JP2018042114A - 原子発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

原子発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】設置環境の変動が生じても、短期周波数安定度の悪化を低減することができる原子発振器を提供すること、また、かかる原子発振器を備える電子機器および移動体を提供すること。【解決手段】アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、互いに周波数の異なる第1光および第2光を前記原子セルに照射する光源部と、前記原子セルを透過した前記第1光および前記第2光を検出し、その検出強度に応じた検出信号を出力する光検出部と、前記検出信号を第1周期ごとに検波した結果に基づいて、前記アルカリ金属原子の2つの基底準位間の遷移周波数に応じたマイクロ波信号を生成する信号生成部と、前記第1光および前記第2光のそれぞれの周波数を前記第1周期よりも長い第2周期ごとに調整する光源調整部と、を備えることを特徴とする原子発振器。【選択図】図1

Description

本発明は、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
高い長期周波数安定度を有する発振器として、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に記載の原子発振器は、気体状のアルカリ金属を封入したセル(原子セル)と、セルに照射する光を出射する半導体レーザー素子と、セルを透過した光を検出する光検出器と、を備え、光検出器の検出結果に基づいて、半導体レーザーの駆動を制御する。
米国特許第6320472号明細書
特許文献1に記載の原子発振器では、原子発振器の設置環境の変動(例えば温度変動、磁場変動等の外乱)によって、半導体レーザーに入力する電流値が変動し、それに伴って、短期周波数安定度が悪化するという問題があった。
本発明の目的は、設置環境の変動が生じても、短期周波数安定度の悪化を低減することができる原子発振器を提供すること、また、かかる原子発振器を備える電子機器および移動体を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の原子発振器は、アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、
互いに周波数の異なる第1光および第2光を前記原子セルに照射する光源部と、
前記原子セルを透過した前記第1光および前記第2光を検出し、その検出強度に応じた検出信号を出力する光検出部と、
前記検出信号を第1周期ごとに検波した結果に基づいて、前記アルカリ金属原子の2つの基底準位間の遷移周波数に応じたマイクロ波信号を生成する信号生成部と、
前記第1光および前記第2光のそれぞれの周波数を前記第1周期よりも長い第2周期ごとに調整する光源調整部と、を備えることを特徴とする。
このような原子発振器によれば、第1光および第2光のそれぞれの周波数を調整することで、設置環境の変動(外乱)による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。また、第1光および第2光のそれぞれの周波数を調整する周期(第2周期)を、信号生成部が検出信号を検波する周期(第1周期)よりも長くすることにより、当該調整による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。
本発明の原子発振器では、前記光源調整部は、
前記マイクロ波信号に基づく変調電流をバイアス電流に重畳した駆動電流を前記光源部に入力することにより、前記光源部を駆動する駆動回路と、
前記マイクロ波信号の振幅を前記第1周期よりも長い第3周期ごとに調整する自動利得制御回路と、を有することが好ましい。
これにより、光源部に入力される変調電流を安定化させ、設置環境の変動(外乱)による短期周波数安定度の変動を低減することができる。また、変調電流を調整する周期(第3周期)を、マイクロ波信号を生成するに際して検出信号を検波する周期(第1周期)よりも長くすることにより、当該調整による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。
本発明の原子発振器では、前記光源調整部は、前記バイアス電流の電流値を前記第1周期よりも長い第4周期ごとに調整するバイアス電流調整部を有することが好ましい。
これにより、光源部に入力されるバイアス電流を安定化させ、設置環境の変動(外乱)による短期周波数安定度の変動を低減することができる。また、バイアス電流を調整する周期(第4周期)を、マイクロ波信号を生成するに際して検出信号を検波する周期(第1周期)よりも長くすることにより、当該調整による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。
本発明の原子発振器では、前記第4周期は、前記第3周期よりも短いことが好ましい。
これにより、バイアス電流に対する光源部の出力特性の線形性が比較的高い(非線形性が比較的低い)場合において、光源部からの光の中心波長の変動を効果的に低減し、その結果、第1光および第2光の波長の安定性を高めることができる。
本発明の原子発振器では、前記第4周期は、前記第3周期よりも長いことが好ましい。
これにより、バイアス電流に対する光源部の出力特性の非線形性が比較的高い(線形性が比較的低い)場合において、光源部からの光の中心波長の変動を効果的に低減し、その結果、第1光および第2光の波長の安定性を高めることができる。
本発明の原子発振器では、設置環境温度が変動速度T[℃/秒]で変動するとき、
前記第2周期は、(0.1/T)秒以下であることが好ましい。
これにより、設置環境温度の変動による短期周波数安定度の変動を低減することができる。
本発明の原子発振器では、前記第1周期は、1/150秒以上1/50秒以下であることが好ましい。
これにより、マイクロ波信号を好適に生成することができる。
本発明の原子発振器では、前記第2周期は、1秒以下であることが好ましい。
これにより、一般的な設置環境の変動による短期周波数安定度の変動を低減することができる。
本発明の原子発振器は、アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、
前記原子セルに光を照射する光源部と、
前記原子セルを透過した前記光を検出し、その検出強度に応じた検出信号を出力する光検出部と、
前記検出信号を第1周期ごとに検波した結果に基づいて、前記アルカリ金属原子の2つの基底準位間の遷移周波数に応じたマイクロ波信号を生成する信号生成部と、
前記マイクロ波信号に基づく信号が入力されることにより、前記原子セルにマイクロ波を照射するアンテナと、
前記マイクロ波の振幅を前記第1周期よりも長い第2周期ごとに調整するマイクロ波調整部と、を備えることを特徴とする。
このような原子発振器によれば、マイクロ波の振幅を調整することで、設置環境の変動(外乱)による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。また、マイクロ波の振幅を調整する周期(第2周期)を、信号生成部が検出信号を検波する周期(第1周期)よりも長くすることにより、当該調整による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。
本発明の電子機器は、本発明の原子発振器を備えることを特徴とする。
このような電子機器によれば、原子発振器の設置環境の変動が生じても、原子発振器の短期周波数安定度の悪化を低減することができる。そのため、電子機器の設置環境に関わらず、高い周波数安定度の信号を用いて電子機器の高機能化を図ることができる。
本発明の移動体は、本発明の原子発振器を備えることを特徴とする。
このような移動体によれば、原子発振器の設置環境の変動が生じても、原子発振器の短期周波数安定度の悪化を低減することができる。そのため、移動体の位置に関わらず、高い周波数安定度の信号を用いて移動体の高機能化を図ることができる。
本発明の第1実施形態に係る原子発振器の概略構成を示す模式図である。 図1に示す原子発振器が備える制御ループのループ帯域とループ利得との関係を示すグラフである。 図1に示す原子発振器の出力信号の測定時間とアラン分散(周波数精度)との関係を示すグラフである。 図3に示す結果をEIT信号の波形に基づいて説明するための図である。 図1に示す光源から出射される光の周波数スペクトラムを概略的に示す図である。 光源の特性(供給するバイアス電流と光源出力との関係)の一例を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る原子発振器の概略構成を示す模式図である。 本発明の電子機器の実施形態を示す図である。 本発明の移動体の実施形態を示す図である。
以下、本発明の原子発振器、電子機器および移動体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器
まず、本発明の原子発振器について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る原子発振器の概略構成を示す模式図である。
図1に示す原子発振器1は、アルカリ金属原子に対して特定の異なる波長の2つの共鳴光を同時に照射したときに当該2つの共鳴光がアルカリ金属原子に吸収されずに透過する現象が生じる量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した原子発振器である。なお、この量子干渉効果による現象は、電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象とも言う。
この原子発振器1は、図1に示すように、パッケージ部2と、パッケージ部2に電気的に接続されている制御部10と、を有する。パッケージ部2は、光を出射する光源22(光源部)と、例えばルビジウム原子やセシウム原子等のアルカリ金属原子が封入された原子セル21(ガスセル)と、光検出器23(光検出部)と、を有し、これらがパッケージ(図示せず)内に収納されている。制御部10は、検波回路31と、変調回路32と、低周波発振器33と、駆動回路35と、検波回路42と、電圧制御型水晶発振器43(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillators)と、変調回路44と、低周波発振器45と、位相同期回路46(PLL:phase locked loop)と、自動利得制御回路47(AGC:自動利得制御アンプ)と、を有し、これらがパッケージ部2のパッケージの外部に設けられている。なお、制御部10の少なくとも一部がパッケージ部2のパッケージ内に収納されていてもよい。
ここで、駆動回路35は、光源22に、バイアス電流に変調電流を重畳した駆動電流を供給する。これにより、光源22は、バイアス電流の電流値に応じた中心波長の光と、その光の波長に対して両側に変調電流の周波数に応じた波長分だけずれた波長の2つのサイドバンド光(第1光および第2光)とを出射する。当該2つのサイドバンド光は、原子セル21を通過して、光検出器23で検出される。検波回路31、変調回路32および低周波発振器33は、光検出器23の検出結果に基づいて、駆動回路35のバイアス電流の電流値を調整する「バイアス電流調整部30」として機能する。また、検波回路42、電圧制御型水晶発振器43、変調回路44、低周波発振器45および位相同期回路46は、光検出器23の検出結果に基づいて、原子セル21内のアルカリ金属原子の2つの基底準位間の遷移周波数に応じたマイクロ波信号を生成する「信号生成部40」として機能する。この信号生成部40は、前述した2つのサイドバンド光および原子セル21内のアルカリ金属原子によるEIT現象が生じるように、変調電流として用いるマイクロ波信号の周波数を調整するとともに、電圧制御型水晶発振器43(VCXO)の出力信号を所定の周波数で安定させ、その出力信号を原子発振器1のクロック信号として出力する。自動利得制御回路47は、信号生成部40からの変調電流(マイクロ波信号)の振幅を調整して駆動回路35に入力する。このような原子発振器1では、駆動回路35、バイアス電流調整部30および自動利得制御回路47が、前述した2つのサイドバンド光(第1光および第2光)のそれぞれの周波数を調整する「光源調整部50」として機能する。
以下、原子発振器1の各部を順次説明する。
〈パッケージ部〉
図1に示すパッケージ部2は、前述したように、光源22(光源部)と、原子セル21(ガスセル)と、光検出器23(光検出部)とを有する。
(光源部)
光源22は、バイアス電流に変調電流を重畳した駆動電流の供給を受けて、前述したような2つのサイドバンド光を互いに周波数(波長)の異なる第1光および第2光として出射する機能を有する。この光源22としては、前述した機能を有する光源であればよく、特に限定されないが、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の半導体レーザー等が挙げられる。
(原子セル)
原子セル21内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属(アルカリ金属原子)が封入されている。また、原子セル21内には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてガス状のアルカリ金属とともに封入されていてもよい。
アルカリ金属原子は、互いに異なる2つの基底準位(第1基底準位および第2基底準位)と、励起準位とからなる3準位系のエネルギー準位を有する。第1基底準位は、第2基底準位よりも低いエネルギー準位である。ここで、第1基底準位と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数ωを有する共鳴光(第1共鳴光)、および、第2基底準位と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数ωを有する共鳴光(第2共鳴光)を、それぞれ単独でアルカリ金属原子に照射すると光吸収が起きる。これに対し、第1共鳴光および第2共鳴光(共鳴光対)を同時に照射すると、第1共鳴光および第2共鳴光の双方がアルカリ金属原子に吸収されずに透過する電磁誘起透過(EIT)現象が生じる。
このEIT現象は、第1共鳴光および第2共鳴光をアルカリ金属原子に同時に照射し、第1共鳴光の周波数ωと第2共鳴光の周波数ωとの周波数差(ω−ω)が、第1基底準位と第2基底準位とのエネルギー差ΔEに相当する周波数ωに一致したときに起きる。したがって、周波数差(ω−ω)に応じて第1共鳴光および第2共鳴光のアルカリ金属原子における光吸収率(光透過率)は変化し、周波数差(ω−ω)が周波数ωに一致したときにEIT現象が起き、アルカリ金属原子を透過した第1共鳴光および第2共鳴光の強度が急峻に上昇する。このようなEIT現象に伴って発生する急峻な信号をEIT信号と呼ぶ。このEIT信号は、アルカリ金属原子の種類によって決まった固有値をもっている。それゆえ、このようなEIT信号を基準として用いることにより、高精度な発振器を構成することができる。
例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子である場合、エネルギー差ΔEに相当する周波数ωは9.1926GHzであるので、セシウム原子に、周波数差(ω−ω)が9.1926GHzである2種類の光を同時に照射すると、EIT信号が検出される。
原子セル21は、原子セル21の温度を検出する温度センサー(図示せず)の検出結果に基づいて駆動されるヒーター(図示せず)により加熱されている。これにより、原子セル21中のアルカリ金属を適切な濃度のガス状に維持することができる。また、原子セル21の近傍には、例えば、通電によりアルカリ金属に磁場を印加するコイル等を有する磁場発生部(図示せず)が設けられている。この磁場発生部からの磁場によって、アルカリ金属原子の縮退している異なる複数のエネルギー準位間のギャップをゼーマン分裂により拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
また、上述した光源22と原子セル21との間には、波長板、減光フィルター、レンズ、偏光板等の光学部品が配置されていてもよい。
(光検出部)
光検出器23は、原子セル21内を透過した光(第1光および第2光)を受光して検出し、検出した光の強度に応じた検出信号を出力する機能を有する。この光検出器23としては、前述した光の強度を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、フォトダイオード等の光検出器(受光素子)が挙げられる。
〈制御部〉
制御部10は、前述したように、バイアス電流調整部30と、駆動回路35と、信号生成部40と、自動利得制御回路47と、を有する。
(バイアス電流調整部)
バイアス電流調整部30は、検波回路31と、変調回路32と、低周波発振器33と、を有する。検波回路31は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器33の出力信号(発振信号)を用いてその周波数で(第4周期ごとに)光検出器23の出力信号を同期検波する。変調回路32は、検波回路31による検波を可能とするために、低周波発振器33の出力信号(発振信号)を変調信号として検波回路31の出力信号を変調する。
(駆動回路)
駆動回路35は、変調回路32の出力信号に応じてバイアス電流を微調整して、光源22に供給するバイアス電流を設定する(光源22から出射する光の中心波長を設定する)。このように、光源22、原子セル21、光検出器23、検波回路31、変調回路32および駆動回路35を通るフィードバックループにより、光源22が出射する光の中心波長が制御(微調整)されて安定する。ここで、バイアス電流調整部30は、駆動回路35で設定されるバイアス電流の電流値を、低周波発振器33の発振周波数に対応した周期(第4周期)ごとに調整する。この調整の周期(第4周期)は、後述する信号生成部40での検波周期(第1周期)よりも長い。なお、このフィードバックループは、アナログ処理で行ってもよいし、デジタル処理で行ってもよい。
また、駆動回路35は、前述したように微調整したバイアス電流に、後述する自動利得制御回路47からの変調電流を重畳して光源22に供給する。この変調電流により、光源22から出射される光に周波数変調がかかると、バイアス電流に応じた中心周波数の光とともに、その両側にそれぞれ周波数が変調電流の周波数ずつずれた周波数の複数組の光がサイドバンド光として発生する。
(信号生成部)
信号生成部40は、検波回路42と、電圧制御型水晶発振器43と、変調回路44、低周波発振器45と、位相同期回路46と、を有する。検波回路42は、数Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する低周波発振器45の発振信号を用いてその周波数(第1周期ごとに)で光検出器23の出力信号を同期検波する。そして、電圧制御型水晶発振器43(VCXO)は、検波回路42の出力信号の大きさに応じて、電圧制御型水晶発振器43(VCXO)の発振周波数が微調整される。電圧制御型水晶発振器43(VCXO)は、例えば、数十Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振する。
変調回路44は、検波回路42による検波を可能とするために、低周波発振器45の発振信号を変調信号として電圧制御型水晶発振器43(VCXO)の出力信号を変調する。
位相同期回路46は、一定の周波数変換率(逓倍比)で変調回路44の出力信号を変換して出力する。これにより、位相同期回路46は、変調回路44の出力を逓倍して変調電流をマイクロ波信号として生成する。例えば、位相同期回路46は、原子セル21に封入された磁気量子数m=0のアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数差の1/2(セシウム原子の場合は9.1926GHz/2=4.5963GHz)に等しい周波数の信号に変換する。なお、位相同期回路46は、変調回路44の出力信号を、原子セル21に封入された磁気量子数m=0のアルカリ金属原子の2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数差(セシウム原子の場合は9.1926GHz)に等しい周波数の信号に変換するようにしてもよい。
このような検波回路42、電圧制御型水晶発振器43、変調回路44、低周波発振器45および位相同期回路46で構成されている信号生成部40は、光検出器23の検出信号を低周波発振器45の発振周波数に対応した周期(第1周期)ごとに検波した結果に基づいて、原子セル21内のアルカリ金属原子の2つの基底準位間の遷移周波数に応じたマイクロ波信号(変調電流)を生成する。
(自動利得制御回路)
自動利得制御回路47は、位相同期回路46からの信号(変調電流)の振幅が一定となるように、自動的に増幅率(利得)を調整する増幅回路(増幅器)である。すなわち、自動利得制御回路47は、位相同期回路46からの変調電流を増幅する増幅機能と、位相同期回路46からの変調電流の振幅が予め設定された一定の振幅となるように増幅機能の増幅率を調整する自動利得制御機能と、を有する。これにより、原子発振器1の設置環境(例えば、温度、磁場等)が変動しても、その変動に起因する変調電流の振幅変動を除去して、予め設定された一定振幅の変調電流を得ることができる。特に、自動利得制御回路47は、位相同期回路46からのマイクロ波信号の振幅を信号生成部40での検波周期(第1周期)よりも長い周期(第3周期)ごとに調整する。
図示では、自動利得制御回路47は、増幅器471(AMP)と、レベル検出器472と、フィルター473と、を有する。増幅器471は、位相同期回路46からの変調電流を増幅して出力する機能を有し、その増幅率がフィルター473からの信号に応じて調整される。また、増幅器471から出力される変調電流は、駆動回路35およびレベル検出器472のそれぞれに入力される。レベル検出器472は、増幅器471からの変調電流の出力レベルを所定の周期(第3周期)で検出し、その検出結果に応じた信号を出力する。レベル検出器472からの信号は、レベル検出器472の検出周期に対応した帯域を有するフィルター473を介して増幅器471に入力される。なお、自動利得制御回路47の構成は、図示の構成に限定されず、例えば、レベル検出器472とフィルター473との間にバッファー回路を設けてもよい。
このような自動利得制御回路47の出力信号は、変調周波数fmの電流(変調電流)として駆動回路35に入力される。このように、光源22、原子セル21、光検出器23、検波回路42、電圧制御型水晶発振器43、変調回路44、位相同期回路46、自動利得制御回路47および駆動回路35を通るフィードバックループにより、光源22が出射する1組のサイドバンド光が、アルカリ金属原子にEIT現象を発生させる共鳴光対になるように制御(微調整)される。このフィードバックループのループ帯域は、低周波発振器45の発振周波数に等しい。
上述したように、EIT現象に伴って発生する急峻な信号であるEIT信号を光検出器23で検出し、そのEIT信号を基準信号として利用して、電圧制御型水晶発振器43の出力信号を所定の周波数で安定させる。そして、電圧制御型水晶発振器43の出力信号は、外部に出力される。その際、電圧制御型水晶発振器43の出力信号は、必要に応じて、例えばDDS(Direct Digital Synthesizer)等の周波数変換回路(図示せず)によって所定の周波数変換率で所望の周波数に周波数変換してもよい。
以上説明したように、原子発振器1では、光検出器23の検出結果に基づいて、バイアス電流調整部30が駆動回路35のバイアス電流の電流値を調整するとともに、信号生成部40が駆動回路35の変調電流の周波数を調整する。自動利得制御回路47は、信号生成部40からの変調電流の電流値(レベル)を調整して駆動回路35に入力する。また、信号生成部40は、前述した2つのサイドバンド光および原子セル21内のアルカリ金属原子によるEIT現象が生じるように、電圧制御型水晶発振器43(VCXO)の出力信号を所定の周波数で安定させ、その出力信号を原子発振器1のクロック信号として出力する。
ここで、駆動回路35、バイアス電流調整部30および自動利得制御回路47で構成されている光源調整部50は、前述した2つのサイドバンド光(第1光および第2光)のそれぞれの周波数を信号生成部40での検波周期(第1周期)よりも長い周期(第2周期)ごとに調整する。この調整の周期(第2周期)は、前述したバイアス電流調整部30での調整の周期(第4周期)と自動利得制御回路47での調整の周期(第3周期)とのうち、短い方の周期と等しい。
(バイアス電流および変調電流の調整)
以下、図2ないし図6に基づいて、バイアス電流および変調電流の調整について詳述する。
図2は、図1に示す原子発振器が備える制御ループのループ帯域とループ利得との関係を示すグラフである。図3は、図1に示す原子発振器の出力信号の測定時間とアラン分散(周波数精度)との関係を示すグラフである。図4は、図3に示す結果をEIT信号の波形に基づいて説明するための図である。図5は、図1に示す光源から出射される光の周波数スペクトラムを概略的に示す図である。図6は、光源の特性(供給するバイアス電流と光源出力との関係)の一例を示すグラフである。
前述したように、原子発振器1は、アルカリ金属原子が封入されている原子セル21と、互いに周波数の異なる第1光および第2光を原子セル21に照射する「光源部」である光源22と、原子セル21を透過した第1光および第2光を検出し、その検出強度に応じた検出信号(以下、単に「検出信号」ともいう)を出力する「光検出部」である光検出器23と、を備える。また、原子発振器1は、光検出器23の検出信号を第1周期(以下、単に「第1周期」ともいう)ごとに検波した結果に基づいて、原子セル21内のアルカリ金属原子の2つの基底準位間の遷移周波数に応じたマイクロ波信号を生成する信号生成部40と、光源22からの第1光および第2光のそれぞれの周波数を第1周期よりも長い第2周期(以下、単に「第2周期」ともいう)ごとに調整する光源調整部50と、を備える。
このような原子発振器1によれば、原子発振器1の設置環境の変動が生じても、光源調整部50が光源22からの第1光および第2光のそれぞれの周波数を安定化させるように調整する。このように光源22からの第1光および第2光のそれぞれの周波数を調整することで、設置環境の変動(外乱)による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。また、第1光および第2光のそれぞれの周波数を調整する周期(第2周期)を、信号生成部40が検出信号を検波する周期(第1周期)よりも長くすることにより、当該調整による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。
ここで、光源調整部50は、信号生成部40からのマイクロ波信号に基づく変調電流をバイアス電流に重畳した駆動電流を「光源部」である光源22に入力することにより、光源22を駆動する駆動回路35と、信号生成部40からのマイクロ波信号の振幅を第1周期よりも長い第3周期(以下、単に「第3周期」ともいう)ごとに調整する自動利得制御回路47と、を有する。これにより、光源22に入力される変調電流を安定化させ、設置環境の変動(外乱)による短期周波数安定度の変動を低減することができる。また、変調電流を調整する周期(第3周期)を、マイクロ波信号を生成するに際して検出信号を検波する周期(第1周期)よりも長くすることにより、当該調整による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。
より具体的に説明すると、図2に示すように、自動利得制御回路47の制御ループのループ帯域は、前述した光源22、原子セル21、光検出器23、検波回路42、電圧制御型水晶発振器43、変調回路44、位相同期回路46、自動利得制御回路47および駆動回路35を通るフィードバックループ(以下、「原子共鳴ループ」ともいう)のループ帯域よりも小さい。ここで、図2中の一点鎖線で示すAは、原子共鳴ループにおけるループ帯域とループ利得との関係を示しており、原子共鳴ループにおけるループ帯域は、第1周期の逆数に等しい。また、図2中の実線で示すBは、自動利得制御回路47の制御ループにおけるループ帯域とループ利得との関係を示しており、自動利得制御回路47の制御ループにおけるループ帯域は、第3周期の逆数に等しい。
第3周期が第1周期よりも長い場合(図3中の実線で示すC)、外乱による短期周波数安定度の変動を低減することが可能であるとともに、第3周期が第1周期よりも短い場合(図3中の破線で示すD)に比べて、図3に示すように、短期周波数安定度を向上させることができる。これに対し、第3周期が第1周期よりも短い場合(図3中の破線で示すD)、外乱による短期周波数安定度の変動を低減することが可能であるものの、第3周期が第1周期よりも長い場合(図3中の実線で示すC)に比べて、短期周波数安定度が悪化してしまう。これは、第3周期が第1周期よりも短い場合(図4中の二点鎖線で示すF)、自動利得制御回路47による調整がノイズとなって現れ、第3周期が第1周期よりも長い場合(図4中の実線で示すE)に比べて、信号成分Sの変化が無くても、ノイズ成分Nが増加して、S/N比が低下することによるものと考えられる。
また、光源調整部50は、駆動回路35に設定するバイアス電流の電流値を第1周期よりも長い第4周期(以下、単に「第4周期」ともいう)ごとに調整するバイアス電流調整部30を有する。これにより、光源22に入力されるバイアス電流を安定化させ、設置環境の変動(外乱)による短期周波数安定度の変動を低減することができる。また、バイアス電流を調整する周期(第4周期)を、マイクロ波信号を生成するに際して検出信号を検波する周期(第1周期)よりも長くすることにより、当該調整による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。このような効果を生じるのは、第3周期を第1周期よりも長くすることによる効果と同様である。
このような第3周期および第4周期は、制御の容易性等の観点から、互いに異なっていることが好ましい。これらの周期の大小関係は、例えば光源22に特性に応じて決めることができる。バイアス電流に対する光源22の出力特性の線形性が比較的高い(非線形性が比較的低い)場合、第4周期は、第3周期よりも短いことが好ましい。これにより、光源22からの光の中心波長の変動を効果的に低減し、その結果、第1光および第2光の波長の安定性を高めることができる。より具体的に説明すると、図5に示すように、光源22は、バイアス電流の電流値に応じた中心周波数f0の光と、その光の中心周波数f0に対して両側に変調電流の周波数fm分だけずれた周波数f1、f2の2つのサイドバンド光(第1光および第2光)とを出射する。第4周期が第3周期よりも短いと、中心周波数f0を先に安定させ、その状態から周波数f1、f2を安定化させることができる。そのため、中心周波数f0のブレをより小さくすることができる。
一方、バイアス電流に対する光源22の出力特性の非線形性が比較的高い(線形性が比較的低い)場合、第4周期は、第3周期よりも長いことが好ましい。これにより、光源22からの光の中心波長の変動を効果的に低減し、その結果、第1光および第2光の波長の安定性を高めることができる。より具体的に説明すると、例えば、図6に示すようにバイアス電流に対する光源22の出力特性の非線形性が比較的高い場合、マイクロ波信号が変動すると、これに伴ってバイアス電流がIからIへ変化し、それにより、光源22の出力もPからPへ変化してしまい、バイアス電流の調整を安定的に行うことが難しい。そこで、第4周期を第3周期よりも長くすることで、マイクロ波信号を先に安定化させることができ、その結果、バイアス電流の調整を安定的に行うことができる。
また、前述したように第3周期および第4周期が互いに異なる場合、制御の容易性等の観点から、第3周期をT3[秒]とし、第4周期をT4[秒]としたとき、T3/T4は、0.1以上10以下であることが好ましく、0.5以上2.0以下であることがより好ましい。
前述したように、第2周期は、第1周期よりも長い周期であって、第3周期および第4周期のうち短い方の周期と等しい。この第2周期は、原子発振器1の設置環境温度が変動速度T[℃/秒]で変動するとき、(0.1/T)秒以下であることが好ましい。これにより、設置環境温度の変動による短期周波数安定度の変動を低減することができる。
また、第1周期は、1/150秒以上1/50秒以下であることが好ましい。すなわち、原子共鳴ループにおけるループ帯域は、50Hz以上150Hz以下であることが好ましい。これにより、信号生成部40がマイクロ波信号を好適に生成することができる。
さらに、第2周期は、1秒以下であることが好ましい。すなわち、バイアス電流調整部30による調整の周波数、および、自動利得制御回路47による調整の周波数は、それぞれ、1Hz以上であることが好ましい。これにより、一般的な設置環境の変動による短期周波数安定度の変動を低減することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る原子発振器の概略構成を示す模式図である。
本実施形態は、光マイクロ波二重共鳴方式に本発明を適用した以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態に関し、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図7において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図7に示す原子発振器1Aは、光マイクロ波二重共鳴現象を利用して、ルビジウム等のアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器である。ここで、光マイクロ波二重共鳴現象は、アルカリ金属原子に対して、第1基底準位と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数を有する共鳴光、および、第1基底準位と第2基底準位とのエネルギー差に相当する周波数を有するマイクロ波を同時に照射したときに生じる現象である。
この原子発振器1Aは、パッケージ部2Aと、パッケージ部2Aに電気的に接続されている制御部10Aと、を有する。
パッケージ部2Aは、光源22A(光源部)と、原子セル21(ガスセル)と、光検出器23(光検出部)と、アンテナ24と、を有し、これらがパッケージ(図示しない)内に収納されている。
光源22Aは、例えば、アルカリ金属を封入したランプである。なお、光源22Aとして、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の半導体レーザー等を用いることもできる。
アンテナ24は、原子セル21内のアルカリ金属原子に照射するマイクロ波を放出(放射)する機能を有する。このアンテナ24としては、マイクロ波を放出し得るものであれば、特に限定されず、各種アンテナを用いることができる。例えば、アンテナ24は、誘電体材料で構成された基板と、この基板の表面に設けられ、導電性材料で構成された放射パターンおよび反射器と、を有する。
本実施形態では、原子セル21およびアンテナ24は、アルカリ金属原子の第1基底準位と第2基底準位とのエネルギー差に相当する周波数の定在波を生じさせるように構成されているキャビティ(図示せず)内に収納されている。したがって、アンテナ24からのマイクロ波の周波数がアルカリ金属原子の第1基底準位と第2基底準位とのエネルギー差に相当する周波数となったときに、アンテナ24からのマイクロ波がキャビティ内で共振する。
制御部10Aは、光検出器23の検出結果に基づいて、光マイクロ波二重共鳴現象を生じさせるように、アンテナ24から放出されるマイクロ波の周波数を制御する。この制御部10Aは、駆動回路35Aと、信号生成部40と、自動利得制御回路47と、を有する。
駆動回路35Aは、光源22Aからの光の周波数がアルカリ金属原子の第1基底準位と励起準位とのエネルギー差に相当する周波数となるように光源22Aを駆動する。本実施形態では、自動利得制御回路47からの変調電流がアンテナ24に供給される。ここで、自動利得制御回路47は、アンテナ24からのマイクロ波の振幅を第1周期よりも長い第2周期ごとに調整するマイクロ波調整部50Aである。
以上のような構成の原子発振器1Aは、アルカリ金属原子が封入されている原子セル21と、原子セル21に光を照射する「光源部」である光源22Aと、原子セル21を透過した光を検出し、その検出強度に応じた検出信号を出力する「光検出部」である光検出器23と、を備える。特に、原子発振器1Aは、検出信号を第1周期ごとに検波した結果に基づいて、原子セル21内のアルカリ金属原子の2つの基底準位間の遷移周波数に応じたマイクロ波信号を生成する信号生成部40と、信号生成部40からのマイクロ波信号に基づく信号が入力されることにより、原子セル21にマイクロ波を照射するアンテナ24と、アンテナ24からのマイクロ波の振幅を第1周期よりも長い第2周期ごとに調整するマイクロ波調整部50Aと、を備える。
このような原子発振器1Aによれば、アンテナ24からのマイクロ波の振幅を調整することで、設置環境の変動(外乱)による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。また、アンテナ24からのマイクロ波の振幅を調整する周期(第2周期)を、信号生成部40が検出信号を検波する周期(第1周期)よりも長くすることにより、当該調整による短期周波数安定度の悪化を低減することができる。
以上説明したような第2実施形態によっても、原子発振器1Aの設置環境の変動が生じても、短期周波数安定度の悪化を低減することができる。
2.電子機器
以下、本発明の電子機器について説明する。
図8は、本発明の電子機器の実施形態を示す図である。
図8に示す測位システム100(電子機器)は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位情報を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位情報をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位情報をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。
以上説明した測位システム100が備える「電子機器」である受信装置302は、前述したように、原子発振器1を備える。この原子発振器1は、前述したように、設置環境の変動が生じても、短期周波数安定度の悪化を低減することができる。そのため、受信装置302の設置環境に関わらず、高い周波数安定度の信号を用いて受信装置302の高機能化を図ることができる。なお、受信装置302は、原子発振器1に代えて、または、原子発振器1に加えて、原子発振器1Aを備えていてもよい。
なお、本発明の原子発振器を備える電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局等に適用することができる。
3.移動体
図9は、本発明の移動体の実施形態を示す図である。
この図において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。
以上説明した移動体1500は、前述したように、原子発振器1を備える。この原子発振器1は、前述したように、設置環境の変動が生じても、短期周波数安定度の悪化を低減することができる。そのため、移動体1500の位置に関わらず、高い周波数安定度の信号を用いて移動体1500の高機能化を図ることができる。なお、移動体1500は、原子発振器1に代えて、または、原子発振器1に加えて、原子発振器1Aを備えていてもよい。
以上、本発明の原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の原子発振器、電子機器および移動体は、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
1…原子発振器、1A…原子発振器、2…パッケージ部、2A…パッケージ部、10…制御部、10A…制御部、21…原子セル、22…光源(光源部)、22A…光源(光源部)、23…光検出器(光検出部)、24…アンテナ、30…バイアス電流調整部、31…検波回路、32…変調回路、33…低周波発振器、35…駆動回路、35A…駆動回路、40…信号生成部、42…検波回路、43…電圧制御型水晶発振器、44…変調回路、45…低周波発振器、46…位相同期回路、47…自動利得制御回路、50…光源調整部、50A…光源調整部、100…測位システム、200…GPS衛星、300…基地局装置、301…アンテナ、302…受信装置、303…アンテナ、304…送信装置、400…GPS受信装置、401…アンテナ、402…衛星受信部、403…アンテナ、404…基地局受信部、471…増幅器、472…レベル検出器、473…フィルター、1500…移動体、1501…車体、1502…車輪、N…ノイズ成分、S…信号成分、f0…中心周波数、f1…周波数、f2…周波数、fm…変調周波数、ω…周波数、ω…周波数、ω…周波数

Claims (11)

  1. アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、
    互いに周波数の異なる第1光および第2光を前記原子セルに照射する光源部と、
    前記原子セルを透過した前記第1光および前記第2光を検出し、その検出強度に応じた検出信号を出力する光検出部と、
    前記検出信号を第1周期ごとに検波した結果に基づいて、前記アルカリ金属原子の2つの基底準位間の遷移周波数に応じたマイクロ波信号を生成する信号生成部と、
    前記第1光および前記第2光のそれぞれの周波数を前記第1周期よりも長い第2周期ごとに調整する光源調整部と、を備えることを特徴とする原子発振器。
  2. 前記光源調整部は、
    前記マイクロ波信号に基づく変調電流をバイアス電流に重畳した駆動電流を前記光源部に入力することにより、前記光源部を駆動する駆動回路と、
    前記マイクロ波信号の振幅を前記第1周期よりも長い第3周期ごとに調整する自動利得制御回路と、を有する請求項1に記載の原子発振器。
  3. 前記光源調整部は、前記バイアス電流の電流値を前記第1周期よりも長い第4周期ごとに調整するバイアス電流調整部を有する請求項2に記載の原子発振器。
  4. 前記第4周期は、前記第3周期よりも短い請求項3に記載の原子発振器。
  5. 前記第4周期は、前記第3周期よりも長い請求項3に記載の原子発振器。
  6. 設置環境温度が変動速度T[℃/秒]で変動するとき、
    前記第2周期は、(0.1/T)秒以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の原子発振器。
  7. 前記第1周期は、1/150秒以上1/50秒以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の原子発振器。
  8. 前記第2周期は、1秒以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の原子発振器。
  9. アルカリ金属原子が封入されている原子セルと、
    前記原子セルに光を照射する光源部と、
    前記原子セルを透過した前記光を検出し、その検出強度に応じた検出信号を出力する光検出部と、
    前記検出信号を第1周期ごとに検波した結果に基づいて、前記アルカリ金属原子の2つの基底準位間の遷移周波数に応じたマイクロ波信号を生成する信号生成部と、
    前記マイクロ波信号に基づく信号が入力されることにより、前記原子セルにマイクロ波を照射するアンテナと、
    前記マイクロ波の振幅を前記第1周期よりも長い第2周期ごとに調整するマイクロ波調整部と、を備えることを特徴とする原子発振器。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の原子発振器を備えることを特徴とする電子機器。
  11. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の原子発振器を備えることを特徴とする移動体。
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