JP2018009205A - 粒状錫めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼板の原板表面における不活性点に起因した点状めっき抜けを抑制可能な粒状錫めっき鋼板の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の粒状錫めっき鋼板の製造方法は、原板を脱脂する第1工程と、前記第1工程の後、Sn2+の濃度が20〜1000mg/Lで含まれる前処理液に、前記原板を浸漬する第2工程と、前記第2工程の後、前記原板に対して粒状錫めっきを施す第3工程と、を有することを特徴とする。【選択図】 図2

Description

本発明は、粒状錫めっき鋼板の製造方法に関し、例えば原板表面の電気化学的に不活性な領域に由来するめっき抜けなどの外観不良を改善する製造方法に関する。
表面処理がなされた鋼板は、従来から様々な用途に使用されている。例えば一斗缶などの溶接缶用途では錫めっき鋼板が広く適用されてきた。
かような錫めっき鋼板では、後の溶接処理を考慮して鋼板表面に均一な厚みの錫めっき層を形成するのではなく、鋼板表面に粒状又は島状の錫めっき(以後、これらを総称して「粒状錫めっき」とも称する)を形成することが行われている。
粒状錫めっきを鋼板に施すことで溶接不良が抑制されるが、その一方で錫めっきが施されずに鋼板素地が露出する部位が増えることになってしまい、耐食性が低下する事態につながることがある。
これに対して例えば特許文献1では、錫めっき量を所定の値に規定して且つその上層に金属クロム層などの保護層を形成する粒状錫めっき鋼板の製造技術が提案されている。
この特許文献1によれば、鋼板表面のうち粒状錫が析出されない領域でも耐食性の低下を防ぐことができ、錫による鋼板の被覆面積率を少なくしつつ耐食性と加工塗料密着性の相反する特性を同時に満足させることが可能となっている。
特開平9−184097号公報
たしかに特許文献1によれば、粒状錫めっきを鋼板表面に適正な状態で析出させることが可能となるが、鋼板表面における一部の領域で粒状錫めっきが抜け落ちる場合があることが判明した。
この粒状錫めっきが鋼板表面から抜け落ちる現象は、次に説明する態様で発生していると考えられる。
すなわち、粒状錫めっきが施される原板としての鋼板は、圧延、焼鈍あるいは調質などのめっき前工程を経ることでその表面に電気化学的に不活性な領域(「不活性点」とも称する)が顕在化してくる。
すると、後に粒状錫めっきを行った際には、この鋼板表面における不活性点を中心として錫めっきが析出しない領域(点状めっき抜け)が発生する。この点状めっき抜けの発生は溶接不良を引き起こす要因ともなり得るので、かような点状めっき抜けを有する製品は不良品として無駄となってしまう。
本発明は、かような課題を解決することを鑑みてなされたものであり、鋼板の原板表面における不活性点に起因した点状めっき抜けを抑制可能な粒状錫めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる粒状錫めっき鋼板の製造方法は、(1)原板を脱脂する第1工程と、前記第1工程の後、Sn2+の濃度が20〜1000mg/Lで含まれる前処理液に、前記原板を浸漬する第2工程と、前記第2工程の後、前記原板に対して粒状錫めっきを施す第3工程と、を有することを特徴とする。
なお上記(1)の粒状錫めっき鋼板の製造方法においては、(2)前記めっき前処理液のpHは、1.5〜4.5であることが好ましい。
また、上記(1)又は(2)の粒状錫めっき鋼板の製造方法においては、(3)前記めっき前処理液の液温は、15〜60℃であることが好ましい。
また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粒状錫めっき鋼板の製造方法においては、(4)前記第3工程の後、前記粒状錫めっきの表面に対して金属クロム又はクロム酸化物による皮膜を形成する第4工程を更に有することが好ましい。
本発明によれば、鋼板の原板表面における電気化学的に不活性な領域(不活性点)によって生ずる点状めっき抜けに由来する外観不良を抑制することが可能となる。
本実施形態に係る表面処理鋼板の構造を模式的に示した断面図である。 本実施形態に係る表面処理鋼板の製造方法を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る表面処理鋼板の表面のうち点状めっき抜け領域と正常領域を比較する説明図である。
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。
≪第1実施形態≫
図1に示されるように、本実施形態に係る表面処理鋼板SSは、粒状錫めっきが施された鋼板であって、原板1と、この原板1上に形成される表面処理層とを含んで構成されている。表面処理層は、粒状錫めっき3と、この粒状錫めっき3上に形成される保護皮膜4を含んで構成されている。なお、保護皮膜4は、本実施形態の表面処理鋼板SSで必須ではなく、適宜これを省略してもよい。
そして本実施形態に係る表面処理鋼板(粒状錫めっき鋼板)の製造方法は、原板を脱脂する第1工程と、前記第1工程の後、Sn2+の濃度が20〜1000mg/Lで含まれるめっき前処理液に、前記原板を浸漬する第2工程と、前記第2工程の後、前記原板に対して粒状錫めっきを施す第3工程と、を有することを特徴としている。
次に図2を参照しながら、本実施形態の表面処理鋼板SS(粒状錫めっき鋼板)の製造方法について詳述する。
表面処理鋼板SSを製造する際には、基材となる原板1を準備する。この原板1は、例えば0.1mm〜0.5mm程度の金属板であり、例えば鉄または鋼板などの合金などが用いられる。なお、本実施形態との金属板としては、0.10〜1.20mm程度の厚さの普通鋼冷延鋼板が好ましい。中でも、0.1〜0.5mm程度の厚さの普通鋼冷延鋼板が好ましい。冷延鋼板の中でも低炭素または炭素量0.01質量%未満の極低炭素アルミキルド鋼板が、加工性などの観点から好ましく原板として使用される。
この原板1に対し、まずアルカリ脱脂して洗浄する処理を行う(ステップ1)。
なおアルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプのアルカリが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものを用いてもよい。
また、脱脂処理は例えば浸漬法で行うことができ、その場合の浸漬時間は、0.5秒〜30秒であって、特に好ましくは1秒〜5秒がよい。
ステップ1でアルカリ脱脂を終えた後、原板1に対して酸洗を行ってもよい(ステップ2)。ただし本実施形態における酸洗は消極的な実施に留まるものであり、むしろ脱脂後に通常実施される強酸による酸洗は行わないほうが望ましいと言える。
換言すれば、本実施形態においては、酸洗処理は行わずに後述する前処理浴への浸漬を実施することが好ましい。
なお酸洗を行う場合には、種々の公知の酸洗手法を用いてよく、例えば硫酸水溶液への浸漬による酸洗が適用可能である。原板1が酸洗処理されることで、原板1の表面に付着したスケール(酸化膜)が除去される。なお酸洗処理液としては上記硫酸水溶液に限定されず、原板1の種類に応じて酸の種類や液の濃度、あるいは温度などを適宜決定してもよい。
また、ステップ1やステップ2の後で、水などを用いてリンス処理(水洗)をすることで非連続の工程としてもよい。
ステップ1又はステップ2の後、Snイオン(Sn2+)を含有するSnイオン含有浴(「前処理浴」とも称する)へ原板1を浸漬する処理を行う(ステップ3)。この前処理浴は、例えば水にSnイオンが溶け込んでいる浴である。かようなSnイオンの供給源としては、塩化スズや硫酸第1スズを用いることができる。なお、両者の間でSnイオンの原板への付着効果に大きな差はないが、浴の安定性の面では塩化スズがやや優れる。
この前処理浴には、Snイオンが20〜1000mg/L、材料の使用効率性の観点も考慮すると好ましくは50〜500mg/Lであり、生産性も考慮すると更に好ましくは100〜300mg/Lの濃度で含まれる。20mg/Lより小さいと、後述する超微細な錫粒子2が原板1表面で起点となるだけの付着量が得られず、効果が不十分となってしまうからである。一方で1000mg/Lを超えても、Snイオンが溶媒に溶けずに前処理浴中で溶け残ってしまい不経済となるほか、Snイオンの溶け残りが原板に付着して外観不良が生じやすくなるからである。
また、この前処理浴のpHは、1.5〜4.5、特に好ましくは2.0〜4.5である。このように本実施形態では、後述する粒状錫めっき浴におけるpH(通常はpHが1.0以下)と比較して高いpHとなっている点にも特徴がある。pHを1.5より強い酸性にすることでSnイオンの溶解度を上げることは可能ではあるが、原板の強エッチングによる肌荒れや,濃化した元素の抜けた跡などによって外観不良が生じやすくなるという点でデメリットとなってしまう。一方でpHを4.5より大きくすると、やはり効果の再現性が悪くなるという点でデメリットとなってしまうからである。
また、前処理浴における浴温は、15℃〜60℃であって、特に好ましくは20℃〜45℃である。60℃を超える温度では費用対効果で新たな効果を期待できず不経済であり、一方で15℃を下回るとSnイオンが原板1表面に付着(吸着)し難くなるからである。
また、前処理浴に原板1を浸漬する浸漬時間は、0.5〜60秒であって、好ましくは2秒〜30秒がよく、更に量産性も考慮すると1〜5秒が好ましい。60秒以上では意図しない汚染が発生したり生産性が著しく低下してしまい不経済となるからである。一方で、0.5秒は生産ラインでの最速処理を考慮した値であり、生産ラインのコンベア速度を考慮すると0.4秒より短い時間で浸漬することは現実的でないからである。
ここで図3を用いて第1実施形態における前処理の特徴を詳細に説明する。
まず図3の左側には、後述する粒状錫めっきが原板1に施された後の表面処理鋼板SSにおける光学顕微鏡を用いた表面観察写真を示す。
領域(a)で囲った部位は欠陥が発見されない正常部であり、領域(b)で囲った部位は粒状錫めっきが抜け落ちた欠陥部となっている。
この領域(a)および領域(b)に対してEDX(Energy Dispersive X−ray)による元素分析の測定結果が、図3の右側に示されている。
このように、領域(b)では点状めっき抜けが発生しており、当該領域内ではSnが検出されず欠陥となっていることが分かる。
前述したとおり、この領域(b)では、下地となる原板1の表面には電気的に不活性な領域(不活性点)が散在しており、これら不活性点を中心にして錫めっきが定着しない領域が形成されると考えられる。
このような知見の下、本実施形態では、粒状錫めっき処理前の原板1を、Snイオンを含有する前処理浴に浸漬する処理を行うことを見出した。これにより、上記した電気的に不活性な領域(不活性点)を含む原板1の表面に超微細な錫粒子2を付着(吸着)させることが可能となり、かような不活性点であっても超微細な錫粒子2がベース(起点)となって粒状錫めっき3が原板1上で着実に析出することが可能となる。
なお原板1表面に付着する超微細な錫粒子2は原板1上で点在しており、それぞれ検出自体は可能であるが、互いに密着して均一な厚みの層として存在していない点も本実施形態では特筆すべき特徴となっている。
図2に戻り、本実施形態の表面処理鋼板の製造方法について説明を継続する。
ステップ3で前処理浴に原板1を浸漬した後は、粒状錫めっき3を原板1上に形成する(ステップ4)。
なお、ステップ3とステップ4を連続的な工程とせずに、ステップ3の後で水などを用いてリンス(水洗)処理を行ってからステップ4へ移行してもよい。そしてステップ3の後でリンス処理を行う場合には、クロムを含有しないようにすることが好ましい。クロムが含有しているとステップ4で粒状錫めっき3が原板1上に定着し難くなってしまうからである。
なおステップ4で用いるSnめっき浴としては、例えば以下の硫酸錫めっき浴を適用してもよい。
[Snめっき浴、めっき条件]
硫酸濃度:15〜45g/L、
硫酸錫濃度:15〜25g/L、
添加剤1(界面活性剤):0.01〜0.07g/L、
めっき電流密度:2〜15A/dm
電気量:5〜100C/dm
めっき浴温度:35〜50℃
Snめっき皮膜量:150〜300mg/m
pH:1.0以下
なお、界面活性剤としては、アルファティックタイプのものを好ましく用いることができ、例えば、テクニスタン・アディティブ(Tecnic、JPKK社製)が挙げられる。
またその他に、酸化防止剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
ステップ4で粒状錫めっき3が原板1に形成された後、この粒状錫めっき3上に保護皮膜4が形成される(ステップ5)。なおステップ4とステップ5とを連続的な工程とせずに、ステップ4の後で水などを用いてリンス処理(水洗)を行った後にステップ5へ移行してもよい。
この保護皮膜4としては、例えば耐食性の向上などを目的として金属クロムまたはクロム酸化物の皮膜が好ましい。
なお、保護皮膜4は、単層に限られず、例えば金属クロムの皮膜上にクロム酸化物の皮膜が形成されるなど複層となっていてもよい。この場合、例えば公知のTFS−CTの処理を施すことにより、下層が金属クロム、上層がクロム酸化物からなる皮膜を、上記した粒状錫めっき3を施した原板1上の全面に形成させることができる。
なお、上記した保護皮膜4は、本実施形態では必須でなく、適宜これを省略してもよい。
≪実施例≫
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。
<実施例1>
厚さ0.225mmの低炭素アルミキルド鋼の冷延鋼板を原板として用いた。まず、この鋼板をアルカリ水溶液中で電解脱脂して水洗いを行い、その後に以下の条件で規定された前処理浴に浸漬した。
[前処理浴条件]
浴の主成分:イオン交換水に塩化Sn(II)水和物を溶解させて建浴
浴に含有する無機イオン:Sn2+
Sn2+の濃度:20mg/L
浴温:25℃
pH:3.7(ただし、中心pH値であり、±0.5の範囲で規定)
浸漬時間:2秒
その後、以下の条件で規定されたSnめっき浴を用いて粒状錫めっきを鋼板上に形成した。
[Snめっき条件]
硫酸濃度:30g/L、
硫酸錫濃度:20g/L、
添加剤1(界面活性剤):0.04g/L、
めっき電流密度:5A/dm
電気量:5C/dm
めっき浴温度:40℃
pH:<1.0
Sn皮膜量 :200mg/m
なお粒状錫めっき3が原板1に形成された後、この粒状錫めっき3上に保護皮膜4を形成することは省略した。
以上によって得られた表面処理鋼板SSに対して光学顕微鏡を用いて表面観察写真を取得し、この表面処理鋼板SSの表面における点状めっき抜けの数を検査した。
そしてこの点状めっき抑制効果の評価(I)として、検査で求められた単位面積(m)当たりの点状めっき抜けの個数を、前処理を行わなかった表面処理鋼板(比較例3)の点状めっき抜けの個数で除算し、点状めっき抜けの割合(%)を求めた。
また、評価(I)に基づく評価(II)として、以下の基準で評価付けを行った。
◎:点状めっき抜けの割合が30%未満であり、外観不良もない
〇:点状めっき抜けの割合が50%未満であり、外観不良もない
△:点状めっき抜けの割合が50〜80%であるか、外観不良である
×:点状めっき抜けの割合が90%以上であるか、外観不良である
この結果、実施例1における点状めっき抜けの割合は33%であり、評価付けは「○」であった。
<実施例2>
Sn2+の濃度を50mg/Lとし、中心pH値を3.4とし、保護皮膜4として金属クロム又はクロム酸化物(CrOx)を粒状錫めっき3上に形成した以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例2における点状めっき抜けの割合は25%であり、評価付けは「◎」であった。
<実施例3>
Sn2+の濃度を100mg/Lとし、中心pH値を3.2とし、保護皮膜4として金属クロム又はクロム酸化物を粒状錫めっき3上に形成した以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例3における点状めっき抜けの割合は21%であり、評価付けは「◎」であった。
<実施例4>
Sn2+の濃度を300mg/Lとし、中心pH値を3.0とした以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例4における点状めっき抜けの割合は21%であり、評価付けは「◎」であった。
<実施例5>
Sn2+の濃度を500mg/Lとし、中心pH値を2.8とし、保護皮膜4として金属クロム又はクロム酸化物を粒状錫めっき3上に形成した以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例5における点状めっき抜けの割合は21%であり、評価付けは「◎」であった。
<実施例6>
Sn2+の濃度を1000mg/Lとし、中心pH値を2.5とし、保護皮膜4として金属クロム又はクロム酸化物を粒状錫めっき3上に形成した以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例6における点状めっき抜けの割合は42%であり、評価付けは「○」であった。
<実施例7>
Sn2+の濃度を1000mg/Lとし、前処理浴の主成分を硫酸第1スズとし、中心pH値を2.5とし、保護皮膜4として金属クロム又はクロム酸化物を粒状錫めっき3上に形成した以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例7における点状めっき抜けの割合は42%であり、評価付けは「○」であった。
<実施例8>
原板1を前処理浴へ浸漬する前に硫酸水溶液で原板1を酸洗し、Sn2+の濃度を1000mg/Lとし、中心pH値を2.5とし、保護皮膜4として金属クロム又はクロム酸化物を粒状錫めっき3上に形成した以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例8における点状めっき抜けの割合は42%であり、評価付けは「○」であった。
<比較例1>
Sn2+の濃度を10mg/Lとし、中心pH値を3.9とし、保護皮膜4として金属クロム又はクロム酸化物を粒状錫めっき3上に形成した以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、比較例1における点状めっき抜けの割合は103%であり、評価付けは「×」であった。
<比較例2>
Sn2+の濃度を1100mg/Lとし、前処理浴の主成分を硫酸第1スズとし、中心pH値を2.5とした以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、比較例2における点状めっき抜けの割合は97%であり、Snイオンの濃度が高すぎたためSnイオンの溶け残りが原板に付着して外観不良となっていた。
<比較例3>
粒状錫めっき3を原板1に形成する前に硫酸水溶液(硫酸濃度70g/L)で酸洗し、前処理浴への浸漬は行わずに粒状錫めっき3を原板1に形成した。
なお、実施例1と同様に、粒状錫めっき3が原板1に形成された後、この粒状錫めっき3上に保護皮膜4を形成することは省略した。
上述したとおり、比較例3における点状めっき抜けの個数を、実施例1〜8及び比較例1、2の比較基準とすべく、この比較例の値を100%として算出した。
以上説明した実施例1〜8及び比較例1〜3に関する各種仕様値及び評価結果を表1に示す。
表1における各実施例では、表面処理鋼板SSの表面における点状めっき抜けの割合が50%以下となっていることが確認された。
一方で表1における比較例では、上記した点状めっき抜けの割合が比較例3に対して±10%以内であり、相対的に多くの点状めっき抜けが発生していることが確認される結果となった。
さらに以下の実施例9〜12および比較例4〜7では、酸洗の条件あるいは酸洗の有無による点状めっき抜けへの影響を確認した。なお、この実施例9〜12および比較例4〜7における点状めっき抑制効果の評価(I)としては、検査で求められた単位面積(m)当たりの点状めっき抜けの個数を、前処理を行わなかった表面処理鋼板(比較例4)の点状めっき抜けの個数で除算し、点状めっき抜けの割合(%)を求めた。
また、評価(I)に基づく評価(II)としては、表1で示した基準と同じ基準で評価付けを行った。
<実施例9>
Sn2+の濃度を1000mg/Lとし、浴温を40℃とし、中心pH値を2.6とし、浸漬時間を2秒とし、前処理浴の主成分を硫酸第1スズとした以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例9における点状めっき抜けの割合は38%であり、評価付けは「○」であった。
<実施例10>
Sn2+の濃度を1000mg/Lとし、浴温を40℃とし、中心pH値を2.6とし、浸漬時間を2秒とした以外は、実施例1と同様に行った。換言すれば、前処理浴の主成分を塩化スズとした以外は、実施例9と同様に行った。
検査の結果、実施例10における点状めっき抜けの割合は40%であり、評価付けは「○」であった。
<実施例11>
Sn2+の濃度を1000mg/Lとし、中心pH値を2.0とした以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例11における点状めっき抜けの割合は42%であり、評価付けは「○」であった。
<実施例12>
Sn2+の濃度を1000mg/Lとし、中心pH値を1.5とした以外は、実施例1と同様に行った。
検査の結果、実施例11における点状めっき抜けの割合は25%であり、評価付けは「◎」であった。
<比較例4>
粒状錫めっき3を原板1に形成する前に硫酸水溶液(硫酸濃度70g/L)で酸洗し、前処理浴への浸漬は行わずに粒状錫めっき3を原板1に200mg/mの皮膜量で形成した。
なお、実施例1と同様に、粒状錫めっき3が原板1に形成された後、この粒状錫めっき3上に保護皮膜4を形成することは省略した。
上述したとおり、比較例4における点状めっき抜けの個数を、実施例9〜12及び比較例5〜7に対する比較基準とすべく、この比較例の値を100%として算出した。
<比較例5>
粒状錫めっき3を原板1に形成する前に硫酸水溶液(硫酸濃度7g/L)で酸洗し、前処理浴への浸漬は行わずに粒状錫めっき3を原板1に200mg/mの皮膜量で形成した。
なお、実施例1と同様に、粒状錫めっき3が原板1に形成された後、この粒状錫めっき3上に保護皮膜4を形成することは省略した。
検査の結果、比較例5における点状めっき抜けの割合は107%であり、評価付けは「×」であった。
<比較例6>
粒状錫めっき3を原板1に形成する前に、60%硝酸(5g/L)が添加された硫酸水溶液(硫酸濃度50g/L)で原板1を酸洗し、前処理浴への浸漬は行わずに粒状錫めっき3を原板1に200mg/mの皮膜量で形成した。
なお、実施例1と同様に、粒状錫めっき3が原板1に形成された後、この粒状錫めっき3上に保護皮膜4を形成することは省略した。
検査の結果、比較例6における点状めっき抜けの割合は81%であり、評価付けは「△」であった。
<比較例7>
粒状錫めっき3を原板1に形成する前に、前処理浴の成分が添加された硫酸水溶液(硫酸濃度50g/L)で原板1を酸洗し、前処理浴への浸漬は行わずに粒状錫めっき3を原板1に200mg/mの皮膜量で形成した。なお、このとき添加した前処理浴の成分構成としては、硫酸スズ(Sn2+の濃度が1000mg/L)の浴であって浴温が40℃、中心pH値が1未満であった。
なお、実施例1と同様に、粒状錫めっき3が原板1に形成された後、この粒状錫めっき3上に保護皮膜4を形成することは省略した。
検査の結果、比較例7における点状めっき抜けの割合は83%であり、評価付けは「△」であった。
以上説明した実施例9〜12及び比較例4〜7に関する各種仕様値及び評価結果を表2に示す。
表2における各実施例では、表面処理鋼板SSの表面における点状めっき抜けの割合が50%以下となっていることが確認された。
一方で表2における比較例では、上記した点状めっき抜けの割合が比較例4に対して±20%以内であり、相対的に多くの点状めっき抜けが発生していることが確認される結果となった。
なお上記した実施形態と各実施例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
以上説明したように、本発明の表面処理鋼板の製造方法は、粒状錫めっき鋼板の製造において工程由来の欠陥を抑制することが可能であり、広い分野の産業への適用が可能である。
1 原板
2 錫粒子
3 粒状錫めっき
4 保護皮膜
SS 表面処理鋼板

Claims (4)

  1. 原板を脱脂する第1工程と、
    前記第1工程の後、Sn2+の濃度が20〜1000mg/Lで含まれる前処理液に、前記原板を浸漬する第2工程と、
    前記第2工程の後、前記原板に対して粒状錫めっきを施す第3工程と、
    を有することを特徴とする粒状錫めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記めっき前処理液のpHは、1.5〜4.5である請求項1に記載の粒状錫めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記めっき前処理液の液温は、15〜60℃である請求項1又は2に記載の粒状錫めっき鋼板の製造方法。
  4. 前記第3工程の後、前記粒状錫めっきの表面に対して金属クロム又はクロム酸化物による皮膜を形成する第4工程を更に有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の粒状錫めっき鋼板の製造方法。
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