分を硫酸バナジル溶液とし、有効成分であるV4+(VO2+)の濃度を20mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例9>
前処理浴の主成分を硫酸バナジル溶液とし、有効成分であるV4+(VO2+)の濃度を100mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例10>
前処理浴の主成分を硫酸アルミニウムとし、有効成分であるAl3+の濃度を20mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例11>
有効成分であるAl3+の濃度を100mg/Lとした以外は、比較例10と同様に行った。
<比較例12>
前処理浴の主成分をチオシアン酸アンモニウムとし、有効成分であるSCNとNH の濃度を200mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例13>
前処理浴の主成分をPEG(ポリエチレングリコール)#1540とし、有効成分であるPEGの濃度を200mg/Lとし、pH値を未測定とした以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例14>
前処理浴の主成分を酒石酸アンチモニルカリウムとし、有効成分であるSb3+の濃度を5mg/Lとし、中心pH値:2.1とした以外は、実施例1と同様に行った。
以上説明した各実施例及び比較例に関する各種仕様値及び評価結果を表3に示す。
各実施例では、表面処理鋼板SSの表面における筋状の欠陥が確認されず、亜鉛めっきの特性は維持しつつ外観上の優れた美観を奏することが可能となっている。
一方で比較例においては、筋状の欠陥が確認されてしまい、亜鉛めっきの特性は変わらないものの目視外観上の欠陥が発現される結果となった。
さらに発明者らは、得られた表面処理鋼板SSに対し、目視以外の欠陥抑制効果の評価方法として、白色度を計測してその評価を行うとともにXRD(X線回折装置)によるピーク比を計測してその評価も行った。このうち、XRDに関する評価については、XRDのピーク積分強度及び強度比とZn(1 0 -1 1)面への配向変更の効果に着目した。
なおXRDの具体的な測定条件としては、次の仕様とした。
・ターゲット:Cu
・測定方法:集中法(θ/2θ法)
・管電圧:40kV
・管電流:40〜200mA
白色度計測およびXRD計測による評価項目については、任意の実施例(1、2、4〜7、9〜12、17〜20)と各比較例についてそれぞれ行った。
この白色度計測およびXRD計測による評価結果を表4に示す。
表4からも明らかなとおり、実施例9〜12、17〜20では非欠陥部のZn(0002)面の配向が著しく小さくなっており、これは前処理浴の有効成分である元素(Sb及びSnであり、Biも同様の傾向を示す)による(0002)面の配向抑制効果であると推察できる。
さらに、酒石酸アンチモニルカリウムを用いた上記実施例17〜21および比較例14に対し、前処理浴の浴温とpHを上記と異なる値に設定して下記のとおり実験および評価を行った。
<実施例22>
前処理浴の主成分を酒石酸アンチモニルカリウムとし、有効成分であるSb3+の濃度を10mg/Lとし、浴温を24℃とし、中心pH値:4.0とした以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例23>
有効成分であるSb3+の濃度を20mg/Lとし、中心pH値:4.1とした以外は、実施例22と同様に行った。
<実施例24>
有効成分であるSb3+の濃度を35.7mg/Lとし、中心pH値:4.2とした以外は、実施例22と同様に行った。
<実施例25>
有効成分であるSb3+の濃度を100mg/Lとし、中心pH値:4.3とした以外は、実施例22と同様に行った。
<実施例26>
有効成分であるSb3+の濃度を500mg/Lとし、中心pH値:4.3とした以外は、実施例22と同様に行った。
<実施例27>
有効成分であるSb3+の濃度を2000mg/Lとし、中心pH値:4.2とした以外は、実施例22と同様に行った。
<比較例15>
有効成分であるSb3+の濃度を5mg/Lとし、中心pH値:3.8とした以外は、実施例22と同様に行った。
以上の実施例22〜27及び比較例15における各種仕様値およびその評価結果を表5に示す。さらに、これらの実施例および比較例に対して行ったXRD計測による評価結果については表6に示す。
なお、上記で説明した実施例および比較例においては、原板を前処理浴に浸漬したことによって各有効成分が原板表面にどの程度付着しているかを定量することは困難である。しかしながら例えばGDS(グロー放電発光分光分析装置)を用いた観察を実施することにより、前処理浴への浸せき時間と共にごく僅かながら原板表面に元素が吸着もしくは析出していることが分かる。
表7に、前処理浴へ浸漬する前の原板と前処理浴へ10秒浸漬した後の原板におけるGDS観察による表面の元素分析結果を示す。
なお上記した実施形態と各実施例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
また、上記した前処理浴における無機イオンの濃度は10〜5000mg/Lである必要は必ずしもなく、含有される無機イオンの種類により上限または下限を適宜変化させてもよく、さらには前処理浴のpHに応じて上限または下限を変化させてもよい。例えば上記した適用材料が塩化Mnの場合には、濃度範囲における上限は10000mg/Lとなる。
以上説明したように、本発明の表面処理鋼板の製造方法は、亜鉛めっきの特性と外観上の美観を同時に達成することが可能であり、広い分野の産業への適用が可能である。
1 原板
2 Znめっき層
3 有機樹脂層
SS 表面処理鋼板

Claims (5)

  1. 原板を脱脂および酸洗する第1工程と、
    前記第1工程の後、遷移金属、第14族および第15族に属する元素のうちの少なくとも1つの元素の無機イオンを10〜5000mg/Lの濃度で含有する処理液に、前記原板を浸漬する第2工程と、
    前記第2工程の後、前記原板を亜鉛めっき浴に浸漬する第3工程と、
    を有することを特徴とする亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記第2工程によって前記原板の表面に前記無機イオンがアイランド状に付着し、
    前記無機イオンが点在する前記原板の表面に亜鉛めっき皮膜が形成される請求項1に記載の亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記処理液の温度は10℃〜60℃に維持される請求項1又は2に記載の亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 前記無機イオンは、Sn2+、Bi3+およびSb3+の少なくとも1つを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 前記無機イオンは、Mn2+またはMo6+を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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